東洋インキSCホールディングス株式会社
(1) 連結経営指標等
(注) 1 2018年7月1日を効力発生日として、普通株式5株につき1株の割合で株式併合を実施しております。これに伴い、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、第181期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、算定しております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第185期の期首から適用しており、第185期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(2) 提出会社の経営指標等
(注) 1 2018年7月1日を効力発生日として、普通株式5株につき1株の割合で株式併合を実施しております。これに伴い、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、第181期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、算定しております。
2 第181期の1株当たり配当額53.00円は、2018年7月1日効力発生日による株式併合前の中間配当額8.00円と株式併合後の期末配当額45.00円であります。
3 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。なお、第181期の最高株価及び最低株価は、2018年7月1日効力発生日による株式併合後の最高・最低株価を記載し、( )内に当該株式併合前の最高・最低株価を記載しております。
連結財務諸表提出会社(以下当社と称する)は、1896年に個人経営「小林インキ店」として創業し、1905年に合資会社に、1907年には株式会社に組織変更するとともに「東洋インキ製造株式会社」(資本金30万円)と商号を変更しました。さらに2011年に持株会社制へ移行し、東洋インキ株式会社、トーヨーケム株式会社を新設分割設立し事業を承継させるとともに、「東洋インキSCホールディングス株式会社」と商号を変更し、現在にいたっております。
当企業グループは当社、連結子会社61社及び持分法適用関連会社7社により構成されております。
当企業グループが営んでいる事業内容は、次のとおりであります。
なお、100%子会社である東洋インキ株式会社は2023年1月に同じく100%子会社である東洋インキ北海道株式会社、東洋インキ東北株式会社、東洋インキ中四国株式会社、東洋インキ九州株式会社、東洋インキグラフィックス株式会社、東洋インキグラフィックス西日本株式会社を吸収合併しております。
また、当企業グループとその他の関係会社凸版印刷株式会社との間で製商品等の取引が行われております。
当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することになります。
事業の系統図は次のとおりであります。

(注) 1 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2 「議決権の所有又は被所有割合」欄の( )は間接所有であり、[ ]は被所有割合であります。
3 トーヨーカラー株式会社、トーヨーケム株式会社、東洋インキ株式会社、東洋ビジュアルソリューションズ株式会社、東洋マネジメントサービス株式会社、TIPPS株式会社、トーヨーケムスペシャリティケミカル株式会社、東洋インキインド株式会社、東洋油墨極東有限公司、天津東洋油墨有限公司、上海東洋油墨制造有限公司、東洋インキヨーロッパスペシャリティケミカルズ株式会社、TIEインターナショナル株式会社、東洋プリンティングインクス株式会社、東洋インキアメリカ合同会社、東洋インキブラジル有限会社は、特定子会社であります。
4 凸版印刷株式会社は、有価証券報告書提出会社であります。
5 東洋インキ株式会社については、その売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等
2022年12月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、持株会社である当社の従業員数であります。
2022年12月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 提出会社の従業員数は全てセグメントの「全社(共通)」に含まれるため、合計人数のみ記載しております。
当企業グループにおける主要な組合組織は、東洋インキ労働組合であり、当組合の組合員数は1,561名でいずれの上部団体にも属さず、労使協調して企業の発展に努力しております。
なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。
当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めてきました。そして、時代を超えてこれらの経営哲学や経営理念、行動指針は不変のものとし継続し、時代に応じて読み替えながら進化させ、創業200周年に向け持続的な成長を目指してきました。
しかしながら、その過程における社会環境の変化は著しく大きく、新たな時代に貢献し更なる成長を遂げるため、経営理念体系を変更し、当社の提供価値を「感性に響く価値」と再定義することにいたしました。また、変わりゆく時代のニーズ・課題を先んじて見つけ出し、「一人ひとりが主役となり、世界の人々に先端の技術で先駆の価値を届ける会社」へと変革するという強い決意を示すとともに、その実現に向け当社の思いを込めて、新たな商号をartience株式会社(読み方:アーティエンス、英文表記:artience Co., Ltd.)に変更することといたしました。本年度の株主総会での承認を得ており、2024年度からのスタートへ向けた取り組みを進めております。
