株式会社ダイセル
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第156期の期首から適用しており、第156期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2 最高株価および最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
3 提出会社の2020年3月期の1株当たり配当額34円は、創立100周年記念配当2円を含んでおります。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第156期の期首から適用しており、第156期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループは、株式会社ダイセル(当社)および子会社63社、関連会社12社より構成されております。
当社グループが営んでいる主な事業内容は、メディカル・ヘルスケア、スマート、セイフティ、マテリアル、エンジニアリングプラスチックの各領域における製品その他の製造・販売であり、当該事業に係る当社および子会社、関連会社の位置付けは次のとおりであります。
当社が、化粧品原料、健康食品、光学異性体分離カラムなどを製造・販売しております。
連結子会社Chiral Technologies, Inc.、Chiral Technologies Europe S.A.S.、Daicel Chiral Technologies (China) Co., Ltd.、Daicel Chiral Technologies (India) Pvt. Ltd.が、光学異性体分離カラムを販売するとともに、同事業に関する技術サービスを行っております。
上記の他6社が当事業部門に携わっております。
当社が、液晶保護フィルム用酢酸セルロース、電子材料向け機能品、高機能フィルムなどを製造・販売しております。
連結子会社Daicel Micro Optics Co.,Ltd.が、光学製品を開発・販売しております。
連結子会社パイクリスタル㈱が、有機半導体デバイスを開発・製造・販売しております。
連結子会社ダイセルビヨンド㈱が、高機能フィルムを製造・加工しております。
上記の他5社が当事業部門に携わっております。
連結子会社ダイセル・セイフティ・システムズ㈱が、自動車エアバッグ用インフレータを製造し、当社が販売しております。
連結子会社Daicel Safety Systems Americas, Inc.が自動車エアバッグ用インフレータ、インフレータ用イニシエータを製造・販売しております。
連結子会社Daicel Safety Systems(Thailand)Co., Ltd.、Daicel Safety Systems Europe Sp. z o. o.、Daicel Safety Systems(Jiangsu) Co., Ltd.、が、自動車エアバッグ用インフレータを製造・販売しております。
上記の他7社が当事業部門に携わっております。
当社が、アセテート・トウ、酢酸誘導体、カプロラクトン誘導体、エポキシ化合物などを製造・販売しております。
連結子会社協同酢酸㈱が、当社から原料の一酸化炭素およびメタノールの供給を受けて酢酸を製造・販売しております。また、同社は当社に酢酸を供給し、当社が販売しております。
連結子会社大日ケミカル㈱が、各種化学薬品を製造・販売しております。また、同社は当社よりカプロラクトンモノマーなどの供給を受けるとともに、当社にポリカプロラクトンなどを供給しております。
連結子会社Daicel ChemTech, Inc.、Daicel (Asia) Pte. Ltd.、Daicel (Europa) GmbHが当社の供給製品を海外において販売しております。
上記の他7社が当事業部門に携わっております。
連結子会社ポリプラスチックス㈱、Polyplastics Taiwan Co., Ltd.、Polyplastics Asia Pacific Sdn. Bhd.およびPTM Engineering Plastics(Nantong) Co., Ltd.が、ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチックを製造・販売しております。また、当社が液晶ポリマー原料の無水酢酸をポリプラスチックス㈱へ供給しております。
連結子会社ダイセルミライズ㈱が、ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂、包装用フィルム、各種合成樹脂製品などを販売しております。
連結子会社ダイセルパックシステムズ㈱が、各種成型トレーなどを製造・販売しております。
連結子会社DMノバフォーム㈱が、果実用発泡緩衝材を製造・販売しております。
上記の他31社が当事業部門に携わっております。
連結子会社ダイセン・メンブレン・システムズ㈱が、水処理用分離膜モジュールなどを製造・販売しております。
連結子会社ダイセル物流㈱が、グループ各社の製品、原材料の保管、運送を行っております。
上記の他5社が当事業部門に携わっております。
(注) 上記の他に2社あり、連結子会社Daicel (China) Investment Co., Ltd.が、中国におけるグループ会社の統括などを、連結子会社Daicel America Holdings, Inc.が、米国におけるグループ会社の統括などを行っております。
また、事業部門別の会社数は、複数の事業部門に携わっている会社については当該事業部門各々に含めて算出しております。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

(注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2 ※1:特定子会社に該当します。
3 ※2:議決権の所有割合の括弧書(内書)は間接所有割合であります。
4 ※3:主にグループ会社の統括等を行っております。
