イチカワ株式会社
ICHIKAWA CO., LTD.
文京区本郷二丁目14番15号
証券コード:35130
業界:繊維製品
有価証券報告書の提出日:2023年6月28日

(1) 連結経営指標等

 

回次

第95期

第96期

第97期

第98期

第99期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(百万円)

12,357

11,945

11,598

12,355

13,344

経常利益

(百万円)

611

534

489

758

1,044

親会社株主に帰属する
当期純利益

(百万円)

366

358

369

523

833

包括利益

(百万円)

69

86

1,008

650

1,027

純資産額

(百万円)

18,435

17,763

18,500

18,768

19,515

総資産額

(百万円)

25,624

24,256

25,293

25,732

26,643

1株当たり純資産額

(円)

3,875.51

3,882.98

4,039.79

4,095.88

4,258.51

1株当たり当期純利益金額

(円)

77.03

77.67

80.80

114.45

182.06

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

71.9

73.2

73.1

72.9

73.2

自己資本利益率

(%)

2.0

2.0

2.0

2.8

4.4

株価収益率

(倍)

17.8

17.7

17.4

12.2

7.3

営業活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

1,815

1,450

1,716

1,580

1,729

投資活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

302

1,665

1,023

457

103

財務活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

465

709

395

363

369

現金及び現金同等物の
期末残高

(百万円)

4,241

3,296

3,614

4,435

5,765

従業員数

(名)

694

701

697

692

687

 

(注) 1  潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2 当社は、2018年10月1日を効力発生日として普通株式5株につき1株の割合で株式併合を実施しております。これに伴い、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額は、第95期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、算定しております。

3 当社は、第95期より「株式給付信託(BBT)」を導入し、当該信託が保有する当社株式を自己株式として計上しております。これに伴い、1株当たり純資産額の算定上、株主資本において自己株式として計上されている信託が保有する当社株式は、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めております。
また、1株当たり当期純利益金額の算定上、当該信託が保有する当社株式を「普通株式の期中平均株式数」の計算において控除する自己株式数に含めております。

4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第98期の期首から適用しており、第98期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第95期

第96期

第97期

第98期

第99期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(百万円)

11,046

10,797

10,144

10,776

11,770

経常利益

(百万円)

474

422

164

687

725

当期純利益

(百万円)

337

340

172

545

657

資本金

(百万円)

3,594

3,594

3,594

3,594

3,594

発行済株式総数

(株)

4,967,151

4,967,151

4,967,151

4,967,151

4,967,151

純資産額

(百万円)

17,303

16,578

17,028

17,153

17,605

総資産額

(百万円)

24,223

22,911

23,621

23,979

24,618

1株当たり純資産額

(円)

3,640.39

3,627.00

3,721.47

3,746.90

3,845.68

1株当たり配当額

(内1株当たり中間
 配当額)

(円)

(円)

36.00

60.00

60.00

60.00

70.00

(6.00)

(30.00)

(30.00)

(30.00)

(30.00)

1株当たり当期純利益金額

(円)

71.07

73.68

37.63

119.14

143.71

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

71.4

72.4

72.1

71.5

71.5

自己資本利益率

(%)

1.9

2.0

1.0

3.2

3.8

株価収益率

(倍)

19.3

18.7

37.4

11.7

9.3

配当性向

(%)

84.43

81.43

159.45

50.36

48.71

従業員数

(名)

568

573

571

570

564

株主総利回り

(%)

79.1

82.8

87.7

90.6

90.7

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(95.0)

(85.9)

(122.1)

(124.6)

(131.8)

最高株価

(円)

1,800
(380)

1,798

1,558

1,484

1,438

最低株価

(円)

1,276
(325)

1,002

1,123

1,254

1,282

 

(注) 1「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第98期の期首から適用しており、第98期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

2  潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載していません。

3 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東証スタンダード市場におけるものであります。

4 当社は、2018年10月1日を効力発生日として普通株式5株につき1株の割合で株式併合を実施しております。これに伴い、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額は、第95期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、算定しております。また、第95期の株価については、株式併合後の最高・最低株価を記載し、( )内に株式併合前の最高・最低株価を記載しております。

5 当社は、第95期より「株式給付信託(BBT)」を導入し、当該信託が保有する当社株式を財務諸表において自己株式として計上しております。これに伴い、1株当たり純資産額の算定上、株主資本において自己株式として計上されている信託が保有する当社株式は、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めております。また、1株当たり当期純利益金額の算定上、当該信託が保有する当社株式を「普通株式の期中平均株式数」の計算において控除する自己株式数に含めております。

6 第95期の1株当たり配当額36.00円の内訳は、株式併合前の中間配当額6.00円と株式併合後の期末配当額30.00円であります。

 

2 【沿革】

 

