株式会社北弘電社
KITAKOUDENSHACorporation
札幌市中央区北11条西23丁目2番10号
証券コード:17340
業界:建設業
有価証券報告書の提出日:2023年6月29日

回次

第69期

第70期

第71期

第72期

第73期

決算年月

平成31年3月

令和2年3月

令和3年3月

令和4年3月

令和5年3月

売上高

(千円)

13,264,126

15,565,255

10,042,814

16,764,177

13,301,801

経常利益

又は経常損失(△)

(千円)

356,907

500,100

816,513

2,588,925

2,064,358

当期純利益
又は当期純損失(△)

(千円)

156,119

326,950

3,270,081

2,787,443

2,880,902

持分法を適用した場合
の投資利益

(千円)

21,088

26,542

18,795

22,997

24,071

資本金

(千円)

840,687

840,687

840,687

840,687

840,687

発行済株式総数

(株)

650,000

650,000

650,000

650,000

650,000

純資産額

(千円)

6,204,927

6,413,928

3,109,903

208,135

2,638,814

総資産額

(千円)

9,402,963

10,006,167

10,412,680

9,186,147

7,415,354

1株当たり純資産額

(円)

9,835.66

10,168.44

4,931.23

330.03

4,184.24

1株当たり配当額
(うち1株当たり
中間配当額)

(円)

120.00

120.00

150.00

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

247.45

518.29

5,184.59

4,419.92

4,568.11

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

66.0

64.1

29.9

2.3

35.6

自己資本利益率

(%)

2.5

5.2

68.7

168.0

株価収益率

(倍)

14.3

6.2

配当性向

(%)

48.5

23.2

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,800,563

722,800

341,315

4,573,069

1,798,435

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

5,162

30,271

43,753

4,760

413,332

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

101,182

93,806

101,894

3,576,526

1,378,236

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

3,115,478

2,268,599

2,464,267

1,472,484

1,465,617

従業員数

(名)

211

214

217

227

221

株主総利回り

(%)

93.5

88.2

113.1

57.6

47.2

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(95.0)

(86.0)

(122.2)

(124.6)

(131.8)

最高株価

(円)

4,100

4,000

4,450

4,105

1,889

最低株価

(円)

3,400

2,990

3,030

1,780

1,220

 

(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第72期の期首から適用しており、第72期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

2.第69期、第70期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。第71期、第72期及び第73期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

 

3.第73期の自己資本利益率については、自己資本がマイナスであるため記載しておりません。

4.第71期、第72期及び第73期の株価収益率及び配当性向については、当期純損失であるため記載しておりません。

5.当社は、連結財務諸表を作成しておりませんので、「最近5連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移」については、記載しておりません。

6.最高株価及び最低株価は札幌証券取引所におけるものであります。

7.令和3年3月期の1株当たり配当額150円には、創業110周年・設立70周年並びに株式上場20周年記念配当30円を含んでおります。

 

 

2 【沿革】

 

年月

沿革

明治43年3月

創業者の弘田国太郎が東京市京橋区采女町に各種電気工事の設計、施工、請負を目的とする合資会社弘電舎を創業

大正6年6月

資本金50万円で株式会社に組織変更

昭和26年1月

電力再編成に伴い株式会社弘電社の北海道支社を継承して、札幌市大通西2丁目2番地に株式会社北弘電社(資本金500万円)と改称設立し、函館・旭川に営業所及び釧路・帯広・室蘭・東京・仙台に出張所を開設
建設業法による電気工事業の建設大臣登録(第2210号)をする

昭和28年9月

三菱電機株式会社と特約店契約を締結

昭和30年3月

三菱電機株式会社の資本参加により同社の関係会社となる

昭和30年12月

仙台出張所を株式会社弘電社に譲渡

昭和36年2月

苫小牧出張所を開設

昭和44年6月

札幌市南11条西21丁目19番地に本社社屋を建設し、移転する

昭和46年3月

電気工事業法による通商産業大臣への届出(第46264号)をする

昭和47年7月

商事事業部の家庭電化機器販売部門を札幌三菱電機商品販売株式会社へ営業譲渡

昭和48年9月

建設業法による電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、機械器具設置工事業の建設大臣許可(第1707号)を受ける

昭和48年10月

函館・旭川営業所を支社に昇格

昭和51年10月

東京・釧路・帯広・室蘭・苫小牧出張所を営業所に昇格

昭和51年11月

建設業法による電気通信工事業、消防施設工事業の建設大臣許可(第1707号)を受ける

昭和53年4月

東京営業所を支社に昇格

昭和56年4月

苫小牧営業所に室蘭営業所を統合

昭和58年1月

建設業法による土木工事業の建設大臣許可(第1707号)を受ける

平成元年12月

建設業法による電気通信工事業の建設大臣許可(第1707号)を受ける

平成4年2月

建設業法による管工事業の建設大臣許可(第1707号)を受ける

平成5年8月

建設業法による水道施設工事業の建設大臣許可(第1707号)を受ける

平成7年10月

北見営業所を開設

平成10年6月

札幌市中央区北11条西23丁目2番10号に本社社屋を建設し、移転する

平成11年3月

ISO14001を認証取得する

平成12年5月

ISO9002を認証取得する

平成12年8月

札幌証券取引所に株式を上場する

平成14年8月

建設業法によるほ装・塗装工事業の国土交通大臣許可(第1707号)を受ける

平成15年2月

ISO9002からISO9001の2000年版へ移行登録

平成15年4月

釧路・帯広・苫小牧営業所を支社に昇格

平成19年4月

札幌オール電化センター開設

平成20年5月

札幌オール電化センターをサッポロファクトリーから本社ビルに移転する

平成21年4月

オール電化推進室を産業機器システム事業部に統合

平成23年2月

北弘電社テクノセンター(石狩市新港南)を開設

平成30年4月

北見営業所を旭川支社に統合

平成30年9月

東北営業所を開設

 

 

 