5 ※4:ポリプラスチックス㈱については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1) 売上高 112,528百万円
(2) 経常利益 15,778百万円
(3) 当期純利益 12,998百万円
(4) 純資産額 25,811百万円
(5) 総資産額 130,490百万円
6 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は( )内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しております。
2 臨時従業員に派遣社員は含んでおりません。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は( )内に当事業年度の平均人員を外数で記載しております。
2 臨時従業員に派遣社員は含んでおりません。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
労働組合の有無にかかわらず、当社を含め各グループ企業の労使は相互理解を基調に円満な関係にあります。
(注) 1 「管理職に占める女性労働者の割合」、「労働者の男女の賃金の差異」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。
2 「管理職に占める女性労働者の割合」は正規雇用労働者を対象とし、出向者を出向元の労働者として算出しております。
3 「男性労働者の育児休業取得率」は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
4 「男性労働者の育児休業取得率」は、出向者を出向元の労働者として算出しております。
5 「労働者の男女の賃金の差異」は、海外に駐在している労働者を除いて算出しております。
6 「労働者の男女の賃金の差異」は、出向者を出向元の労働者として算出しております。
7 「労働者の男女の賃金の差異」は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。なお、当社は、職群及び等級により異なる賃金水準を設定しております。男女では職群及び等級毎の人数に差があるため、賃金において差異が生じております。
文中の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、確実性を保証するものではありません。
世の中が変化しても変えてはいけない当社グループが大切にする考え方を示すため、基本理念の表現を「価値共創によって人々を幸せにする会社 ~ Sustainable Value Together ~ 」と改めるとともに、新たにサステナブル経営方針を2020年度に定めました。
・Sustainable Product:人々の豊かな生活を実現する新しい価値を創造し提供します
・Sustainable Process:全てのステークホルダーとともに地球環境と共生する循環型プロセスを構築します
・Sustainable People:多様な社員が全員、存在感と達成感を味わいながら成長する「人間中心の経営」を進めます
私たちダイセルの経営方針の最上位にあるのが基本理念です。SDGs実現のために「サステナブル経営方針」を基本理念の直下に位置付けました。またこのサステナブル経営方針をProduct、Process、Peopleの3つの要素で実現します。この経営方針を具現化していくために、当社グループで働くすべての役員、従業員の基本的な行動原則を再確認し、私たち一人ひとりが、あらゆる行動において常に意識し実践していく行動指針として「ダイセルグループ行動指針」、多様化するグローバル社会で存続するための必要条件であり、すべての企業活動領域で普遍的に適用する規範として「ダイセルグループ倫理規範」を定めました。そして、それを実現するための戦略が長期ビジョンと中期戦略になります。

当社グループが変わらず大切にする思いとともに、今後大胆に変えなければならないことを、2020年度を開始年度とする長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』および中期戦略『Accelerate 2025』で明確にいたしました。2023年度には、さまざまな社会的変化の影響や交易条件など経営環境が大きく変化したことに伴い、必要なアップデートを行っております。
注力するドメイン
サステナブル経営方針の具現化に向け、以下の4つのトリガーと注力する市場で価値を提供し、人々の幸せの実現と、当社グループの持続的な成長を目指します。
長期ビジョン実現への道のり
Operation-I(原ダイセル)では自社の現状の事業に加え、注力するドメインを含めた領域で、事業構造の転換とアセットライト化(徹底したコストダウン)を進めます。
Operation-Ⅱ(新ダイセル)では、既存事業の周辺領域でのM&Aや提携による領域拡大、既存事業の再編や合弁会社の抜本的見直しに取り組むとともに、グループ全体でのアセット・スーパーライト化を目指します。
Operation-Ⅲ(新企業集団)では、グループの枠を超えて、まず垂直統合方向のバリューチェーン(サプライチェーン)を強化し、その共通顧客に対する価値創造(共創)に取り組むとともに、同業他社や大学など、水平方向にも共創を拡大することで、より大きな価値の提供を目指します。

基本理念実現に向けて、以下の基本的な戦略に沿った取り組みを推進することで、既存事業の強化・成長による価値の提供と、「循環型社会構築への貢献」を目指します。
クロスバリューチェーン実現に向けた取り組みとしてバリューチェーンの垂直/水平方向との連携を推進し、新企業集団を見据えた、組織変更に対して柔軟に組み替え可能なバーチャルカンパニーの実現を図り、その基盤となるデジタルアーキテクチャの構築を進めます。
また、事業ポートフォリオとして「健康」「安全・安心」「便利・快適」「環境」における価値提供型事業へシフトし、ビジネスユニット(BU)の特性に応じたKPIの設定とその進捗に応じた資源配分により、売上高、営業利益ともに「次世代育成」事業と「成長牽引」事業のシェアを高めてまいります。
