日本リーテック株式会社
(注) 1. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため、記載していない。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第13期の期首から適用しており、第13期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっている。
(注) 1. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため、記載していない。
2. 最高株価及び最低株価は、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部、2020年3月4日以前は東京証券取引所市場第二部におけるものである。
3. 2019年3月期の1株当たり配当額22円には、合併10年目の節目による記念配当2円を含んでいる。また、2020年3月期の1株当たり配当額27円には、東京証券取引所市場第一部指定記念による記念配当3円を含んでいる。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第13期の期首から適用しており、第13期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっている。
当社は、2009年4月1日に保安工業株式会社と合併し、保安工業株式会社の事業及び一切の権利義務を承継するとともに、日本リーテック株式会社に商号を変更した。
以下の記載は、旧千歳電気工業株式会社及び旧保安工業株式会社の沿革について記載している。なお、旧保安工業株式会社に関する事項については文頭に※を記載している。
当社グループは、当社、子会社8社及び関連会社3社(2023年3月31日現在)で構成され、電気設備工事業(鉄道電気設備工事、道路設備工事、屋内外電気設備工事、送電線設備工事)、兼業事業及び不動産賃貸事業を主な内容として事業活動を展開している。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりである。なお、セグメントと同一の区分である。
事業の系統図は次のとおりである。

(注) 有価証券報告書の提出会社である。
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員数である。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。
日本リーテック労働組合と称し、2009年9月15日結成され、2023年3月31日現在766名である。
対会社関係においても結成以来円満に推移しており、特記すべき事項はない。
提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものである。
3.賃金は性別に関係なく同一の基準を適用しているが、人数、職種、等級、在籍年数の違いなどにより男女で差が生じている。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「当社は、鉄道の技術から発展した総合電気工事会社として、安全を第一に、品質の向上と技術の研鑽に努め、変革に挑み続けます。そして、卓越した技術と誠実な施工により、お客様から信頼され、共に成長し、広く社会基盤の構築に貢献することで、持続可能な社会を目指します。」という経営理念を掲げ、お客様の期待と信頼に応え、社会に貢献していく。また、以下の3つの基本方針を掲げ、時代の変遷に対応するため、「変革と挑戦」への意識改革の取組みをより一層強化するとともに、会社の変革を目指して社員一人ひとりが仕事の仕組みを変え、会社を変革し続けることにより企業価値の向上を図っていく。
(安全)
安全は経営の根幹である。労働災害及び重大事故ゼロを目指して、役員、社員一人ひとりが自らの職責を全うして安全を築き上げます。
(意識改革で会社・社会の発展)
役員、社員一人ひとりが、常にチャレンジ精神で自ら考え行動することにより、競争力と収益力に優れた企業として、持続的に成長し企業価値と社会価値の向上を目指します。
(社員の働きがい)
役員、社員一人ひとりが、仕事に誇りを持って自らの成長に努め、社会への貢献を通じて、仕事と生活の調和のとれた働きがいのある職場を実現します。
(2)環境基本理念
当社グループは、「工事を通じてインフラを支え、社会に貢献する」ことを使命とし、これまでも「エネルギー」や「まちづくり」などの分野で、環境を巡る課題解決と親和性の高い事業を行ってきた中、2022年度に以下に掲げる環境基本理念を定め、これまで以上に環境に対する事業活動を力強く推進していくこととした。
(環境基本理念)
