岩塚製菓株式会社
IWATSUKA CONFECTIONERY CO.,LTD.
長岡市浦9750
証券コード:22210
業界:食料品
有価証券報告書の提出日:2023年6月30日

(1)連結経営指標等

回次

第66期

第67期

第68期

第69期

第70期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

22,977,307

22,840,120

22,167,631

18,043,966

20,386,268

経常利益

(千円)

1,884,355

2,553,414

2,938,723

1,412,455

5,454,852

親会社株主に帰属する当期純利益

(千円)

1,311,052

1,769,293

2,005,694

828,072

3,970,659

包括利益

(千円)

4,176,575

3,927,517

3,929,491

13,804,545

7,447,520

純資産額

(千円)

56,322,869

52,271,567

56,054,507

69,689,471

62,061,796

総資産額

(千円)

76,525,482

70,135,996

76,371,842

96,277,446

83,555,499

1株当たり純資産額

(円)

10,051.01

9,328.04

10,003.23

12,435.14

11,074.13

1株当たり当期純利益

(円)

233.96

315.74

357.92

147.76

708.51

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

73.6

74.5

73.4

72.4

74.3

自己資本利益率

(%)

2.4

3.3

3.7

1.3

6.0

株価収益率

(倍)

18.1

10.2

12.1

26.4

6.7

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

2,888,981

2,178,046

3,572,738

2,378,305

5,342,449

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,251,414

1,942,901

5,830,566

1,762,425

1,562,676

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

619,618

309,385

1,767,734

108,530

1,016,342

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,830,392

1,756,231

1,265,919

1,773,279

4,536,721

従業員数

(人)

879

920

912

881

854

[外、平均臨時雇用者数]

111

63

59

57

51

 (注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2.当社は「株式給付信託(BBT)」を導入しており、純資産額には、株式給付信託(BBT)が保有する当社株式を「自己株式」として計上しております。また、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益の算定上、期末発行済株式総数及び期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第69期の期首から適用しており、第69期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第66期

第67期

第68期

第69期

第70期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

21,574,467

21,554,314

20,965,858

16,951,696

19,266,415

経常利益

(千円)

1,815,469

2,542,954

2,882,434

1,404,342

5,374,601

当期純利益

(千円)

1,269,263

1,770,844

1,986,416

942,615

3,912,509

資本金

(千円)

1,634,750

1,634,750

1,634,750

1,634,750

1,634,750

発行済株式総数

(株)

5,995,000

5,995,000

5,995,000

5,995,000

5,995,000

純資産額

(千円)

55,605,568

51,523,901

55,264,152

68,998,976

61,288,378

総資産額

(千円)

75,424,300

69,098,983

75,296,506

95,322,854

82,575,337

1株当たり純資産額

(円)

9,923.00

9,194.61

9,862.19

12,311.93

10,936.12

1株当たり配当額

(円)

22.00

26.00

30.00

32.00

37.00

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

226.50

316.01

354.48

168.20

698.13

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

73.7

74.6

73.4

72.4

74.2

自己資本利益率

(%)

2.4

3.3

3.7

1.5

6.0

株価収益率

(倍)

18.7

10.2

12.2

23.2

6.8

配当性向

(%)

9.7

8.2

8.5

19.0

5.3

従業員数

(人)

814

859

854

824

795

[外、平均臨時雇用者数]

78

30

30

28

27

株主総利回り

(%)

80.3

61.8

83.0

75.8

91.8

(比較指標:日経平均)

(%)

(98.8)

(88.2)

(136.0)

(129.7)

(130.7)

最高株価

(円)

5,330

4,365

4,610

4,375

5,200

最低株価

(円)

3,710

3,015

3,075

3,765

3,855

 (注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2.当社は「株式給付信託(BBT)」を導入しており、純資産額には、株式給付信託(BBT)が保有する当社株式を「自己株式」として計上しております。また、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益の算定上、期末発行済株式総数及び期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第69期の期首から適用しており、第69期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

4.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。

 

2【沿革】

 当社は、1947年に創業者故平石金次郎、故槇計作両氏が共同で新潟県三島郡越路町(現在の新潟県長岡市)において、戦後の食糧難時代に甘味の提供を目的に水飴・カラメル・澱粉等の製造を開始いたしました。1954年に法人組織に改組、株式会社岩塚農産加工場を設立、1960年岩塚製菓株式会社に商号変更し今日に至っております。その後の主な推移は、次のとおりであります。

沿革の大要

1954年4月

株式会社岩塚農産加工場設立(資本金2,000千円 本社 新潟県三島郡越路町(現在の新潟県長岡市) 主たる事業 米菓製造)

1960年11月

商号変更(現在の岩塚製菓株式会社となる。)

1961年5月

東京営業所開設

1963年1月

本社工場(飯塚工場西棟)竣工、うるち米菓製品専門工場として操業

1964年3月

大阪営業所(現在の関西支店)開設

1972年6月

仙台営業所(現在の東北支店)開設

1972年8月

中沢工場竣工、もち米菓製品専門工場として操業

1980年10月

沢下条工場東棟(現在の沢下条第二工場)竣工

1981年9月

沢下条工場西棟(現在の沢下条第三工場)竣工

1982年3月

新潟県長岡市に高級米菓専門店「瑞花本店」開店

1983年1月

台湾の宜蘭食品工業股份有限公司(現在の旺旺集団)と米菓製造の技術提携を開始

1983年5月

名古屋営業所(現在の中部支店)開設

1983年8月

神奈川営業所(現在の東京西支店)開設

1984年6月

札幌営業所(現在の北海道支店)開設

1985年3月

「瑞花本店」を当社100%出資の「株式会社瑞花」に改組

1988年2月

米菓の通信販売を専門とする「株式会社新潟味のれん本舗」を当社100%出資により設立

1988年3月

北関東支店(現在の東京東支店)開設

1989年10月

株式を日本証券業協会に店頭売買銘柄として登録

1990年7月

宜蘭食品工業有限公司(台湾)との間で、台湾に合弁会社台湾岩塚製菓有限公司を設立

1990年11月

千歳工場(現在の北海道工場)竣工

1991年1月

合弁会社台湾岩塚製菓有限公司工場竣工

1994年2月

沢下条工場中央棟(現在の沢下条第一工場)竣工

1994年4月

企業向け商品販売を専門とする「株式会社越後抄」を当社100%出資により設立

1995年4月

宜蘭食品工業有限公司と台湾岩塚製菓有限公司が合併

1997年11月

沢下条第四工場竣工

2002年7月

WANT WANT HOLDINGS LIMITED.(現在のWANT WANT CHINA HOLDINGS LIMITED.)との間で、中国に合弁会社瀋陽岩旺米粉製造有限公司を設立

2002年10月

合弁会社瀋陽岩旺米粉製造有限公司工場営業開始

2003年7月

WANT WANT HOLDINGS LIMITED.(現在のWANT WANT CHINA HOLDINGS LIMITED.)との間で、東京に合弁会社旺旺・ジャパン株式会社を設立

2004年1月

新潟県長岡市に工場物件を取得(長岡工場)

2004年2月

沢下条工場を対象に環境の国際規格ISO14001認証取得

2004年4月

長岡工場操業開始

2004年12月

日本証券業協会への店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所に上場

2005年11月

飯塚工場東棟(現在の飯塚工場)竣工

2006年3月

R&D・Mセンター竣工

2007年11月

飯塚工場西棟を飯塚工場東棟に統合し、飯塚工場西棟を閉鎖(呼称を飯塚工場とする。)

2008年2月

本社、飯塚工場、中沢工場、長岡工場、千歳工場(現在の北海道工場)、R&D・Mセンターを対象に環境の国際規格ISO14001認証取得

2009年6月

お米を中心とした農産物・農産加工品の新規事業展開を図ることを目的として「里山元気ファーム株式会社」を当社100%出資により設立

 

