東邦化学工業株式会社
(注) 1 従業員数は、嘱託等を除く就業人員数を表示しております。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第85期の期首から適用しており、第85期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 従業員数は、嘱託等を除く就業人員数を表示しております。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第二部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第85期の期首から適用しており、第85期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループは、当社(東邦化学工業株式会社)及び子会社7社で構成され、化学工業製品事業として、界面活性剤、樹脂、化成品、スペシャリティーケミカル等の製造販売を主たる業務とし、更にその他の事業として環境調査測定・分析業務、市場調査等の業務を展開しています。
セグメントの区分ごとの事業の内容は次のとおりであります。
当社グループの事業にかかわる位置付けの概要図は次のとおりであります。

(注) TOHO CHEMICAL (THAILAND) CO.,LTD.及び恵州市東邦化学有限公司は、実質的な支配関係にあるため、子会社とみなしています。
(連結子会社)
(注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。
2 懐集東邦化学有限公司及び東邦化学(上海)有限公司は特定子会社に該当しております。
3 上記会社は、有価証券届出書及び有価証券報告書を提出しておりません。
2023年3月31日現在
(注) 従業員数は嘱託等(34名)を除く就業人員数であります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は嘱託等(27名)を除く就業人員数であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
当社グループの労働組合は下記のとおりであります。
東邦化学工業株式会社
化学一般労働組合連合全関東地方本部東邦化学工業労働組合と称し、2023年3月31日現在の組合員数は165名であります。
1993年10月1日、東邦千葉化学工業株式会社との合併に伴い東邦千葉化学工業労働組合が千葉工場にあり、2023年3月31日現在の組合員数は103名であります。
近代化学工業株式会社
近代化学労働組合と称し、2023年3月31日現在の組合員数は21名であります。
各組合とも今日まで健全な歩みを続けており、労使関係も安定しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、取引先に信頼され、株主・社員に報い、社員が誇りと意欲をもって働く企業を目指します。
小粒でも光るファインケミカル中心の中堅優良化学メーカーとして、社会に貢献するとともに、独自性のある技術・製品を擁し、環境志向等時代のニーズへの即応力を備え、CS(顧客満足度)においても高い評価を得られる企業グループとなるよう努めてまいります。
当社グループは、2023年3月期を初年度とする「TOHO Step Up Plan 2024」(以下、「中計」という。)に取り組んでおります。中計に掲げた数値目標と課題は、(3) 目標とする経営指標、(5) 対処すべき課題に記載のとおりです。中計においては、多岐にわたる製品群と幅広い技術を有する当社グループの特色や強みは生かしながらも、「選択と集中」を一層徹底し、経営資源を成長事業へ集中的に投入することにより、収益力を改善・強化すべく全力で取り組んでおります。
中計では、継続的な事業規模の拡大と収益性の向上、財務の健全性確保、資本の効率的な活用、株主の皆様への還元を重視し、下記の指標を数値目標としております。
数値目標(連結) <最終年度(2025年3月期)>
2024年3月期は、新型コロナウイルス禍が収束に向かい、社会経済活動の正常化が進むことによる景気の持ち直しが期待されます。一方、ロシア・ウクライナ問題の長期化や、物価上昇による消費者マインドの悪化、各国の政策金利引き上げによる世界的な景気後退、経済のブロック化による貿易の停滞等による悪影響が懸念されます。
中計(2023年3月期~2025年3月期)の重要課題と対応状況につきましては以下のとおりです。
(最重要課題)
2022年度上期の原材料価格・用役費急騰への対応のため、全社をあげて製品価格の見直しを推進したことにより、各製品の採算に対する社員の意識が確実に向上しました。製品別営業利益の見える化が進み、それを元に不採算製品や少量製品の取引条件是正や販売見直しに着実に取り組んでおります。
2021年12月に完工した電子情報産業用微細加工用樹脂製造のための新プラントが、2022年5月に稼働を開始しました。新プラント稼働に必要な人員の確保や教育も進み、ユーザー認証を得た製品から順次量産に移行し、新プラントの立ち上がりは順調に進捗しております。足許では半導体市況が悪化していますが、中長期的には需要拡大基調は変わらず、ユーザーからの供給能力増強への期待は依然として高いため、新プラント内の残りのエリアに製造設備を増設する計画を進めております。
2022年度は上海市のロックダウンや、近接する他社の爆発火災事故などの不測のマイナス要因があり、営業利益の黒字回復は果たしたものの、利益は低水準にとどまりました。2023年度は、中国のゼロコロナ政策終了による景気回復が見込まれること、高温蒸気の供給開始(2022年9月)によって高温反応が必要な製品の製造が可能となり第2期増設設備の稼働率向上が見込まれること、加えて上記のマイナス要因が解消することもあり、大幅な業績改善を見込んでおります。確実にそれを実現することによって同社を早期に成長軌道に乗せるよう、全力を挙げてまいります。
