株式会社安藤・間
(注) 1.従業員数は就業人員数を表示しています。
2.第10期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第9期の期首から適用しており、第8期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっています。
(注) 1.従業員数は就業人員数を表示しています。
2.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。
3.第10期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第9期の期首から適用しており、第8期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっています。
株式会社間組の起源は、1889年4月間猛馬の個人企業として福岡県門司に創業し、土木建築の請負に従事したことから始まりました。その後、本店を下関から東京に移転するとともに、合資会社から株式会社へと組織の拡充を行いながら、活発な営業展開を進め全国的規模での工事を手がけるようになり、特に大型土木を得意とする総合建設業者となりました。
当社は、この旧ハザマ(青山管財株式会社)が2003年10月1日に分割型分割(混合型)による新設分割を行ったことにより、建設事業部門の承継会社として設立されました。
設立後の主な変遷は次のとおりです。
安藤建設株式会社の起源は、1873年安藤庄太郎により、東京神田松枝町において「安藤方」と称し、煉瓦建築を施工する建築業者として始まりました。
1911年1月出資金100万円をもって合名会社安藤組に改めました。
その後の主な変遷は次のとおりです。
2013年4月 2013年4月1日付で株式会社間組と安藤建設株式会社が合併し、株式会社安藤・間発足。
本店を港区赤坂六丁目1番20号へと移転。
2022年4月 東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行。
2022年5月 本店を港区東新橋一丁目9番1号へと移転。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、2023年3月31日現在、当社、子会社8社、関連会社9社で構成され、建設事業(土木・建築)を主な事業とし、さらに各事業に関連する事業活動を展開しています。
当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりです。
建設事業(土木事業・建築事業)
当社は総合建設業を営んでおり、セグメントを土木事業、建築事業に区分しています。
グループ事業
連結子会社である、安藤ハザマ興業株式会社は建設用資材の販売及びリースを、青山機工株式会社は土木及び建築工事の施工等を、菱晃開発株式会社は不動産の売買、賃貸並びにその仲介を、在外子会社であるハザマアンドウ(タイランド)等は現地国における建設事業を、それぞれ主要事業としています。
事業の系統図は次のとおりです。

(注) 1.主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しています。
2.上記の会社は、有価証券報告書を提出していません。
3.特定子会社に該当します。
2023年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員です。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員です。
2.平均勤続年数は、旧ハザマ(青山管財株式会社)及び安藤建設株式会社における勤続年数を通算して算出しています。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
4.全社(共通)は提出会社の総務及び経理等の管理部門の従業員です。
2013年7月27日をもって、旧間組職員労働組合と旧安藤建設職員組合が統合し、安藤・間職員組合が結成されました。2023年3月末現在の組合員数は2,026人です。結成以来円満に推移しており特記すべき事項はありません。
なお、当組合は日本建設産業職員労働組合協議会に加盟しています。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
労働者の男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。当社の賃金は、社員区分や雇用形態ごとに設定された給与体系を採用していますが、男女の賃金の差異が生じているのは以下の理由によるものです。
1.管理職に占める女性労働者の割合が低いこと
2.女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定に基づいた女性労働者の新規採用を強化したことにより、相対的に賃金水準の低い女性労働者が増加したこと
3.正規雇用労働者のうち、総合職、地域限定総合職、地域職の区分について、女性労働者は総合職と比べて賃金水準が低い地域限定総合職、地域職の割合が高いこと
4.有期労働者のうち、高度専門能力を保有する者、特定職務を担当する者が採用となる賃金水準の高い特別職の社員について、男性労働者の割合が高いこと
上記内容については、外部採用や地域職から地域総合職・総合職への登用、女性労働者のキャリア支援研修などを積極的に実施し、多様性の確保を図り、男女の賃金の差異縮小に努めていきます。
② 連結子会社
(注) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
