株式会社中央経済社ホールディングス
1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式がないため記載しておりません。
2 従業員数は就業人員数を表示しております。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式がないため記載しておりません。
2 従業員数は就業人員数を表示しております。
3 最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、それ以前は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。
当社グループは、当社及び子会社5社で構成され、企業経営全般及びその他分野に関する書籍、雑誌の出版・販売を行う「出版事業」と主に広告請負代理等を行う「出版付帯事業」からなっております。
また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。当社グループの各社の事業に関わる位置付け及び事業別の内容との関連は次のとおりであります。
なお、当社グループの事業は、出版事業及び出版付帯事業の単一セグメントであるため、事業別に記載しております。
(1) 出版事業
当社グループの書籍は、経営、経済、法律、会計、税務、情報の各分野における学術研究書、企業の経営問題に関する専門実務書、ビジネス実用書、大学・短期大学向けの教科書、各種の資格試験・検定試験用学習書、インターネットなどITに関する実用書など多岐にわたっております。
また、当社グループの雑誌出版は、会計学の理論や経理規範の研究・解説を目的とする「企業会計」、税実務に正しい法解釈と処理指針を提供する「税務弘報」、経理・税務・金融・証券・法務のニュースと解説を提供する「旬刊経理情報」、企業の法律実務の解説と東京商工会議所・各地商工会議所主催のビジネス実務法務検定試験のための試験情報を紹介する「ビジネス法務」の4誌であります。なお、公認会計士・税理士・簿記の受験指導を目的にした「会計人コース」は2020年8月号をもって休刊し、電子版の「会計人コースWeb」に移行しております。
株式会社中央経済社は上記書籍、雑誌の企画、編集を事業としております。また、株式会社シーオーツーは、雑誌、書籍及びムックの編集制作等を行っており、あわせて企業のPR誌、会報誌の企画・制作も行っております。
株式会社中央経済グループパブリッシングは株式会社中央経済社が企画、編集した書籍、雑誌の制作及び販売、並びに株式会社シーオーツーが編集制作を行った書籍及びムック等の一部商品の販売を事業としております。
(2) 出版付帯事業
出版付帯事業は、子会社における以下の事業です。
株式会社プランニングセンターは、税務、会計、法務分野を中心とした媒体向けの広告宣伝の請負代理等を行っており、あわせて企業の商品カタログ、販売促進用パンフレットの企画・制作も行っております。当社グループにおける位置付けは、当社発行の雑誌における掲載広告の請負代理を行っております。
株式会社CKDは、出版物の保管・入出庫・在庫管理等を行っており、また不動産の管理・賃貸業務も行っております。当社グループにおける位置付けは、当社の出版物の保管・入出庫・在庫管理を請け負っております。また、当社は本社の建物を賃借しております。
事業の系統図は、次のとおりです。

(注) 1 特定子会社に該当しております。
2 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
3 株式会社中央経済グループパブリッシングについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1) 売上高 2,645,025千円
(2) 経常利益 40,199千円
(3) 当期純利益 27,809千円
(4) 純資産額 418,051千円
(5) 総資産額 1,743,287千円
4 株式会社シーオーツーについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1) 売上高 393,206千円
(2) 経常利益 26,332千円
(3) 当期純利益 18,268千円
(4) 純資産額 235,273千円
(5) 総資産額 286,562千円
2022年9月30日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
3 当社グループの事業は、出版事業及び出版付帯事業の単一セグメントであるため、事業別に記載しております。
2022年9月30日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
4 提出会社の事業は、出版事業がすべてであります。
連結財務諸表提出会社の労働組合は、中央経済社ホールディングス労働組合と称し、1955年6月に結成されました。
2022年9月30日現在の組合員数は26名であり、所属上部団体は日本出版労働組合連合会であります。
また、労使関係については概ね良好であります。
なお、連結子会社においては労働組合はありません。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、企業経営に関する書籍・雑誌の出版を通して社会活動に参画し、その発展に貢献することを基本理念としております。1948年の創業以来、この理念に根ざした真摯な姿勢は高く評価され、出版物は広く世に受け入れられてきました。今後も経営、経済、法律、会計、税務、情報など広範にわたる企業実務のすべてを取り扱う専門出版社としての社会的役割を十分に認識しながら、読者からの信頼を拠り所にして企業価値を一層高めてまいります。
