株式会社協和日成
(注) 1 当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
3 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所JASDAQ市場におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
5 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第74期の期首から適用しており、第74期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社は、主に東京ガスグループのガス設備事業(屋内配管工事・戸建住宅暖冷房給湯工事)、ガス導管事業(本支管埋設工事・供給管工事)を主体としておりますが、そのほか建築設備事業(建築工事・給排水衛生設備工事・空気調和設備工事・集合住宅暖冷房給湯工事)、電設・土木事業(電気管路洞道埋設工事・上下水道工事・土木工事)を営み、総合設備工事業として事業活動を展開しております。
また、当社には非連結子会社として株式会社協和ライフサービス(車両のリース・整備及び損害保険代理店業務)、ガイアテック株式会社(ガス設備工事・床暖房工事・ガス機器設置工事・プロパンガス工事・エクステリア工事)があります。
更に、当社には関連会社として東京理学検査株式会社がありますが、同社は配管に対する理化学機器による検査業務を主として営んでおります。
以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
なお、当事業年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

(注) 1 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2 上記以外に非連結子会社2社ありますが、重要性が乏しいため記載を省略しております。
・その他の関係会社
その他の関係会社である城北興業株式会社の状況については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載しているため、記載を省略しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、他社への出向者を除き、他社からの受入者は含んでおります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員(パートタイマーの従業員で派遣社員を除いている)の年間平均
雇用人員であります。
4 全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。
当社の労働組合の概要は下記の通りです。
なお、労使関係については、おおむね良好であります。
(2)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものである。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
・会社の経営の基本方針
当社は、「私たちは常に進化する強い意志を持ち、心一つにして一流に向かい羽ばたき続けます。」を企業スローガンとして掲げ、ガス・電気・水といった人々の暮らしや産業に欠かすことのできないライフラインを支えることによって、社会に安心と心地よさを提供し、豊かな未来のために貢献することを社会的使命としております。
その社会的使命を果たすために、協力会社も含めた企業集団として、確かな技術ときめ細かな感性でお客様の信頼にお応えし、お客様から選ばれ続けていただくこと、当社の社員が安心して働ける職場環境を提供し、「感じ・考え・自ら行動する」企業風土を醸成していくことを経営の基本方針としており、健全な経営を継続的に行ない、その利益を適正に還元することが社会的責任を果たすことであると考えております。
当社は、企業の総合的な収益力を示す指標として、売上高経常利益率を重視しており、2022年度を初年度とする3か年の中期経営計画「STEP 2024」の最終年度となる2024年度には、売上高経常利益率4.0%の達成を目指しております。
目標達成に向けては、対処すべき課題に対し、中長期的な経営戦略のもと、諸施策を確実に実践するべく取り組んでまいります。
2023年度は、エネルギー価格や資機材価格高騰による建設コストの増加が持家を中心に住宅取得マインドを抑制する要因となる一方で、これまでコロナ禍で先送りされていた住宅需要の顕在化が見込まれることから、住宅着工戸数は横ばいで推移すると予想されております。また、近年の気候変動の影響による気象災害の激甚化・頻発化、南海トラフ地震・首都直下地震の発生可能性の切迫を受け、2021年度より始まった「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」による防災・減災対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策、建物の耐震性・機能性・防犯性の向上や新しい生活様式に合わせた空間利用のニーズによる既築建物の維持管理・更新市場も堅調に推移することが見込まれております。加えて、主要取引先の設備投資計画についてもほぼ横ばいで推移することが予測されており、当社を取り巻く中期的な事業環境は大きく変化することはないと予想されます。