3 【事業の内容】

当社の企業集団は、当社、その他の関係会社1社及びその他の関係会社の子会社1社で構成され、電気設備工事及びFA住宅環境設備機器、産業設備機器の仕入・販売を主な内容として事業活動を展開しております。

当事業年度中にとかちソーラーファーム合同会社及び大樹ソーラーファーム合同会社の全持分を譲渡したため、関連会社から除外しております。

セグメントの内容は、次のとおりであります。

 

セグメント

取扱品目

売上構成比(%)

令和4年3月

令和5年3月

屋内配線工事

ビル・建築物の電気設備工事、
上下水道・各種産業機械プラントの設置工事、
太陽光発電設備工事

68.4

54.5

電力関連工事

送電線工事、地中送電線・地中配電線・地中通信線工事、発・変電所の電気設備工事、情報通信ケーブル工事、
建築物の空調自動制御システム工事

22.9

31.8

FA住宅環境設備機器

標準機器製品、冷暖房設備、太陽光発電設備、
ヒートポンプ、ビル電源機器、電子機器等販売

6.1

9.3

産業設備機器

電力設備機器、発電機車、情報通信システム、
電線類及び管路材料等販売

2.6

4.4

合計

100.0

100.0

 

なお、当グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。

屋内配線工事…………………水処理施設等の電気設備工事の一部につき、関係会社三菱電機株式会社より受注しております。

電力関連工事…………………発変電所の電気設備工事の一部につき、関係会社三菱電機株式会社より受注しております。

FA住宅環境設備機器…………関係会社三菱電機株式会社の製造するFA住宅環境設備機器を三菱電機株式会社あるいは三菱電機住環境システムズ株式会社より仕入し、販売しております。

産業設備機器…………………関係会社三菱電機株式会社の製造する産業設備機器を三菱電機株式会社あるいは三菱電機住環境システムズ株式会社より仕入し、販売しております。

 

 

事業の系統図は、次のとおりであります。

 


 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は
出資金
(千円)

主要な事業の内容

議決権の所有(又は被所有)割合
(%)

関係内容

役員の
兼任等

事業上の関係

(その他の関係会社)

 

 

 

 

 

 

三菱電機株式会社

東京都千代田区

175,820,770

電気機械器具
製造販売

直接

27.68

転籍3名

同社従業

員兼任2

電気設備工事の受注並びに商品の仕入(販売代理店・特約店)

 

(注) 1.三菱電機株式会社は、有価証券報告書提出会社であります。

2.令和5年3月31日付けでとかちソーラーファーム合同会社及び大樹ソーラーファーム合同会社の全持分を三菱電機フィナンシャルソリューションズ株式会社に譲渡したため、関連会社から除外しております。

 

 

5 【従業員の状況】
(1) 提出会社の状況

令和5年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

221

44.5

16.0

5,887,788

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

屋内配線工事

83

電力関連工事

60

FA住宅環境設備機器

18

産業設備機器

2

全社(共通)

58

合計

221

 

(注) 1.従業員は就業人員であります。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

 

(2) 労働組合の状況

当社の労働組合は、北弘電社労働組合と称し、昭和53年3月17日に結成され、令和5年3月31日現在の組合員数は125人であります。なお、労使関係は安定しております。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち正規

雇用労働者

うち非正規

雇用労働者

1.8

33.0

70.8

69.9

75.0

 

(注) 1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇取得率を算出したものであります。出生時育児休業(産後パパ育休)を含んで集計しております。

3.「労働者の男女の賃金の差異」について、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、賃金制度・体系において性別による差はありません。主に男女の勤続年数の差異によるものであります。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、明治43年の創業以来100年を超え、電気設備工事の施工を通じて地域社会への貢献を果たすべく、北海道を中心に「社会インフラ」「産業インフラ」「快適な事務・生活空間」を構築するための活動を続けてまいりました。

環境・エネルギーや安全・安心などの領域では、新しい社会の要請や価値観の多様化、加えて絶え間ない技術革新により、地域社会の仕組みや生活環境が大きく変化する可能性があり、機動的な対応が求められています。

積み重ねてきた実績や高めてきた品質・信頼を礎とし、鍛え上げてきた施工技術・施工能力を活かしながら、この変化をチャンスと捉え、お客様のご要望に応えられるよう感性と創造力を磨き、行動力を発揮し、企業価値向上への活動を進めてまいります。

令和2年度から『私たちは、「人」と「信頼」を大切にし、磨き上げた技術と高い品質に誇りを持ち、社会インフラを通して、人々の暮らしを支え続けます』を新たな企業理念として掲げ、北の100年企業として優れた技術と豊かな創造力で、地域と共に成長・発展できるよう努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社では、採算性及び事業の継続性の観点から「受注高」並びに「売上高」の確保と「営業利益」を重要な指標として位置付け、管理体制の再構築を前提に、営業体制の強化や市場価格に対応できるコスト体質改善を図り、採算性の向上に向けた原価管理の徹底、固定費の削減、業務効率化に積極的に取り組み、安定した経営基盤を強化・確立し、企業価値の拡大を目指してまいります。

 

(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

当社が事業領域としている北海道に於ける近年の経営環境は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための社会活動への制約が解消され、飲食や宿泊などこれまで抑圧されていた対面型サービス業を中心に個人消費が回復するなど、道内経済は持ち直しの動きがみられました。一方で、ウクライナ情勢の長期化による原油や天然ガスなどのエネルギー価格の高騰により、原材料価格や資材価格が高騰するなど企業への影響は避けられない状況にあります。

これらの当社に於ける今後の業績への影響は、現状では限定的であると想定しておりますが、今後の状況によっては、これらの影響が更に広範囲の企業収益や設備投資等へ拡大していくことも懸念され、その動向を注視する必要があります。