[メディカル・ヘルスケア事業]
・新規腸内代謝物ベースの機能性食品素材(ウロリチン他)の展開
・CPI事業の中国、インドでの拡大
・DDS(ドラッグデリバリーシステム)や医療関連材料などメディカル領域の事業育成
[スマート事業]
・半導体市場への材料供給及び関連事業の拡大
・ダイセルビヨンド㈱の活用による高機能フィルムの拡大
・ドライコーティング技術による新事業創出
[セイフティ事業]
・生産地統廃合によるメリット拡大
・インド、ASEAN市場で連携し、リスクヘッジとシェアアップを両立
・中国企業との関係強化
・EV車向けの電流遮断器量産と中国・欧米での拡販
[マテリアル事業]
・アセテート・トウの加熱式たばこ向け販売増、増設なき増産
・カプロラクトン誘導体・エポキシ化合物の高付加価値用途への拡大
・酢酸セルロースの環境素材市場開拓
[エンジニアリングプラスチック事業]
・欧米市場で拡販(ポリアセタール樹脂(POM)・液晶ポリマー(LCP)の 欧米でのシェア10%)
・中国市場でのビジネス強化(中国企業への販売)
・環境ビジネス創出(リサイクル・バイオ原料使用製品の展開)
また、ポリプラスチックスの完全子会社化に伴うシナジー効果を最大化するために、パフォーマンス・マテリアルズ事業本部を設置しており、さらなるグループ全体の樹脂事業の強化に取り組みます。具体的には、ポリプラスチックスのグローバル展開の加速(将来需要取り込みのための増産投資、欧米市場への拡販)、コストダウンシナジーの実現(ダイセル式生産革新の展開加速、間接部門の効率的運営)、グループシナジーの最大化(ポリプラスチックスのマーケティング力の活用、R&Dリソースの相互活用、触媒効率改善など既存事業の改善および改良)などに取り組み、2025年度までにEBITDAで300億円のシナジー効果を見込んでおります。
事業創出力の向上のため、R(Research:ユーザー目線によるシーズの掘り起こし)とD(Development:事業化力の強化)の自立を図り、Proactive IP(開発、事業化のアンテナ機能)、R、Dの相互作用による事業創出を目ざしてまいります。
生産(プロダクション)については、安全・品質のあくなき追求、究極のアセットライト、現場活躍の基盤強化を実践し、現場の力を結集してバーチャルカンパニーでパートナーに価値を提供することを目指します。
デジタルトランスフォーメーションについては、権限委譲を進める組織改革やそれに伴う働き方改革をサポートすることを主眼に、あらゆる業務領域へのAI、IoTの活用を進めてまいります。
人事については、多様な社員が存在感と達成感を味わいながら成長できる、変える!変わる!人事を目指してまいります。
中期戦略最終年度となる2025年度に以下の全社業績および経営指標をターゲットとしております。
全社業績:
売上高 6,600億円、営業利益 820億円、親会社株主に帰属する当期純利益 580億円、
EBITDA 1,360億円
経営指標:
営業利益率 12.4%、ROE 17.1%、ROIC 9.3%、ROA 7.7%、CCC 125日
株主還元 中期戦略発表時の1株当たり配当金額(年間32円)を下限、総還元性向 40%以上
また、アセットライト方針に基づき、業容拡大期間においても総資産残高をキープしつつ、自己資本比率45%超、ネットD/Eレシオ 0.5以下を実現し財務安定性強化を図ることにより2026年3月末のバランスシートとして以下をイメージしております。
2026年3月末(ターゲット) (億円)
収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。

世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響からの持ち直しの動きが続くことが期待されるものの、世界的な金融引き締めなどによる海外景気の下振れや、ウクライナ情勢も影響した原燃料価格の上昇など、先行き不透明な状況のうちに推移しております。
政治、経済、社会の様々な環境が激変し続ける中、当社の事業環境も不透明な状況が続いていますが、事業環境は常に変化するものとして想定するリスクを洗い出し、中期戦略実現に向けた取り組みを進めています。
コロナ禍からの回復などにより増加する需要に対しては、サプライチェーンの緊密な連携や、需要に応じた生産体制の構築などにより、販売機会を着実に捉えてまいります。また、原燃料価格の高騰や物流費の上昇に対しては、プロセス革新による原燃料コストの抑制や、販売価格の適切な是正にも取り組んでいます。さらに、聖域を設けることなく全社のあらゆる領域において徹底したコストダウンを実践しています。
また、当社グループ力の更なる強化に向け、2020年に完全子会社化したポリプラスチックス株式会社を中心としたエンジニアリングプラスチック事業の拡大を進めています。需要増加に対応した増産計画を迅速に意思決定するとともに、生産革新手法の横展開や設備建設部門の連携など、グループのシナジー強化、収益拡大に向けた取り組みを進めています。
事業ポートフォリオについては、成長牽引、次世代育成事業を主体にメリハリのある投資を実行するとともに、既存事業の整理や体制変革も実行し、事業の選択と集中を進めてきました。今後は、基盤事業の収益力向上と成長牽引事業の着実な育成を進めながら、長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』において当社が目指す姿「循環型社会構築への貢献」を軸とした「健康、安全安心、便利快適、環境」の4つの注力事業領域での新事業展開を加速します。
その中で、大学や他社との連携によるバイオマスプロダクトツリーやバイオマスバリューチェーンの構築を進めるとともに、生産革新、プロセス革新、エネルギー革新の組み合わせによるサプライチェーン全体でのエネルギー使用量の削減やエネルギー供給の最適化、CO2還元技術の確立などによる、カーボンニュートラルの実現に向けた新たなビジネスモデルの構築にも取り組みます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