しかしながら、2025年度以降当社の売上・利益の大きな柱であるガス導管事業においては、新たな経年管取替工事が主流となるため、売上・利益面において今までと異なった局面を迎えるものと想定されます。また、建設業界における就労者の高齢化と担い手不足、猶予期間の終了が1年後に迫っている時間外労働上限規制の適用など、様々な課題への対応を迫られております。
2023年度は、3ヶ年の中期経営計画「STEP 2024」(Sustainable Evolution Plan)の2年目となります。社会課題解決へ向けて企業への期待が高まる中、前述の事業環境の変化に対応し、社会との共生を図りつつ、100年企業として成長し続けるため、「サステナビリティ経営」を基本方針として、「事業戦略」、「CSRの推進」、「株主還元の強化」、「筋肉質な企業体質作り」、「経営基盤強化」の5つの重要施策を引き続き推進してまいります。
「STEP 2024」では、前中期経営計画に引き続き「変わる・変える・創る」をスローガンに、本中期経営計画期間において、将来を見据えた事業ポートフォリオの構築を図り、同時にかねてからの課題である一社依存度の低減を図ることとしております。
持続的に発展、成長するために、既存の事業領域に加えて、建物内の設備工事を担う建築設備事業を新たな中核事業の一つに育てあげることを「事業戦略」の最重要施策に掲げており、システム導入による営業部門と施工部門における情報共有および連携強化に加え、幅広い顧客ニーズに対応できる一括受注・施工体制をさらに強化し、ガス工事会社という企業イメージから総合設備工事会社として社会的に認知していただくことを目指してまいります。
一方で、2022年4月の東証市場再編を契機に、本年1月には上場維持基準に関する経過措置の終了期間が明確に定められたことに加え、3月には「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」「建設的な対話に資する「エクスプレイン」のポイント・事例」が公表され、高度なガバナンス体制作りと資本問題への取り組みも従来にも増して重要な経営課題と認識しております。資本コストや資本収益性の分析・評価、改善に向けた方針や目標・計画期間等、具体的な取り組みについて検討するとともに、コーポレートガバナンス・コード各原則における当社の取り組みの総点検を行ってまいります。
このほか、環境への対応や多様な働き方の実現、1年後に迫った働き方改革への対応や事業運営の基盤となるコンプライアンスも推進してまいります。さらに、基幹システムの刷新を着実に進めていくとともに、ワークフローの見直しやデジタル技術の活用推進等で全社的な業務の効率化を図ってまいります。加えて、建設業にとって欠かすことのできない安全衛生や品質、さらには人権といったサステナビリティリスクを含むリスク管理の実効性の向上にも注力してまいります。
当社は、社長を委員長とし、取締役・監査役(社外含む)、執行役員で構成される経営品質委員会を設置しております。経営品質委員会はコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方を実現し、企業の社会的責任を果たし「経営品質」を向上することを目的として設置されており、委員会の下に各種会議体を設け、品質管理、内部統制、コンプライアンス、CSR調達、ガバナンスなどについて包括的に検討しております。
経営品質委員会(年2回開催)では、経営に重大な影響を与える可能性のあるリスクの棚卸及びそのリスクのモニタリングならびに統制活動等の審議を行っております。このうち、統制活動が不十分と判断されたものに対しては、執行部門に是正を求めております。
経営品質委員会における審議により、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、将来に関する事項の記載が含まれておりますが、当事業年度末現在において判断したものであり、将来を含めた当社のリスク全般を網羅するものではありません。
・ 受注環境の変化リスク
当社は東京ガス株式会社等ガス事業者を主要顧客とするガス工事事業を中核事業とし、建築設備事業、電設・土木事業も展開しており、様々な取引先から工事を受注しておりますが、中でも、主要顧客である東京ガスグループの売上割合は約6割を占めております。当社は2022年度よりスタートした中期経営計画で「建物内の設備工事を担う建築設備事業を新たな中核事業とすべく、一括受注・施工体制の更なる整備を行う」ことにより、将来を見据えた事業ポートフォリオの構築と売上高の集中リスクの低減を図っております。また、四半期に一度、業務執行取締役、執行役員、部長が出席する計画進捗会議において、業績進捗とともに、取引先の動向やエネルギー・原材料価格の高騰の影響など市場環境の変化を含め、確認しております。しかしながら、東京ガス株式会社等ガス事業者における各種施策、特に電力・ガス市場における小売全面自由化等に伴うエネルギー競争激化、による受注量や受注単価の変動、ならびに受託業務の見直しやその他の取引先の事業戦略の大幅な変更、少子高齢化による着工数減少による価格競争の激化、パンデミックや地政学的リスクの顕在化による影響が想定を超えた場合には受注量の減少や資機材の供給不足、原材料価格の高騰が発生し、当社の事業展開、財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
