住友ベークライト株式会社
(注) 1 国際会計基準(以下、IFRS)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2 当社グループでは、持続的成長を図るため管理すべき重要な指標の一つとして「事業利益」という段階利益を導入しております。「事業利益」は、「売上収益」から「売上原価」と「販売費及び一般管理費」を控除して算出しております。
3 希薄化後1株当たり当期利益については、希薄化効果を有する潜在的普通株式が存在しないため記載しておりません。
4 2018年10月1日付で普通株式5株につき1株の割合で株式併合を行っております。これに伴い、1株当たり親会社所有者帰属持分および基本的1株当たり当期利益は、第128期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、算定しております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 第130期の自己資本利益率、株価収益率および配当性向については当期純損失のため記載しておりません。
3 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
4 2018年10月1日付で普通株式5株につき1株の割合で株式併合を行っております。これに伴い、1株当たり純資産額および1株当たり当期純利益は、第128期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、算定しております。
5 2018年10月1日付で普通株式5株につき1株の割合で株式併合を行っており、第128期の1株当たり配当額45.00円は、株式併合前の中間配当額7.50円と株式併合後の期末配当額37.50円の合計となります。
なお、当該株式併合を踏まえて換算した場合、第128期の中間配当額は37.50円となるため、期末配当額37.50円を加えた年間配当額は75.00円となります。
6 2018年10月1日付で普通株式5株につき1株の割合で株式併合を行っております。これに伴い、第128期の株価は当該株式併合後の最高・最低株価を記載し、()内に株式併合前の最高・最低株価を記載しております。
7 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第131期の期首から適用しており、第131期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注)2023年4月1日付でVyncolit NVはSumitomo Bakelite Europe (Ghent) NVに社名変更しております。
当社グループ(当社および関係会社)は当社、子会社55社、関連会社7社およびその他の関係会社1社(2023年3月31日現在)で構成され、半導体関連材料、高機能プラスチック、クオリティオブライフ関連製品の製造および販売等の事業活動を行っております。
当社グループの事業における各社の位置付けおよびセグメントとの関連は次のとおりであります。
① 半導体関連材料
半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、子会社のSumitomo Bakelite Singapore Pte. Ltd.、蘇州住友電木有限公司、台湾住友培科股份有限公司が製造・販売しているほか、子会社の九州住友ベークライト㈱で製造し、製品の全量を当社が販売しております。
半導体用液状樹脂は、当社および子会社のSumitomo Bakelite Singapore Pte. Ltd.、蘇州住友電木有限公司が製造・販売しているほか、子会社の九州住友ベークライト㈱で製造し、製品の全量を当社が販売しております。
半導体基板材料「LαZ®」は、当社が製造・販売しております。
なお、これらの製品の一部について、販売子会社のSumitomo Bakelite (Thailand) Co., Ltd.、住友倍克(香港)有限公司、Sumitomo Plastics America, Inc.およびSumitomo Bakelite Europe NV等を通じて販売しております。
② 高機能プラスチック
フェノール樹脂成形材料は、当社および子会社のSumiDurez Singapore Pte. Ltd.、南通住友電木有限公司、Durez Canada Co., Ltd.、Sumitomo Bakelite North America, Inc.およびVyncolit NVが製造・販売しているほか、子会社の山六化成工業㈱で製造し、製品の大部分を当社が販売しております。
工業用フェノール樹脂は、当社および子会社の南通住友電木有限公司、P.T. Indopherin Jaya、SNC Industrial Laminates Sdn. Bhd.、Sumitomo Bakelite Europe NV、Sumitomo Bakelite Europe (Barcelona), S.L.U.およびDurez Corporationが製造・販売しているほか、子会社の秋田住友ベーク㈱で製造し、製品の全量を当社が販売しております。
