日本精鉱株式会社
NIHON SEIKO CO.,LTD.
新宿区下宮比町3-2
証券コード:57290
業界:非鉄金属
有価証券報告書の提出日:2023年6月30日

(1)連結経営指標等

回次

第124期

第125期

第126期

第127期

第128期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

14,083,702

10,913,552

11,247,358

17,097,801

15,923,384

経常利益

(千円)

1,222,407

433,681

1,207,868

2,246,578

791,479

親会社株主に帰属する当期純利益

(千円)

829,773

286,170

813,684

1,540,990

481,850

包括利益

(千円)

808,486

263,714

833,076

1,552,195

476,407

純資産額

(千円)

7,206,395

7,286,087

7,966,417

9,298,591

9,408,871

総資産額

(千円)

11,746,508

10,784,918

12,213,082

14,840,073

13,953,923

1株当たり純資産額

(円)

2,952.22

2,985.41

3,264.29

3,810.33

3,855.56

1株当たり当期純利益

(円)

339.93

117.25

333.40

631.45

197.45

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

61.3

67.6

65.2

62.7

67.4

自己資本利益率

(%)

12.0

3.9

10.7

17.9

5.2

株価収益率

(倍)

6.7

16.2

8.5

6.0

15.7

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

1,113,613

1,452,310

1,394,848

386,256

184,831

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

567,232

657,271

486,148

645,489

744,092

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

404,360

621,521

321,533

163,203

252,568

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

2,733,777

2,905,207

3,500,628

3,085,883

2,276,200

従業員数

(人)

230

219

226

234

245

(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第127期の期首から適用しており、第127期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

 

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第124期

第125期

第126期

第127期

第128期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

7,069,012

5,378,756

4,446,984

8,195,412

9,576,609

経常利益

(千円)

540,655

316,180

310,339

1,081,971

920,036

当期純利益

(千円)

418,622

272,722

214,768

813,192

691,043

資本金

(千円)

1,018,126

1,018,126

1,018,126

1,018,126

1,018,126

発行済株式総数

(株)

2,605,900

2,605,900

2,605,900

2,605,900

2,605,900

純資産額

(千円)

3,930,257

3,998,694

4,078,988

4,676,592

4,993,144

総資産額

(千円)

5,936,196

5,479,092

5,941,984

7,396,293

7,437,878

1株当たり純資産額

(円)

1,610.10

1,638.43

1,671.39

1,916.35

2,046.09

1株当たり配当額

(円)

75.00

75.00

65.00

140.00

120.00

(うち1株当たり中間配当額)

37.50

37.50

25.00

50.00

60.00

1株当たり当期純利益

(円)

171.49

111.74

88.00

333.22

283.17

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

66.2

73.0

68.6

63.2

67.1

自己資本利益率

(%)

11.0

6.9

5.3

18.6

14.3

株価収益率

(倍)

13.3

17.0

32.2

11.3

10.9

配当性向

(%)

43.7

67.1

73.9

42.0

42.4

従業員数

(人)

90

88

88

85

88

株主総利回り

(%)

64.7

56.2

83.7

113.6

98.2

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(95.0)

(85.9)

(122.1)

(124.6)

(131.8)

最高株価

(円)

3,760

2,700

3,120

4,070

3,725

最低株価

(円)

1,831

1,504

1,719

2,555

2,830

(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第127期の期首から適用しており、第127期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

3.第127期までは、株主総利回りの比較指標として東証二部株価指数を使用しておりましたが、東京証券取引所の市場区分見直しにより、第128期から比較指標を配当込みTOPIXに変更しており、2018年3月末の配当込みTOPIXを100とし、各事業年度における最終取引日の同指数を基に算出しております。

4.最高及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第二部におけるものであります。

 