日本リーテックグループは「広く社会基盤の構築に貢献する」という経営理念のもと、地球環境に対する継続的改善を経営の重要課題と位置づけ、事業活動の全ての場面において、環境負荷の低減に努め、持続可能な社会の実現に向けて貢献いたします。
(3)中長期的な経営環境と対処すべき課題への取り組み
今後の日本経済については、新型コロナウイルス感染症の沈静化傾向や政府の各種経済対策等の効果に支えられ、景気は緩やかな回復基調で推移するものと想定される。しかしながら、引き続き原材料価格の高騰、海外経済の減速、供給面の制約等による影響が懸念されており、当面の間、先行き不透明感は続くものと見込まれる。
このような中、当社グループの主要顧客は、コロナ影響による大きな業績の落ち込みから回復傾向にあり、工事の発注時期や受注条件等も一時期より改善されつつある。当社グループの受注高にも伸長が見られ、繰越工事高は増加している。
今後も原材料価格や人件費の高騰などにより、利益の確保については厳しい状況が続くものと予想されるが、DX戦略の推進や経営資源の最適化等による生産性の向上、環境事業や設備強靭化工事といった社会ニーズへの対応、社員の処遇改善や人財の育成をはじめとする人的資本への投資など、中期経営計画に掲げる「3つのS = Safety・Smart・Sustainability」を力強く推進し、経営成績の早期回復に努めるとともに「工事を通じてインフラを支え、社会に貢献する」という変わらぬ使命を果たしていく。
(中期経営計画「Change and Innovation RIETEC 2024」の骨子)
① 全ての基盤である「NR安全の樹」
経営の根幹である「安全」は、安全品質№1企業を目指し、当社の安全ポリシー「NR安全の樹」を企業文化として、そのこころをグループ一人ひとりがアイデンティティとなるまでに高めること、そして、安全を支える活力ある職場作りを通じ、私たちの仕事が社会を支えているという高い志「NR品質・NRプライド」を持つ人材の育成に取り組み、お客様から更なる信頼をいただけるよう努める。
② 持続可能な社会とNRグループの新たな成長を目指す「NRサステナビリティ」
近年、サステナビリティを巡る課題解決に向けた企業活動の取り組みが高まっている中で、特に当社グループにとって重要な社会課題である「環境」に重点を置き、「環境基本理念」を制定するとともに、TCFD提言に基づく気候関連の情報開示を行い、具体的取り組みを策定した。「環境」をキーワードとする当社グループの新たな成長戦略によりサステナブルな社会の実現に貢献するとともに、既存分野においても近年目覚ましい発展を遂げるデジタル技術を活用した生産性向上に取り組み、成長軌道としてのGX(グリーン・トランスフォーメーション)とDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現していくものとする。
③ 成長基盤の根幹となる「人間企業NR」
当社グループの企業力の源泉は、社員一人ひとりの技術力の集積であり、継続的に成長していくためには、社員一人ひとりが成長し続けていかなければならない。人を育て、人を大切にする「人間企業NR」として、引き続き働き方改革を進めるとともに、総合研修センターを中心とした教育・研修体制の充実を図り、規律ある優秀な技術者の育成に努める。優秀な人材を確保するため、採用の強化、ダイバーシティへの取り組み、社員の待遇改善等、当社グループの社員であることに誇りを持てる仕組みを構築して、将来を見据えた人材育成に取り組む。
④ ガバナンス体制の維持と企業価値の向上「NRガバナンス」
当社グループは、社会基盤構築に貢献する企業として安全最優先の企業風土、コンプライアンスとリスクマネジメント力の強化を図り、ステークホルダーからの信頼を確固たるものにしていく。
当社グループは合併後財務体力強化に努め、強固な財務基盤を構築してきた。今後は、積み上げた財務体力を積極的に活用し、「NRサステナビリティ」で取り組む新規事業への進出や生産性向上に必要な成長投資を行う。この中期経営計画を通して、各種社会インフラ基盤整備事業への参画により、社会に必要とされる企業グループとして持続的な成長を目指す。一方で、経営環境の大きな変化を踏まえ、既存事業における効率化と生産性向上に向けた取り組みを加速させ、企業価値向上を目指す。
(中期経営計画の目指す方向性 ~3つのS(Safety Smart Sustainability))
新型コロナウイルス感染症の蔓延や世界情勢の悪化により、社会経済は大きな影響を受けた。お客様の経営環境が激変するとともに、地球温暖化による災害増加は私たちの暮らしそのものに大きな影響を与え始めており、これらは当社にとって大きなリスクとなっている。しかしながら、発足以来一貫して工事を通してインフラを支えることで社会に貢献することを使命としている当社グループにとっては、これらのリスクをチャンスに変え、新たなニーズをビジネスに繋げていくことで、グループの持続的成長と持続可能な未来の暮らしづくりの両立に向けて、3つのS(Safety Smart Sustainability)に取り組むことが重要であると捉え、3つのSの課題解決へと取り組んでいく。