新商号artience(アーティエンス)は、「art」と「science」を融合した言葉です。artは色彩をはじめとした五感や心への刺激に加えリベラルアーツの観点、scienceは技術や素材、合理性を表現しています。当社の強みであるartとscienceを融合し磨き上げることによって生まれる、人の心を動かす「感性に響く価値」を世界に提供していくことで心豊かな未来の実現に貢献してまいります。
当企業グループでは、持続的成長を可能にする企業体質へと変革する観点から、売上高や利益を重要な経営指標と位置付け、事業の拡大と企業価値の向上に努めてまいります。
当企業グループでは長期構想を掲げ「100年レンジでの持続的成長が可能な企業体質に変革し、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループ」を目指し、2018年度から中期経営計画を進めています。2021年度からは「SIC(Scientific Innovation Chain)-Ⅱ」(2021年度~2023年度)を推進し、変わりつつある新たな社会ニーズに対して、真に必要とされる価値を提供し続けていく企業となるべく、「新たな時代に貢献する生活文化創造企業」を目指す姿として掲げ、3つの基本方針「事業の収益力の強化」「重点開発領域の創出と拡大」「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」のもと、その実現の取組みを進めてきました。
2023年度は「SIC-Ⅱ」の最終年度として、これまでの取り組みの総仕上げを進めるとともに、2024年度から始まる新理念体系に基づく新たなスタートへ向けた準備を進めてまいります。
「事業の収益力の強化」では、原材料やエネルギー価格の高騰に対し適正価格への改定を継続しつつ、これらの変化に対する感応度を低減する取り組みを進めていきます。また、製品の高付加価値化を進めることで各事業の収益力の向上を目指すとともに、ここ数年で実施してきた粘接着剤やリキッドインキの海外での投資に対するリターンの強化を図ってまいります。
「重点開発領域の創出と拡大」については、3つの注力領域において、新たな事業創出のためのマーケティング機能を強化していきます。「サステナビリティ・サイエンス」領域では、車載用リチウムイオン電池材料に関連する集中的な投資を米国や中国で実施し、事業基盤を拡張してまいります。「コミュニケーション・サイエンス」領域では、データ量の急増に伴う要求性能の変化点を捉えた素材開発を進め、5Gや半導体などの分野での展開を図ります。「ライフ・サイエンス」領域では、産学連携、業務提携等を活用したメディカル分野での事業創出に挑戦していきます。
「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」については、DX(デジタルトランスフォーメーション)による経営資源の進化と効率化、ESG(環境、社会、ガバナンス)を軸とした企業体質強化の取り組みにより経営資源の価値向上を進め、持続的成長を実現するための経営基盤を強化していきます。
中期経営計画「SIC-Ⅱ」の3年目である次期連結会計年度では、各事業を以下の通り推進していきます。
色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料で中国現地パートナーを活用して営業体制を強化し、伸長する中国市場でのシェア拡大を図ります。また、車載用リチウムイオン電池材料は、4大市場(欧州・米国・中国・日本)で必要な生産体制の増強をいち早く行い、更なる事業の拡大を目指してまいります。
ポリマー・塗加工関連事業では、粘接着剤で海外の各市場のニーズに適合した製品投入による拡販を進めるとともに、原料の見直しや生産プロセスの革新により収益構造の改善を図っていきます。また、5Gや半導体市場への新たな素材やソリューションを展開し製品群の高付加価値化を進めます。
パッケージ関連事業では、経済成長の続く東南アジア、インド市場でのシェア拡大に注力するとともに、中東やアフリカ市場への足掛かりとなるトルコで新工場立上げを進めます。また、サステナビリティへの対応としてバイオマスや水性インキ、脱プラスチック化を進める製品の開発と提案を進めていきます。
印刷・情報関連事業では、国内での構造改革とSCM改善による事業体質強化に継続して取り組むことに加え、環境調和型UVインキによるラベル・容器市場への浸透、金属インキの海外展開、脱プラに寄与する機能性コーティング剤の更なる拡販を進めてまいります。
こうした事業活動に加えて、コスト構造を変革するため間接部門の機構改革に着手し、業務の棚卸しと整理を行うとともに、成長領域への大胆な人材シフトを図っていきます。また、サステナビリティビジョン「TSV2050/2030」達成に向けた具体的施策を進めてモノづくりによる環境負荷低減への貢献を強化していくほか、多様な人材の活躍を可能とするD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に関わる施策の実践やガバナンス強化などESG経営の推進によって持続的な企業価値向上を目指してまいります。
以上の課題への施策を進めることで、次期の目標とする年度計画指標としては、売上高3,300億円、営業利益110億円、経常利益95億円、親会社株主に帰属する当期純利益60億円となっております。
