若築建設株式会社
WAKACHIKU CONSTRUCTION CO.,LTD.
北九州市若松区浜町1-4-7
証券コード:18880
業界:建設業
有価証券報告書の提出日:2023年6月30日

(1)連結経営指標等

回次

第203期

第204期

第205期

第206期

第207期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(百万円)

99,675

107,830

89,822

89,164

84,004

経常利益

(百万円)

4,440

4,746

3,011

6,781

6,546

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

3,203

2,963

1,812

4,736

5,442

包括利益

(百万円)

3,337

3,724

3,170

5,229

5,370

純資産額

(百万円)

28,730

31,441

33,844

38,355

42,694

総資産額

(百万円)

81,632

85,869

91,474

81,479

88,326

1株当たり純資産額

(円)

2,146.18

2,382.98

2,563.79

2,909.00

3,240.62

1株当たり当期純利益

(円)

247.27

231.03

142.14

371.47

426.78

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

34.1

35.4

35.7

45.5

46.8

自己資本利益率

(%)

12.1

10.2

5.7

13.6

13.9

株価収益率

(倍)

6.0

5.2

9.7

5.3

9.0

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

338

2,517

5,308

16,030

15,140

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

78

2,337

651

1,475

1,328

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

110

5,954

4,988

12,747

2,970

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

14,384

15,077

14,376

16,399

27,319

従業員数

(人)

758

779

816

839

854

(外、平均臨時雇用者数)

(162)

(166)

(132)

(130)

(132)

 (注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2. 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第206期の期首から適用しており、第206期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

3. 当社は第206期より「役員向け株式交付信託」を導入し、当該「役員向け株式交付信託」が所有する当社株式については、連結財務諸表において自己株式として計上しております。これに伴い、第206期以降の1株当たり純資産額算定の基礎となる期末発行済株式数及び1株当たり当期純利益算定の基礎となる期中平均株式数は、その計算において控除する自己株式に、「役員向け株式交付信託」に係る信託口が保有する当社株式を含めております。

(2)提出会社の経営指標等

回次

第203期

第204期

第205期

第206期

第207期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(百万円)

96,284

104,783

87,091

86,189

81,194

経常利益

(百万円)

4,052

4,212

2,607

6,327

6,084

当期純利益

(百万円)

3,053

2,798

1,659

4,573

5,271

資本金

(百万円)

11,374

11,374

11,374

11,374

11,374

発行済株式総数

(千株)

12,964

12,964

12,964

12,964

12,964

純資産額

(百万円)

28,147

29,816

30,882

34,846

39,305

総資産額

(百万円)

77,967

81,904

87,675

76,976

83,635

1株当たり純資産額

(円)

2,172.77

2,338.13

2,421.80

2,732.65

3,082.36

1株当たり配当額

(円)

55.00

60.00

55.00

80.00

100.00

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

235.68

218.20

130.17

358.61

413.39

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

36.1

36.4

35.2

45.3

47.0

自己資本利益率

(%)

11.3

9.7

5.5

13.9

14.2

株価収益率

(倍)

6.3

5.5

10.5

5.4

9.2

配当性向

(%)

23.3

27.5

42.3

22.3

24.2

従業員数

(人)

681

695

730

751

768

(外、平均臨時雇用者数)

(160)

(161)

(126)

(127)

(128)

株主総利回り

(%)

93.5

80.4

93.6

133.6

252.9

(比較指標:日経225)

(%)

(98.8)

(88.2)

(136.0)

(129.7)

(130.7)

最高株価

(円)

1,787

1,771

1,495

2,240

3,850

最低株価

(円)

1,404

1,050

1,083

1,260

1,815

 (注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所プライム市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第一部におけるものであります。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第206期の期首から適用しており、第206期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

4.当社は第206期より「役員向け株式交付信託」を導入し、当該「役員向け株式交付信託」が所有する当社株式については、財務諸表において自己株式として計上しております。これに伴い、第206期以降の1株当たり純資産額算定の基礎となる期末発行済株式数及び1株当たり当期純利益算定の基礎となる期中平均株式数は、その計算において控除する自己株式に、「役員向け株式交付信託」に係る信託口が保有する当社株式を含めております。

 

2【沿革】

 当社は、北九州若松港の築造及び経営を目的として、1890年5月、資本金60万円をもって若松築港会社として設立されました。1893年7月、旧商法の施行に伴い改組して社名を若松築港株式会社に改め、さらに1902年7月、事業目的を同じくする洞海北湾埋渫合資会社を合併しました。会社は、入出港船から港銭を徴収することを認められ、私営港としての若松港の経営を担い、同港の整備拡充に努めました。また、一方では、洞海湾沿岸に、250万坪にのぼる埋立地を造成するなど、洞海湾の総合開発と北九州工業地帯の基盤づくりに力を入れました。

 しかし、1938年4月、若松港が官営港として福岡県に移管されることとなり、これを契機に当社は港湾土木請負業に転じ、主として西日本を中心に営業を展開していきました。