取組むべき重要課題(Safety Smart Sustainability=3つのS)

(経営数値目標)
当面、厳しい受注環境が予想される中、既存事業の生産性向上と環境を中心とした新規事業にチャレンジするため、積極的な成長投資による持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指す。そして中期経営計画最終年度(2024年度)においては、コロナ前の水準である売上高と営業利益を目標とする。

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 市場の動向及び競合
当社グループの事業は、主として建設業に属しているため、公共投資及び民間の設備投資等の動向により市場が著しく縮小する可能性があり、この場合受注額が減少し業績等に影響を及ぼす可能性がある。
また、競合する他社との受注競争の激化等により、低採算化、収益力の低下等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(2) 法令違反
当社グループは、法令遵守及び企業倫理を確立し、その意識を社内に徹底させるため、コンプライアンス担当役員及びコンプライアンス委員会を設置して企業倫理の強化を図っているが、法令・諸規則に違反する行為又は疑義を持たれる行為が万一発生した場合は、受注状況及び業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(3) 工事における事故の発生
当社グループは、工事の安全を全てに優先し各種工事の施工を行っているが、施工過程において事故や労働災害を発生させた場合、顧客からの信用を失墜させる恐れがあり、受注環境に多大な影響を与えることから、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(4) 工事における品質不良の発生
当社グループは、品質管理には万全を期しているが、万一、重大な契約不適合が発生し、その修復に多大な費用負担が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(5) 東日本旅客鉄道株式会社との関係について
当社と東日本旅客鉄道㈱との間の主な関係等については、下記「① 資本関係について」から「④ 東日本旅客鉄道グループとの取引関係について」に記載のとおりであるが、当社の重要事項決定等に際して東日本旅客鉄道㈱への報告や決裁を必要とするといった事業活動上の制約等は受けていない。また、鉄道電気設備工事の施工についても、特別な取引条件等はなく、一般的な取引内容の範囲を逸脱するものではないことから、当社の独立性は十分に確保されていると判断している。
これらの東日本旅客鉄道㈱との関係について、何らかの理由により関係が現実に悪化した場合又は悪化したと受け取られた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
① 資本関係について
東日本旅客鉄道㈱は、当連結会計年度末現在において当社発行済株式総数の持株比率16.9%を所有する「その他の関係会社」で筆頭株主である。また、当社は東日本旅客鉄道㈱の持分法適用会社となっている。なお、当社と同様に鉄道電気設備工事を施工する東日本旅客鉄道㈱の持分法適用会社が存在するが、当該持分法適用会社及び当社それぞれが独自で受注活動を行っている。
② 取引関係について
当社は、東日本旅客鉄道㈱の鉄道事業分野において、列車の安全・安定輸送を支えるための電気設備を施工するパートナー会社として位置付けられており、事業上の協力関係にある。東日本旅客鉄道㈱との取引は関連当事者との取引に該当するが、当該取引の内容、合理性、取引条件の妥当性等について検証を行い、取引の健全性及び適正性を確保する体制としている。東日本旅客鉄道㈱に対する売上高は、当社グループの売上高構成で大きな割合を占めていることから、同社の設備投資等の計画が、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
③ 人的交流について
当社グループの売上高構成で鉄道電気設備工事は大きな割合を占めていることから、鉄道に関する安全や技術をはじめとした幅広い知識や経験は、当社グループの事業戦略上、必須となるものである。従って、当社と東日本旅客鉄道㈱の間において、マネジメント強化、人材育成、業務習得等の観点から人事交流が行われており、出向社員の派遣及び受入れを行っている。また、専門的・客観的な視野による助言を得ることで、これら事業戦略をより一層強固なものとすべく、東日本旅客鉄道㈱より社外取締役1名を選任している。