また、上記経営環境に加え、引き続き事業遂行における管理水準の向上を念頭に、信頼性のある経営基盤の構築に努めてまいります。

こうした状況の中で、当社は以下の事項を実施してまいります。

①客先要請に基づいた環境・エネルギー関連事業の推進を継続しつつ、長年培ってきた従来ビジネスの着実な運営により、経営基盤の更なる安定を図ってまいります。

②客先ニーズに迅速に対応し、強い提案力を発揮して対応策の検討と実行を行ってまいります。

③各事業の連携強化を推進し、全社一体感の醸成・人材の育成・働き方改革への対応・倫理遵法と安全への取り組みを行い、上記戦略を確実に実行するための基盤強化を図ってまいります。

永年に亘り培ってきた実績と信用を基盤に、客先への強い提案力を発揮し、積極的な事業展開を行ってまいります。

 

 

(4) 会社の対処すべき課題

今後の経営環境につきましては、新型コロナウイルス禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、景気は緩やかに回復基調に復帰することが見込まれます。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢及び急激な円安によるエネルギー価格の高騰、慢性的な労働者不足や建設資材価格の高騰による建設コストの上昇など、当社を取り巻く経営環境は、従来にも増して厳しく不確実な状況にあります。

当社はこのような状況に対処するため、引き続き以下の項目について従来以上の強化・徹底に努めてまいります。

①働き方改革の推進

②適正な受注量と利益率の向上

③現場教育体制強化による若手技術者の早期育成

④コンプライアンスと安全確保への取り組みの徹底

⑤コア事業の維持推進と成長戦略の推進・実行

⑥パートナー企業との関係強化による施工体制の強化

 

また、当社は第72期において、太陽光発電所建設工事及びその他の一部の案件において不適切な会計処理の疑義が生じ、特別調査委員会の設置及び調査が行われた結果、過年度有価証券報告書等の一部訂正を行っております。当社は、特別調査委員会の調査報告書による原因分析及び提言を真摯に受け止め、本事案の再発防止策について検討を重ね、以下の再発防止策を取締役会で決定致し、施策の実行を継続して行っております。

①大型案件等重要案件の管理強化

・現場代理人の補助者の設置をはじめ、管理職による現地へのより頻度の高い視察、工事部長による下請業者との協議等、現場代理人への適切なサポートとフォローが可能な体制、当該案件を担う事業部だけでなく会社全体でサポートを行う体制を構築し、運用しております。

・大型案件、特殊案件に特化した、より水準の高い管理体制について定めた「大型案件等の管理に関する管理規程」を制定し、厳格な運用を行っております。

②実行予算変更に関する仕組みの整備と教育

・実行予算の変更漏れを防止するため、変更の基準を明確化するなど、「受注工事管理規程」を改訂いたしました。

・実行予算の変更漏れがあった場合、早期に発見するため、管理部門である経理業務部が主体となり、内部牽制の仕組みを整備いたしました。

・一定期間にわたり収益を認識する工事における実行予算変更の要件、手順、変更の重要性、実行予算の適時での確実な変更が与える影響及び具体的な見積りの考え方について、会計上の理解を深めるための講習会を実施いたしました。

③管理部門及び取締役会によるリスク管理・モニタリングの強化

・管理部門が実行予算の管理について主体的に関与し、特に大型案件等重要案件に関しては、現場の状況を直接的に把握するため、工事部門に定期的なヒアリングを実施する等のより深化した管理体制を構築し、運用しております。

・工事原価の計上に関しては、予算の厳しい案件に関して、経理業務部が主体となり、複数の部門がその正当性をチェックする仕組みを構築し、運用しております。

・内部監査部門において、内部監査実施時に大型案件等重要案件のフォロー体制、工事原価の正当性に関する監査項目の充実を図るため、各部門の管理職へのヒアリングをスタートしております。具体的な監査項目の見直しは現在策定中です。

・取締役会や経営会議においては、監督機能を適切に発揮すべく大型案件等重要案件について、毎月のフォローの実施と問題の有無に関わらず、進捗確認の継続的なヒアリング等によりモニタリングを強化するため、業務執行状況の報告を義務化し、活発な意見交換を行っております。

④契約に依拠したリスク管理

・重要案件に関連する契約については、弁護士等の専門家によるチェックを受けることを制定した「大型案件等の管理に関する管理規程」内に規程化いたしました。

 

・元請業者との契約内容も踏まえて、下請業者との契約書の内容を確定し、契約履行中において実施内容が変更になった場合の元請業者・下請業者との適切な交渉を可能にするための契約をすることによって、リスクに対する備えの充実を図りました。

⑤意識改革と責任の明確化

・各階層の役割と責任を明確化するため、「大型案件等の管理に関する管理規程」を制定し、大型案件等重要案件の主管部門を明確にしたことや、毎月開催の進捗フォロー会議並びに取締役会、経営会議での進捗確認、業務執行状況の報告を徹底することにより、業務を安易に他人任せにせず、常に主体的に関与をしていく意識が醸成されるよう図ってまいりました。

・工事原価付替は決して行ってはならないとの強いトップメッセージを発信した上で、工事案件がたとえ赤字であっても原価の付替を絶対にやってはいけないとの教育を実施したことに加え、管理・監督者に対しては、工事原価付替を含むコンプライアンスと会計上のルールに関して、部下への指導を行っているかを講習会参加時に確認いたしました。

 

なお、当事業年度末において2,638,814千円の債務超過となりましたが、コア事業の収益性の維持・拡大、更なるコスト圧縮等の収益力の改善や現在検討中である資本政策を早期に実施することにより、当該債務超過を解消するよう努めてまいります。

 

株主の皆様には、多大なご迷惑とご心配をお掛けしておりますこと、改めて深くお詫び申しあげます。当社では、再発防止策に最優先で取り組み、信頼回復に努めて参りますので、何卒ご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 景気の変動について

景気動向の影響で、公共投資の縮小や民間設備投資の抑制等により、工事受注量の減少、過当競争による受注価格の下落が今後も続く場合並びに原油・素材価格の上昇や賃金の上昇によるコスト高等で、当社の業績に悪影響が出る場合があります。

 