 その後の主な変遷は次のとおりであります。

1950年10月

建設業法による建設大臣登録(イ)第2055号の登録完了

1953年4月

東京支店設置

1957年5月

若築不動産株式会社(2001年9月株式会社都市空間に商号変更 現・連結子会社)設立

1958年4月

名古屋支店設置

1959年3月

大阪支店設置

1959年8月

当社株式、東京店頭市場に公開

1959年8月

東京本部設置

1961年10月

当社株式、東京証券取引所第二部に上場

1962年8月

当社株式、東京証券取引所第一部に上場

1965年1月

北九州支店、南九州支店を統合して九州支店設置

1965年7月

若築建設株式会社に商号変更

1968年4月

東北支店及び千葉支店設置

1968年7月

宅地建物取引業法による建設大臣免許(1)第456号を取得(以後有効期間満了ごとに更新)

1970年1月

北陸支店設置

1972年8月

川田工業株式会社を吸収合併

1973年5月

中国支店設置

1974年3月

建設業法改正により、建設大臣許可(特-48)第3650号の許可を受ける(以後有効期間満了ごとに更新)

1974年5月

築洋建設株式会社(1979年1月新総建設株式会社に商号変更 現・連結子会社)設立

1975年7月

昭和ドレッジング株式会社を吸収合併

1976年4月

スエズ運河浚渫工事を受注し、海外へ進出

1979年2月

北海道支店設置

1984年4月

横浜支店設置

1985年8月

株式会社ヘルスエンタープライズ設立

1991年4月

四国支店設置

1994年4月

株式会社九創を新総建設株式会社より分社

1997年7月

大丸防音株式会社(現・連結子会社)の経営権を取得

2003年6月

佐藤工業株式会社に資本参加

2004年10月

株式会社ヘルスエンタープライズ清算

2005年10月

新総建設株式会社が株式会社九創を吸収合併

2009年3月

福岡支店設置

2010年7月

佐藤工業株式会社の株式の一部を売却

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、子会社9社、関連会社1社及びその他の関係会社1社で構成され、建設事業及び不動産事業を主な事業の内容としております。

 当社グループの事業に係わる位置づけ及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。

 なお、次の2部門は「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表」の注記に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。

建設事業    当社は総合建設業を営んでおり、連結子会社である新総建設㈱、大丸防音㈱と他4社が施工協力を行い、当社は工事の一部を受注、発注しております。

 

不動産事業   当社は不動産事業を営んでおり、連結子会社である㈱都市空間が同様に不動産事業を営み、当社は㈱都市空間に不動産の一部の管理を委託しております。

 

 事業の系統図は次のとおりであります。

0101010_001.png

 

 

4【関係会社の状況】

会社名

(住所)

資本金

(百万円)

主要な事業の内容

議決権の所有又は被所有割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

新総建設㈱

(千葉市中央区)(注)3

60

建設事業

47.52

(9.54)

[52.48]

当社の建設事業において施工協力しております。

役員の兼任等…3名 転籍

…3名

大丸防音㈱

(東京都中央区)

40

建設事業

75.00

(23.75)

[6.25]

当社の建設事業において施工協力しております。

役員の兼任等…1名 転籍

…1名

㈱都市空間

(北九州市若松区)

50

不動産事業

100.00

当社の不動産の一部の管理を委託しております。

なお、当社より資金援助を受けております。

役員の兼任等…4名

(その他の関係会社)

 

 

 

 

㈱麻生

(福岡県飯塚市)(注)4

3,580

(被所有)

31.39

 (注)1.主要な事業の内容欄にはセグメントの名称を記載しております。

2.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数、[ ]内は、緊密な者又は同意している者の所有割合で外数であります。

3.持分は100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としたものであります。

4.㈱麻生は、有価証券報告書を提出しております。

 

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2023年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

建設事業

798

[131]

不動産事業

6

[1]

全社(共通)

50

[-]

合計

854

[132]

 (注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除いております。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

    2.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2023年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

768

[128]

44.9

18.5

8,884,700

 

セグメントの名称

従業員数(人)

建設事業

716

[128]

不動産事業

2

[-]

全社(共通)

50

[-]

合計

768

[128]

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から当社外への出向者を除いております。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

(3)労働組合の状況

 若築建設労働組合と称し、1946年4月に結成され、2023年3月末現在の組合員数は485名であり、結成以来円満に推移しており特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度(提出会社)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

55.5

59.7

53.0

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.上記を除き、提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率の公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

3.連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、すべてのステークホルダーと連携し、工事を通して安心・信頼を提供していくことが建設業の社会的使命と考え、下記の企業理念と経営理念を掲げております。

 

  企業理念: 内外一致 同心協力

  経営理念:「品質と安全」を核とした施工により、お客様の信頼を高め、社会に貢献する。

 

経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症への対策緩和が進む一方で、ウクライナ情勢等による世界的な資源、エネルギー価格の高騰など、先行き不透明な状況が続いています。国内の建設市場におきましては、国土強靱化政策など引き続き社会資本整備は堅調に推移すると想定され、民間設備投資におきましても長期的には都市圏を中心として需要の回復も見込まれています。しかし一方、将来的には建設就労者の減少が懸念され、週休二日の実現を含めた働き方改革、生産性の向上、担い手確保などが業界全体の喫緊の課題となっています。また企業には、気候変動や資源不足、人口構造の変化等に伴う社会的な課題の解決に向けて積極的に取り組むなど、社会価値(ESG・SDGs)と経済価値を包括した経営が求められています。

このような事業環境のもと、当社は創業140周年に向け「サステナビリティの追求」を基本方針とした長期ビジョンを策定し、その第1期となる「中期経営計画(2021年度-2023年度)」では「事業基盤の強化」と「ESG経営の推進」を基本戦略とし、全社一丸となって企業価値の向上に取り組んでおります。

