株式会社エムビーエス
(注) 1 当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2 第25期及び第26期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズ市場におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場のものであります。
4 持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。
5 臨時雇用者数は、従業員の100分の10未満であるため記載しておりません。
6 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第25期の期首から適用しており、第25期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社の主事業は、老朽化した諸建造物(一般住宅、集合住宅、商業ビル、歴史的建造物、道路及び橋梁等)の維持・保全を目的とし、当社が独自で開発した施工技術を適用した外壁・内装リフォーム工事やコンクリートの落下防止等の補修・改修工事のほか、当社加盟店等に対するノウハウの提供及び材料の販売を行っております。
耐久性等に優れた独自工法「ホームメイキャップ工法」(特殊機能性塗料を使用し当社独自の4つの施工技術(クリアコーティング施工、カラーコーティング施工、スケルトン防災コーティング施工及び応用/特殊施工)により、劣化した建物の外壁の美観を再現し、優れた耐久性・補強性を提供する施工技術)による諸建造物の外・内装の補修・改修工事を行うホームメイキャップ事業であります。また、一般工法による既設住宅の改修や新築住宅の施工も手掛けております。
ホームメイキャップ事業の特徴は、以下のとおりであります。
〈施工サービスの特徴〉
・諸建造物の劣化状況の調査・診断、顧客ニーズの把握を綿密に行い、適切な補修・改修方法の採用・提案、教育された技術者による施工及び徹底した管理を行います。
・施工後10年間の品質保証を実現します。
〈工法の概要と特徴〉
・特殊機能性塗料を使用し、また、研究を重ねた独自工法(ホームメイキャップ工法)を適用することで、優れた耐久性・補強性、美観性を提供しております。最近では、可視的にタイルやコンクリートのはく落防止等が図れる「スケルトン防災コーティング施工」も提供しております。ホームメイキャップ工法については、クリアコーティング施工(磁器タイルや窯業サイディング等の複雑な形状や色彩の外壁を蘇生させるための施工で白化現象やチョーキングを解決)、カラーコーティング施工(外壁リフォームの主流である外壁の再塗装に対応した施工で亀裂や爆裂の補修などの軽度の損傷部位の補修に対応)、スケルトン防災コーティング施工(コンクリート構造物に対する耐震補強工法とはく落防止のための施工で、クリアコーティングにより施工後素地が目視にて確認可能であり橋脚、橋桁及びトンネル等の土木構造物・建物の柱、梁、外壁及び基礎等に対応)、応用/特殊施工(止水や防水処理等の比較的損傷の程度が大きな補修施工ができ、看板や外溝へのクリアコーティング施工及びカラーコーティング施工の応用施工が可能)の4つの特徴をもった施工を行っております。
〈受注・販売形態の特徴〉
・元請業者と複数の下請業者が施工する旧来の受注構造ではなく、足場から左官、防水・止水、塗装及びシーリングに至るまで、一貫して当社のみで手掛ける業界初のワンストップ対応を可能としております。これによって、一元的な責任の明確化、価格体系の明瞭化、きめ細かいアフターサービスを実現しております。また、当社管理のもと、施工・管理能力に優れた施工認定店(施工認定店とは、ホームメイキャップ工法を修得し、当社が認定した外注業者)にも一部外注することで、需要にフレキシブルに対応しております。
・当社のホームメイキャップ事業における受注形態には、当社が元請業者(工務店、ゼネコン、ハウスメーカー等の企業(以下、「パートナー」という。))若しくは顧客(施主)と工事請負契約を締結する直営方式、当社が認定したFC加盟店等が顧客(発注者)若しくは元請業者と工事請負契約を締結する提携方式の2つがあります。いずれの方式も、いわゆる訪問販売は行わず、地域の優良な元請業者や設計事務所等との提携ネットワーク構築による営業・提案活動に注力するほか、「ホームメイキャップ」のブランド戦略を受注・販売活動における基本戦略としております。なお、直営方式による売上高は財務諸表上「完成工事高」、提携方式による売上高は財務諸表上「加盟店関連売上高」に計上・表示しております。
各事業の概要は、次のとおりであります。なお、各事業区分は、セグメントと同一の区分であります。
(ホームメイキャップ事業)
耐久性等に優れた独自工法「ホームメイキャップ工法」による諸建造物(一般住宅、集合住宅、商業ビル、歴史的建造物、道路及び橋梁等)の外壁及び内装の補修・改修を行う事業であります。本事業は、建設業法に定める国土交通大臣の許可を得て行っております。
(建築工事業)
一般的な工法による新築・改修工事を行う事業であります。本事業は、建設業法に定める国土交通大臣許可を得て行っております。
(その他)
FC加盟店に対するコーティング材等の販売、不動産の売買・賃貸及び仲介等を行っております。
[事業系統図]

※ホームメイキャップ事業においては、パートナー(工務店等)経由で工事を受注するケースがほとんどであります。
