日鉄鉱業株式会社
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第108期の期首から適用しており、第108期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3 2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株を2株とする株式分割を実施したため、第105期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 第105期の1株当たり配当額110円には、記念配当20円を含んでおります。
3 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。なお、第109期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式分割前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載しております。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第108期の期首から適用しており、第108期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
5 2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株を2株とする株式分割を実施したため、第105期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
6 第109期の1株当たり配当額245円は、2022年10月1日を効力発生日とした普通株式1株を2株とする株式分割前の1株当たり中間配当額135円と当該株式分割後の1株当たり期末配当額110円の合計値としております。なお、当該株式分割後の基準で換算した場合、1株当たり中間配当額は67円50銭となるため、年間の1株当たり配当額は177円50銭となります。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(連結財務諸表提出会社)及び子会社32社、関連会社3社により構成されており、当社及び連結子会社の主な事業は、資源事業(鉱石部門、金属部門)、機械・環境事業、不動産事業及び再生可能エネルギー事業であります。
当該各事業に携わっている当社及び主要な子会社並びに関連会社の事業内容、位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。

鉱石部門
金属部門
(注)※1 特定子会社に該当しております。
※2 持分は100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としたものであります。
※3 「議決権の所有(被所有)割合」欄の(内書)は間接所有であります。
※4 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
当社労働組合は、技術職社員は事業所ごとに単位組合を組織しており、社内上部組織として日鉄鉱業労働組合連合会があります。
基幹職・事務職社員は、単一組合の日鉄鉱業職員組合を組織しております。
当社における労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。
当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下のとおりであります。
女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3 「―」は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)及び「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく公表の対象となっていないことから、記載を省略するものであります。
4 労働者の男女の賃金差異については、男性労働者の賃金に対する女性労働者の割合を示しております。なお、同一労働賃金に差異はなく、等級別人員構成の差異によるものであります。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、資源事業を社業の柱とし、社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図ることにより、発展・拡大してまいりました。今後とも、資源の開発・安定供給に努めてまいります。
機械・環境事業につきましては、社会のニーズに応じた良質な商品を提供するとともに、事業フィールドの拡大を図ってまいります。さらに、不動産事業や再生可能エネルギー事業につきましても、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現することにより、株主、取引先及び地域社会に貢献してまいります。
(2) 第2次中期経営計画の進捗について