成形品は、当社および子会社の上海住友電木有限公司が製造・販売しております。
合成樹脂接着剤は、子会社の㈱サンベークが製造・販売しているほか、子会社の秋田住友ベーク㈱で製造し、製品の全量を子会社の㈱サンベークが販売しております。
フェノール樹脂銅張積層板は、子会社のSNC Industrial Laminates Sdn. Bhd.が製造・販売しております。
エポキシ樹脂銅張積層板は、当社および子会社の住友倍克澳門有限公司が製造・販売しております。
航空機内装部品は、子会社のVaupell Holdings, Inc.および威派塑胶模具(東莞)有限公司等が製造・販売しております。
なお、これらの製品の一部について、販売子会社のSumitomo Bakelite (Thailand) Co.,Ltd.、Rong Feng (H.K.) Industries Ltd.等を通じて販売しております。
③ クオリティオブライフ関連製品
SBカワスミ㈱は、自らが製造した医薬品を含む医療機器製品や、子会社のKawasumi Laboratories (Thailand) Co., Ltd.が製造した製品の大部分に加え、子会社の東莞住友電木有限公司が製造し、子会社の秋田住友ベーク㈱が買上げた医療機器製品の全量を販売しております。また、一部の医療機器製品は子会社のVaupell Holdings, Inc.等が製造・販売しております。
熱可塑性樹脂製品は、まな板、保護帽等を子会社の住べテクノプラスチック㈱が製造・販売しているほか、パイプ等を子会社の北海太洋プラスチック㈱が製造・販売しております。
ビニル樹脂シートおよび複合シートは、当社および子会社の南通住友電木有限公司が製造・販売しております。
メラミン樹脂化粧板・化粧シートは、当社が製造・販売しております。
鮮度保持フィルム「P-プラス®」は、当社が製造・販売しております。
ポリカーボネート樹脂板は、当社が製造・販売しているほか、子会社のP.T. SBP Indonesiaが製造・販売し、製品の一部を当社が販売しております。
塩化ビニル樹脂板は、当社が製造・販売しております。
防水シートの製造・販売、防水工事の設計および施工請負は、子会社の住ベシート防水㈱が行っております。
バイオ関連製品は、当社が研究開発・製造・販売を行っているほか、子会社の秋田住友ベーク㈱で製造した製品の全量を販売しております。また、一部の製品を子会社のVaupell Holdings, Inc.でも製造・販売しております。
なお、これらの製品の一部について、筒中興産㈱が加工しているほか、販売子会社の㈱ソフテック、西部樹脂㈱、Sumitomo Bakelite (Thailand) Co., Ltd.およびKawasumi Laboratories America, Inc.等を通じて販売しております。
④ その他
試験・研究の受託を子会社の住ベリサーチ㈱が、電子材料分野に係る基礎研究の受託を子会社のPromerus LLCがそれぞれ行っております。
また、工場の跡地等について、土地の賃貸を当社が行っております。
事業の系統図(2023年3月31日現在)

(注) 1 矢印は製品および材料等の支給または販売を示しております。
2 会社名の無印は連結子会社を、※はその他の関係会社を示しております。
(注) 1 「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2 特定子会社に該当します。
3 有価証券報告書を提出しております。
4 「議決権の所有又は被所有割合」欄の(内書)は間接所有割合であります。
5 当社は、住友化学㈱の持分法適用関連会社であります。
6 当社グループのセグメントとは必ずしも一致しない各種化学品の事業を展開しております。
7 上記はIFRSで要求される開示の一部であり、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 30.子会社」で上記を参照しております。
8 SBカワスミ㈱については、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1)売上収益 28,941百万円
(2)営業利益 2,163 〃
(3)当期利益 1,911 〃
(4)資本合計 23,538 〃
(5)資産合計 31,852 〃
(2023年3月31日現在)
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。
(2023年3月31日現在)
(注) 1 従業員数は当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。