 

  中期経営計画(2021年度-2023年度)の主な施策

1.事業基盤の強化

  ・顧客ニーズに応えられる企画・提案力の強化

  ・生産性の向上

  ・人的資源の充実

  ・財務体質の強化

 

2.ESG経営の推進

E(環境)   ・再生可能エネルギー分野への注力

        ・建設工事でのCO2削減

        ・ブルーカーボンなど、海洋環境改善への取組み

S(社会)   ・安全かつ良質なインフラの提供

        ・アフターコロナにおける働きがいのある職場環境

        ・建設業を担う人材の育成

        ・協力会社との共生

        ・地域社会への貢献

G(ガバナンス)・新様式をふまえたリスクマネジメント

        ・ガバナンスの強化

        ・コンプライアンスの徹底

        ・IRの強化

 

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 

 当社は2021年度を初年度とする「中期経営計画(2021年度-2023年度)」を策定し、事業基盤の強化とESG経営を推進し、計画達成に向け全社一丸となって取り組んでおります。中期経営計画の目標数値として最終年度での単体営業利益を50億円としておりましたが、2022年度において単体営業利益56億円となり、計画初年度である2021年度と同様に最終年度目標を上回る結果となりました。

 今後も引き続き各基本戦略を推進し、企業価値の向上に努めてまいります。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

<特に重要なリスク>

(1)施工物等の瑕疵に対するリスク

 施工管理の徹底により品質管理には万全を期しておりますが、提供する施工物及びその他製品について重大な瑕疵が発生した場合、当社グループの経営成績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。当社では、本社品質監理室および支店の品質アドバイザーによる品質監理を強化しています。また、発生した瑕疵に対しましては、誠実な顧客対応と確実な是正措置を実施し、信用回復に取り組みます。

(2)建設市場の変動リスク

 世界の経済動向、天災または悪天候等に左右される建設需要の動向は、主たる売上を建設業としている当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。今後の民間設備投資額が大きく減少する場合、当社グループの受注活動における変動リスクとなると考えられます。そのため、比較的影響を受けにくいと想定される官庁工事や再生可能エネルギー分野への重点的な取り組みを行います。

(3)財務に関するリスク

 今後の市場環境の予期せぬ急変等により、金融機関の支援体制の変化、受注環境の悪化、販売用不動産及び賃貸用不動産の時価の下落等に陥った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。この対策として資金面におきましては、取引金融機関との間で既存のシンジケートローン契約を更改いたしました。また、季節変動資金にも機動的に対応できる状況を整え、より安定的な資金調達態勢を確保しております。

 

 

<重要なリスク>

(1)海外活動に係るリスク

 当社グループの海外売上高は連結売上高に対する割合は低いものの、海外の各国においては次のようなリスクがあります。そのため、これらの事象が発生した場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 ①予期し得ない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更。

 ②為替相場の急激な変動による為替損失の発生。

 ③テロ、戦争等による社会的混乱。

(2)市場リスク

 当社グループは金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っていますが、長期所有を原則としているため特別のヘッジ手段を用いておりません。

(3)不動産価値下落リスク

 当社グループは、国内各地において販売用不動産及び土地等の有形固定資産を保有しております。国内の不動産市況が悪化した場合には、販売用不動産の評価減及び固定資産の減損処理等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4)重要な訴訟等

 当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律手続きの対象となるリスクがあります。これらの法的リスクについては当社グループの法務部門が管理しており、必要に応じて取締役会および監査役会に報告しております。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5)コンプライアンス違反リスク

 当社グループは、法令・規制の遵守の徹底に加え、従業員等によるコンプライアンス遵守を推進しておりますが、個人的な不正行為を含め、重大な法令違反等を引き起こした場合には、顧客や社会からの信頼を失うとともに、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)情報セキュリティに対するリスク

 事業活動を行う過程で機密情報や事業の過程で入手した顧客情報のセキュリティについては細心の注意を払っていますが、万が一保護すべき情報が外部からの攻撃や従業員の過失等によって漏洩又は消失した場合には、顧客や社会からの信用を失うとともに、取引の停止や損害賠償により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)人材の確保におけるリスク

 近年の少子高齢化による労働人口の減少、また、建設業の担い手である技能労働者の高齢化が進んでおり、人材の確保が十分にできない場合には、長期的な視点から当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(8)気候変動リスク

 近年、気候変動により自然災害が激甚化する傾向にあり、台風や洪水等による施工現場への被害や施工遅延といった物理的リスクがあります。また、気候変動に伴い低酸素・脱炭素社会への移行に向けて、温室効果ガスの上限規制による施工量の制限や、炭素税を導入された場合、コスト増等により、事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は2021年6月、金融安定理事会により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同しました。気候変動が事業に及ぼすリスクと機会の分析と対応について随時検討し、今後、コーポレートサイト等で情報開示を行っていきます。

(9)外部環境に係るリスク

 当社グループは国内及び海外に建設事業を展開しており、その事業活動は地域の外部環境により大きく影響を受けることがあります。新型コロナウイルス感染症につきましては対策緩和が進んでいるものの、引き続き集団感染等による工事中断リスクや事業進捗の不確実性などが生じる可能性があります。このため、社員及び取引先をはじめとするあらゆるステークホルダーの安全と健康を守り、安定的に事業運営を継続していくための対策を講じることを重要課題として取り組んでいます。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で個人消費や設備投資が緩やかに持ち直しつつありますが、物価上昇や為替の変動、金融政策の動向に留意する必要があります。さらに、欧米を中心とした金融不安や海外景気の後退懸念、地政学的不安要素等の景気下押し要因にも注目が必要です。

