四国化成ホールディングス株式会社
(注)1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第102期連結会計年度の期首から適用しており、第102期連結会計年度以降の事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3 2022年6月24日開催の第102回定時株主総会決議により、決算期を3月31日から12月31日に変更しました。従って、第103期は2022年4月1日から2022年12月31日の9カ月間となっております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 最高・最低株価は、東京証券取引所プライム市場における株価を記載しております。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第102期事業年度の期首から適用しており、第102期事業年度以降の事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4 2022年6月24日開催の第102回定時株主総会決議により、決算期を3月31日から12月31日に変更しました。従って、第103期は2022年4月1日から2022年12月31日の9カ月間となっております。
提出会社の設立年月日 1947年10月10日
(注) 2023年1月1日より、持株会社体制に移行し、社名を四国化成ホールディングスに変更。化学品事業、建材事業及び
間接部門を分社化。
当社の企業集団は、当社、子会社16社及び関連会社1社で構成され、化学工業薬品・医薬品並びに住宅・景観・店舗関連商品の研究開発、生産及び販売を主な事業としているほか、殺菌・水処理関連の環境ビジネスや情報システム事業などを営んでおります。
主たる子会社及び関連会社の位置付けは下表及び系統図のとおりであります。
化学品事業の生産は当社及び連結子会社の日本硫炭工業㈱が担当し、販売は当社が中心に担当しておりますが、海外向けの販売の一部は連結子会社の米国現地法人SHIKOKU INTERNATIONAL CORPORATIONが担当しております。場内作業は連結子会社のシコク興産㈱が請負っております。また、連結子会社のシコク環境ビジネス㈱及びシコク分析センター㈱は水処理関連の環境ビジネスや、環境試験分析事業を展開しております。
建材事業のうち、エクステリアの生産は連結子会社のシコク景材㈱、シコク景材関東㈱及び日本工機㈱が担当し、販売は当社が担当しております。また、中国市場での販売を非連結子会社の中国現地法人四国化成(上海)貿易有限公司が担当しております。
その他は、連結子会社のシコク・システム工房㈱が情報システム事業を担当し、連結子会社のシコク・フーズ商事㈱はフード事業を、連結子会社のシコク・フーズ保険サービス㈱は損害保険代理業を展開しております。
(注) (子) …… 子会社
事業の系統図は次のとおりであります。

※1 当社は、2022年4月28日開催の取締役会及び2022年6月24日開催の定時株主総会で承認されましたとおり、2023年1月1日付で、当社の完全子会社である四国化成工業株式会社、四国化成建材株式会社及び四国化成コーポレートサービス株式会社との間で会社分割を実施し、純粋持株会社体制に移行しました。なお、当社は2023年1月1日付で商号を「四国化成ホールディングス株式会社」に変更しました。
2 日本硫炭工業株式会社は、2023年1月1日付で商号をシコク硫炭株式会社に変更しております。
3 日本工機株式会社は、2023年1月1日付で商号をシコク工機株式会社に変更しております。
連結子会社
2022年12月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員数であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を[]外数で記載しております。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
2022年12月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員数であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を[]外数で記載しております。
2 上記の平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
当社及び一部の連結子会社には労働組合が組織されております。
当社と労働組合との間に特記すべき事項はありません。
(1) 経営方針
当社グループは、新たなステージへの飛躍を目指し、2030年を見据えた長期ビジョン「Challenge 1000」を策定、2020年度よりこれに沿った積極経営を推進しております。
変わらぬ企業理念「独創力」のもと、2030年にありたい姿として、「独創力で、“一歩先行く提案”型企業へ」を掲げ、独創的なアイデアで社会課題を解決し、世界をリードする企業となることを目指しております。
さらに、良き企業市民として、顧客、従業員、株主、そして社会に貢献していくこととした「四方よし」を企業の活動方針としています。お客様には「一歩先の価値」を、従業員には「挑戦と成長」を、株主の皆様にはより一層の「利益還元」を、そして、社会には「より良い明日」を届けることにより、ステークホルダーの皆様に貢献してまいります。また、自主的なレスポンシブル・ケア*活動に取り組み、社会の持続的な発展に貢献するとともに、さらなる社会課題の解決に向け、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献してまいります。