 

2010年2月

飯塚工場、沢下条第一工場、製造本部を対象に食品安全マネジメントシステムの国際規格ISO22000認証取得

2010年4月

ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所JASDAQに上場

2011年12月

瀋陽岩旺米粉製造有限公司の全株式を売却

2012年2月

沢下条第二工場において国際規格ISO22000認証取得

2013年2月

沢下条第三工場、沢下条第四工場において国際規格ISO22000認証取得

呼称を飯塚工場、R&D・Mセンター、沢下条工場として登録

2013年7月

東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場

2015年7月

2016年12月

2018年11月

株式会社田辺菓子舗の株式を全て取得し、子会社化

千歳工場(現在の北海道工場)において国際規格ISO22000認証取得

北米市場に向けた事業展開を図ることを目的として「IWATSUKA USA Inc.」を当社100%出資により設立

2018年11月

飯塚工場において食品安全マネジメントシステムの国際規格FSSC22000認証取得

2019年11月

長岡工場において国際規格ISO22000認証取得

2020年3月

株式会社越後抄を清算結了

2020年12月

BEIKA Lab竣工

2021年1月

新長岡工場竣工

2021年3月

BEIKA Lab操業開始、新長岡工場に中沢工場の機能を移設(中沢工場閉鎖)

2021年9月

本社を長岡市浦から、長岡市飯塚(旧R&D・Mセンター)に移転

2021年11月

BEIKA Lab、新長岡工場において国際規格ISO22000認証取得

2022年1月

BEIKA Lab、新長岡工場において国際規格ISO14001認証取得

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)からスタンダード市場に移行

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(岩塚製菓株式会社)、子会社5社及び関連会社1社より構成されております。

 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

米菓事業

 当社は、米菓の製造・販売を行っております。

 連結子会社の株式会社瑞花、株式会社新潟味のれん本舗、里山元気ファーム株式会社は当社で製造した製品を仕入れて販売を行っております。また、里山元気ファーム株式会社は農産物・農産加工品の販売も行い、株式会社田辺菓子舗は、かりんとうの製造・販売を行っております。持分法適用関連会社の旺旺・ジャパン株式会社は、主に食料品の輸入販売を行い、非連結子会社のIWATSUKA USA Inc.は、米菓の輸出販売を行っておりましたが、コロナ禍の環境下、現在営業を休止しております。

〔事業系統図〕

0101010_001.png

4【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

(千円)

主要な事業の内容

議決権の所有割合

(%)

関係内容

役員の兼任

資金援助貸付金

(百万円)

営業上の取引

設備の賃貸借

その他

当社役員

(人)

当社従業員(人)

(連結子会社)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式会社瑞花

新潟県長岡市

60,000

高級米菓販売

100

6

当社製品の販売

事務所の賃貸

株式会社新潟味のれん本舗

新潟県長岡市

100,000

米菓通信販売

100

6

当社製品の販売

事務所の賃貸

里山元気ファーム株式会社

新潟県長岡市

10,000

農産物・農産加工品販売

100

6

当社製品の販売

事務所の賃貸

株式会社田辺菓子舗

新潟県加茂市

3,000

かりんとうの製造・販売

100

4

10

かりんとうの購入

(持分法適用関連会社)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旺旺・ジャパン株式会社

東京都文京区

100,000

食料品の輸入販売

40

4

220

商品の輸入

 

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 セグメント情報を記載していないため事業部門別の従業員数を示すと次のとおりであります。

 

(2023年3月31日現在)

事業部門の名称

従業員数(人)

製造部門

614

(13)

販売部門

177

(36)

管理部門

63

(2)

合計

854

(51)

(注)従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

(2023年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年令(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

795

27

41.9

17.3

4,763,006

(注)1.平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準外給与及び賞与を含めております。

2.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

(3)労働組合の状況

 当社の労働組合は、岩塚製菓労働組合と称し、日本労働組合総連合会UAゼンセンに加盟し、組合員数は、2023年3月31日現在741名(うち臨時雇用者数25名)であります。

 なお、労使関係は安定しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)

(注)1.

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・有期労働者

1.8

30.0

73.1

75.6

100.0

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

②連結子会社

 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、経営理念に「我々は会社の事業を通じて、社会の人々に喜びと豊かさを提供し、その見返りとして、この事業に携わる者とその関係者の豊かな生活と社会的地位の向上を図り、併せて地域社会の経済的発展に貢献せんとするものである」を掲げ、お客様に安全で安心できる価値ある商品とサービスを提供するとともに、「日本の伝統ある食文化を世界に広め、人々に喜びと豊かさを提供すること」を使命として、かかる使命の追求を通じた企業価値の向上を目指しております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、「『お米』のおいしさ創造企業」を目指し、「おいしさでNo.1でありたい」「新鮮さでNo.1でありたい」「おいしさにこだわる私たち自身がNo.1でありたい」という夢のもと、世界中の人々においしさの笑顔をお届けすべく、2022年4月から3ヶ年の中期経営計画「『新しい岩塚価値の創造』~Create New Iwatsuka Value~」を策定しております。

 中期経営計画の2年目にあたり、引き続き構造改革を進めながら経営基盤の強化を図り、当社グループ固有の戦略的ポジションを確保することを目指し取り組んでまいります。

〔成長戦略…戦略的ポジションを確保する〕

A.既存主力ブランドの収益性強化

 製販集約による収益性強化・生産性向上

   製販ともにカテゴリーの集約を図り、生産技術の高さ、機敏性を活かします。

 「BEIKA Lab」を活用した安全安心かつ製造効率化

   安全安心安定の品質を確保し、工程の自動化により生産能力の向上を図ります。

B.新機軸商品の強化

 「BEIKA Lab」を活用した商品開発力の強化

   「楽しく美味しい」商品・新ジャンル商品を開発します。

C.「岩塚」ブランドの再定義

 「岩塚」認知向上

   広報PR活動を目的としたソーシャルコミュニケーション室により認知拡大を目指します。

D.グループシナジーの発揮

 グループシナジーの発揮・生産性向上

   長岡・中沢工場統合後の新長岡工場の生産性向上を図ります。

〔構造改革…適切な利益を得る〕

E.生産性の追求

 製造原価の低減

   主力ブランドの自動化推進、少人化ラインの構築、あらゆるムダの排除を図ります。

 安全安心体制の整備強化

   安全安心な職場環境を整備するとともに製造技術の進化に努めます。

 DXの推進

   デジタル変革による業務・管理の効率化とコスト削減を実現します。

〔持続経営…経営基盤の強化を図る〕

F.経営基盤の強化

 経営人財の育成

   育成プログラム、教育支援の充実を図り次世代リーダーを育成します。

 マネジメント体制の再構築

   業務プロセスの改善、情報の一元管理、ダイバーシティの推進などの体制を整備します。

 ESGの取組み強化

   SDGsへの貢献を目指します。

 

(3)経営環境

 社会経済活動が新型コロナウイルス感染症流行前に戻ってきており、消費の本格的な回復が期待されておりますが、一方で食品等の物価高騰から消費行動の慎重姿勢が解消されずに続いております。米菓業界におきましては、供給体制の維持・拡大に課題が残るなか、原材料や燃料費等の製造コストが高止まったままであり、採算面で厳しい事業環境が続いております。当社におきましても、損益分岐点の引下げのため自助努力を行っておりますが、価格改定を視野に入れざるを得ない厳しい経営環境にあります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、新たな中期経営計画の2年目となる第71期経営計画において、「ドンドン造って、ガンガン売って、欠品ゼロ!」とストレートなスローガンを掲げ、基本方針を「中期経営計画『新しい岩塚価値の創造』ニュートレンド米菓(BEIKA)の提案」と定めて、次の経営課題に愚直に取り組んでまいります。