当社は、リスク担当役員(サステナビリティ委員会リスクマネジメント部会長)のもと、リスクマネジメント部会がグループ全体のリスクを網羅的・総括的に管理しております。また、当企業グループの各社・各部門では、日常業務に潜むリスクを洗い出して評価・検討し、対策を実施しております。
リスクマネジメント部会では、各社・各部門のリスクを発生頻度と重大性に基づき評価したリスクマップを作成して全社で共有しております。重大リスクについては取締役会に報告するとともに、リスク低減のための活動の進捗と達成度を部会で確認しております。新たに重大リスクとなりうる問題が発生した場合は、緊急対策本部を設置し対応を図ってまいります。
上記リスクマネジメント活動を通じて経営者が当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
①色材・機能材関連事業
当企業グループにとって、有機顔料の合成技術は原点の一つです。また、インキや塗料の製造で培われた分散技術は、着色するという用途を大きく越え、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料やカーボンナノチューブを応用した新たな分散体の開発などにも展開しております。
顔料事業においては、国内印刷市場構造的不況のなか、印刷インキ用顔料の需要が大きく縮小するリスクがあり、売上高及び利益の低下を招く可能性があります。そのため、需要が安定した食品包装用途や高収益分野への展開を図ること、及び生産面の整備により事業リスクへの耐性を高めてまいります。
着色事業においては、廃プラスチック問題など環境意識の高まりに伴う需要減少のリスクがありますが、このような変化をチャンスと捉えリサイクル対応製品、生分解性製品など環境調和型製品の開発によって持続可能な社会に貢献するとともに、事業リスク低減に取り組んでまいります。
②ポリマー・塗加工関連事業
当企業グループでは、ポリマー・塗加工の技術を活かし、パッケージ、自動車、エレクトロニクス、エネルギー、メディカル・ヘルスケアなどの分野に展開しております。
当事業の原材料の多くは石油由来であり、環境保全を目的とした各国の規制や社会要請などにより使用の制約を受け、売上高等が変動する可能性があります。社会生活に必要な最終製品の材料供給者としての責任を果たすべく、現行品の機能を確保する環境調和型製品の開発と代替を進めてまいります。
エレクトロニクス市場向け材料については、スマートフォンのように、毎年、最終製品の仕様が変わるなか、その採用可否により売上高や利益が変動する可能性があります。品質・コスト面などの優位性を高めることでの採用確度の向上や、使用先の拡大などにより、リスク低減に努めます。
メディカル・ヘルスケア市場向け材料については、研究開発に相応の時間と費用を必要とし、製品上市の計画が遅延、変更、中止となる可能性があります。また、医薬行政の動向を受けた関連法規の改変や公定価格の変動が、売上高や利益に影響を及ぼす可能性があります。開発のパイプラインを増やすとともに、ヘルスケア粘着剤や医療機器の周辺材料など事業の裾野を拡げてリスク分散に取り組んでまいります。
③パッケージ関連事業
当企業グループでは、パッケージの製造工程において多様な高機能製品を提供しております。特に安心・安全が求められる食品包装の分野では、インキの水性化、無溶剤化などを進めております。また、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向け、バイオマス製品の開発も積極的に行っております。
パッケージ関連事業においては、廃プラスチック問題など環境意識の高まりによって、フィルム用インキの消費需要が落ち込み、売上高及び利益の低下を招く可能性があります。市場や環境の変化をチャンスと捉え、新たな製品開発を強化し、リスク分散に取り組んでまいります。
④印刷・情報関連事業
当企業グループでは、原材料の顔料や樹脂から最終製品までを一貫生産できる強みを活かし、環境調和型製品や高機能のUVインキなど多様な製品を開発するとともに、お客様の印刷工程でのソリューション提供にも取り組んでおります。
印刷・情報関連事業においては、デジタル化に伴う情報系印刷市場の縮小により、想定以上に売上高及び利益の低下の進展が早まり、また、印刷市場を取り巻く変化に伴う顧客や取引先の経営状況によっては、売掛債権の回収に影響を及ぼすリスクがあります。そのため、経済情勢の変化や信用不安の兆候を早期に把握できるよう情報収集と与信管理を徹底してまいります。経営資源を成長分野に弾力的にシフトするとともに、事業効率を徹底的に高め、市場環境への適合を進めてまいります。
①海外活動に潜在するリスク
当企業グループは、海外においても生産及び販売活動を行っており、今後伸長が見込まれる事業分野において、海外事業の深耕を行っていく方針です。これらの海外事業には以下のようなリスクが内在しております。
・予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更
・社会的共通資本が未整備なことによる当企業グループの活動への悪影響
・不利な政治的要因の発生
・テロ、戦争、伝染病などによる社会的混乱
・予期しえない労働環境の急激な変化
・海外の重要取引先や現地パートナーを取り巻く環境の変化
これらの事象の発生可能性や影響等を合理的に予測することは困難でありますが、当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、当企業グループにおいては、各国の経済動向やその他リスクの影響を受けづらい収益構造とするために、世界各国における事業展開の促進や事業分野のバランスの向上、リスクに対して柔軟に対応できるSCM(サプライチェーンマネジメント)の構築、固定費や原材料費等の変動費の削減を行い、そのリスクを最小化するための対策に努めております。