(その他重要課題)
各工場でのエネルギー消費の実態を把握するための計器を増設し、消費削減に向けた分析を進めております。生産合理化への取り組みにおいては、電子情報材料の生産工程時間短縮や廃水削減、香粧原料製品の生産効率化などの成果が実現しております。また、ユーザーのニーズに合わせた環境負荷低減製品の開発も土木建築用薬剤等で進捗しております。
千葉工場における電子情報材料事業のウエイトを高めるなど、各工場の生産製品がそれぞれの位置づけや役割分担に沿ったものとなるよう、工場間の生産移管を進めております。それに伴い、鹿島工場の生産能力増強に向けた貯槽増設や、四日市工場の樹脂エマルション製品用設備増設など、生産移管に必要な設備への投資も計画どおり進捗しております。東邦化学(上海)有限公司の高温蒸気供給開始に伴い、高温反応が必要な製品の同社への生産移管も進めております。
電子情報材料の先端製品の開発が進捗しているほか、土木建築用薬剤、プラスチック用添加剤等でも開発テーマが着実に進捗しております。また、事業分野等の枠組みにとらわれないプロジェクトチームやワーキンググループの活用による技術の横展開を進めており、樹脂エマルション等で効果が実現しております。
稟議書の電子化によって社内決裁が迅速化したほか、物流部門でのユーザー向け請求書・納品書の電子化が実現し、ITの活用による省力化・省人化を進めております。工場においても、溶剤プラントにおいてインライン分析を導入し、分析作業の負担を大幅に削減できたほか、新たな分析機器導入による検査業務の合理化等の進展がありました。また、社員のモチベーション向上のため、人事制度改定の検討を進めており、今後、導入に向けた準備を行ってまいります。
また、当社は2023年2月26日、第三者による不正アクセスを受けたことを確認いたしました。バックアップデータや従業員のパソコンは被害を免れたため、基幹システムなどの業務に係るシステムは順次復旧しており、生産や販売等の主要な業務には大きな影響はありませんでした。しかしながら、外部専門家による調査の結果、当社が保有するデータの一部が外部に流出した形跡が確認されました。情報の漏えいに関しましては、警察当局や個人情報保護委員会への報告を行い、外部専門家の指導のもと、必要な対応を行っております。お取引先様や株主様をはじめとする関係各位に多大なるご心配とご迷惑をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます。
当社は、本件を厳粛に受け止め、外部専門家の助言のもと、再発防止に真摯に取り組んでおります。本件発覚以降、被害拡大防止及び二次攻撃防止のため、インターネットへのアクセスを遮断しており、今後、情報セキュリティ強化のための十分な対策を講じ、外部専門家から安全性に対する評価を得られるまでは、インターネットへのアクセスを遮断した状態を継続いたします。情報セキュリティ強化のための対策については、外部専門家からネットワークやIT機器、利用者の監視強化等を推奨されており、専門企業による常時監視を導入するなど、監視強化の対応を進めております。引き続き、外部専門家の助言を得ながらセキュリティ対策の全体像を固めていく過程にありますが、着手可能な対策から順次対応を進めてまいります。
本件の影響を最小限に食い止め、万全の再発防止策を講じ、皆さまからの信頼を回復できるよう、情報セキュリティ強化への対応を喫緊の最優先課題として全力で取り組んでまいります。
当社グループの経営活動において財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、このようなリスクに対処する体制等を「リスク管理規程」に定めるとともに、リスクを横断的に管理する組織として、代表取締役社長が委員長を務めるコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に努めております。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが生産する製品の種類は多く、さまざまな分野や用途で使用されており、特定の製品の売上・利益が変動することで業績が左右されるリスクは抑えられております。しかしながら、主要製品分野の業界の需要が低迷した場合、売上高が減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、景気の悪化によって取引先の信用リスクが顕在化し、回収不能が発生した場合には、貸倒引当金や貸倒損失の計上等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの製品は、石油化学製品、油脂、化成品等を主な原料としており、その仕入価格は特に原油価格の変動の影響を強く受けております。原材料価格が高騰し、製品価格への転嫁が困難な場合や遅れた場合には、売上原価が増加し、利益が減少するなど、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、主要な原材料については、リスク管理の観点からも可能な限り複数の取引先から購入を行っております。また、安全在庫の確保や原材料メーカーとの協力体制強化に努め、一部の重要な原材料については自製化の研究も進めております。しかし、原材料メーカーの被災・事故・倒産等による生産活動停止、サプライチェーンや物流の混乱・寸断等により、原材料の入手が困難になる可能性があります。そのような場合には、生産活動の停滞に伴う売上高の減少や、原材料価格の高騰による売上原価の増加により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、工場の操業停止によるマイナス影響を最小限にするため、安全教育の徹底のほか、すべての設備について日常点検と、操業を止めて実施する定期的な点検を行い、その中で耐震補強工事も実施しております。