当社グループは、2021年度から2023年度の3ヶ年を対象とした第2次中期経営計画を策定し、2021年5月に公表しております。本計画期間は鳥形山鉱業所(石灰石)の第3立坑建設工事、八戸鉱山(石灰石)の新規鉱区開発、チリ共和国アルケロス銅鉱山開発といった将来の成長を見据えた大型投資の本格的実行期間となり、このような積極投資に耐えうる収益の確保と財務の健全性を維持しながら、国内外の需要動向、特に石灰石の主要納品先である鉄鋼メーカーの構造改革などに対応していくことを重要課題としております。
本計画におきましては、長期ビジョン「資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する」のもと、基本方針として「大型投資を着実に実行し、持続的成長へ向けた資源の獲得を目指す」・「国内外の需要動向に対応した経営資源の配分を行う」を掲げ、これらを実行に移すとともに、事業活動とSDGsへの取り組みの両立を図ることを目指しております。
本計画期間における当期進捗の概要は以下のとおりであります。
① 大型投資の進捗
鳥形山鉱業所第3立坑建設工事は坑内滴水対策などで当初計画から約1年工期を延期し、2024年度の本格運用を目指し建設中であります。八戸鉱山新鉱区開発は2021年度に一部出鉱を開始しておりますが、開発工事が全て完了し本格操業となるのは次期中期経営計画期間を予定しております。アルケロス銅鉱山は環境許認可手続きに想定以上の時間が取られたことや、コロナ禍での手続き停止により開発の機関決定が遅れておりましたが、本年4月の取締役会にて経済合理性を確認し開発移行を決定、工事に着手しております。
② 各セグメントの進捗
イ.資源事業(鉱石部門)
安定供給体制の再構築につきましては、2021年1月の鳥形山鉱業所の長距離ベルトコンベア火災事故を受け、監視体制の強化や設備の耐熱化を図るとともに、改めて操業上のリスクや出荷停止時における臨海鉱業所のバックアップ体制の再評価、見直しを行っております。
輸出拡大につきましては、現向先での拡販及び安定供給体制の強みを生かした複数年契約の締結を推進し、自社海外拠点や外部企業による情報を統合、分析のうえ海外石灰石需要の掘り起こしを行い、新規取引先の獲得を目指しております。
その他、鉱物資源の価値向上につきましては、取引先の理解を得ながら進めており、また、AI・ITの導入についても、プラントの安定操業や品質確保を目的とした点検、監視業務の高度化を図るべく導入試験を重ねており、搬送ベルト上の石灰石への異物やオーバーサイズ混入の検出に、AIを導入したシステムを稼働させる予定であります。
ロ.資源事業(金属部門)
鉱山事業と製錬事業の取扱い数量をバランスさせ、外部要因に左右されない収益構造を確立すべく既存銅鉱山の鉱量増大及び新規銅鉱山の開発を目指し、チリ共和国を中心に調査を実施しております。アタカマ銅鉱山においては、周辺鉱区からの鉱量組入れを実施、また、新規開発については、本年4月にアルケロス銅鉱山の開発着手を決定しております。製錬事業におけるコスト低減を最優先課題とした業績改善につきましては、製錬会社の出資各社と協調しながら着実に進めておりますが、電力、資材調達価格の高騰などで厳しい事業環境が続いており、引き続き製錬所の安定操業と適正な設備投資水準などを検討してまいります。
ハ.機械・環境事業
水処理剤の主力製品においては、委託製造先の生産能力の増強やストックポイントの整備など、今後の需要増を見込んだ生産・物流体制の強化に取り組んでおります。次世代型水処理剤の開発と新規需要開拓につきましては、2020年度に試験販売を開始し新規取引先を開拓中であります。また、台湾・東南アジア圏での市場開拓につきましても、生産拠点の検討を行っております。
集じん機の海外展開につきましては、当社からエレメントを供給し現地合弁会社で完成品を製作のうえトンネル工事用にレンタルするなど、市場開拓に取り組んでおります。また、エレメント製造の価格競争力強化を目的として、自動化や新しい焼結方法の研究などを進めております。
③ 財務指標
中長期目標としてROA(総資本営業利益率)7%以上、自己資本比率60%以上を目指しております。本中期経営計画期間は、投資活動に伴い借入金など他人資本の増大が見込まれることから、本中期経営計画最終年度である2023年度の目標をROA4%以上、自己資本比率57.5%以上としております。
2022年度は大幅増益に加え、政策保有株式の処分を推進したことなどからROA6.7%、自己資本比率63.5%の実績となっております。
④ 利益計画
2022年度の連結営業利益は136億円となり、計画に対し46億円の大幅増益となりました。主な増益要因は資源事業(金属部門)におきまして、銅価上昇や円安進行など外部環境が好転したことにより、電気銅及びアタカマ銅鉱山の収益が大幅に改善し、45億円の増益となったことによるものであります。
当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因については以下のものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 災害等に関するリスク
① 台風等の風水害に関するリスク