②システム障害、情報漏洩、滅失、毀損に関するリスク
当企業グループでは、事業を展開する上で、国内外の拠点をはじめ取引先等のシステムとネットワークで接続しており、当企業グループ及び取引先の機密情報や個人情報などの秘密情報を保持しております。システム障害による業務停止のほか、インターネットを通じたコンピュータウイルスやセキュリティ侵害による情報漏洩、滅失又は毀損のリスクは増大する傾向にあります。当企業グループとしては、日頃よりシステムの安定稼働の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する対策を講じるほか、情報セキュリティオフィスを設置し、情報管理強化と社員教育を通じてリスク低減に努めております。2023年2月18日に当企業グループの使用するサーバー機器の不具合により、販売管理システム・生産管理システム等の主要基幹システムが機能しないという事象が発生いたしましたが、数日で復旧し、業務も正常化しております。また、障害の原因はサイバー攻撃によるものではなく、顧客情報の流出等の可能性もありませんでした。サーバー機器の不具合に対して技術的な対応・対策を行うほか、様々なリスクを想定したシステムBCP対策の再構築と、被害を最小限にとどめるためのコンティンジェンシープランを見直すことで再発防止に努めております。
このような事案を含め、万一不測の事態によりシステム障害や情報漏洩、滅失又は毀損が発生した場合は、事業活動の停止、社会的信頼の失墜、秘密保持契約違反、ノウハウの流出又は逸失による競争力の低下などにより、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③品質・製造物責任に関するリスク
当企業グループでは、品質保証体制の強化を図っておりますが、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームにより当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が支払う損害賠償金が製造物責任賠償保険で全額補償される保証はありません。
当企業グループでは、引き続き、品質や安全に関する法的規制の遵守に努めるとともに、製品の性能向上やお客様の安心・安全に貢献する製品開発を継続して進めることで更なる満足度向上と信頼を得ることにより、リスク低減に取り組んでまいります。
④自然災害・疫病等に関するリスク
当企業グループでは、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化、中国のコロナ政策をめぐる混乱により、原料の調達や生産活動への支障が発生しました。新型コロナウイルスの感染状況により、当企業グループ製商品の需要が一層落ち込むほか、予想を上回る規模での原料の調達困難、事業所の操業停止、従業員の出勤不能、物流機能の停滞等に至った場合は、当企業グループの経営成績及び財政状態等に更なる影響を及ぼす可能性があります。なお、当企業グループでは、関係者の安全と事業継続のため、社員向け新型コロナウイルス対策ハンドブックの更新と周知をした上で、下記施策等を実施しました。
・検温、マスク着用、手洗い、消毒
・時差出勤、在宅勤務、WEB会議システムの活用
・社員及びその同居家族に感染が疑われる場合の管理者及び対応部門に対する迅速な状況報告と感染の有無や症状に応じた出勤制限
・新型コロナウイルスワクチン職域接種
近年、大規模地震や大雨等の自然災害や国内外における感染症の大流行(パンデミック)等に関するリスクは高まりつつあり、予想を上回る被害の拡大や長期化が進みますと、建物や生産設備等をはじめとする資産の毀損、従業員の出勤不能、電力・水道の使用制限、原材料の調達困難、物流機能の停滞等により供給能力が低下し当企業グループの経営成績及び財政状態等に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。これらの不可避的な事業中断リスクを想定し、リスクに応じた緊急行動マニュアルの策定や定期的な実地訓練等による事業継続体制の整備に努めております。
⑤原料調達に関するリスク
当企業グループ製品の主原料は石油化学製品であるため、仕入価格及び調達状況は、原油・ナフサなどの市況変動、天災、事故、政策などに影響を受けます。特に当連結会計年度においては、ロシアによるウクライナ侵攻を発端とした物流の混乱、及びLNG、石油、石炭、電力等のエネルギーコスト急上昇、更には、中国のコロナ政策をめぐる混乱による供給能力低下などにより、多くの原料で入手困難、価格高騰、及び、納期遅延等のリスクが顕在化しました。仕入価格の上昇につきましては、当企業グループの製品が使用される消費財は、市況価格及び供給責任の面からも、販売価格への転嫁には時間を要するため、当企業グループの売上高及び利益に影響が生じました。また、原料が入手困難となるリスクにつきましては、顧客への製品供給不履行による損害賠償が発生し、その賠償金額によっては経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを回避すべく、メーカー特性に応じた購買戦略策定のもと、市場環境、需要予測といった多面的な視点を原料調達に反映させ、最適価格での購入を進めるとともに、在庫確保などによる製品の安定供給のための原料調達を進めております。また、新規購入先の開拓ならびに購入先との関係強化に日々努めながら、当企業グループにとって影響のある情報をいち早く入手し、様々なリスクに速やかに対応することで、当企業グループの業績に与える影響を低減・抑制することに努めております。
⑥為替の変動に関するリスク
当企業グループは世界各国で事業を展開しており、海外連結子会社の財務諸表項目は連結財務諸表作成のために円換算されますが、急激な為替変動によって当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、輸出入等の外貨建て取引においても、同様の可能性があります。このため、当企業グループは、為替予約や外貨建て債権債務のバランス化等によって、為替相場変動リスクの抑制に努めております。
⑦一般的な法的規制に関するリスク
当企業グループは、事業活動に関わる一般的な法的規制の適用を、事業展開する内外各国において受けております。これらの遵守のためサステナビリティ委員会の傘下に専門部会であるESG推進部会、コンプライアンス部会、リスクマネジメント部会を設置・運用し、事業活動に関わる法的規制を調査、抽出するとともに、適法・適正な事業活動を確保するため、製造・販売・研究開発の各活動領域における業務プロセスの検証や見直し、社内規程の整備、関係者への教育などの必要な施策を展開しています。また、財務報告の適正性確保のための内部統制システムの整備と運用の確保に努めております。
しかしながら、国内及び海外事業に関連して、環境問題や人権問題、製造物責任、特許侵害をはじめとする当企業グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟紛争、その他の法律的手続きが今後発生しないという保証は無く、万一訴訟等が提起された場合、その争訟金額等によっては当企業グループの経営成績及び財政状態等に場合によっては甚大な影響を及ぼす可能性があります。
⑧環境負荷発生のリスク
当企業グループは化学品製造業を主な事業としており、原材料及び製品として各種の化学物質を扱っております。これらの化学物質が環境に及ぼす影響度を確認し環境負荷低減に積極的に取り組んでおります。当企業グループはサステナビリティ委員会を設置しSDGsの推進を意識するとともに、自社拠点だけでなくサプライチェーン全体における環境負荷低減に取り組んでまいります。当企業グループは製造の過程で発生する廃棄物や排水、騒音・振動、土壌汚染、CO2排出などについても国内外の様々な環境法令を遵守し活動を行っておりますが、近年は、これらの化学物質関係法令や環境法令は国内外において規制が強化されたり、基準がより厳しくなる傾向にあり、設備投資や管理のためのコストが発生する可能性があります。また、社会的要請としても脱プラスチック、カーボンニュートラルなどが求められており、環境負荷の少ない原材料の選択・調達、製造工程におけるエネルギー使用量の低減(省エネルギー)、製品による環境への貢献を拡大していく必要があり、追加的な投資(コスト)の発生、生産プロセスの改善、又は事業形態の変更などの必要が生じる可能性があり、当企業グループの経営成績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性がありますが、これらリスクに対して、適切に対処し、積極的な開示を行うことで長期的には社会的信頼が高まり優位性を得る可能性もあります。当企業グループとしては、長期の経営計画の中で製造工程の見直しによる使用エネルギーやCO2の排出削減、化学物質の管理強化やシステム化、製品の脱VOC(揮発性有機化合物)化、ケミカルリサイクルを含んだリサイクル・リユースによる廃棄物削減など様々な施策に取り組んでおります。
⑨気候変動に関するリスク
世界的なGHG(温室効果ガス)排出量の増大に起因する地球温暖化がもたらす急性的あるいは慢性的な気候変動、及びそれに対して各国や地方行政が講じる政策・施策は、市場環境や原材料の調達、顧客や消費者の志向などに大きな影響を与え、当企業グループの事業の継続や業績、戦略の遂行に大きな影響を及ぼしうると認識しております。
具体的には、石化系・バイオマス系の原材料の調達困難化、炭素税や排出権取引による財務的負担、脱炭素・循環型社会への移行に伴う特定市場の衰退、気象災害による資産の損失や事業機会の喪失など、他のリスク分野と複雑に関連したさまざまな潜在リスクが気候変動によって顕在化し、当企業グループが方針や戦略の転換に迫られる可能性があります。
当企業グループは、このような気候変動の可能性に対して適切な対応を図り、経営計画や事業計画に反映させていくため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に準拠した全社的な対応活動を推進し、サステナビリティ委員会及びESG推進部会を実務中心とした気候変動対応ガバナンス体制の構築と運用、気候変動によって生じうるリスクと機会の特定・分析、施策の立案と経営・事業主体に向けた提案、グループ社員に向けた啓発と情報共有、そして、投資家をはじめとする社外ステークホルダーに向けた適切な情報開示などに取り組んでおります。
⑩一般的な債権回収に関するリスク
当企業グループは、国内外のさまざまな業界の多数の顧客に製品を納入しておりますが、顧客の経営状況によっては、これらに対する売上債権等を回収することができないこともあり得ます。現有債権につきましては回収不能見込額を既に引当金として計上しておりますが、予想を上回る回収不能が発生した場合には、当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、与信情報等を参考に、営業現場からの定性的情報も加味することで、顧客の与信リスクを定期的に見直し、それに応じた債権保全策を実施するなど与信管理の強化に努めてまいります。
⑪固定資産の減損に関するリスク
当企業グループでは、製造設備をはじめとした多額の固定資産を保有しており、重要な設備投資に対しては、事業戦略、市場動向、技術、生産性、投資金額及び投資計画の妥当性について事前に投融資マネジメント会議で審査を行ったうえ、グループ経営会議や取締役会で審議しております。また、各事業で減損の兆候がみられる場合には、速やかに対策を講じ、収益を改善させることに努め、リスクの低減を図っております。
しかしながら、原材料やエネルギー価格の影響をはじめ、経済条件の変化等により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上し、当企業グループの経営成績及び財政状態等へ影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進み、緩やかな持ち直しの動きも見られましたが、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制等を受けた原材料やエネルギー価格の高止まり、供給面での制約がありましたほか、世界的な金融引締めにより景気の下振れや急激な為替の変動もありました。また、主要市場の一つであるディスプレイ業界では在庫調整の動きが急速に進むなど、当企業グループの活動にとって大変厳しい影響がありました。
このような環境のなか、当企業グループは次の3つを経営方針として掲げ、経営活動を行ってまいりました。
第一の方針である「事業の収益力の強化」については、ディスプレイ市場におけるコロナ特需の反動や半導体不足による自動車市場の低迷、中国でのコロナ政策による混乱などによって全体的に需要減速の影響を受けましたが、中国市場では販売網強化により液晶ディスプレイ用カラーフィルター材料の顧客開拓を図りましたほか、設備増強を進めたインドやアメリカでは粘着剤の事業拡大が進みました。また、欧州では需要拡大が見込まれるデジタル印刷用インクジェットインキの現地生産を開始しました。一方、国内では収益構造の改革に取り組み、色材・機能材関連事業の生産効率向上のため茂原工場の機能を富士製造所へ移管したほか、印刷・情報関連事業の販売体制を東洋インキ株式会社に統合するなど合理化を進めました。また、原材料やエネルギー価格、物流コストの高騰への対応には遅れがあったものの、継続した価格改定やコストダウンを推進しました。
第二の方針である「重点開発領域の創出と拡大」については3つの注力領域での活動を継続しました。「サステナビリティ・サイエンス」領域では、車載用リチウムイオン電池材料の4大市場(欧州・米国・中国・日本)での取組みを継続し、欧米で生産が本格化したほか、中国や日本では新たな顧客の開拓が進みました。環境調和型製品ではパッケージの紙化に寄与する機能性コーティング材の拡販や、リサイクルに貢献する着色剤製品の開発に注力しました。「コミュニケーション・サイエンス」領域では、中国(深圳市)に技術センターを開設し、エレクトロニクスや5G用途などの新規ポリマー材料の開発を迅速化する体制を整備しました。「ライフ・サイエンス」領域では、伸長するバイオ医薬品分野への将来的な事業展開を視野に、ノーベルファーマ株式会社と製造・開発及び海外展開に関わる業務提携について基本合意したほか、貼付型医薬品拡大のため新工場の建設も進めました。また、これらの重点開発領域に関連する先端研究のため、東京工業大学内に「東洋インキグループ協働研究拠点」も設置いたしました。
第三の方針である「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」については、事業基盤のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進し、M.I.(マテリアルズ・インフォマティクス)の製品開発への活用、スマートファクトリー化へ向けたデータの可視化などの具体的施策を進めました。ESGの観点では、サステナビリティビジョン「TSV2050/2030」を推進し、TCFD提言に基づく気候変動情報の開示を行いました。また、「LGBTの理解を深めサポートするためのガイドライン」の制定など、ダイバーシティを推進する環境整備を進めたほか、ガバナンス面では監査等委員会設置会社へ移行し取締役会の監督機能の強化を図りました。さらに、政策保有株式の低減にも積極的に取組み資本効率の改善も進めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,159億27百万円(前期比9.7%増)と増収になりましたが、原材料高騰の影響もあり、営業利益は68億65百万円(前期比47.2%減)、経常利益は79億6百万円(前期比48.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は93億8百万円(前期比1.9%減)と、それぞれ減益になりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、従来の方法に比べて、売上高は4億25百万円減少し、営業利益は41百万円、経常利益は1百万円それぞれ減少しております。
セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。
液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、大型テレビやスマートフォン向けの液晶パネル需要が減少したことで大型から中小型まで急激な減産の動きが進み、後半は出荷が非常に低調となりました。
プラスチック用着色剤は、容器用が食品容器向けを中心に堅調でしたが、半導体等の部材不足や中国でのロックダウンに伴う影響により自動車用や事務機器用が伸び悩みました。