また、将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日(2023年6月26日)現在において判断したものであります。
経済の変調により需要が急激に減少した場合、また他社による大型プラントの建設等により供給過剰となった場合や競合各社間の競争激化等により当社グループの製品の低価格化が進んだ場合は、当該事業の収益を悪化させる可能性があります。当社グループの製品は多岐にわたる分野に使用されており、特に自動車、電機、半導体、医療などの各業界における需要の変動に大きな影響を受けます。
② 為替変動に係るリスク
為替相場の変動は、当社グループの輸出入取引に係る交易条件、および海外グループ会社の業績の邦貨換算結果等に対して影響を与えます。
通常、円安は当社グループの業績に好影響を及ぼし、円高は悪影響を及ぼすと考えております。また、海外グループ会社においては、その所在国通貨と異なる外国通貨との為替相場変動により、業績等に影響を及ぼす可能性もあります。
これら為替変動に係るリスクに対して、先物為替予約取引などを用いてヘッジを行っておりますが、当該リスクを完全に回避できるものではなく、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの海外売上高比率は、2023年3月期において62.7%であります。また、当社の試算では米ドル・円レートが1円変動すると、連結売上高で年間約24億円、連結営業利益で年間約9億円の変動をもたらすと算定しております。
当社グループは、主力製品の酢酸やポリアセタール樹脂の原料として、メタノールを大量に購入しております。長期契約やメタノール製造会社への出資など、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じておりますが、メタノール市況が上昇した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、常に安価かつ価格の安定した原燃料への転換や、製造方法改善によるコストダウンをはかっております。原燃料の高騰が続く場合には、これらに加えて、製品販売価格への転嫁等によりできる限りの吸収をはかっておりますが、それを超えて高騰が続く場合は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、中国・アジア地域を中心に、北米・ヨーロッパなど海外事業展開を拡大しつつありますが、海外での事業活動では、予期しえない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難、テロ、戦争等による社会的又は政治的混乱等のリスクが存在します。
当社グループは、原材料を複数のサプライヤーから購入することにより安定調達を図り、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めております。しかしながら、複数のサプライヤーからの調達を進めてはいるものの、一部の特殊な原材料については限られたサプライヤーに依存する場合があります。また、サプライヤーの被災、事故、倒産などによる原材料の供給中断、需要の急増による供給不足が発生した場合には当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、さらなる事業成長を目指し国内外における企業買収・資本提携等に取り組んでおります。これらの投資について予期したとおりの成果が獲得できない場合、また事業環境等の急激な変化により事業計画に大幅な修正が生じた場合には、のれんの減損や投資損失が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
新型インフルエンザや新型コロナウイルスなどの重大な感染症については、感染拡大予防のために経済活動が制限されたり、当社グループや取引先で罹患者が大量に出た場合は、プラントの稼働低下や生産停止、サプライチェーンの分断などが発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要な生産拠点のひとつであるポリプラスチックス㈱富士工場は「東海地震に係る地震防災対策強化地域」内に立地しており、設備面の対策や地震防災訓練などを実施しております。また、グループの他の事業場においても、防災訓練などの緊急時対応訓練を行っております。
しかし、自然災害により重大な損害を被った場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
環境保全に対する社会要請の高まりにより、環境規制の強化が進み、法令遵守のための設備投資や関連するビジネスの再編成などの事態が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、全てのステークホルダーとともに、地球環境と共生する循環型プロセスの構築を目指し、持続可能な低炭素社会の実現に向けて、生産プロセスの抜本的な見直しや新技術の導入、グループ全体のエネルギー使用最適化など、省エネルギーに努め、GHG(温室効果ガス)排出量の削減に取り組んでおります。