① 法的規制リスク
当社では、事業活動にあたり会社法、金融商品取引法、建設業法、民法、労働基準法などさまざまな法令の規制を受けております。法令、規則等の遵守状況については、会社法に則った業務・コンプライアンス監査や金融商品取引法に係る内部統制監査を毎年実施し、その結果について取締役会に報告する仕組みとなっております。しかしながら、社会情勢の厳格化による法的規制の急激な強化、法規制に関する認識不足に起因する法律違反が顕在化した場合、それに対応するための追加費用の増加や社会的信用の失墜などにより、当社の事業展開、財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
② 不採算工事の発生リスク
当社では、工事見積時および受注時に職務権限決裁基準で定めた金額に応じた決裁者による決裁を受けております。不採算となる可能性のある工事の受注については、より上位者による決裁基準を設定しているほか、毎月経理部において、一定のルールに従って抽出した不採算物件について調査し、役員に回覧するなど、不採算工事の早期把握と抑制に努めております。また、システム導入による営業部門と施工部門における情報共有および連携強化を図っております。しかしながら、受注環境の悪化に伴う競合他社との価格競争の激化や当初想定していた見積りからの乖離、工事の施工段階における想定外の原価等の発生や工期遅延に伴う損害に対する賠償金の支払い等により不採算工事が発生した場合は、当社の事業展開、財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
① 自然災害リスク
地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象やパンデミックが発生した場合、社員や所有建物・設備など事業継続のリソースに対する被害が発生し、事業活動が停止することなどにより、当社または取引先が被害を受ける可能性があります。当社は自然災害などの重大災害に備え、BCP(事業継続計画)を策定し、全役職員に周知するとともに、BCPに基づいた防災訓練の実施や必要物資の備蓄、拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じております。また、社員の安否を確認する安否確認システムの導入や建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)など各種災害に備えております。
しかしながら、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、これに伴う役職員の被災、営業拠点の修復または代替のための費用発生等により、当社の事業展開、財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
② 組織力の低下リスク
当社は、中長期の事業展開を見据え、「求められる人材像」を定め、新卒だけではなく中途採用を強化するとともに、これまで男性主体であった職種、業務への女性の配置拡大など、多様性の確保も意識し、将来を担う優秀な人材の採用・育成に努めております。本人の希望と適性を踏まえたキャリアパスの選択や成果に応じたメリハリのある処遇の設定、適材適所な人材配置の実施、本人の希望と能力に応じた定年後再雇用制度の運用により、多機能人材の育成や働きがいのある職場作りに取り組んでおります。また、管理職を対象とした弁護士によるハラスメント研修や、メンタルヘルス不調発生防止を目的に全従業員を対象とした体験カウンセリング(日本産業カウンセラー協会のカウンセラーによる職場の悩み等に関する相談体験)など、心の健康を含む健康経営施策を実施しております。さらに、従業員ならびに就職希望者にとってより魅力的な企業となるよう、従業員の労働環境の改善を図るために、働き方改革推進委員会において、長時間労働抑制に向けた施策の立案、実施に加えて、管理者が労務管理を正確に行うツールとして、勤怠システムを改善するなどのITを活用した環境整備を実施しております。また、2022年9月、基幹システム刷新委員会を設置し、業務管理の見直し・高度化・効率化を目的とした新しい基幹システムの整備に着手いたしました。しかしながら、少子化の影響や景気拡大に伴う大手企業の採用数増加などにより、必要な人材を継続的に確保できなかった場合、並びに人材の多機能化および働き方改革への対応が遅延した場合、当社の事業展開、財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