インクジェットインキは、商業印刷用やサイン用が堅調に推移しました。また、車載用リチウムイオン電池材料は、米国や欧州の拠点整備が進み、需要の増加とともに販売を拡大しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は793億80百万円(前期比5.8%増)と増収になりましたが、原材料の価格高騰やエネルギーコスト上昇の影響もあり、営業利益は18億46百万円(前期比65.7%減)と減益になりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は3億89百万円減少し、営業利益は2百万円減少しております。
b. ポリマー・塗加工関連事業
塗工材料は、後半に入り導電性接着シートや電磁波シールドフィルムがスマートフォンの市況低迷の影響を受けたほか、液晶パネルや自動車向けの耐熱微粘着フィルムも市場での急激な生産調整のため低調となりました。
接着剤は、国内ではスナックやペットフード向けなど包装用が堅調でしたが、粘着剤は、ラベル用やディスプレイ用が需要低迷の影響を受けました。海外では、米国やインドでの設備増設により粘着剤の拡販が進んだほか、接着剤も食品や薬品包装向けの販売が堅調でした。
缶用塗料は、国内では機能性を付与した新製品の拡販が進みましたが、海外では漁獲量の低迷により食缶用が低調に推移するなど、全体では伸び悩みました。
これらの結果、当事業全体の売上高は762億40百万円(前期比7.8%増)と増収になりましたが、原材料やエネルギーの価格高騰に、販売価格の改定やコスト削減が及ばず、営業利益は25億4百万円(前期比29.8%減)と減益になりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は6百万円減少し、営業利益は10百万円減少しております。
リキッドインキは、国内では、冷食や飲料ラベル、麺類等の食品向けの需要が底堅く、各種資材の調達難や価格上昇を見据えた顧客での在庫積み増しの動きもあり、主力の包装用が堅調でした。海外では、中国でロックダウンによる影響で出荷が落ち込みましたが、他の地域では経済活動が回復したことや拡販も進んだことにより、堅調に推移しました。
グラビアのシリンダー製版事業は、包装用で新版需要が少なかったことに加え、エレクトロニクス関連の精密製版も伸び悩みました。
これらの結果、当事業全体の売上高は834億64百万円(前期比13.3%増)と増収になりましたが、世界的な原材料の調達難や価格高騰に加えてエネルギー価格の上昇も重なり、営業利益は9億63百万円(前期比46.9%減)と減益になりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は23百万円減少し、営業利益は20百万円減少しております。
情報系印刷市場の構造的な縮小により、国内では、チラシや広告、出版向けが低調でしたが、紙器用や飲料缶向けの金属印刷用は堅調に推移しました。また、構造改革や同業他社との協業によるコストダウンを進めましたが、原材料の調達難や価格高騰、エネルギーコストの高止まり等により利益が大きく圧迫されました。
海外では、欧州や中国等でウクライナ情勢や新型コロナウイルス感染症の影響により市況が低迷しましたが、他の地域では経済活動の回復や拡販が進んだことにより堅調に推移しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は751億80百万円(前期比12.7%増)と増収になりましたが、営業利益は6億54百万円(前期比62.2%減)と減益になりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は6百万円減少し、営業利益は8百万円減少しております。
上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしています。売上高は49億48百万円(前期比13.9%減)と減収になりましたが、退職給付費用の減少などにより、営業利益は8億90百万円(前期比67.6%増)と増益になりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は0百万円減少し、営業利益は0百万円減少しております。
財政状態につきましては、次のとおりです。
当連結会計年度末における総資産は4,111億77百万円で、前連結会計年度末より42億81百万円増加しました。負債は1,833億円で、前連結会計年度末より33億51百万円増加しました。純資産は2,278億77百万円で、前連結会計年度末より9億29百万円増加しました。
当連結会計年度末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ円安外貨高に振れたため、海外子会社で保有する資産及び負債、為替換算調整勘定がそれぞれ増加しました。また、原材料の確保や価格高騰などの影響により棚卸資産が増加しました。さらに、海外での設備増強や、重点開発領域への積極的な設備投資などにより有形固定資産が増加しました。一方、配当金の支払いや自己株式の取得などにより現金及び預金が減少しました。また、保有株式の一部売却に伴い投資有価証券、繰延税金負債、その他有価証券評価差額金がそれぞれ減少しました。なお、借入金の返済資金に充当するため、第1回無担保普通社債を発行しております。
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は、前期末残高より75億64百万円減少し、533億85百万円となりました。
営業活動により得られた資金は42億62百万円(前連結会計年度比114億98百万円減)となりました。税金等調整前当期純利益計上による資金の増加や、売上債権の増加、棚卸資産の増加、法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。
