キーコーヒー株式会社
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2.第69期の株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第70期の期首から適用しており、第70期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
3.第68期の1株当たり配当額には、創業100周年記念配当2円を含んでおります。
4.第69期の株価収益率及び配当性向については、当期純損失であるため記載しておりません。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第70期の期首から適用しており、第70期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
1920年(大正9年)8月、横浜市中区福富町において、故柴田文次がコーヒーの焙煎とコーヒー及び食料品の販売を目的として、コーヒー商「木村商店」を創業したのが当社の起源であります。
1923年9月、関東大震災により福富町の店を失い、横浜市中区吉田町に本店を移転、1928年(昭和3年)春には店名も「木村コーヒー店」と改め、国内外に支店を広げるとともに、コーヒー農園の経営も手がけました。その後、第2次大戦の戦災を被り、一時営業中止の止むなきにいたることもありましたが、1946年には本店機能を東京支店に移し、1950年のコーヒー生豆輸入再開以降、本格的なレギュラーコーヒー製造販売会社として再出発いたしました。1952年(昭和27年)10月に東京都港区芝田村町4丁目8番地の東京支店を本店とし、横浜支店と合わせて「株式会社木村コーヒー店」(当社)を、また1953年1月には大阪、京都の2支店を「株式会社大阪木村コーヒー店」として、それぞれ法人組織化いたしました。その後、当社は、1988年10月に「株式会社大阪木村コーヒー店」を合併し、また、1989年(平成元年)2月に商号を「キーコーヒー株式会社」に変更いたしました。
当企業集団の沿革
当社グループは、連結子会社14社、関連会社3社(持分法適用会社2社、非持分法適用会社1社)により構成されております。
(注)2022年7月1日付で社名を沖縄キーコーヒー株式会社より変更しております。
当社グループが営んでいるセグメントの内容と、グループ各社の位置づけは次のとおりであります。
<コーヒー関連事業>
当社が営んでいる事業で、コーヒー製品等を消費者、飲食店及び食品問屋、飲料メーカー等に販売しております。
<飲食関連事業>
株式会社イタリアントマトは、飲食店事業及び洋菓子等の販売を国内外に展開しております。
株式会社アマンドは、飲食店事業及び洋菓子等の販売を営んでおります。
<その他>
ニック食品株式会社は、飲料を中心とした食品の製造及び受託加工を行い、飲料販売会社等に販売を行っております。
キーコーヒーコミュニケーションズ株式会社は、オフィスサービス事業及び通販事業を営んでおります。
株式会社キョーエイコーポレーションは、運送物流事業を営んでおります。
キーアソシエイツ株式会社は、当社グループの保険代理店事業を営んでおります。
スラウェシ興産株式会社は、インドネシア共和国よりコーヒー生豆を輸入し、当社に販売しております。
なお、インドネシア共和国におけるコーヒー農園経営及びコーヒー生豆の集買・精選は、スラウェシ興産株式会社の連結子会社であるPT.TOARCO JAYAが行っております。
honu加藤珈琲店株式会社は、コーヒー製品等の通販事業を営んでおります。
台湾キーコーヒー株式会社は、コーヒー製品等の販売及び直営店舗の運営を行っております。
事業の系統図及び主要な会社名は、次のとおりであります。

(2) 持分法適用関連会社
(注) 1. 有価証券報告書の提出会社であります。
2. 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
当社の労働組合は1969年7月28日に結成され、上部団体には加盟しておりません。なお、労使協調のもと円滑な労使関係を維持しております。
また連結子会社においては労働組合は結成されておりませんが、労使関係については良好であります。
提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.計算方法は、「女性の管理職(課長以上)の人数÷全ての管理職(課長以上)」として算出しております。管理職には、執行役員、正社員の管理職及び管理職級の嘱託社員を含みます。
4.計算方法は、「当事業年度において雇用する男性労働者のうち育児休業等を取得した人数÷当事業年度において雇用する男性労働者のうち配偶者が出産した人数」として算出しております。計算対象とする従業員は、正社員・嘱託社員、短期契約社員です。対象期間は2022年4月1日から2023年3月31日までです。
5.計算方法は、「女性労働者の平均年間賃金÷男性労働者の平均年間賃金×100%」として算出しております。平均年間賃金は「総賃金÷人員数」として算出しております。賃金は、基本給、超過労働に対する報酬、役割ごとに支給される手当、住宅手当、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除いております。