③ 施工力の確保リスク
当社では、受注した工事等を協力会社に発注しております。少子高齢化による人手不足、後継者難は建設業界に共通する難しい問題ですが、2022年度より協力会社を含めたCSR調達方針・ガイドラインおよび推進の枠組みを定め、アンケートやヒアリング等を行っており、2022年度の実施結果では、大きな問題は確認されませんでしたが、寄せられた要望や意見に基づき、協力会社への経営指導や働き方改革を推進することで協力会社従業員の労働環境の改善を行い、魅力ある仕事となるよう可能な限りの支援策を講じてまいります。しかしながら、後継者難、経営状態の悪化、若年層の採用難や若年層の退職増加等により、主要な協力会社に不測の事態が発生した場合、施工能力が低下するなど、当社の事業展開、財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
④ 不良工事の発生リスク
ISO9001:2015規格で培ったノウハウを進化させ、当社独自に策定した品質管理システム「QP(Quality Plus)マネジメントシステム」に基づいて、クレーム処理、是正処置、予防処置を実施するとともに、代表取締役を委員長とした品質マネジメント会議を設置し、品質の向上に取り組んでおります。また安全品質環境室を事務局としたリスクマネジメント会議や再発防止検討会において、予防策、事故の傾向分析、原因究明、再発防止策を検討しております。また、安全品質環境室における安全パトロールにおいて、この再発防止策が実施されているかを確認し、必要に応じて指導を行っております。加えて、業務・コンプライアンス監査を定期的に実施し、各部・各拠点において法令、規則等を遵守した業務遂行が行われているかチェックしております。しかしながら、工事施工上の問題に起因する品質の不備もしくは事故等が発生した場合、発注元や監督官庁からの工事施工資格や入札参加資格の停止、受注済み件名の発注取り消しといった処分を受けることにより、当社の事業展開、財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
⑤ 交通事故・労働災害の発生リスク
当社は、安全運転管理規程および安全衛生管理規程を定め、定例勉強会や再発防止策の教育を実施するとともに、本社においては、年4回、安全衛生中央委員会、拠点においては毎月安全衛生委員会を開催し、事故・災害事例の共有と再発防止策の共有に努めています。また、安全品質環境室を事務局としたリスクマネジメント会議や再発防止検討会において、予防策、事故の傾向分析、原因究明、再発防止策を検討しております。加えて、事故惹起者への運転訓練や2カメラドライブレコーダーの設置による運転状況の把握に努めているほか、年に1度、社員、協力会社を集めた安全大会を開催するなど安全管理活動の推進に努めております。しかしながら、予期せぬ事由による事故・災害の発生や基本作業の逸脱による重大事故等の発生による人的被害・物的被害・社会的信用の失墜などにより当社の事業展開、財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
⑥ コンプライアンスリスク
当社では、コンプライアンス規程を定め、各部門の長を委員としたコンプライアンス推進会議において定めた年度実施計画の基本方針に基づき、各部門で強化策を展開するとともに、2か月に1度、役員からのコンプライアンスメッセージの配信やコンプライアンスに関する研修等を実施することによって「協和日成グループ行動基準」の浸透とコンプライアンスマインドの継続的な高揚を図っております。特に、反社会的な勢力・団体との関係の遮断を「協和日成グループ行動基準」で明文化するとともに、本社地区特殊暴力防止対策協議会への加盟、本社・各拠点に不当要求防止責任者を選任し、反社会的な勢力・団体に関する情報の収集・管理や対応マニュアルの整備等、体制構築に向けての検討を行い、積極的に全社展開を推進しております。また、業務・コンプライアンス監査により、コンプライアンスを逸脱した業務遂行が行われていないかを確認しております。しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスクは完全に回避できない可能性があり、法令・規則・関係マニュアル・企業倫理に反する行為等が発生した場合には、対応に要する直接的な費用に止まらず、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生する可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末の26,257百万円に比べて133百万円増加し、26,390百万円となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末の17,243百万円に比べて297百万円減少し、16,945百万円となりました。これは、電子記録債権が61百万円、完成工事未収入金及び契約資産が272百万円増加しましたが、現金及び預金が434百万円、受取手形が96百万円、償還日を迎えた債権が99百万円減少したことが、主な要因であります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末の9,013百万円に比べて430百万円増加し、9,444百万円となりました。