しかしながら、気候変動に伴う異常気象等が当社グループの工場の操業やサプライチェーンに影響を与える物理的リスク、あるいは低炭素社会への移行に対応できずに原燃料価格や電力価格が上昇するリスクは、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製品の安全性確保および不具合品の流出防止に努めております。また、万一に備え、賠償責任保険も付保しております。しかし、当社グループが製造した製品に起因する損害が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、保安防災活動に継続的に取り組むなど、日頃から工場の安全確保に努めております。しかし、万一、火災・爆発等の産業事故災害が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループでは、既存事業の強化および新規事業創出のため積極的に研究開発活動を行っております。しかし、技術革新のスピードが速くタイムリーに新製品の開発ができないなど、期待した成果が得られず計画を断念することになった場合には、投下した研究開発費を回収できないため、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの研究開発体制の維持・強化のためには、高度な技術を持った人材の確保が不可欠であり、技術者が十分に確保できない場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「知的財産権が重要な資産であることを認識し、その保全・確保に努めるとともに、第三者が保有する知的財産権についてもその権利を尊重します」との行動規範のもと、知的財産関連情報の調査、知的財産権の取得・管理、適切な契約の締結・管理など戦略的な活動に取り組んでおります。しかしながら、当社グループが第三者の知的財産権を侵害している等の予期せぬ警告や訴えを受けたり、第三者に知的財産権を無断で使用される恐れがあります。このような事態が発生した場合には当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、国内外の法令遵守に努めております。しかしながらグローバル、かつ多様な分野で事業を行う中で、訴訟、係争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。
裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業を遂行する上で多くの機密情報や個人情報を保有しております。これらの情報を取り扱うにあたり、管理体制の構築、従業員教育の実施およびIT技術動向の変化に応じたセキュリティソフトの導入・更新などの対策をとっております。
しかしながら、通信ネットワークに生じた障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウエアもしくはソフトウエアの不具合・欠陥、コンピュータウィルス・マルウェア等外部からの不正な手段によるコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為や使用人もしくは委託業者の過誤等により、これらの情報が流出し、または改ざんされる事態が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループが自ら使用、または第三者に貸与する機械及び装置、土地及び建物などは、投資計画どおりに収益が得られず、投資額の回収が見込めないなど資産価値の下落に起因する潜在的な減損のリスクにさらされています。当連結会計年度末において、有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額の合計は2,673億円です。固定資産の減損損失が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ会社のダイセルミライズ株式会社が販売する樹脂製品の一部において、米国の第三者安全科学機関である Underwriters Laboratories Limited Liability Company(以下「UL」という。)の認証に関し、不適切な行為が判明しました。1980年代後半~2017年6月にかけて、ULの定める難燃性規格に関するフォローアップ工場試験の際に、指定されたロットとは別の試験片を作成し提出していたほか、1980年代~2020年5月にかけて、認証登録時の組成を一部変更した製品を、ULへの申請を行わずに製造・販売していました。(以下「本件不適切行為」という。)
本件不適切行為について、ULに報告を行った結果、一部製品のUL認証が2022年10月31日付で取り消されました。これまでUL認証の取消しとなった製品を使用した最終製品に関して事故等の報告は受けておりません。
また、UL認証が取消しとなった製品について、UL認証の再登録申請を進めております。これに関連し、ISO(国際標準化機構)の登録認証機関である一般財団法人日本品質保証機構(以下「JQA」という。)による不定期審査を受審しました結果、株式会社ダイセル広畑工場が取得しているISO9001:2015 (※) について認証範囲が2022年11月18日付で一部取消し・縮小となりましたが、一部取消し・縮小されていた認証範囲につきましては、2023年4月14日付で再認証を受けております。
本件不適切行為を受けて、当社の独立社外監査役と当社と利害関係を有しない社外の有識者から構成される調査委員会を設置し、本件不適切行為の事実関係、当社国内子会社でのUL認証に関連する類似案件の有無を調査するとともに、これらの行為の原因分析及び再発防止策の提言等を委任し、2022年12月16日に同委員会からの調査報告書を受領しました。本調査報告書につきましては、当社ウェブサイト
(https://www.daicel.com/news/assets/pdf/20230110.pdf)にて公表しております。
同委員会からの再発防止策の提言を受け、以下の取組みを行っております。
当社では、同委員会による調査結果を当社グループ全体で厳粛に受け止め、改めて「安全」「品質」「コンプライアンス」を当社の「モノづくり」の基盤と位置付けるとともに、新たに、「ダイセルグループ行動指針」、「ダイセルグループ倫理規範」を定めました。
また、再発防止のための体制構築も進め、2023年4月1日付で、安全と品質に関する監査と取り組み推進の機能を分離し、それぞれの機能を強化することを目的とした組織変更を実施しました。今後も当社グループの役職員全員が、今一度「モノづくり」の基本に立ち返り、信頼回復・再発防止に全力を挙げて取り組んでまいります。
なお、本件の対象製品に関連する費用が多額に発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(※) 品質マネジメントシステムに関する国際規格