*レスポンシブル・ケア:化学物質等を製造または取り扱う事業者が、製品の開発、製造、物流、使用、最終消費、廃棄、リサイクルの全ライフサイクルにわたって環境、安全、健康を守る自主管理活動のことです。
(2) 経営戦略等
「Challenge 1000」の実行にあたっては、2030年までの10年間を「STAGE 1」、「STAGE 2」、「STAGE 3」の3つのステージに分けております。2020年4月より開始した「STAGE 1」においては、6つの全社変革方針の実行による事業基盤の強化を推し進めるとともに、事業変革方針として、これまでの「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」 のスタイルへの変革を掲げ、各事業が持つ強みをさらに高め、世界中のお客様や社会の課題解決のために、いかに先回りした提案ができるのかを追求し、実行しております。
全社変革方針
①価値づくり「ブランド価値の向上と新しい事業への挑戦」
②余力づくり「変革リソース確保に向けた効率化実現」
③拠点づくり「世界への足場づくりと世界展開の加速」
④組織づくり「ビジョン実現に向けたグループガバナンス体制の確立」
⑤風土づくり「多様性を認め、挑戦を後押しする風土の醸成」
⑥人財づくり「個人の挑戦を促し、公正に評価する仕組みの構築」
事業変革方針
「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」 のスタイルへの変革
2030年に目指す事業のありたい姿
化学品事業「世界の進歩のために、進化と深化を続ける事業」
無機化成品事業
「取り扱いが難しい素材を循環的に活用し、世界の技術革新や環境保全に貢献する事業」
有機化成品事業
「環境・衛生を守り、世界中の人にキレイを届ける事業」
ファインケミカル事業
「独自技術による高機能な製品を提供し、技術の発展に貢献する事業」
「新技術で世界のスタンダードを創出する事業」
建材事業「未来のくらしをデザインし、笑顔でくらせる世界の街づくりに貢献」
「Challenge 1000」の遂行にあたっては、全社変革方針及び事業変革方針を着実に実行し目標を達成するために、積極的に成長投資を行っていく計画としております。
このうち設備投資といたしましては、徳島工場北島事業所の塩素化イソシアヌル酸の新プラント(NEO2022)が、2022年4月に竣工し、7月に稼動を開始しました。投資額は約50億円です。
当社グループは、さらなる持続的な成長を目指して、「全員参加型」による「積極経営」を進め、世界の持続可能な発展に貢献する企業集団となることを目指しております。
なお、当社グループはグループ長期ビジョン「Challenge 1000」の達成に向け、2023年1月1日から持株会社体制へ移行するため、新事業会社での円滑な事業運営に向けた準備を進めてまいりました。
持株会社体制への移行により分社化される各事業会社に対して大胆に権限移譲することで、意思決定を迅速化するとともに、生産・販売・開発の機能別組織を垂直的に統合し、組織をさらに一体化・緊密化し、一貫性を持った戦略の遂行を実現します。また、ガバナンス体制、本社部門の役割を再定義することで、企業統治構造のより一層の明確化や業務の効率化を図ってまいります。さらに、持続的な経営力強化に向けて自律性を持った事業会社の運営の中で、将来の経営人材育成を推進します。
これらの取り組みにより、経営のさらなる強化を図るとともに、変化の速い事業環境への対応、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化への取り組みなど、山積する経営課題を着実に解決してまいります。
(3) 経営環境
① 全般
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の規制緩和、正常化に伴い、個人消費が持ち直しの動きを見せる等、緩やかな回復基調で推移しています。
海外経済は、欧米を中心に持ち直しが続いていますが、世界的なインフレ圧力の高まりを受けた各国の急激な金融引き締め、金利上昇が景気の下振れリスクとなっています。
② 化学品事業
無機化成品事業における不溶性硫黄は、全般に短期的には新型コロナウイルスの影響を受けるものの、中長期的には世界のタイヤ市場は成長基調にあると予想され、不溶性硫黄の需要は堅調であるとみております。有機化成品事業では、コロナ禍を受けた消費者の行動や意識の変化により衛生管理に対する関心や需要はさらに高まってくると考えられ、塩素化イソシアヌル酸を中心とする殺菌・消毒剤事業は様々な方面で事業拡大の機会があります。ファインケミカルの事業領域である先端技術分野においても、例えば自動運転技術のさらなる進化や、5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス本格化により、半導体をはじめとする電子部品などには更なる高機能化が求められております。そうした進化の一翼を担うものとして、当社の有機合成技術や低金属管理技術が生み出す新しい機能材料、電子化学材料及び表面化学材料の評価や採用はさらに活発となるものと予想しております。
③ 建材事業