・新たなサプライチェーンの構築(欠品ゼロ)

 当社商品を安心かつ安定的に提供できるよう新たなサプライチェーンの構築を図り、災害リスクも加味した万全な供給体制を構築し、お客様のニーズを満たせるよう、欠品ゼロを大命題といたします。

・万全なる品質保証体制と生産性の向上

 当社商品を多くのお客様に安全に安心して召し上がっていただけるよう、トレースのデジタル化等のDXを進めるとともに、自動化設備の導入による生産性の向上を図り、万全な品質保証体制の構築を進めます。

・顧客接点の拡大と新しい岩塚価値の提案

 消費の多様化に伴いお客様の価値観、ライフスタイルが多岐に変化しております。昨年新設したソーシャルコミュニケーション室からの社内外への情報発信を強化するとともに、様々なニーズを的確にとらえた当社にしかできない新しい岩塚価値商品の提案を行います。

・TOP6+2のシェア拡大

 当社の主力ブランドである「TOP6+2」(岩塚の黒豆せんべい、味しらべ、田舎のおかき、THEひとつまみ、大袖振豆もち、ふわっと + バンザイ山椒、きなこ餅)のシェア拡大に努め生産性向上と収益力強化を図ります。

・旺旺集団との協働

 2022年3月に旺旺集団ベトナム工場が稼働を開始しました。当社から技術指導員を派遣し技術支援を行うとともに、旺旺集団との連携を強化しアジアへの販路拡大を目指します。

・社員一人ひとりの成長を促す人事制度の推進

 人的資本経営の推進に取り組み、エンゲージメントサーベイを実施し課題を可視化することで、中長期的な人材育成などの人事課題に取り組むとともに、経営に寄与する人事施策を進めます。

・SDGs経営の推進

 ESGの取組み強化の一環としてSDGsに注力、新たに設置した「サステナビリティ委員会」を通じて、環境や人的資本の課題解決に向けた取組みを進めます。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「売上高営業利益率」を利益体質強化の指標とし、安定的な利益の確保拡大を目標としております。

 また、資産効率の向上及び株主資本の有効利用がすべてのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。

 直近の状況を示すと、次のとおりであります。

回次

第66期

第67期

第68期

第69期

第70期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高営業利益率(%)

0.0

0.8

0.8

△1.8

△1.0

自己資本利益率(%)

2.4

3.3

3.7

1.3

6.0

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループ(以下「当社」という)においては、全社的リスクマネジメント規程を制定のうえ、リスクの所在、リスクの種類・特性、リスクの識別・評価・モニタリング・リスク対応の手法等を十分に理解し、適正な全社的リスクマネジメント体制の整備・確立に向けて、方針および具体策を策定することとしております。

 リスクの識別に当たっては、各事業部門の意見を尊重のうえ、全社横断的に網羅し、影響度と発生可能性をベースに重大度を評価、リスクマップとして一覧表に纏め、定期的に更新することとしております。また、リスク対応を行うため、重大度の評価に加え、内外の重大な環境変化や内部監査の検証、費用対効果等を考慮し、リスクの優先順位付けを行うとともに、必要に応じて戦略等の見直しを行い、資源配分や業務の効率化等を促進することとしております。

 以下に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在、当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)に重要な影響を与える可能性があると判断したものであります。併せて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。

 また、当連結会計年度末現在において、以下に記載したリスクが顕在化する可能性はいずれも低いと判断しておりますが、リスクが顕在化する可能性が生じた場合には、早期に経営成績等への影響の検討および分析を行い、必要な対応を図る方針としております。

 なお、記載内容のうち将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業活動に関する特に重要なリスク

①競合他社

 当社においては、国産原料米を100%使用し、安全安心と高品質をアピールする商品政策をとっており、他社に比べやや割高なコスト構造となっていると認識しております。

 このため、競合他社によるシェア争い、それに伴う廉価販売等の価格競争に巻き込まれる等により、当社が劣勢に立たされた場合には、売上高や利益の伸び悩みなど、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、品質と美味しさを追求するなかで、お客様や卸・小売等取引先のニーズを把握し、いかにしたらお客様に寄り添えるかを真剣に考え、商品設計、販売方法、価格設定等を検討しております。

 

②経済情勢

 当社においては、米菓製造業として国内市場が大宗を占めておりますが、我が国の景況は内外の経済の動きに敏感に反応するため、経済情勢の変化は当社の経営成績等に影響を及ぼす重要な要因であると考えております。

 経済情勢の変化の要因としては、コロナ禍に伴う需要動向、労働需給の動向、中国や米国等の海外経済の動向等に加え、最近では、ウクライナ情勢や円安の進行等に伴う原材料価格やエネルギーコストの高騰が顕著に見られ、中長期的な視点でそれらに的確に対応できない場合には、売上高や利益の伸び悩みなどにより、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、グループ全体で低価格品や量販品から高級進物品まで幅広いニーズに応え得る体制を整備しているなかで、工場設備の増設・集約等により生産・販売体制を再構築、生産性の向上を図るとともにグループシナジーを高め環境変化に対応していく方針でおります。

 

③市場動向

 当社においては、米菓製造業として、国産原料米100%に拘り品質重視の姿勢を貫いております。しかし、米菓業界におきましては、総合スーパーやコンビニエンスストアに比べ廉価なドラッグストアやディスカウントストアが伸長するといった流通構造の変化が見られ、また、これらの業者が合併または統合することにより大規模な業者が誕生し、これ迄以上に価格競争が激しさを増しております。

 当社としては、できる限り生産品目の選別や販売価格の見直しを行うとともに、廉価販売に繋がらない高付加価値商品の開発に努める等の企業努力を行ってまいりますが、それらが逆に売上高の伸び悩みや利幅の縮小に繋がる場合には、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これ迄どおり美味しさと品質を追求する姿勢を貫きながら、主力商品の集中販売や機械化等による生産効率の向上を図り、品質および価格の両面で競争力を高めていく方針でおります。

 

④原材料・商品の安全性

 当社においては、米菓製造業として食品の製造販売を行っており、国産原料米を100%使用するなど高い品質で安全安心な商品を提供するための体制強化に取り組んでおります。品質クレームを極力削減するよう注力し、クレームを受けた際には誠実な対応を心掛けるとともに、商品事故等が生じた場合には躊躇せずにお客様の安全を優先する方針でおります。

 このように、商品の安全安心に最大限の注意を払っているものの、美味しさを含む品質面で不備が生じた場合には、お客様の信頼の低下からマイナスの風評に繋がり、それへの対応を余儀なくされることも想定しておく必要があり、当該対応のための費用の発生や売上高の低迷等を通じて、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、国産原料米に拘り一定の品質が保てるように努めているほか、極力無添加の副材料を使用するよう商品設計しております。また、厳格な原材料表示やISO22000およびFSSC22000の認証取得を進め、製造工程における異物混入チェック対応をブラッシュアップしていく方針でおります。

 

⑤生産能力(在庫)

 当社においては、米菓の製造販売を行うにあたって、遅滞なく商品を供給する使命があり、原材料や商品を在庫として保有しております。また、生産能力、稼働率、生産工程の隘路等を常に把握・管理するとともに、生産拡大や生産性向上のための改善に注力しております。

 しかし、販売の予期せぬ変動により在庫が過剰となった場合、その削減が進まなければ廃棄処分や評価損に繋がりかねず、また、生産工程の一部に能力不足があっても受注増や効率化に対応できないなど、生産能力および在庫については常に留意すべきであり、パフォーマンスギャップが生じた場合には、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、仕入・販売・在庫計画の精緻化を図るとともに、受注量と生産能力および在庫の適正化が図られるようコントロール強化に努めております。