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響からの持ち直しの動きが続いたものの、中国でのロックダウンや半導体不足などの自動車生産への影響、ウクライナ情勢も影響した原燃料価格の上昇や世界的なインフレの進行、物流の混乱、為替の変動など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
このような環境の中、当社グループでも自動車生産や、電子デバイスの需要低下の影響を受け、一部製品の販売数量が減少したものの、需要が伸長する製品については販売機会を着実に捉え販売数量を伸ばすとともに、高騰する原燃料価格や物流費の販売価格への転嫁、徹底したコストダウンを実施してまいりました。
当連結会計年度の売上高は5,380億26百万円(前年度比15.0%増)、営業利益は475億8百万円(同6.3%減)、経常利益は520億35百万円(同9.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は406億82百万円(同30.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、各事業が負担すべき費用を負担し、グループ全体の利益への貢献に責任を持って事業運営する体制に移行するため、全社共通費用を全て各事業に配賦する方法に変更しています。前年度比較については、前年度の数値を変更後の配賦方法に基づき組み替えた数値で比較しております。
コスメ・健康食品事業は、中国のロックダウンの影響などにより化粧品原料の販売数量が減少したものの、原燃料価格上昇に伴う販売価格の是正や、健康食品素材の販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
ライフサイエンス事業は、キラル関連製品の販売やインドでの分析サービスなどが好調に推移したことや、為替の影響により、増収となりました。
当部門の売上高は、225億18百万円(前年度比15.5%増)、営業利益は、減価償却費の増加等により、6億99百万円(同71.3%減)となりました。
液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ事業は、高機能フィルムの販売数量が新規採用により増加したものの、液晶パネルの在庫調整の影響により、酢酸セルロースの販売数量が減少し、減収となりました。
電子材料向け溶剤やレジスト材料などのIC/半導体事業は、液晶パネル材料向けの販売数量が減少したものの、半導体材料向けの販売数量の増加や、原燃料価格上昇に伴う販売価格の上昇などにより、増収となりました。
当部門の売上高は、295億99百万円(前年度比8.9%減)、利益面では、販売数量の減少や原燃料価格の上昇などにより、営業損失6億42百万円(前年同期は営業利益40億35百万円)となりました。
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、半導体不足や中国のロックダウンなどによる自動車減産の影響を受けたものの、自動車生産が前年度より回復し販売数量が増加したことや、為替の影響などにより、増収となりました。
当部門の売上高は、839億81百万円(前年度比20.9%増)、営業利益は、利益面では、米国での人件費の増加や、物流費の上昇などにより、営業損失1億43百万円(前年度は営業利益25億83百万円)となりました。
酢酸は、定期修繕に伴う販売調整や、前年度高騰した酢酸市況の軟化により、減収となりました。
酢酸誘導体は、電子材料やディスプレイ向けの需要低下により販売数量が減少したものの、販売価格の是正などにより、増収となりました。
アセテート・トウは、加熱式たばこ用の需要増加などによる販売数量の増加、原燃料価格上昇に伴う販売価格の是正、為替の影響などにより、増収となりました。
カプロラクトン誘導体やエポキシ化合物などは、自動車向け塗料保護フィルム用途などの需要拡大によりカプロラクトン誘導体の販売数量が増加したことや、原燃料価格上昇に伴う販売価格の是正などにより、増収となりました。
当部門の売上高は、1,548億13百万円(前年度比26.0%増)、営業利益は、販売数量の増加や販売価格の是正、為替の影響などにより、219億36百万円(同19.6%増)となりました。
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどポリプラスチックス株式会社の事業は、日系自動車の下期生産台数減少による自動車部品メーカーの在庫圧縮や、スマートフォンなどの需要低下の影響を受け、新型コロナウイルスの影響からの需要回復で販売数量が急増していた前年度と比較して販売数量が減少したものの、継続的な販売価格の是正や、為替の影響により、増収となりました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂、フィルム、水溶性高分子などダイセルミライズ株式会社の事業は、販売数量の増加や、原燃料価格上昇に伴う販売価格の是正などにより、増収となりました。
当部門の売上高は、2,380億62百万円(前年度比12.2%増)、営業利益は、販売価格の是正や、為替の影響などにより、253億10百万円(同14.5%増)となりました。
その他部門は、防衛関連事業での販売数量が減少したことなどにより、減収となりました。
当部門の売上高は、90億51百万円(前年度比20.7%減)、営業利益は、3億47百万円(同70.9%減)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、棚卸資産や有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比し667億70百万円増加し、7,656億6百万円となりました。
負債は、短期社債や1年内償還予定の社債等の増加により、前連結会計年度末に比し358億78百万円増加し、4,551億70百万円となりました。