正規労働者は正社員、嘱託社員を対象に算出しており、出向者は出向元の従業員として集計しております。パート・有期労働者は、派遣社員を除く短期契約社員・パートタイマーを対象に算出しております。パートタイマーについては、フルタイム換算をせず実際に支給した賃金とその対象者数に基づき算出しております。
正規雇用労働者、パート・有期労働者のそれぞれの差異と全労働者の差異の数値に乖離がある原因は、①人数の多い「正規の男性の賃金」と「パート・有期労働者の女性の賃金」の差があるためです。②パート・有期労働者には短時間勤務労働者(週の所定労働時間が40時間未満の時給支給者)が含まれ、短時間勤務労働者1名分の賃金も通常時間勤務労働者1名分の賃金も同じ1名分の賃金として換算しているためです。対象期間は2022年4月1日から2023年3月31日までです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、品質第一主義に基づき、コーヒーを栽培・加工し、安心・安全にお客様に届けるまでのバリューチェーンを担っております。「コーヒーを究めよう」、「お客様を見つめよう」、「そして、心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう」との企業理念を共有し、目指すべき「キーコーヒービジョン」として次の3つの項目を掲げております。
・コーヒーに関して、信頼度№1の会社であること。
・コーヒーの可能性を追求し、その価値を提供できる会社であること。
・そして、お客様から最初に選ばれるコーヒー会社であること。
こうした企業理念、ビジョンに基づいた日々の活動により、企業価値の向上に努めてまいります。
また、コーヒーのバリューチェーンを担う企業として、コーヒーの未来と持続可能な社会の実現に貢献するため「地球温暖化への対応」「環境負荷への対応」「持続可能な調達と商品の開発・提供」「従業員のエンゲージメント向上とダイバーシティの推進」「コーポレート・ガバナンスの強化」を重要項目として特定しサステナビリティの実現に取り組んでまいります。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症流行により多大な業績への影響を受けた経緯を踏まえ、収益力回復を喫緊の課題と認識し、目標とする経営指標を営業利益額としております。後述の(4)対処すべき課題に記載した施策を実施し、収益力の回復・強化を最優先に取り組んでまいります。
当社は、当面の経営戦略として、事業構造改革を成し遂げ、新たな生活様式に適応し、2世紀企業として飛躍するための基盤を確立することを中期目標に掲げております。
具体的には(4)対処すべき課題に記載した施策を実施し、変革へのチャレンジ、収益力強化、グループ総合力強化に取り組んでまいります。
(4) 対処すべき課題
わが国の経済情勢は新型コロナウイルス感染症の各種行動制限が緩和され、分類変更も決まる中、経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、エネルギー及び原材料価格の高騰、円安による物価上昇の継続に加え欧米諸国の景気減速懸念もあり依然として厳しい環境です。
業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆調達価格の高値水準は当期中に一旦落ち着きを取り戻しましたが、コーヒー先物市場における認証在庫量は低位で推移しており、また、資材コストや光熱費の高止まりなどもあり、引き続きコーヒー製造コストの上昇には注意が必要です。
このような環境下において、当社グループは変革へのチャレンジを加速し、2世紀企業として飛躍するための基盤を確立すべく、更なる事業の構造改革に取り組み、引き続き業務の標準化、在庫の適正化など、コスト低減に努めてまいります。
コーヒー関連事業の業務用市場におきましては、全国拠点網とお取引先へのサービス水準を維持しつつ、更なる業務の合理化、効率化を進めます。また、市場環境の変化を新たなビジネスチャンスに繋げられるような商品・サービスの開発、提案を通じて、お客様の業績に寄与する取組みを継続いたします。
家庭用市場におきましては、消費者のライフスタイルの変化に伴うニーズの多様化に応えられるような新商品の投入や、新たなカテゴリーの開発により当社プレゼンスを高めてまいります。また売上拡大に向けて、シェア拡大を図る地域や成長するEC市場への経営資源投入を実施してまいります。
加えて、顧客にダイレクトに商品を提供するD2Cビジネスや海外ビジネスに注力し、業務用、家庭用、原料用に続く新たな事業の柱に育てるべく取り組んでまいります。
飲食関連事業につきましては、前年を上回る実績となったものの新型コロナウイルス影響前までの売上回復には至っておらず、依然として厳しい環境が継続しております。新しい環境に適応した店舗開発やSNSの活用、デリバリ―への取組み強化、新たなメニュー開発とともに、店舗オペレーションの改善、商品製造・供給体制の見直しや徹底したコスト削減を行い、業績回復に努める所存であります。