(2) 高山ソーラーヒルズ太陽光発電所工事について

当社は、当社ビジネス統括本部内線統括部の太陽光発電所建設工事に関わる案件について、工事原価総額の見積りを見直したところ、損失が発生することが見込まれ、過去の会計処理に誤りがある可能性が判明したため、令和3年8月17日付で特別調査委員会を設置し、調査を進めてまいりました。

令和3年10月15日に、特別調査委員会から調査報告書を受領しており、土木工事費用等の一部の費用が適時に工事原価総額の見積りに反映されていなかったことが判明しました。

高山ソーラーヒルズ太陽光発電所工事は、当社が過去に経験したことのない管理の難易度が高い工事であり、気象条件や地理的要因、地中障害、工事従事者の不足等により、竣工時期の遅延や工事原価総額が増加する場合があります。今後、想定外の事象が発生した場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的規制について

当社が行う事業は、建設業法、建築基準法、独占禁止法、会社法等により法的規制を受けています。そのため、上記法律の改廃や新たな法的規制の導入、適用基準変更等によっては業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 災害等について

天災や想定条件外の原因等により、災害・感染症等が発生し被害を受けた場合には、工事等に影響を及ぼすとともに、修復費用等の発生等で業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社は、当社ビジネス統括本部内線統括部の太陽光発電所建設工事の工事コストの大幅な増加などにより、前事業年度まで2期連続して営業損失、経常損失及び当期純損失を計上致しました。また、同案件のコスト増の影響により、当事業年度においても営業損失2,059,254千円、経常損失2,064,358千円、当期純損失2,880,902千円を計上し、2,638,814千円の債務超過となりました。このため、当社の資金繰り計画に重要な影響があることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認められます。

当社は、当該状況を解消すべく、以下の対応策を実行し収益力の改善及び長期資金の確保に努めてまいる所存であります。

 

① 収益力の改善

当社の損失計上の原因は、特定の太陽光発電所建設工事に関わる案件の工事コストの増加であり、当該案件を除く他案件の収益性は引き続き維持していることから、当該案件のコスト増を抑制しつつ他案件で確実に利益を確保することにより業績の回復を図ります。加えて、顧客・株主を含めた関係者・取引先との連携を深め、そこから創出される新たな売上の拡大と利益の上積みによって更なる改善に向けて既存事業の強化を図り、営業利益率5%台の確保と再生可能エネルギー事業の拡大と新たな営業地域の拡大を目指してまいります。

 

② 長期資金の確保

取引金融機関に対し適時に当社の経営状況及び財政状態を報告し、ご理解を得ることによって良好な関係を維持し資金調達による長期資金の確保に引き続き努めてまいります。また、財政状態の改善を企図して、連携強化を前提とした顧客・株主を含めた関係者との資本関係の増強、資金繰りへの協力、事業連携等の可能性を検討していくこととしており、関係者に支援の要請を申し入れる等協議を進めてまいります。
 しかしながら、上記対応策は実施途上であり、関係者との合意が得られておらず取引金融機関の融資の判断も確定していないため、現時点においては継続企業の前提に関する不確実性が認められます。

なお、財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する不確実性の影響を財務諸表に反映しておりません。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和などにより、景気は持ち直しております。一方でウクライナ情勢などの長期化に伴うエネルギー価格や原材料価格の高騰、急激な円安など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。また、民間設備投資の増加、観光、個人消費や雇用動向は持ち直しの動きが見られるものの、公共工事の減少、生産活動に弱い動きが見られるなど、依然として不透明感が強く、今後の経済活動を注視していく必要が生じております。

このような状況の中、当社は、大型太陽光設備等の大口案件の売上計上額の減少により、売上高は13,301,801千円前年比20.7%の減収となりました。

しかしながら、売上高は減少したものの、損益につきましては、太陽光案件における工事損失引当金繰入額の減少等により、損失額が大幅に減少し経常損失は2,064,358千円前年比524,567千円の増益当期純損失は2,880,902千円前年比93,458千円の減益となりました。

以上のような状況をうけまして、当事業年度におきましては、財務体質および内部留保の改善、事業展開の充実を図るために、誠に遺憾ながら配当を見送らせていただくことといたします。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

セグメント

売上高(千円)

屋内配線工事

7,253,907

電力関連工事

4,228,066

FA住宅環境設備機器

1,229,219

産業設備機器

590,607

13,301,801

 

 

イ.屋内配線工事

大型太陽光設備等の大口案件の売上高の減少により、売上高は7,253,907千円となり、前年比4,207,924千円(36.7%)の減収となりました。

 

ロ.電力関連工事

地中線工事及び発変電工事の増加により、売上高は4,228,066千円となり、前年比380,119千円(9.9%)の増収となりました。

 

ハ.FA住宅環境設備機器

FA・設備機器物件の増加により、売上高は1,229,219千円となり、前年比212,349千円(20.9%)の増収となりました。

 

ニ.産業設備機器

設備機器物件の増加により、売上高は590,607千円となり、前年比153,079千円(35.0%)の増収となりました。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度の資産合計は、前期末比1,770,792千円(19.3%)減少7,415,354千円となりました。

流動資産につきましては、前期末比1,539,006千円(19.7%)減少6,255,078千円となりました。

これは主に、受取手形・完成工事未収入金等が939,724千円、材料貯蔵品が386,051千円減少したこと等によるものです。

固定資産につきましては、前期末比231,786千円(16.7%)減少1,160,276千円となりました。

これは主に、貸倒引当金が420,531千円増加したこと等によるものです。

 

(負債)

当事業年度の負債合計は、前期末比1,076,157千円(12.0%)増加10,054,169千円となりました。

流動負債につきましては、前期末比1,065,805千円(12.8%)増加の9,384,896千円となりました。

これは主に、工事損失引当金が606,294千円、工事未払金が579,960千円、買掛金が519,894千円減少したものの、短期借入金が1,400,000千円、未払金が748,916千円、未成工事受入金が391,272千円、損害賠償損失引当金が337,537千円増加したこと等によるものです。