また純資産は、3,104億35百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、2,952億9百万円となり自己資本比率は38.6%となりました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し55億6百万円増加し、934億93百万円(前連結会計年度末比6.3%増)となりました。
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、268億47百万円(前年同期は、429億93百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益549億67百万円および減価償却費315億16百万円であり、資金減少の主な内容は、棚卸資産の増減額318億75百万円および法人税等の支払額144億25百万円であります。
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、440億93百万円(前年同期は、465億28百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、投資有価証券の売却及び償還による収入86億77百万円であり、資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出473億86百万円であります。
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、199億56百万円(前年同期は、54億52百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、短期借入金の純増減額134億13百万円や短期社債の純増減額299億98百万円および長期借入れによる収入150億74百万円であり、資金減少の主な内容は、長期借入金の返済による支出131億7百万円や社債の償還による支出100億3百万円および配当金の支払額106億51百万円であります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
受注生産を行っているのは「その他」のうちの特機関連部門であり、主として発射薬等で受注状況は次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月26日)現在において判断したものであります。
中期戦略『Accelerate 2025』では2025年度に以下の全社業績および経営指標をターゲットとしております。
全社業績:
売上高 6,600億円、営業利益 820億円、親会社株主に帰属する当期純利益 580億円、
EBITDA 1,360億円
経営指標:
営業利益率 12.4%、ROE 17.1%、ROIC 9.3%、ROA 7.7%
株主還元:中期戦略発表時の1株当たり配当金額(年間32円)を下限、総還元性向 40%以上
本中期戦略の3年目である当連結会計年度は、需要の回復による販売機会を着実に捉えるとともに、販売価格の是正、徹底したコストダウンを実施してまいりました。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高は5,380億26百万円(前年度比15.0%増)、営業利益は475億8百万円(同6.3%減)、経常利益は520億35百万円(同9.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は406億82百万円(同30.2%増)となりました。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益
営業外損益は45億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し21億円悪化いたしました。
主に為替損益の影響などによるものであります。
特別損益
特別利益は55億円を計上いたしました。投資有価証券売却益42億円などによるものであります。
特別損失は26億円を計上いたしました。固定資産除却損15億円などによるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は24.2%と、前連結会計年度に比し6.5ポイント減少いたしました。
非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は10億円と、前連結会計年度に比し2億円(19.9%)増加いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は407億円と、前連結会計年度に比し94億円(30.2%)の増益となりました。 また、ROEは14.3%となり、前連結会計年度に比し2.1ポイント改善しました。ROICは5.3%、EBITDAは791億円となりました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、有利子負債比率は42.1%となりました。
また、2022年11月2日取締役会決議に基づく自己株式の取得を100億円実施しております。
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し155億円増加し、563億円(前連結会計年度比37.9%増)、減価償却費は前連結会計年度に比し46億円増加し、315億円(前連結会計年度比16.9%増)となりました。
当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し11億円増加し、219億円(前連結会計年度比5.5%増)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入等による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は3,220億円であります。
利益配分に関しては、中期戦略『Accelerate 2025』におきましては、収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