 

⑥人的資源・資質

 当社においては、常に美味しさを追求しお客様に安全安心な商品をお届けすることを使命としており、係る経営方針を理解し実現できる多様な人材の確保に努めるとともに、職能・職制に応じた人材教育を行っております。

 しかし、人的資本の開示が義務付けられるなどその重要性が喧伝されるなか、このような人的資源・資質の確保および人材育成が効果的に行えない場合には、有効な経営戦略の立案や計画どおりの事業活動遂行に支障が生じることも考えられ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、採用活動を通じて安定的な人材確保に努めており、そのためにも堅調な業績に基づく処遇の安定性が重要であると考え、人事制度改革や社内研修制度を充実させ、エンゲージメントを重視した従業員が働きやすい職場環境を整えるよう努めております。

 

⑦サプライチェーン

 当社においては、米菓製造業としてサプライチェーンの確保は非常に重要であり、特に国産原料米の必要量を廉価に安定的に確保することは天候や作柄に左右され簡単ではないほか、調味料・包装フィルム等の資材や燃料費、物流費などもコストアップ要因となり易く、全般的に大幅な値上がり傾向にあります。

 また、原材料費は製造原価の中で大きなウェイトを占めるため、原料米をはじめとする価格の高騰は原価の上昇に繋がるほか、仕入れの巧拙を含めサプライチェーンの確保いかんによっては必要量の不足または過剰在庫を招きやすく、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、原産地の人権問題等の情報管理を含めサプライチェーン全体の最適化を目指すとともに、契約栽培の拡充等による原料米仕入れの安定化や、生産効率向上によるコストアップ要因の吸収に努める方針でおります。

 

⑧健康・安全管理

 当社においては、労働災害の防止や従業員の安全と健康管理のため、労働安全衛生法に則った体制の整備、強化を図っております。

 従業員の安全については、作業上の怪我や交通事故等の労働災害対応のほか、病気やメンタルヘルス等の健康問題への取組も重要であり、万一重大な労働災害等が発生した場合には、直接従業員を失う損失のほか、補償等による費用の発生や風評被害も想定され、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、安全衛生委員会を設置し労働基準監督署等の指導を得ながら作業環境の改善に努めているほか、労働時間管理の徹底による長時間労働の予防など、事故等の未然防止のための安全管理を徹底しております。特に火災事故に対する備えが重要となっており、消防署の指導を仰ぐとともに、夜間勤務者に対する避難訓練の実施を必須として注力しております。

 

(2)自然災害等に関する特に重要なリスク

①重篤な感染症の流行

 当社においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、その流行の度合や規制の制定・変更・内容等に関し情報収集し、事態への対応等についてコンプライアンス・リスク管理委員会等で継続的に検討し、全社で共有を図っております。

 しかし、新型コロナウイルスやインフルエンザ、ノロウイルスなどの流行により従業員が集団で重篤な感染症に罹患した場合には、一部または全部の操業が中断し生産および出荷が遅延するなど、事業活動が制約される懸念が生じ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、事業継続計画に感染症を含め見直したほかワクチンの職域接種を行う等により、従業員の生活や取引先の事業活動に影響を及ぼさないよう、当社事業の継続・早期復旧に繋がるよう取り組む方針でおります。なお、新型コロナウイルス感染症については、その収束が見通せない状況ですが、これによる製造・販売活動への影響は子会社の一部に見られる程度であり、当社の経営成績等に与える影響は限定的であると判断しております。

 

②大規模自然災害

 当社においては、本社や工場および物流拠点が新潟県長岡市に集中しており、効率的な生産活動を可能としておりますが、係る地元地域に地震、風水害、雪害および火災等による大規模な災害が発生した場合、工場施設等の甚大な被害に繋がる懸念があります。

 実際に被害が生じた場合には、一部または全部の操業が中断し生産および出荷が遅延する可能性があるほか、情報システムの損傷により営業活動や仕入、物流に支障が生じることも考えられ、売上高の落込みや臨時的な費用の発生等から、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、火災を含めた事業継続計画の見直しを行う等により、人命や生産設備、サプライチェーンの確保に留意し訓練・予防に努めるなど、従業員の生活や取引先の事業活動に影響を及ぼさないよう、当社事業の継続・早期復旧に繋がるよう取り組む方針でおります。

 

(3)事業活動に関する重要なリスク

①政体の安定性

 当社においては、中国の旺旺集団(WANT WANT CHINA HOLDINGS LIMITED.以下「同社」という)との結びつきが深く、米菓製造の技術指導や商品の販売、同社ベトナム工場建設などで協働しているほか、お互いに株式を保有、同社からの配当金は当社キャッシュフローに貢献し財務面の安定に寄与しております。

 同社は台湾から中国本土に進出し業容拡大した企業であり、いわゆる台湾有事問題が大きくクローズアップされるなかで、わが国や中国および関連諸国の政情不安や外交関係の悪化が顕在化した場合、同社に派遣している社員の安全性が脅かされたり、同社との緊密な関係が一時的にも損なわれかねないなど、当社の経営成績や事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、法や規制および外交関係等の情勢に関し、日頃から社内外において情報収集し、変化への対応等について当社社員の安全を第一に継続して検討、全社で共有することとしております。同社では、ベトナム工場など中国、台湾以外の地域に進出しリスク分散に努めており、当社においても、引き続き製造工場・設備の効率化により生産性の向上を図り、同社に過度に依存しないよう体質強化に努めております。

 

②関連法規

 当社においては、米菓の製造販売を行っており、製造物責任や知的所有権の侵害など様々な法的手続きの当事者となり得る立場にあります。昨今の気候変動問題もありCO2削減に対する規制見通し等、法や規制の制定・変更等により製造や販売活動に制約を受ける可能性も否定できません。

 これらの懸念が現実となった場合や、さらに法的手続きで不利な判断がなされた場合には、その手続きや補償等による費用の発生、マイナスイメージ払拭のためのコスト等により、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、法や規制の制定・変更・内容等に関し継続して情報収集するとともに、内部統制システムを有効に整備・運用し、コンプライアンス・リスク管理委員会を活用する等により法令遵守に努めております。

 

③情報セキュリティ

 当社においては、情報の機密性、完全性、可用性といった情報セキュリティの確保・対策を進め、役職員に対し保有する個人情報や重要情報の保護・管理を義務付けるなど、厳正な情報管理に努めております。

 しかし、大規模自然災害、長期間の停電、ハードウエア・ソフトウエアの重大な欠陥、コンピューターウィルス感染や不正アクセス等による情報の漏洩・改ざん・消失、情報システムの長期停止や混乱等が発生した場合には、売上高の落ち込みや補償、マイナスイメージの払拭による費用の発生等により、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、個人情報保護規程など各種規程を整備した上で、不適切な情報の取扱いや重大情報の外部流出等が起こらないよう未然防止に努めており、データ等の定期的なバックアップやウィルス感染対応等のセキュリティ対策を講じるとともに、担当部署が繰り返し注意喚起しております。

 特にサイバー攻撃がセキュリティ上の脅威となってきているなかで、個人データ流出、顧客の機密情報流出、第三者へのマルウェア感染等に繋がった場合には、損害賠償等の法的責任が生じるなど社会的リスクが高まっているものと認識、セキュリティ対策をマネジメントやガバナンスにまで高めていく必要があると考えております。

 

④ITインフラ

 当社においては、インターネットにより商品の販売を行っており、社内においてもコンピューターシステムを利用、ITインフラは業務上欠かせないものとなっております。

 しかし、ウィルス感染やサイバー攻撃等の事件・事故による被災、アクセスの急増、ソフトウエアの不備など、何らかの理由によってインターネットサービスの中断やシステム障害が発生した場合には、売上高の落ち込みや信用失墜、損害賠償請求等に基づく費用の発生などにより、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、業務効率向上のためITインフラの強化に取り組むなかで、安全性、快適性、耐障害性に配慮し、ネットワーク規程の明文化、セキュリティシステムの導入、クラウドサービスの活用等により、システムトラブルのないよう適切に整備し、デジタル化の進展に対応していく方針でおります。