当事業年度末における固定資産のうち有形固定資産は、前事業年度末の5,482百万円に比べて305百万円増加し、5,787百万円となりました。これは、新事業場の建設に伴い建設仮勘定を302百万円計上したことが、主な要因であります。
無形固定資産は、前事業年度末の27百万円に比べて36百万円増加し、63百万円となりました。主な要因は、ソフトウェア仮勘定の増加によるものです。
投資その他の資産は、前事業年度末の3,503百万円に比べて88百万円増加し、3,592百万円となりました。これは、保有する株式の時価評価が下がったものの、新たな債券取得により、投資有価証券が89百万円増加したことが、主な要因であります。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末の8,639百万円に比べて110百万円増加し、8,750百万円となりました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末の8,172百万円に比べて105百万円増加し、8,278百万円となりました。これは、一年内返済予定長期借入金が100百万円、賞与引当金が140百万円減少しましたが、支払手形が152百万円、工事未払金が152百万円増加したことが、主な要因であります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末の467百万円に比べて4百万円増加し、471百万円となりました。主な要因は、役員退職慰労引当金の増加によるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末の17,617百万円に比べて22百万円増加し、17,639百万円となりました。これは、配当金に係る利益剰余金の支出322百万円、株式給付信託導入による自己株式を532百万円取得しましたが、当期純利益を933百万円計上したことが、主な要因であります。
当事業年度におけるわが国の経済を概観しますと、新型コロナウイルス感染症の対策が進み、経済活動は年度当初から緩やかに持ち直しの動きが続きました。製造業は世界経済の減速を背景に悪化が続いたものの、非製造業ではコロナ禍の景気への下押し圧力が弱まる中、全国旅行支援等の政策効果や、水際対策緩和による訪日外国人数の回復によるインバウンド需要の回復を受け企業収益は改善が続き、設備投資も緩やかな増加がみられました。また、労働力人口が減少する中で企業の人手不足感は強く、雇用情勢も緩やかに改善し、個人消費は外食や宿泊サービスを中心に持ち直しの動きが続きました。
一方で、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻が長期化し、世界情勢が不安定化する中で、エネルギー価格や原材料価格の高騰や円安による物価の更なる上昇などにより、消費者マインドの悪化や購買力の低下が個人消費に与える影響や企業の業績悪化による設備投資の抑制などが懸念され、景気の先行きは引き続き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、不動産・建設業界におきましては、近年の気候変動の影響による気象災害の激甚化・頻発化、南海トラフ地震・首都直下地震の発生可能性の切迫を受け、2021年度より始まった「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」による防災・減災対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策は、堅調に推移いたしました。また、2022年の新設住宅着工戸数は、新型コロナウイルス感染拡大による住宅需要の抑制の反動や、在宅ニーズの高まりによる住環境の見直しなどもあり、前年を3,045戸上回る859,529戸となり、2年連続で増加しました。一方で、需要に対する慢性的な技術者不足は改善されておらず、建設資材の価格高騰に伴う建設コストの上昇も相まって工期の長期化やコスト増などが続いており、採算悪化や住宅取得マインドの悪化が懸念される状況が続いていることに加え、猶予期間の終了が残り1年となった時間外労働の上限規制など、先行きを見通した柔軟な対応が一層重要となっております。
エネルギー業界におきましては、小売全面自由化以来、エネルギー事業者間の競争激化に伴い、電力・ガスともにコスト削減の動きが継続いたしました。それに伴い、当社が受注する主要取引先であるガス事業者の設備投資計画に伴う工事発注方式の変更や、2022年4月に実施された導管事業分離によるガス事業者の政策転換や、当社も含めた工事会社に対する取引方針の見直しなどが懸念され、当社業績への影響度を注視する1年となりました。また、ロシア・ウクライナ情勢の悪化に伴う地政学的リスクが顕在化し、エネルギーの安定供給の重要性が見直され、再生エネルギーの活用や脱炭素化への投資が旺盛になりました。