当社グループの売上高の17.6%(当連結会計年度実績)を占める石灰石の約半量は、鳥形山鉱業所(高知県)で生産されております。同鉱業所からの出荷の大部分は海上輸送によっているため、台風の襲来等に伴う荷役作業の滞留により生産・販売に支障を来すことがあります。また、鳥形山に位置する同鉱業所の鉱山は、直近10年間の年間平均降水量が4,000mmを超える降水量の多い地域であるため、集中豪雨による生産設備への浸水等により生産・販売に支障を来すことがあり、これらの気象条件が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、同鉱業所の位置する地域は、南海トラフ巨大地震が発生した場合、大きな揺れや津波の影響により、甚大な被害が生じることが予測されており、その被害の規模によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。これらのリスクが顕在化することにより、当社グループの経営方針に掲げる「社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図る」ことが困難になるため、最も重大なリスクの一つであると認識しております。
このようなリスクに対し、当社グループでは当社BCM推進室主導のもと、年間複数回、関係部署を交えた定期的な会議を実施、主要設備の見直しを含むリスク対策に係る意見交換を行い、情報の共有化を図るとともに、適宜BCP(事業継続計画)を改正するなどの対策を講じております。
② 休廃止鉱山の管理に関するリスク
当社グループは、長年の事業活動の結果、全国各地に多数の休廃止鉱山を所有しております。集中豪雨や地震等の自然災害の影響等により、当社グループの休廃止鉱山において鉱害が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループでは鉱山保安法に基づく定期的な巡視や点検を実施し、また、堆積場の保全や坑廃水による水質汚濁を防止するため、必要に応じて鉱山施設の維持保全工事を実施しております。
③ 労働災害・事故に関するリスク
当社グループにおいて重篤な労働災害、火災事故や設備トラブルなどの不測の事態が発生し、生産活動が停止した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
特に、鳥形山鉱業所の鉱山で採掘した石灰石を海岸選鉱場へ輸送する長距離ベルトコンベア(全長23.3㎞)などの主要設備において火災が発生した場合、被害規模によっては長期間にわたり石灰石の生産・輸送・出荷が停止することから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループでは当社保安環境室による当社及び関係会社の事業所や工場施設等の保安巡視に加え、全国各地で保安研修会を開催するなど、全社的な労働安全衛生管理活動の展開により、労働災害・事故の発生防止に努めるなどの対策を講じております。また、当社生産技術部による設備点検や監視体制の強化などのインシデント対策を図るとともに、火災被害を軽減するための延焼防止対策などを進めております。さらに、石灰石出荷基地である袖ヶ浦物流センター(千葉県)をはじめ、各事業拠点からの応援出荷などの安定供給体制の強化・見直しに努めております。
(2) 銅価・為替・金利水準等の変動に関するリスク
① 銅価の変動に関するリスク
当社グループでは、国内において電気銅を生産しているほか、チリ共和国のアタカマ銅鉱山において銅精鉱を生産しており、銅の国際市況により業績が大きく変動します。今後の銅価の状況によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
銅価の変動が当社グループの経営成績に与える影響額は、翌連結会計年度において1ポンドあたりの価格が10セント変動(上昇)すると、連結売上高で年間18億円、連結営業利益で年間3.1億円の変動(増加)をもたらすと試算しております。
当社金属部門の事業に係る銅価等の価格変動リスクに対しては、商品先渡取引によるリスクヘッジを実施するなどの対策を講じております。
② 為替の変動に関するリスク
当社グループは、電気銅の生産にあたり外貨建の銅鉱石の仕入取引があるほか、連結財務諸表を作成するにあたり海外連結子会社の財務諸表を円換算していることなどから、為替相場の変動により業績が大きく変動します。今後の為替相場の推移によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
為替の変動が当社グループの経営成績に与える影響額は、翌連結会計年度において1米ドルあたりの価格が5円変動(円安方向へ推移)すると、連結売上高で年間26億円、連結営業利益で年間1.6億円の変動(増加)をもたらすと試算しております。
当社金属部門の事業に係る為替変動リスクに対しては、通貨オプション取引によるリスクヘッジを実施するなどの対策を講じております。
③ 金利水準等の変動に関するリスク
当社グループの当連結会計年度末における有利子負債残高は228億円であり、今後の市中金利の動向次第では収益を圧迫する可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループでは金利動向を注視し、柔軟に資金調達手段を検討するとともに、長期借入金において、固定金利又は金利スワップ契約の締結により金利変動リスクを回避するなどの対策を講じております。
(3) 経営環境に関するリスク
① 鉄鋼・セメント需要への依存に関するリスク