1918年11月

市川毛織の前身・東京毛布(株)が当社旧市川工場の地に設立される。

1942年10月

日本フエルト(株)と合併し、日本フエルト(株)市川工場となる。

1949年11月

企業再建整備法により日本フエルト(株)から分離し、市川毛織(株)設立(本社:千葉県市川市)。

1950年5月

ナイロン混紡フエルトを開発。

1951年5月

東京証券取引所に株式を上場。

1953年12月

植毛カーペット(イチロン)の製造販売を開始。

1960年8月

子会社・友部工業(株)を設立。

1961年12月

子会社・(株)イチロンサービスを設立。

1963年11月

本社を千葉県市川市から東京都文京区(現在地)に移転。

1964年7月

柏工場(千葉県柏市)を新設、ニードルフエルトの製造を開始。

1965年5月

フエルト用洗剤の製造販売を開始。

1968年4月

子会社・(有)市毛加工を設立。

1970年7月

鐘淵紡績(株)練馬工場のフエルト事業部門を買収。

1971年5月

環境保全用機器装置類及び高分子凝集剤の製造販売を開始。

1973年4月

紙・パルプ用プラスチックカンバスの販売を開始。

1974年10月

友部工業(株)を吸収合併し、友部工場(茨城県笠間市)とする。

1975年4月

当社の販売部門を基に、フエルト販売代理店を合併し、子会社・市川毛織商事(株)を設立。

1975年10月

子会社・(有)柏加工を設立。

1976年1月

子会社・(有)友部加工を設立。

1977年3月

子会社・市毛不動産(株)を設立。

1982年12月

子会社・(株)アイケー配送センターを設立。

1984年11月

市川毛織商事(株)全額出資により、米国現地法人、イチカワ・アメリカ・インコーポレーテッドを設立。

1986年5月

インテリア事業部門を撤収。

1986年6月

(株)アイケー配送センターと(株)イチロンサービスを合併して、(株)アイケーサービス(現・連結子会社)を設立。

1988年4月

シュープレス用ベルト第1号を米国に輸出。

1988年10月

第1回物上担保附転換社債40億円発行。

1991年5月

イチカワ・アメリカ・インコーポレーテッドをイチカワ・ノース・アメリカ・コーポレーション(現・連結子会社)に商号変更。

1993年4月

市川毛織商事(株)を吸収合併。

1993年9月

紙・パルプ用プラスチックカンバス事業を撤収。

1994年4月

(有)市毛加工と(有)柏加工ならびに(有)友部加工を合併して、(有)アイケー加工(現・連結子会社)を設立。

1996年4月

岩間工場(茨城県笠間市)を新設。

 

 

 

 

1996年8月

市毛不動産(株)を(株)アイケーエージェンシーに商号変更。

1997年10月

デュッセルドルフ駐在事務所(ドイツ)を設置。

1998年4月

工営事業を撤収。

1998年7月

シュープレス用ベルトの開発が製紙業界の発展に寄与したことにより「佐々木賞」を受賞。

1998年10月

市川工場を閉鎖し、生産機能を柏・岩間工場へ集約。

2000年3月

柏工場においてISO14001認証取得。

2000年10月

上海駐在事務所(中国)を設置。

2001年10月

デュッセルドルフ駐在事務所を現地法人化し、イチカワ・ヨーロッパGmbH(現・連結子会社)を設立。

2003年3月

ISO9001認証取得。

2003年6月

新たなコーポレート・ガバナンスの導入。取締役員数の削減ならびに任期の短縮と執行役員制度の導入。

2004年4月

研究部門と開発部門を集約し開発研究所(茨城県笠間市)を設置。

2004年5月

営業部門を本社から柏工場敷地内に移転。

2005年4月

中国現地法人、宜紙佳造紙脱水器材貿易(上海)有限公司(現・連結子会社)を設立。

2005年7月

商号変更、新商号「イチカワ株式会社」。

2005年7月

工業用フエルト製品等の販売会社、(株)イチカワテクノファブリクス(現・連結子会社)を設立。

2008年4月

子会社・(株)アイケーサービスを存続会社とし、子会社・(株)アイケーエージェンシーを吸収合併。

2017年7月

タイ王国にサテライトオフィスを設置。

2017年7月

営業部門を柏工場敷地内から本社に移転。

2018年7月

タイのサテライトオフィスを発展的に解消し、イチカワ・アジア・カンパニーリミテッド(現・連結子会社)を設立。

2019年5月

岩間工場においてISO14001認証取得。

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からスタンダード市場へ移行。

 

 

 

3 【事業の内容】

当社の企業集団は、当社及び子会社7社(連結子会社7社)により構成され、抄紙用具関連事業、工業用事業の2部門に亘り、製造、販売に至る事業活動を展開しております。

 

事 業 区 分

製  品  区  分

製      造

販        売

抄紙用具
関連事業

抄紙用フエルト
抄紙用ベルト
スレート用フエルト 等

当社

織整・縫合工程は連結子会社である(有)アイケー加工に全面外注

当社
イチカワ・ノース・アメリカ・コーポレーション
イチカワ・ヨーロッパGmbH
宜紙佳造紙脱水器材貿易(上海)有限公司
イチカワ・アジア・カンパニーリミテッド
(株)イチカワテクノファブリクス
その他の代理店

工業用事業

工業用フエルト
工業用関連仕入品

 

 

当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連を図示すると次のとおりとなります。

 


 

 

連結子会社は次のとおりです。

連結子会社・

イチカワ・ノース・アメリカ・
コーポレーション

抄紙用具関連事業、工業用事業
製品の販売

イチカワ・ヨーロッパGmbH

抄紙用具関連事業、工業用事業
製品の販売

宜紙佳造紙脱水器材貿易(上海)
有限公司

抄紙用具関連事業、工業用事業
製品の販売

イチカワ・アジア・カンパニー
リミテッド

抄紙用具関連事業、工業用事業
製品の販売

(株)イチカワテクノファブリクス

工業用事業製品の販売

(有)アイケー加工

抄紙用具関連事業、工業用事業
製品の加工

(株)アイケーサービス

当社製品の荷役・保管、
その他の当社委託業務

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は
出資金
(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
割合
(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