 

⑤取引拡大対応能力

 当社においては、最近の設備投資として、もち商品(あられ・おかき)の生産増強、スピーディーな商品開発、老朽化工場の移転集約による製造コスト低減などを目的として、工場設備の新設・増強を行っております。

 これらは、当社にとって大規模な業容拡大のための投資でありますが、目論見どおりの投資効果が得られず、投下資金や償却負担等を吸収し得ない場合には、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、設備計画と実績との比較検証を行い目論見どおりの投資効果の実現に努めるとともに、これらを通じて生産能力増強と製造コスト低減を併せ進めた上で、販売の伸長に繋げていく方針にあります。特に得意分野であるもち商品のシェアアップを目指し、当社ブランドの確立に努めております。

 

⑥経営資源への依存

 当社においては、取引関係の円滑化等を目的としてWANT WANT CHINA HOLDINGS LIMITED.(以下「同社」という)の株式を保有しており、その配当は、当社キャッシュフローに貢献し財務面の安定に寄与、大きな経営資源となっております。

 これまで同社の株価および配当は安定的に推移しておりますが、何らかの理由により株価下落または配当が減少する事態が発生した場合には、当社の資産や損益面にマイナスの影響が生じるとともに、同社の事業戦略の変更も懸念され、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、同社商品の品質維持と継続的改善を目的に当社社員が同社の工場に常駐して技術指導を行ってきており、品質保証や商品開発についてもサポートするなど、同社の業容拡大に一定の貢献をしてきております。このように同社とは強い絆を有しておりますが、同社株式や配当については当社の裁量においてコントロールし使用しております。

 

⑦敵対的企業買収

 当社においては、不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配され、株主の皆様の利益が棄損することを防止するための取組として、2007年6月27日開催の定時株主総会の承認を得て買収防衛策を導入し、現在まで継続しております。

 実際に敵対的買収が行われた場合には、当社事業戦略の変更を余儀なくされる懸念が生じ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、IR活動等を通じて株主の皆様のご理解をいただきながら、安定した業績を示し持続的成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。また、当該リスクが顕在化した場合には、取締役会などで慎重に議論し適切に対応する方針でおります。

 

⑧固定資産の減損

 当社においては、米菓の製造販売を行っており、工場設備等の事業用固定資産を多く保有し適時に更新しております。

 このため、事業収益が悪化した場合や係る固定資産の時価が著しく下落した場合には、減損会計の適用により減損損失が発生する場合があり、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、安定した業績を示し持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るなかで減損の発生事由を抑えるほか、設備投資については計画段階において収支見込など将来の収益性を十分検討したうえで実行するよう努めております。なお、固定資産の除却については、その意思決定と減損会計の実施時期に留意のうえ、適切に実施しております。

 

⑨予算・計画統制

 当社においては、年度予算を策定し予算に従って事業運営を行っております。予算案は現場部署からの積上げを基本としており、実績については、現場で差異分析のうえ乖離幅を縮める努力を行い、取り纏め部署である経営企画室に報告しております。経営企画室では、それらを総合的に分析して取締役会に報告し、現場での改善策実施等について指示や承認を得ております。

 予算計画達成のためには、予算管理の仕組みづくりを行い計画達成の実効を上げる必要がありますが、係る体制が整わずPDCAサイクルが回らないこと等により予算計画が達成できない場合には、業績の低下に繋がるだけでなく、株主等の信頼が損なわれるなど、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、上場企業として、これまで以上に予算と実績の差異を確認し進捗や達成度を把握、適宜必要な対策を講じて、予算計画達成の実効を上げるよう努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、感染症の影響を受けつつも社会経済活動が感染症流行前に戻ってきており、消費の本格的な回復が視野に入っております。しかし、欧米の金融引締めによる景気減速見通しや中国の低成長予測など海外経済の後退が懸念されるなか、賃金の上昇が物価高騰に追い付かず消費者の慎重姿勢が緩和されないなど、景気動向は予断を許さず、特に中小企業においては依然厳しいものと見込まれております。

 米菓業界におきましては、斯業大手の火災事故に伴い業界を挙げて増産対応し供給維持に努めた影響が残るなか、各社、年度後半以降は相次いで新商品を投入、通常の営業体制に戻しながら消費拡大を図っている模様であります。一方で、原材料や燃料費等の製造コストが高止まったままであり、価格転嫁が追い付かず採算面で厳しい事業環境が続いているため、自助努力では凌ぎきれないとして二次の価格改定を打ち出さざるを得ない状況となっております。

 このような経営環境にあって、当社グループは、中期経営計画「新しい岩塚価値の創造」の初年度にあたり、「もっと美味しく・もっと楽しく・もっと笑顔に!」をスローガンに掲げ、引き続き「美味しさと品質」を追求していく方針にあります。大手企業の営業再開もあって価格訴求が収まらず一層競争が激化するなか、採算面を重視するとともに新しい岩塚価値商品をお届けするよう、最新鋭の「BEIKA Lab」での研究開発機能を最大限に活用していく考えでおります。

 開発部門におきましては、「BEIKA Lab」において、お客様に感動していただける新しい岩塚価値商品の開発を進め、際立った差別化を図りたいと考えております。創業精神に拘り本格感を高めた「米技心シリーズ」、人気日本料理店主の監修を得た「賛否両論3品」、開発に1年半をかけたイタリア料理店高名シェフとのコラボ商品のほか、学校や特産品生産地とのコラボ商品など、ワンランク上の新しい岩塚価値の新商品を次々と生み出しております。

 製造部門では、原材料や燃料、電力費など外的要因によるコストアップが続き、工場増設に係る固定費負担が残るなか、製造原価の高止まりを余儀なくされております。このため、主力品の集中生産、在庫の活用、物流体制の整備など生産効率向上に努めるとともに、生地生産、包装工程などの機械化による省人や、揚げ釜や空調を更新し電力使用量を削減するなどの設備投資を前倒しで進めております。機械設備の納期が長期化しており早期の改善は難しい状況にありますが、かかるコスト削減のための自助努力は、フル操業状態が続いていることと相俟って、生産性向上に大いに資するものと期待しております。

 営業部門では、年度前半は、代替需要に対し新商品や企画品等の年度計画を先送りして定番品主体に商品供給を最優先いたしました。その結果、主力商品(TOP6+2)においては、年度を通して明らかな伸長が見られました。年度後半には、控えてきた新商品を順次投入、75周年記念商品と位置づけた「米技心シリーズ」の発売、「賛否両論」の笠原店主監修商品の拡充のほか、イタリア料理店の落合シェフ監修のコラボ商品についてはお披露目会からの丁寧な販促活動を行い満を持して売場の多様化に挑戦しております。また、「お米となかよし」をキーワードに情報発信に努めブランドイメージを高めるとともに、課題であった認知度の向上に真剣に取り組む考えでおります。なお、価格改定については、年度後半にご理解を得て実施させていただき収益の改善に一定の寄与ができましたが、今後は、諸般の状況を考慮しながら慎重に進めてまいりたいと考えております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

 当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末に比べ127億21百万円減少し835億55百万円となりました。

 当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末に比べ50億94百万円減少し214億93百万円となりました。

 当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ76億27百万円減少し620億61百万円となりました。

b.経営成績

 当連結会計年度における連結売上高は203億86百万円(前年比13.0%増)、営業損失は2億13百万円(前年同期は営業損失3億26百万円)、経常利益は54億54百万円(前年比286.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は39億70百万円(同379.5%増)となりました。