2【沿革】

1935年 6月  中瀬鉱業㈱設立(本社大阪)・資本金3百万円

1936年 2月  天美鉱業㈱を吸収合併、社名を日本精鉱㈱と改称・資本金8百万円

1936年12月  本社を東京に移転

1943年 4月  (金鉱業整備実施)中瀬鉱山アンチモン重要鉱山に指定

1943年12月  中瀬鉱山、重要鉱物増産法に基づき三菱鉱業(株)へ経営を委任

1946年 8月  終戦により委任解除

1946年12月  資本金4百万円に減資

1948年10月  中瀬にアンチモン製錬所竣工・三酸化アンチモン及び金属アンチモンの販売開始

1949年 4月  資本金3千万円に増資

1949年 9月  東京証券取引所市場第二部へ株式上場

1949年10月  資本金1億円に増資・大阪証券取引所市場第二部へ株式上場

1957年11月  資本金1億4千9百万円に増資

1964年10月  吹田アンチモニー工業㈱(旧日比野金属工業)を吸収合併・資本金1億7千5百万円

1972年12月  資本金2億7千2百万円に増資

1973年 8月  資本金4億円に増資

1976年12月  中瀬鉱業所、排煙脱硫装置・ペレタイザー造粒設備新設

1977年11月  資本金4億4千万円に増資

1977年12月  中瀬鉱業所、原料鉱石前処理設備完成

1978年 1月  資本金5億6百万円に増資

1982年10月  アンチモン商品名を改訂、主力の三酸化アンチモンをATOX及びPATOXとする

PATOX-L及びPATOX-Uの新製品を開発、販売開始

1985年 6月  中瀬製錬所、大型還元炉設備完成・会社創立50周年

1986年 4月  同所、大型揮発炉設備完成

1988年10月  資本金10億1千8百万円に増資

1990年 5月  無償株式 379,500株発行 発行済株式総数 13,029,500株

1991年 9月  中瀬製錬所、揮発炉系製品自動包装設備・製品自動倉庫完成

1992年 3月  同所、粉体2次加工設備完成

1996年 8月  同所、アンチモン鉱石から金属アンチモンへ原料転換

1996年10月  同所、粉体加工工場新築・粗粒製品製造設備新設

1997年 3月  同所、総合事務棟新築

1998年 8月  同所、分析棟新築

2000年 1月  同所、加工炉系荷造設備新設

2000年 3月  ISO14001認証取得

2000年 8月  日本アトマイズ加工㈱(千葉県野田市)の発行済株式の55%を取得し、子会社化

2003年 6月  ISO9001認証取得

2003年 6月  住友金属鉱山㈱より酸化アンチモンの営業権を取得

2004年 6月  超高純度三酸化アンチモン製造装置完成

2008年 6月  日本アトマイズ加工㈱を完全子会社化

2009年 7月  中瀬製錬所、技術棟新築

2012年 4月  日本アトマイズ加工㈱つくば工場竣工

2013年 7月  中国に日テイ精礦(上海)商貿有限公司を設立

2017年10月  5株を1株の割合で株式併合 発行済株式総数 2,605,900株

2018年 8月  中瀬製錬所、金属硫化物製造工場(SULMICS製造工場)竣工

2019年 8月  同所、厚生棟令和館竣工

2022年 4月  東京証券取引所の市場再編に伴い、スタンダード市場に市場変更

 

3【事業の内容】

当社グループは、当社と連結子会社2社により構成されております。

また、その他の関係会社である株式会社川嶋とは原料取引を行っております。

当社グループの事業は、アンチモン事業と金属粉末事業に大別され、各セグメントごとの事業内容は次のとおりであります。

[アンチモン事業]

当社は、合成樹脂製品に添加される難燃助剤及びポリエステルの重合触媒等に使用される三酸化アンチモンのほか、ブレーキ減摩材として使用される三硫化アンチモンや、耐熱性が求められる各種エンプラ樹脂の難燃用アンチモン酸ソーダ等を製造、販売しております。

販売は、当社が直接販売するケースと、代理店等を通じて販売するケースがあります。

連結子会社の日テイ精礦(上海)商貿有限公司は、中国国内市場でアンチモン製品等の販売を行っております。

[金属粉末事業]

連結子会社の日本アトマイズ加工㈱は、電子部品用金属粉末(導電ペースト用の銅粉・貴金属粉やパワーインダクタ用軟磁性材としての鉄系合金粉等)、粉末冶金用金属粉末(精密モーター軸受用の青銅粉・黄銅粉・錫粉、自動車部品用の銅粉・青銅粉・黄銅粉等)等の製造販売を行っております。

当社の取引先の中には金属粉末も使用されている顧客もあり、子会社製品の一部は当社を通じても販売されております。

[その他]

本社ビルの一部を賃貸する不動産賃貸事業等を行っております。

以上述べました事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

0101010_001.png

 

4【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

主要な

事業の内容

議決権の

所有割合(%)

関係内容

(連結子会社)

日本アトマイズ加工㈱

(注)2.3

千葉県野田市

324,750千円

金属粉末事業

100.00

相互の技術交流、同社製品の

販売

役員の兼任あり

(連結子会社)

日テイ精礦(上海)商貿有限公司

上海市長寧区

5,880千元

アンチモン事業

100.00

役員の兼任あり

(その他の関係会社)

株式会社川嶋

静岡県浜松市

西区

90,000千円

非鉄金属卸売業

(被所有)

9.96

[16.53]

原料仕入れ取引

(注)1.連結子会社の「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。

2.特定子会社に該当しております。

3.日本アトマイズ加工㈱の売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結財務諸表の売上高に占める割合は10%を超えておりますが、セグメント情報の売上高に占める当該連結子会社の売上高(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む)の割合が90%を超えているため、主要な損益情報等の記載を省略しております。

4.議決権の被所有割合の[]内は、間接所有割合で外数となっております。

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2023年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

アンチモン事業

90

金属粉末事業

155

報告セグメント計

245

その他

合計

245

(注)従業員数には、嘱託社員を含み、パートタイマー・人材派遣会社からの派遣社員は除いております。

(2)提出会社の状況

 

 

 

2023年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

88

45.3

18.5

6,079,730

 

セグメントの名称

従業員数(人)

アンチモン事業

88

報告セグメント計

88

その他

合計

88

(注)1.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

2.従業員数には、嘱託社員を含み、パートタイマー・人材派遣会社からの派遣社員は除いております。

 

(3)労働組合の状況

当社の労働組合は、日本精鉱中瀬労働組合と称し、中瀬製錬所(兵庫県)に本部を置き、2023年3月31日現在の組合員数は、55人で、上部団体である日本基幹産業労働組合連合会に加盟しています。 労使関係については会社利益向上に向けた協調体制をとっており、特に両関係において特筆すべき事項はありません。

尚、当社本社・大阪営業所及び当社連結子会社には労働組合組織はありません。

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2,3

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1.