このような経済環境のもと当社におきましては、ガス導管工事において難工事による進捗低下に加え、GHP(ガスヒートポンプエアコン)工事において大型案件が減少いたしました。しかしながら、集合住宅における給排水衛生設備工事および戸建住宅のガス設備工事やLCS(戸建住宅における給排水設備工事)に加え、管路埋設工事が堅調に推移いたしました。この結果、売上高は34,472百万円(前年同期比0.7%増)となりました。
利益面につきましては、建設コスト増加の影響は受注先との価格交渉等により抑制できた案件が多かったものの、一部の工事において原価率の高い案件の完成があったことにより、営業利益1,141百万円(同9.3%減)、経常利益1,338百万円(同4.6%減)となりました。当期純利益は、933百万円となりましたが、前年度は投資有価証券売却益74百万円を特別利益に計上したため、前年同期比では13.5%減となりました。
当社は、企業の総合的な収益力を示す指標として、売上高経常利益率を重視しております。2023年度は中途採用費用や研修実施費用などの人的投資、システム関連投資、新拠点建設などの投資を計画しており、売上高経常利益率は3.6%と見込んでおりますが、現中期経営計画最終年度となる2024年度には、売上高経常利益率4.0%の達成を目指しております。
2023年度は、3ヶ年の中期経営計画「STEP 2024」(Sustainable Evolution Plan)の2年目となります。社会課題解決へ向けて企業への期待が高まる中、前述の事業環境の変化に対応し、社会との共生を図りつつ、100年企業として成長し続けるため、「サステナビリティ経営」を基本方針として、「事業戦略」、「CSRの推進」、「株主還元の強化」、「筋肉質な企業体質作り」、「経営基盤強化」の5つの重要施策を引き続き推進してまいります。
当事業年度より報告セグメント区分を変更しております。詳細は、第5[経理の状況]1[財務諸表等](1)[財務諸表][注記事項](セグメント情報等)」をご参照下さい。
前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分にて組替えた数値で比較をしております。
GHP工事が減少いたしましたが、組織統合による営業部門と施工部門の情報共有や連携強化の結果、集合住宅等の案件の受注が増加し、給排水衛生設備工事や給湯・暖房工事が好調に推移したことに加え、GHPメンテナンス事業が堅調に推移いたしました。この結果、売上高は5,699百万円(前年同期比2.6%増)となりましたが、給排水衛生設備工事やリノベーション工事(排水管ライニング工事を含めた改修工事)において原価率の高い案件の完成が多かったことにより、経常損失436百万円(前年同期は43百万円の経常損失)となりました。
なお、2023年度の期初手持工事高は5,210百万円と前年同期に比べ350百万円の増加となりました。集合住宅等に関連した給排水衛生設備工事において、主要顧客からの受注が引き続き堅調に推移するほか、耐震性・機能性・防犯性の向上や新しい生活様式に合わせた空間利用のニーズによる既築建物のリフォーム・リノベーション市場も堅調に推移することが見込まれており、リノベーション工事(排水管ライニング工事を含めた改修工事)も大型物件の完成を予定しております。このような受注環境の中、営業部門と施工部門における情報共有および連携の更なる強化を図ることに加え、エネルギー価格や原材料価格の高騰が建設コストに与える影響については、引き続き受注先との価格交渉や購買方法の変更を実施することなどにより、生産性の向上に努めてまいります。
住宅着工戸数が底堅く推移したことに伴い、パワービルダー系の戸建住宅の案件が増加し、ガス設備工事が好調に推移いたしました。施工体制を強化したLCSも、ガス設備工事と同様にパワービルダー系の物件が好調に推移いたしました。また、前年同期に半導体不足による給湯器の納入遅延の影響により持ち越した案件が多かったことにより機器工事も増加いたしました。この結果、売上高は9,923百万円(前年同期比7.1%増)となり、売上高の増加による利益の増加に加え、利益率の高い案件の完成が多かったことから、経常利益は649百万円(同101.5%増)となりました。
なお、2023年度の期初手持工事高は3,199百万円と前年同期に比べ561百万円の増加となりました。エネルギー価格や資機材価格高騰による建設コストの増加が持家を中心に住宅取得マインドを抑制する要因となる一方で、これまでコロナ禍で先送りされていた住宅需要が顕在化していることから、住宅着工戸数は横ばいで推移すると予想されております。首都圏のガス設備新設工事では、大規模物件の増加も見込まれることに加え、LCS(戸建住宅における給排水設備工事)においても2022年度に引き続き受注量の増加を見込んでおります。旺盛な工事量に対し効率的な施工体制を構築し、品質向上に努めてまいります。