さらに、汎用設備で生産可能な製品については順次複数工場での生産を可能とすることでリスクの分散を図っております。しかし、一部の製品については専用設備でしか生産できず、しかも専用設備が単独の工場にしかないものもあります。これらの製品については、大規模地震等により工場の操業を停止する事態が発生した場合には、顧客への供給に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの国内生産能力の大部分は千葉県、神奈川県、茨城県の関東3県に位置しているため、関東広域にわたって甚大な被害を及ぼす災害が起こった場合は、それらの生産機能が同時に停止する可能性もあります。加えて、災害に伴いサプライチェーンや物流の混乱・寸断が発生した場合には、(2)②に記載の原材料の調達への影響のほか、顧客への出荷活動に悪影響を及ぼす可能性があります。それらの結果、売上高の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、危険物及び化学製品の取り扱いについて、事故発生の未然防止のため、すべての製造設備の定期的な点検の実施、安全教育の徹底、安全装置及び消火設備の充実等、安全操業体制の強化に日々取り組んでおります。しかしながら、万一、当社グループの工場において火災・爆発・化学物質の流出等の事故が発生し、当社グループの事業活動及び地域社会に大きな影響を及ぼした場合、社会的信用の失墜、補償等を含む事故への対応費用、生産活動の停止による機会損失等により、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、新型コロナウイルスに対し、従業員とその家族の安全と健康を守るための対策を徹底しつつ、生産・販売・在庫・物流状況に応じた施策を実施することで、その影響を最小限に抑えてきました。新型コロナウイルスによる影響は徐々に弱まっておりますが、今後新たな感染症が当社グループの従業員に発生し、拡大した場合、一時的な操業の停止等の結果、売上高が減少するなど、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
不測の事態によりシステム障害が発生し、影響が長期化した場合には、事業活動の停止や対応費用の発生などにより、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、情報漏えい、滅失又は毀損が発生した場合には、社会的信用の失墜、ノウハウの流出又は逸失による競争力の低下、損害賠償責任の発生、対応費用の発生などにより、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
そのようなリスクがある中、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)対処すべき課題」に記載のとおり、当社のサーバーが第三者による不正アクセスを受け、当社が保有するデータの一部が外部に流出する事案が発生いたしました。当社としては、影響を最小限に食い止めるべく、本事案への対応を喫緊の最優先課題として全力で取り組んでまいります。
当社グループは、独自性を有する技術力の強化による製品の差別化、生産性の改善による価格競争力の向上、品質管理の厳格化や納期厳守等による顧客からの信頼獲得等、競争優位性の維持・向上に努めております。また、当社グループが生産する製品の種類は多く、さまざまな分野や用途で使用されており、特定の製品の売上・利益が変動することで業績が左右されるリスクは抑えられております。しかしながら、海外安価品の流入等による価格競争の激化、新興国企業の台頭、競合他社の急速な技術力アップ、当社が製品を販売している化学品メーカーにおける当該製品の自製化等、環境の変化により、当社グループの競争力が低下する可能性があります。
また、当社グループの新技術・新製品の開発期間が長期化し、顧客のニーズに適時・適切に対応できない場合や、生産性の改善が進まない場合にも、当社グループの競争力が相対的に低下する可能性があります。それらの結果、売上高の減少や利益率の低下による利益の減少等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
東邦化学(上海)有限公司は、2014年4月に商業生産を開始し、黒字化実現に当初想定以上の時間を要しましたが、2019年度に操業開始以来初の営業損益黒字化を、2020年度には初の経常損益黒字化を達成しました。しかしながら、2021年度はコロナ禍に加え、中国国務院査察により約3ヵ月間の生産停止指示を受けたことから営業損益は赤字となりました。2022年度も上海市のロックダウンや近接する他社の爆発火災事故などの不測のマイナス要因が重なり、営業損益の黒字回復は果たしたものの、利益は低水準にとどまりました。
現在、中国を中心とした海外市場の開拓、開発案件の早期実績化、国内工場からの製造移管、2020年8月に完工した第2期増設設備の稼働率向上等に注力しておりますが、投資額に見合う業績の拡大を果たせない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、同社の業績の悪化や保有資産時価の著しい下落等が生じた場合、同社の固定資産に減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは製品の一部を中国で生産しており、中国を中心に、アジア、欧米などの海外市場に向けて販売しております。中国において、政治・経済情勢の悪化、予期しない法律・規則の変更、人材の採用・確保の困難、テロ・戦争・労働争議その他の社会的混乱の発生、治安の悪化、感染症の流行等のリスクが顕在化した場合、中国に所在する連結子会社3社の生産活動や販売活動に悪影響を及ぼし、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、上記カントリーリスクが顕在化し、中国が主要な生産地である原料等の調達に支障をきたした場合、生産活動に悪影響を及ぼし、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。特に足許の懸念材料としては、中国国内の環境面や安全面での規制強化が進むことや、世界経済のブロック化により貿易が停滞すること、台湾情勢の緊迫化等により日中関係が悪化することなどが、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性のあるものとして挙げられます。