社会が必要とする知識や技術は常に変化し一様ではありません。とくに出版情報に対するニーズは極めて個性的であり、その1つひとつに対して的確に応答することが出版の使命であります。当社グループが経営活動の基本方針として「市場への適正対応」を掲げる所以であります。
この基本方針を確固たるものとするため、当社は2016年1月1日をもって持株会社体制に移行し、企画、編集部門及び制作、販売部門はそれぞれの事業に特化し、読者が求める多様なニーズに応えるための体制を整えました。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、安定した経営基盤を維持・構築し、もって良質な出版を継続し、かつ、安定した株主還元を行うことを目標としております。そのため、1株当たり純資産価額を重視し、その増大を絶えず意識して経営をしております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループの事業領域であります出版業界では、長年市場規模の縮小が続いております。また、出版市場では、書店数の減少や売り場面積の縮小が相次ぐとともに、物流コストや原材料費のコストアップなどの影響が懸念されており、この傾向は今後も継続するものと想定しております。一方、高度に成熟した経済社会においては、専門化を1つの方途として追求する方々が存在しており、この層に属する方々の絶対数は少ないものの、知識に対する欲求が高く、熱心な読者層として確実に存在しております。
このため当社グループでは、法律・会計制度等の変更や企業活動の変化に対応して、読者のニーズにいち早く応えるような書籍・雑誌の出版に努めるとともに、寿命の長い良質でスタンダードな書籍の出版を追求してまいります。また一方では、良質で専門性の高い書籍の出版を目指します。販売の側面からは、書店からの返品の早期化に対応し、一層適正な配本に努めてまいります。
(4) 経営環境及び対処すべき課題等
わが国の出版市場は、長期的な縮小傾向に歯止めがかかっておらず、また当社グループが属する社会科学分野の出版領域においても、近年大きな制度改正がないことや人口減少・高齢化など、引き続き厳しい環境が続くものと考えております。
以上を踏まえ、このような環境下において、当社グループが持続的な成長を実現し、企業価値の最大化を図るために、以下の課題に取り組みます。
1.新たな視点、感性をもって企画開発をしていくための人材確保と育成。
2.読者ニーズを的確に捉えた企画立案とマーケティングの徹底。
3.既刊本の販売強化と変化する出版流通への対応。
4.慢性化が予想される製作コストの上昇への対応。
5.書籍電子化への速やかな対応。
以上、当社グループがこれまで培ってきたブランドとノウハウを活かしつつ、これらの試みをさらに積極的に行い、「所有する価値のある専門書づくり」、「社会の変化に敏感に対応した本づくり」を1冊1冊丁寧に行いながら今後も対応してまいります。
また、度重なる自然災害や本年の新型コロナウイルス感染症の蔓延に見られるように、予測を超えた現象が容易に社会経済活動の変容をもたらすことが明らかとなり、平時の諸課題とともに、これら突発的な危機に対応することが求められております。新型コロナウイルス感染症の影響は翌連結会計年度中も続くものの、当社グループの主な事業領域である出版業界では、市場における感染症対応が効率的・効果的に行われるものと仮定し、その影響は限定的であると想定しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年9月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年9月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(1) 再販制度について
当社グループの制作、販売する書籍、雑誌の著作物は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という)」第23条の規定により、再販売価格維持契約制度(以下「再販制度」という)が認められております。
独占禁止法は、再販制度を不公正な取引方法の1つであるとして原則禁止しておりますが、著作物については再販制度が認められております。
公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱い」(2001年3月28日公表)によると、「競争政策の観点からは同制度を廃止し…」としながらも、「同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない」として、当面この再販制度が維持されることとなっております。この再販制度が廃止された場合、業界全体への影響も含め、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 委託販売制度について
著作物再販制度のもとに、出版業界には委託販売制度があります。取次会社及び書店に委託販売した書籍、雑誌等の出版物について、一定期間内に限り、返品を受け入れることを条件とするこの販売制度を当社グループも採用しております。
当社グループは、近時、「返品減少」を重点政策の1つに掲げ、適量送本を徹底し、大きな成果を得てきました。
また、会計上、一定期間の直近売上高に返品率等を乗じて算出した所要額を返品資産及び返金負債として計上しております。そのため、返品率の増加は当社グループの経営成績に影響を及ぼします。
(3) 図書館関係の権利制限規定の見直しについて