北海道ガス株式会社および静岡ガス株式会社の設備投資計画による工事は堅調に推移いたしましたが、東京ガスネットワーク株式会社の設備投資計画による受注は堅調に推移したものの、都・国道を含む管口径の大きい難工事が増加したことにより、進捗率が低下いたしました。この結果、売上高は16,968百万円(前年同期比3.4%減)となりましたが、利益面につきましては、前年度は原価率の高い案件の完成が多かったことにより、経常利益は1,061百万円(同0.2%増)となりました。
なお、2023年度の期初手持工事高は8,629百万円と前年同期に比べ3百万円の増加となりました。2021年度より始まった「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」によるインフラ整備事業に伴う需要が引き続き堅調に推移するものと予想しており、東京ガスネットワーク株式会社をはじめとした各ガス事業者の設備投資計画が引き続き堅調に推移することが見込まれております。一方で、エネルギー業界における事業者間の競争が一層激しさを増してきたことで、引き続き設備投資計画に伴う工事についても競争激化が懸念されますが、各工事における適正利益を確保するべく予算管理を徹底するとともに、拠点間連携を更に強化し、機動的な施工管理体制を整備することにより工事量の確保および品質向上に努めてまいります。
現場準備の遅れや曜日限定稼働となる現場があったことなどにより現場稼働率が低下し、水道局関連工事が減少いたしましたが、東京電力パワーグリッド株式会社の設備投資計画に伴う管路埋設工事において大型案件が完成したほか、ゴルフ場の集客数回復に伴う設備投資が引き続き旺盛となり、イリゲーション工事(緑化散水設備工事およびクラブハウス等の設備工事)が堅調に推移しました。この結果、売上高は1,815百万円(前年同期比1.0%増)となりましたが、利益面につきましては、管路埋設工事等において原価率の高い案件が完成したことにより、経常利益62百万円(同3.8%減)となりました。
なお、2023年度の期初手持工事高は528百万円と前年同期に比べ84百万円の減少となりました。水道局関連工事の受注環境が引き続き堅調に推移するものと予想しております。また、東京電力パワーグリッド株式会社の設備投資計画に伴う管路埋設工事やケーブル保守に伴う工事は、発注者側の徹底したコスト管理施策が続くことが予想されますが、都内を中心とした再開発事業の継続、バリアフリー化や無電柱化等の需要は旺盛であることから、受注は堅調に推移するものと見込んでおります。加えて、イリゲーション工事も、引き続きゴルフ場の集客数の回復に伴うコースやクラブハウスへの設備投資が期待され、受注も堅調に推移すると見込んでおり、一層の収益確保に向け、綿密な工事計画と適切な要員配置の実施によるローコストオペレーションの徹底に努めてまいります。
(現金及び現金同等物)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、7,626百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末の営業活動による資金は1,107百万円の収入(前年同期は769百万円の収入)となりました。主なプラス要因は税引前当期純利益1,331百万円に加え、減価償却費203百万円、仕入債務の増加305百万円などであり、主なマイナス要因は売上債権の増加237百万円、法人税の支払額354百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末の投資活動による資金は575百万円の支出(前年同期は142百万円の支出)となりました。主なプラス要因は有価証券の売却による収入215百万円であり、主なマイナス要因は有形固定資産の取得による支出504百万円、投資有価証券の取得による支出408百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末の財務活動による資金は966百万円の支出(前年同期は598百万円の支出)となりました。これは、自己株式の取得による支出532百万円、配当金の支払額320百万円などが主な要因であります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
資本の財源については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としており、健全な財務基盤、営業活動で生み出されるキャッシュ・フローにより、通常に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。資金の流動性については、活動に伴う資金の需要に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしております。また、突発的な資金需要に対しては、主要取引銀行と締結しているコミットメントライン契約を活用することで手許流動性を確保しております。なお、当事業年度末の借入実行残高はありません。
当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