2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
1 当社と多くの連結子会社において労働組合が結成されており、その主たるものは、当社の従業員により構成されている住友ベークライト労働組合であります。
2 住友ベークライト労働組合は、情報交換をその活動の中心としている友誼団体である全国化学労働組合総連合(化学総連)に加盟しております。
3 会社と組合は相互の信頼と協調に基づき健全な労使関係を形成しております。
①提出会社
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 パート労働者については、フルタイム労働者の所定労働時間(7時間40分/日)をもとに賃金の換算を行っております。
②連結子会社
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 パート労働者については、フルタイム労働者の所定労働時間(7時間40分/日)をもとに賃金の換算を行っております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
我が社は、信用を重んじ確実を旨とし、事業を通じて社会の進運及び民生の向上に貢献することを期する。
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の影響をはじめとした不確実な状況や、社会・環境の急激な変化にも適応できるよう、これまで以上に経営基盤を強化するとともに、社会課題の変化を成長機会に結びつけることで将来につながるサステナブルな経営を推進するべく、2021年度から3か年の中期経営計画に取り組んでおります。その骨子は、次のとおりであります。
*本中期経営計画の策定時に掲げた最終年度の数値目標(売上収益2,500億円、事業利益250億円、ROE10%)は、ROEを除いて初年度である2021年度において達成することができたため、2022年度に最終年度の数値目標を見直しております。
本中期経営計画の最終年度である2023年度における全社取り組みの詳細については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。事業分野別の取り組みは次のとおりであります。
(半導体関連材料)
将来の市場成長を見据えて中国および台湾の新生産ラインにより生産体制を強化するとともに、先端材料向け製品や環境対応製品などの高機能材料の開発や拡販を進めることで、グローバルシェアのさらなる拡大を目指します。また、モビリティ向け戦略製品の拡販や欧米での現地生産拠点の確立、電動車向け樹脂化電動アクスルの取り組み等を通じて、モビリティ分野において確固たる地位を築きます。
(高機能プラスチック)
グローバルに展開する拠点間の連携により基盤製品のシェア拡大を通じて収益力を向上させ、成長分野であるモビリティ・交通、通信・制御、エネルギー・環境向けの事業強化と、不採算事業の改善により、製品ポートフォリオの変革を加速します。
(クオリティオブライフ関連製品)
・医療機器事業およびバイオ事業
営業効率の向上や製品ラインナップの拡充など、SBカワスミ株式会社との医療機器事業の統合によるグループシナジーの最大化を図るとともに、戦略製品である血管内治療や消化器向け製品のシェア拡大を目指します。バイオ事業では、自社製造の体外診断用医薬品の拡販やパートナー企業との積極的な協業などを通じて、事業規模の拡大を図ります。
・フィルム・シート事業
モノマテリアルやバイオマス材料を使用した環境対応製品の市場投入や食品包装用スキンパックの市場創出など新たな事業領域の開拓を進めるとともに、既存製品の拡販によるシェアアップを通じて、さらなる事業規模の拡大を目指します。
・産業機能性材料事業および防水関連事業
産業機能性材料では、光学制御製品や車載用絶縁材料などの差別化技術を生かした高付加価値製品への注力により、また防水関連では、住宅向けのみならず、大型の一般建築分野向けのビジネスを拡大することで、高収益のビジネスモデルへの転換を図ります。
(1) 当社グループのリスクマネジメント体制
当社グループのリスクマネジメント体制は次のとおりであります。
●リスクマネジメント体制

なお、上記のほか、当社グループは、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりの企業統治体制を整え、リスクマネジメントを含む内部統制システムを整備・運用しております。
当社グループにおける主要リスクの選定・承認は年1回実施しており、そのプロセスは次のとおりであります。
・リスクマネジメント委員会は、各事業部門・個別リスク主管部の統轄役員から 「主要リスク抽出質問票」(リスクの内容と当該リスクが顕在化した場合の影響、発生可能性、影響度、現状とっている主な対応について、事業部門・個別リスク主管部としての評価を記入)の回答を収集。また、社長からのヒアリングを実施。