固定負債につきましては、前期末比10,351千円(1.6%)増加の669,273千円となりました。

これは主に、繰延税金負債13,308千円増加したこと等によるものです。

 

(純資産)

純資産合計は、前期末比2,846,950千円減少の△2,638,814千円となりました。

これは主に、利益剰余金が当期純損失の計上等により2,880,902千円減少したこと等によるものです。

この結果、自己資本比率は△35.6%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の期末残高は1,465,617千円前事業年度に比べ6,866千円の減少となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、1,798,435千円(前期は4,573,069千円の支出)となりました。これは主に原材料又は商品の仕入れによる支出及び外注費の支出が減少したものの、営業収入が減少したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は、413,332千円(前期は4,760千円の収入)となりました。これは主にその他の関係会社有価証券の売却による収入が増加したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、1,378,236千円(前期は3,576,526千円の収入)となりました。これは主に短期借入れによる収入によるものです。

 

④ 施工、受注及び販売の状況
a.施工実績

 

区分

金額(千円)

前年同期比(%)

屋内配線工事

6,600,595

56.4

電力関連工事

4,224,885

110.0

合計

10,825,480

69.7

 

 

イ.受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高

 

期別

工事種類別

前期繰越
工事高
(千円)

当期受注
工事高
(千円)


(千円)

当期完成
工事高
(千円)

次期繰越工事高(千円)

当期施工高
(千円)

手持工事高

うち施工高

前事業年度

(自令和3年4月1日

令和4年3月31日)

屋内配線
工事

13,694,859

4,392,048

18,086,908

11,461,831

6,625,076

17.1%

1,133,529

11,696,427

電力関連
工事

1,671,004

3,565,356

5,236,360

3,847,946

1,388,414

1.9%

26,560

3,842,123

15,365,864

7,957,404

23,323,268

15,309,778

8,013,490

14.5%

1,160,089

15,538,551

当事業年度

(自令和4年4月1日

令和5年3月31日)

屋内配線
工事

6,625,076

6,342,398

12,967,474

7,253,907

5,713,567

8.4%

480,217

6,600,595

電力関連
工事

1,388,414

4,744,103

6,132,517

4,228,066

1,904,450

1.2%

23,378

4,224,885

8,013,490

11,086,501

19,099,992

11,481,973

7,618,018

6.6%

503,596

10,825,480

 

(注) 1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減があるものにつきましては、当期受注工事高にその増減高を含んでおります。

2.次期繰越高の施工高は、手持工事高の施工高を未成工事支出金に基づき計算したものであります。

3.当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。

 

ロ.受注工事高の官庁と民間の区分比率

 

期別

区分

官庁

民間

前事業年度

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

屋内配線工事

15.9

84.1

100.0

電力関連工事

11.3

 

88.7

 

100.0

 

13.8

 

86.2

 

100.0

 

当事業年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

屋内配線工事

28.6

71.4

100.0

電力関連工事

0.4

 

99.6

 

100.0

 

16.5

 

83.5

 

100.0

 

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

ハ.完成工事高

 

期別

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

計(千円)

前事業年度

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

屋内配線工事

1,816,783

9,645,048

11,461,831

電力関連工事

3,467

3,844,479

3,847,946

1,820,250

13,489,528

15,309,778

当事業年度

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

屋内配線工事

917,977

6,335,929

7,253,907

電力関連工事

21,351

4,206,715

4,228,066

939,328

10,542,645

11,481,973

 

(注) 1.完成工事のうち大口(請負金額3億円以上)の主なものは、次のとおりであります。

   前事業年度

株式会社 関電工

・高山ソーラーヒルズ太陽光発電所建設工事

札幌開発建設部

 

・一般国道230号 札幌市 北1条地下駐車場非常用予備発電設備設置外工事

株式会社 札幌エネルギー供給公社

・受変電設備更新工事

札幌市役所

・札幌ドーム一般照明改修工事その1

SSJメガソーラー65 合同会社

・SSJ江刺田原根木町太陽光発電所建設工事

北海道電力ネットワーク 株式会社

 

・空知線(江)鉄塔建替(2020・2021)および関連除却

北海道電力ネットワーク 株式会社

・室蘭東幹線再設(2期)のうち第1次鉄塔工事

北海道電力ネットワーク 株式会社

 

・(仮称)北海道ボールパーク地中支線新設のうち管路工事(R3:1工区)

北海道電力 株式会社

 

・奥新冠発電所 発電用変圧器他取替(2021年度工事分)

北海道電力 株式会社

・泊発電所構内埋設電線管設備他設置工事および関連除却

 

 

   当事業年度

株式会社 関電工

・高山ソーラーヒルズ太陽光発電所建設工事

大成建設 株式会社 札幌支店

 

・北8西1地区第一種市街地再開発事業 施設建築物新築工事(A棟)

大成建設 株式会社 札幌支店

・札幌医科大学附属病院既存棟改修第Ⅲ期工事

SSJメガソーラー65 合同会社

・SSJ江刺田原根木町太陽光発電所建設工事

北海道電力 株式会社

・泊発電所構内埋設電線管設備他設置工事および関連除却

 

 

2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

株式会社 関電工

5,021,355

千円

32.6

 

北海道電力ネットワーク 株式会社

2,712,010

千円

17.6

 

当事業年度

北海道電力ネットワーク 株式会社

3,926,413

千円

34.2

 

株式会社 関電工

1,580,684

千円

13.8

 

大成建設 株式会社 札幌支店

1,153,315

千円

10.0

 

 

 

ニ.手持工事高 (令和5年3月31日現在)

 

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

計(千円)

屋内配線工事

1,371,730

4,341,837

5,713,567

電力関連工事

398,255

1,506,195

1,904,450

合計

1,769,985

5,848,033

7,618,018

 

(注)  手持工事のうち大口(請負金額3億円以上)の主なものは、次のとおりであります。

大成建設 株式会社 札幌支店

・北8西1地区第一種市街地再開発事業 施設建築物新築工事(A棟)