こうした事業戦略の遂行を支えるべく、基幹系システムや生産管理システムの刷新、デジタル化促進により業務の効率化と高度化を推進します。
当社グループは、お客様に商品やサービスを提供することにとどまらず、企業として社会的責任を最大限果たすことが存在意義であると認識して事業活動を行ってまいります。私たちは昨年度、2030年を見据えたメッセージとして「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を制定し、これまで100年間当社とともに日本のコーヒー文化を築いてきた“喫茶店”の魅力を、まだ接点の少ない若年層や国内のみならず海外へも発信強化していくことといたしました。
また持続的な企業の成長と発展を実現するため、従業員一人ひとりの持てる能力やスキルを引出し企業価値を最大化する経営に取り組みます。
変容した社会環境の下、コーヒーに関して信頼度№1の会社であること、コーヒーの可能性を追求し、その価値を提供できる会社であること、そして、お客様に最初に選ばれるコーヒー会社であることを実現すべく、全社一丸となって取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 原材料等の価格変動
当社グループは、レギュラーコーヒーの原料生豆を全量海外からの輸入により調達しており、当社の求める品質の原料を最適な価格で調達できるよう様々な手段を講じております。しかしながら原料生豆は国際相場商品であり、コーヒー生産国の政情、コーヒー産地の気候変動や病害虫被害、作柄等による生産量の減少等の要因による相場の高騰や外国為替の変動、また資源エネルギー価格上昇に伴う資材、物流費等の様々なコストが上昇した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② サプライチェーンリスク
当社グループは、コーヒー原料生豆を全て、またコーヒー製造に関わる各種資材の一部を海外からの輸入により調達しております。このため、各国の政治・経済・社会情勢、自然災害、紛争等により、グローバルなサプライチェーンリスクにさらされています。当社グループはサプライチェーン全体を俯瞰的に捉え、現在、原材料の基準在庫の見直しやサプライヤーとの連携強化等の対策を講じておりますが、世界的な危機事情によっては、一部原材料、資材等の手配が困難となり業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 消費市場の変化
当社グループは、消費者ニーズの多様化、デジタル化等の市場環境の変化に応じた新たな商品やサービスの開発・提案に取り組んでおりますが、特に新型コロナウイルス感染症の流行により変容したライフスタイル、多様化した働き方により生まれた新たなニーズに対応してまいります。しかしながら変化への対応の遅れや不適合により、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 他社との競合
当社グループは、人口減少等の影響によりマーケット全体の伸長が難しい環境の中、競合他社と価格やサービスを巡って競争が熾烈化しておりますが、付加価値を付与した商品やサービスの提供を通じ、適正な利益を確保するよう努めております。しかしながら競合他社との差別化、優位性の確保が難しい場合は、シェア拡大に向けた過当競争により、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 海外事業
当社グループは、インドネシアにおける農園事業、台湾におけるレギュラーコーヒー販売事業などを行っております。事業を展開する各国における政治、経済、社会情勢の変化などを予見、情報収集のうえ迅速な対応と意思決定によるマネジメントを遂行するよう努めております。しかしながらカントリーリスクによって事業継続が困難となる際は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 食の安全
当社グループは、近年、消費者の食の安全性に対する関心が一層高まっております。「品質第一主義」の下、高品質の商品を安全かつ衛生的に製造し、お客様にご満足いただけるよう厳しい品質保証体制をとっておりますが、健康被害に関わる事故が発生した場合には、その事故の規模によってはブランドイメージを著しく損ねる恐れがあり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 天候
当社グループは、レギュラーコーヒーを中心とした事業を展開しており、これらの事業における製商品の売上は天候の影響を受けやすく、天候等の変動等によっては、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 自然災害
当社グループは、国内の各地に営業拠点並びに生産拠点を設置しており、不測の事態に備えた事業継続計画を策定する体制であります。しかしながら、地震・台風等の自然災害が発生した場合、事業活動の停止、生産設備や棚卸資産等の損壊等により、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 顧客情報及び情報システム
当社グループは、より良いサービスを提供するためにさまざまな顧客情報を保有し、主に情報システムで管理しております。情報の取得や活用、保管にあたっては、適正かつ安全な方法にて最大限の注意を払っております。しかしながら、自然災害や機器の故障、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス等により、顧客情報を含めた内部機密情報の消失、漏洩、改ざん等が発生した場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ コンプライアンス
当社グループは、行動規範を定め、法令遵守のための研修等による周知、徹底を図るとともに、各業務プロセスにおいては「内部統制システムに関する基本方針」に基づき運営を行っております。しかしながら、法令等の違反や社会的要請に反した行動が発生した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 法的規制
当社グループは、事業活動を遂行するにあたり、食品衛生法、製造物責任法、下請法等のさまざまな法的規制や、海外進出先においては各国の法的規制の適用を受けております。今後予期しない法令等の改正や新たな規制などにより事業活動が制限された場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 人材確保と育成
当社グループでは、設備投資や業務効率化等によって、労働生産性向上を図ると共に高度な専門性を有した人材を含め、必要とされる人員、人材の確保・育成に努めております。しかしながら国内における労働人口の減少や人件費の高騰により、必要な人材を確保出来ない場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 特定販売先への依存
当社グループは、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおり、連結売上高との対比で高い割合を有する販売先があります。その販売先の経営施策や取引約定の変更等により販売額が大きく減少した場合や取引継続に支障が生じた場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 繰延税金資産の計上
前提条件である利益計画が達成しないなど将来の課税所得の見積りについて見直しとなり繰延税金資産の減少または繰延税金負債の増加が必要となる場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 固定資産の減損損失
コーヒー関連事業や飲食関連事業等を営むために、工場設備や店舗及び営業所等の事業用資産を所有しております。この資産について、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、将来のキャッシュ・フローの状況次第で減損会計の検討が必要となり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 有価証券
保有する有価証券のうちその他有価証券は、時価を有するものは全て時価にて評価しているため、株式市場等における時価の変動の影響を受けます。また、持分法適用関連会社株式は、持分法による投資損益を通じて当社業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 資金調達環境
当社グループは、事業に必要な資金の一部を銀行借入によって調達しており、将来的にも資金需要に応じて金融機関からの借入等により資金調達を行う可能性があります。金利の上昇その他金融市場が悪化した場合には、金利負担が増加し、または適時に希望する条件での資金調達ができなくなることにより、当社グループの業績および財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、ウィズコロナ下において各種制限の大幅な緩和や、政府の経済対策などにより緩やかな持ち直しの兆候が見られたものの、エネルギー価格及び原材料価格の高騰、円安による物価上昇が続き、欧米諸国の景気減速懸念もあり依然として先行きは不透明な状況で推移しました。
コーヒー業界におきましては、業務用市場の消費量が新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和により前年に比べて増加する一方、家庭用市場の消費量は巣ごもり消費が鈍化したことや、メーカー各社の店頭販売価格の引き上げなども影響し若干の減少となりました。
また、業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆相場は、昨年度来高値水準で推移してきましたが、ブラジルにおける生産量減少懸念の後退や、コーヒー先物市場の認証在庫量の回復、世界的な景気後退による需要低迷への懸念などによる生豆相場の下落、為替相場の反転により一服しました。しかしながら円安基調が継続していることや、資源・エネルギー価格の上昇、資材費の上昇などコーヒー製造コストは高い水準にあり、厳しい経営環境が続きました。
このような状況の下、当社グループは「コーヒーを究めよう、お客様を見つめよう、そして心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう。」という企業理念を果たすため、長年にわたり培った「品質第一主義」のもと、「事業構造の改革」、「収益力強化」及び「グループ総合力強化」を3つの柱とし、新たな需要の創出や生活者のニーズにお応えする商品開発、お取引先の業績に寄与する企画提案型の営業活動を推進してまいりました。
「事業構造の改革」については、デジタル化の促進による営業活動および管理業務の効率化と高度化、製造ラインのロボティクス化および基幹系システムや生産管理システムの刷新に向けた取組みを行いました。
「収益力強化」については、販売数量の増量、工場の歩留まり改善、主力商品の製造拠点見直し、物流の拠点およびオペレーションの見直しによるコスト低減、原料、資材価格の上昇を受けたお取引先への納入価格、メーカー出荷価格の改定を実施しました。
「グループ総合力強化」についてはD2Cビジネスの拡大、海外子会社の経営管理強化、インドネシアにおける工場新設、ブランディング活動の強化に取り組んでまいりました。
また、2030年を見据えた新メッセージ「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を制定し、喫茶文化の継承と持続可能なコーヒー生産の実現を目指すとともに、その一環としてコーヒー生産国との連携や品種開発などの多岐にわたる業務を行う専門部署「コーヒーの未来部」を創設し、サステナビリティ活動を推進しました。
これらの取り組みの結果、業績につきましては主力のコーヒー関連事業他、各事業で前年度に引続き増収となり、売上は全体としてコロナ禍前とほぼ同水準まで回復しましたが、営業利益は原価率の上昇や販売促進費の増加などにより減益となりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、632億98百万円(前連結会計年度比13.7%増)、営業利益は2億44百万円(前連結会計年度比39.6%減)、経常利益は3億49百万円(前連結会計年度比65.8%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、1億73百万円(前連結会計年度比76.7%減)となりました。
<連結経営成績>
(単位:百万円)
セグメントの営業概況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)調整額は主に、セグメント間取引消去、棚卸資産の調整額、報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
(コーヒー関連事業)
業務用市場では、デジタルツール導入による顧客管理強化やWEB活用による受注自動化などに取り組みました。また、トアルコ トラジャや氷温熟成珈琲など差別性の高いコーヒーの販売を推進するとともに、業務用食材の取り扱いアイテム強化による拡販や、飲食店経営者および開業予定者を対象に商品や提供サービスを紹介するWEBサイトの開設などを行いました。
お取引先の活性化策としては、世界中の品質の優れたコーヒーを提供する月間企画などの提案やお取引先向けコーヒーセミナーの実施、また、シーズン販促企画では店舗のお薦めカレーをラインアップした「推しカレーフェア」などを実施しました。
カフェ開業支援の施策として取り組む様々な立地環境に出店可能なパッケージカフェ「KEY'S CAFÉ」は5店新規出店となりましたが、6店の閉店があり導入店舗数は72店舗となりました。
また、コーヒー生豆原料調達価格および仕入商材価格の上昇に伴い、前年度に続き10月からお取引先へのレギュラーコーヒー商品の納入価格改定をするとともに、業務用商材についても適宜納入価格を改定させていただきました。
売上につきましては、行動制限の大幅な緩和や外国人入国者の増加などにより、お取引先へのコーヒーおよび業務用食材の販売量が増加し、前年同期に比べ大きく伸長しました。
家庭用市場では、デジタルツール導入による顧客へのプレゼン力の強化および情報共有化、顧客グループ及びチャネル別の販売強化などに取り組みました。
商品展開では新商品として「グランドテイスト 甘い香りのモカブレンド」やコーヒーファンの意見を反映させた「ドリップ オン/インスタントコーヒー 期間限定(秋冬)」などを発売しました。業務提携契約を締結している京都の老舗喫茶店「京都イノダコーヒ」ブランド商品を、ドリップ オンやLP(豆)、リキッドコーヒーなどの様々な形態で拡充いたしました。
ギフト商品では、「ドリップ オン」シリーズをはじめ、中元期には「氷温熟成珈琲アイスコーヒー」など人気の飲料ギフトを中心に全27アイテム、歳暮期には「トラジャ&氷温熟成 アロマフラッシュ缶」など多様な飲用シーンにあわせた全20アイテムをラインアップしました。
また、前年度に続き10月からお取引先へのレギュラーコーヒー商品およびコーヒー関連商品のメーカー出荷価格を改定させていただきました。
売上につきましては、商品のメーカー出荷価格の改定により前年同期並みの実績となりましたが、販売数量は減少しました。
原料用市場ではお取引先への販売数量が伸長し、前年同期に比べ増収となりました。
営業利益につきましては、業務用市場を中心に売上が大きく伸長しましたが、原価率の上昇や販売促進費の投下、基幹システム構築費の発生などにより前年同期を下回る結果となりました。