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

9.1

80.2

81.7

80.2

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.当事業年度において、育児休業の対象となる男性労働者はおりませんでした。

 ②連結子会社

当事業年度

日本アトマイズ加工(株)

管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)2

男性労働者の育児休業取得率(%) (注)3

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)2

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

66.0

82.7

84.0

60.3

(注)1.海外子会社を除いて記載しております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社経営の基本方針

当社グループは以下の基本理念と経営理念を事業運営の基本方針として今後も堅持してまいります。

基本理念

当社グループは、環境と安全そして成長を最重要課題と認識し、社会との共存を図り、より豊かで快適な生活環境を創るために必要な物づくりの一翼を担うことに、誇りを持って、たゆむことなく、挑み続けることを基本理念とします。

経営理念

1.お取引先様の立場に立ったサービスを提供します。

私たちは、お取引先様の信頼にお応えすることを絶えず念頭に置いて、その多様なご要望に、的確かつ迅速に対応いたします。

2.法令・規則を遵守します。

私たちは、法令・規則を遵守し、適時・適切な企業情報の開示を心がけ、公明正大で透明性の高い経営を推進することで、お取引先様や株主様の信用を得られるようにたゆむことなく努力いたします。

3.環境をたいせつにします。

私たちは、環境に配慮した企業活動を通じ、社会の発展に寄与すると共に、次の世代に豊かな地球環境を引き継ぐことを目指します。

 

4.魅力ある職場を創ります。

私たちは、グループ社員が安全で衛生的な労働環境のもと、いきいきと活動し、自らの能力と使命を存分に発揮することができる機会と職場を創ることを心がけます。

5.安定した収益を確保し、成長戦略を続けます。

私たちは、優れた品質とサービスを提供することで安定した収益を確保しつつ、常に高い目標に向かって成長を続けるように、全員で取り組みます。

(2)目標とする経営指標

当社グループでは、2023年3月期から2025年3月期までの3カ年を活動期間とする中期経営計画を以下の通り策定しております。

 

<スローガン>

グループ力を発揮し、持続可能な事業の成長に向けて、チャレンジし続ける

『Challenge for Sustainable Growth』

<基本方針と具体的施策>

1.グループ連携の強化

・グループ経営管理機能の拡充

・グループ経営資源の戦略的配分

・共同研究開発体制の推進

2.収益力の改善

・自動化・省人化によるコスト削減

・高付加価値製品の拡充・強化

・デジタル化による業務プロセス効率化

3.新たな価値を生み出す事業の創出

・オープンイノベーション推進による新規事業創出

・車載向け製品の取組み強化

・サステナビリティ事業への取組み

4.魅力ある会社づくり

・多様な人財が活躍できる環境づくり

・ステークホルダーエンゲージメントの強化

・SDGs活動の推進

<目標とする経営指標>

最終年度である2025年3月期において、連結営業利益24億円、連結ROE10%以上を設定しております。

 

(3)経営環境と優先的に対処すべき課題

当連結会計年度における、当社グループを取り巻く経営環境につきましては、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりです。

経済の先行きは、世界的な金融引締めが続く中で、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等など不透明な状況が続いていますが、当社グループは中期経営計画の達成に向けて、前述の具体的施策を行っていくことで、企業価値のさらなる向上をめざしてまいります。

アンチモン事業につきましては、国内市場において、産業の空洞化や少子高齢化による需要の縮小均衡、海外メーカーとの競合、更には特定化学物質障害予防規則(特化則)への対応などにより、厳しい事業環境が続いています。きめ細かい販売活動を実施し、品質の向上や新製品の開発などに努め、シェア拡大に取り組んでまいります。また、原料調達の取組みを強化すると共に、生産工程の見直しや自動化・省人化、業務プロセスの効率化などで生産性の改善を行い、コストダウンの実現を図ってまいります。

金属粉末事業につきましては、電子部品市場において、デジタル技術の進化や自動車の電装化などにより中長期的に需要の拡大が見込まれる一方、品質・機能・安定供給に対する要求水準が高まっています。こうした顧客ニーズに応えるために、生産能力の増強を行うと共に、高機能製品の開発と品質マネジメントシステムの強化を行ってまいります。また、自動化による生産の効率化、製品歩留まりの改善、継続的な原価低減の取組みなどを行い、収益力の向上を図ってまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、各セグメントにおいて以下のようなものがあります。(アンチモン事業は提出会社である当社と連結子会社である日テイ精礦(上海)商貿有限公司が、金属粉末事業は連結子会社である日本アトマイズ加工㈱が、それぞれ営んでおります。)

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

[アンチモン事業]

1.経済活動の状況

同事業のアンチモン製品はプラスチック製品や繊維製品などの難燃剤をはじめ、触媒や顔料、ブレーキ材料、ガラス清澄剤など、様々な用途を持っており、最終需要は自動車や家電製品、OA機器、繊維製品など、多種の産業分野にわたっています。そのため、同事業は各産業の生産活動状況に影響されます。従って、国内外の関連市場における経済状況の影響を受ける可能性があり、景気変動やパンデミックによる経済活動の制限などによって、同事業の経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

2.原料地金の調達

同事業の主要製品である三酸化アンチモンはアンチモン地金(以下「原料地金」)を原料としております。原料地金の主要原産地は中国であり、同国の資源保護政策等により、原料地金の安定的調達に影響を及ぼす可能性があるという面でリスクを抱えております。

そのため、当社では、中国に供給を大きく依存していることによるリスクに対応するため、中国以外にも安定的なサプライ・ソースを確保すべく、取り組んでおります。

3.原料地金価格及び為替の変動

原料地金はドル建てで輸入しており、原料地金価格および為替の変動リスクを有しており、同事業の経営成績に影響が及ぶ可能性があります。これらのリスクに対しては、在庫数量の適正化やリードタイムの短縮などの施策を行うことや為替予約を行うことで、影響の低減を図ってまいります。