 なお、当社グループは米菓事業の単一セグメントであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、期首残高より27億63百万円増加し、45億36百万円(前年同期比155.8%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は53億42百万円(前年同期比29億64百万円の収入増加)となりました。主にこれは、税金等調整前当期純利益55億66百万円減価償却費13億57百万円、法人税等の支払額10億79百万円を計上したこと等によるものであり、収入増加要因は、前年同期と比べて利息及び配当金の受取額が36億75百万円増加したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は15億62百万円(前年同期比1億99百万円の支出減少)となりました。主にこれは、有形固定資産の取得による支出15億54百万円を計上したこと等によるものであり、支出減少要因は、投資有価証券の取得による支出が1億96百万円減少したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は10億16百万円(前年同期比9億7百万円の支出増加)となりました。主にこれは、長期借入金の返済による支出8億円、配当金の支払額1億80百万円を計上したこと等によるものであり、支出増加要因は、長期借入金の返済による支出が2億93百万円増加したこと等によるものであります。

 (参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

73.6

74.5

73.4

72.4

74.3

時価ベースの自己資本比率(%)

31.0

25.8

31.7

22.7

31.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.1

0.0

0.6

0.9

0.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

1,221.3

1,714.2

1,067.4

222.3

668.9

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注3)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

(注4)営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業キャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

区分

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

構成比(%)

うるち米菓

13,031,533

115.5

50.3

もち米菓

11,203,542

114.5

43.2

その他

1,671,627

114.5

6.5

合計

25,906,703

115.0

100.0

 (注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当社グループは販売計画に基づいて生産計画を立て、これにより生産を行っているため、受注生産は行っておりません。

c.販売実績

区分

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

構成比(%)

米菓

19,915,423

113.2

97.7

その他

470,845

103.8

2.3

合計

20,386,268

113.0

100.0

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱食品株式会社

3,919,134

21.7

4,306,731

21.1

丸紅株式会社

3,651,512

20.2

4,069,356

20.0

コンフェックス株式会社

2,126,424

11.8

2,505,752

12.3

株式会社高山

1,937,865

10.7

2,395,382

11.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

 当連結会計年度末における総資産は835億55百万円となり、前連結会計年度末と比較して127億21百万円の減少となりました。

 流動資産は115億98百万円で前連結会計年度末と比較して33億89百万円の増加となりました。主にこれは、現金及び預金が27億63百万円、受取手形及び売掛金が2億99百万円、商品及び製品が2億22百万円増加したこと等によるものであります。

 固定資産は719億56百万円となり前連結会計年度末と比較して161億11百万円の減少となりました。主にこれは、投資有価証券が時価評価等により164億57百万円減少したこと等によるものであります。

 当連結会計年度末における負債は214億93百万円となり、前連結会計年度末と比較して50億94百万円の減少となりました。

 流動負債は49億11百万円で前連結会計年度末と比較して9億4百万円の増加となりました。主にこれは、買掛金が2億8百万円、未払法人税等が6億60百万円増加したこと等によるものであります。

 固定負債は165億82百万円となり前連結会計年度末と比較して59億98百万円の減少となりました。主にこれは、繰延税金負債が51億14百万円減少したこと等によるものであります。

 当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が37億90百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が114億42百万円減少したこと等により、620億61百万円(前連結会計年度末は696億89百万円)となりました。

 

b.経営成績

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前年同期と比較し23億42百万円増加、203億86百万円(前年比13.0%増)となりました。商品ブランド別に見ると主力商品の販売強化を図った結果、TOP6+2は「黒豆せんべい」「大袖振豆もち」等が牽引し前年比10.7%増と大きく伸ばすことができました。その他の商品も総じて伸長したほか、販売子会社においても人流の回復に伴い復調が見られました。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、46億56百万円(前年比9.2%増)となりました。増収効果として11億円以上が試算されたものの、電力・燃料費(前年同期間比5億74百万円増加)や原材料費(同13億78百万円増加)の高騰が大きく響いて製造原価を押し上げ、3億92百万円の増加に留まりました。

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は、前年同期間と比較し1億13百万円良化したものの、2億13百万円の営業損失となりました(前年同期間は営業損失3億26百万円)。販売費及び一般管理費は、48億69百万円(前年比6.1%増)となり、販売促進費や発送配達費の抑制に努める等により前年同期間比2億79百万円の増加に抑えたものの、上記のとおり売上総利益段階での伸び悩みが大きく響く結果となりました。

(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における経常利益は、前年同期間と比較し40億42百万円増加、54億54百万円(前年比286.2%増)となりました。主にこれは、当社が株式を保有するWANT WANT CHINA HOLDINGS LIMITED.からの株式配当金51億81百万円(前年同期間比240.8%)を営業外収益の受取配当金に計上したこと等によるものであり、前年に比べ記念配当が大きく寄与しました。

 経常利益を受け、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期間と比較し31億42百万円増加し、39億70百万円(前年比379.5%増)となりました。

c.経営成績等に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営に影響を及ぼす大きな要因としては、経済情勢、市場動向、原材料動向および事故・災害等があり、それらへの適切な対応が重要となります。

 経済情勢としては、社会経済活動が感染症流行前に戻りつつあり消費の回復が期待されておりますが、賃金の上昇が物価高騰に追いついておらず生活防衛意識が強まるなど、予断を許さない状況にあります。

 米菓業界では大手の火災事故に伴い業界を挙げて増産対応し供給維持に努めましたが、当社においてもその影響が残るなか、漸く通常の営業体制に戻しつつある状況にあります。しかし、原材料や燃料費等の製造コストが高止まったまま厳しい事業環境が続いており、一定の価格転嫁が必要な状況となっております。

 原材料動向では、原料米価格は落ち着いておりますが、副材料等の原材料価格やエネルギーコストが高止まったまま、製造コストを押し上げる要因となっております。主力商品への集中による生産効率の向上および仕入コストの低減に努めるとともに、引き続き調達手段・方法等を検証し、あらゆる方法でコスト削減に取り組むことが重要となっております。

 このような環境のなか、当社グループは、安全安心体制の構築を前提に生産性向上と品質安定への取組みを強化するとともに、夏の暑さ対策に留意するなど労働災害等の未然防止や働きやすい職場環境の整備に努めてまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

1)資本政策

 当社グループの資本政策は、中長期的な株主価値の向上に資するべきでありそのためには持続的成長が前提になるとの考えの下、投下資本と許容リスクを勘案のうえ収益力と財務基盤を強固にし、株主資本を維持・充実するものとしております。また、支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資本政策については、慎重に検討し、実施する場合は適切な手続きを確保し投資家・株主に十分な説明を行ってまいります。

 当社グループの最大の課題は売上高営業利益率の向上であり、営業利益の安定確保を当面の目標として株主価値の向上を目指すとともに、1株当たり当期純利益と配当性向を高め、株主還元に留意した配当政策を検討することとしております。

 

2)資金需要

 当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備資金需要であります。

 運転資金需要のうち主なものは、製品を製造するための製造費用や販売するための販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要としては、機械装置等の新設・更新需要や工場の改修・保全に係る費用であります。

 

3)財務政策

 当社グループの財務政策は、上記資金需要について、極力内部資金により充当することとしております。なお、資金不足が生じた場合は、運転資金については短期借入金による調達を行い、設備資金については長期借入金等による調達を行うこととしております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社経営陣は、過去の実績や状況に応じた合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、資産・負債の簿価や収益・費用の報告数値についての基礎としております。