④ 東日本旅客鉄道グループとの取引関係について
当社グループは、鉄道軌道上の工事用車両をリースするJR東日本レンタリース㈱等、東日本旅客鉄道グループ内の各社と取引を行っている。これら東日本旅客鉄道グループ内各社との取引は関連当事者との取引に該当するが、当該取引の内容、合理性、取引条件の妥当性等について検証を行い、取引の健全性及び適正性を確保する体制としている。
(6) 人材の確保と育成
当社グループの事業拡大にあたっては、電気工事施工管理技士や土木施工管理技士等の公的資格及び顧客固有の資格を有することが不可欠である。当社グループは社内外の研修の充実を図り人材育成に努めているが、工事施工を賄える人材確保、育成ができない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(7) 自然災害の発生
当社グループは、今後想定される震災等の大規模災害への備えとして、地震等災害対策要領並びに防災マニュアルを整備しているが、地震・洪水・台風等の自然災害が発生した場合は、事業活動の一時的な停止や施工中物件の復旧に多額の費用と時間を要する等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(8) 感染症の流行
当社グループは、感染症の流行にあたり、従業員や協力会社の安全を第一に考え、衛生管理の徹底や時差通勤・テレワーク勤務等を推奨し、可能な限りの感染予防や拡大防止に努めているが、安全や施工体制の維持・確保ができない状況となった場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(9) 資材価格及び労務費の高騰
当社グループは、建設業を主としているため、資材の高騰や技能労働者の不足による労務費の高騰によりコストが増加し、その増加分を請負代金に反映できない場合は、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 情報システム障害等の発生
当社グループは、総務・人事・会計・工事管理等の基幹業務を社内システムにより処理しており、セキュリティ対策は万全を期しているが、万一、そのシステムに人的ミス・自然災害・コンピュータウイルス等により障害が発生した場合は、事業運営に支障をきたす可能性がある。また、情報の流出等が発生した場合は、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生等により、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(11) 環境関連法令及び規制等の強化
当社グループは、有害物質、廃棄物、商品リサイクル及び土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令及び規制等の適用を受けており、グループを挙げて環境問題に取り組んでいるが、サステナブルな社会の実現に向けた意識の高まりに伴い、将来、環境関連法令及び規制等が強化されるなど、当社グループの環境保全のより一層の取組みが求められる場合には、対応コストの発生等により、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(12) 気候変動
当社グループは、公共性が高い社会インフラ整備事業を主体としているため、中長期的な気候変動が工事の受注に与える影響は限定的と考えているが、洪水・台風等の自然災害が発生した場合は、事業活動の一時的な停止や施工中物件の復旧に多額の費用と時間を要する等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(13) 特有の法的規制等
当社グループの売上高構成で約9割を占める電気設備工事業は、建設業法に基づく特定建設業許可を受けているが、不正な手段による許可の取得や経営業務管理責任者・専任技術者等の欠格条項違反に該当した場合は、建設業法第29条により許可の取り消しとなる。当社グループでは、当該許可の諸条件や法令等の遵守に努めており、当連結会計年度末現在において、これらの許可の取消事由に該当する事実はないと認識しているが、万一、法令違反等によって許可が取り消された場合、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(14) 業績の季節的変動
当社グループの主たる事業である電気設備工事業の売上高は、契約により工事の完成引渡しが第4四半期に集中するため、第4四半期の売上高が事業年度の売上高の4割程度となる傾向がある。また、販売費及び一般管理費等の固定費は各四半期に概ね均等に発生するため、利益についても第4四半期に偏重する傾向がある。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度におけるわが国経済は、行動制限の緩和をはじめとする各種政策の進展等により、個人消費や企業活動に持ち直しが見られるなど、社会経済活動の正常化に向けた動きは新たな局面に入った。これにより景気は緩やかな回復基調で推移したが、長引くロシア・ウクライナ情勢を背景とするエネルギーや原材料価格の高騰、欧米諸国でのインフレ・金融引締め政策による世界経済の減速懸念など、引き続き景気の下振れ要因の注視が必要な状況となっている。
