クミアイ化学工業株式会社
(1) 連結経営指標等
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2 従業員数は就業人員であります。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第74期の期首から適用しており、第74期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(2) 提出会社の経営指標等
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2 従業員数は就業人員であります。
3 第70期の1株当たり配当額には、創立70周年記念配当2円を含んでおります。
4 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日までは東京証券取引所市場第一部、2022年4月4日以降の株価は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
5 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第74期の期首から適用しており、第74期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループの事業に係る位置づけ及びセグメント情報との関連は次のとおりであります。
[農薬及び農業関連事業]
当社は殺虫剤、殺菌剤、除草剤等の農薬を製造し、農協の全国組織であります全国農業協同組合連合会を通じて国内に販売しております。製品の一部は連結子会社の尾道クミカ工業株式会社に生産委託しております。
ゴルフ場等の農耕地以外で使用される薬剤等につきましては、連結子会社の株式会社理研グリーン、連結子会社の良地産業株式会社、連結子会社の浅田商事株式会社を通じて国内の需要先に販売しております。
農薬原材料は、連結子会社のイハラニッケイ化学工業株式会社及び連結子会社のケイ・アイ化成株式会社ならびに持分法適用関連会社の上海群力化工有限公司より購入しております。
海外販売につきましては、当社の海外営業部が販売活動をする一方、連結子会社のK-I CHEMICAL U.S.A. INC.(米国)、連結子会社のK-I CHEMICAL EUROPE SA/NV(ベルギー)及び連結子会社のPI Kumiai Private Ltd.(インド)ならびに持分法適用関連会社のT.J.C. CHEMICAL CO., LTD.(タイ)及び持分法適用関連会社のIHARABRAS S.A. INDUSTRIAS QUIMICAS(ブラジル)がそれぞれの担当地域で販売を行っております。
[化成品事業]
当社はクロロトルエン・クロロキシレン系化学品、精密化学品、産業薬品等を製造し販売しております。
クロロトルエン・クロロキシレン系化学品につきましては、連結子会社のイハラニッケイ化学工業株式会社が製造、販売しております。
精密化学品につきましては、医薬中間体、ウレタン用架橋剤、ポリウレア樹脂原料等のアミン類、樹脂原料を製造、販売しております。当社が製造、販売するほか、連結子会社のイハラニッケイ化学工業株式会社及び連結子会社のケイ・アイ化成株式会社が製造、販売しております。
産業薬品につきましては、産業用薬剤、環境衛生薬剤、医療用殺菌剤原体等の製造、販売をしております。連結子会社のケイ・アイ化成株式会社が製造、販売しております。また、連結子会社の株式会社理研グリーンが販売しております。
海外販売につきましては、連結子会社のK-I CHEMICAL U.S.A. INC.(米国)及び連結子会社のIharanikkei Chemical(Thailand)Co., Ltd.(タイ)が行っております。
連結子会社のイハラ建成工業株式会社が発泡スチロール製造業を営んでおります。
[その他]
当社は不動産賃貸事業ならびに発電及び売電を行っております。
連結子会社の株式会社理研グリーンが建設業、連結子会社のケイ・アイ化成株式会社がバイオ関連事業、連結子会社のイハラ建成工業株式会社が建設業及び不動産業、連結子会社の良地産業株式会社が食品添加物事業、連結子会社の日本印刷工業株式会社が印刷事業、連結子会社の株式会社クミカ物流が物流事業、連結子会社のケイアイ情報システム株式会社が情報サービス業、連結子会社のK-I CHEMICAL DO BRASIL LTDA.(ブラジル)が受託事業をそれぞれ営んでおります。
事業の系統図は次のとおりであります。

(1)連結子会社
(2)持分法適用関連会社
(3)その他の関係会社
(注) 1 特定子会社であります。
2 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
3 持分は100分の50でありますが、実質的に支配しているため子会社にしたものです。
2022年10月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であります。
2.従業員数の(外書)は、契約/臨時従業員の当連結会計年度の平均雇用人員であります。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
2022年10月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であります。
2.従業員数の(外書)は、契約/臨時従業員の当事業年度の平均雇用人員であります。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
当社の労働組合はクミアイ化学工業労働組合と称し、加入者は 569 名で上部団体には加入しておりません。労使関係は相互信頼関係を基盤として、きわめて健全であり、各種の労働条件の交渉は中央労使協議会において円満に解決されております。
連結子会社におきましては、日本印刷工業株式会社に、日本印刷工業労働組合(加入者数: 60名)があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創立当初より安全で環境負荷の少ない農薬の開発に傾注し、国産第1号農薬の開発・製品化以来、国内のみならず、世界各地で自社開発品を中心とした製品の普及を進め、「いのちと自然」を守り育てることをテーマに、世界規模での農作物の生産性向上に貢献できるよう取り組んでおります。