 この連結財務諸表の作成にあたり重要な会計上の見積りは以下のとおりであります。

 a.繰延税金資産

 当社グループは、将来の課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産に計上しております。

 将来の課税所得の見積りの変更等により繰延税金資産が減額され税金費用が計上される場合があります。

 b.退職給付費用

 当社グループの退職給付費用及び退職給付債務の計算には、割引率、予想昇給率、発生した給付額、利息費用などの要素が含まれております。割引率については、安全性の高い債券の利回り(国債金利)を基礎として算定しております。

 これら要素の変動等により退職給付費用の計上額が増額になる場合があります。

 c.投資有価証券の減損

 当社グループは取引関係等の円滑化のために株式を保有しております。これらの株式には、市場価格のない株式等以外の株式と、市場価格のない株式等が含まれております。市場価格のない株式等以外の株式は、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て評価損の認識を行い、30~50%程度下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について評価損の認識を行っております。また、市場価格のない株式等は、実質価額又は純資産価額が取得原価に比べ50%以上下落した場合において、回復可能性等があると認められないものは、評価損の認識を行っております。

 将来の市場状況の悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる場合があります。

 d.固定資産の減損損失

 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、当社グループ全体を1つの資産グループとしてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した場合に固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとしております。

 将来の当社グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動等により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

2【主要な設備の状況】

 当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。

(1)提出会社

(2023年3月31日現在)

 

事業所名

(所在地)

事業部門別の名称

設備の内容

帳簿価額

従業員数(人)

外[臨時従業員]

建物及び構築物

(千円)

機械装置及び運搬具

(千円)

土地

(千円)

(面積㎡)

リース資産

(千円)

その他

(千円)

合計

(千円)

飯塚工場

(新潟県長岡市)

製造業務

米菓製造設備

1,082,643

731,690

62,381

(14,264)

146

6,563

1,883,425

70

[-]

沢下条工場

(新潟県長岡市)

製造業務

米菓製造設備

1,579,532

2,419,480

233,088

(71,432)

1,890

25,895

4,259,888

419

[10]

BEIKA Lab

(新潟県長岡市)

製造業務

米菓製造設備

2,841,501

1,339,347

4,128

4,184,977

31

[-]

長岡工場

(新潟県長岡市)

製造業務

米菓製造設備

1,750,995

208,174

223,000

(23,138)

470

2,604

2,185,244

62

[3]

北海道工場

(北海道千歳市)

製造業務

米菓製造設備

227,141

97,565

192,945

(19,008)

679

1,709

520,040

32

[-]

(注)1.上記には、建設仮勘定を含んでおりません。

2.沢下条工場とBEIKA Labは同一の敷地内のため、土地は全て沢下条工場に含めております。

 

(2)国内子会社

(2023年3月31日現在)

 

会社名

事業所名

(所在地)

事業部門別の名称

設備の内容

帳簿価額

従業員数(人)

外[臨時従業員]

建物及び構築物

(千円)

機械装置及び運搬具

(千円)

土地

(千円)

(面積㎡)

リース資産

(千円)

その他

(千円)

合計

(千円)

株式会社新潟味のれん本舗

本社

(新潟県長岡市)

販売業務

販売業務施設

9,182

21,035

15,076

45,294

34

[1]

 

 

①【株式の総数】

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

23,980,000

23,980,000

②【発行済株式】

種類

事業年度末現在発行数(株)

(2023年3月31日)

提出日現在発行数(株)

(2023年6月30日)

上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

5,995,000

5,995,000

東京証券取引所

スタンダード市場

単元株式数

100株

5,995,000

5,995,000

①【ストックオプション制度の内容】

 該当事項はありません。

 

②【ライツプランの内容】

 該当事項はありません。

 

(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日

発行済株式総数増減数

(株)

発行済株式総数残高

(株)

資本金増減額

(千円)

資本金残高

(千円)

資本準備金増減額

(千円)

資本準備金残高

(千円)

1989年10月26日

850,000

5,995,000

522,750

1,634,750

837,250

1,859,250

 (注) 有償一般募集850,000株 発行価格 1株当たり1,600円 資本組入額 1株当たり615円

 

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

(2023年3月31日現在)

区分

株式の状況(1単元の株式数 100株)

単元未満株式の状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

10

12

97

51

4

5,239

5,413

所有株式数(単元)

7,639

1,892

11,214

9,345

30

29,796

59,916

3,400

所有株式数の割合(%)

12.7

3.2

18.7

15.6

0.1

49.7

100.0

 (注)1.自己株式368,484株は「個人その他」に3,684単元及び「単元未満株式の状況」に84株を含めて記載しております。

2.「金融機関」には、株式給付信託(BBT)が保有する当社株式22,300株(223単元)が含まれております。

 

(6)【大株主の状況】

 

 

(2023年3月31日現在)

氏名又は名称

住所

所有株式数

(千株)

発行済株式(自己株式を除く)の総数に対する所有株式数の割合(%)

岩塚製菓共栄会

新潟県長岡市飯塚2958番地

342

6.08

株式会社第四北越銀行

新潟県新潟市中央区東堀前通7番町1071-1

270

4.80

CGML PB CLIENT ACCOUN

T/COLLATERAL

(常任代理人  シティバンク、エヌ・エイ東京支店)

CITIGROUP CENTRE,CANADA SQUARE,CANA

RY WHARF, LONDON E14 5LB

(東京都新宿区新宿6丁目27番30号)

234

4.16

槇 政男

新潟県長岡市

202

3.59

MIZUHO SECURITIES ASIA LIMITED-CLIENT A/C

(常任代理人 株式会社みずほ銀行)

12TH FLOOR,CHATER HOUSE,8 CONNAUGHT ROAD,CENTRAL, HONG KONG

(東京都港区港南2丁目15-1品川インターシティA棟)

197

3.50

槇 キク

新潟県長岡市

162

2.89

株式会社日本カストディ

銀行

東京都中央区晴海1丁目8-12

153

2.73

平石 惠子

新潟県長岡市

153

2.73

第四ジェーシービーカード株式会社

新潟県新潟市中央区上大川前通8番町1245だいし上大川前ビル

130

2.31

第四北越証券株式会社

新潟県長岡市城内町3丁目8番地26

130

2.31

1,975

35.10

①【連結貸借対照表】

 

 

(単位:千円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

1,777,281

4,540,722

受取手形及び売掛金

※1 4,453,017

※1 4,752,587

商品及び製品

294,793

517,175

仕掛品

129,952

124,230

原材料及び貯蔵品

1,471,702

1,402,431

前払費用

54,074

57,738

1年内回収予定の長期貸付金

29,373

その他

105,687

236,686

貸倒引当金

106,222

32,580

流動資産合計

8,209,661

11,598,992

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物及び構築物

17,943,726

17,241,951

減価償却累計額

※5 9,686,381

9,244,350

建物及び構築物(純額)

※3,※4 8,257,345

※3,※4 7,997,600

機械装置及び運搬具

13,503,068

14,333,671

減価償却累計額

9,132,210

9,469,401

機械装置及び運搬具(純額)

※4 4,370,857

※4 4,864,269

土地

※3 756,225

※3 755,245

リース資産

149,015

145,851

減価償却累計額

85,804

100,440

リース資産(純額)

63,211

45,411

建設仮勘定

272,548

269,713

その他

445,054

454,923

減価償却累計額

331,765

352,082

その他(純額)

※4 113,288

※4 102,840

有形固定資産合計

13,833,477

14,035,081

無形固定資産

68,866

110,102

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

※2 72,865,049

※2 56,407,429

長期貸付金

988,997

1,079,016

従業員に対する長期貸付金

2,644

1,882

長期前払費用

15,815

70,637

繰延税金資産

66,397

56,272

その他

255,517

229,083

貸倒引当金

28,981

32,997

投資その他の資産合計

74,165,441

57,811,323

固定資産合計

88,067,785

71,956,507

資産合計

96,277,446

83,555,499

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

782,417

990,606

1年内返済予定の長期借入金

※3 500,800

※3 400,800

未払費用

513,915

570,808

未払法人税等

208,612

869,470

未払消費税等

224,373

28,677

賞与引当金

461,863

455,692

その他

1,314,953

1,595,534

流動負債合計

4,006,936

4,911,590

固定負債

 