当社グループは、2020年2月に策定した「安藤ハザマ VISION2030」の実現に向け「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」に掲げた戦略的な成長投資を展開するとともに、事業ポートフォリオの変革による環境変化に強い企業体質を目指し、経営基盤の安定・強化と企業価値の向上に取り組みました。
計画最終年度となる当連結会計年度においては、ICTやAIを活用した自動化・省人化の技術開発、脱炭素・循環型社会の実現に向けたカーボンプールコンクリートの開発・実装や太陽光PPA・バイオマス発電等の再生可能エネルギー事業の取組、DX認定事業者選定やBIM国際標準規格の認証取得など生産性向上に寄与するDX推進、健康経営の実践や従業員の労働環境の充実、人財育成基本方針・教育計画の再構築等、各種の重点施策において確実な成果を残しました。
一方、目標数値は、新型コロナウイルス感染症拡大や、地政学リスクに起因する資材高など、様々な想定外の事象に伴う建設市場の変化もあり、最終年度の経常利益や資本効率は計画未達となりましたが、2021年11月の株主還元方針拡充後の総還元性向目標は達成しました。
当該状況を受け、当社は、変化が激しく先行き不透明な今の時代においては、今後も起こり得る想定外の困難を克服し、持続的な成長を実現していくため、多様な個々の力をこれまで以上に高め集結し、さらなる組織力の強化を図っていく必要があると考えており、その実現に向け取り組むべき課題を「事業強化」「人的資本の価値向上」「ESG経営の推進」の3点と捉え、今般「中期経営計画2025」を策定しました。
なお、「安藤ハザマVISION2030」、「中期経営計画2025」の概要は以下のとおりです。
<「安藤ハザマ VISION2030」の概要>
(1)長期ビジョン
~イノベーションの加速とたゆまぬチャレンジで新たな価値を創造、社会課題の解決に貢献~
「お客様価値の創造」/「株主価値の創造」/「環境価値の創造」/「従業員価値の創造」
(2)取組内容
・建設事業:受注力×現場力×収益力の更なる強化
・建設外事業:エネルギー関連事業を核とした収益源の確立
(3)長期目標数値
連結経常利益400億円、同利益に占める建設外事業収益比率25%
<中期経営計画2025の概要>
(1)計画期間
2024年3月期~2026年3月期
(2)基本方針
4つの価値創造に向けて ~企業価値向上+会社の魅力向上~
(3)取り組むべき課題と対応の方向性
①事業強化
外部環境変化に即応した事業運営、適切な資本施策の実現
・安全、品質の向上と利益の確保
・強みのあるセグメントの拡充など、建設事業の営業力、現場力、設計能力、及び技術力の強化
・成長投資の着実な実行による環境変化への耐性が高い事業ポートフォリオの構築
・グループ会社の専門性を生かしたコスト競争力の強化
・ノウハウの伝承などの人財育成と協力会社との関係強化による施工体制の強化
・DXへの取組強化によるデータに基づく戦略立案・実施と生産性向上
②人的資本の価値向上
積極的な人的資本投資による従業員価値の最大化
・人的資本投資の拡充
・多様な人財確保と従業員価値の最大化による経営基盤強化
③ESG経営の推進
環境・社会への貢献、ガバナンスの継続的な強化
・ESGへの取組強化等により環境変化への感度を高め、社会やお客様のニーズへの対応力強化
・ガバナンス強化による資本効率の高い経営推進と適切な成長投資の実行
(4)目標数値
今後の事業環境につきましては、ウィズコロナの下で持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価・エネルギー価格の上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
建設業界では、長期的な人口減少等を背景にした建設投資の縮小や、建設技能労働者の減少と高齢化及び2024年4月に予定される時間外労働の上限規制への対応としての働き方改革、生産性向上、並びに人的資本の向上に資する人財育成や処遇改善等が継続的な課題になっており、加えて社会的要請として脱炭素をはじめサステナブルな社会の実現への取組強化が求められています。
当社は、リスクの発生防止及びリスクが発生した場合の損失の最小化を図り、会社業務の円滑な運営に資するため、リスクマネジメントに関する規定類及び体制を整備し、当社グループ全体で対応すべき重要なリスクの評価、当該リスクへの対応策のとりまとめ、及び当該対応策の推進を図っています。また、内部統制システム全般についての継続的改善を目的に、当連結会計年度末(2023年3月31日)においては、取締役会の諮問委員会として設置された内部統制委員会が、リスクマネジメントの運営状況について、定期的に検証し、取締役会へ報告することとしていました。
2023年6月29日より、内部統制・リスク管理委員会が、リスクマネジメントの運営状況について、定期的に検証し、取締役会の諮問委員会として設置されたサステナビリティ委員会に報告し、サステナビリティ委員会は、当該運営状況を監督し、取締役会に報告する体制としています。
リスクマネジメント体制を含む内部統制システムの詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 (3)提出会社の企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 ④その他の提出会社の企業統治に関する事項」に記載のとおりです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 競争環境の悪化