当社グループの主力生産品である石灰石は、主に国内の鉄鋼メーカーやセメントメーカーに向けて販売しており、今後、公共投資や民間設備投資の減少、自動車などの工業製品の減産、得意先の生産設備におけるトラブル、製鉄所の組織再編や製造方法における技術革新により、主要取引先の鉄鋼・セメント等の生産量が減少した場合や製鉄の原材料が変更された場合などは、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループでは随時業界全体や個別の取引先などの動向について情報収集に努めるとともに、国内外において新規顧客の開拓を検討するなどの対策を講じております。
② 資源開発に関するリスク
当社グループが取り組んでいる銅や錫などの非鉄金属の探鉱や鉱山開発には、多額の探鉱費や開発費(坑道掘削、生産設備建設等)を要します。鉱物の価格水準や可採鉱量が想定を下回った場合をはじめ、現地政府からの許認可取得や金融機関からの資金調達などが難航した場合における計画の大幅な見直しにより、投資回収が困難となったときには、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループでは定期的に鉱物の価格水準や可採鉱量を確認のうえ適宜計画を見直し、現地政府と適切な関係を構築し許認可取得手続を円滑に進めるほか、政府系金融機関及び主要な借入先であるメガバンクへの緊密な情報提供を通じてコミュニケーションを強化し、柔軟な資金調達を図るなどの対策を講じております。
③ 事業の国際展開に関するリスク
当社グループは、チリ共和国で銅鉱山を運営しているほか、アジア諸国においても事業を展開しており、現地において、テロや紛争などの政情悪化、感染症の流行、災害やストライキなどの事象が発生し、事業活動に波及した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、チリ共和国において銅とリチウムのロイヤルティ課税を引き上げる新鉱業ロイヤルティ法案が可決され2024年より施行される見込みですが、当社グループの稼働中の銅鉱山並びに開発中の銅鉱山は同法案による主な増税対象から外れていることから、現時点ではその影響は軽微であります。しかしながら、同法案施行後の改正によっては、同国での銅鉱山の操業・開発計画等に変更が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループでは事業活動を行っている国・地域について最新情報を把握するよう努めるとともに、同業社団体を通じて本邦の関係省庁と緊密に連携し対応を協議することや緊急連絡体制を構築するなどの対策を講じております。
なお、ウクライナ情勢につきましては、経済制裁、各国規制等の影響や物流の混乱及びエネルギー価格の高騰等に伴い、世界経済が不安定となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 環境規制に関するリスク
今後の関連法令の改正によっては、当社グループにおいて新たな環境対策費用や設備投資等の負担が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、国内外における環境規制の強化やSDGsなどの社会的要請の高まりにより、当社グループの本業である鉱山業の稼行や鉱山開発が制限された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループでは環境に関わる規制や社会の動向を注視するとともに、国際環境管理規格ISO14001の認証取得、社有林の森林認証取得、鉱山跡地や堆積場の緑化等を行い、国内外の各拠点で環境保全に努めております。
他方、環境規制の強化等は、当社グループの機械・環境事業における主力商品である集じん機や水処理剤の需要拡大に繋がる機会であり、規制強化が見込まれる国・地域や産業において、新規顧客の開拓に注力してまいります。
なお、当社は2022年6月にTCFDの提言への賛同を表明し、気候変動の影響評価及びその情報開示に取り組んでおります。TCFDの提言を踏まえた取り組みにつきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。
(4) 企業統治に関するリスク
① コンプライアンス・内部統制に関するリスク
役員又は従業員が、事業に関連する法令や規制、様々な利害関係者との関係において、社会的な要請や期待に応えられなかった場合、事業活動の制限や信用の低下などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループでは業務執行部門から独立した当社内部監査室が中心となり、国内の当社本社・事業所・支店及び関係会社並びに海外の関係会社の内部監査を実施しております。また、継続的に開催している階層別コンプライアンス研修の実施、財務報告に係る内部統制の整備・運用などにより、コンプライアンス・内部統制の強化・拡充に努めております。
② 品質保証・管理に関するリスク
契約不適合や欠陥等のある製商品・サービスを顧客に提供した結果、顧客の生命や身体に危害を与えることやクレーム等が発生することにより、製商品の回収費用をはじめ、顧客に対する補償や訴訟関連費用等が発生した場合、また、当社グループに対する信用が低下した場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループでは契約不適合や欠陥等のある製商品・サービスを顧客に提供することのないよう品質保証・管理に努めております。