建設業界においては、国土強靭化工事をはじめとした関連予算の執行により、公共投資は底堅く推移しており、民間設備投資も企業収益の改善傾向を背景として徐々に持ち直しの動きが見られたものの、建設資材の高騰や人手不足等によるコスト増加が顕著となっており、厳しい収益構造となっている。
当連結会計年度の受注高は、前年度に受注した大型プロジェクト工事の反動減影響等により、年度前半は対前年同月比で低調に推移したものの、景気が回復基調で推移する中、年度後半から主要顧客を中心に受注高が伸長し、業績については受注高が586億9千6百万円(前連結会計年度は485億6百万円)、売上高が537億4千5百万円(前連結会計年度は532億3千1百万円)と前連結会計年度を上回った。
利益については営業利益が26億8千8百万円(前連結会計年度は30億6千8百万円)、経常利益が30億8千1百万円(前連結会計年度は33億4百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が21億3千7百万円(前連結会計年度は24億3百万円)となった。
セグメントごとの経営成績は次のとおりである。
( 電気設備工事業 )
電気設備工事業については、受注工事高が586億9千6百万円(前連結会計年度は485億6百万円)、完成工事高が505億2千5百万円(前連結会計年度は503億8千万円)、営業利益が54億9千1百万円(前連結会計年度は57億6千6百万円)となった
鉄道電気設備工事については、東日本旅客鉄道株式会社の安全・安定輸送に伴う設備更新工事、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の新幹線建設工事等により、受注工事高が326億2千5百万円(前連結会計年度は265億3千3百万円)、完成工事高が318億3千2百万円(前連結会計年度は299億6千3百万円)となった。
道路設備工事については、高速道路会社各社の標識工事、電気通信工事、警視庁及び各警察本部の交通信号機工事等により、受注工事高が103億4千6百万円(前連結会計年度は89億5千8百万円)、完成工事高が90億2千8百万円(前連結会計年度は94億7千2百万円)となった。
屋内外電気設備工事については、官公庁・民間事業者の電気設備工事、太陽光発電設備工事等により、受注工事高が64億3百万円(前連結会計年度は59億4千8百万円)、完成工事高が32億5千4百万円(前連結会計年度は44億6千3百万円)となった。
送電線設備工事については、電力会社各社の架空送電線路工事等により、受注工事高が93億2千1百万円(前連結会計年度は70億6千6百万円)、完成工事高が64億9百万円(前連結会計年度は64億8千1百万円)となった。
( 兼 業 事 業 )
兼業事業については、主に交通施設の標識及び交通安全用品の製造・販売等により、売上高が28億2千4百万円(前連結会計年度は24億6千1百万円)、営業利益が9千5百万円(前連結会計年度は2千3百万円の営業損失)となった。
( 不動産賃貸事業 )
不動産賃貸事業については、土地、建物等の賃貸により、売上高が3億9千5百万円(前連結会計年度は3億8千9百万円)、営業利益が2億円(前連結会計年度は1億9千7百万円)となった。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、465億3千万円(前連結会計年度末は441億4百万円)となり、24億2千5百万円増加した。主な要因は、受取手形・完成工事未収入金等の増加(350億5千2百万円から372億3千8百万円へ21億8千6百万円の増)、未成工事支出金の増加(6億6千7百万円から7億2千5百万円へ5千8百万円の増)、その他の増加(1億9千9百万円から3億3千7百万円へ1億3千7百万円の増)である。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、363億2千3百万円(前連結会計年度末は357億5千2百万円)となり、5億7千万円増加した。主な要因は、リース資産の増加(16億5千8百万円から20億3百万円へ3億4千4百万円の増)、投資有価証券の増加(143億9千7百万円から146億6千4百万円へ2億6千6百万円の増)、建物・構築物の減少(94億2千1百万円から93億1千8百万円へ1億3百万円の減)である。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、183億5千万円(前連結会計年度末は171億3千3百万円)となり、12億1千7百万円増加した。