合弁関係
株式会社ダイセル(当社)
ポリプラスチックス株式会社(連結子会社)
(注)※当社子会社のポリプラスチックス株式会社は、2022年5月12日にグローバルポリアセタール株式会社との間で合弁契約を締結し、2021年12月1日に同社の100%子会社として設立していたピー・ホールディングス株式会社の全出資額の30%について、当該契約上の条件が満たされたとき、グローバルポリアセタール株式会社の出資を受け入れる予定でした。2022年12月26日に当該契約上の条件が満たされたため、2023年1月10日に当該出資を受け入れました。
Daicel (China) Investment Co., Ltd. (連結子会社)
(注) 合弁会社として記載しておりますXi'an Da-An Chemical Industries Co., Ltd.は、Ningbo Da-An Chemical Industries Co., Ltd.の100%出資でありますが、同社が西安北方恵安化学工業有限公司(中国)、陜西中煙投資管理有限公司(中国)およびDaicel(China)Investment Co., Ltd.の合弁会社であることから、Xi'an Da-An Chemical Industries Co., Ltd.につきましては、合弁会社とみなして記載しております。
当社グループ(当社および連結子会社)における主要な設備は、以下のとおりであります。
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品および建設仮勘定の合計であります。
2 土地の一部を賃借しております。年間賃借料は134百万円であります。賃借している土地の面積については、[ ]で外書しております。
3 現在休止中の主要な設備はありません。
4 連結会社間の貸与設備については借用会社に記載しております。
(注)2023年5月11日開催の取締役会において、会社法第178条の規定に基づく自己株式の消却を決議し、2023年5月22
日に普通株式16,000,000株を消却いたしました。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1 会社法第178条の規定に基づく自己株式の消却による減少であります。
2 2023年5月11日開催の取締役会において、会社法第178条の規定に基づく自己株式の消却を決議し、2023年
5月22日に自己株式16,000,000株を消却いたしました。これにより、発行済株式総数は、286,942,682株と
なっております。
(注) 1 自己株式17,307,785株は、「個人その他」に173,077単元および「単元未満株式の状況」に85株を含めて記載しております。
2 「その他の法人」の中には、証券保管振替機構名義の株式が30単元含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 上記所有株式数のうち信託業務にかかるものは、日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口)45,692千株、㈱日本カストディ銀行(信託口)16,088千株であります。
2 2022年12月16日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に関する変更報告書において、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ・エルエルピーが2022年12月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めておりません。
(大量保有報告書に関する変更報告書の内容)
3 2019年4月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に関する変更報告書において、日本生命保険(相)と他2社が2019年4月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めておりません。
(大量保有報告書に関する変更報告書の内容)
4 2022年2月21日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に関する変更報告書において、三井住友信託銀行㈱と他2社が2022年2月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めておりません。
(大量保有報告書に関する変更報告書の内容)
5 2022年12月5日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に関する変更報告書において、㈱三菱UFJ銀行と他2社が2022年11月28日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めておりません。
(大量保有報告書に関する変更報告書の内容)
6 2020年12月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、ポラリス・キャピタル・マネージメント・エルエルシーが2020年12月17日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めておりません。
(大量保有報告書の内容)
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、「戦略ビジネスユニット(SBU)」を中心とする組織を採用しており、各SBUが国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社は「メディカル・ヘルスケア事業」「スマート事業」「セイフティ事業」「マテリアル事業」「エンジニアリングプラスチック事業」の5つを報告セグメントとしております。
報告セグメントにおける主要製品は、以下の通りです。
<主な製品>