想定を上回る建設市場の縮小や競争激化が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対応すべく、長期ビジョン、中期経営計画及び事業計画(単年度)を策定した上で事業活動を営んでいますが、想定を上回る環境の変化が発生した場合には、適宜計画等の見直しを行い、業績等への影響を極小化すべく取組む方針です。
当社グループは会社法、金融商品取引法、労働基準法、独占禁止法、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法等の適用を受けています。役職員に対するコンプライアンスの徹底や法令リスク管理等を行っていますが、法令諸規制の改廃や新設が行われて、もしくは法令諸規制の違反が発生して当社グループの営業活動に大きな制約が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社グループにおいて一貫した方針のもとに公正かつ透明な事業運営を確保するために、コンプライアンス推進委員会を設置するとともに各部門及び主要グループ会社にはコンプライアンス責任者・担当者を配置し、本社監査部主管のもと、各種推進活動の効果的な展開を図っています。
(3) 諸外国における事業環境の変化
諸外国で事業を行っているため、その国の法令諸規制・税制の予期せぬ改廃・新設、政治・経済・社会情勢の著しい変化、為替相場の大きな変動が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、既進出国の法令諸規則、税制、政治・経済・社会情勢に関する情報を当該国の専門家から入手し、重大な変更が見込まれる場合は事前に社内体制を強化する等、変化に対応すべく取組んでいます。また、新規進出国の事業環境に関する情報は、外部の専門家を使い情報を入手し、入手した情報に基づいて取締役会で進出の可否に関して慎重に検討しています。
(4) 気候変動リスク
「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)重要なサステナビリティ項目 ②環境(気候変動) (ハ)戦略」に記載の「リスク要因」が顕在化した場合、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業継続に向けて自然災害に対する備えを適切に行うとともに、2020年2月に制定した長期ビジョン「安藤ハザマVISION2030」の中で「環境価値の創造」を掲げ、「脱炭素で低負荷な循環型社会の実現」への貢献を目指しており、SBT、RE100の計画に基づいた、事業活動における再生可能エネルギーの利用拡大や、建物のCO2排出量削減につながる環境配慮型技術の開発等、脱炭素社会の実現に向けた取組を推進しています。
また、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)重要なサステナビリティ項目 ②環境(気候変動) (イ)ガバナンス」に記載のとおり、気候変動に対するガバナンス体制を構築しています。
(5) 感染症の蔓延
感染症の蔓延が発生した場合、会社機能の一部の一時停止や工事の一時中断等により、また、事業環境の悪化による工事受注高の減少等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症への対応としては、「新型コロナウイルス感染症の基本的な感染対策」を策定し、感染拡大防止に努めています。
(6) 労務費・資材価格の高騰
国内外の急激な経済情勢の変化を受けて、労務・資材・エネルギーの不足や価格の急激な高騰により建設コストが大幅に増加した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、集中購買や海外調達等によるコストダウンを図るとともに、物価及び賃金等の変動に基づく請負代金額の変更に関する規定を、発注者と締結する契約書の条項に含める等の対策を実施しています。
当社では計画的な人員計画により、継続的に新規人材を採用していますが、技術系社員について必要な採用数が確保できない場合、事業規模の縮小を余儀なくされ、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、建設業界においては技能労働者が減少傾向にあり、必要な労務が確保できなくなること、あるいは労務調達コストの上昇により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2023年5月に策定した「中期経営計画2025」(2023年度~2025年度)において、掲げた協力会社に対する重点施策である、DX化への対応支援、人材育成支援、採用支援等を行うことにより、協力会社との関係強化を図り、将来の施工体制の維持に向けて積極的に取り組んでいます。また、当社内においては、Well-beingを人財戦略の中心に据え、従業員の報酬アップ、定年後再雇用者の処遇改善、納得性の高い人事制度及び評価システムの再構築、働き方改革の推進等を重点施策に掲げ、将来の人材確保、流出阻止に向けて積極的に取り組んでいます。
(8) 労働災害、第三者災害
労働災害等を未然に防止するため様々な安全対策の徹底を図っていますが、労働災害等が発生した場合、工事の一時中断、被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、安全衛生基本方針に「安全はすべてに優先する」を掲げ、労働安全衛生マネジメントシステムを構築、運用し、協力会社を含む全工事従事者に対し安全衛生管理の徹底を図っていますが、万が一労働災害等が発生した場合には、各支店に設置している安全環境部を中心に、営業、施工、管理の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。