※ホームメイキャップ事業及び建築工事業においては、当社管理のもと、外注業者を使う場合があります。
※ホームメイキャップ事業においては、橋脚、橋桁及びトンネル等の公共物の施工も手掛けており、これらについては、より補強性の高い「スケルトン防災コーティング施工」を適用しております。
(注) 議決権の被所有割合の[ ]内は、緊密な者又は同意している者の被所有割合で外数となっております。
2023年5月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員であり、使用人兼務役員及び臨時雇用者数6名(パートタイマー、人材会社からの派遣、季節工を含みます。)は含まれておりません。
2 臨時雇用者数は、従業員の100分の10未満であるため記載しておりません。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4 前事業年度末に比べ従業員数が13名減少しておりますが、主としては自己都合退職によるものであります。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は、「ドラマ化される会社にする」という経営理念に基づき、以下のような行動規範を掲げ、常に高品質な技術・施工に努め、顧客と社会が求める「安心・安全・安価」を追求しております。
①「新たな常識づくり」に対して興味と情熱を持ち、誠意ある姿勢で仕事に努めること
②顧客満足を第一として、高品質な施工を適正価格にて提供するべく、絶えず追及し研鑚し続けること
③事業に携わる全ての関係者が、協調して運営にあたることを旨とすること
当社の事業方針は、あらゆる建造物に対し、これまでにない高品質なリフォーム工法を提供することを通して、建造物外装仕様を、これまでの業界常識にとらわれず、あらゆる現象・不測事象に対処可能な状態とする高機能なものに変えることにより、高耐久性を有する建造物の構築を図ることにあります。
当社は、既存の事業エリアでの取引先パートナーとの関係強化や深耕活動、支店開設による全国エリアへの展開等により受注拡大を図りつつ、売上高経常利益率10%以上並びに自己資本比率50%以上を目標としております。
また、採算性及び事業の継続性の観点から「受注高」並びに「売上高」の確保と「営業利益」を重要な指標として位置付け、管理体制の再構築を前提に、営業体制の強化や市場価格に対応できるコスト体質改善を図り、採算性の向上に向けた原価管理の徹底、固定費の削減、業務効率化に積極的に取り組み、安定した経営基盤を強化・確立し、企業価値の拡大を目指して参ります。
当社は、建設業界における「新たな常識づくりを目指す」ベンチャー企業として、現在の厳しい競争市場の中でも積極的な成長を実現するために、計画的な経営体質強化にチャレンジし続けております。
主な経営体質強化策については、以下のとおりであります。
①営業構造の強化
・全国の主要都市圏における新たなる支店設置
・既存エリアにおける新規パートナーの開拓及び既存パートナーにおけるシェアアップ
・スケルトン防災コーティングの市場浸透
・大規模修繕工事マーケットへの参入
②技術力の強化
・スケルトン防災コーティングの改良及びコストダウン
・施工管理と品質・技術の向上
③工事採算性を重視した受注方針の徹底
・原価低減と経費削減に努め、収益力の向上を図る
④マネジメント力の向上(人材育成、コンプライアンス遵守等)
・人材育成のための各種研修等に積極的に参加し管理レベルの向上
・事業活動による予測しがたい事象に対して、的確に判断できる現場力
経営環境におきましては、ウクライナ情勢の長期化や原材料・エネルギー価格の高騰や円安等の為替動向の懸念等により、依然として厳しい状況が続き先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
建設業界におきましては、資材価格や労務費といった建設コストの高騰、長期的な人口減少による建設投資の縮小、建設技能労働者の継続的な減少と高齢化の問題を克服するための生産性の向上及び人材育成等が継続的な課題となっております。
当社は、このような状況において今後さらなる事業拡大を志向するために、以下のような対処すべき課題を挙げ、各種施策に取組んでいます。
①販売チャネルの構築
当社は継続的な事業の拡大を図っておりますが、計画した収益を確保するために、さらなる強固な営業基盤を構築することが必要不可欠であると認識しております。
この課題に対処する施策としては、顧客を保有する既存パートナーとの関係強化による販売チャネルの確保・活用、新規パートナーの開拓に取り組むとともに、公共団体との関係強化や提案強化を図ります。また、全国への広域展開のため、支店出店計画も緻密な市場調査・戦略立案を行って参ります。
②人材育成の促進
広域的な営業展開を図るためには、各拠点で責任を持って管理・提案営業が行える将来の幹部社員・中堅社員候補の優秀な人材を計画的に採用・育成することが重要な課題と考えております。
この課題に対処する施策としては、会社説明会・求人広告や学校訪問等により採用を強化するとともに、継続的なOJTによる対応力の向上に日々取り組んでおり、また、幹部社員・中堅社員への研修も行って参ります。
③経営管理機能の強化
経営の効率化、緻密化を図るためには、全社的な内部統制システムの整備・運用のさらなる向上、コーポレート・ガバナンス機能のさらなる強化への積極的な取り組みが不可欠と考えております。