 

長期借入金

※3 1,506,800

※3 806,000

繰延税金負債

19,334,090

14,220,004

退職給付に係る負債

1,208,608

1,218,062

持分法適用に伴う負債

116,454

役員株式給付引当金

20,117

20,117

役員退職慰労引当金

5,285

その他

394,967

312,642

固定負債合計

22,581,039

16,582,112

負債合計

26,587,975

21,493,703

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

1,634,750

1,634,750

資本剰余金

1,859,250

1,859,250

利益剰余金

17,822,310

21,612,920

自己株式

1,064,577

1,064,682

株主資本合計

20,251,733

24,042,238

その他の包括利益累計額

 

 

その他有価証券評価差額金

49,445,508

38,002,555

退職給付に係る調整累計額

7,770

17,003

その他の包括利益累計額合計

49,437,738

38,019,558

純資産合計

69,689,471

62,061,796

負債純資産合計

96,277,446

83,555,499

【連結損益計算書】

 

 

(単位:千円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

※1 18,043,966

※1 20,386,268

売上原価

13,780,198

15,729,986

売上総利益

4,263,767

4,656,282

販売費及び一般管理費

※2,※6 4,590,631

※2,※6 4,869,846

営業損失(△)

326,863

213,564

営業外収益

 

 

受取利息

43,700

55,267

受取配当金

1,556,171

5,220,283

その他

192,476

419,250

営業外収益合計

1,792,348

5,694,801

営業外費用

 

 

支払利息

10,607

7,934

貸倒引当金繰入額

3,093

4,016

棚卸資産廃棄損

21,773

休止固定資産費用

6,692

11,380

持分法による投資損失

5,339

その他

5,524

3,053

営業外費用合計

53,029

26,384

経常利益

1,412,455

5,454,852

特別利益

 

 

固定資産売却益

※3 11

※3 2,741

投資有価証券売却益

18,672

162,226

国庫補助金

52,509

2,400

特別利益合計

71,192

167,368

特別損失

 

 

固定資産除却損

※5 22,475

※5 30,884

固定資産売却損

※4 151,894

固定資産圧縮損

52,509

2,400

投資有価証券評価損

687

出資金評価損

42,774

出資金売却損

15,684

ゴルフ会員権評価損

100

リース解約損

497

減損損失

※7 27,521

※7 6,000

特別損失合計

297,772

55,656

税金等調整前当期純利益

1,185,875

5,566,564

法人税、住民税及び事業税

460,705

1,695,348

法人税等調整額

102,902

99,443

法人税等合計

357,802

1,595,905

当期純利益

828,072

3,970,659

親会社株主に帰属する当期純利益

828,072

3,970,659

①【貸借対照表】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

931,714

3,682,578

受取手形

2,855

1,203

売掛金

4,369,640

4,651,939

商品及び製品

283,076

503,598

仕掛品

129,814

124,140

原材料及び貯蔵品

1,464,735

1,393,827

前払費用

46,651

47,771

1年内回収予定の長期貸付金

29,373

その他

115,287

340,333

貸倒引当金

105,373

130,044

流動資産合計

7,267,775

10,615,348

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物

※2,※3 7,638,194

※2,※3 7,425,918

構築物

※3 566,632

※3 522,536

機械及び装置

※3 4,365,343

※3 4,853,245

車両運搬具

※3 4,204

※3 8,338

工具、器具及び備品

※3 96,239

※3 86,157

土地

※2 756,225

※2 755,245

リース資産

38,767

26,059

建設仮勘定

272,548

269,713

有形固定資産合計

13,738,155

13,947,213

無形固定資産

 

 

ソフトウエア

39,158

41,316

その他

15,137

45,816

無形固定資産合計

54,296

87,132

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

72,865,049

56,407,429

関係会社株式

188,400

188,400

出資金

43,823

1,197

長期貸付金

988,997

1,079,016

従業員に対する長期貸付金

2,644

1,882

長期前払費用

13,322

69,324

差入保証金

53,436

73,423

その他

135,933

137,967

貸倒引当金

28,981

32,997

投資その他の資産合計

74,262,626

57,925,643

固定資産合計

88,055,078

71,959,989

資産合計

95,322,854

82,575,337

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

766,372

973,282

1年内返済予定の長期借入金

※2 500,800

※2 400,800

リース債務

20,425

14,283

未払金

680,266

823,986

未払費用

502,197

557,312

返金負債

548,741

605,300

未払法人税等

206,665

858,392

未払消費税等

212,631

17,719

預り金

22,535

23,696

前受収益

407

335

賞与引当金

426,621

419,726

その他

2,368

93,735

流動負債合計

3,890,033

4,788,570

固定負債

 

 

社債

100,000

100,000

長期借入金

※2 1,506,800

※2 806,000

長期預り保証金

102,044

102,070

リース債務

29,101

15,995

退職給付引当金

1,121,518

1,166,274

債務保証損失引当金

72,000

役員株式給付引当金

20,117

20,117

繰延税金負債

19,337,494

14,212,556

その他

144,768

75,374

固定負債合計

22,433,843

16,498,388

負債合計

26,323,877

21,286,959

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

1,634,750

1,634,750

資本剰余金

 

 

資本準備金

1,859,250

1,859,250

資本剰余金合計

1,859,250

1,859,250

利益剰余金

 

 

利益準備金

101,437

101,437

その他利益剰余金

 

 

別途積立金

16,082,000

16,842,000

繰越利益剰余金

940,607

3,913,067

利益剰余金合計

17,124,045

20,856,505

自己株式

1,064,577

1,064,682

株主資本合計

19,553,468

23,285,823

評価・換算差額等

 

 

その他有価証券評価差額金

49,445,508

38,002,555

評価・換算差額等合計

49,445,508

38,002,555

純資産合計

68,998,976

61,288,378

負債純資産合計

95,322,854

82,575,337

②【損益計算書】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

16,951,696

19,266,415

売上原価

13,680,283

15,652,677

売上総利益

3,271,413

3,613,738

販売費及び一般管理費

 

 

販売費

2,482,856

2,575,178

一般管理費

1,141,247

1,297,728

販売費及び一般管理費合計

※2 3,624,104

※2 3,872,907

営業損失(△)

352,690

259,169

営業外収益

 

 

受取利息

43,754

55,310

受取配当金

1,556,171

5,220,283

その他

200,580

409,193

営業外収益合計

1,800,506

5,684,787

営業外費用

 

 

支払利息

11,290

7,934

貸倒引当金繰入額

3,093

28,686

棚卸資産廃棄損

21,138

休止固定資産減価償却費

6,692

11,380

その他

1,258

3,015

営業外費用合計

43,472

51,016

経常利益

1,404,342

5,374,601

特別利益

 

 

固定資産売却益

※3 11

※3 2,714

投資有価証券売却益

18,672

162,226

国庫補助金

52,509

2,400

特別利益合計

71,192

167,341

特別損失

 

 

固定資産除却損

※4 19,459

※4 30,734

固定資産圧縮損

52,509

2,400

投資有価証券評価損

687

出資金評価損

42,774

出資金売却損

15,684

ゴルフ会員権評価損

100

リース解約損

497

減損損失

※5 27,521

※5 6,000

特別損失合計

142,861

55,506

税引前当期純利益

1,332,674

5,486,436

法人税、住民税及び事業税

458,164

1,683,495

法人税等調整額

68,106

109,568

法人税等合計

390,058

1,573,926

当期純利益

942,615

3,912,509