この結果、当連結会計年度におけるコーヒー関連事業の売上高は556億4百万円(前連結会計年度比14.7%増)、営業利益は8億82百万円(前連結会計年度比13.9%減)となりました。
(飲食関連事業)
株式会社イタリアントマトは、売上面では時間帯メニューの商品力強化、季節限定メニュ-の毎月投入、テイクアウト需要への対応等の施策展開を行いました。行動制限の緩和による人流の増加や、前年に比べ営業自粛店舗が減少したことなどから来店客数の回復が徐々にみられ前年同期を上回りました。経費面では売上状況の変化に応じた人員配置や食材の発注、管理を行うとともに、生産性の向上と廃棄ロスの低減に取り組み、人件費、原材料費の適正化を推進しました。また、原材料仕入価格や光熱費などのコスト上昇に伴い全メニューの価格改定を実施、付加価値の高いメニューの投入にも継続して取り組み改善が図れましたが、新型コロナウイルス影響前までの客数回復には至らず営業損失となりました。同社店舗数は前年同期比8店減の149店(直営店51店、FC店98店)となりました。
この結果、当連結会計年度における飲食関連事業の売上高は38億75百万円(前連結会計年度比10.0%増)、営業損失は2億19百万円(前連結会計年度は3億26百万円の営業損失)となりました。なお、各自治体からの営業時間短縮に係る助成金収入60百万円を営業外収益として計上しました。
(その他)
通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社では、売上面では高付加価値商品の投入や販売価格引上げの結果、前期比微増収となりました。利益面ではコーヒー生豆調達価格をはじめ、運送費、包装資材費などが上昇する中、販売促進費の引締め他、様々な業務効率化により適正利益の確保に努めましたが、大幅な減益となりました。
ニック食品株式会社は、売上面では新型コロナ関連の行動制限緩和に伴う需要増により受注量が回復し全事業で増収となりました。利益面では売上伸長に加え、価格改定の実施、製造原価の抑制及び販管費の適正化に注力した結果、前年同期比大幅増益となり黒字転換いたしました。
この結果、当連結会計年度におけるその他事業の売上高は38億18百万円(前連結会計年度比3.7%増)、営業利益は1億34百万円(前連結会計年度比28.4%減)となりました。

(コーヒー相場:ICO複合指標価格)
当連結会計年度の生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産数量には外注支給を含んでおります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
(注) 数量には外注製造委託分の生豆が含まれております。
当社グループは販売計画に基づく見込生産を行っているため、受注生産はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去致しております。
2.主な相手先別の販売実績金額及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産の部は前連結会計年度末に比べ83億38百万円増加し、517億68百万円となりました。負債の部は82億89百万円増加し、212億38百万円となりました。純資産の部は48百万円増加し、305億30百万円となりました。
これらの主な要因は次のとおりです。
当連結会計年度末における流動資産の残高は345億3百万円となり、前連結会計年度末より81億10百万円増加となりました。これは主に、売掛金の増加(24億77百万円増)、原材料及び貯蔵品の増加(52億98百万円増)などによるものであります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は172億64百万円となり、前連結会計年度末より2億28百万円増加となりました。有形固定資産は主に減価償却が進んだことによる建物及び構築物の減少(75百万円減)、機械装置及び運搬具の増加(76百万円増)、その他の減少(22百万円減)などにより20百万円減少しました。無形固定資産はその他の増加(1億73百万円増)などにより1億95百万円増加しました。投資その他の資産は投資有価証券の増加(45百万円増)などにより53百万円増加しました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は193億85百万円となり、前連結会計年度末より84億13百万円増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加(57億46百万円増)、短期借入金の増加(31億4百万円増)などによるものであります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は18億53百万円となり、前連結会計年度末より1億23百万円減少となりました。これは主に、退職給付に係る負債の減少(1億18百万円減)などによるものであります。