令和5年12月完成予定

 

北海道企業局

 

・ポンテシオ発電所改修事業 屋外変電設備改修工事

令和6年1月完成予定

 

大成建設 株式会社 札幌支店

・札幌医科大学附属病院既存棟改修第Ⅲ期工事

 

令和6年8月完成予定

 

清水建設 株式会社 北海道支店

・Chalet Ivy Weiss 新築工事

令和6年11月完成予定

 

 

 

b.受注工事高実績

 

区分

金額(千円)

前年同期比(%)

屋内配線工事

6,342,398

144.4

電力関連工事

4,744,103

133.1

合計

11,086,501

139.3

 

 

c.商品販売実績

 

区分

金額(千円)

前年同期比(%)

FA住宅環境設備機器

1,229,219

120.9

産業設備機器

590,607

135.0

合計

1,819,827

125.1

 

(注)  商品販売実績総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の商品販売実績及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

北電興業 株式会社 

236,693千円

16.3%

 

株式会社 月寒製作所

148,745千円

10.2%

 

当事業年度

 

北海道ネットワーク 株式会社

284,916千円

 

19.6%

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績の分析

経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、工事に係る材料費・外注費・経費、商品の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは従業員の人件費であります。

運転資金及び設備資金については、内部資金又は借入により資金調達することとしています。

工事部門においては、工事が竣工するまで入金されないことが多く、期中において不足資金を短期借入金として銀行より資金調達することがあります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項」に記載しております。この財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。

財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下の通りです。

 

a.繰延税金資産

繰延税金資産の回収可能性の判断については、将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上することになります。当社は、税務上の欠損金が発生しており、繰延税金資産の回収可能性を合理的に見積もることは困難と判断し、繰延税金資産を計上していません。

 

b.固定資産の減損処理
 当社は、固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候把握、減損損失の認識や測定にあたっては慎重に検討しておりますが、市場経済の悪化や利益計画の変動等により固定資産の減損処理の見積りに影響を与える事象が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

c.高山ソーラーヒルズ太陽光発電所工事における収益認識及び工事損失引当金

高山ソーラーヒルズ太陽光発電所工事の完成工事高は、収益及び費用の計上基準に記載のとおり、工事収益総額、工事原価総額及び発生した工事原価により履行義務の充足に係る工事進捗度を見積り、一定の期間にわたり収益を認識しております。また、工事損失引当金は、工事原価総額等が工事収益総額を超過すると見込まれる額のうち、既に計上された工事損失の額を控除した残額を同引当金として計上し、同引当金期首残高との差額を工事損失引当金繰入額として計上しております。

工事進捗度は、主として工事原価総額の変化によって重要な影響を受けております。工事原価総額の見積りにおける主要な仮定は、土木工事費用等を含む外注費と判断しており、外注業者からの見積書を基礎として、専門的な判断を加えて仮定しております。

工事原価総額の見積りにおける外注費は、想定し得なかった気象条件や地理的要因、地中障害、工事従事者の不足等により変動することから、工事原価総額の見積りは不確実性を伴います。外注費が変化した場合、工事原価総額が増減し、工事進捗度の変化を通じて完成工事高に影響します。また、同様に工事損失引当金にも影響があります。

このように、外注費に伴う不確実性により、翌事業年度の収益認識及び工事損失引当金に重要な影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

主な代理店契約等は次のとおりであります。

 

相手方の名称

契約の種類

主要取扱商品

契約期間

備考

三菱電機株式会社

代理店契約

標準機器製品

昭和59年4月1日から

1ヶ年

自動更新

特約店契約

ビル電源機器、受発電設備、自家発電設備、CVCF設備

平成4年10月1日から

1ヶ年

自動更新

取扱店契約

電子通信機器

平成4年10月1日から

1ヶ年

自動更新

三菱重工業株式会社

代理店契約

立体駐車場設備

平成2年8月17日から

1ヶ年

自動更新

川崎重工業株式会社

代理店契約

ガスタービン発電設備

昭和53年9月22日から

1ヶ年

自動更新

古河電気工業株式会社

代理店契約

電線類

平成5年4月1日から

1ヶ年

自動更新

三菱電機FA産業機器株式会社

販売店契約

電気ホイスト

平成12年4月1日から

1ヶ年

自動更新

 

 

2 【主要な設備の状況】

令和5年3月31日現在における各事業所の設備、従業員の配置状況は次のとおりであります。

 

事業所名
(所在地)

セグメント名称

帳簿価額(千円)

従業員数
(人)

建物及び
構築物

工具器具

・備品

土地
(面積㎡)

車両

運搬具

機械及び
装置

リース

資産

合計

本社

(札幌市

中央区)

全社

363,984

12,752

264,946

(2,147)

2,511

19,334

663,530

198

函館支社

(北海道

函館市)

屋内配線

工事

14,326

233

6,192

(598)

20,752

6

旭川支社
(北海道

旭川市)

屋内配線

工事

201

50

0

(920)

251

3

東京支社
(東京都

台東区)

屋内配線

工事

(―)

釧路支社
(北海道

釧路市)

屋内配線

工事

8,046

56

17,577

(902)

25,680

5

帯広支社
(北海道

帯広市)

屋内配線

工事

6,673

162

0

(―)

6,836

4

苫小牧支社

(北海道

苫小牧市)

屋内配線

工事

0

0

11,786

(694)

11,786

4

北弘電社

テクノ

センター
(石狩市)

電力関連

工事

19,282

1,361

35,285

(12,000)

0

17,663

73,593

1

 

412,515

14,617

335,788

(17,262)

0

20,175

19,334

802,431

221

 

 

① 【株式の総数】

 

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

2,280,000

2,280,000

 

 

② 【発行済株式】

 

種類

事業年度末現在
発行数(株)
(令和5年3月31日)

提出日現在
発行数(株)
(令和5年6月29日)

上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

650,000

650,000

札幌証券取引所

単元株式数は100株であります。

650,000

650,000

 

 

① 【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

 