イチカワ・ノース・
アメリカ・コーポレーション

アメリカ・
ジョージア州
ピーチツリーコーナーズ市

78

抄紙用具関連事業
工業用事業

100.0

当社の抄紙用具関連事業、工業用事業製品の販売

イチカワ・ヨーロッパ
GmbH

ドイツ・
デュッセルドルフ市

16

抄紙用具関連事業
工業用事業

100.0

当社の抄紙用具関連事業、工業用事業製品の販売
当社からの債務保証あり。役員の兼務…有り

宜紙佳造紙脱水器材貿易
(上海)有限公司

中国・上海市

32

抄紙用具関連事業
工業用事業

100.0

当社の抄紙用具関連事業、工業用事業製品の販売
役員の兼務…有り

イチカワ・アジア
カンパニーリミテッド

タイ王国・バンコク市

3

抄紙用具関連事業
工業用事業

49.0

当社の抄紙用具関連事業、工業用事業製品の販売

(株)イチカワテクノ
ファブリクス

東京都文京区

10

工業用事業

100.0

当社の工業用事業製品の販売
役員の兼務…有り

(有)アイケー加工

茨城県笠間市

3

抄紙用具関連事業
工業用事業

100.0

当社の抄紙用具関連事業、工業用事業製品の加工
役員の兼務…有り

(株)アイケーサービス

千葉県柏市

10

抄紙用具関連事業
工業用事業

100.0

当社製品の荷役・保管、その他の当社委託業務
役員の兼務…有り

 

(注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。

2 上記子会社は有価証券報告書又は有価証券届出書を提出しておりません。

3 イチカワ・ノース・アメリカ・コーポレーション及びイチカワ・ヨーロッパGmbHについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

イチカワ・ノース・アメリカ・コーポレーション

主要な損益情報等

① 売上高

1,735百万円

 

② 経常利益

117百万円

 

③ 当期純利益

97百万円

 

④ 純資産額

967百万円

 

⑤ 総資産額

1,505百万円

 

イチカワ・ヨーロッパGmbH

主要な損益情報等

① 売上高

1,970百万円

 

② 経常利益

123百万円

 

③ 当期純利益

83百万円

 

④ 純資産額

570百万円

 

⑤ 総資産額

758百万円

 

 

 

5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況

  2023年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

抄紙用具関連事業

日本

583

北米

10

欧州

10

中国

10

タイ

5

工業用事業

24

全社(共通)

45

合計

687

 

(注) 1 従業員数は就業人員であります。

2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

  2023年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

564

44.3

22.9

5,995

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

抄紙用具関連事業(日本)

503

工業用事業

17

全社(共通)

44

合計

564

 

(注) 1 従業員数は就業人員であります。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

2023年3月31日現在の当社グループの組合員は459名で、日本労働組合総連合会に所属するUAゼンセンに属しております。
 なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

の割合(%)(注)1

男性労働者の

育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

1.3

71.5

71.8

71.8

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

②連結子会社

 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、「事業は人なり而して人の和なり」「より良い品をより安くより多く」を社是とし、「株主重視」・「顧客重視」・「社員の生活向上」の理念に基づき、市場のニーズに的確に対応した高機能製品を提供する「抄紙用具の高度専門企業」として成長・発展することを目指して経営活動を展開しております。

 

■経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、紙媒体のデジタル化による国内市場の構造的な需要縮小、海外市場での価格や品質面での競争の激化、加えて、ウクライナ紛争の長期化及び各国の政策金利の高止まりや欧米での金融不安の影響などによる世界的な経済活動停滞の懸念など予断を許さない状況が続いております。

 

■中期経営計画“NE-24”策定経緯

このような環境下、当社グループは、2030年における世界経済や社会におけるメガトレンドを調査・検討し、その社会構造の変化にどのように当社グループが関わっていくのかを示し、全社員が目指す「2030年度に当社が実現する未来(IK VISION2030)」を決定いたしました。

IK VISION2030

サステナブルな社会に貢献し、イチカワを支える役職員、取引先、株主及び周辺の地域社会がそれぞれ高い満足度を持つ会社となる。

 

その上で、今後3回の連続する中期経営計画の第一段階として、2022年度を起点とする第7次中期経営計画(略称“NE-24”)を策定し、「経営方針」及び「経営目標」を次の通り定めました。“NE-24”では、「会社を創り直す3年」というスローガンのもと、製造コスト及び品質面での競争力を高め収益基盤の強化に努めてまいります。

経営方針

『社会と共存するイチカワを基本』として

1.抄紙用具事業

「抄紙プレスパートの総合ソリューション カンパニー」として、「世界一の品質」を目指す。

・「顧客志向」を追求し、ソリューションを提供することにより、「イチカワ=頼れる存在」ブランドへ移行する。

・世界市場において、強固な一角を占めるグローバル企業となる。

2.新事業

「環境にやさしい、人々の生活を豊かにする製品や部材を届ける」事業を創設する。

 

“NE-24”(2022年4月1日~2025年3月31日)

 

スローガン

経営目標(‟NE-24”)

「会社を創り直す」3年

・1株当たり連結当期純利益(EPS):150円

・連結売上高:120億円以上

・連結売上高営業利益率:5.0%以上

 

 

■‟NE-24”の初年度振り返りと課題

‟NE-24”の初年度にあたる当連結会計年度につきましては、主に次の施策に取組みました。

・安定的な収益基盤確保に向けた地域密着型営業による営業・技術サービス力の向上、市場ニーズに対応する競争力ある新製品の開発

・抄紙用ベルトの世界シェア拡大に向けた販売体制の強化と開発機能の増強

・世界標準の製造コストを目指す工程・製法の確立と品質安定性の向上

こうした中、当連結会計年度の業績は、期中における国内製品価格改定の実施、海外フエルトの増販に加え、為替が円安に推移した効果も伴って経営目標を達成いたしました。一方で、‟NE-24”における各施策の進捗に関しましては、一部に遅れが発生しており課題を残す結果となりました。

 

■‟NE-24”2年目で取り組むべきこと

‟NE-24”の2年目にあたる2023年度につきましては、遅延している施策の巻き返しを必須とし、引き続き世界標準の工程・製法の確立と原料・設計の統廃合などによるコストの低減及び新製品と新用途構築へ向けた開発体制の強化に努めると同時に、データとデジタル技術を効果的に活用することにより生産性の向上を図ってまいります。また、SDGs活動を経営の重要課題と位置付け、企業活動を通じて環境負荷の低減に取り組み、地域社会とともに持続的に成長していくことを目指してまいります。