建設業界においては、公共投資は防災・減災対策を中心に底堅く推移する見込みです。民間建設投資は、企業収益の改善などを背景に持ち直していますが、建設資材価格の高騰や景気の後退による設備投資の抑制などにも留意が必要です。

このような状況の下で、当社グループは、業績の向上に努めてまいりました。売上高につきましては主に前期と比較して建設事業の工事の進捗度が減少したことから840億円と前年と比べ5.8%の減少となりました。損益につきましては、主に完成工事高の減少により営業利益62億円(前年同期比8.8%減少)、主に為替差益の発生により経常利益65億円(前年同期比3.5%減少)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、主に繰延税金資産を計上したことにより54億円(前年同期比14.9%増加)となりました。

 

事業の種類別セグメントごとの業績を示すと次のとおりであります(事業の種類別セグメントごとの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しております)。

(建設事業)

建設事業を取り巻く環境は、公共投資は防災・減災対策を中心に底堅く推移する見込みです。民間建設投資は、企業収益の改善などを背景に持ち直していますが、建設資材価格の高騰や景気の後退による設備投資の抑制などにも留意が必要です。当社グループはそのような状況の中、努力を続けてまいりました。建設事業の売上高は826億円と前連結会計年度に比べ52億円(前年同期比6.0%減少)の減収となりました。損益につきましても、営業利益80億円(前年同期比6.5%減少)となりました。

(不動産事業)

不動産事業を取り巻く環境は、全国的に地価の上昇傾向が見られ、全体的に回復傾向にあります。当社グループはこのような状況を考慮し、販売活動を行いましたが、当社グループの不動産事業の売上高は6億円と前連結会計年度に比べ0.3億円(前年同期比5.6%減少)の減収となりました。損益につきましては、営業利益1億円(前年同期比44.6%増加)となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

 当社グループは、キャッシュ・フローの安定化を図りながら、財務体質の改善・資産の効率化に取り組んでおります。

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、主に売上債権の減少により151億円の資金の増加(前年同期は160億円の増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、主に有形固定資産の取得により13億円の資金の減少(前年同期は14億円の減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、主に借入金の減少及び配当金の支払により29億円の資金の減少(前年同期は127億円の減少)となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物期末残高は、期首残高から109億円増加し、273億円となりました。

 

生産、受注及び売上の実績

(1)受注実績

  当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業(百万円)

92,804

△2.2

不動産事業(百万円)

 報告セグメント計(百万円)

92,804

△2.2

その他(百万円)

675

△4.1

合計(百万円)

93,480

△2.2

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)売上実績

  当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業(百万円)

82,666

△6.0

不動産事業(百万円)

614

△5.6

 報告セグメント計(百万円)

83,280

△6.0

その他(百万円)

724

19.7

合計(百万円)

84,004

△5.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高等及びその割合は、次のとおりであります。

 

前連結会計年度

 

国土交通省

 

26,832百万円

 

30.1%

 

 

MES-E JOINT OPERATION

 

10,169百万円

 

11.4%

当連結会計年度

 

国土交通省

 

26,369百万円

 

31.4%

 

 なお、参考として提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。

① 受注工事高、完成工事高、次期繰越工事高及び施工高

期別

工事別

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成

工事高

(百万円)

次期繰越工事高

当期

施工高

(百万円)

手持高

(百万円)

うち施工高

(百万円)

第206期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

建設事業

 

 

 

 

 

 

 

海上土木

17,941

31,064

49,005

33,760

15,245

0.8

129

33,867

陸上土木

39,649

33,031

72,680

32,994

39,685

0.3

111

32,997

建築

22,573

27,485

50,058

18,338

31,720

0.3

104

18,386

合計

80,164

91,580

171,745

85,093

86,651

0.4

344

85,250

第207期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

建設事業

 

 

 

 

 

 

 

海上土木

15,245

38,090

53,336

28,616

24,720

0.9

219

28,705

陸上土木

37,185

32,782

69,968

28,517

41,450

0.3

113

28,519

建築

31,720

18,698

50,418

22,877

27,541

0.6

178

22,952

合計

84,151

89,571

173,723

80,011

93,711

0.5

510

80,177

 (注)1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。

2.次期繰越工事高の施工高は未成工事支出金により手持高の施工高を推定したものであります。

3.当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。

4.前期繰越高のうち、事業の中止により陸上土木工事の受注額2,500百万円を当期において減額修正しております。

 

② 受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第206期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