2021年5月26日に「著作権法の一部を改正する法律」が成立し、同年6月2日に公布されました。この改正には、図書館に関する著作権の制限規定である法第31条の見直し規定が含まれており、国立国会図書館による絶版等資料のインターネット送信については公布から1年以内、図書館等による図書館資料のメール送信等については公布から2年以内に施行されることになりました。
今回の改正では、送信サービスの運用上の詳細などは関係者間での協議等に委ねられているところも多いのですが、近年、自炊等による著作者、出版社の権利侵害が社会問題化していることなどを考えると、これらが実施された場合には、自炊者はさらに容易に、かつ合法的に出版物の複製物の入手、頒布できることから、当社グループが持つ資産が著しく毀損される可能性があります。
(重要なリスク)
(1) 個人情報の管理について
当社グループは、出版業の特性から多くの著作者や一般顧客の個人情報を有しております。当社グループでは、個人情報の保護に関して万全を期しておりますが、予期せぬ事態により個人情報が流出するような事態が生じ損害賠償責任を問われた場合、当社グループのブランド価値を著しく毀損するとともに多額の費用が発生する可能性があります。
(2) 人材の確保及び育成について
当社グループにおいては、人材を最も重要な資産と位置づけております。当社グループの事業運営には、企画、編集能力をはじめ、マネジメント能力やコミュニケーション能力など、多岐にわたる専門的な技能や職務経験が求められることから、これら人材の確保及び育成が不可欠となっております。
当社グループでは、社員の技能向上のための各種研修等を行うとともに福利厚生の充実を図っております。また、人材の採用に関しては、定期的な新卒採用活動を行うとともに、必要に応じて中途採用を実施することで人材の確保に努めております。しかしながら、人材の確保及び育成に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権について
当社グループでは、自社が管理する知的財産権を保護するとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めております。しかしながら、予期せぬ事態により知的財産権に関する訴訟を提起され、あるいは自社が管理する知的財産権を保全するために訴訟を提起せざるを得なくなった場合には多大な時間と労力を費やすことになり、場合によっては多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
(4) 係争・訴訟について
当連結会計年度において当社グループの業績に重要な影響を及ぼす係争・訴訟は提起されておりません。しかしながら、業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 大規模災害等の発生について
当社グループの事業所、倉庫施設の周辺地域において大地震や台風等の災害あるいは予期せぬ事故等が発生し、事業所、倉庫施設、情報システム等に損害が生じ、当社グループの生産・販売活動や流通・仕入活動が阻害された場合、さらに人的被害があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、全国各地で発生する記録的な猛暑、豪雨、台風や地震などの自然災害により被災地域の書店・販売店やインフラ等に被害が及んだ場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 伝染病・感染症の発生・蔓延について
2020年初春より国内に発生した「新型コロナウイルス感染症」の蔓延に見られるように、特定の伝染病や感染症が全国各地に広がり社会経済活動が大きく制限された場合、さらに当社グループ及び関係取引会社等で罹患者が発生する事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、出版事業及び出版付帯事業の単一のセグメントであるため、事業別に記載しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対応した各種規制が緩和され、経済活動の正常化への兆しがみられました。しかし、長期化するウクライナ情勢、急激な円安進行、原油や原材料価格の高騰等による景気減速への懸念が強まり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの事業領域であります出版業界は、コロナ禍による巣ごもり需要が一巡し、全国の書店数が減少を続けるなど中長期的な縮小傾向に歯止めがかかっていません。出版科学研究所によりますと、出版物の推定販売金額は、当連結会計年度では書籍および雑誌がともに前年を下回り、合計で前期比マイナス6.7%となりました。
このような状況の中、当社グループは、前期の経験に基づく実務書の積極的な開発や大学教材の適切な供給に注力いたしました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の認識方法が異なることから、以下の経営成績に関する説明において前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を使用しております。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高3,169,931千円(前年同期比0.4%増)、営業利益146,264千円(前年同期比10.1%減)、経常利益169,474千円(前年同期比7.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益172,344千円(前年同期比16.9%増)となりました。