当社では、品質保証委員会を定期的に開催し、当社グループにおいて顧客へ提供する製商品・サービスの品質に関するリスクを把握・評価し、当該リスクに対応した取り組みの検討を行っております。
当連結会計年度における具体的な取り組みとして、品質保証委員会を2回開催し、各事業所における品質管理状況の調査報告及び品質リスク管理小委員会の活動報告などを行っております。
③ 情報セキュリティに関するリスク
インターネットを利用する業務などの情報セキュリティには、悪質なメールの受信や不正なアクセス、また、パソコンや電子記憶媒体の盗難等により、重要な企業情報が漏洩、改ざんされることやパソコン等を踏み台にマルウェアを拡散される脅威が存在します。
当社グループは、基幹システムの運用や電子データの管理・伝達において、IT機器やそれらを含む社内外のネットワークを利用して業務を行っているため、前述の脅威によりセキュリティリスクが顕在化する可能性があります。また、テレワーク勤務制度の導入に伴い、マルウェアの感染リスクや端末の紛失・盗難リスク等の情報セキュリティに関するリスクが増大しております。
仮に重大インシデントが発生した場合に当社グループだけでなく、ネットワークやシステム等で通信・接続されるサプライチェーンを含むステークホルダーの業務に支障が生じ、復旧費用の発生や当社グループの信用低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社経理部情報システム課が中心となり、当社グループで利用しているソフトウエア等の更新管理やマルウェア対策ソフトウエアの導入、ネットワーク内の多層防御の構築、社外で使用するパソコンに保存するデータや通信データの暗号化設定に加え、内部監査において監査対象部署に対し、情報セキュリティの重要性やIT管理に関する規程の周知徹底を行うなどの対策を講じております。
(5) 感染症に関するリスク
新型コロナウイルスや新型インフルエンザなどの未知なる病原体による感染症の拡大は、国内外の経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、感染の広がり方や収束時期を予想することは困難であります。当社グループは、全国各地に鉱山をはじめとする事業拠点や関係会社を有しており、海外には営業拠点を置くほか、チリ共和国においては銅鉱山を操業・開発しております。これら国内外の各拠点において集団感染が発生した場合、営業活動や操業の中断による生産・販売、製商品サービスの提供に支障を来すことになります。また、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行時のように、緊急事態宣言の発出や各国政府による都市封鎖や国境封鎖、外出禁止令等の措置がなされた場合には、各拠点の活動そのものが制限され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループではテレワーク勤務や時差出勤等の柔軟な勤務体制の導入や各拠点最良と思われる防疫環境を整備しながら、国・地域の感染状況や防疫措置等の最新情報を把握するなど、事業活動への影響を最小限に留める感染症対策に努めてまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による影響を受けつつも社会・経済活動の正常化が進むなど一部に持ち直しの動きが見られましたものの、ウクライナ情勢の長期化等による資源・エネルギー価格の高騰に加え、各国の金融引き締めが世界経済の成長を下押しするなど、景気は厳しい状況で推移いたしました。
このような経済情勢のもと、当社グループにおきましては、資源事業及び機械・環境事業等における増収により、売上高は1,640億2千万円(前連結会計年度比10.0%増)と前連結会計年度に比べ増加いたしました。
損益につきましては、資源事業の減益及び海外銅鉱山の開発調査費の増加により、営業利益は136億3千2百万円(前連結会計年度比13.3%減)と前連結会計年度に比べ減少し、経常利益は持分法による投資損益が悪化しましたことから、132億4百万円(前連結会計年度比20.5%減)と前連結会計年度に比べ減少いたしました。
一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、保有株式の売却益計上に加え、法人税等が減少しましたことから、97億8千万円(前連結会計年度比5.4%増)と前連結会計年度に比べ増加いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[資源事業]
(鉱石部門)
主力生産品である石灰石の増収に加え、燃料関連商品等の増収により、売上高は594億3千6百万円と前連結会計年度に比べ50億4千5百万円(9.3%)増加しましたものの、エネルギーコストの増加等により、営業利益は59億6千9百万円と前連結会計年度に比べ10億6千3百万円(15.1%)減少いたしました。
(金属部門)