当社グループの在外連結子会社の財務諸表は、連結財務諸表作成のため円換算しておりますが、その円換算額は為替相場の動向に左右されます。在外連結子会社3社はすべて中国に所在しているため、日本円と中国元との間の為替相場に大幅な変動が生じた場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループには2023年3月末時点で29,944百万円の借入金・社債・リース債務を含む有利子負債があります。借入金に係る金利変動リスクに対しては金利スワップの活用等によりリスクの低減を図っておりますが、市場金利が上昇した場合、支払金利が増加し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、当社グループと金融機関との取引関係は長期間にわたり安定的に推移しておりますが、金融市場の変動や当社の信用状態の変化によって、当社グループが必要とする金額の資金調達を金融機関から適時に行うことができない場合、当社グループの資金繰りに大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、工場における生産活動に関し、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の認証を取得し、各種製品の製造及び品質管理を行っております。また製造物責任賠償保険にも加入しております。しかしながら、将来的にすべての製品に欠陥がなく、不良品が発生しない保証はありませんし、この保険が、最終的に負担する賠償額をすべてカバーできるとも限りません。このような保険金額を上回る損害賠償や、大規模なクレームを引き起こす欠陥は、多額のコスト発生による利益の減少や、当社グループの評価・信用の悪化に伴う売上減少等の原因となり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、研究開発活動で得た当社グループ独自の技術・ノウハウについて、特許出願や営業秘密の外部流出防止策徹底により知的財産の保護を行っております。しかしながら、「(4)情報セキュリティに関するリスク」にも記載のとおり、当社のサーバーが第三者による不正アクセスを受け、当社が保有するデータの一部が外部に流出する事案が発生いたしました。当社から流出した当社独自の技術・ノウハウが不正利用され、当社グループの競争力が低下した場合、売上高の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、新たな技術・製品の開発に当たっては、他社の知的財産権を十分に調査解析した上で、独自の技術・製品を開発しておりますが、当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして係争が生じた場合、売上高の減少やコストの増加等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、「脱炭素化へ向けた取り組み方針」を定め、長期目標として「カーボンニュートラルの実現」を掲げております。CO2排出量の抑制につながる省エネ・省資源対策を中心に取り組んでおりますが、各国政府により温暖化ガス排出量取引が本格的に導入された場合や炭素税が適用された場合には、直接的なコストが増加する可能性があるほか、それらを原因とした原料や燃料、電力価格の上昇も危惧されます。加えて、再生可能エネルギーやバイオマス原料・燃料の使用割合を増やす必要が生じた場合には、それに伴ってコストが増加する可能性があります。また、当社グループは、環境負荷低減製品の開発にも注力しておりますが、化石燃料由来品の使用見直し等、顧客ニーズに大きな変化が生じた場合、既存事業に大きなマイナス影響が生じる可能性があります。さらに、気候変動に対する当社グループの取り組みが不十分とみなされた場合には、社会的信用が低下し、売上高の減少等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けております。当社グループでは、すべての法律、規制の遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として、東邦化学工業グループ共通の「行動規範」を制定し、この規範の啓蒙・教育をとおし、コンプライアンス体制の構築に努めております。しかしながら、急な規制強化や変更が行われた場合、事業活動が制限されたり、対応コストが発生することにより、売上高の減少やコストの増加等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、国内外の事業活動に関連して、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがないとは言い切れません。将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、人材戦略を事業活動における最重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人材の確保・育成が必要と認識しております。