4.競合

現在中国は、原料地金の最大の供給国ですが、同時に製品である三酸化アンチモンの競合先でもあります。

日本における三酸化アンチモン市場の約半量は輸入品が占め、その内約80%が中国製品であり、厳しい価格競争を強いられております。

それに対抗するため、当社ではコスト低減努力の他に、高品質製品やお客様が要求される特殊仕様の製品の製造・販売に注力しております。

 

5.三酸化アンチモンの特定化学物質障害予防規則適用

同事業の主要製品である三酸化アンチモンが、2017年6月1日から特定化学物質障害予防規則(以下「特化則」)の管理第2類物質に追加されました。これにより、当社事業所において、発散抑制措置や作業環境測定・特殊健康診断の実施等が必要となる他、同製品を使用しているお客様にも同様の対応が新たに必要な場合があります。

それらに対応するため、当社では施設面での措置や社員教育等を行い、法令遵守の体制を整え、今後も必要に応じ見直してまいります。

また、お客様に対しては、法令対応に必要な措置についてのフォローを実施する他、同製品の品質を維持しながら、特化則の適用除外となる特殊加工を施した製品提供の提案を行うなど、事業への影響を最小限にすべく対応を進めてまいります。

6.環境保全

当社が製造、販売する製品の一部には、前述の特化則管理第2類物質の他、毒物劇物取締法の劇物、或いは化学物質管理法の第一種指定化学物質があります。万一、保管・輸送途上等での不測の事態により、紛失、落下飛散等が発生した場合、環境汚染を引き起こす可能性があります。

その管理については、法令を遵守するとともに当社の品質環境マネジメントマニュアルに基づき策定された標準書・手順書に従い万全を期してまいります。

 

[金属粉末事業]

1.経済活動の状況

同事業の金属粉末は主に自動車部品、家電部品、電子機器部品の素材として使用されており、同事業は最終需要である自動車や電機・電子機器等の各業界の設備投資および生産動向に影響を受けます。従って、国内外の関連市場における経済状況の影響を受ける可能性があり、景気変動やパンデミックによる経済活動の制限などによって、同事業の経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

2.事業継続計画(BCP)

大地震等の自然災害や、火災、設備故障などにより、長期に亘り工場の操業が停止し、顧客への製品納入に支障をきたすような事態に陥ることを避けるために、生産拠点を野田本社工場(千葉県野田市)・つくば工場(茨城県牛久市)の2拠点体制としております。

需要の伸びが予想以上に大きく推移しているため、事業継続計画に沿って定期的な教育・訓練を行い、さらに改善を加えることにより、事業継続マネジメントの有効性を高めるための適切な施策を実施しています。

今後は大型化している台風や集中豪雨などの風水害や新型コロナウイルス感染症など未知の感染症に対する事業継続計画の立案・策定を行ってまいります。

3.粉末微細化や新合金製品化の収益性

電子部品の小型化、軽量化、高性能化が進み、より微細な金属粉が求められています。また、新機能付加による差別化を目指して、新しい合金粉末製造のニーズも高まっています。

しかしながら、技術上の要因等によりこのような製品は製品歩留まりが低下して、コストが高くなる傾向があります。

独自の水アトマイズ法の技術力の向上を図り、従来よりもさらに効率の良い製造方法を確立することで、顧客ニーズに対応できるように努めてまいります。

4.原料価格および為替相場の変動

同事業の製品販売価格は、原料である銅や銀、ニッケルなどをベースにしていることから、原料の仕入れから販売までの期間、相場の変動に伴い収益が大きく左右されます。

したがって、在庫数量の適正化やリードタイムの短縮などの施策を実施することで、これを最小限に留めるように努めております。また為替変動による収益へのリスクを回避するために、輸出製品価格を円建てといたしております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しの動きがみられました。一方、円安の進行やウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギー及び原材料価格の高止まり、供給面での制約、金融資本市場の変動などにより、不透明な状況が続いています。

このような環境下、当社グループは、「グループ力を発揮し、持続可能な事業の成長に向けて、チャレンジし続ける Challenge for Sustainable Growth」をスローガンとする2023年3月期から2025年3月期までの中期経営計画をスタートさせました。「グループ連携の強化」、「収益力の改善」、「新たな価値を生み出す事業の創出」、「魅力ある会社づくり」という基本方針のもと、高付加価値製品の生産能力の拡充、オープンイノベーション推進による新規事業創出、車載向け製品の取り組み強化、デジタル化による業務プロセスの効率化、サステナビリティ事業への取組み、多様な人財が活躍できる環境づくり、SDGs活動の推進などに取り組んでおります。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度に比べ886百万円減少の13,953百万円となりました。

当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ996百万円減少の4,545百万円となりました。

当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ110百万円増加の9,408百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高15,923百万円(前年同期比6.9%減収)、営業利益802百万円(同63.4%減益)、経常利益791百万円(同64.8%減益)、親会社株主に帰属する当期純利益481百万円(同68.7%減益)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

アンチモン事業は、売上高9,737百万円(同16.3%増収)、セグメント利益781百万円(同1.3%増益)となりました。

金属粉末事業は、売上高6,154百万円(同29.2%減収)、セグメント利益△11百万円(同1,399百万円減益)となりました。

その他は、売上高31百万円(同0.2%減収)、セグメント利益21百万円(同5.7%減益)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べて809百万円減少し、当連結会計年度には2,276百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は184百万円(前年同期比52.1%減少)となりました。