この課題に対処する施策としては、日々の業務フローの精査に加え、内部監査の人員・内容の充実等に取り組むことで内部統制機能の向上を図ります。さらにコーポレート・ガバナンス機能の強化として、意思決定の明確化、組織体制の最適化、内部監査体制の充実及び監査等委員並びに会計監査人との連携を強化し、加えて従業員に対しても、継続的な啓蒙、教育活動を行っております。
④ コンプライアンスに関する取り組み
企業の社会的責任を果たすべく、リスク管理やコンプライアンスを徹底し、市場の変化と顧客のニーズに対応した積極的な営業展開や原価低減を図り、また施工管理と品質・技術の向上に努めるとともに、内部統制の行き届いた管理体制を構築し、顧客に満足頂ける施工を行って参ります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。いずれも当社の判断により積極的に開示するものであり、一部リスク情報に該当しない、または当社が必ずしもリスクと認識していない事項も含まれております。
なお、文中の将来に関する事項については、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
1 人材の確保について
当社は、スピード感のある事業展開・拡大を実現するために、それに対応する優秀な人材の確保と育成が必要であると考えております。
また、当社のホームメイキャップブランドは人的資本によって維持されている要素が強いため、人員の確保と同時に人材の育成が必要不可欠であるとも考えられます。特に、当社は支店展開を図るうえで営業戦略の立案及び実行等を適切に行える人材は重要と考えております。
当社は、施工技術から商品知識、接客マナーについて独自の研修プログラムを設けております。よって業界を特定していない人材マーケットからの採用も可能ではありますが、当社が求める人材が充分に確保できない場合又は在職している人材が流出し、必要な人員数を確保できなくなった場合、営業戦略の立案及び実行等が適切に行える人材の育成が計画どおり進まない場合又は人員配置を誤った場合、当社の業績及び支店設置計画の見直し等今後の事業展開に多大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、建設技術者の減少が建設業界で課題になっていることから当社においても収益及び品質の向上のために 優れた人材の確保と育成が必要であると認識しております。建設工事の入札や施工管理においては、担当技術者に工種毎の施工経験や特定資格の保有を求められることがあり、適任者が不足した場合は受注機会を逸し、受注高の減少につながる可能性もあります。
2 建設・不動産市場の動向
経済情勢の悪化や不測の事態の発生により、建設・不動産市場の急激な縮小や競争環境の激化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
3 法的規制について
当社の事業は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等の法的規制を受けております。
当社のホームメイキャップ事業及び建築工事業においては、事業を行うにあたり、建設業法に定める特定・一般建設業許可(許可番号:国土交通大臣許可(特・般-2)第22629号、有効期間:2021年3月30日から2026年3月29日まで)を取得しております。
当社におきましては、過去において、同法に定める第3条(建設業の許可)、第7条(許可の基準)、第26条(主任技術者及び監理技術者の設置)等の許可要件について欠格事実はありません。
しかしながら、当社において違法な行為があった場合や、これらの法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更があった場合には、当社の業績等に影響を及ぼす場合があります。また、当社に対する訴訟等について、当社側の主張・予測と相違する結果となった場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
4 特定人物への依存について
当社代表取締役社長である山本貴士は、当社の創業者であり、筆頭株主であります。最高経営責任者として経営方針や戦略の決定、さらには事業推進に至るまで中心的な役割を果たしております。このため当社では過度に同氏に依存しないよう経営体制を整備し、経営リスクの軽減を図ることに努めるとともに、人材育成の強化を行っております。しかしながら、未だ、同氏は、当社において余人をもって代え難い存在であり、同氏に対する依存度は高くなっております。同氏が何らかの理由により経営から退いた場合、当社の今後の事業展開に多大な影響を及ぼす可能性があります。
5「ホームメイキャップ」の品質維持の取り組みについて
「ホームメイキャップ」は、顧客の満足度を追求した結果、確立されたものです。悪質な訪問販売や不透明な価格体系、無責任な施工によるトラブルが少なくない外壁リフォームの分野で、当社が成長するためには当該ブランドの維持及び浸透が重要な経営課題となっております。
当社は、施工技術から商品知識、接客マナーについて独自の研修プログラムを設けております。「ホームメイキャップ」の商標を使用する当社スタッフ及び当社加盟店等スタッフに対し、当該研修プログラムの履修を義務づけるなど、「ホームメイキャップ」の品質維持に努めております。
今後、当社の予想を超える需要に対して、「ホームメイキャップ」の品質維持の取り組みが対応できない場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