多様な人材の積極的な採用や育成を通じた最適な人材の確保、生産工程の省人化等による人的資源の有効活用に努めておりますが、適切な人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受け、または機会損失が生じるなど、売上高の減少により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は続いたものの、行動制限の緩和によって社会経済活動が徐々に正常化に向かい、景気は緩やかな持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ロシア・ウクライナ問題が長期化する中、昨年末までのゼロコロナ政策継続による中国経済の減速や、コストプッシュ型の物価上昇による消費意欲の冷え込み、米国をはじめとする各国の金融引き締めによる景気の悪化など、世界経済は厳しい状況となりました。
化学業界におきましては、ロシア・ウクライナ問題の発生以降、2022年年央にかけて、原材料価格や用役費の急騰が業績に大きなマイナス影響を及ぼしました。その後も、世界経済の減速に伴う世界的な石油化学製品の需要鈍化や用役費の更なる高騰が業績の下押し要因となる厳しい状況が続きました。
このような経営環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、原材料価格や用役費の値上がりに伴う売価の上昇により、前期比5,474百万円、11.0%増収の55,361百万円となりました。
しかしながら、利益面につきましては、営業利益は1,384百万円となり、前期とほぼ同水準(2.9%増益)にとどまりました。その大きな要因として、上半期の営業利益が303百万円にとどまったことが挙げられます。上半期は、原材料価格・用役費の急騰に対して、製品の値上げによる対応が遅れたことが大きなマイナス要因となりました。また、海外においては、中国・上海市のロックダウンや、近接する他社の爆発火災事故による当社連結子会社東邦化学(上海)有限公司の操業の一時停止、ロジンの相場価格の大幅な値下がりによる当社連結子会社懐集東邦化学有限公司の在庫評価損発生によるマイナス影響がありました。下半期は、世界経済の減速傾向が強まる中、自動車・家電関連をはじめ製品需要は総じて弱含みで推移しましたが、製品価格の値上げをはじめとする採算改善への取り組みが進捗したため営業利益は1,080百万円となり、上半期対比大幅に改善しました。また、上半期・下半期を通じて合計約300百万円の多額の製品廃棄損等が発生したことも利益面のマイナス要因となり、通期の営業利益は1,384百万円となりました。経常利益は、為替差益の大幅な減少を主因として前期比753百万円減益の1,179百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比418百万円減益の977百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントを変更しており、アクリレートをスペシャリティーケミカルセグメントから樹脂セグメントに移管しております。当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づき記載しております。
(界面活性剤)
香粧原料は、一般洗浄剤の販売数量が減少したものの、原料価格の値上がりに伴う製品売価の上昇により増収となりました。プラスチック用添加剤は、主力の帯電防止剤や乳化重合剤等、全般的に販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。土木建築用薬剤は、販売数量は前期比微増であり、主に製品売価の上昇により増収となりました。農薬助剤は、国内を中心に販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。繊維助剤は、国内外ともに販売が低調で減収となりました。紙パルプ用薬剤は、販売数量は前期比微増であり、主に製品売価の上昇により増収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比3,447百万円、13.0%増収の30,062百万円となりました。セグメント利益は、200百万円弱の製品廃棄損等の発生があったものの増収効果により前期比56百万円増益の774百万円となりました。
(樹脂)
石油樹脂は、原料不足による減産の影響で販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。合成樹脂は、自動車部品向け等の販売が伸長したことに加え、製品売価の上昇により増収となりました。樹脂エマルションは、フロアーポリッシュ用や塗料用等が振るわず減収となりました。アクリレートは、中国における電子情報材料関連の需要の落ち込みを主因に減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比85百万円、1.8%増収の4,957百万円となり、セグメント損益は、8百万円の損失(前期は32百万円の損失)となりました。
(化成品)
合成ゴム・ABS樹脂用ロジン系乳化重合剤は、自動車関連需要が低調で国内外ともに販売数量は減少し、減収となりました。金属加工油剤は、販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。石油添加剤は、海外向け販売数量が増加したこと並びに製品売価の上昇により増収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比380百万円、5.8%増収の6,934百万円となり、セグメント利益は、懐集東邦化学有限公司における在庫評価損の発生により前期比95百万円減益の134百万円となりました。