電気銅の国内販売価格が高水準で推移しましたことに加え、銅精鉱の販売数量が増加しましたことから、売上高は869億4千8百万円と前連結会計年度に比べ82億1千5百万円(10.4%)増加しましたものの、アタカマ銅鉱山における生産コストの増加等により、営業利益は66億1千2百万円と前連結会計年度に比べ6億5千万円(9.0%)減少いたしました。
[機械・環境事業]
環境部門における販売が好調であったことに加え、機械関連子会社における販売も順調に推移しましたことから、売上高は130億3百万円と前連結会計年度に比べ16億5千8百万円(14.6%)増加し、営業利益は12億5千7百万円と前連結会計年度に比べ2億5千6百万円(25.6%)増加いたしました。
[不動産事業]
賃貸物件の稼働状況が概ね順調に推移しましたことから、売上高は28億8千2百万円と前連結会計年度に比べ5千6百万円(2.0%)増加し、修繕費の減少等により、営業利益は17億7百万円と前連結会計年度に比べ1億3千1百万円(8.4%)増加いたしました。
[再生可能エネルギー事業]
太陽光発電部門は概ね順調に推移しましたものの、地熱部門において定期修繕工事に伴い一時設備の稼働を停止しましたことから、売上高は17億5千万円と前連結会計年度に比べ3千7百万円(2.1%)減少いたしました。
一方、営業利益は減価償却費の減少等により、5億4千7百万円と前連結会計年度に比べ3千7百万円(7.5%)増加いたしました。
当連結会計年度末における資産の部の合計は、前連結会計年度末に比べ106億2百万円(5.4%)増加し、2,083億3千5百万円となりました。
流動資産につきましては、原材料が減少しましたものの、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ44億7千2百万円(5.0%)増加し、941億7千8百万円となりました。
固定資産につきましては、設備投資による有形固定資産の増加及び保有株式の時価上昇に伴う投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ61億2千9百万円(5.7%)増加し、1,141億5千6百万円となりました。
[負債の部]
当連結会計年度末における負債の部の合計は、前連結会計年度末に比べ24億3千6百万円(3.4%)減少し、689億2千4百万円となりました。
流動負債につきましては、未払法人税等が減少しましたものの、短期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ13億1千9百万円(2.8%)増加し、482億5千8百万円となりました。
固定負債につきましては、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ37億5千6百万円(15.4%)減少し、206億6千6百万円となりました。
[純資産の部]
当連結会計年度末における純資産の部の合計は、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ130億3千8百万円(10.3%)増加し、1,394億1千万円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ67億7千9百万円(20.6%)増加し、397億2千9百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益141億7千9百万円、減価償却費54億8千5百万円の計上に加えて、棚卸資産の減少等による収入要因により、営業活動によって得られた資金は158億1千8百万円となり、前連結会計年度に比べ72億7千8百万円(85.2%)増加いたしました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度においては、有形固定資産の取得による支出等により、投資活動に要した資金は55億7百万円となりましたが、投資有価証券の売却による収入の増加により、前連結会計年度に比べ17億4千9百万円(24.1%)減少いたしました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度においては、配当金の支払による支出等により、財務活動に要した資金は49億2千万円となり、前連結会計年度に比べ1億6千万円(3.4%)増加いたしました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、製造原価によっております。
2 上記の金額は、生産品銘柄(委託分を含む)に限定し、役務工事等の金額は除いております。
ロ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2 上記の金額以外の生産は、見込生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、その割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.当連結会計年度の経営成績等の分析
当連結会計年度の経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 第2次中期経営計画の進捗について」及び「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