これは主に、賞与引当金の減少額49百万円、仕入債務の減少額663百万円及び法人税等の支払額881百万円等による減少があったものの、税金等調整前当期純利益790百万円、減価償却費531百万円、売上債権の減少額217百万円及びその他の増加額251百万円等による増加があったためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は744百万円(同15.3%増加)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出677百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は252百万円(同54.8%増加)となりました。

これは主に、短期借入金の純増加額200百万円、長期借入れによる収入200百万円があったものの、長期借入金の返済による支出259百万円及び配当金の支払額366百万円等があったためであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

アンチモン事業

9,636,408

113.0

金属粉末事業

5,871,197

66.3

報告セグメント計

15,507,606

89.2

その他

合計

15,507,606

89.2

(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

b.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

アンチモン事業

9,737,510

116.3

金属粉末事業

6,154,323

70.8

報告セグメント計

15,891,834

93.1

その他

31,549

99.8

合計

15,923,384

93.1

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表作成にあたって重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

また、この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度に比べ886百万円減少の13,953百万円となりました。

流動資産は前連結会計年度に比べ964百万円減少の8,829百万円となりました。これは主に、原材料及び貯蔵品が138百万円増加したものの、現金及び預金が809百万円、受取手形及び売掛金が216百万円、商品及び製品が104百万円減少したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度に比べ78百万円増加の5,124百万円となりました。これは主に、有形固定資産が92百万円増加したことによるものであります。

 

(負債合計)

当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ996百万円減少の4,545百万円となりました。

流動負債は前連結会計年度に比べ1,043百万円減少の3,467百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が580百万円、未払法人税等が465百万円減少したことによるものであります。

固定負債は前連結会計年度に比べ46百万円増加の1,077百万円となりました。

(純資産合計)

当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ110百万円増加の9,408百万円となりました。

これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益481百万円及び剰余金の配当366百万円によるものであります。

この結果、自己資本比率は67.4%(4.8%増加)となりました。

2)経営成績

(売上高)

売上高は、前連結会計年度に比べ1,174百万円減収(6.9%減収)の15,923百万円となりました。

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、前連結会計年度に比べ183百万円増加(1.3%増加)の13,998百万円となりました。

その結果、売上総利益は、前連結会計年度に比べ1,357百万円減益(41.4%減益)の1,925百万円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ30百万円増加(2.8%増加)の1,122百万円となりました。

その結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ1,388百万円減益(63.4%減益)の802百万円となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は、前連結会計年度と比べて58百万円減少の25百万円となり、営業外費用は、前連結会計年度と比べて8百万円増加の37百万円となりました。

その結果、経常利益は、前連結会計年度と比べて1,455百万円減益(64.8%減益)の791百万円となりました。

(特別損益、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)

特別利益0百万円、特別損失1百万円、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額として308百万円を計上しました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べて1,059百万円減益(68.7%減益)の481百万円となりました。1株当たりの当期純利益は197円45銭であります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容等

当社グループのセグメントごとの経営成績に重要な影響を与える要因については、以下のとおりです。

[アンチモン事業]

同事業は自動車、家電製品、OA機器、繊維製品など、多岐に亘る産業分野の動向や国内外の関連市場における経済活動の状況や景気変動などの影響を受けています。

同事業の原料であるアンチモン地金の主要生産国である中国における、環境政策、資源政策の変更、輸出管理の動向並びに他の非鉄金属と同様、投機資金の動き等により、原料価格が急騰、急落することがあります。

これらの変動に対して、相場の上昇局面においては、若干の時間差が生じるものの原料価格のアップ分は製品販売価格に転嫁が可能となりますが、一方、下落局面においては、高値の在庫の影響により在庫の価格はすぐには下がりませんが、販売価格は下落していくこと、また、棚卸資産の低価法の影響を受けることになり、大幅な収益性の低下があった場合、並びに原料・中間品・製品の在庫数量を多く抱えた場合には経営成績に重要な影響を与えることになります。製品販売とアンチモン地金などの原料仕入の情報の連携を密にしながら、在庫水準を常に一定に保つことで相場変動リスクをミニマイズするように努めてまいります。

[金属粉末事業]

同事業は、主に自動車及び電子部品業界の動向や国内外の関連市場における経済活動の状況や景気変動などの影響を受けております。

電子部品需要は自動車の環境対応や安全性の向上による電装品の搭載数の増加が進み、従来のスマートフォンを始めとする情報通信機器の高機能化による1台あたりの電子部品点数増も相まって、市場の中長期的な拡大が期待されます。一方で、製品のコモディティ化による価格競争が進行しており、原材料メーカーへの価格協力要請も厳しくなっております。

また、機器の軽薄短小化の動きに伴い電子部品材料用金属粉もそれに応じた微細なものが要求されています。この動向は材料である当社の製品販売数量の減少に繋がりますが、同時に付加価値の高い製品の商機でもあります。既存製品の歩留りの確保・改善を行い更なるコスト削減努力を継続し、付加価値の高い製品の提案及び適正な加工費単価を確保することで、収益の維持・向上に努めております。

 

併せて、主力市場と位置付ける“車載用市場”に対応するため、製品品質・機能の向上、品質マネジメントシステムの維持・改善に加え、生産能力増強を進めることで、更に信頼性を高め、販売拡大につなげてまいります。

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1)キャッシュ・フローの状況の分析及び検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析及び検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2)資金需要

当社グループの運転資金需要の主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等による営業費用に充当するためのものです。営業費用の主なものは、運賃・保管料、人件費であります。