(スペシャリティーケミカル)
溶剤は、全般的に販売が低調であったことから減収となりました。電子情報産業用の微細加工用樹脂は、半導体関連の販売数量の増加並びに製品売価の上昇により増収となり、当セグメント全体の売上高は、前期比1,589百万円、13.6%増収の13,272百万円となりました。一方、セグメント利益は電子情報材料用樹脂製造所の新設に伴う減価償却費等の固定費の増加や、100百万円を超える製品廃棄損等の発生により、前期比74百万円減益の418百万円となりました。
なお、上記の各セグメント利益の前期比の数値は、(セグメント情報等)「報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報」の表における「報告セグメント」の比較情報です。
加えて、報告セグメントに含まれないその他の事業セグメント(環境調査測定・分析業務等)の営業利益が21百万円、各セグメントに帰属しない調整額(棚卸資産の調整額等)が44百万円(前期は△72百万円)あります。
当連結会計年度末の総資産は、67,951百万円と前期比1,462百万円の増加となりました。その内訳は、流動資産が2,066百万円増加の36,968百万円、固定資産が603百万円減少の30,982百万円です。
流動資産の主な増減要因は、現金及び預金が1,423百万円の減少、売掛金が686百万円の増加、商品及び製品が2,532百万円の増加、原材料及び貯蔵品が943百万円の増加、その他(流動資産)が未収消費税等の減少を主因に638百万円の減少です。
固定資産の主な増減要因は、有形固定資産が482百万円の減少、無形固定資産が90百万円の減少、投資その他の資産が31百万円の減少です。
一方、負債合計は50,186百万円と前期末比604百万円の増加となりました。主な増減要因は、流動負債で、支払手形及び買掛金が855百万円の増加、短期借入金が1,884百万円の増加、1年内償還予定の社債が500百万円の減少、その他(流動負債)が設備関係支払手形の減少を主因に2,238百万円の減少、固定負債で、社債が100百万円の増加、長期借入金が545百万円の増加、リース債務が257百万円の減少、退職給付に係る負債が261百万円の増加です。
純資産は、17,765百万円と前期末比857百万円の増加となりました。主な増減要因は、利益剰余金が、配当金の支払いと親会社株主に帰属する当期純利益との差額の657百万円の増加、自己株式取得により156百万円の減少、その他の包括利益累計額が371百万円の増加です。
その結果、自己資本比率は26.0%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動により1,699百万円の増加、投資活動により4,591百万円の減少、財務活動により1,417百万円の増加となり、その結果、前連結会計年度末に比べ1,423百万円減少し、当連結会計年度末には5,882百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは1,699百万円の収入(前期は572百万円の支出)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益1,190百万円、減価償却費3,006百万円、退職給付に係る負債の増加額284百万円、仕入債務の増加額747百万円等であり、支出の主な要因は、売上債権の増加額461百万円、棚卸資産の増加額3,341百万円、法人税等の支払額372百万円等であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは4,591百万円の支出(前期比93百万円の支出増)となりました。支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出4,791百万円等であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,417百万円の収入(前期比1,689百万円の収入減)となりました。収入の主な要因は、短期借入金の純増額1,329百万円、長期借入金の純増額989百万円、セール・アンド・リースバックによる収入300百万円等であり、支出の主な要因は、社債の純減額410百万円、リース債務の返済による支出301百万円、配当金の支払額319百万円等であります。
当連結会計年度より報告セグメントを変更しており、前年同期比は、変更後の区分に基づき記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
受注生産は、行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況について)
売上高は、ロシア・ウクライナ問題発生以降の原材料価格や用役費の値上がりに伴う製品売価の上昇により、前期比5,474百万円、11.0%増収の55,361百万円となりました。
セグメント別の売上構成は、界面活性剤54.3%(前期は53.3%)、樹脂9.0%(同9.8%)、化成品12.5%(同13.1%)、スペシャリティーケミカル24.0%(同23.4%)、その他0.2%(同0.3%)となっております。
売上総利益は、原材料価格や用役費の上昇による損益へのマイナス影響を主因として売上高総利益率は13.2%と前期比1.3%低下したものの、増収による収益効果により、前期比62百万円増益の7,293百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、倉敷料の増加を主因に23百万円増加しました。その結果、営業利益は前期比39百万円増益の1,384百万円となりました。