施工中の工事現場で火災事故等が発生した場合には、工事の一時中断による収益減少、復旧費用や被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2018年7月26日に発生した東京都多摩市の当時施工中の建築物件における火災事故を踏まえ、再発防止策を策定し、すべての作業所で適切に運用を行っています。また、建設本部、各支店において運用状況の点検、パトロール等を行い、策定したルールを順守するよう指導を行っています。
(10) 潜在的な契約不適合
工事目的物の品質管理には万全を期していますが、重大な契約不適合が発生した場合には顧客からの信頼喪失、契約不適合責任等による損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、品質マネジメントシステムに基づき、営業、設計、施工、アフターケアの各段階で顧客満足の向上に向けた生産活動に取組んでいますが、重大な契約不適合が発生した場合は、各支店に設置しているお客さま相談室を中心に、営業、施工の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。
(11) 情報漏洩
顧客の情報管理には細心の注意を払っていますが、万が一重要な情報が外部へ漏洩した場合には顧客や社会からの信用喪失、損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、日々の情報管理の徹底に加えて、政府の定めるサイバーセキュリティ月間の活動にあわせた各種取組も実施し、グループ会社の全従業員に周知徹底すべく、啓発活動を行っています。
(12) DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応遅れ
DXへの対応が遅れた場合には、業務の効率化が進まず、競合他社と比較して生産性の低下や人件費の増加等が発生し、価格競争に対応できなくなることで、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、全社的なDX戦略策定と、個別プロジェクト推進のスピードアップを図るため、2021年6月にDX推進を担当する専門部署を設置しました。また、2022年11月には「DXビジョン2030」を作成・公開しており、DX推進により当社が目指す姿を明確にした上で、各施策への取組を加速させています。
工事現場や各拠点において、錯誤等何らかの要因により反社会的勢力と取引等を行った場合、社会的信用の失墜により業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、行動規範において反社会的勢力との関係遮断を掲げ、また、反社会的勢力対応マニュアルを策定し、全役職員に対して周知徹底を図っています。また、調達基本方針の中でも反社会的勢力の排除を掲げており、取引先に対しても当方針の理念を説明し、理解した上で当社との取引を行っていただいています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、原材料価格の高騰や物価上昇などにより先行き不透明な状況が続いたものの、経済社会活動の正常化が進み、緩やかに持ち直してきました。
今後についても、ウィズコロナの下で持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価・エネルギー価格の上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
建設業界におきましては、政府建設投資は底堅く推移し、民間建設投資は回復基調が継続しました。一方で、資材価格等の高騰の影響は続いており、今後も注視が必要な状況となっています。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高3,721億円(前連結会計年度比9.4%増加)、営業利益198億円(前連結会計年度比25.4%減少)、経常利益196億円(前連結会計年度比24.1%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は151億円(前連結会計年度比14.1%減少)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
受注高は1,032億円(前連結会計年度比15.8%減少)、売上高は1,334億円(前連結会計年度比1.1%増加)、営業利益は149億円(前連結会計年度比5.2%減少)となりました。
受注高は2,449億円(前連結会計年度比30.8%増加)、売上高は2,061億円(前連結会計年度比15.5%増加)、営業利益は93億円(前連結会計年度比29.6%減少)となりました。
売上高は274億円(前連結会計年度比10.6%増加)、営業利益は15億円(前連結会計年度比35.8%減少)となりました。
(その他)
売上高は51億円(前連結会計年度比1.8%増加)、営業利益は2億円(前連結会計年度比65.0%減少)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は次のとおりです。