6 工事施工等のリスク
当社は性能・品質技術にこだわった設計、施工を心掛けております。また、当社のホームメイキャップ事業で手掛けた施工については、10年保証としております。
しかしながら、当社が設計、施工した物件に不具合が生じる可能性は否定できず、その際の手直しに要する追加の施工費、重大な契約不適合責任があった場合に対する損害賠償等の発生により、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、施工中に予期せぬ重大な事故が発生した場合や天候不順や大型物件工事の工期のズレ、夏季・冬季時期の季節的変動要因等による工期遅延が発生した場合にも、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
7 取引先の信用リスク
当社施工の発注者においては、施工後に工事代金の未回収及び貸倒れの発生する可能性があります。このように、発注者が信用不安に陥った場合、工事代金が回収できず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、仕入先、外注先が信用不安に陥った場合にも、代替業者との調整による工期遅延等が発生し、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
8 特定取引先への依存について
当社がホームメイキャップ事業で採用している特殊機能性塗料は、英国製の商品を日本の気候及び当社工法に適応させたものであります。当該塗料は、耐候性、防水性、伸縮性、水蒸気透過性、低刺激性、コンクリートの中性化防止機能、追従性といった総合的な機能を併せ持つ、環境に配慮した水性コーティング材であります。
当社は、当該塗料について仕入先であるシーカ・ジャパン㈱(シーカグループの各社統合により㈱ダイフレックスから変更)と契約を締結しております。当該契約の締結は、同社塗料の特性を生かすことのできる当社独自の施工方法が評価されたことによるものであり、同社との取引関係は相互補完的なものであります。このような関係から、当社の仕入総額に占める同社からの仕入割合は、2023年5月期においては約64%であります。
当社は、同社との良好な関係維持に十分留意しておりますが、同社との取引条件に関して当社の意図するとおりに合意できない場合、契約更新が拒絶された場合又は契約が解除された場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
9 工事原価の変動リスク
当社において、工事請負契約締結後に、原材料、資材価格、及び労務費の高騰により完成工事原価は増加します。これらの増加分を請負代金に反映することが困難な場合には、完成工事総利益は減少する可能性があります。これら完成工事原価の変動は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
10 自然災害に関するリスク
当社は、大規模地震、台風等の自然災害が発生した場合、被災地によって本社、事業所、建設現場等に係る設備等を回復させるために多額の費用が発生する可能性があります。また、施主様や入居者様等に対して被災活動を行うことも考えられ多額の費用が発生する可能性があります。被災状況によっては、受注活動の停滞、売上高の減少、建築資材等の高騰、現場作業の中断等を余儀なくされることが考えられ、当社の営業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
11 建設技能労働者の不足
建設業界における技能労働者は、高齢化の問題や若年層の入職率・定着率が伸びず減少傾向にあります。今後、技能労働者の減少がさらに進んだ場合、他社との人材獲得競争が激化し労務費が高騰するとともに、人員を確保できないことに伴う施工能力の縮小により、受注高が減少する可能性があります。
12 建設業における労働災害及び事故
建設業は、作業内容や作業環境などの特性により、他の産業より重篤度の高い労働災害が発生するおそれがあり、また、第三者に対し損害を与える事故が発生する可能性が高い業界であります。仮に、重大な労働災害もしくは事故が発生した場合、多大な補償費等の負担が生じるとともに、社会的信用が低下し、受注高の減少につながる可能性があります。
13 施工上の契約不適合等による影響について
施工体制の強化を経営上の重点項目として捉え、品質管理に万全を期しておりますが、訴訟等により契約不適合責任を追及され損害賠償が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
14 保有資産の時価等の変動による影響について
有価証券・不動産等の資産を保有しており、これらの資産は将来において、時価の変動や使用状況等により財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
15 訴訟等のリスクについて
事業活動を行う過程において法令遵守に努めておりますが、訴訟等のリスクに晒される可能性があり、その結果によっては、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和されたことにより、経済・社会活動が正常化に向かい、景気の持ち直しへの期待感は高まりつつありましたが、ウクライナ情勢の長期化や原材料・エネルギー価格の高騰や円安等の為替動向の懸念等により、依然として厳しい状況が続き先行き不透明な状況となっております。