事業別の概況は次のとおりであります。
(出版事業)
会計分野では、任意適用企業が増加してきたIFRSに関して、わが国唯一の公式翻訳書『IFRS基準〈注釈付き〉2022』をはじめ関連書の開発を行ってきました。また、岸田政権のブレーンの手による『「新しい資本主義」のアカウンティング』が話題となったほか、いまだ跡を絶たない会計不正への処方箋を示した『実践 不正リスク対応ハンドブック』、不祥事が発覚した際の会計・監査上の課題にどう対応したかを実際の現場担当者が綴った『経営危機時の会計処理』が、それぞれ好評を博しました。その他、良質な研究書として『戦略的コストマネジメント』『実務に活かす 管理会計のエビデンス』『新版 財務会計の理論と実証』、スタンダードな大学のテキストとして『ビギナーズ会計学』『プラクティカル原価計算』なども刊行いたしました。
経営・経済分野では、教授が自らの経験をもとにアカデミックな視点をまじえて解説した『婚活戦略』がSNSや雑誌・新聞など多くのメディアで話題となり、増刷を重ねました。また、『幸福の測定』もテーマや内容への評価が高く、売れ行きも好調でした。新しい大学テキストとして全国の大学で定番テキストとして採用されている「ベーシック+(プラス)」シリーズでは、『金融論〈第3版〉』『公共経済学〈第2版〉』でアップデートを行い、さらなる採用の拡大を目指しました。環境の変化や読者の要望に対応した『データ分析で読み解く 日本のコーポレート・ガバナンス史』などの新しい教材を開発するとともに、企画テーマを幅広くとらえ、『カゴメの人事改革』などの経営書も開発し、話題となりました。
税務分野では、令和4年1月1日より施行の改正電子帳簿保存法を元東京国税局の情報技術官等を歴任した著者による『改正電子帳簿保存法のすべて』をタイムリーに刊行し、制度全体を網羅した丁寧な解説が評価されて版を重ねました。また、令和3年10月1日から登録申請が開始された消費税のインボイス制度を国税庁のQ&Aの内容に沿って解説した『逐条放談 消費税のインボイスQ&A』は、数多ある類書の中でもその独自性が好評を博し、すでに第2版が好調に推移しています。さらに、期末ギリギリに刊行した『NFT・暗号資産の税務』は予約時点からネット上で注目され、これからの税務分野の新たな話題作りの一翼を担うものと期待されています。
法律分野では、改正個人情報保護法に対応した『プライバシーポリシー作成のポイント』『個人情報保護・管理の基本と書式〈第2版〉』、法務の中心業務である契約実務を解説する『契約解消の法律実務』、新時代の実務をいち早くとらえた『XR・メタバースの知財法務』を刊行し、部数を伸ばしました。また、『スタートアップ法務』『インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル〈第4版〉』がレイアウトの工夫や改正内容の大幅な加筆により売れ行き好調でした。さらに、『申請事例からみる交通事故後遺障害の等級認定』『消費生活相談員のための消費者3法の基礎知識』といった、市民生活と密接にかかわる書籍を刊行いたしました。
企業実務分野では、資本コスト経営を理論と実践から解き明かした『事業ポートフォリオマネジメント入門』、さらにESG関連の書籍として『ESG情報開示の実践ガイドブック』を刊行し、版を重ねました。また、改訂コーポレートガバナンス・コードで明記され注目を集めたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言を解説した『TCFD開示の実務ガイドブック』は順調に部数を伸ばしています。
資格試験分野では、各種資格試験対策本として『司法試験・予備試験 社会人合格者のリアル』『宅建士 出るとこ集中プログラム〈2022年版〉』が部数を伸ばしました。さらに、『社労士の仕事カタログ』『会計士・税理士のための伝わるプレゼン術』が好評でした。
高水準の研究成果の書籍として、『日本企業の利益マネジメント』が日経・経済図書文化賞、日本会計研究学会太田黒澤賞、日本管理会計学会文献賞を、『保守主義会計』が日本会計研究学会太田・黒澤賞を、『中小企業会計とその保証』が日本監査研究学会岩田・渡邊賞を、『原子力発電の会計学』が会計理論学会学会賞を、『課税所得計算の形成と展開』が日本会計教育学会学会賞を、『資源蓄積のジレンマ』が多国籍企業学会「学会研究奨励賞」を受賞するなど、多くの書籍が表彰されました。
生活実用分野では、コンパクトに要点を解説したコンビニエンスストアのプライベートブランド商品『図解 介護のお金とサービス〈2021-2022〉』を刊行いたしました。また、毎年好評を博している愛犬家、愛猫家からの投稿を集めた日めくりカレンダー『犬めくり』『猫めくり』や『花ことばと誕生花の週めくりカレンダー』などの人気商品を継続刊行いたしました。
雑誌については、次のとおりであります。
「企業会計」は会計研究と実務の両面から、最新の論点のみならず伝統的・普遍的な論点も交え、読者の知的好奇心を満たす企画づくりを行っています。「税務弘報」は国税庁から公表される多くの情報を独自の視点で理解、分析した企画や読者に多い税理士事務所に寄り添うテーマなど、オリジナリティに富む誌面づくりを心掛けています。「旬刊経理情報」は旬刊誌としての適時なキャッチアップや、類誌にない分野横断的な切り口で実務情報を提供する一方、来年迎える創刊50周年に向け、より一層読者ニーズに応えるべく活動しております。「ビジネス法務」は法改正や重要判例をいち早く取り上げるとともに、企業のガバナンスやコンプライアンスにおける実用的な記事を提供し、定期購読者数を伸ばしております。