海上土木工事

50.8

49.2

100

陸上土木工事

41.5

58.5

100

建築工事

18.9

81.1

100

第207期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

海上土木工事

51.6

48.4

100

陸上土木工事

59.5

40.5

100

建築工事

47.8

52.2

100

 (注) 百分率は請負金額比であります。

③ 完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

第206期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

海上土木工事

20,816

12,943

33,760

陸上土木工事

20,690

12,304

32,994

建築工事

7,201

11,137

18,338

48,707

36,385

85,093

第207期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

海上土木工事

17,682

10,934

28,616

陸上土木工事

20,774

7,743

28,517

建築工事

5,726

17,151

22,877

44,183

35,828

80,011

 (注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

第206期

国土交通省

令和元年度 名古屋港金城ふ頭岸壁(-12m)築造工事

宮城県

清水田地区海岸外災害復旧工事

中日本高速道路株式会社

東名高速道路 綾瀬スマートインターチェンジ工事

日鉄エンジニアリング株式会社

苅田バイオマス発電所建設工事

いすゞ自動車販売株式会社

いすゞ自動車九州株式会社 熊本支店・熊本サービスセンター増改築工事

第207期

国土交通省

令和3年度 東京国際空港A誘導路地盤改良工事

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、坂井丸岡高架橋

宮城県

気仙沼漁港港町地区外防潮堤外工事(その2)

三菱地所レジデンス株式会社

目黒区八雲5丁目有料老人ホーム計画新築工事

合同会社唐津バイオマスエナジー

唐津バイオマス発電所 造成工事

2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高等及びその割合は、次のとおりであります。

第206期

 

国土交通省

 

26,832百万円

 

31.1%

 

 

MES-E JOINT OPERATION

 

10,169百万円

 

11.8%

第207期

 

国土交通省

 

26,369百万円

 

32.5%

 

④ 手持工事高(2023年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

海上土木工事

20,890

3,829

24,720

陸上土木工事

25,706

15,744

41,450

建築工事

8,130

19,410

27,541

54,727

38,984

93,711

手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。

国土交通省

令和4年度馬毛島仮設桟橋築造工事(その3)

2023年11月竣工予定

国土交通省

令和元年度 富士海岸沼川新放水路建設工事

2023年11月竣工予定

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

中央新幹線、中央アルプストンネル(尾越)

2026年7月竣工予定

西日本高速道路株式会社

令和3年度 九州自動車道 北熊本SA休憩施設改築工事

2024年9月竣工予定

東洋・日鉄特定建設工事共同企業体

唐津バイオマス発電所建設工事 土木・建築工事

2024年10月竣工予定

 

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績の分析

 当社グループの経営成績は、「第2事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要(1)業績」に記載しているとおりであります。以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析しております。なお、各セグメントの業績は、セグメント間の内部売上高等を含んで表示しております。

①売上高の分析

 当連結会計年度の連結売上高は840億円でありますが、これをセグメントごとに分析すると、建設事業は売上高が前連結会計年度に比べ6.0%減少の826億円となり、不動産事業は、売上高は前連結会計年度に比べ5.6%減少の6億円となりました。

 建設事業売上高の減少は、主に工事の進捗遅れと受注時期の遅れによるものです。官公庁発注の工事におきましては、働き方改革への対応により工期が延びる傾向にあり、その分全体的に工事進捗度が減少しております。民間顧客からの受注工事高につきましても以前の年度と比較して減少しました。今後も工事生産性の向上に取り組むとともに民間取り組み案件の多様化を図り、風力発電・バイオマス発電・太陽光発電等の再生可能エネルギー関連工事及び維持・修繕工事等の分野において顧客の拡大を図ってまいります。

 

官公庁・民間別受注工事高実績(提出会社)

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

官公庁比率

(%)

民間比率

(%)

2018年度

43,087

49,102

92,190

46.7

53.3

2019年度

49,980

45,437

95,417

52.4

47.6

2020年度

50,041

37,652

87,694

57.1

42.9

2021年度

47,405

44,174

91,580

51.8

48.2

2022年度

60,365

29,206

89,571

67.4

32.6

 

官公庁・民間別完成工事高実績(提出会社)

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

官公庁比率

(%)

民間比率

(%)

2018年度

51,826

43,667

95,494

54.3

45.7

2019年度

51,595

52,592

104,187

49.5

50.5

2020年度

48,473

37,498

85,972

56.4

43.6

2021年度

48,707

36,385

85,093

57.2

42.8

2022年度

44,183

35,828

80,011

55.2

44.8

 

②販売費及び一般管理費の分析

 販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ5.8%増加の64億円となりました。これは主に人件費の増加によるものです。

③営業利益の分析

 営業利益については、土木工事において複数の高採算工事があったものの、完成工事高の減少により前連結会計年度に比べ8.8%減少の62億円となりました。

 当社は2021年度を初年度とする「中期経営計画(2021年度-2023年度)」を策定し、中期経営計画の目標数値として最終年度での単体営業利益を50億円としております。2022年度は単体営業利益56億円となり、計画初年度である2021年度に引き続き、最終年度目標を上回る結果となっております。

④経常利益の分析

 経常利益については、前連結会計年度に比べ3.5%減少の65億円となりました。これは主に③営業利益の分析の原因及び為替差益4億円の計上によるものであります。

⑤親会社株主に帰属する当期純利益の分析

 親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度に比べ14.9%増加の54億円となりました。これは主に③営業利益の分析の原因、④経常利益の分析の原因及び繰延税金資産の計上によるものであります。

(2)財政状態、資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資産、負債及び純資産の状況に関する分析

(資産)

 流動資産は、主に現金預金が109億円増加、受取手形・完成工事未収入金等が60億円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ53億円増加し、715億円となりました。

 固定資産は、主に投資有価証券が6億円増加、繰延税金資産が4億円増加、有形固定資産が3億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ15億円増加し、168億円となりました。

 主に上記の影響により、資産合計は前連結会計年度末に比べ68億円増加し、883億円となりました。

(負債)

 流動負債は、主に支払手形・工事未払金等が43億円増加、未成工事受入金等が19億円増加、流動負債その他が20億円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ43億円増加し、390億円となりました。

 固定負債は、主に長期借入金が9億円減少、完成工事補償引当金が9億円減少したこと等により前連結会計年度末に比べ18億円減少し、65億円となりました。

 以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ25億円増加し、456億円となりました。

(純資産)

 純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと等により前連結会計年度末より43億円増加し、426億円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループのキャッシュ・フローの状況は、「第2事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。

 資金需要の動向と株主還元への支出

 当社の資金需要の動向につきましては、獲得した資金のうち3分の1を手元資金に、3分の1を今後の当社グループの成長に向けた投資に、3分の1を株主還元に振り分けることを目標としております。成長に向けた投資につきましては、施工能力拡大を図るための設備投資、競争力強化に繋がる研究・開発費用の支出、基幹システムの連携強化を図る等のDX投資、人員の確保・育成、活力の向上のための社員教育の充実等を想定しております。株主還元への支出につきましては、中期経営計画(2021年度-2023年度)に記載の通り、配当性向を30%以上とすることを目標としております。

 財務政策

 当社グループの運転資金需要の主なものは、工事施工に伴う材料費・外注費等の営業費用であり、当該支出は、工事代金及び長期借入、短期借入で賄っております。また、設備投資資金等については、工事代金及び長期借入等により調達することにしております。なお、重要な設備投資として、建設事業において作業船等の建設機材への投資、不動産事業において賃貸資産の取得を計画しております。

 2023年3月31日現在の主な有利子負債は、短期借入金15億円、長期借入金27億円となっており、前連結会計年度末に比べ18億円の有利子負債の減少となりました。今後は財務体質の改善・資産の効率化を推し進め、有利子負債の圧縮を図る方針であります。

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し総合的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。なお、販売用不動産の評価基準、完成工事補償引当金の計上基準に関する見積については「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

①一定の期間にわたり認識された収益にかかる工事原価総額の見積り

 当社グループの完成工事高の計上は進捗度を合理的に見積ることができる場合には、当該進捗度に応じて一定の期間にわたり収益を認識しております。一定の期間にわたり収益を認識する際の主要な見積りである工事原価総額については、過去の工事の施工実績を踏まえ、個々の案件に特有の状況を織り込んだ実行予算を基礎とするとともに、様々な状況変化を適時適切に見積りに反映しておりますが、市況の変動や気象条件等の外的要因によりその見積り額が変動した場合は工事損益に影響を及ぼす可能性があります。

②工事損失引当金の計上基準

 当社グループは、受注工事に係る将来の損失に備えて、当連結会計年度末における手持工事のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、その損失見込額を工事損失引当金として計上しております。将来の工事施工状況が想定から乖離する等、工事損失算定の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、工事損失の追加計上が必要となる可能性があります。

③固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候把握、減損損失の認識や測定にあたっては慎重に検討しておりますが、市場価格の著しい下落、経営環境の変化による企業収益の大幅な低下等の要因により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

④繰延税金資産の回収可能性の評価

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

2【主要な設備の状況】

(1)提出会社

2023年3月31日現在

 

事業所

(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数(人)

建物・構築物

機械、運搬具・工具器具備品

船舶

土地

(面積㎡)

リース資産

合計

本社

(東京都目黒区)

  (注)1

建設事業

作業船等

161

571

479

1,784

(36,307)

2,996

95

本社

(東京都目黒区)

不動産事業

賃貸用地等

1,004

0

1,949

(69,521)

2,953

1

 (注)1.建物の一部を連結会社以外から賃借しております。賃借料は199百万円でありました。

2.土地建物のうち賃貸中の主なもの

事業所

土地(㎡)

建物(㎡)

本社

45,288

13,983

(2)連結子会社

 連結子会社に重要な設備はありません。

①【株式の総数】

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

24,000,000

24,000,000

②【発行済株式】

種類

事業年度末現在発行数(株)

(2023年3月31日)

提出日現在発行数(株)

(2023年6月30日)

上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

12,964,993

12,964,993

東京証券取引所

プライム市場

単元株式数は100株であります。

12,964,993

12,964,993

①【ストックオプション制度の内容】

 該当事項はありません。

②【ライツプランの内容】

 該当事項はありません。

(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日

発行済株式総数増減数

(株)

発行済株式総数残高

(株)

資本金増減額

(百万円)

資本金残高

(百万円)

資本準備金

増減額

(百万円)

資本準備金

残高

(百万円)

2017年10月1日

(注)

△116,684,946

12,964,993

11,374

2,843

(注)2017年10月1日付で株式併合(10株を1株に併合)を行っております。これにより発行済株式総数は116,684,946株減少し、12,964,993株となっております。

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満株式の状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品

取引業者

その他の法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

21

23

93

53

3

4,962

5,155

所有株式数(単元)

30,494

1,102

52,103

4,895

29

40,861

129,484

16,593

所有株式数の割合(%)

23.55

0.85

40.24

3.78

0.02

31.56

100

 (注)1.自己株式128,028株は、「個人その他」に1,280単元及び「単元未満株式の状況」に28株含まれております。

2.「その他の法人」欄には、証券保管振替機構名義の株式が、6単元含まれております。

3.「役員向け株式交付信託」制度導入のために設定した株式会社日本カストディ銀行(信託口)が所有する当社株式85,300株(853単元)は、「金融機関」に含まれております。

(6)【大株主の状況】

 

 

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数

(株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

株式会社麻生

福岡県飯塚市芳雄町7番18号

4,024,400

31.35

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

東京都港区浜松町二丁目11番3号

1,051,800

8.19

若築建設協力会社持株会

東京都目黒区下目黒二丁目23番18号

956,644

7.45

三井住友信託銀行株式会社

東京都千代田区丸の内一丁目4番1号

527,600

4.11

株式会社日本カストディ銀行(信託口)

東京都中央区晴海一丁目8番12号

345,000

2.69

株式会社三井住友銀行

東京都千代田区丸の内一丁目1番2号

315,025

2.45

株式会社千葉銀行

千葉県千葉市中央区千葉港1番2号

292,242

2.28

若築建設従業員持株会

東京都目黒区下目黒二丁目23番18号

291,421

2.27

太平電業株式会社

東京都千代田区神田神保町二丁目4番地

290,700

2.26

公益財団法人石橋奨学会

東京都目黒区東山三丁目1番11号

206,050

1.61

8,300,882

64.66

(注)1.発行済株式の総数に対する所有株式数の割合は、自己株式128,028株を控除して計算しております。なお、

当該控除した自己株式には「役員向け株式交付信託」制度導入のために設定した株式会社日本カストディ銀

行(信託口)が所有する当社株式85,300株は含まれておりません。

2.上記所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 1,051,800株

株式会社日本カストディ銀行(信託口)       344,100株

 

①【連結貸借対照表】

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金預金

16,399

27,319

受取手形・完成工事未収入金等

※1 39,530

※1 33,434

販売用不動産

3,093

2,938

未成工事支出金

329

801

不動産事業等支出金

797

1,183

立替金

2,925

1,907

その他

3,191

3,987

貸倒引当金

43

45

流動資産合計

66,222

71,526

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物・構築物

4,583

4,659

機械、運搬具及び工具器具備品

4,742

4,868

船舶

3,326

3,277

土地

※4 6,358

※4 6,510

リース資産

160

162

建設仮勘定

44

254

減価償却累計額

9,202

9,346

有形固定資産合計

10,014

10,387

無形固定資産

306

366

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

※2,※3 2,774

※2,※3 3,380

繰延税金資産

1,430

1,874

退職給付に係る資産

272

310

その他

863

885

貸倒引当金

405

404

投資その他の資産合計

4,936

6,046

固定資産合計

15,256

16,800

資産合計

81,479

88,326

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

支払手形・工事未払金等

14,530

18,866

短期借入金

2,398

1,550

リース債務

33

33

未払法人税等

1,878

919

未成工事受入金等

※1 5,780

※1 7,741

預り金

5,839

7,277

賞与引当金

1,211

1,073

完成工事補償引当金

73

324

工事損失引当金

52

421

その他

2,901

871

流動負債合計

34,701

39,081

固定負債

 

 

長期借入金

3,785

2,794

リース債務

67

53

再評価に係る繰延税金負債

※4 768

※4 768

完成工事補償引当金

947

株式給付引当金

36

83

退職給付に係る負債

2,735

2,767

その他

82

83

固定負債合計

8,422

6,551

負債合計

43,124

45,632

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

11,374

11,374

資本剰余金

2,948

2,948

利益剰余金

19,819

24,235

自己株式

337

337

株主資本合計

33,805

38,220

その他の包括利益累計額

 

 

その他有価証券評価差額金

360

575

土地再評価差額金

※4 1,706

※4 1,706

退職給付に係る調整累計額

1,221

819

その他の包括利益累計額合計

3,289

3,102

非支配株主持分

1,260

1,370

純資産合計

38,355

42,694

負債純資産合計

81,479

88,326

【連結損益計算書】

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

 

 

完成工事高

※1 86,091

※1 80,890

不動産事業等売上高

※1 3,073

※1 3,114

売上高合計

89,164

84,004

売上原価

 

 

完成工事原価

※2 73,963

※2 69,131

不動産事業等売上原価

2,136

2,123

販売用不動産評価損

94

24

売上原価合計

76,194

71,279

売上総利益

 

 

完成工事総利益

12,128

11,758

不動産事業等総利益

842

966

売上総利益合計

12,970

12,725

販売費及び一般管理費

※3,※4 6,135

※3,※4 6,489

営業利益

6,834

6,236

営業外収益

 

 

受取利息

14

21

受取配当金

65

65

為替差益

75

434

その他

44

36

営業外収益合計

199

558

営業外費用

 

 

支払利息

151

159

シンジケートローン手数料

85

73

その他

15

14

営業外費用合計

252

248

経常利益

6,781

6,546

特別利益

 

 

固定資産売却益

※5 0

※5 14

特別利益合計

0

14

特別損失

 

 

固定資産除却損

※6 3

※6 15

減損損失

※7 20

※7 2

災害による損失

8

その他

1

特別損失合計

35

18

税金等調整前当期純利益

6,746

6,541

法人税、住民税及び事業税

2,268

1,884

法人税等調整額

370

899

法人税等合計

1,898

984

当期純利益

4,848

5,557

非支配株主に帰属する当期純利益

111

114

親会社株主に帰属する当期純利益

4,736

5,442

1.報告セグメントの概要

 当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社は、本社に建設事業担当部門を置き、建設事業における国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。また、不動産事業については、本社で国内の不動産事業を統括しております。