当社グループは、事業の中核をなす農薬の研究開発を根幹として、効率的な経営資源の投入を図ります。また、生産、物流、販売の連携を図り、収益本位の経営に徹底し、売上、利益の確保、増大ができる企業体質を確立することを経営の基本方針としております。
今後も持続的な成長を続け、収益力の一層の強化を目指し、企業価値の向上につなげていくため、当社グループは、「売上高」、「営業利益」ならびに株主資本及び総資本の運用効率を示す指標である「自己資本利益率(ROE)」等を重要な指標として認識しております。
中期経営計画における2022年10月期の目標は、売上高118,700百万円、営業利益7,700百万円、自己資本利益率(ROE)6.5%と設定しております。
農薬を取り巻く環境に関しては、新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延の影響の長期化および地政学的な混乱に加え、燃料費の高騰の影響を受けた一方で、80億人を突破した世界人口が今後も増加すると考えられ、中長期的には市場が拡大すると予想されております。
国内では、農業従事者の高齢化・人手不足に加え、記録的円安の影響を受け、厳しい状況で推移しました。このような情勢の中、みどりの食料システム法が2022年7月に施行され、環境負荷低減や労働生産性向上に向けた取り組みが活発化しております。
新型コロナウイルス感染症の完全な終焉が見えない中、原材料価格の高騰や急激な為替相場の変動もあり、依然として先行き不透明な状況であり、今後の動向に注視する必要があります。
新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延の影響が長期化する中、原材料価格の高騰や急激な為替相場の変動などに加え、中国政府による新型コロナウイルス感染症防止対策やウクライナ情勢の長期化もあり、依然として先行きは不透明な状況が続くことが予想されます。
当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、世界の人口増加に伴う食料需要の増加や穀物価格の上昇などを背景として今後も拡大するものと考えられますが、上記のような不透明な状況や国内外における農業を取り巻く環境変化を背景に一層厳しさを増しております。
このような状況において当社グループでは、20~30年後のあるべき姿を視野に入れて策定した中期経営計画「Create the Future ~新たな可能性へのチャレンジ~」(2021年度~2023年度)を実行していくことで、企業価値の向上に努めてまいります。
また、クミアイ化学グル-プ企業基本理念のもと、2021年11月1日付で制定した「サステナビリティ基本方針」ならびに、その下に種々のESG課題に対処するため制定した10の基本方針に基づき、サステナビリティ経営を推進いたします。コア事業である農薬及び農業関連事業では、日本政府が策定した持続可能な食料システムの構築を目指す「みどりの食料システム戦略」への対応を進めてまいります。また、化成品事業では、人々の生活を安全に、そして豊かにする材料の供給を通じて社会への貢献を図ってまいります。
国内販売部門では、水稲用除草剤の「エフィーダ剤」及び「ベンスルフロンメチル剤」の新規混合剤の販売開始により更なる普及基盤の拡大を目指し、水稲一発処理除草剤市場におけるシェア1位の維持を図ってまいります。また、水稲用殺菌剤の「ディザルタ剤」は製品ラインナップの拡大を図るとともに、「担い手直送規格」の活用により、拡販を進めてまいります。
園芸剤分野では「アクシーブ剤」、「ピリベンカルブ剤」等の自社原体含有剤を重点剤として推進活動を展開するとともに、製品ポートフォリオの拡充に取り組んでまいります。
さらに、生物農薬等の環境負荷低減剤の普及、販売への取組みを進めるほか、省力化製剤である「豆つぶ剤」の散布にドローン等を活用することにより、スマート農業への対応を進めてまいります。
海外販売部門におきましては、事業の中核をなす「アクシーブ剤」について米国、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチン等の主要市場での需要の増加に応え、更なる販売拡大を図ります。加えて、これら主要国での販促支援、現地販社による混合剤開発支援及び適用拡大を進めるとともにその他の国での開発を推進することで、更なる販売拡大を進めてまいります。「エフィーダ剤」の韓国での販売拡大、及びその他アジア、欧米諸国での開発、販売や、「ディザルタ剤」の韓国における上市、販売推進を行います。
今後も自社開発剤をはじめとする製品ポートフォリオの拡充や、販売ルートの多様性を確保し、積極的な海外展開を図ってまいります。
特販部門におきましては、自社農薬製剤技術の有効活用、「エフィーダ剤」、「ベンスルフロンメチル剤」等の自社原体含有剤の売上・利益の最大化を図るとともに、製品ポートフォリオの拡充を図り、事業領域の拡大を進めてまいります。また、新製品販売の立上や自社原体を他社メーカーに向けさらに導出するべく、販売ルートの多様性確保を図ってまいります。
化成品事業におきましては、世界的に旺盛な需要が続いているアラミド繊維原料となるクロロキシレン系化学品の更なる成長への展開と、ビスマレイミド・アミン硬化剤・産業用薬品・発泡スチロール類等の拡販、受託製造ビジネスの拡大により売上・利益の最大化に努めます。また、グループ化成品事業の連携強化と推進による高付加価値な新規ビジネスの創出により、化成品事業領域の拡大を図ってまいります。
その他におきましては、建設業は、新規受注に向けた情報収集の強化及び働き方改革に取り組むとともに、廃棄物の削減、リサイクル率向上による環境負荷低減を目指してまいります。印刷事業では、差別化品目の立案・提案による販売手法の開拓や販売ルートの多様性確保に努めてまいります。物流事業では、「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、生産性の高い物流と働き方改革の実現に向け、取引先や物流業者等の関係者との相互理解と協力のもとで、物流の改善と輸送の効率化を図ってまいります。
生産資材部門におきましては、原油やナフサ価格の上昇を受け原材料及びエネルギー価格が高値で推移することが想定されますが、原体・製剤の効率的生産、製造条件改善による原価低減に取り組みます。また、安全操業による安定供給体制を維持するとともに、環境負荷に配慮した資材の検討や温室効果ガス排出削減を進めてまいります。調達に関しては、引き続きサプライチェーンの安定化やCSR調達に取り組んでまいります。
研究開発部門におきましては、食料生産を支える独創的な農薬原体の創製を加速するとともに、「微生物農薬」、「バイオスティミュラント」等の開発により「みどりの食料システム戦略」、EUの「Farm to Fork戦略」にも対応した、環境にやさしく自然と調和した新たな製品の創出へ取り組んでまいります。新規殺ダニ剤「フルペンチオフェノックス」と、果樹やバラの根頭がん腫病防除用の微生物農薬「エコアーク」の農薬登録取得に向けた準備を進めています。
農薬事業の中核をなす「アクシーブ」や「エフィーダ」等の最大化を目指し、グローバルでの製品開発を継続するとともに、原体製造の最適化による利益性改善も進めてまいります。また、5Gの通信技術に必要な素材をはじめとした豊かな社会の実現に貢献する化成品の開発にも取り組んでいます。
2023年春に竣工予定である新化学研究所(名称:Shimizu Innovation Park、略称:ShIP)に静岡県内の化学系研究3拠点を統合することにより、新農薬創製研究や化成品研究のスピードアップを図るとともに、気候変動リスクを低減する技術の開発など、研究領域を拡大してまいります。
サステナビリティ経営におきましては、気候変動・環境負荷の低減のため、当社グループの温室効果ガス排出量を2030年度に2019年度比30%減とすることを目標に取り組んでまいります。また、農薬事業を通して世界の食料安全保障に貢献することに加え、環境保全型農薬、先進的な農業生産資材の開発、供給により持続可能な農業の実現を目指してまいります。
コーポレートガバナンスにおきましては、年次有給休暇取得率の向上や平均時間外労働時間の低減等により、より望ましいワークライフバランスを推進してまいります。さらに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進し、外国籍の社員の採用、課長職以上の女性社員の割合及び男性の育児休業取得率の向上等を進めてまいります。
社会貢献活動におきましては、「企業の存在意義は社会貢献にある」のビジョンの下で引き続き積極的に取り組んでおります。宮城県の海岸防災林再生に貢献することを目的とした「どんぐりプロジェクトⓇ」は、2022年度に10年目を迎えました。さらに北海道福島町及び福島町森林組合ならびに当社は、自然豊かな町“福島町”の豊かな未来に向けて、農業関連技術等の提供を通じ、持続可能な社会への貢献をはじめとした取り組みを推進すべく、包括連携協定を2022年7月に締結しました。
また、一般消費者の皆さまにも農薬に対する正しい知識や農業への理解を深めていただくために、当社で作成した「お米をまもるはなし」の冊子配布や、小学生高学年を対象とした出前授業等を行っております。さらに、「学生懸賞論文」の募集も第11回となり学生の皆様から意欲的な論文を応募いただいております。これらの活動を継続するとともに、今後も当社は様々な社会貢献を行ってまいります。
2023年10月期は、当社グループの中期経営計画の最終年度であり、「スピード、コスト、イノベーション 100年企業を目指した飽くなき挑戦」のスローガンのもと、引き続き経営基本方針にある「社会の持続的発展に貢献できる企業集団」の実現を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。リスク管理については、クミアイ化学グループリスク管理に関する基本方針の下、代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会において、リスクの網羅性の確認・評価、リスク管理に関する施策の立案等を行っております。また、サステナビリティ推進委員会では、気候変動や労働安全などの課題への取り組みも進めております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅したものではありません。
(1) 農業及び農業関連事業領域におけるリスク
①国内における事業活動
当社グループは、事業環境の定期的な見直しと市場動向の把握に努めて事業活動を行っておりますが、当社グループの主要な製品である農薬の需要は様々な外部環境要因による影響を受けます。天候や自然環境の影響、病害虫や雑草の薬剤耐性・抵抗性の発達、開発段階では予期できなかった農作物への薬害発生、農作物の価格低迷等による農薬需要の減少、新規他社製品との競合、法規制の強化や事故等による製品製造中止や欠品の発生、自然災害に伴う翌年度以降の耕作面積の減少等により、予想を上回る需要減が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、農薬の再評価(全ての既存登録農薬に対して、定期的に最新の科学的知見を基に、国がその安全性を定期的に確認する制度)では、将来の製品の経済性評価、追加の安全性データ作成のための投資判断が必要となります。取扱い製品で他社から原体の供給を受けるものがあり、それら原体の再評価の際に農薬登録が維持されず、原体供給が停止となった場合には売上高が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②海外における事業活動
当社グループは、海外での事業活動をさらに拡大していく方針でありますが、それぞれの国での法令や規制、政治、経済、農業情勢、各地域における異常気象等による病害虫の発生量、農作物価格や作付面積の変動等により、事業活動に影響を受ける可能性があります。当社グループの海外売上高は5割以上を占め、特に米国市場での販売が多い状況にあることから、当該市場の経済情勢の悪化、農作物の価格下落による農薬需要の減少や販売価格の値下げ要求が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
国家間の貿易協定の失効、優遇税制の適用除外、輸出入に関する経済政策の変更、国家間の対立や交渉等により、輸出入に係る関税が引き上げられるリスクがあります。これによりコストが上昇し、販売価格に転嫁せざるを得ない場合には、市場での価格競争力の低下により販売数量が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主力製品である畑作除草剤「アクシーブ」は、他社除草剤では防除が難しい抵抗性雑草に対して有効という性能面での優位性により販売が拡大しておりますが、世界的な農薬市場の激しい競争のなか、「アクシーブ」のシェア低下や強力な競合製品の登場による販売減が起きた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
農薬では医薬品と同様に、物質特許期間満了後にジェネリック品が市場に参入してくることがあります。当社グループは、当社製品のジェネリック品に優位を保つため、製品付加価値の向上やコスト低減に努めておりますが、価格競争を克服できない場合には、売上高が減少する可能性があります。
また、当社グループは、農業情勢や市場解析を進めるとともに、需要予測精度の向上に努めておりますが、需要予測に反する状況に至り、その影響を受ける場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 化成品事業領域におけるリスク
当社グループの化成品は、多くが中間素材の原材料であることから、末端製品の需要や在庫状況の影響を受けます。また、中間素材や末端製品の仕様変更やニーズの変化への対応が遅れた場合には、販売数量が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
化成品の製造は、当社グループの自社工場だけでなく、他社に製造委託をしております。委託先の工場において、予期しない故障・事故等により生産に影響が生じたり、環境や生命に損害を与えた場合には、当社グループの販売の機会損失や補償等が発生する可能性があります。
(3) 新製品の開発に関するリスク
当社グループの主要な製品である農薬は、各国の法令の下、登録制度による規制がなされ、薬効・薬害、人畜に対する安全性、環境影響等に関する所定の試験成績を提出して厳しい審査を受けて農薬登録を取得する必要があります。新規有望化合物の探索研究から新農薬の製品化までには、人的資源をはじめとして、多額の研究開発経費を必要とし、長期間に亘り各種試験研究を実施することが必要になります。開発段階から多くの試験を重ねて鋭意検討しておりますが、登録に必要な試験の結果、期待通りの有効性が得られない場合や安全性等に疑義が生じた場合には、開発を中止または対象作物や対象病害虫等を制限することも想定され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、各国の法規制の改正で販売機会を逸する場合や開発期間中の市場の環境変化、技術水準の進歩、競合製品の開発状況等により開発の成否、将来の成長と収益性に影響を受ける場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自社開発原体や独自製剤技術を活用する研究開発型企業ですが、顧客ニーズを満足させる新製品を有効に開発できなかった場合には、将来の成長と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 為替変動に関するリスク
当社グループの海外売上高比率は高く、さらに、海外に連結子会社6社を有しております。為替予約や輸出入における売上と仕入の通貨を統一すること等によりリスクの低減を図っておりますが、急激な為替レートの変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、農薬原体を含む原材料を輸入しているため、為替変動は調達コストに影響を及ぼす可能性があります。
海外子会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されていることから、換算時の為替レートにより、円換算後の計上額が影響を受ける可能性があります。
(5) 法令等の変更に関するリスク
当社グループは、コンプライアンスに対するステークホルダーからの要求が多様化・高度化するなか、コンプライアンスに基盤を置いた企業文化の醸成が必須であると考えております。そのため、役職員に対する定期的なコンプライアンス意識調査を実施し、その結果に基づく課題を反映させながら、実効性のあるコンプライアンス啓発活動に努めております。
当社グループは、化学物質の取扱いに関する国内外の法令による規制を受けております。環境問題に関する世界的な意識の高まりなどから、化学製品に対する規制は強化される傾向にあります。将来において環境に関する規制が予想を超えて厳しくなり、新たに多額の対策コストが必要になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 製品の品質に関するリスク
当社グループは、各工場の品質マネジメントシステムのもと、品質保証体制の充実に努め、原料調達管理及び製造・品質管理に万全を期しておりますが、品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期しない品質の欠陥、瑕疵、偶発的なトラブル等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。製造物責任に基づく損害賠償に関しては、保険付保で万一に備えておりますが、賠償額を十分にカバーできない可能性があります。
(7) 生産・原料調達に関するリスク
当社グループは、代替調達先の確保に努めておりますが、海外からの輸入に頼る原材料や、製造技術のノウハウや製造コスト面から原材料の一部に調達先が限定されている原材料があります。当該調達先が生産設備の故障・事故や所在国の法規制等の理由により供給契約の履行ができない場合には、必要な原材料が確保できず、製造が遅延・停止し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、生産拠点の分散化やグローバル展開に対応する生産体制の強化を進めておりますが、予想を上回る需要増等により、製品の安定供給に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の拡大やロシア・ウクライナ情勢等により海上・航空輸送の混乱や輸送費の高騰が想定を上回る場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが調達を行う国・地域において、テロ・戦争等による政治・経済・社会的混乱、施策や法令の変更、国際貿易摩擦、文化や慣習の違いに起因するトラブルの発生等の地政学リスクが顕在化しております。ロシア・ウクライナ情勢を巡る当社グループへの影響は現時点では軽微と考えますが、状況を引き続き注視し、適切に対応してまいります。また、最近では、中国政府による新型コロナウイルス感染症防止対策の動向や脱炭素政策等の影響に伴う深刻な電力不足の影響等により、原材料が確保できず、当社グループでの製造が遅延・停止するリスクや予想を上回る原材料コストの増加が利益を圧迫するリスクがあります。このような影響で、当社グループや調達先の事業活動が制限を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの生産設備では、安全確保のため定期的な保守・点検を行っております。しかしながら、予期しない故障・事故等により生産が一時的に減産・遅延・停止した場合や役職員や周辺地域に大きな被害や環境汚染等が発生した場合には、当社グループの製品販売の機会損失や社会的信用の失墜等が発生する可能性があります。また、生産再開に長時間を要する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 減損会計適用に関するリスク
当社グループの事業資産の価値が大幅に下落した場合、あるいは収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合、減損処理を行うことにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 知的財産に関するリスク
当社グループは、保有する知的財産権を厳正に管理しておりますが、一部の国では知的財産権が完全には保護されておらず、第三者による侵害を防止できない場合には、当社グループの製品の売上収益が減少する可能性があります。また、予期しない事態により技術情報・ノウハウが漏洩し、第三者が類似製品を製造・販売する可能性があります。
さらに、他社の知的財産権を十分に調査・解析した上で事業活動を行っておりますが、他社から知的財産への抵触を訴えられた場合には、製品の製造・販売等の差し止めや損害賠償金等が発生して、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、農薬の研究開発では、有効性や安全性の確認のための開発期間が長期にわたることから、販売開始に至るまでの間に物質特許の残続期間が短くなる場合があります。当社グループの主力製品である「アクシーブ」の物質特許がいくつかの国で満了したため、他社のジェネリック品が参入して売上が減少し、自社の他製品等の売上増加で補填できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業活動を行ううえで、顧客及び取引先、株主、役職員等のすべての個人情報及び研究開発、生産などに関する機密情報の適切な管理に努めております。また、事業活動に関わる情報を財産と考え、継続的に情報セキュリティ体制の構築・強化を図っております。しかしながら、想定を超えるサイバー攻撃やその他の不測の事態による情報セキュリティ事故、地震等の自然災害の発生による情報システムの停止または一時的な混乱に伴う事業への影響が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、各国の個人情報・データ保護法の制改定や運用の強化が行われるなか、事業運営において違反が発生した場合には、社会的信頼を喪失し、事業が行えなくなったり、多額の罰金が課されたりする可能性があります。
(11) 気候変動に関するリスク
気候変動の緩和のため温室効果ガス(GHG)の排出規制や脱炭素社会に向けた動きが加速するなか、各国の法規制の強化に伴うエネルギー価格の上昇や炭素税導入、GHG排出削減のための追加設備投資などの影響により事業コストが増加する可能性があります。また、気候変動の影響により農耕地面積や農産物の収穫量が減少した場合には、農薬需要が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、気候変動の緩和のための対応策を実施し情報開示を推進します。
(12) 自然災害・感染症に関するリスク
当社グループは、防災管理体制を整備し事業継続計画(BCP)を策定していますが、当社グループの重要な製品である農薬は製造場所の登録が必要になるため、突発的な地震等の自然災害や感染症が発生した場合には、緊急に代替生産場所を確保することが難しく、生産・供給が一時的に停止する可能性があります。
最近の自然災害の大規模化や感染症の発生等を考慮した場合、想定していない規模の災害や感染症の拡大に伴って、広域での社会機能の停止、事業活動の停止や事業所等の閉鎖、サプライチェーンの分断等が起こる可能性があります。当社グループは、本社・工場の施設・設備の利用不能対応BCP、役職員の出社困難対応BCPに加え、役職員の安否確認システムを運用する等、有事への備えに努めておりますが、万一想定を超える災害等が発生し、生産・販売活動等において甚大な影響を受ける場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
世界経済に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症に関しては、役職員の出社困難対応BCPに則り、代表取締役社長を本部長としてパンデミック対策本部を立ち上げ、当社グループ役職員の健康と安全の確保を最優先に、在宅勤務や時差出勤等の感染防止対策に取り組んでおります。ワクチンの職域接種、副反応に対応するための特別休暇の導入等も実施し、業績への影響が最小限となるように努めております。
現時点では新型コロナウイルス感染症が2023年10月期の決算に与える影響度合いを想定することは困難でありますが、今後の感染拡大の経過によっては、サプライチェーンの停滞・寸断や当社グループ及び取引先の事業活動の制限等による影響により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローならびに財政状態(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の様相が重症化率の低下に向かうなどにより、経済活動の制限から抜け出しつつあることから、持ち直しを見せております。景気の先行きは、回復基調を維持するものと予測されますが、原材料価格の高騰や急激な為替相場の変動などに加え、中国政府による新型コロナウイルス感染症防止対策の動向やウクライナ情勢の長期化もあり、依然として不透明な状況は続くと考えられます。
このような情勢の下、当社グループにおきましては、企業価値の向上に向け、中期経営計画「Create the Future ~新たな可能性へのチャレンジ~」(2021年10月期~2023年10月期)にて策定した重点施策の遂行に全力で取り組んでまいりました。
この結果、売上高は、145,302百万円となり、前連結会計年度と比べて27,127百万円(23.0%)の増加となりました。
また、利益面では、次のとおりとなりました。
営業利益は、12,673百万円となり、前連結会計年度と比べて4,217百万円(49.9%)の増加となりました。経常利益は、23,570百万円となり、前連結会計年度と比べて10,742百万円(83.7%)の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、16,329百万円となり、前連結会計年度と比べて7,307百万円(81.0%)の増加となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
1)農薬及び農業関連事業
農薬及び農業関連事業の売上高は112,430百万円となり、前連結会計年度と比べて23,279百万円(26.1%)の増加となりました。営業利益は13,065百万円となり、前連結会計年度と比べて4,716百万円(56.5%)の増加となりました。
2)化成品事業
化成品事業の売上高は25,004百万円となり、前連結会計年度と比べて4,344百万円(21.0%)の増加となりました。営業利益は900百万円となり、前連結会計年度と比べて12百万円(1.4%)の増加となりました。
その他全体の売上高は7,869百万円となり、前連結会計年度と比べて497百万円(5.9%)の減少となりました。営業利益は637百万円となり、前連結会計年度と比べて231百万円(26.6%)の減少となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は204,604百万円で、前連結会計年度末と比べ35,433百万円の増加となりました。流動資産が27,633百万円増加し、固定資産が7,800百万円増加しました。流動資産の増加は受取手形、売掛金及び契約資産ならびに商品及び製品の増加等によるもの、固定資産の増加は建設仮勘定ならびに投資有価証券の増加等によるものです。
負債は82,609百万円で、前連結会計年度末と比べ23,391百万円の増加となりました。流動負債が27,238百万円増加し、固定負債が3,847百万円減少しました。流動負債の増加は支払手形及び買掛金ならびに短期借入金の増加等によるもので、固定負債の減少は長期借入金の減少等によるものです。
純資産は121,995百万円で、前連結会計年度末と比べ12,041百万円の増加となりました。
この結果、自己資本比率は56.4%、1株当たり純資産額は960円96銭となりました。
③キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,159百万円の減少(前年同期は4,478百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益23,119百万円等の資金の増加に対し、売上債権の増加13,382百万円、棚卸資産の増加5,636百万円及び為替差益5,382百万円等の資金の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,823百万円の減少(前年同期は5,311百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出7,817百万円等の資金の減少によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,615百万円の増加(前年同期は439百万円の増加)となりました。これは、短期借入金の増加16,553百万円の資金の増加に対し、長期借入金の返済による支出4,307百万円、自己株式の増加4,082百万円及び配当金の支払額2,206百万円等の資金の減少によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ2,647百万円増加し、22,071百万円となりました。
④生産、受注及び販売の状況
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績を各セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.生産金額は販売価格をもって算出しております。
2.各セグメントの区分に基づき開示しております。
2)受注状況
当連結会計年度におけるその他事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績を各セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.各セグメントの区分に基づき開示しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.前連結会計年度のBASF AGROCHEMICAL PRODUCTS B.V.の販売実績については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。当社グループは、連結財務諸表を作成するに当たり、繰延税金資産の回収可能性について、特に重要な見積りを行っております。この連結財務諸表作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しており、繰延税金資産の回収可能性につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
(売上高)
売上高は、農薬の海外輸出及び国内販売が好調に推移した結果、145,302百万円(前連結会計年度比23.0%の増加)となりました。
(営業利益)
売上総利益も農薬及び農業関連事業が好調に推移したことにより34,201百万円(前連結会計年度比17.8%の増加)となりました。
また、販売費及び一般管理費は、物流コストや減価償却費の増加により21,529百万円(前連結会計年度比4.6%の増加)となりました。
以上の結果、営業利益は12,673百万円(前連結会計年度比49.9%の増加)となり、増益となりました。なお、営業利益率は8.7%で前連結会計年度比1.5ポイントの増加となりました。
(経常利益)
経常利益は、為替レートの円安進行に伴う為替差益等により、23,570百万円(前連結会計年度比83.7%の増加)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に伴い、16,329百万円(前連結会計年度比81.0%の増加)となりました。
(セグメント別の状況)
(農薬及び農業関連事業)
国内向けは、水稲用殺菌剤「ディザルタ剤」や「エフィーダ」を含有する水稲用除草剤の販売が好調に推移しました。海外向けは、畑作用除草剤「アクシーブ剤」が良好な市場環境による需要の増加から、主要販売国である米国、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル向けの出荷が伸長しました。また、植物成長調整剤「プロヘキサジオンカルシウム剤」の欧州向け出荷も順調に推移したことで、前連結会計年度の業績を大幅に上回りました。
以上の結果、農薬及び農業関連事業の売上高は112,430百万円、前連結会計年度比23,279百万円(26.1%)の増加となりました。営業利益は13,065百万円、前連結会計年度比4,716百万円(56.5%)の増加となりました。
(化成品事業)
コロナ禍の影響で落ち込んでいたアラミド繊維原料であるクロロキシレン系化学品の需要が回復し、販売が大幅に増加しました。また、電子材料需要の増加に伴いビスマレイミド類等の販売が増加しました。産業用薬品や発泡スチロールの販売は前連結会計年度並みに推移しました。
以上の結果、化成品事業の売上高は25,004百万円、前連結会計年度比4,344百万円(21.0%)の増加となりました。営業利益は原材料の高騰、物流コストや減価償却費が増加したものの、900百万円、前連結会計年度比12百万円(1.4%)の増加となりました。
(その他)
その他の主な事業内容は、賃貸事業、発電及び売電事業、建設業、印刷事業、物流事業、情報サービス事業等であります。
建設業において工事進捗の遅れなどが発生したことに加え、印刷事業においては、台風15号による浸水被害のため出荷が滞ったことにより、その他の売上高は、7,869百万円、前連結会計年度比497百万円(5.9%)の減少となりました。営業利益は637百万円、前連結会計年度比231百万円(26.6%)の減少となりました。
2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は204,604百万円で、前連結会計年度末に比べ35,433百万円の増加となりました。流動資産が27,633百万円増加し、固定資産が7,800百万円増加しました。流動資産の増加は受取手形、売掛金及び契約資産ならびに商品及び製品の増加等によるもの、固定資産の増加は建設仮勘定ならびに投資有価証券の増加等によるものです。
負債は82,609百万円で、前連結会計年度末に比べ23,391百万円の増加となりました。流動負債が27,238百万円増加し、固定負債が3,847百万円減少しました。流動負債の増加は支払手形及び買掛金ならびに短期借入金の増加等によるもので、固定負債の減少は長期借入金の減少等によるものです。
純資産は121,995百万円で、前連結会計年度末に比べ12,041百万円の増加となりました。
この結果、自己資本比率は56.4%、1株当たり純資産額は960円96銭となりました。
3)キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,159百万円の減少(前年同期は4,478百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益23,119百万円等の資金の増加に対し、売上債権の増加13,382百万円、棚卸資産の増加5,636百万円及び為替差益5,382百万円等の資金の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,823百万円の減少(前年同期は5,311百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出7,817百万円等の資金の減少によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,615百万円の増加(前年同期は439百万円の増加)となりました。これは、短期借入金の増加16,553百万円の資金の増加に対し、長期借入金の返済による支出4,307百万円、自己株式の増加4,082百万円及び配当金の支払額2,206百万円等の資金の減少によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ2,647百万円増加し、22,071百万円となりました。
4)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、原燃料調達や価格の動向、市場動向、為替動向、国内外の法令や政治・経済動向、ESG課題への対応、新型コロナウイルス感染症の影響等があります。
資材調達につきましては、サプライチェーンの安定化と適正な在庫管理、委託先・調達先との関係強化等、生産と販売のバランスの調整、物流体制の最適化に努め、為替の影響によるリスクヘッジを含めた安定的な調達に取り組んでおります。
市場の変化に対しましては、国内販売部門において、市場動向の把握によるマーケティング戦略の最適化を行うとともに、「エフィーダ剤」や「ベンスルフロンメチル剤」等の自社原体含有剤の拡販を進めます。海外販売部門においては、畑作用除草剤「アクシーブ剤」の主要市場でのシェア最大化に取り組んでおります。研究開発部門では、自社開発原体を含有する製品ポートフォリオの拡充、適用地域の拡大に向けた開発に注力し、「エフィーダ剤」の欧州開発、新規高性能殺ダニ剤フルペンチオフェノックス、果樹やバラの根頭がん腫病防除用の微生物農薬エコアークの開発のほか、「バイオスティミュラント」の開発等を推進しております。また、「みどりの食料システム戦略」やスマート農業への対応として、環境や省力化に配慮した新たな製品・パッケージの開発や技術の創出に取り組んでおります。化成品の開発では、化成品事業の高付加価値化と新技術の事業化に取り組んでおります。
国内外の法令や政治・経済動向等につきましては、情報入手に努めるとともに、関係会社や開発・販売提携会社と連携し情報共有を図ることで対応を行っております。
ESG課題への対応につきましては、気候変動・環境負荷の低減のため、当社グループの温室効果ガス排出量を2030年度に2019年度比30%減とすることを目標に取り組んでおります。
当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、食料生産の根幹に関わるビジネスであるため、新型コロナウイルス感染症による直接的な影響は限定的と捉えておりますが、今後は原材料や輸送コストの増加等の間接的な影響や農業を取り巻く環境変化を背景に当社グループの事業環境も一層厳しさを増してくるものと想定しております。
なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、新剤開発・登録等に係る研究開発費や開発途中の剤の生産設備の設置及び既存剤の生産効率化に係る設備投資及び新化学研究所の建設に係る投資であります。これらを主に自己資金ならびに金融機関からの借入金により調達しております。
金融機関からの借入金については、取引金融機関との間でコミットメントライン契約(シンジケート方式)を締結し、安定的な資金調達の体制を構築しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、35,678百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は22,071百万円であり、資金の流動性を確保しております。
6)目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、2020年12月に2021年10月期を初年度とする中期経営計画「Create the Future ~新たな可能性へのチャレンジ~」(2021年10月期~2023年10月期)を策定し、各事業において「研究領域、事業領域の拡大」「販売ルートの多様性確保」「コスト競争力の確保」「ESGを重視した企業活動」の4つの重要方針に基づく重点施策の遂行に取り組んでまいりました。
2年目となる当連結会計年度の売上は、農薬及び農業関連事業が好調に推移した結果、145,302百万円となり、中期経営計画の売上目標118,700百万円を達成することができました。営業利益は、増収に伴う利益増等により12,673百万円となり、中期経営計画の営業利益目標7,700百万円を達成いたしました。自己資本利益率(ROE)は14.9%となり、中期経営計画の目標として設定した6.5%を大きく上回りました。
また、売上、営業利益ともに、前連結会計年度及び2022年12月に公表しました業績予想を達成することができました。
2023年10月期は、当社グループの中期経営計画に基づく施策を着実に実行し、「スピード、コスト、イノベーション」「100年企業を目指した飽くなき挑戦」をスローガンとし、連結売上高167,900百万円、営業利益14,500百万円の達成、さらには経営基本方針にある「社会の持続的発展に貢献できる企業集団」の実現を目指してまいります。
また、業績や目標達成だけでなく、全てのステークホルダーの幸せを追求し、社会貢献や環境対策なども含めたサステナビリティ経営を推進してまいります。
売買契約(契約会社:クミアイ化学工業株式会社)
(注) 1 帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。
2 土地の( )内は賃借中のもので外書で示しております。
3 その他工場は、連結子会社の尾道クミカ工業㈱に貸与しております。
4 生物科学研究所農薬研究センター、生命・環境センターに記載した土地の内訳は次のとおりであります。
5 生物科学研究所農薬研究センター(宮城県遠田郡美里町)に記載した土地の内訳は次のとおりであります。
6 本社に記載した土地の主なものは次のとおりであります。
7 各事業所の寮、社宅は、その所属するそれぞれの事業所に含めております。
8 静岡工場には、㈱ネップに賃貸している設備として土地32百万円(0.5千㎡)が含まれております。
9 本社には、ケイ・アイ化成㈱に賃貸している設備として土地180百万円(35千㎡)が含まれております。
(注) 帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。
(注) 帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)2017年5月1日の旧イハラケミカル工業株式会社との経営統合により、旧イハラケミカル工業株式会社の普通株式1株に対し当社の普通株式1.57株を割当交付しております。これにより、発行済株式総数は46,206,903株増加し133,184,612株となっております。また、資本金・資本準備金に増減はありませんが、資本剰余金が増加しております。
2022年10月31日現在
(注) 自己株式13,027,004株は「個人その他」の欄に130,270単元及び「単元未満株式の状況」の欄に4株含めて記載しております。なお、自己株式13,027,004株は、株主名簿記載上の株式数であり、2022年10月31日現在の実保有残高は13,026,004株であります。
2022年10月31日現在
(注)1. 当社は自己株式13,026,004株を保有しておりますが、上記の大株主から除いております。
2. 信託銀行等の信託業務に係る株式数については、当社として網羅的に把握することができないため、株主名簿上の名義で所有株式数を記載しております。
1 報告セグメントの概要
(1)報告セグメントの決定方法
当社グループの報告セグメントは、分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
(2)各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
各報告セグメントに属する主要な製品・サービスの種類は、下表のとおりであります。