主な要因は、支払手形・工事未払金等の増加(67億5千万円から73億6千5百万円へ6億1千4百万円の増)、未払法人税等の増加(8億2千5百万円から10億8千1百万円へ2億5千6百万円の増)、賞与引当金の増加(12億5百万円から14億2千3百万円へ2億1千8百万円の増)である。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、77億1千9百万円(前連結会計年度末は72億1千9百万円)となり、4億9千9百万円増加した。主な要因は、リース債務の増加(14億8千9百万円から17億8千8百万円へ2億9千9百万円の増)、退職給付に係る負債の増加(53億1千7百万円から55億2千6百万円へ2億8百万円の増)である。
(純資産)
当連結会期年度末における純資産の残高は、567億8千3百万円(前連結会計年度末は555億4百万円)となり、12億7千9百万円増加した。主な要因は、利益剰余金の増加(495億6千7百万円から510億2千5百万円へ14億5千8百万円の増)、その他有価証券評価差額金の増加(16億6千万円から17億2千1百万円へ6千万円の増)である。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、営業活動による資金の流入、財務活動及び投資活動による資金の流出により前連結会計年度末より9百万円増加し、78億3千8百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローの流入額は、21億6千8百万円(前連結会計年度は26億2千5百万円の流入)となった。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上による資金の流入、売上債権の増加及び法人税等の支払による資金の流出によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローの流出額は、8億3千万円(前連結会計年度は4億5千5百万円の流出)となった。これは主に、静岡営業所建替え、総合研修センター実習設備建設等の有形固定資産及び社内基幹システム構築等の無形固定資産の取得による資金の流出によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローの流出額は、13億2千7百万円(前連結会計年度は10億8千8百万円の流出)となった。これは主に、ファイナンス・リース債務の返済及び配当金の支払による資金の流出によるものである。
なお、機動的な資金調達手段を確保し、財務の安定化及び資金効率の向上を図ることを目的として、主要銀行と総額50億円のコミットメントライン契約を締結しているが、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約に基づく借入はない。
(注) 1.当連結グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
2.セグメント間取引については、相殺消去している。
3.売上実績に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりである。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
電気設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
(ⅰ) 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
(ⅱ) 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
(ⅲ) 完成工事高
(注) 1.完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
第13期の完成工事のうち主なもの
第14期の完成工事のうち主なもの
(注) 2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
(ⅳ) 次期繰越工事高
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる見積りの部分があり、見積り特有の不確実性により、実際の結果が異なる場合があるため、連結財務諸表に影響を及ぼすものと考えられる。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