国内市場では、人口の減少傾向も相俟って新設住宅着工戸数自体は高度経済成長期のピーク時からはほぼ半減しておりますが、エクステリア事業においては、従来の門扉・フェンス、車庫といった製品に加えて、デッキ、テラスやファサード製品など、新しい住まい方や空間提案による新たな市場創造は絶え間なく続けております。また、台風など近年の自然災害の増加・激甚化を背景に、住宅・景観エクステリアともに建築基準法に対応した高強度製品や安全性を重視した製品の需要が増加しており、今後も市場は拡大基調にあるとみております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
このような経営環境の中、当社グループにおきましては、長期ビジョン「Challenge 1000」の達成を目指し、「全員参加型」による「積極経営」を進め、コア・コンピタンスに根ざした新規商品・事業の育成・展開を図るとともに、研究開発及び生産技術の強化、グローバルな市場動向に機敏に反応できるきめ細かで効率的なマーケティングの展開、物流購買機能の向上等、全社変革方針及び事業変革方針で定めた施策の実行に全社を挙げて取り組んでおります。
また、“安全操業”、“環境保全”、“安定品質”の飽くなき追求は事業活動の根幹であると銘肝し、確実に成し遂げてまいります。
市場の成長や変化に対応し、優先して取り組む課題として、化学品事業では、コロナ禍を背景とする衛生意識の高まりに対応し、塩素剤を主成分とする家庭用品や医療介護向け製品の開発・販売など、提案型営業に力を入れております。その取り組みの一つとして、一般消費者向け(BtoC)市場への本格参入として、家庭用洗剤ブランド『WASHMANIA』を立ち上げました。更なる事業領域の拡大を目指してまいります。ICTの発展に伴い、さらなる高機能化が求められている最先端の電子化学材料分野では、本格的な商用サービス段階に入った5G(第5世代移動通信システム)の業界標準を目指す電子化学材料「GliCAP」のグローバルスタンダード獲得に注力するとともに、次世代の技術動向を見据えて研究開発体制の一層の強化を図っております。また、電子部品の性能の向上に貢献する「機能材料製品群」の開発・試作・量産体制の強化に加え、新たな領域として、微細化が進む最先端の半導体プロセス材料などに、近年の研究開発成果をタイムリーに投入するなど、上記方針に沿った「一歩先行く提案」に具体的かつ意欲的に取り組んでおります。
建材事業では、建築基準法に準拠したエクステリア製品の開発に力を入れております。台風の大型化やゲリラ豪雨など、自然災害の頻発や激甚化に対するユーザーからの風雨に強い製品を求める声に応え、従来製品の高強度化や新製品の継続的な投入によりラインアップを充実させております。引き続き、市場ニーズを先取りする独創的な商品をはじめ、高付加価値商品を継続的に投入することで、適正な利益水準の確保を前提とした事業規模の拡大に取り組んでまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
長期的視点に立った成長戦略の実行による飛躍的な成長を目指し、2030年に達成すべき財務目標として、売上高1,000億円、営業利益150億円、ROE10%以上を掲げ、目標の達成に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。
2 【事業等のリスク】
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のようなものがあります。
これらのリスクが顕在化した場合、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針、(2)経営戦略等に記載の長期ビジョン「Challenge 1000」の計画的な遂行に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループといたしましては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応として、代替する事業計画を機動的に策定し、その遂行に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)一般の経済要因
当社グループの営業収入のうち、重要な部分を占める化学品の需要は、当社グループが製品を販売している日本又は海外各国の経済状況の影響を受け、プール用殺菌剤等一部の製品は天候の影響を受けます。また、同じく重要な部分を占める建材の需要は、日本の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本をはじめとする当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が海外において低廉な人件費の労働力を雇用して生産した場合、当社グループと同様の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
さらには、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動への影響は回復傾向をたどってきましたが、高インフレと金融引き締めにより回復のペースが鈍化しております。高インフレや金融引き締めにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ウクライナ・ロシア情勢については原材料・物流費の高騰が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