・「主要リスク抽出質問票」で抽出されたリスクについて、影響度と発生可能性を掛けあわせて算出したリスク値が高いものを主要リスク候補として、リスクマネジメント委員会にてリスクマップの作成、主要リスクの選定・承認、主要リスクに対する次年度の対応計画への反映を実施。
・サステナビリティ推進委員会は、選定された主要リスクおよび主要リスクに対する対応計画を承認し、取締役会に報告。
●主要リスクの選定・承認フロー

(2) 主要リスクの内容と顕在化した際の影響、主要リスクへの対応策
本報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要リスクには、下記のものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、「第2 事業の状況」の他の項目、「第5 経理の状況」の各注記、その他においても個々に記載しておりますので、併せてご参照ください。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当期の経済環境は、ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰とそれらに伴う物価全般の上昇、中国における新型コロナウイルスの感染者増加による景況悪化、コロナ禍からの回復過程により生じた巣ごもり関連需要の終了など激しい変化がみられました。また為替相場は昨年後半に記録的な円安・ドル高となるなど、期を通じて円安傾向が続きました。
このような情勢のもと、当社グループの売上収益は、円安為替評価による海外売上の増加に加え、原料価格上昇に対応して製品価格改定を行った結果、前期と比べ8.3%増(以下の比率はこれに同じ)の2,849億39百万円となりました。損益につきましては、半導体関連材料および高機能プラスチック製品の市況悪化に加え、海外拠点での人手不足を背景とする人件費増加、エネルギーコストの高騰などにより、事業利益は、3.9%減の254億48百万円、営業利益は、0.3%減の248億23百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、受取利息・受取配当金の増加等により10.9%増の202億89百万円(過去最高益)となりました。
ROEにつきましては、分子である親会社の所有者に帰属する当期利益が前期と比べ増加したものの、為替変動の影響により分母である親会社の所有者に帰属する持分の増加額が上回った結果、0.1%減の8.4%となりました。
(セグメント別販売状況)
① 半導体関連材料
[売上収益 79,540百万円(前期比 5.0%増)、事業利益 15,323百万円(同 7.2%減)]
半導体関連材料は主力の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料が、前年度好調だったパソコンやスマートフォンなど民生向けの需要が、巣ごもり需要終了の影響等により冷え込み、在庫調整局面が長期化していることから販売数量が減少しました。売上収益については原料価格上昇に伴う価格改定と円安影響により増加しましたが、事業利益はコスト削減の取り組みにもかかわらず販売数量減少の影響が大きく前期比減益となりました。
感光性ウェハーコート用液状樹脂は、主要用途であるメモリー需要が堅調に推移しており、販売数量、売上収益ともに前期並みで推移しました。
半導体用ダイボンディングペーストは、民生用途の需要減少、顧客での在庫調整が長期化し、販売数量、売上収益は前期を下回りました。
半導体パッケージ基板材料「LαZ®」シリーズは、中国市場のスマートフォン需要低迷が長期化しており売上収益が減少しました。
② 高機能プラスチック
[売上収益 102,351百万円(前期比 11.0%増)、事業利益 4,637百万円(同 21.9%減)]
高機能プラスチックは、主力の工業用フェノール樹脂およびフェノール樹脂成形材料が、中国での新型コロナウイルス感染者数増加による生産・消費活動の停滞影響で国内・アジア地域の販売数量が大幅に減少しました。製品価格の改定、北米の経済環境改善等による売上収益の押上げ要因はありましたが、主力のアジア地域での販売数量減少分をカバーできず事業利益は前期を大きく下回りました。
銅張積層板は、エアコン用、LED照明用基板の販売が好調に推移してきましたが、年明け以降、顧客での在庫調整局面に入ったことにより売上収益は前期比で横ばいでした。
航空機内装部品は、航空産業の事業環境改善を背景に売上収益が大幅に増加し、収益力も生産合理化や製品価格改定で改善しました。
③ クオリティオブライフ関連製品
[売上収益 102,273百万円(前期比 8.3%増)、事業利益 9,210百万円(同 24.0%増)]
クオリティオブライフ関連製品は医療機器製品、ビニル樹脂シートおよび複合シートの販売が好調に推移しており、過去最高の売上収益、事業利益となりました。