当社が属する建設業界におきましては、公共建設投資は国土強靭化計画のインフレ対策等により底堅さを維持し、また民間建設投資も企業の設備投資意欲の高まりにより持ち直しの動きが見られております。
しかしながら、施工を行う技術者不足が解消されていないことに加え、資材価格や労務費といった建設コストの高騰が工事収益を圧迫する等、引き続き厳しい状況が続いております。
このような状況の中、当社は、引き続き、既存店におけるパートナー(工務店等)との関係強化に取り組み、受注拡大を図って参りました。また、原価低減と経費削減、工事採算性を重視した受注方針の徹底、施工管理と品質・技術の向上、定期的な施工会議を開き安全・良質な工事の提供に努めるとともに、人材採用及び育成にも積極的に取り組み、業容拡大や収益力の向上等も図って参りました。
これらにより、当事業年度における売上高は、パートナーとの関係強化継続における受注拡大を図りましたが、工事の一時中止や工事の延期等の影響を受けたことにより、4,004,117千円(前年同期比0.6%減)となりました。営業利益は、売上高の減少により、432,502千円(前年同期比1.8%減)となりました。経常利益は、外国社債に関する有価証券利息17,492千円、不動産賃貸収入14,986千円、助成金収入6,249千円、減価償却費5,037千円、不動産賃貸費用2,704千円の計上等により468,392千円(前年同期比1.5%減)となりました。当期純利益は、固定資産売却益1,672千円、法人税等147,312千円の計上等により、322,674千円(前年同期比1.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ホームメイキャップ事業)
ホームメイキャップ事業におきましては、工事の一時中止や工事の延期等の影響を受けたものの、一部大型改修工事が順調に進捗したことから、売上高は3,757,377千円(前年同期比1.6%増)、セグメント利益は628,574千円(同5.2%増)となりました。
(建築工事業)
建築工事業におきましては、工事の一時中止や工事の延期等の影響により、売上高は242,492千円(前年同期比26.2%減)、セグメント利益は24,156千円(同50.3%減)となりました。
(その他)
不動産売買取引を行う不動産事業とFC加盟店に対するコーティング材等の販売に関する事業等で構成されるその他の事業におきましては、材料販売等の増加により、売上高は4,248千円(前年同期比41.9%増)、セグメント利益は1,484千円(同6.8%増)となりました。
当事業年度末における財政状態は、次のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、2,872,619千円(前事業年度末2,589,350千円)であり、前事業年度末と比較し283,268千円増加致しました。その主な要因は、受取手形、完成工事未収入金及び契約資産192,240千円の増加、仕掛販売用不動産100,341千円の増加、電子記録債権86,169千円の増加、現金及び預金59,977千円の減少、未成工事支出金50,353千円の減少等によるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、1,259,320千円(前事業年度末1,251,997千円)であり、前事業年度末と比較し7,323千円増加致しました。その主な要因は、保険積立金27,713千円の増加、投資有価証券11,389千円の増加、ソフトウェア12,163千円の減少、車両運搬具5,010千円の減少等によるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、903,880千円(前事業年度末854,978千円)であり、前事業年度末と比較し48,902千円増加致しました。その主な要因は、工事未払金101,293千円の増加、預り金13,230千円の増加、未払消費税等11,862千円の増加、支払手形85,330千円の減少、未払法人税等9,031千円の減少等によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、3,199千円(前事業年度末3,238千円)であり、前事業年度末と比較し39千円減少致しました。その主な要因は、資産除去債務3千円の増加、その他43千円の減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、3,224,860千円(前事業年度末2,983,131千円)であり、前事業年度末と比較し241,728千円増加致しました。その主な要因は、繰越利益剰余金287,691千円の増加、自己株式50,700千円の増加、その他有価証券評価差額金7,915千円の増加等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,423,835千円(前事業年度末1,483,812千円)であり、前事業年度末と比較し59,977千円の減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果、得られた資金は54,044千円(前事業年度は233,103千円の収入)となりました。これは、主に税引前当期純利益469,987千円、売上債権の増加額290,108千円、棚卸資産の増加額76,164千円、仕入債務の増加額18,115千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果、使用した資金は24,283千円(前事業年度は76,062千円の使用)となりました。これは、主に保険積立金の積立による支出27,713千円、有形固定資産の取得による支出21,937千円、投資不動産の賃貸による収入14,986千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果、使用した資金は90,022千円(前事業年度は76,726千円の使用)となりました。これは、自己株式の取得による支出50,700千円、配当金の支払いによる支出38,160千円、リース債務の返済による支出1,161千円によるものであります。