当社グループを取り巻く受注環境は、景気の回復基調に支えられ、主要顧客を中心に徐々に改善傾向が見え始めており、前連結会計年度と比較して受注高は101億9千万円(21.0%)の増加、繰越工事高も81億7千1百万円(28.2%)の増加となるなど堅調に推移し始めている。しかしながら、前連結会計年度からの繰越工事をはじめ手持工事の多くは、ここ数年のコロナ禍による影響を受けた採算の厳しい工事であることから、利益率の回復には至っていない。
このような状況の中、2022年度を初年度とする中期経営計画「Change and Innovation RIETEC 2024」をスタートさせ、サステナビリティを巡る新たな社会ニーズへの貢献やデジタル技術の導入による生産性向上に努めるなど、経営成績の回復に向けた各種施策を推進している。
当連結会計年度の売上高については、半導体や鋼材といった資機材不足等により、一部プロジェクト工事において発注時期の繰り下げや着工遅延が発生したことで、期首から計画に対して進捗の遅れが生じる状況が続いたが、年度末にかけて完成引渡しとなった大型プロジェクト工事を中心に設計変更の増額が獲得できたことに加え、年度後半に伸長した受注工事の進捗等が回復の要因となり、537億4千5百万円(前年度は532億3千1百万円)となった。利益については、売上高の伸長に加え、原材料価格高騰分の価格転嫁が一部工事で認められたこと等により、営業利益が26億8千8百万円(前年度は30億6千8百万円)、経常利益が30億8千1百万円(前年度は33億4百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が21億3千7百万円(前年度は24億3百万円)となった。
なお、部門別の経営成績に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
(鉄道電気設備部門)
受注工事高は、主な顧客である東日本旅客鉄道㈱の中央線グリーン車導入に伴う関連工事や盛岡駅の信号設備改良工事等を受注した結果、326億2千5百万円(前連結会計年度は265億3千3百万円)となった。
完成工事高は、前連結会計年度からの北陸新幹線敦賀延伸工事の他、渋谷駅をはじめとした駅改良工事など各大型工事が順調に進捗・竣工した結果、318億3千2百万円(前連結会計年度は299億6千3百万円)となった。
(道路設備部門)
受注工事高は、高速道路会社の通信設備工事や構造物改良工事、警視庁及び各警察本部の交通信号機改良等の工事を受注した結果、103億4千6百万円(前連結会計年度は89億5千8百万円)となった。
完成工事高は、首都高速道路の標識補修工事や東名阪自動車道の照明設備工事の他、全国の交通信号機工事が順調に進捗・竣工した結果、90億2千8百万円(前連結会計年度は94億7千2百万円)となった。
(屋内外電気設備部門)
受注工事高は、官公庁や商業施設等からの受注獲得に尽力し、高輪ゲートウェイ駅周辺開発工事などの大型プロジェクト工事を受注した結果、64億3百万円(前連結会計年度は59億4千8百万円)となった。
完成工事高は、駅ビルや商業施設、金融機関の電気設備工事などの大型工事が順調に進捗・竣工したことにより、32億5千4百万円(前連結会計年度は44億6千3百万円)となった。
(送電線設備部門)
受注工事高は、各電力会社からの送電線鉄塔建替工事や電線張替工事、地域間連系線工事等、複数の大型工事を受注した結果、93億2千1百万円(前連結会計年度は70億6千6百万円)となった。
完成工事高は、各地区における大型送電線建設・改修工事が順調に進捗・竣工したことにより、64億9百万円(前連結会計年度は64億8千1百万円)となった。
b.財政状態
当連結会計年度末における資産合計の残高については、828億5千3百万円(前連結会計年度末は798億5千7百万円)となり29億9千6百万円増加した。主な要因は受取手形・完成工事未収入金等の増加、建物・構築物の減少、リース資産の増加、投資有価証券の増加である。
負債合計の残高については、260億7千万円(前連結会計年度末は243億5千3百万円)となり17億1千6百万円増加した。主な要因は、支払手形・工事未払金等の増加、未払法人税等の増加、リース債務の増加である。
純資産合計の残高については、567億8千3百万円(前連結会計年度末は555億4百万円)となり12億7千9百万円増加した。主な要因は利益剰余金の増加である。
以上の結果、自己資本比率は68.5%(前連結会計年度末は69.5%)となり前連結会計年度末より1.0%減少したが、安定的な財政状態を維持している。
c.キャッシュ・フロー並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末におけるフリーキャッシュ・フローについては、新基幹システムの構築、静岡営業所建替え、総合研修センター実習設備建設等による資金の流出があったものの、営業活動による資金の流入により、黒字となった。当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は78億3千8百万円(前連結会計年度末は78億2千8百万円)となり当社グループの連結売上高を勘案すると、適正な水準を維持している。