医療機器製品は、北米向けの採血キット、アジア向けの血液バッグなど輸出販売が好調なことに加え、北米の医療機器製造子会社の業績も好調なことから、売上収益は大幅に増加しました。
バイオ関連製品は、高付加価値品の販売に注力しましたが、国内向け一般品の販売が減少したこともあり売上収益は前期並みでした。
ビニル樹脂シートおよび複合シートは、産業用途が半導体市況の悪化、スマートフォンの販売減などの影響を受けて販売数量が減少しましたが、医薬品包装用途はジェネリック医薬品向けを中心に好調を持続し、食品包装用途も堅調に推移したことから売上収益は前期比で大幅に増加しました。
ポリカーボネート樹脂板および塩化ビニル樹脂板は、原料価格上昇等に対応して製品価格改定を進めて収益力改善に努めてきましたが、サングラス用の偏光板用途で需要回復が遅れており、売上収益は前期比で横ばいでした。
防水関連製品は、新築住宅向け屋根防水工事を中心に需要が回復基調で売上収益は増加しました。
①資産の部
資産合計は、前連結会計年度末に比べ76億21百万円増加し、3,784億57百万円となりました。
主な増減は、現金及び現金同等物の減少と、棚卸資産および有形固定資産の増加であります。
②負債の部
負債合計は、前連結会計年度末に比べ179億35百万円減少し、1,207億66百万円となりました。
主な増減は、コマーシャル・ペーパーの償還による減少であります。
③資本の部
資本合計は、前連結会計年度末に比べ255億56百万円増加し、2,576億92百万円となりました。
主な増減は、当期利益の計上および為替変動影響による増加と、配当金の支払による減少であります。
当連結会計年度末の現金および現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末に比べ95億97百万円減少し、996億20百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は236億18百万円となりました。
これは主に、税引前利益および減価償却費による収入と、営業債務の減少による支出の結果であります。前期と比べると43億2百万円の収入の減少となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動に用いた資金は156億48百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出の結果であります。前期と比べると51億80百万円の支出の増加となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動に用いた資金は229億54百万円となりました。
これは主に、コマーシャル・ペーパーの償還による支出と、配当金の支払による支出の結果であります。前期と比べると36億46百万円の支出の増加となりました。
①財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、健全かつ安定した財務基盤の維持を前提に、資産効率の向上を図り、事業活動の成長と拡大のための投資を継続的に行い、安定かつ継続的に株主還元を行うことを財務戦略の基本方針としております。
財務基盤に関しては、親会社所有者帰属持分比率は65%を超え、ネットキャッシュは500億円超のプラスという状況で、安定した水準を維持しております。引き続き財務体質の改善、信用力向上のための取組みに努めてまいります。また、資産効率に関しては、以下の施策をこれまで以上に強力に推進してまいります。
・収益性向上による営業キャッシュ・フロー確保のため、低採算・不採算事業の撲滅改善、製造原価の低減に加え、開発効率の向上や間接業務の効率化等の費用削減。
・資産のスリム化のため、売掛債権の回収促進、棚卸資産の適正水準や滞留の管理強化、政策保有株式の適宜見直し、不要・遊休資産の処分・売却の徹底、グローバルおよびリージョナルファイナンスによるグループ内資金の効率的な活用。
また、当社グループ事業の成長と拡大のための研究開発および設備投資、さらなる成長スピードを加速させるためのM&A、DX等の戦略的な投資を積極的に実施してまいります。自己資金や外部から借り入れた資金をこれらの投資に配分しますが、様々なリスクに見合った財務健全性の確保と、適正な財務レバレッジコントロールの観点から、適切な負債・資本のバランスとして親会社所有者帰属持分比率は最低50%を維持してまいります。さらに株主還元では配当性向30%を目安に、連結業績に応じて安定した配当を継続して実施してまいります。
②資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、生産効率および品質の維持向上、生産能力増強を目的とした設備投資等の長期の資金需要と、製品製造のための原材料および部品の購入費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要のほか、M&A、DX等の戦略的投資のための需要があります。