営業外損益は、支払利息等により205百万円のマイナス(前期は為替差益や受取保険金を主因に588百万円のプラス)となり、その結果、経常利益は前期比753百万円減益の1,179百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比418百万円減益の977百万円となりました。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について)
外部要因として、お取引先の業界の景況と原材料価格の動向、内部要因として東邦化学(上海)有限公司の業績の動向が挙げられます。
当社のお取引先は、幅広い業界にわたっており、各業界の景況並びにそこでのお取引先の業績の状況が販売実績に影響します。当連結会計年度は、下期に世界経済の減速感が強まり、多くの業界において需要が鈍化しました。一方、原材料価格の値上がりに伴って製品売価が上昇したため、売上高は前期比増加しましたが、原材料価格の値上がり局面における製品価格の値上げの遅れが収益の下押し要因となりました。
東邦化学(上海)有限公司につきましては、当連結会計年度は、「ゼロコロナ政策」による中国経済の失速に加え、上海市のロックダウンや近接する他社の爆発火災事故による生産への影響もあり、営業利益の黒字回復は果たしたものの、利益は低水準にとどまりました。
その他、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業運営に必要な資本の財源及び流動性については、自己資金のほか借入金等の有利子負債を活用し、全体のバランスをみながら安定的に確保することを基本方針としております。このうち有利子負債の調達に関しましては、短期運転資金については、短期借入金、受取手形割引等により、設備投資資金や長期運転資金については、長期借入金や社債及びリースにより、資金調達をしております。
今後の重要な資本的支出の予定は、「設備の新設、除去等の計画」に記載のとおりですが、その資金調達に関しましても、上記方針に則り調達を実施する予定です。
なお、当連結会計年度末における借入金・社債・リース債務を含む有利子負債の残高は29,944百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,882百万円となっております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが1,699百万円のプラスとなりましたが、一方で、投資活動によるキャッシュ・フローが4,591百万円のマイナスとなりましたので、フリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は2,891百万円のマイナスと、5期連続のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増等により1,417百万円のプラスとなりました。その結果、現金及び現金同等物は1,423百万円の減少となっております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注1)
・自己資本比率:自己資本÷総資産
・時価ベース自己資本比率:株式時価総額÷総資産
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷支払利息
(注2)
・各指標は、連結ベースの財務数値より算出しております。
・株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
・キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
・有利子負債は連結貸借対照表に計上されている社債・借入金の合計額を対象としております。
・支払利息は連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について)
当社グループは、2023年3月期を初年度とする「TOHO Step Up Plan 2024」(以下「中計」という。)において、売上高、営業利益、売上高営業利益率、純資産額、自己資本比率、自己資本利益率(ROE)、1株当たり配当額の7つの指標を数値目標としております。
各指標の2025年3月期の目標値(中計で掲げた目標値)と2023年3月期の実績は下記のとおりです。
当連結会計年度は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、売上高は前期比増収となりましたが、営業利益は前期比微増にとどまりました。その結果、売上高営業利益率は2.5%となり、前期比0.2%低下いたしました。純資産額は、利益剰余金の増加に加えて為替換算調整勘定が増加したことがプラス要因となり、前期比857百万円増加いたしました。自己資本比率は、純資産額の増加により前期比0.7%改善いたしました。ROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比減益となったことに伴って低下し、5.7%となりました。1株当たり配当額は、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比減益であったものの、株主の皆さまへの収益還元を重視し、前期と同じ15円配当といたしました。
2024年3月期は、世界経済の減速下、足許の製品需要鈍化の影響は一定期間続くと見られますが、2023年3月期の一過性のマイナス要因が解消すること、並びに2023年3月期に稼働を開始した電子情報産業用微細加工用樹脂製造のための新プラントが生産を本格化し、通期にわたって売上に寄与することなどから、大幅な増益を見込んでおります。2023年3月期の遅れを挽回し、中計最終年度の数値目標達成を目指します。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために、実際の結果は異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社の財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