当社グループの事業には、海外各国における製品の販売及び海外各国からの原材料や商品の調達が含まれております。各国における売上を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に他の通貨に対する円高(特に当社グループの輸出の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高)は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は当社グループの事業に好影響をもたらします。
また、当社グループが輸入で調達する原材料や商品については、調達先地域の通貨価値上昇は、それらの地域における製造と調達コストを押し上げる可能性があります。コストの増加は、当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、為替予約等によるリスクヘッジを行い、米ドル、ユーロ及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、中長期的な為替レート変動により、計画された調達、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があります。
(3)新製品開発力
当社グループ収入のかなりの部分は、独自の製品及び技術開発に基づく製品の売上に拠っております。将来の成長は主に革新的かつ長期にわたり当社グループに安定的に利益をもたらす新製品の開発に依存すると予想しております。
しかしながら、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
①新製品や新技術の開発に必要な経営資源を今後充分に充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が成功する新製品又は新技術の創造につながる保証はありません。
③当社グループが市場からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はありません。
④新たに開発した製品又は技術が独自の知的財産権として保護される保証はありません。
⑤化学品事業の製品の多くは、顧客が生産する製品の中間原料として販売されるものであり、当社グループによる長期的な研究・開発活動の上に特定顧客の品質承認が得られた後に事業として成立するものであります。従って、研究・開発の初期投資が結果的に利益を計上できない可能性を含んでおります。
⑥建材事業の製品については、住宅等を取得する消費者の嗜好の変化により、当社グループ製品が時代遅れになる可能性があります。また、基本技術における競合他社との差別化が図りにくい製品を含んでおり、開発投資と比較してライフサイクルが短くなる可能性を含んでおります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合は、将来の収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)価格競争
当社グループが属している各製品市場はそれぞれ競合状況があり、多くの原因により今後価格競争が熾烈化する可能性が予測されます。
化学品事業においては、低廉な労働力を背景に海外で生産される製品が国内市場で流通することにより市場価格が低下する可能性があります。また、海外廉価製品の品質向上により当社グループの製品の競争力が相対的に低下する可能性があります。当社グループの製品は当該廉価品と比較して高付加価値品としての品質的な優位を保ち続けるべく努力はしておりますが、価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、建材事業のエクステリア製品においては、アルミサッシ系メーカーを中心とする大手競合企業が多額の開発投資・物流投資等を投下することにより競合製品をより低価格で市場に投入し、競合がさらに熾烈化する可能性があります。当社グループでは壁材を含む建材製品の機能やデザインまた顧客に対する提案力において比較優位に立つべく継続的に新製品を投入しておりますが、将来においても有効に競争できるという保証はなく、価格面での競争に陥った場合は、同じく当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)市場環境、業界環境
当社グループが販売する化学製品の多くは、顧客が生産する製品の中間原料として消費されるものでありますが、顧客が生産する製品の必須原料であるとは限りません。価格競争以外の要因として、顧客又は顧客が属する業界における新技術の台頭により当社製品が他の製品に代替された場合には将来の収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、建材事業の住宅用壁材、住宅用エクステリア製品の需要動向は新設住宅着工戸数を、また景観エクステリア製品の販売は公共投資額や民間の設備投資額をそれぞれ先行指数として増減する傾向があります。これらの指数は政策や景気動向等により影響を受けるものであり、その動向いかんによっては業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)原材料調達
当社グループが販売する化学製品、建材製品ともに、原材料調達に当たってはいわゆる複数購買を原則としておりますが、一部には汎用製品ではなくサプライヤーが限られるものを使用しており、サプライヤー側の事故等により調達が困難になる可能性があります。
また、原材料及びエネルギー価格高騰による製造原価上昇を販売価格に転嫁できなかった、もしくは価格転嫁が遅延した場合は当該製品の収益性が悪化し、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)知的財産権について
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、海外の全ての国において知的財産権を確立しているわけではありません。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が類似する、もしくは当社グループより優れている技術を開発することや、当社グループの特許や企業秘密を模倣、又は解析調査することを防止できない可能性があります。さらに当社グループの将来の製品又は技術は、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。
(8)在庫リスク
当社グループの製品には、プール用殺菌剤等需要量に季節要因があるものが含まれます。また、建材製品ではタイムリーな納入を確保し販売機会を逸しないために、見込み生産を行っているものがあります。このため、急激な市場環境の変化等により販売動向が事前の需要予測と大きく乖離した場合、棚卸資産が増え、キャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
また、建材製品は流行や顧客の嗜好の変化により販売動向が左右されるものがあり、その意匠や機能が陳腐化して滞留在庫となり、キャッシュ・フロー及び損益に悪影響を与える可能性があります。
(9)法的規制等
当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、各種の法令・規則(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・アンチダンピング法等の経済法規、貿易・為替法規、証券取引所の上場規程等)が施行されています。当社グループは、これらの法令・規則を遵守し公正な企業活動に努めておりますが、万一法令・規則違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利益な結果が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令・規則が変更された場合や、予想できない新たな法令・規則が設けられた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当事業年度より事業年度の末日を3月31日から12月31日に変更し、また全ての連結子会社が12月決算に変更しております。従いまして、経過期間である当連結会計年度は、2022年4月1日から2022年12月31日までの9カ月間を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、以下の前年比較にあたっては、前年度の実績を当年度と同一期間に調整しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の制限緩和、正常化に伴い、個人消費が持ち直しの動きを見せる等、緩やかな回復基調で推移しておりますが、年末に日本銀行が長期金利操作の変動幅を拡大し、為替、金利環境が大きく変動する等、不確実性が高まっています。海外経済は、欧米を中心に急激な物価上昇や、これを受けた金融引き締めが続き、また中国経済も感染再拡大による景気減速が鮮明になりつつあり、当社を取り巻く経営環境は一層厳しさを増しております。
このような状況下、当連結会計年度の当社グループの売上高は465億66百万円(前年同一期間比18.7%の増収)、営業利益は64億62百万円(前年同一期間比4.9%の増益)、経常利益は72億70百万円(前年同一期間比8.2%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は49億97百万円(前年同一期間比4.2%の増益)と、いずれも前年を上回りました。為替レートが円安に推移したことや、原材料価格の高騰に対して適切に価格転嫁を進めた結果、輸出販売の採算性が向上し、売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高を記録しました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(無機化成品)
ラジアルタイヤ向け原料である不溶性硫黄は、半導体不足による自動車生産の落ち込みや中国での新型コロナウイルス感染拡大に伴うタイヤ工場稼動の低下により需給の緩みが見られ、販売は低調に推移しました。レーヨン・セロハン向けの二硫化炭素は国内販売が好調に推移しました。浴用剤・合成洗剤向けの無水芒硝は、国内販売において、為替レートの円安による仕入価格高騰の影響を価格転嫁し、収益性の回復を図りました。
(有機化成品)
殺菌消毒剤塩素化イソシアヌル酸は、国内市場は、プール薬剤の販売回復等により、前年を上回りました。米国市場は、プール市場の活況が続いており、高稼動で生産を続けております。また高騰する資源価格や物流コストの価格転嫁に努めたことで、売上、利益ともに前年を上回りました。
(ファインケミカル)
プリント配線板向けの水溶性防錆剤タフエースを中心とする電子化学材料は、上海ロックダウンや半導体市場の調整等を受けて伸び悩みました。機能材料は、樹脂改質剤(グリコールウリル誘導体等)の需要増や半導体プロセス材料の新規案件獲得などにより前年を上回りました。
この結果、化学品事業の売上高は323億80百万円(前年同一期間比27.0%の増収)、セグメント利益は64億91百万円(前年同一期間比13.2%の増益)と、いずれも前年を上回りました。
新設住宅着工戸数は、持家の着工が弱い動きを続けており、壁材、エクステリアともに需要は低調に推移しましたが、当期4月に実施した価格改定が浸透し、売上高は前年を上回りました。一方、原材料費の急激な上昇は価格改定で吸収しきれず、利益面では前年を下回りました。
この結果、建材事業の売上高は133億53百万円(前年同一期間比4.5%の増収)、セグメント利益は14億90百万円(前年同一期間比12.0%の減益)となりました。
財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比33億70百万円増加し、1,171億76百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末比24億72百万円増加し、353億70百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末比8億97百万円増加し、818億6百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、366億83百万円(前連結会計年度末比9億27百万円の増加)となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、29億19百万円(前連結会計年度比21億70百万円の減少)となりました。投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、36億69百万円(前連結会計年度比14億17百万円の減少)となりました。財務活動によって得られたキャッシュ・フローは、14億23百万円(前連結会計年度比32億32百万円の増加)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産金額は主に生産量に平均販売価格を乗じて算出しております。
2 生産実績は自家消費(無機・有機化成品及びファインケミカル)を一部含んでおります。
3 報告セグメント以外のその他については生産活動になじまないため記載しておりません。
4 当社は、当事業年度より事業年度の末日を3月31日から12月31日に変更し、また全ての連結子会社が12月決算に変更しております。従いまして、経過期間である当連結会計年度は、2022年4月1日から2022年12月31日までの9カ月間を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上となる販売先はありません。
3 当社は、当事業年度より事業年度の末日を3月31日から12月31日に変更し、また全ての連結子会社が12月決算に変更しております。従いまして、経過期間である当連結会計年度は、2022年4月1日から2022年12月31日までの9カ月間を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は465億66百万円(前年同一期間比18.7%の増収)となりました。国内売上高は294億6百万円(前年同一期間比14.3%の増収)となりました。海外売上高は171億60百万円(前年同一期間比27.1%の増収)となりました。売上高に占める海外売上高の割合は2.5ポイント上昇し、36.9%となりました。
売上原価は277億23百万円(前年同一期間比22.1%の増加)、売上高に対する比率は1.6ポイント上昇し、59.5%となりました。
販売費及び一般管理費は123億81百万円(前年同一期間比19.5%の増加)となりました。運送費及び保管費が増加したことなどによるものであります。
以上の結果、営業利益は64億62百万円(前年同一期間比4.9%の増益)となり、売上高営業利益率は13.9%となりました。
営業外損益は、前年同一期間の5億63百万円の利益(純額)から、8億8百万円の利益(純額)となりました。為替差益の発生が主な要因です。
この結果、経常利益は72億70百万円(前年同一期間比8.2%の増益)となり、売上高経常利益率は15.6%となりました。
特別損益は、前年同一期間の9百万円の利益(純額)から、4億22百万円の損失(純額)となりました。これは、減損損失の発生が主な要因です。
この結果、税金等調整前当期純利益は68億48百万円(前年同一期間比1.7%の増益)となりました。
法人税等は、前年同一期間の19億29百万円から、当連結会計年度は18億26百万円となりました。これにより、税効果会計適用後の法人税等の負担率は、前年同一期間の28.7%から26.7%となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は49億97百万円(前年同一期間比4.2%の増益)となり、1株当たり当期純利益は前年同一期間に比べ6円51銭増加し、93円78銭となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替変動があります。この影響により、前年同一期間に比べ、売上高が31億26百万円増加したものと試算されます。(ただし、為替の影響の試算は前連結会計年度の平均レートと当連結会計年度の平均レートの差によって算定しており、販売価格の変動に伴う影響は考慮されておりません。)
財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比33億70百万円増加し、1,171億76百万円となりました。主な増加は、機械装置及び運搬具38億33百万円、商品及び製品13億97百万円であります。
負債は、前連結会計年度末比24億72百万円増加し、353億70百万円となりました。主な増加は、長期借入金35億17百万円であります。
純資産は、前連結会計年度末比8億97百万円増加し、818億6百万円となりました。主な増加は、利益剰余金23億33百万円であります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.3%から69.4%となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、29億19百万円(前連結会計年度比21億70百万円の減少)となりました。主な収入項目は、税金等調整前当期純利益68億48百万円、減価償却費21億12百万円、一方で主な支出項目は法人税等の支払額33億51百万円であります。
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、36億69百万円(前連結会計年度比14億17百万円の減少)となりました。主な支出項目は、有形固定資産の取得による支出30億18百万円であります。
財務活動によって得られたキャッシュ・フローは、14億23百万円(前連結会計年度比32億32百万円の増加)となりました。主な収入項目は、長期借入れによる収入46億円、一方で主な支出項目は、配当金の支払額13億35百万円、自己株式の取得による支出13億28百万円であります。
以上の結果、現金及び現金同等物は、366億83百万円(前連結会計年度末比9億27百万円の増加)となりました。
当社グループの資金の財源及び流動性については、事業活動にかかる短期運転資金は営業キャッシュ・フローを主な財源としておりますが、その他取引金融機関に有する当座貸越等の融資枠からの短期借入金も利用し、経営環境の急激な変化にも対応できる十分な流動性を保持しております。
設備投資、投融資資金などの長期資金についても、自己資金を基本としつつ、資本調達コストの低減や最適な資本構成、資金需要や金利情勢を考慮しながら、金融機関からの長期借入を随時行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、201億64百万円、前連結会計年度末比42億37百万円増加しました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5章 経理の状況 1(1)連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
当社は、2022年4月28日開催の取締役会において、2023年1月1日付を効力発生日として、当社の完全子会社である分割準備会社3社(四国化成工業化学品事業分割準備株式会社、四国化成工業建材事業分割準備株式会社、四国化成工業シェアードサービス分割準備株式会社)との吸収分割契約締結を承認することを決議し、同日に吸収分割契約を締結しました。
詳細は、「第5経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。
当社グループにおける各セグメントごとの設備の内訳は、以下のとおりであります。
2022年12月31日現在
2022年12月31日現在
2022年12月31日現在
(4) 在外子会社
2022年12月31日現在
(注) 1 帳簿価額「その他」の内訳は工具器具及び備品並びにリース資産であります。
2 現在休止中の主要な設備はありません。
3 従業員数の[]は、平均臨時雇用人員数を外書しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 発行済株式総数の減少は、自己株式の消却による減少であります。
2022年12月31日現在
(注) 自己株式65,756株は「個人その他」に657単元、「単元未満株式の状況」に56株それぞれ含まれておりま
す。また、「その他の法人」の欄には、証券保管振替機構名義の株式が、10単元含まれております。
2022年12月31日現在
(注)1 当社は、自己株式(65,756株)を保有しておりますが、上記大株主からは除いております。また、持株比率は自己株式を控除して計算しております。
2 上記自己株式には、株式報酬制度の信託財産として、株式会社日本カストディ銀行が保有する当社株式
140,275株は含めておりません。
3 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(退職給付信託口・株式会社百十四銀行口)の持株数には、株式会社百十四銀行が自己名義で保有している300千株を含めて記載しております。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社の各事業本部は、取り扱う製品・サービスについて国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社グループは、事業本部を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、「化学品事業」及び「建材事業」の2つを報告セグメントとしております。
「化学品事業」は、無機化成品・有機化成品・ファインケミカル等の化学工業薬品の生産・販売活動を行っており、「建材事業」は、内外装用化粧壁・エクステリア・アルミシャッター等の建築土木資材の生産・販売活動を行っております。