その他に生産設備の新設・拡充のための設備資金需要があります。

3)資本の財源及び資金の流動性並びに財務政策

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部留保資金の他、借入金により資金調達しております。借入金による資金調達に関しましては、短期借入金のほか、長期安定資金調達の為に一部は長期借入金にて対応しております。

2023年3月31日現在の短期借入金残高は1,445百万円となっております。

生産設備などの長期資金は長期借入金で調達しております。長期借入金の金利は固定と変動金利があります。

2023年3月31日現在の長期借入金残高は287百万円となっております。

なお、2023年3月期においては、安定した事業運営の為に、借入金の一部を現預金にて保有しており、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を確保しております。

d.経営方針、経営戦力、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針、経営戦力、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

e.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

[アンチモン事業]

同事業の原料であり、製品販売価格の基準ともなるアンチモン地金の国際相場は、主産地である中国において、ゼロコロナ政策の影響による行動制限などから主要産業の操業や消費市場も低迷し、需給が緩み、価格は弱含みとなっていましたが、コロナ緩和政策への転換後は需要回復期待から価格は下げ止まり、一旦は上昇に転じました。しかし需要回復のペースは緩やかで、旧正月後に弱含みとなりました。

当連結会計年度の平均価格は、トン当たり約12,900ドルとなり、前年度比約5%の上昇となりました。円建てでは前年度比で円安となったため、約26%の上昇となりました。

同事業の主製品である三酸化アンチモンには様々な用途があります。主たる用途は、プラスチック材料の難燃剤です。プラスチックは、自動車、家電、産業機械、住宅などに用いられる電化製品の電気絶縁材料として広く用いられていますが、一般に燃えやすい性質を持っています。そのようなプラスチックにハロゲン系難燃剤と共に三酸化アンチモンを添加することで、高い難燃性を付与して電気機器の短絡や劣化による発火のリスクを減らし、火災による人的被害や経済的損失を防止することに大きく貢献しています。

同事業の販売状況につきましては、国内市場での顧客の在庫調整の影響や海外市場での需要低迷により、販売数量は前年度比1,051トン減少(16.4%減少)の5,374トンとなりました。

その結果、同事業の当連結会計年度の売上高は、販売価格の上昇により、前年度比1,363百万円増収(16.3%増収)の9,737百万円となりました。セグメント利益は、同9百万円増益(1.3%増益)の781百万円となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度に比べ1百万円増加の6,720百万円となっております。

[金属粉末事業]

同事業の主原料である銅の国内建値は、当連結会計年度平均でトン当たり1,209千円となり、前年度比6.4%の上昇となりました。

同事業の主製品は、電子部品の導電材料向け銅およびその他の金属粉末、パワーインダクタ向けの鉄系合金粉、自動車部品や産業機械部品などに使用される焼結材料向けの金属粉末で、各種製品の高機能化や利便性に貢献しています。

電子部品向け金属粉末の販売状況につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、在宅勤務を中心としたテレワークの急速な普及や教育などのオンライン化への取組みが、スマートフォンやパソコンなどの通信機器端末の需要を拡大していましたが、オンライン需要が一巡すると共に、中国の都市封鎖、インフレ懸念による個人消費の抑制などの要因から需要が急激に落ち込んだため、大幅な受注減となり、販売数量は前年度比600トン減少(42.2%減少)の822トンとなりました。

粉末冶金向け金属粉末の販売状況につきましては、自動車分野での生産調整の影響を受けて、販売数量は前年度比431トン減少(25.0%減少)の1,290トンとなりました。

全体の販売数量は前年度比1,031トン減少(32.8%減少)の2,113トンとなりました。

その結果、同事業の当連結会計年度の売上高は、販売数量の減少により、前年度比2,538百万円減収(29.2%減収)の6,154百万円となりました。セグメント利益は、操業度低下や電力料金値上げによるコスト増加などの影響で同1,399百万円減益の11百万円のセグメント損失となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度に比べ886百万円減少の7,198百万円となっております。

[その他]

不動産賃貸事業等の当連結会計年度の売上高は31百万円、セグメント利益は21百万円となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度に比べ1百万円減少の35百万円となっております。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

2【主要な設備の状況】

当社グループにおける主要な設備は、以下のとおりであります。

(1)提出会社

2023年3月31日現在

 

事業所名

(所在地)

 

セグメントの名称

設備の内容

帳簿価額(千円)

従業

員数(人)

建物及び

構築物

機械装置

及び運搬具

工具、器具及び備品

土地

(面積㎡)

その他

合計

中瀬製錬所

(兵庫県養父市)

アンチモン事業

生産設備

616,491

310,974

17,294

9,015

(126,392)

37,973

991,748

69

本   社

(東京都新宿区)

アンチモン事業

その他

統括業務及び賃貸施設

38,416

590

(203)

39,006

19

(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.本社の土地の面積(203㎡)は、賃借中のものであります。

(2)国内子会社

2023年3月31日現在

 

会社名

事業所名

(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

帳簿価額(千円)

従業

員数

(人)

建物及び

構築物

機械装置

及び運搬具

工具、器具及び備品

土地

(面積㎡)

リース

資産

その他

合計

日本アトマイズ加工㈱

野田本社工場

(千葉県野田市)

金属粉末

事業

生産設備

167,210

278,672

55,982

518,384

(9,796)

5,748

8,662

1,034,660

107

日本アトマイズ加工㈱

つくば工場

(茨城県牛久市)

金属粉末

事業

生産設備

894,683

192,094

22,157

666,212

(36,363)

314,999

151,007

2,241,154

48

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

①【株式の総数】

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

10,000,000

10,000,000

②【発行済株式】

種類

事業年度末現在発行数(株)