② 【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

 

(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】

 

年月日

発行済株式
総数増減数
(株)

発行済株式
総数残高
(株)

資本金増減額
 
(千円)

資本金残高
 
(千円)

資本準備金
増減額
(千円)

資本準備金
残高
(千円)

平成29年10月1日

△5,850,000

650,000

840,687

687,087

 

(注) 株式併合(10:1)によるものであります。

 

 

(5) 【所有者別状況】

令和5年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満
株式の状況
(株)

政府及び
地方公共
団体

金融機関

金融商品
取引業者

その他の
法人

外国法人等

個人
その他

個人以外

個人

株主数
(人)

6

45

3

1,094

1,148

所有株式数
(単元)

454

2,507

294

3,211

6,466

3,400

所有株式数
の割合(%)

7.02

38.77

4.55

49.66

100.00

 

(注) 自己株式19,345株は「個人その他」に193単元、「単元未満株式の状況」に45株含まれております。

 

(6) 【大株主の状況】

令和5年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数
(千株)

発行済株式
(自己株式を
除く。)の
総数に対する
所有株式数
の割合(%)

三菱電機株式会社

東京都千代田区丸の内2丁目7-3

173

27.53

Black Clover Limited
 
 
 
 
 (常任代理人三田証券株式会社)

Sertus Chambers,Second Floor,The Quadrant,Manglier Street P.O.Box 334,Victoria,Mahe,Republic of Seychelles
(東京都中央区日本橋兜町3-11)
 

27

4.36

北弘電社従業員持株会

札幌市中央区北11条西23丁目2-10
北弘電社ビル内

26

4.18

株式会社北洋銀行

札幌市中央区大通西3丁目7

14

2.30

株式会社北海道銀行

札幌市中央区大通西4丁目1

12

1.90

株式会社月寒製作所

札幌市清田区平岡1条5丁目2-1

10

1.70

須田 忠雄

群馬県桐生市

8

1.33

株式会社菱弘電設

札幌市中央区北11条西23丁目2-10
北弘電社ビル内

8

1.27

能美防災株式会社

東京都千代田区九段南4丁目7-3

7

1.14

日本マスタートラスト信託銀行株式会社
(退職給付信託口・株式会社弘電社口)

東京都港区浜松町2丁目11-3

7

1.11

295

46.82

 

(注)  当社は自己株式19千株を保有しておりますが、上記大株主から除いております。

 

①【貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(令和4年3月31日)

当事業年度

(令和5年3月31日)

資産の部

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

現金預金

1,472,484

1,465,617

 

 

受取手形・完成工事未収入金等

※1 5,229,395

※1 4,289,671

 

 

商品

87,474

121,327

 

 

未成工事支出金

※3 35,764

49,956

 

 

材料貯蔵品

386,051

-

 

 

前渡金

79,750

28,984

 

 

前払費用

26,131

20,576

 

 

立替金

133,629

46,720

 

 

その他

※6 345,903

※6 302,605

 

 

貸倒引当金

2,500

70,383

 

 

流動資産合計

7,794,084

6,255,078

 

固定資産

 

 

 

 

有形固定資産

 

 

 

 

 

建物

1,424,220

1,424,220

 

 

 

 

減価償却累計額

1,001,692

1,021,024

 

 

 

 

建物(純額)

※4 422,527

403,195

 

 

 

構築物

83,212

83,212

 

 

 

 

減価償却累計額

72,938

73,892

 

 

 

 

構築物(純額)

10,274

9,320

 

 

 

機械及び装置

82,700

82,700

 

 

 

 

減価償却累計額

57,454

62,524

 

 

 

 

機械及び装置(純額)

25,246

20,175

 

 

 

車両運搬具

1,130

1,130

 

 

 

 

減価償却累計額

1,129

1,129

 

 

 

 

車両運搬具(純額)

0

0

 

 

 

工具、器具及び備品

518,511

518,258

 

 

 

 

減価償却累計額

494,649

503,641

 

 

 

 

工具、器具及び備品(純額)

23,861

14,617

 

 

 

土地

※4 335,788

335,788

 

 

 

リース資産

26,400

24,997

 

 

 

 

減価償却累計額

23,606

5,662

 

 

 

 

リース資産(純額)

2,793

19,334

 

 

 

有形固定資産合計

820,491

802,431

 

 

無形固定資産

 

 

 

 

 

ソフトウエア

25,520

18,162

 

 

 

リース資産

50,017

33,831

 

 

 

電話加入権

102

102

 

 

 

無形固定資産合計

75,640

52,096

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(令和4年3月31日)

当事業年度

(令和5年3月31日)

 

 

投資その他の資産

 

 

 

 

 

投資有価証券

※4 326,955

246,089

 

 

 

関係会社株式

※4 16,920

18,942

 

 

 

その他の関係会社有価証券

8,000

-

 

 

 

出資金

2,547

2,547

 

 

 

従業員に対する長期貸付金

910

710

 

 

 

破産更生債権等

31,783

466,864

 

 

 

長期前払費用

118

27

 

 

 

会員権等

9,728

7,340

 

 

 

その他

130,751

15,542

 

 

 

貸倒引当金

31,783

452,314

 

 

 

投資その他の資産合計

495,931

305,748

 

 

固定資産合計

1,392,062

1,160,276

 

資産合計

9,186,147

7,415,354

負債の部

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

支払手形

537,599

515,254

 

 

工事未払金

1,103,579

523,619

 

 

買掛金

※6 1,416,431

※6 896,536

 

 

短期借入金

3,700,000

5,100,000

 

 

リース債務

21,051

23,381

 

 

未払金

※6 298,600

※6 1,047,517

 

 

未払費用

16,818

18,549

 

 

未払法人税等

8,054

11,855

 

 

未成工事受入金

※5 9,843

※5 401,115

 

 

前受金

※5 39,877

※5 15,968

 

 

預り金

24,047

23,968

 

 

賞与引当金

96,797

92,073

 

 

工事損失引当金

949,359

343,065

 