また、当社グループの資金需要は、事業を行う上で必要となる運転資金、持続的成長のための成長投資及び配当金がある。
これらの資金は営業キャッシュ・フローを主とした内部資金を基本としているが、当社が営業活動から得られるキャッシュ・フローは季節的変動があり短期的に資金が不足した場合には金融機関からの借入にて資金調達を行っている。
借入金は安定的なキャッシュポジションを見極めながら営業活動から得られるキャッシュ・フローで返済しており、今後においても適切に調達することが可能であり、コミットメントライン契約(主要銀行と総額50億円)を含め十分な流動性を確保していると考えている。
なお、当連結会計年度末においては短期借入金の残高は無く、現時点においては長期借入金の調達は想定していない。
当社キャッシュ・フロー指標のトレンドについては下記のとおりである。
(注) 1.各指標の算出方法は以下のとおりである。
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出している。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出している。
4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、リース債務を除く利子を支払っている負債を対象としている。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。
d.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営に影響を与える大きな要因は、3「事業等のリスク」に記載している。
該当事項なし。
2023年3月31日現在
(注)1.土地及び建物の一部を連結会社以外から賃借している。年間賃借料は200,650千円であり、土地の面積については、( )内に外書きで示している。
2.仙台事務所には仙台支店、東北ビルインフラ支社、東北地区電力支社が含まれている。
3.尾久事務所にはビルインフラ支店、首都圏電力支社が含まれている。
4.広島事務所には中国支店、中国ビルインフラ支社、西地区電力支社が含まれている。
5.当社の施工体制は2023年4月1日より、社会インフラ本部においては、交通信号機工事受注エリア拡大などを進めるため、道路設備支店・交通システム支店・新エネルギーソリューション支社を廃止し東日本道路インフラ支店・西日本道路インフラ支店を新設した。電力システム本部においては、今後増大するエネルギー関連工事の受注拡大に向け、施工力の強化を図るため、首都圏電力支社・東北地区電力支社・西地区電力支社を廃止し、東日本電力支店・西日本電力支店を新設した。
上記新設に伴い、既存組織である関西統括支店を廃止し、関西統括支店の鉄道部門は鉄道本部配下の「関西支店」に移行した。
6.土地、建物のうち賃貸中の主なもの
2023年3月31日現在
(注) 土地及び建物の一部を連結会社以外から賃借している。年間賃借料は37,952千円であり、土地の面積については、( )内に外書きで示している。
該当事項なし。
該当事項なし。
(注) 保安工業(株)との合併(合併比率1:1)に伴うものである。
2023年3月31日現在
(注)1.自己株式666,465株は、「個人その他」に6,664単元及び「単元未満株式の状況」に65株を含めて記載してある。
2.「その他の法人」の欄には、証券保管振替機構名義の株式が40単元含まれている。
2023年3月31日現在
(注) 2022年11月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、エフエムアール エルエルシー(FMR LLC)が2022年11月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないので、上記大株主の状況には含めていない。
なお、大量保有報告書(変更報告書)の内容は以下のとおりである。
1 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定や、業績を評価するために定期的に点検を行う対象となっているものである。
当社は、事業内容として「電気設備工事」、「標識等の製造・販売」及び「不動産の賃貸」に区分され、それぞれ事業活動を展開している。従って、当社ではこれらの事業内容を基礎とし「電気設備工事業」、「兼業事業」及び「不動産賃貸事業」の3つを報告セグメントとしている。
「電気設備工事業」は、鉄道電気設備、道路設備、屋内外電気設備、送電線設備の工事を行っている。
「兼業事業」は、ケーブルの接続材料、鉄道標識、道路標識等の製造及び販売を行っている。
「不動産賃貸事業」は、当社が所有する土地、建物等の賃貸を行っている。