(2023年3月31日)

提出日現在発行数(株)

(2023年6月30日)

上場金融商品取引所名又は

登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

2,605,900

2,605,900

東京証券取引所

スタンダード市場

単元株式数

100株

2,605,900

2,605,900

①【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

②【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日

発行済株式総数

増減数(株)

発行済株式総数

残高(株)

資本金増減額(千円)

資本金残高(千円)

資本準備金

増減額(千円)

資本準備金

残高(千円)

2017年10月1日

(注)

△10,423,600

2,605,900

1,018,126

564,725

(注)2017年6月29日開催の第122期定時株主総会決議により、普通株式5株につき1株の割合で株式併合を行っております。これにより発行済株式総数は10,423,600株減少し2,605,900株となっております。

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数 100株)

単元未満

株式の状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の

法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

-

5

11

29

11

-

1,019

1,075

所有株式数(単元)

-

518

105

17,101

204

-

8,021

25,949

11,000

所有株式数の割合(%)

-

2.00

0.40

65.90

0.79

-

30.91

100

(注)1.自己株式165,561株は、「個人その他」に1,655単元、「単元未満株式の状況」に61株含まれております。

2.上記「その他の法人」には、株式会社証券保管振替機構名義の株式が8単元含まれております。

(6)【大株主の状況】

 

 

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数(千株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

福田金属箔粉工業株式会社

京都府京都市下京区松原通室町西入中野之町176

440

18.04

株式会社川嶋

静岡県浜松市西区湖東町3222

242

9.92

株式会社三光

静岡県磐田市掛塚竜光寺3413番地の2

242

9.92

株式会社三興企画

静岡県浜松市西区湖東町3222番地

242

9.92

双日株式会社

東京都千代田区内幸町2丁目1-1

132

5.41

富士興産株式会社

静岡県浜松市西区湖東町3222

130

5.33

太陽鉱工株式会社

兵庫県神戸市中央区磯辺通1丁目1-39

118

4.87

親和物産株式会社

東京都港区西新橋1丁目14-2 新橋SYビル4階

67

2.75

三菱UFJ信託銀行株式会社

東京都千代田区丸の内1丁目4番5号

38

1.58

矢地 節子

富山県氷見市

31

1.27

鈴木 宏明

千葉県松戸市

31

1.27

1,714

70.27

(注)上記のほか、自己株式が165千株あります。

①【連結貸借対照表】

 

 

(単位:千円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

3,085,883

2,276,200

受取手形及び売掛金

※1 2,755,550

※1 2,539,247

商品及び製品

1,920,393

1,815,975

仕掛品

371,838

322,846

原材料及び貯蔵品

1,427,658

1,566,420

その他

241,181

316,914

貸倒引当金

8,838

8,521

流動資産合計

9,793,667

8,829,084

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物及び構築物

4,447,289

4,552,596

減価償却累計額

2,719,162

2,834,828

建物及び構築物(純額)

1,728,126

1,717,767

機械装置及び運搬具

6,749,455

7,132,081

減価償却累計額

6,085,256

6,350,389

機械装置及び運搬具(純額)

664,198

781,691

工具、器具及び備品

736,041

748,375

減価償却累計額

588,543

652,350

工具、器具及び備品(純額)

147,498

96,024

土地

1,436,191

1,436,191

リース資産

362,247

362,247

減価償却累計額

15,729

41,500

リース資産(純額)

346,518

320,747

建設仮勘定

146,478

209,137

有形固定資産合計

4,469,011

4,561,560

無形固定資産

 

 

その他

111,046

149,773

無形固定資産合計

111,046

149,773

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

146,588

134,489

退職給付に係る資産

48,422

45,565

繰延税金資産

114,009

79,142

その他

157,327

154,307

投資その他の資産合計

466,348

413,505

固定資産合計

5,046,406

5,124,839

資産合計

14,840,073

13,953,923

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

支払手形及び買掛金

1,534,757

954,696

電子記録債務

285,391

206,838

短期借入金

1,343,000

1,445,200

未払金

258,242

200,393

リース債務

26,859

27,078

未払法人税等

541,744

75,782

賞与引当金

210,630

161,545

役員賞与引当金

44,961

26,240

その他

※2 265,040

※2 369,552

流動負債合計

4,510,626

3,467,328

固定負債

 

 

長期借入金

249,500

287,700

リース債務

355,136

328,057

繰延税金負債

54,985

退職給付に係る負債

365,219

350,770

資産除去債務

37,183

37,607

その他

23,815

18,603

固定負債合計

1,030,855

1,077,724

負債合計

5,541,481

4,545,052

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

1,018,126

1,018,126

資本剰余金

564,725

564,725

利益剰余金

7,826,337

7,942,134

自己株式

154,168

154,242

株主資本合計

9,255,020

9,370,743

その他の包括利益累計額

 

 

その他有価証券評価差額金

35,964

27,567

為替換算調整勘定

7,607

10,560

その他の包括利益累計額合計

43,571

38,127

純資産合計

9,298,591

9,408,871

負債純資産合計

14,840,073

13,953,923

【連結損益計算書】

 

 

(単位:千円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

※1 17,097,801

※1 15,923,384

売上原価

※5 13,814,962

※5 13,998,363

売上総利益

3,282,838

1,925,020

販売費及び一般管理費

 

 

運賃・保管料

176,777

148,376

給料及び手当

371,421

412,283

賞与引当金繰入額

47,431

39,977

役員賞与引当金繰入額

44,961

26,240

退職給付費用

10,488

9,312

福利厚生費

67,082

81,474

減価償却費

15,579

25,312

旅費及び通信費

23,474

31,128

賃借料

25,008

26,429

研究開発費

※2 95,744

※2 113,064

その他

213,319

208,443

販売費及び一般管理費合計

1,091,287

1,122,043

営業利益

2,191,550

802,976

営業外収益

 

 

受取利息

1,097

999

受取配当金

2,556

3,252

為替差益

19,766

受取保険金

31,812

9,977

保険解約返戻金

4,466

5,050

債務時効益

11,815

その他

12,545

6,454

営業外収益合計

84,059

25,733

営業外費用

 

 

支払利息

15,390

17,229

為替差損

9,117

休止鉱山費用

9,856

9,332

その他

3,784

1,551

営業外費用合計

29,030

37,230

経常利益

2,246,578

791,479

特別利益

 

 

固定資産売却益

※3 1,387

※3 59

特別利益合計

1,387

59

特別損失

 

 

固定資産除却損

※4 4,074

※4 1,258

特別損失合計

4,074

1,258

税金等調整前当期純利益

2,243,891

790,280

法人税、住民税及び事業税

744,106

214,875

法人税等調整額

41,205

93,554

法人税等合計

702,900

308,429

当期純利益

1,540,990

481,850

親会社株主に帰属する当期純利益

1,540,990

481,850

1.報告セグメントの概要

当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
 当社は、合成樹脂製品に添加される難燃助剤及びポリエステルの重合触媒用として使用される三酸化アンチモンをはじめとするアンチモン化合物を製造・販売する「アンチモン事業」及び銅を主とする非鉄金属の電子部品用の微粉並びに精密モーターの軸受用の粉末冶金(粗粉)等を製造・販売する「金属粉末事業」の2つを報告セグメントとしております。

①【貸借対照表】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

1,113,317

954,064

受取手形

1,128

売掛金

※1 2,066,935

2,057,812

商品及び製品

1,112,311

1,214,984

原材料及び貯蔵品

922,397

1,074,060

前払費用

7,978

6,633

その他

※1 24,883

2,643

貸倒引当金

7,926

7,887

流動資産合計

5,241,025

5,302,310

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物

532,461

505,997

構築物

149,981

149,876

機械及び装置

185,545

309,718

車両運搬具

1,807

1,256

工具、器具及び備品

23,142

17,885

土地

9,015

9,015

建設仮勘定

131,849

49,466

有形固定資産合計

1,033,802

1,043,215

無形固定資産

 

 

借地権

30,875

30,875

ソフトウエア

9,496

9,317

その他

1,307

1,269

無形固定資産合計

41,679

41,462

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

143,915

131,864

関係会社株式

731,700

731,700

出資金

10

10

関係会社出資金

43,986

43,986

長期前払費用

4,036

4,537

繰延税金資産

89,227

79,142

会員権

10,346

5,746

その他

56,563

53,903

投資その他の資産合計

1,079,785

1,050,889

固定資産合計

2,155,267

2,135,567

資産合計

7,396,293

7,437,878

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

※1 781,297

※1 451,082

短期借入金

909,000

1,013,200

未払金

100,997

85,772

未払費用

41,336

46,313

未払法人税等

262,471

75,782

未払消費税等

101,054

預り金

3,795

3,991

前受収益

4,690

2,879

賞与引当金

96,930

98,745

役員賞与引当金

21,960

26,240

その他

90

1,499

流動負債合計

2,222,569

1,906,561

固定負債

 

 

長期借入金

217,500

287,700

退職給付引当金

223,832

199,461

資産除去債務

31,983

32,407

長期預り保証金

18,603

18,603

長期未払金

5,212

固定負債合計

497,131

538,172

負債合計

2,719,700

2,444,734

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

1,018,126

1,018,126

資本剰余金

 

 

資本準備金

564,725

564,725

資本剰余金合計

564,725

564,725

利益剰余金

 

 

利益準備金

104,512

104,512

その他利益剰余金

 

 

資産圧縮積立金

20,424

19,597

特別償却準備金

5,100

2,868

別途積立金

640,390

640,390

繰越利益剰余金

2,441,875

2,769,923

利益剰余金合計

3,212,303

3,537,292

自己株式

154,168

154,242

株主資本合計

4,640,986

4,965,901

評価・換算差額等

 

 

その他有価証券評価差額金

35,606

27,242

評価・換算差額等合計

35,606

27,242

純資産合計

4,676,592

4,993,144

負債純資産合計

7,396,293

7,437,878

②【損益計算書】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

※1 8,195,412

※1 9,576,609

売上原価

※1 6,876,383

※1 8,217,688

売上総利益

1,319,029

1,358,920

販売費及び一般管理費

※1,※3 523,055

※1,※3 565,127

営業利益

795,973

793,793

営業外収益

 

 

受取利息及び受取配当金

※1 249,617

※1 136,105

その他

※1 59,247

※1 13,175

営業外収益合計

308,864

149,280

営業外費用

 

 

支払利息

11,688

12,105

休止鉱山費用

9,856

9,332

その他

1,322

1,598

営業外費用合計

22,866

23,036

経常利益

1,081,971

920,036

特別損失

 

 

固定資産除却損

※2 4,074

※2 1,258

特別損失合計

4,074

1,258

税引前当期純利益

1,077,896

918,778

法人税、住民税及び事業税

297,059

213,962

法人税等調整額

32,355

13,773

法人税等合計

264,704

227,735

当期純利益

813,192

691,043