③資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金および外部資金を有効に活用しております。
資金調達にあたっては、様々な手段の中から、その時々の市場環境も考慮したうえで、当社グループにとって最適かつ有利な手段を機動的に選択しております。
当社グループは、主要な取引先金融機関との間で長年にわたり良好な関係を維持しており、長期借入金、短期借入金、シンジケートローン等による資金調達のほか、緊急時の手元流動性と資金調達枠の確保を目的として、取引先金融機関との間に短期借入金枠およびコミットメントラインを設定しております。さらに金融市場からの安定的な資金調達能力の維持向上に努め、国内2社の格付機関から格付けを取得し、コマーシャル・ペーパーの発行による資金調達も行っております。
これらにより運転資金および設備資金に加え、戦略的な投資に対しても十分な流動性が確保でき、機動的かつ円滑な資金調達が可能となっております。
(5) 生産、受注および販売の実績
①生産実績および受注実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産を行わないため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の実績については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (セグメント別販売状況)」に関連付けて示しております。
②販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当社グループは、売上収益、事業利益、ROEを業績目標の指標に設定しております。
中期経営計画で掲げた最終年度(2023年度)の数値目標は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境および対処すべき課題」および「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」に、各指標の当連結会計年度における達成状況については「(1) 当期の経営成績の状況」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
(2023年3月31日現在)
(2023年3月31日現在)
(2023年3月31日現在)
(注) 1 帳簿価額は、提出会社および国内子会社は日本基準に基づく個別財務諸表の帳簿価額を、在外子会社はIFRSに基づく金額を記載しております。
2 帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含めておりません。
3 連結会社以外へ賃貸中の建物及び構築物119百万円、土地475百万円(111,384㎡)を含んでおります。
4 賃借している土地の面積は[ ]で外書きしております。
5 秋田住友ベーク㈱は提出会社より土地及び建物の一部を賃借しております。
6 SBカワスミ㈱は提出会社より建物の一部を賃借しております。
7 Sumitomo Bakelite Singapore Pte. Ltd.、SNC Industrial Laminates Sdn. Bhd.、蘇州住友電木有限公司および南通住友電木有限公司は連結会社以外から土地を賃借しております。
8 Durez CorporationおよびVaupell Holdings, Inc.は土地の一部を連結会社以外から賃借しております。
9 提出会社のうち本社には、秋田地区の土地(260,619㎡)、九州地区の土地(48,300㎡)、奈良地区の土地(20,353㎡)、川崎地区(旧川崎工場用地)の土地(11,819㎡)等を含めております。
10 現在休止中の主要な設備はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 2018年6月22日開催の第127期定時株主総会において、株式併合に関する議案(5株を1株に併合し、発行可能株式総数を8億株から1億6千万株に変更)が承認可決されたため、同年10月1日をもって、当社の発行済株式総数は198,361,916株減少し、49,590,478株となっております。
(2023年3月31日現在)
(注) 1 自己株式2,535,917株は「個人その他」に25,359単元および「単元未満株式の状況」に17株含めて記載しております。
2 上記「その他の法人」の中に1単元、「単元未満株式の状況」の中に22株、証券保管振替機構名義の株式が含まれております。
(2023年3月31日現在)
(注) 2022年12月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、野村アセットマネジメント株式会社が2022年11月30日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。