資産につきましては、前連結会計年度末より226億円増加し、3,180億円となりました。これは現金預金95億円の増加が、機械、運搬具及び工具器具備品16億円の減少を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より230億円増加し、1,766億円となりました。これは未成工事受入金150億円の増加が、火災損害等損失引当金39億円の減少を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より3億円減少し、1,413億円となりました。これは自己株式を取得したことによる自己株式106億円の増加(純資産の減少)が、利益剰余金の増加85億円を上回ったことによります。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して95億円増加し、743億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益222億円の計上、未成工事受入金の増加150億円などの資金増加要因が、売上債権の増加46億円、未収消費税等の増加37億円などの資金減少要因を上回ったことにより、322億円の資金増加(前連結会計年度は360億円の資金減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の取得による支出30億円、有形固定資産の取得による支出29億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入14億円などの資金増加要因を上回ったことにより、47億円の資金減少(前連結会計年度は45億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出106億円、配当金の支払額66億円、長期借入金の返済による支出49億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入46億円などの資金増加要因を上回ったことにより、184億円の資金減少(前連結会計年度は225億円の資金減少)となりました。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建築事業及びグループ事業の一部では生産実績を定義することが困難であり、これらの事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び販売の実績については、可能な限り「(1)経営成績等の状況の概要」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しています。
なお、参考のため個別の事業の実績は次のとおりです。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
(注) 1.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、期首における前期末の次期繰越工事高を表し、下段表示額は為替の影響を受ける海外工事について換算修正したものです。
2.前期繰越工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
3.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比です。
(注) 1.海外工事の地域別割合は、次のとおりです。
2.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。
前事業年度の主なもの
当事業年度の主なもの
3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。
前事業年度
該当する相手先はありません。
当事業年度
該当する相手先はありません。
d.手持工事高(2023年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち主なもの
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り、判断が一定の会計基準の範囲内で行われています。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
完成工事高、完成工事原価及び工事損失引当金の計上
完成工事高及び完成工事原価の計上は、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しています。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価総額に占める割合に基づいて行っています。
また、工事原価総額の見積りが工事収益総額を上回る可能性が高く、かつ、その損失見込額を合理的に算定できる場合、当該損失見込額を損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上しています。
なお、工事原価総額には、過去の工事の施工実績を基礎として、個々の案件に特有の状況を織り込んでおり、決算日ごとに見直していますが、外注価格及び資機材価格の高騰、手直し等による施工中の追加原価の発生など想定外の事象により工事原価総額が増加した場合は、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症により影響を受ける重要な見積り項目はありません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 財政状態
当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末より226億円増加し、3,180億円となりました。これは現金預金95億円の増加が、機械、運搬具及び工具器具備品16億円の減少を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より230億円増加し、1,766億円となりました。これは未成工事受入金150億円の増加が、火災損害等損失引当金39億円の減少を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より3億円減少し、1,413億円となりました。これは自己株式を取得したことによる自己株式106億円の増加(純資産の減少)が、利益剰余金の増加85億円を上回ったことによります。
(ⅱ) 経営成績
売上高は、完成工事高が前連結会計年度比9.4%増加となったこと等により、前連結会計年度比9.4%増加の3,721億円となり、売上総利益は、一部の大型工事において採算が悪化したこと等により、前連結会計年度比10.3%減少し420億円となりました。
営業利益は完成工事総利益が減少したことを主因とし、前連結会計年度比25.4%減少の198億円となりました。
営業外収支は、前連結会計年度に比べ為替差益の計上及び持分法による投資損失の減少等により5億円改善したものの、営業利益の減少により、経常利益は196億円と前連結会計年度比24.1%の減少となりました。
特別損益は、前連結会計年度に比べ受取損害賠償金の計上等により31億円増加しました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は151億円(前連結会計年度比14.1%の減少)となり、前連結会計年度に比べ24億円の減益という結果となりました。
(ⅲ) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して95億円増加し、743億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益222億円の計上、未成工事受入金の増加150億円などの資金増加要因が、売上債権の増加46億円、未収消費税等の増加37億円などの資金減少要因を上回ったことにより、322億円の資金増加(前連結会計年度は360億円の資金減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の取得による支出30億円、有形固定資産の取得による支出29億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入14億円などの資金増加要因を上回ったことにより、47億円の資金減少(前連結会計年度は45億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出106億円、配当金の支払額66億円、長期借入金の返済による支出49億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入46億円などの資金増加要因を上回ったことにより、184億円の資金減少(前連結会計年度は225億円の資金減少)となりました。
当社グループの本業である建設産業は、景気動向の影響を受けやすい傾向にあります。
今後の事業環境につきましては、ウィズコロナの下で持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価・エネルギー価格の上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
建設業界では、政府建設投資は底堅く推移し、民間建設投資は回復基調が継続しました。一方で、資材価格等の高騰の影響は続いており、今後も注視が必要な状況となっています。
(ⅰ) 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、本業である建設事業の生産活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費、事業用資産の取得、維持・更新にかかる設備投資資金、研究開発投資等です。
(ⅱ) 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っています。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施しています。
当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行とコミットメントライン(特定融資枠)契約(300億円)を締結しています。なお、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約による借入残高はありません。
また、長期借入金の一部については、金利変動リスクを回避するため、金利スワップ取引を利用しています。
2022年3月期から2023年3月期までの株主還元方針
※2021年4月~10月の取得額51億円を含む
中期経営計画(2021.3期-2023.3期)目標数値と計画期間中の実績
新型コロナウイルス感染症拡大や地政学リスクに起因する資材高など、様々な想定外の事業に伴う建設市場の変化もあり、計画最終期である当連結会計年度の経常利益やROEは計画未達となりましたが、2021年11月の株主還元方針拡充後の総還元性向目標は達成しました。
(参考)2023年3月期の年度事業計画と実績の差異
売上高につきましては、一部の大型工事の進捗率が当初想定を下回ったことにより、計画数値を下回りました。
売上高の未達に加え、一部の海外土木工事において採算が悪化したこと、前連結会計年度に完成した国内土木工事において、補修工事費用の発生が見込まれたため完成工事補償引当金を計上したこと、一部の国内建築工事において労務・資材価格の高騰や想定以上の工程促進費用の発生等により採算が低下したこと、さらに、販売費及び一般管理費について、人件費や営業経費が計画数値を上回ったため、経常利益は計画数値を下回りました。
(土木事業)
受注高は、前連結会計年度比15.8%減少の1,032億円となりました。完成工事高は、国内大型工事が順調に進捗したことなどから、前連結会計年度比1.1%増加の1,334億円となりました。営業利益は、一部工事の採算性の悪化や、補修工事発生に起因した完成工事補償引当金の計上などにより、前連結会計年度比5.2%減少の149億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から0.3ポイント減少し、15.9%となりました。
(建築事業)
受注高は、前連結会計年度比30.8%増加の2,449億円となりました。完成工事高は、国内大型工事が順調に進捗したことなどから、前連結会計年度比15.5%増加の2,061億円となりました。営業利益は、一部工事の採算性の悪化などにより、前連結会計年度比29.6%減少の93億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から3.2ポイント減少し、8.4%となりました。
土木事業及び建築事業に係るセグメント資産は、現金預金の増加などにより、前連結会計年度末から94億円増加の1,841億円となりました。
(グループ事業)
売上高は274億円(前連結会計年度比10.6%増加)、営業利益は15億円(前連結会計年度比35.8%減少)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から37億円減少の383億円となりました。
(その他)
売上高は51億円(前連結会計年度比1.8%増加)、営業利益は2億円(前連結会計年度比65.0%減少)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から3億円増加の78億円となりました。
該当事項はありません。
(3) 在外子会社
(注) 1.帳簿価額に建設仮勘定は含みません。
2.提出会社は、土木事業及び建築事業を営んでおり、大半の設備はこれら事業において共通的に使用されているので、セグメントに分類せず、主要な事業所ごとに一括して記載しています。
3.土地及び建物の一部を連結会社以外から賃借しています。建物については当連結会計年度の賃借料を「建物・構築物」欄の( )内に外書きしています。また、土地については、「土地」欄の( )内に賃借面積及び当連結会計年度の賃借料を外書きしています。
4.提出会社の本社には、国際事業本部、LCS事業本部、東京支店、関東支店を含んでいます。
5.提出会社の技術研究所は、建設事業における施工技術などの研究開発施設です。他の施設は、提出会社・子会社ともに事業用施設(事務所ビル他)です。
6.主要な土地・建物で賃貸中の重要なものはありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1. 2019年満期円貨建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の権利行使により、発行済株式総数残高が13,183千株、資本金残高が4,354百万円、資本準備金残高が4,354百万円増加しています。
2.自己株式の消却により、発行済株式総数残高が19,322千株減少しています。
(注) 1.自己株式23,215,839株は、「個人その他」に232,158単元及び「単元未満株式の状況」に39株含めて記載しています。なお、自己株式の実質保有株式数は株主名簿と一致しています。また、当該自己株式には、役員報酬BIP信託が所有する株式628,754株及び株式付与ESOP信託が所有する株式706,400株は含まれていません。
2.「その他の法人」の欄には、株式会社証券保管振替機構名義の株式が177単元含まれています。
2023年3月31日現在
(注) 1.当社は、自己株式23,215,839株を保有していますが、上記大株主からは除いています。
2.持株比率は、自己株式を控除して計算しています。
3.上記の持株数のうち、日本マスタートラスト信託銀行株式会社及び株式会社カストディ銀行については、信託業務に係る株式数を把握していません。
4.日本マスタートラスト信託銀行株式会社の持株数には、役員報酬BIP信託口の株式数(628,754株)及び株式付与ESOP信託口の株式数(706,400株)は含まれていません。
5.2022年4月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、株式会社みずほ銀行及びその共同保有者が2022年4月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないので、上記大株主の状況には含めていません。
なお、その大量保有報告書(変更報告書)の内容は次のとおりです。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象になっています。
当社グループは建設事業を主な事業とし、さらに各事業に関連する事業活動を展開していますが、総合建設業を営む当社においては建設事業を土木事業と建築事業に区分し、その受注生産について国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しています。また、グループ事業については、連結子会社が当社と連携を取りながら各社毎に戦略を立て事業活動を行っています。
したがって、当社は、土木、建築及び連結子会社を基礎とした事業別のセグメントから構成され、「土木事業」、「建築事業」及び連結子会社6社を集約した「グループ事業」の3つを報告セグメントとしています。
各報告セグメントの事業内容は、以下のとおりです。
・土木事業 :提出会社の国内外の土木工事全般に関する事業
・建築事業 :提出会社の国内外の建築工事全般に関する事業
・グループ事業:連結子会社における建設用資材の販売及びリースや土木及び建築工事の施工等