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注)上記の金額は、販売価格によっております。
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注)1. 不動産事業及びFC加盟店に対するコーティング材等の販売に関する事業で構成されるその他の区分は、受注形態をとっていないため受注実績は記載しておりません。
2. 受注残高には、受注金額が不明瞭なものは含んでおりません。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。 この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については、一定の会計基準の範囲内において合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当社の当事業年度の経営成績等は、次のとおりであります。
(売上高)
当事業年度における売上高は、工事の一時中止や工事の延期等、工事への影響を受けたことにより4,004,117千円(前年同期比0.6%減)となりました。
ホームメイキャップ事業におきましては、既存店におけるパートナー(工務店等)との関係強化に引き続き取り組み、受注拡大を図りましたが、工事の一時中止や工事の延期等の影響を受けたものの一部大型改修工事が順調に進捗したことやスケルトン施工の対象となる公共案件も順調に取り組み受注拡大ができたため増加しております。
建築工事業につきましては、工事の一時中止や工事の延期等により新築工事・改修工事等が減少しております。
(営業利益)
当事業年度における売上原価は、2,762,623千円(前年同期比2.4%減)となりました。これは、完成工事原価2,569,014千円、加盟店関連売上原価193,198千円等によるものであります。
また、販売費及び一般管理費は、808,991千円(前年同期比6.7%増)となりました。これは、給料及び手当368,441千円、販売手数料60,967千円、支払手数料54,830千円、役員報酬45,188千円等によるものであります。
売上原価及び販売費及び一般管理費につきましては、原価低減と経費削減に取り組み、施工管理と品質・技術の向上に努めましたが、今後の事業拡大に備えた施工・営業社員の採用等の経費が増加したことによるものであります。
この結果、営業利益は、売上高の減少により、432,502千円(前年同期比1.8%減)となりました。
(経常利益)
事業年度における営業外収益は、46,414千円(前年同期比2.4%減)となりました。これは、外国社債に関する有価証券利息17,492千円、不動産賃貸収入14,986千円、助成金収入6,249千円等によるものであります。
また、営業外費用につきましては、10,525千円(前年同期比15.3%減)となりました。これは、減価償却費5,037千円、不動産賃貸費用2,704千円等によるものであります。
この結果、経常利益は、468,392千円(前年同期比1.5%減)となりました。
(税引前当期純利益)
当事業年度における税引前当期純利益は、469,987千円(前年同期比2.0%減)となりました。これは、固定資産売却益1,672千円等によるものであります。
(当期純利益)
当事業年度における法人税等(法人税等調整額を含む。)は、147,312千円となりました。
この結果、当期純利益は、322,674千円(前年同期比1.0%減)となりました。
(キャッシュ・フローの状況)
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
b.財政状態
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資本政策につきましては、内部留保の充実を図るとともに、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させることと、株主様への利益還元も考慮し、実施していくこととしております。
また、当社における資金需要の主なものは、既存事業の持続的成長の投資資金や原材料費・労務費・外注費・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。
当社は、必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものを活用しております。
d.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
e.経営戦略の現状と見通し