 

■‟NE-24”展望

当社グループが製造している抄紙用具(抄紙用フエルト・シュープレス用ベルト・トランスファー用ベルト)が使用される取引先の抄紙機のプレスパート工程は、紙の水分を低下させることにより、乾燥工程でのエネルギー消費量削減に大きく寄与出来ることや、製造される紙の品質を決定づけることから、環境面・コスト面・品質面で最も重要な工程です。

当社グループは、取引先のプレスパート工程の能力が最大限に発揮される製品の組み合わせをご提案し、開発・製造・販売が出来る国内唯一、海外でも数社しかないメーカ-です。

‟NE-24”では、「会社を創り直す3年」として、DX戦略を加速し、人的投資、組織制度改革を含め全社的な基盤を創り直した上で、世界標準の製法・設計を確立し、品質安定性の向上とコスト競争力の強化を進めてまいります。また、全世界をカバーする販売体制を活用し、顧客ニーズに対応する製品を世界中の取引先へ積極的に拡販してまいります。

なお、工業用事業につきましても、需要拡大が期待される高機能クッション材や新規用途分野の開拓により、事業規模の拡大を目指してまいります。

 

■社会とともに成長するイチカワ

当社グル-プは、革新的な挑戦を続け、株主の皆様、取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーに対する社会的責任を果たし、社会とともに成長する企業を目指し日々努力を重ねていきますとともに、その基盤構築のために、内部統制の一層の充実を図り、企業価値の増大に邁進してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

① 紙・板紙の生産動向

当社グループは、抄紙用具の専門企業として、国内外の製紙会社に製品を販売しておりますが、数量・金額ともに大きなウエイトを占める主要な販売先は国内製紙会社であります。したがって、主力製品の抄紙用フエルトや抄紙用ベルトの需要は、国内紙パルプ業界の紙・板紙の生産動向に大きく影響を受けております。紙媒体からデジタル化への変化が加速し、国内の新聞用紙及び印刷情報用紙需要が減少するリスクがあります。海外市場におきましては、価格競争の激化等といった事業環境の変化により収益性が低下するリスクがあります。

当社グループは、当該リスクに対し、国内外のお客様が求める高い水準のニーズに応えるため、自社製品を最適な組み合わせでご提案、ご提供できるよう全社一丸となって取り組んでまいります。また、お客様の抄紙機プレスパートの能力を最大化し、その提供を通じて、「省エネルギー、環境にやさしい紙づくり」に貢献いたします。

 

② 原材料

当社グループの主要原材料は石油関連素材であり、原油価格の高騰及び石油化学工業の生産動向等により原料コストや調達面で影響を受ける可能性があります。

当社グループは、当該リスクに対し、原材料の市場変動に柔軟に対応するため代替原料の検討や原料調達先の見直し等を国内外問わず進めております。また、主原料に限らず、副資材においても、同様の取り組みを進めてまいります。

 

③ 為替相場

当社グループの海外売上高比率は前連結会計年度52.1%、当連結会計年度は55.4%となっており、為替変動のリスクを負っています。外貨建売掛金に対しては、先物為替予約により短期的な為替変動による影響を最小限にとどめる措置を講じていますが、中長期的に大幅な為替変動が発生した場合には、当社グループの業績、財務状況に影響する可能性があります。

また、在外連結子会社の現地通貨建の資産、負債及び収益、費用は決算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

当社グループは、当該リスクに対し、米ドルやユーロ等の主要通貨については、為替予約により短期的な影響を最小限にするとともに、海外メーカーから生産設備等を購入する際に支払う一時金を想定し、外貨売上高の収入の一部は外貨預金として保有しております。

 

④ 金利

当社グループは、2023年3月末時点で、941百万円の有利子負債があり、中長期的に金利が大幅に上昇した場合には、当社グループの業績に影響する可能性があります。

当社グループは、当該リスクに対し、変化の激しい資金調達環境を注視してまいります。

 

⑤ 株価

当社グループは、2023年3月末時点で、主要な得意先や取引金融機関の株式など市場性のある株式を中心として投資有価証券を3,687百万円保有しており、これらの株価変動のリスクを負っています。同時点では1,998百万円の評価益を有しておりますが、今後の株価の動向次第でこの数字は変動します。

当社グループは当該リスクに対し、毎年、取締役会にて個別銘柄ごとに、保有目的、取引状況、当社のROEに与える影響、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を精査し、検証を行っております。その結果、保有意義が乏しいと判断された銘柄につきましては、当社事業への影響を考慮し、先方との協議を十分に重ねたうえで縮減してまいります。

 

⑥ 自然災害等

地震・風水害など不測の自然災害が発生し、生産設備や交通手段等のインフラが大きな被害をうけた場合に、製造が休止あるいは遅滞することで、事業の遂行に多大な影響が及び、業績が確保できない可能性があります。

当社グループは当該リスクに対し、全社員が迅速かつ的確に対応し、人的被害並びに業務への影響を最小限にとどめるため、被害直後の復旧対応事項に関する手順を「事業継続計画書」に定めております。

 

   ⑦ その他のリスク

世界的な景気の減速により、当社の事業活動に係る生産体制、物流体制、営業活動等に支障が生じた場合、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から緩やかに持ち直しているものの、原油価格等の高騰などエネルギー価格の高止まり、それに伴う原材料価格の高騰、及び日米金利差拡大による円安ドル高の進行など、一進一退を繰り返す状況となっております。

当社グループの主要取引先であります紙パルプ業界の動向は、国内につきましては板紙及び衛生用紙等の需要は横ばいで推移しておりますが、新聞用紙及び印刷情報用紙の需要は、新型コロナウイルス禍以前の水準までは回復に至らず減少傾向が続いております。海外につきましては、アジア地域において通販市場の拡大に伴う板紙及び衛生用紙の需要があるものの、新聞用紙及び印刷情報用紙は国内と同様に需要の減少傾向が続くと見込まれるなど、厳しい状況が継続しております。これを受け、当社は世界的な紙の需要減を見込み、抄紙用フエルトのコスト競争力を強化するべく生産体制の最適化を進めると同時に、原材料価格等の高騰によるコスト上昇に対応するため、製品価格への転嫁を推進してまいりました。加えて、品質面では衛生用紙向けベルトが世界的に評価され、拡販につなげるべく積極的な受注活動を行ってまいりました。

このような状況の中、原材料価格やエネルギー価格高騰による売上原価の増加、海上輸送の混乱や原油価格高騰による運送コストの増加がありましたが、期中における国内製品価格改定の実施、海外フエルトの増販に加え、為替が円安に推移した影響により、連結売上高は13,344百万円前期比8.0%増)、連結営業利益は800百万円前期比50.7%増)、連結経常利益は1,044百万円前期比37.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は833百万円(前期比59.1%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりです。

<抄紙用具関連事業>

(日本)

内需につきましては、抄紙用フエルトは需要の減少により販売数量が減少いたしましたが、製品価格への転嫁を推進したことにより売上高は増加いたしました。輸出につきましては、抄紙用フエルトは中国国内の一部顧客の商流を当社直販に変更したため販売数量が増加いたしました。

これに加え為替影響により、売上高は8,633百万円前期比8.0%増)、セグメント利益(営業利益)は2,041百万円前期比12.3%増)となりました。

(北米)

抄紙用フエルト及びベルトは、新型コロナウイルス感染症の影響による一部顧客の生産調整の一巡、及び板紙向けの需要増に加え受注活動が奏功し販売数量が増加いたしました。

これに加え為替影響により売上高は1,735百万円前期比24.5%増)、セグメント利益(営業利益)は98百万円前期比111.5%増)となりました。

(欧州)

抄紙用フエルトは、販売製品の選択と集中を行ったため販売数量が減少いたしました。抄紙用ベルトは、衛生用紙向け製品の品質が評価され販売数量が増加いたしました。

これに加え為替影響により売上高は1,970百万円前期比16.5%増)、セグメント利益(営業利益)は126百万円前期比25.8%増)となりました。

(中国)

抄紙用フエルト及びベルトは、中国国内の景気減速に加え一部顧客の商流を当社直販に変更したため販売数量が減少いたしました。

これにより、売上高は143百万円前期比70.8%減)、セグメント利益(営業利益)は38百万円前期比45.9%減)となりました。

(タイ)

抄紙用フエルトは、販売製品の選択と集中を行ったため販売数量が減少いたしましたが、製品価格への転嫁を推進したことにより売上高は増加いたしました。

これに加え為替影響により、売上高は313百万円前期比14.5%増)、セグメント利益(営業利益)は59百万円前期比32.8%増)となりました。

<工業用事業>

工業用フエルトは、需要拡大が期待されている高温成型用の耐熱緩衝材の販売数量が増加いたしました。

この結果、売上高は547百万円前期比6.4%増)、セグメント利益(営業利益)は69百万円前期比4.2%増)となりました。

 

当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ910百万円増加し、26,643百万円となりました。これは主として現金及び預金が1,332百万円増加した一方、有形固定資産が658百万円減少したことによるものであります。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ163百万円増加し、7,128百万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金が225百万円増加した一方、未払法人税等が122百万円減少したことによるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ747百万円増加し、19,515百万円となりました。これは主として利益剰余金が553百万円増加したことによるものであります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ1,329百万円増加し、5,765百万円(前年度末比30.0%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下の通りであります。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,045百万円の計上非資金費用である減価償却費1,005百万円の計上法人税等の支払による支出450百万円などにより1,729百万円の収入前期比149百万円の収入増)となりました。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入132百万円、有形固定資産の取得による支出207百万円などにより103百万円の支出前期比354百万円の支出減)となりました。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出279百万円などにより369百万円の支出前期比6百万円の支出増)となりました

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績
 1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

抄紙用具
関連事業

日本

7,260

107.5

北米

欧州

中国

タイ

工業用事業

292

96.6

合計

7,553

107.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 金額は、製造原価によっております。

 

 2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

抄紙用具
関連事業

日本

8,434

108.1

2,963

99.4

北米

1,390

92.6

875

83.4

欧州

2,039

122.4

1,130

113.7

中国

169

41.1

81

127.0

タイ

311

125.9

47

113.4

工業用事業

603

138.9

370

142.7

合計

12,948

107.3

5,468

101.4

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 受注生産品以外に仕入商品があります。

 

 3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

抄紙用具関連事業

日本

8,633

108.0

北米

1,735

124.5

欧州

1,970

116.5

中国

143

29.2

タイ

313

114.5

工業用事業

547

106.4

合計

13,344

108.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
  1)経営成績等
  a.売上高

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に対し8.0%増加13,344百万円となりました。国内売上高は、印刷情報用紙向け需要の減少により抄紙用フエルトの販売数量は減少しましたが製品価格への転嫁を推進したことにより、前連結会計年度に対し0.6%増の5,948百万円となりました。海外売上高は、抄紙用ベルトは衛生用紙向け製品の品質が評価されたものの景気減速の影響があり販売数量は減少しましたが、抄紙用フエルトは北米における板紙向け需要の増加により販売数量は増加し、また為替が円安に推移したことにより、前連結会計年度に対し14.8%増加し7,396百万円となり、海外売上高の比率は55.4%となりました。

  b.売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は、生産体制の最適化を進めることで生産性は向上したものの、原材料価格やエネルギー価格高騰により当社製造費用が増加したことで、前連結会計年度に対し222百万円増加7,915百万円となりました。販売費及び一般管理費は、海上輸送の混乱や原油価格高騰による輸送コストの増加や販売活動の再開に伴う出張コストの増加等により、前連結会計年度に対し496百万円増加4,628百万円となりました。

  c.営業外損益

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に対し28百万円減少312百万円となりました。営業外費用は前連結会計年度に対し45百万円減少68百万円となりました。

  d.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し309百万円増加833百万円となりました。また、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度に対して67.61円増加し182.06円となりました。

 

  2)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2022年度から2024年度までの3年間を対象とする第7次中期経営計画(略称:“NE-24”)を策定し、事業活動を推進しております。初年度に当たる当連結会計年度の目標に対する実績は下記のとおりとなりました。

 

中期経営計画

 2023年3月期 計画

2023年3月期 実績

連結売上高

11,516百万円

13,344百万円

連結売上高営業利益率

3.5%

6.0%

1株当たり当期純利益

92円90銭

182円06銭

 

第7次中期経営計画策定時と当連結会計年度を比較して、為替は円安ドル高が進み原油価格は高騰するなど環境は大きく変わっております。

当連結会計年度は海外売上高の増加により増収・増益となりましたが、中期経営計画2年目にあたる翌連結会計年度につきましては、後半以降世界的な景気の減速が見込まれることや、国内市場での紙のデジタル化による構造的な需要縮小やグローバル市場での競争の更なる激化、加えて原材料価格やエネルギー価格高騰など、極めて厳しい経営環境が続いていく見通しであります。このような見通しの中、当社グループは、中期経営計画に基づき、生産体制の最適化を進めコスト競争力を高めるなどの諸施策を推進することにより、グローバル競争力を強化してまいります。また、当社グループの製品・サービス・それらを提供する社員を含めた、あらゆる面においてお客様から「世界一の品質」と評価されるよう努めることで、企業価値の増大に邁進してまいります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、製品売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び設備投資などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。グループ会社の資金については必要に応じて当社より融資しております。また、グループ会社の金融機関からの借入について当社が債務保証を行っております。

 

これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の縮小化を図っております。また、当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関と当座貸越契約を締結しており、高水準で推移している現預金と併せ、中期経営計画で掲げた戦略投資を機動的に実施することが可能となっています。
 今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を目指し、財務体質の向上に努めてまいります。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

2 【主要な設備の状況】
(1) 提出会社

  2023年3月31日現在

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(名)

建物
及び
構築物

機械装置
及び
運搬具

土地
(面積㎡)

リース
資産

その他
(注1)

合計

柏工場
(千葉県柏市)

抄紙用具関連事業
工業用事業

ニードル
設備
仕上設備

1,141

1,003

188

(55,203)

8

103

2,445

272

岩間工場
(茨城県笠間市)

抄紙用具関連事業
工業用事業

機織設備
ニードル
設備
仕上設備

2,330

1,777

1,567

(66,100)

18

115

5,810

195

開発研究所
(茨城県笠間市)

全社業務

研究開発
設備

172

0

44

(34,310)

8

226

14

本社
(東京都文京区)

全社業務

その他設備

320

12

8

(1,994)

17

45

403

83

 

 

(2) 国内子会社

  2023年3月31日現在

会社名

事業所名
(所在地)

セグメントの名称

設備の
内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(名)

建物
及び
構築物

機械装置
及び
運搬具

土地
(面積㎡)

リース
資産

その他

合計

(株)イチカワテクノファブリクス
(注)2

本社
(東京都文京区)

工業用事業

(-)

6

(有)アイケー加工
(注)3

本社
(茨城県
笠間市)

抄紙用具関連事業
工業用事業

(-)

57

(株)アイケーサービス
(注)4

本社
(千葉県
柏市)

抄紙用具関連事業
工業用事業

(-)

25

 

 

 

(3) 在外子会社

  2023年3月31日現在

会社名

事業所名
(所在地)

セグメントの名称

設備の
内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(名)

建物
及び
構築物

機械装置
及び
運搬具

土地
(面積㎡)

リース
資産

その他

合計

イチカワ・ノース・アメリカ・コーポレーション

本社
(アメリカ ジョージア州ピーチツリーコーナーズ市)

抄紙用具関連事業
工業用事業

車両及び
OA機器

9

(―)

11

19

41

10

イチカワ・ヨーロッパ
GmbH

本社
(ドイツ
デュッセルドルフ市)

抄紙用具関連事業
工業用事業

什器備品

5

(―)

11

24

41

10

宜紙佳造紙脱水器材貿易(上海)有限公司

本社
(中国
上海市)

抄紙用具関連事業
工業用事業

OA機器

(―)

10

10

10

イチカワ・アジア・カンパニーリミテッド

本社
(タイ王国バンコク市)

抄紙用具関連事業
工業用事業

什器備品

(―)

19

19

5

 

(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品並びに建設仮勘定の合計です。なお、金額には消費税等を含みません。

2 建物を提出会社から賃借しており、賃借料は0百万円です。

3 建物及び機械装置等を提出会社から賃借しており、賃借料は14百万円です。

4 建物及び機械装置等を提出会社から賃借しており、賃借料は1百万円です。

5 現在休止中の主要な設備はありません。

 

① 【株式の総数】

 

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

18,833,800

18,833,800

 

 

② 【発行済株式】

 

種類

事業年度末現在
発行数(株)
(2023年3月31日)

提出日現在
発行数(株)
(2023年6月28日)

上場金融商品取引所名又は

登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

4,967,151

4,967,151

東京証券取引所
スタンダード市場

単元株式数は100株であります。

4,967,151

4,967,151

 

 

① 【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

 

② 【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

 

(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】

 

年月日

発行済株式
総数増減数
(株)

発行済株式
総数残高
(株)

資本金増減額
 
(百万円)

資本金残高
 
(百万円)

資本準備金
増減額
(百万円)

資本準備金
残高
(百万円)

2018年10月1日(注)

△19,868,607

4,967,151

3,594

2,322

 

(注) 株式併合(5:1)による減少であります。

 

 

(5) 【所有者別状況】

  2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満
株式の状況
(株)

政府及び
地方公共
団体

金融機関

金融商品
取引業者

その他の
法人

外国法人等

個人
その他

個人以外

個人

株主数
(人)

12

25

49

24

1

2,777

2,888

所有株式数
(単元)

9,494

568

12,147

1,412

2

25,826

49,449

22,251

所有株式数
の割合(%)

19.20

1.15

24.56

2.86

0.00

52.23

100.00

 

(注) 自己株式307,226株は、「個人その他」に3,072単元及び「単元未満株式の状況」に26株含めて記載しています。

 

(6) 【大株主の状況】

  2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数
(千株)

発行済株式
(自己株式を
除く。)の
総数に対する
所有株式数
の割合(%)

王子ホールディングス株式会社

中央区銀座4丁目7-5

414

8.88

日本製紙株式会社

北区王子1丁目4-1

399

8.57

イチカワ従業員持株会

文京区本郷2丁目14-15

226

4.85

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

港区浜松町2丁目11-3

225

4.82

株式会社みずほ銀行

千代田区大手町1丁目5-5

175

3.76

株式会社千葉銀行

千葉市中央区千葉港1-2

174

3.74

三菱UFJ信託銀行株式会社

千代田区丸の内1丁目4-5

139

2.99

眞嶋 洋

松戸市

139

2.98

東レ株式会社

中央区日本橋室町2丁目1-1

91

1.96

株式会社日本カストディ銀行(信託E口)

中央区晴海1丁目8-12

81

1.75

2,067

44.30

 

(注)1 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次の通りです。

      日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)      225千株

            株式会社日本カストディ銀行(信託E口)         81千株

   2 当社の自己株式(307千株、発行済株式総数に対する所有株式数の割合6.18%)は、上記の表には含まれていません。

 

①【連結貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

現金及び預金

4,452

5,784

 

 

受取手形

256

277

 

 

売掛金

4,157

4,108

 

 

商品及び製品

1,504

1,599

 

 

仕掛品

1,131

997

 

 

原材料及び貯蔵品

597

867

 

 

その他

117

182

 

 

貸倒引当金

2

2

 

 

流動資産合計

12,213

13,813

 

固定資産

 

 

 

 

有形固定資産

 

 

 

 

 

建物及び構築物(純額)

※1 4,296

※1 3,971

 

 

 

機械装置及び運搬具(純額)

※1 3,020

※1 2,804

 

 

 

工具、器具及び備品(純額)

※1 154

※1 158

 

 

 

土地

※1 1,807

※1 1,807

 

 

 

リース資産(純額)

81

67

 

 

 

建設仮勘定

295

187

 

 

 

有形固定資産合計

※4 9,655

※4 8,997

 

 

無形固定資産

88

74

 

 

投資その他の資産

 

 

 

 

 

投資有価証券

3,699

3,687

 

 

 

繰延税金資産

31

30

 

 

 

その他

97

90

 

 

 

貸倒引当金

53

50

 

 

 

投資その他の資産合計

3,775

3,757

 

 

固定資産合計

13,519

12,829

 

資産合計

25,732

26,643

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

支払手形及び買掛金

376

602

 

 

短期借入金

※1 860

※1 860

 

 

リース債務

61

52

 

 

未払法人税等

269

146

 

 

契約負債

17

42

 

 

賞与引当金

405

438

 

 

役員賞与引当金

20

32

 

 

その他

908

985

 

 

流動負債合計

2,919

3,159

 

固定負債

 

 

 

 

リース債務

57

29

 

 

繰延税金負債

591

521

 

 

役員株式給付引当金

83

131

 

 

退職給付に係る負債

3,229

3,202

 

 

その他

83

83

 

 

固定負債合計

4,044

3,968

 

負債合計

6,964

7,128

純資産の部

 

 

 

株主資本

 

 

 

 

資本金

3,594

3,594

 

 

資本剰余金

2,333

2,333

 

 

利益剰余金

12,040

12,593

 

 

自己株式

647

647

 

 

株主資本合計

17,320

17,873

 

その他の包括利益累計額

 

 

 

 

その他有価証券評価差額金

1,329

1,403

 

 

為替換算調整勘定

88

208

 

 

退職給付に係る調整累計額

12

9

 

 

その他の包括利益累計額合計

1,431

1,621

 

非支配株主持分

16

19

 

純資産合計

18,768

19,515

負債純資産合計

25,732

26,643

 

【連結損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

※1 12,355

※1 13,344

売上原価

※2 7,692

※2 7,915

売上総利益

4,662

5,428

販売費及び一般管理費

※3,※4 4,131

※3,※4 4,628

営業利益

531

800

営業外収益

 

 

 

受取利息及び配当金

99

112

 

為替差益

-

91

 

受取賃貸料

15

15

 

雇用調整助成金

155

16

 

雑収入

70

76

 

営業外収益合計

340

312

営業外費用

 

 

 

支払利息

7

7

 

為替差損

51

-

 

賃貸費用

13

13

 

訴訟関連費用

11

4

 

固定資産除却損

3

4

 

貸与資産経費

14

14

 

棚卸資産処分損

4

18

 

雑損失

6

5

 

営業外費用合計

113

68

経常利益

758

1,044

特別利益

 

 

 

投資有価証券売却益

1

5

 

特別利益合計

1

5

特別損失

 

 

 

投資有価証券評価損

21

-

 

ゴルフ会員権評価損

-

3

 

減損損失

0

-

 

特別損失合計

21

3

税金等調整前当期純利益

737

1,045

法人税、住民税及び事業税

344

321

法人税等調整額

131

109

法人税等合計

213

211

当期純利益

524

833

非支配株主に帰属する当期純利益

0

0

親会社株主に帰属する当期純利益

523

833

 

1  報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社グループは、抄紙用具関連事業及び工業用事業の製造・販売を行っており、抄紙用具関連事業については、日本(当社)・北米(イチカワ・ノース・アメリカ・コーポレーション)・欧州(イチカワ・ヨーロッパGmbH)・中国(宜紙佳造紙脱水器材貿易(上海)有限公司)・タイ(イチカワ・アジア・カンパニーリミテッド)に販売拠点を置き、事業活動を展開しています。工業用事業については、主に株式会社イチカワテクノファブリクスが販売を担当しております。各会社は、それぞれ独立した経営単位であり、各会社において包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。

 したがって、当社グループは、本社及び連結子会社を基礎とした販売地域又は製品別事業セグメントから構成されており、事業活動の内容及び経営環境に関して適切な情報を提供するため、販売地域ごとに製品の要素が概ね類似する複数の事業セグメントを集約し、「抄紙用具関連事業(日本・北米・欧州・中国・タイ)」及び「工業用事業」の6つを報告セグメントとしております。

 

①【貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

現金及び預金

3,220

4,323

 

 

受取手形

218

231

 

 

売掛金

3,992

3,925

 

 

商品及び製品

1,160

1,305

 

 

仕掛品

1,130

995

 

 

原材料及び貯蔵品

594

862

 

 

前払費用

3

9

 

 

その他

119

128

 

 

貸倒引当金

2

2

 

 

流動資産合計

10,436

11,778

 

固定資産

 

 

 

 

有形固定資産

 

 

 

 

 

建物

※1 4,164

※1 3,854

 

 

 

構築物

※1 123

※1 111

 

 

 

機械及び装置

※1 2,993

※1 2,790

 

 

 

車両運搬具

※1 4

※1 3

 

 

 

工具、器具及び備品

※1 95

※1 85

 

 

 

土地

※1 1,807

※1 1,807

 

 

 

リース資産

73

44

 

 

 

建設仮勘定

295

187

 

 

 

有形固定資産合計

9,558

8,885

 

 

無形固定資産

 

 

 

 

 

ソフトウエア

50

52

 

 

 

リース資産

26

11

 

 

 

電話加入権

5

5

 

 

 

その他

4

3

 

 

 

無形固定資産合計

86

73

 

 

投資その他の資産

 

 

 

 

 

投資有価証券

3,699

3,687

 

 

 

関係会社株式

103

103

 

 

 

関係会社出資金

54

54

 

 

 

破産更生債権等

2

-

 

 

 

会員権

76

72

 

 

 

長期前払費用

2

1

 

 

 

その他

6

6

 

 

 

貸倒引当金

48

45

 

 

 

投資その他の資産合計

3,897

3,880

 

 

固定資産合計

13,542

12,839

 

資産合計

23,979

24,618

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

買掛金

380

618

 

 

短期借入金

※1 860

※1 860

 

 

リース債務

53

41

 

 

未払金

568

727

 

 

未払費用

28

29

 

 

未払法人税等

187

92

 

 

預り金

30

27

 

 

賞与引当金

377

405

 

 

役員賞与引当金

20

28

 

 

その他

282

235

 

 

流動負債合計

2,789

3,067

 

固定負債

 

 

 

 

長期未払金

7

7

 

 

リース債務

57

21

 

 

資産除去債務

59

60

 

 

繰延税金負債

611

532

 

 

退職給付引当金

3,207

3,179

 

 

役員株式給付引当金

83

131

 

 

その他

10

13

 

 

固定負債合計

4,036

3,945

 

負債合計

6,825

7,013

純資産の部

 

 

 

株主資本

 

 

 

 

資本金

3,594

3,594

 

 

資本剰余金

 

 

 

 

 

資本準備金

2,322

2,322

 

 

 

その他資本剰余金

11

11

 

 

 

資本剰余金合計

2,333

2,333

 

 

利益剰余金

 

 

 

 

 

利益準備金

898

898

 

 

 

その他利益剰余金

 

 

 

 

 

 

固定資産圧縮積立金

947

853

 

 

 

 

別途積立金

5,043

5,043

 

 

 

 

繰越利益剰余金

3,654

4,126

 

 

 

利益剰余金合計

10,544

10,922

 

 

自己株式

647

647

 

 

株主資本合計

15,824

16,202

 

評価・換算差額等

 

 

 

 

その他有価証券評価差額金

1,329

1,403

 

 

評価・換算差額等合計

1,329

1,403

 

純資産合計

17,153

17,605

負債純資産合計

23,979

24,618

 

②【損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

10,776

11,770

売上原価

7,448

7,698

売上総利益

3,328

4,072

販売費及び一般管理費

※2 3,308

※2 3,783

営業利益

20

289

営業外収益

 

 

 

受取利息及び配当金

334

300

 

為替差益

158

118

 

受取賃貸料

15

15

 

雇用調整助成金

144

11

 

雑収入

82

70

 

営業外収益合計

734

515

営業外費用

 

 

 

支払利息

6

5

 

賃貸費用

13

13

 

訴訟関連費用

11

4

 

固定資産除却損

3

4

 

貸与資産経費

28

27

 

棚卸資産処分損

4

18

 

雑損失

0

4

 

営業外費用合計

67

78

経常利益

687

725

特別利益

 

 

 

投資有価証券売却益

1

5

 

特別利益合計

1

5

特別損失

 

 

 

投資有価証券評価損

21

-

 

ゴルフ会員権評価損

-

3

 

減損損失

0

-

 

特別損失合計

21

3

税引前当期純利益

666

727

法人税、住民税及び事業税

228

189

法人税等調整額

107

119

法人税等合計

121

69

当期純利益

545

657