当社グループは、棚卸資産の評価基準及び評価方法として移動平均法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。
当社グループの保有する棚卸資産は、経済環境の影響を受けて価格が大きく変動する傾向にあるため、市場価格が下落した場合には、棚卸資産の簿価を切り下げ、売上原価を増加させることになります。
当社グループは、投資有価証券の期末における時価が、取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当社グループの規定に基づき回復可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能額が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、債権の貸倒の損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。一般債権の貸倒実績率については、過去3期の貸倒実績に基づき算出しております。顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合等、追加引当が必要となる可能性があります。
当社グループは、退職給付費用及び債務について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び死亡率などがあります。それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されております。退職給付費用及び債務の計算に影響を与える最も重要な前提条件は、割引率です。当連結会計年度の退職給付費用の計算に適用した割引率は0.6%です。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の利回りなどを考慮して決定しています。
なお、一部の連結子会社は、退職給付債務の算定にあたり簡便法を採用しております。
退職給付費用及び債務の計算の前提条件と実際の結果に差異が生じた場合や、前提条件自体が変更になった場合、退職給付債務及び将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を十分に検討し、回収可能と判断した額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額は、その時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。また、税制や税率が変更された場合、繰延税金資産の回収可能性の評価に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、固定資産のうち、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった資産又は資産グループについて、帳簿価格を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損損失を判定するにあたりましては、販売・生産拠点を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候を判定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、経営環境の変化による収益性の変動等により、想定していた投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合、減損処理を実施し、減損損失が発生する可能性があります。
該当事項はありません。
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具備品及び建設仮勘定の合計であります。
2 追浜研究所、千葉研究所の土地は、追浜工場、千葉工場にそれぞれ含んでおります。
3 四日市工場の土地の内7,849㎡は借用中であります。
(注) 1 懐集東邦化学有限公司は工場用地として30,284.40㎡、東邦化学(上海)有限公司は工場用地として100,237.10㎡を借用しております。
2 帳簿価額のうち「その他」には、借地権を含んでおります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 有償、一般募集、1株当たりの発行価格788円、1株当たりの資本組入額394円
(注) 自己株式321,991株は、「個人その他」に3,219単元、「単元未満株式の状況」に91株含まれております。
なお、期末日現在の実質的な所有株式数は、321,991株であります。
2023年3月31日現在
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、界面活性剤分野を中心に様々な化学製品の製造販売を行っており、主に製品別に事業展開しております。
したがって、当社は、製品別のセグメントから構成されており、「界面活性剤」、「樹脂」、「化成品」及び「スペシャリティーケミカル」の4つを報告セグメントとしております。
「界面活性剤」は香粧原料、プラスチック用添加剤、土木建築用薬剤、紙パルプ用薬剤、農薬助剤、繊維助剤等の製造販売を行っております。「樹脂」は合成樹脂、石油樹脂、樹脂エマルション、アクリレート等の製造販売を行っております。「化成品」はロジン系乳化重合剤、石油添加剤、金属加工油剤等の製造販売を行っております。「スペシャリティーケミカル」は溶剤、電子情報産業用の微細加工用樹脂等の製造販売を行っております。