 したがって、当社は「建設事業」及び「不動産事業」を報告セグメントとしております。

 「建設事業」は主に国内において海上土木工事、陸上土木工事、建築工事といった建設業を展開しております。「不動産事業」は、国内において不動産の販売及び賃貸事業を展開しております。

①【貸借対照表】

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金預金

13,558

24,472

受取手形

679

376

完成工事未収入金

38,268

32,149

不動産事業等未収入金

282

640

販売用不動産

2,805

2,650

未成工事支出金

335

744

不動産事業等支出金

13

48

未収入金

2,102

3,066

立替金

2,927

1,908

その他

1,054

863

貸倒引当金

39

40

流動資産合計

61,987

66,881

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物

3,166

3,195

減価償却累計額

1,393

1,450

建物(純額)

1,772

1,744

構築物

343

342

減価償却累計額

274

280

構築物(純額)

68

62

機械及び装置

1,430

1,483

減価償却累計額

1,173

1,149

機械及び装置(純額)

257

333

船舶

3,055

3,096

減価償却累計額

2,437

2,574

船舶(純額)

618

522

車両運搬具

88

88

減価償却累計額

86

87

車両運搬具(純額)

2

1

工具器具・備品

757

793

減価償却累計額

648

642

工具器具・備品(純額)

108

151

土地

※2 6,096

※2 6,206

リース資産

160

162

減価償却累計額

69

84

リース資産(純額)

91

78

建設仮勘定

12

212

有形固定資産合計

9,028

9,314

無形固定資産

 

 

借地権

1

1

その他

297

359

無形固定資産合計

298

360

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

2,730

3,308

関係会社株式

※1 75

※1 77

関係会社長期貸付金

2,100

2,060

破産更生債権等

272

272

長期前払費用

5

7

繰延税金資産

838

1,641

敷金及び保証金

371

394

その他

188

177

貸倒引当金

921

859

投資その他の資産合計

5,661

7,078

固定資産合計

14,988

16,753

資産合計

76,976

83,635

負債の部

 

 

流動負債

 

 

支払手形

3,239

3,375

工事未払金

10,804

14,779

不動産事業等未払金

56

122

短期借入金

2,316

1,460

リース債務

33

33

未払金

511

641

未払法人税等

1,764

818

未払消費税等

2,153

未成工事受入金等

4,885

6,715

預り金

5,824

7,261

賞与引当金

1,156

1,011

完成工事補償引当金

73

324

工事損失引当金

47

418

その他

127

152

流動負債合計

32,993

37,114

固定負債

 

 

長期借入金

3,650

2,699

リース債務

67

53

再評価に係る繰延税金負債

※2 768

※2 768

完成工事補償引当金

947

退職給付引当金

3,629

3,576

株式給付引当金

36

83

その他

37

33

固定負債合計

9,136

7,215

負債合計

42,130

44,329

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

11,374

11,374

資本剰余金

 

 

資本準備金

2,843

2,843

その他資本剰余金

88

88

資本剰余金合計

2,931

2,931

利益剰余金

 

 

その他利益剰余金

 

 

繰越利益剰余金

18,809

23,054

利益剰余金合計

18,809

23,054

自己株式

337

337

株主資本合計

32,778

37,022

評価・換算差額等

 

 

その他有価証券評価差額金

360

575

土地再評価差額金

※2 1,706

※2 1,706

評価・換算差額等合計

2,067

2,282

純資産合計

34,846

39,305

負債純資産合計

76,976

83,635

②【損益計算書】

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

 

 

完成工事高

85,093

80,011

不動産事業等売上高

1,096

1,182

売上高合計

86,189

81,194

売上原価

 

 

完成工事原価

※1 73,142

※1 68,413

不動産事業等売上原価

825

934

販売用不動産評価損

94

24

売上原価合計

74,062

69,371

売上総利益

 

 

完成工事総利益

11,950

11,598

不動産事業等総利益

176

223

売上総利益合計

12,127

11,822

販売費及び一般管理費

 

 

役員報酬

187

230

従業員給料手当

2,319

2,348

賞与引当金繰入額

341

300

退職金

15

0

退職給付費用

98

89

法定福利費

423

414

福利厚生費

204

234

修繕維持費

12

36

事務用品費

62

75

通信交通費

357

410

動力用水光熱費

33

38

調査研究費

171

177

広告宣伝費

121

134

貸倒引当金繰入額

68

0

交際費

110

193

寄付金

21

21

地代家賃

290

296

減価償却費

51

49

租税公課

428

411

保険料

21

17

雑費

628

660

販売費及び一般管理費合計

※2 5,833

※2 6,141

営業利益

6,293

5,680

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

営業外収益

 

 

受取利息

※3 35

※3 42

受取配当金

68

73

貸倒引当金戻入額

59

61

為替差益

75

434

その他

42

35

営業外収益合計

281

648

営業外費用

 

 

支払利息

146

155

シンジケートローン手数料

85

73

その他

15

14

営業外費用合計

247

243

経常利益

6,327

6,084

特別損失

 

 

固定資産除却損

※4 3

※4 16

減損損失

※5 20

※5 2

災害による損失

8

その他

1

特別損失合計

35

19

税引前当期純利益

6,292

6,064

法人税、住民税及び事業税

2,081

1,690

法人税等調整額

362

897

法人税等合計

1,718

793

当期純利益

4,573

5,271