わが国経済におきましては、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和されたことにより、経済・社会活動が正常化に向かい、景気の持ち直しへの期待感は高まりつつありましたが、ウクライナ情勢の長期化や原材料・エネルギー価格の高騰や円安等の為替動向の懸念などにより、依然として厳しい状況が続き先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
建設業界におきましては、公共建設投資は国土強靭化計画のインフレ対策等により底堅さを維持し、また民間建設投資も企業の設備投資意欲の高まりにより持ち直しの動きが見られております。しかしながら、施工を行う技術者不足が解消されていないことに加え、資材価格や労務費といった建設コストの高騰が工事収益を圧迫する等、引き続き厳しい状況が続いております。
また、中長期的には従来の新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や高齢の建設就労者の大量退職による人材不足が深刻化することが予想され、長時間労働の解消や働き方改革の実現等への対応も求められております。
こうした状況の中、当社は、引き続きホームメイキャップ工法を全国展開するための直営店の設置活動を強化し、既存パートナー(工務店等)との関係強化や新規エリアにおける新たなるパートナーの開拓推進を行って参ります。
f.経営者の問題意識と今後の方針
当社は、引き続きホームメイキャップ工法を全国展開するための直営店の設置活動を強化し、既存パートナー(工務店等)との関係強化や新規エリアにおける新たなるパートナーの開拓を推進していく必要があると考えております。
特に重要な課題としては、原価低減と経費削減、工事採算性を重視した受注方針の徹底、施工管理技術と品質の向上、施工・営業社員の採用や育成、支店拡大等の推進が挙げられます。
なお、昨今のわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化や原材料・エネルギー価格の高騰や円安等の為替動向の懸念の影響に留意していく必要があり、建設業界におきましても工事の中断や延期等が懸念されます。現時点では当社業績等に大きな影響は見られておりませんが、当社といたしましては、引き続き最大限の注意を払って参ります。
これらに関する具体的な課題認識と今後の取り組み方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。
g.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、効率的な資産配分に基づき収益力の向上に努めるとともに、財務内容の充実を目指すために、売上高経常利益率10%以上並びに自己資本比率50%以上を重要な経営指標としております。当事業年度における売上高経常利益率は11.7%と前年同期に対して0.1%下回りました。自己資本比率については、78.0%と前年同期に対して0.3%上回りました。
引き続きこれらの指標が達成できるよう、原価低減と経費削減に取り組み、施工管理と品質・技術の向上に努めて参ります。
当会計年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。
なお、当社は2023年7月20日開催の取締役会において、株式会社リグノマテリアとの間で資本業務提携に向けた基本合意書の締結を行うことを決議し、その内容について2023年7月31日開催の取締役会において株式会社リグノマテリアとの間で資本業務提携に関する投資契約書締結を行うことを決議いたしました。当該決議に基づき2023年7月31日に資本業務提携に関する投資契約書を締結し、2023年8月31日に払込みが完了いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
2023年5月31日現在
(注) 1 現在休止中の設備はありません。
2 建物の一部を賃貸しております。
3 従業員数は就業人員であり、使用人兼務役員は含まれておりますが、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣、季節工を含みます。)は含まれておりません。
4 投資不動産については、土地が含まれておりその帳簿価額は403,334千円(面積56,568.56㎡)であります。
主要なリース設備として、以下のものがあります。 2023年5月31日現在
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)1 新株予約権行使によるものであります。
2023年5月31日現在
(注)自己株式 200,000株は、「個人その他」に2,000単元含まれております。
2023年5月31日現在
1 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社を構成する単位のうち分離された財務情報が入手可能のものであり、取締役会において配分すべき経営資源に関する意思決定が行われ、かつ業績を評価するために経営成績を定期的に検討する対象となっているものであります。
なお、当社は事業本部を基礎とした製品・サービス別セグメントから構成されており、「ホームメイキャップ事業」、「建築工事業」を報告セグメントとしております。「ホームメイキャップ事業」はホームメイキャップ工法等による、諸建造物における内外装リフォーム工事、「建築工事業」は新築及び改修工事を行っております。