当連結会計年度末における純資産の残高は305億30百万円となり、前連結会計年度末より48百万円増加となりました。これは主に、利益剰余金の減少(43百万円減)、その他有価証券評価差額金の増加(81百万円増)などによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3億8百万円、売上債権の増加24億72百万円、棚卸資産の増加63億23百万円、仕入債務の増加57億44百万円などにより、30億95百万円の支出となりました。(前連結会計年度は8億61百万円の収入)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出7億74百万円、無形固定資産の取得による支出2億67百万円などにより、9億73百万円の支出となりました。(前連結会計年度は7億27百万円の支出)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の借入れ31億41百万円、配当金の支払い2億17百万円、リース債務の返済による支出1億19百万円などにより、27億57百万円の収入となりました。(前連結会計年度は4億66百万円の支出)
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は41億20百万円となり、前連結会計年度末より13億22百万円の減少となりました。
当社グループの主要な運転資金需要は、原材料費、労務費、商品仕入、販売費及び一般管理費等であり、設備投資資金需要は、機械設備新設及び改修、店舗出店等に係る投資資金であります。
また今後、当社グループの新たな収益の源泉となり、企業価値向上に貢献する新規事業や業務提携等への投資の検討を行ってまいります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応していきます。
資金の流動性については、当連結会計年度末現在において当社グループの現金及び預金残高は、4,120百万円であり、今後の営業活動によって確保されるキャッシュ・フローに加え、金融機関の当座貸越契約による融資枠を設けており、十分な流動性を確保しているものと考えております。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループにおける主要な設備の状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(2023年3月31日現在)
(注) 帳簿価額のうち「その他」は、器具備品等の合計であります。
(2023年3月31日現在)
(注) 1.連結子会社のキーコーヒーコミュニケーションズ株式会社は、KC名古屋ビル及びKC大阪ビルの一部を営業所、また開発研究所の一部を事業所として使用しております。
2.連結子会社のキーアソシエイツ株式会社は、KCビルの一部を事務所として使用しております。
3.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
4.提出会社は、販売用施設として、建物等を賃借しており、その内容は以下のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 有償第三者割当(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)
発行価格 1,457.28円
資本組入額 728.64円
割 当 先 SMBC日興証券株式会社
2023年3月31日現在
(注) 1.「金融機関」には、「株式給付信託(BBT)」制度の信託資産として、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が保有している当社株式2,674単元が含まれております。なお、当該株式は連結財務諸表および財務諸表において自己株式として表示しております。
2.自己株式1,009,256株は「個人その他」に10,092単元、「単元未満株式の状況」に56株を含めて記載しております。
3.証券保管振替機構名義の株式100株は、「その他の法人」に 単元を含めて記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 自己株式1,009,256株を保有しておりますが、上記大株主からは除外しております。なお、「株式給付信託(BBT)」制度により、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が保有する当社株式267,400株は、自己株式に含めておりません。
1. 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、コーヒー関連、飲食関連、運送物流等の複数の業種にわたる事業を営んでおり、当社及び当社の連結子会社が各々独立した経営単位として、事業活動を展開しております。
当社の報告セグメントは、連結売上高に占める割合を基礎として、コーヒー関連事業、飲食関連事業の2つを報告セグメントとしております。
「コーヒー関連事業」は当社が営んでいる事業で、コーヒー製品等を消費者、飲食店及び食品問屋、飲料メーカー等に販売しております。
「飲食関連事業」は株式会社イタリアントマト及び株式会社アマンドが営んでいる事業で、飲食店事業及び洋菓子等の販売を行っております。