(注)1 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2 キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
3 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
4 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この財務諸表の作成にあたり、決算日における資産、負債の報告数値及び報告期間における収入、費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。
経営陣は、貸倒債権、棚卸資産、投資、引当金、退職給付債務、繰延税金資産、資産除去債務、法人税等及び財務活動等に関する見積り及び判断に対して継続して評価を行っております。また、過去の実績や状況に応じて合理的だと考えられる見積りおよび判断を行いますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
重要な会計上の見積りについては、第5 [経理の状況]1 [財務諸表等](1)[注記事項](重要な会計方針)」に記載しております。
建設業を営んでいる当社は、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
受注高、売上高、繰越高及び施工高
(注) 1 前期以前に受注した工事で契約の更改により請負額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期売上高にも当該増減額が含まれています。
2 次期繰越高の施工高は手持工事高における支出金により推定したものです。
3 セグメント間取引については、相殺消去しております。
4 その他の売上は、工材販売手数料等であります。
5 主な相手先別の売上実績及び割合
6 上記のほか売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
該当事項はありません。
2023年3月31日現在
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品であります。
2 土地及び建物の一部を賃借しております。年間賃借料は166,623千円であります。
賃借している土地の面積については、[ ]で外書きしております。
3 上記の他、主要なリース設備は下記のとおりです。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 当社は2002年4月1日に株式会社日成と合併し、合併に際して普通株式380万株を発行し、2002年3月
31日の最終の株式会社日成の株主名簿に記載された株主に対して、その所有する株式会社日成の普通株式
1株につき、当社の株式20株の割合をもって交付しました。
これに伴い資本金が190百万円増加しました。
2023年3月31日現在
(注)1.自己株式287,300株は「個人その他」に2,873単元含めて記載しております。
なお、自己株式の当期末実際保有株式数は287,300株です。
2.「金融機関」には、株式給付信託(J-ESOP)に係る株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が保有する
当社株式369,300株(3,693単元)が含まれております。
2023年3月31日現在
(注)1.株式総数に対する所有株式数の割合は、小数点以下第3位を四捨五入しております。
2.当社は「株式給付信託(J-ESOP)」を導入しており、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が当社株式
369,300株を所有しておりますが、自己株式には含めておりません。
1 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は工事種類別に「建築設備事業」、「ガス設備事業」、「ガス導管事業」、「電設土木事業」の4事業を報告セグメントとしております。
各セグメントの内容は下記のとおりです。
建 築 設 備 事 業 … 給排水衛生設備工事、空気調和設備工事、リノベーション工事(雑排水管ライニン
グ工事を含めた改修工事)、集合住宅暖冷房給湯工事
ガ ス 設 備 事 業 … ガス設備工事(屋内配管工事・戸建住宅暖冷房給湯工事)、空調設備工事
ガ ス 導 管 事 業 … ガス導管工事(本支管埋設工事・供給管工事)
電 設・土 木 事 業 … 電気管路洞道埋設工事、イリゲーション工事(緑化散水設備工事)、上下水道工
事、一般土木工事
報告セグメントの変更等に関する事項
当事業年度より、従来「ガス設備事業」に含めていたGHP関連工種を「建築設備事業」に含めることに変更しております。
なお、前事業年度のセグメント情報については、当該変更後のセグメント区分に基づき作成したものを記載しております。