その結果、当社グループの出版事業では売上高3,075,997千円(前年同期比0.9%増)、営業利益136,354千円(前年同期比10.8%減)となりました。
(出版付帯事業)
当社グループの専門雑誌を中心とする広告宣伝の請負代理が主である出版付帯事業は、広告媒体が多様化し紙媒体への広告が大幅に減少する中で、いくつかの新規顧客を開拓いたしました。
その結果、売上高93,934千円(前年同期比12.9%減)、営業利益22,890千円(前年同期比8.5%減)となりました。
(2) 財政状態の状況
(資産)
流動資産につきましては、現金及び預金の増加401,250千円、収益認識会計基準等の適用による返品資産の増加96,330千円並びに商品及び製品の増加19,453千円があったものの、金銭の信託の減少299,982千円、売上債権の減少163,874千円及び有価証券の減少148,022千円などにより前連結会計年度末に比べ96,579千円減少して、3,633,494千円となりました。
固定資産につきましては、建設仮勘定の増加523,081千円及び繰延税金資産の増加14,341千円などにより前連結会計年度末に比べ537,831千円増加して、2,089,700千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ441,252千円増加して、5,723,195千円となりました。
(負債)
流動負債につきましては、仕入債務の減少36,304千円及び収益認識会計基準等の適用による返品調整引当金の減少65,908千円があったものの、収益認識会計基準等の適用による返金負債の増加150,964千円があったことなどにより前連結会計年度末に比べ54,786千円増加して、851,627千円となりました。
固定負債につきましては、長期借入金の増加276,701千円などにより前連結会計年度末に比べ277,165千円増加して、667,966千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ331,952千円増加して、1,519,593千円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、その他有価証券評価差額金の減少25,738千円があったものの、利益剰余金の増加135,038千円があったことなどにより前連結会計年度末に比べ109,300千円増加して、4,203,601千円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は1,949,276千円となり、前連結会計年度末に比べて111,150千円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は203,347千円(前年同期比151,100千円増)となりました。これは主に、返品資産の増加96,330千円、有価証券売却益75,621千円、法人税等の支払額73,128千円、返品調整引当金の減少65,908千円、仕入債務の減少36,304千円があったものの、税金等調整前当期純利益245,096千円、売上債権の減少163,874千円、返金負債の増加150,964千円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は349,694千円(前年同期比297,488千円増)となりました。これは主に、有価証券の売却による収入182,616千円があったものの、有形固定資産の取得による支出529,541千円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は252,491千円(前年同期は29,724千円の使用)となりました。これは、配当金の支払額37,508千円があったものの、長期借入れによる収入290,000千円があったことによるものです。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1 各指標の算出は、以下の算式を使用しております。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。
当社グループの事業は、出版事業及び出版付帯事業の単一セグメントであるため、事業別に記載しております。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 1 事業間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1 事業間取引については、相殺消去しております。
2 総販売実績に対する割合が、100分の10以上の相手先別の販売実績及びその割合は、次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年9月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、その結果を資産・負債及び収益・費用の数値に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、2020年初頭から発生した新型コロナウイルス感染症の蔓延による影響を引き続き受けたものの、前年の経験をもとにできる限りの市場対応を果たすことに努めました。
このような状況の中、当社グループの中核事業である出版事業では、前連結会計年度の状況に大きな変化がないことを前提に、実務書については在宅勤務対応として郊外型書店へのアプローチやウェブ販売への対応、大学教材については製作時期・数量、販売ルートを精査して適量送本の徹底を図りました。結果として返品数が減少したことにより売上高が横ばいとなりましたが、営業利益、経常利益とも前年度より減少いたしました。