ロ.当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与える要因
当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、生産事業所等における操業費、仕入商品の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用、法人税等の支払いによるものであります。また、設備資金需要の主なものは、資源事業を中心とした老朽設備の更新工事に加え、鳥形山鉱業所の第3立坑建設工事などの安定供給体制の確立のための設備投資等を目的としたものであります。
当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金及び借入金により調達しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は228億円であります。
今後、アルケロス鉱山開発工事等の設備投資の実施により、設備資金の需要が増加してまいりますが、投資内容を精査し、投資額を抑制することに加え、運転資金の必要額を見直すことで、借入額の圧縮に努めてまいります。
また、手許資金については、各部署からの報告に基づき当社経理部が随時、資金繰計画を作成・更新しております。その上で、複数の金融機関における短期借入金(当座貸越)の信用枠の設定やコミットメントライン契約の維持により借入余力を確保するとともに、公募普通社債の発行登録を維持し、臨機応変な資金調達に対応できる準備を行っております。それらの施策により大型投資を着実に実行しつつ、万が一営業キャッシュ・フローが悪化した場合にも対応できる十分な流動性を確保しております。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
2022年12月31日現在
(注) 1 帳簿価額のうち、「その他」は、工具、器具及び備品、建設仮勘定及び無形固定資産の合計であります。
2 現在休止中の主要な設備はありません。
3 土地及び建物等の一部を賃借しております。年間賃借料は930百万円となっております。賃借している土地の面積については、[ ]で外書しております。
(注) 2022年8月26日開催の取締役会決議により、2022年10月1日付で株式分割に伴う定款変更が行われ、発行可能株式総数は20,000,000株増加し、40,000,000株となっております。
(注) 2022年10月1日付で普通株式1株を2株に株式分割し、これに伴い発行済株式総数は8,352,319株増加し、16,704,638株となっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株を2株とする株式分割を実施したため、発行済株式総数が増加しております。
2023年3月31日現在
(注) 自己株式67,976株は「個人その他」に679単元、「単元未満株式の状況」に76株含めて記載しております。
なお、株主名簿記載上の自己株式数と期末日現在の実質的な所有自己株式数は同一であります。
2023年3月31日現在
(注) 1 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は次のとおりであります。
2 2022年12月19日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、株式会社三菱UFJ銀行、並びにその共同保有者三菱UFJ信託銀行株式会社及び三菱UFJ国際投信株式会社が2022年12月12日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。
3 所有株式数の表示は、千株未満を切り捨てて記載し、所有株式数の割合表示は、小数第3位を四捨五入して記載しております。
1 報告セグメントの概要
(1) 報告セグメントの決定方法
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、本社に製品・サービス別の営業部等を置き、各営業部等は、取り扱う製品・サービスについて国内及び海外の包括的な販売戦略を立案し、生産技術部や事業所等と連携しながら営業活動を展開しております。
従いまして、当社は、営業部等を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、資源事業の「鉱石部門」、同「金属部門」、「機械・環境事業」、「不動産事業」及び「再生可能エネルギー事業」の5つを報告セグメントとしております。
(2) 各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
「鉱石部門」は、主に当社グループが保有する石灰石鉱山等から生産される石灰石、砕石及びその加工製品並びにこれらに付随する関連商品の販売を行っております。
「金属部門」は、銅地金の製錬・販売のほか、銅精鉱の販売を行っております。
「機械・環境事業」は、主に水処理剤の販売及び集じん機等の環境対策商品を中心とした機械の製造・販売を行っております。
「不動産事業」は、オフィスビル、マンション、店舗、工場、倉庫等の賃貸及び不動産の販売を行っております。
「再生可能エネルギー事業」は、地熱部門、太陽光発電及び水力発電による環境に配慮したエネルギー開発を行っております。