 

工事補償損失引当金

97,029

34,453

 

 

損害賠償損失引当金

-

337,537

 

 

流動負債合計

8,319,090

9,384,896

 

固定負債

 

 

 

 

リース債務

38,638

35,091

 

 

繰延税金負債

11,570

24,878

 

 

長期預り保証金

9,788

10,777

 

 

退職給付引当金

590,924

583,726

 

 

役員退職慰労引当金

8,000

14,800

 

 

固定負債合計

658,921

669,273

 

負債合計

8,978,011

10,054,169

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(令和4年3月31日)

当事業年度

(令和5年3月31日)

純資産の部

 

 

 

株主資本

 

 

 

 

資本金

840,687

840,687

 

 

資本剰余金

 

 

 

 

 

資本準備金

687,087

687,087

 

 

 

その他資本剰余金

21

21

 

 

 

資本剰余金合計

687,108

687,108

 

 

利益剰余金

 

 

 

 

 

利益準備金

77,935

77,935

 

 

 

その他利益剰余金

 

 

 

 

 

 

別途積立金

2,371,262

2,371,262

 

 

 

 

繰越利益剰余金

3,761,076

6,641,978

 

 

 

利益剰余金合計

1,311,878

4,192,781

 

 

自己株式

30,136

30,136

 

 

株主資本合計

185,780

2,695,122

 

評価・換算差額等

 

 

 

 

その他有価証券評価差額金

22,355

56,307

 

 

評価・換算差額等合計

22,355

56,307

 

純資産合計

208,135

2,638,814

負債純資産合計

9,186,147

7,415,354

 

②【損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(自 令和3年4月1日

 至 令和4年3月31日)

当事業年度

(自 令和4年4月1日

 至 令和5年3月31日)

売上高

 

 

 

完成工事高

15,309,778

11,481,973

 

商品売上高

1,454,399

1,819,827

 

売上高合計

※1 16,764,177

※1 13,301,801

売上原価

 

 

 

完成工事原価

17,239,492

12,337,636

 

 

商品期首棚卸高

16,666

87,474

 

 

当期商品仕入高

※7 1,239,681

※7 1,530,177

 

 

合計

1,256,347

1,617,652

 

 

商品期末棚卸高

87,474

121,327

 

商品売上原価

1,168,872

1,496,324

 

売上原価合計

18,408,364

13,833,960

売上総利益

 

 

 

完成工事総損失(△)

1,929,713

855,662

 

商品売上総利益

285,526

323,503

 

売上総損失(△)

1,644,186

532,159

販売費及び一般管理費

 

 

 

役員報酬

55,603

41,661

 

従業員給料手当

487,114

543,066

 

賞与引当金繰入額

33,798

36,180

 

退職金

744

1,913

 

退職給付費用

35,596

32,656

 

役員退職慰労引当金繰入額

9,600

6,800

 

法定福利費

87,136

86,932

 

福利厚生費

26,866

27,405

 

通信交通費

56,556

57,482

 

広告宣伝費

7,476

2,134

 

交際費

8,620

9,814

 

寄付金

295

60

 

地代家賃

18,559

20,328

 

業務委託費

2,400

-

 

減価償却費

27,245

23,470

 

租税公課

31,042

197,695

 

貸倒損失

-

92,759

 

荷造運搬費

19,342

19,032

 

雑費

189,443

327,702

 

販売費及び一般管理費合計

※7 1,097,441

※7 1,527,094

営業損失(△)

2,741,628

2,059,254

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(自 令和3年4月1日

 至 令和4年3月31日)

当事業年度

(自 令和4年4月1日

 至 令和5年3月31日)

営業外収益

 

 

 

受取利息

※7 1,597

682

 

受取配当金

※7 97,483

※7 75,139

 

受取賃貸料

4,293

4,747

 

保険解約返戻金

1,177

2,890

 

役員退職慰労引当金戻入額

42,400

-

 

雑収入

13,445

14,881

 

営業外収益合計

160,396

98,341

営業外費用

 

 

 

支払利息

7,693

※7 88,440

 

支払保証料

-

14,535

 

雑支出

0

469

 

営業外費用合計

7,693

103,446

経常損失(△)

2,588,925

2,064,358

特別利益

 

 

 

固定資産売却益

※2 16,485

※2 30,165

 

その他の関係会社有価証券売却益

-

248,365

 

工事補償損失引当金戻入額

※7 148,977

-

 

特別利益合計

165,463

278,530

特別損失

 

 

 

固定資産売却損

-

※5 3,853

 

投資有価証券評価損

-

24,330

 

ゴルフ会員権売却損

-

833

 

損害賠償損失

-

※6 1,071,958

 

過年度決算訂正関連費用

※3 316,391

※3 6,000

 

減損損失

※4 19,280

-

 

特別損失合計

335,671

1,106,976

税引前当期純損失(△)

2,759,134

2,892,805

法人税、住民税及び事業税

29,521

11,902

法人税等調整額

1,211

-

法人税等合計

28,309

11,902

当期純損失(△)

2,787,443

2,880,902

 

1.報告セグメントの概要

当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。 

当社は、工事部門と販売部門から構成されており、「屋内配線工事」「電力関連工事」「FA住宅環境設備機器」「産業設備機器」の4つを報告セグメントとしております。 

「屋内配線工事」は、ビル・建築物の電気設備工事、上下水道・各種産業機器プラントの設備工事、太陽光発電設備工事、その他工事を行っております。「電力関連工事」は、送電線工事、地中送電線・地中配電線・地中通信線工事、発・変電所の電気設備工事、建築物の空調自動制御システム工事、情報通信ケーブル工事等を行っております。「FA住宅環境設備機器」は、標準機器製品、冷暖房設備、太陽光発電設備、ヒートポンプ、ビル電源機器、電子機器等、その他の販売・仲介を行っております。「産業設備機器」は、電力設備機器、発電機車、情報通信システム、電線類及び管路材料、その他の販売・仲介を行っております。