これにより、経営成績は以下のとおりとなりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ14,000千円増加し、3,169,931千円(0.4%増)となりました。これは主に、注文書籍売上の増加と注文書籍返品の減少によるものです。
(売上原価・販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度より増加し2,109,651千円(1.5%増)となりました。その結果、売上総利益は25,780千円減少し、1,060,280千円(1.6%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、支払手数料、租税公課、荷造運搬費などが増加したものの、給与及び手当、退職給付費用などが減少したことなどにより、前連結会計年度とほぼ同額の914,015千円(1.0%減)となりました。
(営業利益)
営業利益は、上記により前連結会計年度に比べ16,357千円減少し、146,264千円(10.1%減)となりました。
(営業外損益・特別損益)
経常利益は、営業外収益23,272千円、営業外費用61千円を計上したものの、前連結会計年度に比べ14,046千円減少し、169,474千円(7.7%減)となりました。また、特別利益として有価証券売却益75,621千円を計上したことにより、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ61,575千円増加し、245,096千円(33.6%増)となりました。
(法人税、住民税及び事業税)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ24,940千円増加し、172,344千円(16.9%増)となりました。これは、法人税、住民税及び事業税76,084千円、法人税等調整額3,332千円計上したことによるものです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの事業運営上必要な運転資金は、原則として自己資金で賄うこととしております。今後も、所要資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉とした自己資金調達を原則とする方針であります。また、多額の資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、資本市場からの直接調達も検討する方針であります。
なお、当連結会計年度において新社屋の建設費に充当するため、金融機関より長期借入金として290,000千円の借入を行いました。また、2023年3月にも210,000千円の借入を行う予定であります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは、外部環境の変化に留意しつつ、人材の確保・育成、リスク分散、社内の統制を維持・向上させることなどにより、経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスクを分散、回避し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
当社グループは、安定した経営基盤を維持・構築し、もって良質な出版を継続し、かつ、安定した株主還元を行うことを目標としており、そのため1株当たり純資産額を重視し、その増大を意識しながら経営を行っております。
当連結会計年度の1株当たり純資産額は1,126.79円となり、前連結会計年度に比べ2.7ポイント増加いたしました。また、第80期を基準として5会計年度を比較すると、微増傾向で推移しているものと認識しております。
(注) 東京証券取引所スタンダード市場のデータ算出にあたっては、同取引所の資料によっております。なお、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の変更により、2021年9月までは旧東証第二部市場の1株当たり純資産額を採用し、2022年9月以降は東証スタンダード市場の1株当たり純資産額を採用しております。
特記すべき事項はありません。
(注) 帳簿価額のうち「その他」は、「工具、器具及び備品」及び「借地権」であります。
(注) 帳簿価額のうち「その他」は、「工具、器具及び備品」であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 有償一般募集
2022年9月30日現在
(注) 自己株式287,881株は、「個人その他」に2,878単元、「単元未満株式の状況」に81株含まれております。
2022年9月30日現在
(注) 1 上記のほか当社保有の自己株式287千株があります。
2 株式会社プランニングセンター(2022年9月30日現在当社が100.00%株式を保有)が所有している上記株式については、会社法施行規則第67条の規定により議決権の行使が制限されております。
3 2021年12月15日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、重田光時及びその共同保有者である株式会社鹿児島東インド会社が2021年12月8日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2022年9月30日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりであります。