アグロ カネショウ株式会社
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第64期の期首から適用しており、第64期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所(市場第一部)におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所(プライム市場)におけるものであります。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第64期の期首から適用しており、第64期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を適用した後の指標等となっております。
当社は、兼商化学工業株式会社(法律上の存続会社)が1985年1月1日を合併期日として兼商株式会社(実質上の存続会社)を吸収合併し、同日付にて現社名に商号変更したことにより、製造・販売一体の会社として発足しました。この合併は、兼商化学工業株式会社が農薬取締法に基づく登録取得会社でありましたことにより、同社を存続会社として行われましたが、実質的な事業の主体は兼商株式会社にありました。
従って、合併前の沿革については実質上の存続会社である兼商株式会社について記載しております。
当社の企業集団(当社グループ)は、当社と連結子会社3社の合計4社で構成されており、土壌消毒剤、害虫防除剤、病害防除剤等農業薬品の製造販売を主な事業としております。
なお、当社グループは、農薬の製造、販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当社グループ各社の事業に係る位置づけは次のとおりです。
連結子会社Kanesho Soil Treatment SRL/BVは、農業用土壌消毒剤の原体及びバルクを当社及び世界90カ国へ販売しております。
連結子会社AGRO-KANESHO KOREA CO., LTD.は、韓国国内での当社グループ製品販売及び普及推進を行っております。
連結子会社株式会社KANESHO CHPは、Dow AgroSciences LLCが日本・韓国で展開しているクロルピリホス剤の営業権を譲受け、取得した知的財産権のライセンス供与を当社に対して行っております。
以上の企業集団について図示すると次のとおりであります。

(連結子会社)
(注) 1.特定子会社であります。
(注) 2.Kanesho Soil Treatment SRL/BVについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等
① 売上高 3,527,416千円
② 経常利益 855,200千円
③ 当期純利益 640,635千円
④ 純資産額 2,831,751千円
⑤ 総資産額 3,213,309千円
2022年12月31日現在
(注) 従業員数は就業人員であり、執行役員(取締役兼務者は除く)を含んでおります。
2022年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員であり、執行役員(取締役兼務者は除く)を含んでおります。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、農薬の製造、販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(3)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来一貫して創業者の精神である「我が信条」に謳われている経営理念、すなわち
第1; 我々の責任は、我々の商品とサービスを利用する全てのお客様に対するものである。
第2; 我々の責任は、我々の事業に参画している全ての社員に対するものである。
第3; 我々の責任は、我々が事業を営む地域社会、ひいては社会全体に対するものである。
第4; 我々の責任は、株主に対するものである。
を経営の基本方針としております。
「我が信条」のもと成長戦略を着実に遂行し、得られた利益を継続的な研究開発投資に充てるための内部留保、
社員及び株主に三分割する考え方も経営方針としております。
(2)当社グループの現状の認識について
現在の当社グループを取り巻く経済環境は、世界的な人口増加や食料需要の拡大から、グローバルな農薬市場は拡大傾向にあります。一方、日本国内では農業従事者の高齢化、後継者・労働力不足、耕地面積の減少等生産基盤の脆弱化・地域コミュニティの衰退、営農指導サービス、新型コロナを契機とした生産・消費の変化が発生しています。また、昨年農林水産省より「みどりの食料システム戦略」が発表されました。その結果として将来的に農薬の使用量の低減、農薬価格の引き下げや営農指導サービスの低下等が懸念されております。
このような認識のもと、当社グループは今後一層食料の安全で安定供給に貢献するため、より環境・生産者・消費者に負荷の少ない製品の開発ならびに生産現場での有用な営農指導サービスの提供を重視し持続的な活動をおこないます。当社の特徴である現場主義を前面に出し、今まで築き上げてきた農家、会員店・JA・販売店、当社グループが密に連携する「トライアングル作戦」に加え、土壌診断サービス、グローバルGAP認証取得支援サービス、カネショウファーム活動等生産者へのサービスを質・量的に拡充していく所存であります。
なお、当社グループは、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故により、国内における主な生産拠点である福島工場が操業停止となり、これにより発生した営業損害について、東京電力ホールディングス株式会社に対して損害賠償訴訟を提起しており、現在も係属中です。
(3)当面の対処すべき課題
① 研究開発
既存販売製品では、国内で導入された農薬再評価制度、海外の国や地域の規制への適切な対応による農薬登録の維持とともに登録国や適用の拡大、継続的な品質改善により競争力を維持することを主な課題としております。
新規製品では、研究の多様性と領域の拡大を図りつつ、国内のみならず市場が拡大する海外での展開を見据え、選択と集中により早期の市場化を課題としております。また、従来の化学農薬のみならず、欧州の「Farm to fork」や日本の「みどりの食料システム戦略」に適応したバイオスティミュラントや生物農薬等の研究開発にも注力し、事業環境の変化に対応した製品の研究開発を目指します。
② 生産
東京電力福島第一原子力発電所の事故により操業停止となった福島工場に代わり、西の物流拠点としての機能を備えた山口工場を2018年11月に建設し、2021年2月にはISO9001の認証を取得しました。茨城工場・直江津工場と併せた自社生産体制の向上による製品の安定供給とコスト削減に取り組むとともに、品質の更なる向上と、山口工場を加えた新たな物流体制の強化を課題としております。
③ 営業・技術普及
製品の安全・適正な使用のために一層充実した技術普及活動を展開するとともに農業生産者への新しい付加価値サービスとしての土壌診断サービス、グローバルGAP認証取得支援サービス、カネショウファーム活動の拡大と品質向上に努めます。
④ 海外事業
海外農薬市場においては、当社の独自商品を中心に各国で登録を取得し、積極的に海外展開を図っています。今後も新たな国や地域での登録取得を進める一方で、米国、スペイン、メキシコ等主要国で積極的な拡販を行うことを当面の課題としております。
当社グループは、100年企業を目指すため、2016年に「Lead The Way 2025」をスローガンとする長期事業計画とともに2016年からの3か年計画を策定し、その後、2019年からの3か年計画を策定し、成長のための経営基盤づくりに取り組んでまいりました。2022年からは、2025年を最終年度とする新たな中期事業計画(2022年-2025年)を策定し、創業以来の経営理念を堅持しつつ、持続的成長と企業価値向上を目指します。
(イ)中期事業計画策定の趣旨
前中期事業計画では、収益計画は未達ではありましたが、これまでの中期事業計画で達成した成果を活かしつつ、現中期計画(2022年-2025年)の新たな施策を着実に実行してまいります。
(ロ)中期事業計画の骨子
① 経営理念
創業以来の経営理念である「我が信条」のもと、お客様、社員、社会、株主などステークホルダーのために、「どこまでも農家とともに」をモットーに、今後も事業拡大に取り組みます。
② サステナビリティ経営
「持続可能な農業の推進」、「プロダクト・スチュワードシップ活動の推進」、「人材育成、ダイバーシティの推進」の3つを重要課題として取り組みます。
③ 総合的サービス提供型企業
土壌分析・診断サービス、グローバルGAP認証取得支援サービス、カネショウファーム等農家支援サービスを質・量的に拡充するとともに、それらの有機的な結合により関連する農業生産者の組織化と効率的な新たな情報提供サービスに取り組みます。また、農薬安全使用推進活動を強化し、社内プロダクト・スチュワードシップの確立を目指します。
④ 研究開発の充実と新たな取り組み
安全・安心な新規探索化合物の創出、新製剤・新混合剤の開発に加え、生物農薬等の研究開発や海外市場の開拓にも積極的に取り組み、ポートフォリオの拡充と販売の技術支援を行います。
⑤ 安全安心と生産性向上
生産効率の向上と人員確保により、自社生産比率を高め、利益率向上を目指します。また、安全対策・品質管理・計画生産実行の徹底した運用を行います。
(ハ)主要経営数値目標 (単位:百万円)
当社グループは、事業の運営上様々なリスク発生の防止、分散等リスクの軽減に努めておりますが、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。但し、これらのリスクは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、すべてを網羅したものではありません。
(1)製品の品質によるリスク
当社グループは、厳格な品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、重大な品質欠陥によるリコール等は、多額のコスト発生や当社グループ製品に対する信用を下げることにより、当社グループの業績や社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。製造物責任に基づく損害賠償に関しては、PL(生産物賠償責任)保険に加入し、万一の事故に備えておりますが、賠償額を十分にカバーできない可能性があります。
(2)価格変動によるリスク
当社グループの製品群は、今後も他社の販売方針や新製品投入等により価格競争に晒されるものと予想されます。当社グループは、コスト低減やサービス向上等に努めますが、価格競争を克服できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替変動によるリスク
当社グループは、海外への製品輸出を行う一方で、原材料等の輸入を行っております。このため、為替予約等によりリスクを最小限に抑えるよう努めておりますが、為替レートの変動は、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)天候条件によるリスク
当社グループの主要な事業である農薬事業は売上に季節性があり、天候条件により農薬の散布時期を逸したり、病害虫の発生が大きく変動するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)新製品開発によるリスク
当社グループは、農薬事業を営む上での独自性を出すために新製品の開発を行っております。新製品の開発には多大な技術的、財務的、人的資源及び長い期間を要します。そのため、この期間の市場環境の変化や技術水準の進捗等によっては、開発の中止や延期せざるを得ない状況も考えられるため、当社グループの将来の成長と収益性に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法規制によるリスク
当社グループは、国内外での事業活動を行っているため、国内では農薬取締法、肥料取締法などの法規制を受け、海外では各国の法規制を受けております。農薬は各国の法規制に基づき登録されますが、規制の変更等により事業活動自体が制限される可能性があります。近年、農薬に関する法規制が世界的に強化されており、農薬原体等の新規登録の遅延や中止、既存登録の抹消等の場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)契約の打ち切りによるリスク
当社グループが行っている事業は、多くの他社との契約により成り立っております。当社グループは引き続きこのような契約を前向きに継続していく予定でありますが、経営、財務又はその他の理由により契約の継続が困難となる可能性があり、その場合は当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
(8)固定資産の減損によるリスク
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化による収益性の低下等により、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)自然災害等の外的要因に関するリスク
地震・風水害等の自然災害、感染症の流行、紛争、テロ等の外的要因により、当社グループ及び協力会社の生産設備が破損し製品供給が停止するなどの可能性があります。また、流通経路の遮断により、当社製品の供給が滞る可能性があります。
(10)新型コロナウイルス感染症の影響について
新型コロナウイルス感染が拡大した場合、社員及び家族への健康被害や取引先の事業停止、物流の混乱などにより、当社グループの事業活動への影響が生じる可能性があります。また移動制限が発動された場合、営業活動の制約や納品の遅れが生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、社員、その家族及び顧客等の安全を第一に、感染拡大抑止のため感染防止策を徹底するとともに、テレワークやWeb会議の積極活用等により移動制限の影響を抑制しております。新型コロナウイルス感染症の影響については、翌連結会計年度末までは、国内外で感染状況の悪化による景気減速や事業活動等の制約が継続または断続的に発生すると見込んでおります。
農業を取り巻く環境は、世界の人口増加に伴う食糧需要の拡大から、農業生産は今後も拡大するものと考えられ、世界の農薬市場は、農業生産の拡大から成長基調が継続しております。国内農業では、農業生産者の減少及び高齢化が進んでいる一方で、大規模生産者や農業法人の増加など農業生産構造の変化が現れてきております。このような中、国内農薬業界におきましては、改正農薬取締法(2018年12月施行)により一層の農薬の安全性の向上が要求されており、国内の既登録農薬についても最近の科学的知見に基づいた安全性等の再評価が必要となっております。また、世界農薬市場におきましては、国内に先行し農薬登録制度の見直しが行われており、農薬使用時や残留農薬の安全性評価に留まらず生態系に対する環境影響評価が強化され、多くの既存薬剤の登録の失効・淘汰が進んでいます。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大やウクライナ情勢による原材料価格高騰をはじめとする農薬の生産・物流・消費等に対する影響を注視していく必要があります。
このような情勢の中で当社グループは、経営理念である「我が信条」(お客様のため、社員のため、社会のため、株主のためという4か条)ならびに「どこまでも農家とともに」をモットーとして研究開発・技術普及・生産・販売を展開しております。当社グループは、創業以来の経営理念を堅持しつつ100年企業を目指すために、「Lead The Way 2025」をスローガンとした長期事業計画とともに、新中期事業計画(2022年-2025年)を策定し、企業価値の向上に努めております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するために、当社グループは安全性や衛生管理に配慮した業務運営に取り組んでおります。
研究開発部門では、安全・安心な化学合成農薬の創出、生産現場のニーズに合致した製品の研究開発に加え、他社からの製品導入や無形資産の買収に取り組み、ポートフォリオの拡充に努めております。2022年度は水稲用除草剤「クリアホープフロアブル」、日本農薬株式会社から供給を受けて野菜用病害防除剤の「メジャーフロアブル」及び温州みかん用の植物成長調整剤「ファイナルショット乳剤」、三井化学アグロ株式会社から供給を受けて無人航空機散布専用の害虫防除剤「アルバリン液剤10」の販売を開始、また日本化薬株式会社から除草剤・植物成長調整剤の有効成分「MCPB」の関連事業を継承いたしました。加えて、欧州の「Farm to fork」や日本の「みどりの食料システム戦略」に掲げられる生物多様性や脱炭素化が農業生産における社会課題として大きくクローズアップされ、当社を取り巻く事業環境の変化が予見される状況下、従来の化学合成農薬の範疇にとらわれることなく、IPM(総合的病害虫・雑草管理)に資する農薬や資材を市場展開するため、研究体制を改めました。また、株式会社エス・ディー・エス バイオティックと微生物農薬や天敵資材等の普及販売協業を開始いたします。
生産部門では、東京電力福島第一原子力発電所事故による福島工場の操業停止から12年となる中、山口工場はその代替工場として2018年11月に建設され、2021年2月にISO9001の認証を取得しました。茨城工場・直江津工場と併せて自社生産体制の向上により、製品の安定供給とコスト削減に取り組むとともに、品質保証と顧客満足の向上に努めております。また、山口工場は西日本の物流拠点としての機能を備えており、東日本の物流拠点である所沢物流倉庫と併せた効率的な運用による一層のサービス向上に努めてまいります。
なお、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故による営業損害につきましては、東京電力ホールディングス株式会社に対し損害賠償訴訟を係属中であります。
営業技術普及部門では、農業生産者への適切な技術情報の提供に加えて、土壌分析室を活用し、農業の根幹となる土づくり、土壌のセンチュウ対策、病害虫診断の支援活動を拡大しています。さらに、グローバルGAP認証取得支援ならびに地域の農業・栽培問題解決のための研究実践農場(カネショウファーム)の運営も全国7か所にて展開し、これらのサービス提供により地域農業や農業生産者への貢献に努めております。また、新型コロナウイルス感染拡大時に強化した「お客様相談窓口」は継続し、能動的に製品の技術情報などお客様のお問合わせに対応しております。
海外事業部門では、主力製品「カネマイトフロアブル」の登録が世界50か国で認可され、更に8か国で開発を進めております。また、アセキノシル新製剤である「Veto 30SC」は、2021年10月に米国カリフォルニア州で登録が認可され本年より米国での本格販売を開始しました。今後も全世界的に開発を進めてまいります。「ネマキック粒剤・液剤」については現在9か国で登録が認可され今後も登録国の拡大に取り組んでまいります。また、海外子会社を通じて全世界で「バスアミド微粒剤」、「D-D」の登録維持・拡大・販売活動を継続し、韓国においては現地販売会社・小売店・農家に対する直接的な支援を強化してまいります。
当連結会計年度においては、主に主要剤である土壌消毒剤のうち、「バスアミド微粒剤」が国内、海外共に好調、海外向け「D-D」も北米、中南米等で売上を伸ばし、前連結会計年度を上回り、ダニ剤「カネマイトフロアブル」の海外向けも欧州を中心に好調で害虫防除剤も前連結会計年度を上回り、売上高は前連結会計年度を上回りました。また、営業利益、経常利益も前連結会計年度に対し増加しておりますが、当社の連結子会社である株式会社KANESHO CHPに関する特別損失(減損損失)8千万円を計上いたしました。これは同社の保有する「クロルピリホス剤」に関する知的財産権として計上したのれんの回収可能性について検討し、減損処理を行ったものです。
この結果、当連結会計年度の売上高は166億4千万円(前連結会計年度比15億3千5百万円の増加、前連結会計年度比10.2%増)、営業利益は16億5千万円(前連結会計年度比4億1千7百万円の増加、前連結会計年度比33.8%増)、経常利益は17億7百万円(前連結会計年度比4億2千4百万円の増加、前連結会計年度比33.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億1千7百万円(前連結会計年度比5億5千2百万円の増加、前連結会計年度比151.1%増)となりました。
国内では「カネマイトフロアブル」、「チューンアップ顆粒水和剤」、「バイスロイドEW」、「アルバリン剤」が前連結会計年度を下回りましたが、「ダニエモンフロアブル」、「エコマイト顆粒水和剤」、「ダーズバンDF」、「ヨーバルフロアブル」が前連結会計年度を上回りました。海外では「カネマイトフロアブル」が北米では前連結会計年度を若干下回りましたが、スペインを中心に欧州等で好調に売上を伸ばし、またアセキノシル新製剤である「Veto 30SC」が、2021年10月に米国カリフォルニア州で登録が認可され、第2四半期より米国での本格販売を開始し、売上に貢献し、害虫防除剤全体で前連結会計年度を上回る結果となりました。この結果、売上高は43億7千7百万円(前連結会計年度比1億4千2百万円の増加、前連結会計年度比3.4%増)となりました。
「兼商クプロシールド」、「アフェットフロアブル」、が前連結会計年度を下回りましたが、「キノンドーフロアブル」「キノンドー顆粒水和剤」、「ストライド顆粒水和剤」、「モレスタン水和剤」が前連結会計年度を上回り病害防除剤全体で前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は9億3千1百万円(前連結会計年度比3千7百万円の増加、前連結会計年度比4.2%増)となりました。
国内では「D-D」が前連結会計年度を下回りましたが、「ネマキック粒剤」、「バスアミド微粒剤」は前連結会計年度を上回りました。海外では「ネマキック粒剤」、「D-D」が北米、中南米等で増加、「バスアミド微粒剤」が前連結会計年度では出荷出来なかった韓国向けが売上に貢献し、土壌消毒剤全体で前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は83億6千1百万円(前連結会計年度比11億1千万円の増加、前連結会計年度比15.3%増)となりました。
「モゲトン粒剤」、「カソロン剤」、「アークエース1キロ粒剤」が前連結会計年度を上回り、除草剤全体で前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は17億3千8百万円(前連結会計年度比1億5千1百万円の増加、前連結会計年度比9.5%増)となりました。
展着剤が前連結会計年度を下回りましたが、園芸用品、植調剤が前連結会計年度を上回り、その他全体で前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は12億3千1百万円(前連結会計年度比9千2百万円の増加、前連結会計年度比8.1%増)となりました。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。なお、当社グループは単一セグメントのため、製品の種類別に記載しています。
(注) 金額は正味販売価格により算出しております。
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)及び当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当社グループ製品は見込生産を主体としており、総販売高に占める受注生産の割合は僅少のため受注状況の記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。なお、当社グループは単一セグメントのため、製品の種類別に記載しています。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当連結会計年度の総資産280億7千万円は、前連結会計年度の266億1千万円に比べ、14億6千万円の増加となりました。これは主に売掛金が12億9百万円、電子記録債権が2億7百万円、現金及び預金が8億8千3百万円増加する一方、減価償却及びのれんの減損損失等により固定資産が5億4千5百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度の負債72億8千1百万円は、前連結会計年度の67億1千2百万円に比べ、5億6千9百万円の増加となりました。これは主に買掛金が3億8千万円、未払法人税等が2億5百万円、流動負債のその他が2億2千3百万円増加する一方、借入金の返済で長期借入金が3億9千万円減少したことによるものであります。
純資産は207億8千8百万円となり、前連結会計年度に比べ8億9千万円の増加となりました。これは主に利益剰余金6億4千2百万円増加したことによるものです。その結果、自己資本比率は70.7%、1株当たり純資産額は1,600円46銭となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は110億6千1百万円(前連結会計年度比8億8千3百万円の増加、前連結会計年度比8.7%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は 16億3千2百万円(前連結会計年度は7億4千8百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(16億2千7百万円)、減価償却費の計上(6億3千5百万円)による増加があったものの、売上債権の増加(12億3千9百万円)により減少したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は 1億1千3百万円(前連結会計年度は2億2千9百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産(1億1百万円)及び無形固定資産(2千万円)の取得により減少したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は 8億4千4百万円(前連結会計年度は25億3千5百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済(3億9千万円)、配当金の支払(2億7千4百万円)、非支配株主への配当金の支払額(1億6千6百万円)により減少したものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
(売上高)
売上高は166億4千万円(前連結会計年度比15億3千5百万円の増加、前連結会計年度比10.2%増)となりました。 製品の種類別の売上高につきましては、(1) 経営成績等の状況の概要に記載のとおりです。
(営業利益)
営業利益は16億5千万円(前連結会計年度比4億1千7百万円の増加、前連結会計年度比33.8%増)となりました。これは主に、研究開発に関する費用の増加等により販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上原価率が改善したためです。
(経常利益)
経常利益は17億7百万円(前連結会計年度比4億2千4百万円の増加、前連結会計年度比33.1%増)となりました。当連結会計年度は、営業外収益として、情報提供料収入、企業誘致奨励金、為替差益等の計上があり、経常利益では前連結会計年度に対し増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は9億1千7百万円(前連結会計年度比5億5千2百万円の増加、前連結会計年度比151.1%増)となりました。前連結会計年度は固定資産除却損、減損損失の特別損失等、多額の特別損失が計上されましたが、当連結会計年度は減損損失のみの計上となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益では前連結会計年度を上回る結果となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、原材料調達価格の動向、市場動向、為替動向、国内外の法令及び政治・経済動向等があります。
資材調達につきましては、重要な供給元とは関係強化を図るとともに、複数のソースを起用することと、生産と販売のバランスの調整、物流体制の見直しや最適化に努め、為替の影響によるリスクヘッジを含めた安定的な調達を進めております。
市場の変化に対しましては、国内販売部門において、マーケティング戦略に基づいた選択と集中を実践し、TCA活動を通して農家への推進を行い、自社剤の拡販に取り組んでまいります。また新規害虫防除剤「兼商ヨーバルフロアブル」が上市したことにより、更に売上拡大を進めていきます。海外販売部門においては、ダニ剤「カネマイトフロアブル」、「ネマキック粒剤」の販売国、適用作物の拡大を最重要課題として取り組んでおります。研究開発部門では引き続き、新剤の開発に取り組んでおります。
国内外の法令や政治・経済動向等につきましては、海外事業本部、法務文書室等を中心とし、情報を入手するとともに、海外子会社及び関係会社と連携・情報共有を図ることで対応を行っております。
なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。また、設備投資等の長期資金需要につきましては、自己資金はもとより、金融機関からの借入等、金利コストの最小化を図れるように資金調達を行っております。
該当事項はありません。
2022年12月31日現在
(注) 1.本社事務所及び直江津工場は、賃借しております。
2.従業員数は就業人員であります。
3.当社は単一セグメントのためセグメントに関連づけた記載は行っておりません。
4.提出会社の茨城工場の土地の面積及び金額については、同一所在地のため結城事業所に一括して表示しております。
主要な設備はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)2010年12月31日最終の株主名簿に記載された株主の所有普通株式1株につき、2株の割合をもって分割いたしました。
2022年12月31日現在
(注)自己株式909,850株は、「個人その他」に9,098単元、「単元未満株式の状況」に50株含まれております。
2022年12月31日現在
(注)1.記載株数は、千株未満を切捨てて表示しております。
2.2022年11月21日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、ユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン株式会社が2022年11月14日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社としては2022年12月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その大量保有報告書の変更報告書の内容は以下のとおりであります。
3.2020年8月7日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、株式会社ヴァレックス・パートナーズが2020年8月3日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社としては2022年12月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。