投資活動により使用した資金は56億45百万円(前連結会計年度比119億30百万円減)となりました。有形固定資産の取得などに伴う支出や有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入などがありました。
財務活動により使用した資金は81億2百万円(前連結会計年度比38億85百万円減)となりました。長期借入金の返済、自己株式の取得、配当金の支払いによる資金の減少や、短期借入金の純増、社債発行による資金の増加などがありました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産金額は製造原価によっております。
当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分が計画生産のため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。
当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前期比279億38百万円(9.7%)増の3,159億27百万円(期初計画 2,950億円、2022年11月11日公表修正計画 3,150億円)となりました。その内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しており、為替変動に伴う海外子会社の円換算額の増加や価格改定効果もあり、海外を中心に伸長し、増収となりました。この結果、海外売上高比率は、過去最高の52.8%となっております。
営業利益は、前期比61億39百万円(47.2%)減の68億65百万円(期初計画 145億円、修正計画 70億円)となりました。原材料価格の急激な高騰に加え、液晶パネルやエレクトロニクスにおける市況の急速な低迷の影響を受け、価格改定やコストダウンの施策を実施するも減益となりました。
経常利益は、前期比75億35百万円(48.8%)減の79億6百万円(期初計画 150億円、修正計画 85億円)となりました。為替差益が大きく発生しましたものの、営業利益の減少に加え、「正味貨幣持高に係る損失」の発生や「支払利息」の増加により減益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比1億84百万円(1.9%)減の93億8百万円(期初計画 100億円、修正計画 90億円)となりました。経常利益が減少したものの、政策保有株式の売却益もあり、前期並みを確保しました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
b. 財政状態の分析
財政状態の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメント別の財政状態は、以下となりました。
色材・機能材関連事業の資産1,140億98百万円(前期末より8億30百万円減少)。
ポリマー・塗加工関連事業の資産1,019億59百万円(前期末より9億97百万円増加)。
パッケージ関連事業の資産904億43百万円(前期末より2億50百万円減少)。
印刷・情報関連事業の資産962億16百万円(前期末より47億13百万円増加)。
その他の事業の資産84億59百万円(前期末より3億48百万円減少)。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、成長を推進する設備投資の実施や、機動的な資本政策の遂行を可能とする自己株式の取得などにより、533億85百万円と前期末と比べ減少しております。今後とも、手元資金を確保しつつも将来の成長に向けた資金運用に努めてまいります。
当企業グループが提供する製品の市場は多岐に渡っておりますが、一般的な消費動向や、石油化学系原料の仕入価格、為替レートなどは、当企業グループの経営成績に大きく影響を与える要因になっております。
当連結会計年度では、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制等を受け、エネルギー価格が高騰し、原材料調達の不安定化に加え、ナフサ価格の高騰や、世界的環境規制の強化が継続しており、原材料価格は高止まりしております。また、為替レートの円安外貨高による輸入原材料の高騰や、液晶パネル及びエレクトロニクス市況の急速な低迷による影響も受けております。この厳しい事業環境のなか、製品の供給責任を優先したうえで、グループ会社間のグローバル規模での生産協力、生産や物流の効率化、原材料の代替対応などのコストダウンや適正価格への改定といった対策を講じてまいりました。
その他、海外活動や災害への対応など、当企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、これらの発生を抑制する活動を、サステナビリティ委員会傘下のリスクマネジメント部会を中心に、引き続き積極的に推進していきます。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当企業グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費、新製品創出や事業領域拡大のための研究開発活動費などにあります。また、設備投資では、成長領域や事業拡大に合わせた生産設備投資によるグローバル供給体制の強化や、統合システム整備による事業や業績のグローバル一体管理を進めています。さらには、事業拡大を目的とした各種アライアンスや、人材・技術・事業などの戦略投資についても機動的に実施してまいります。
なお、これらの資金需要につきましては、主に手元資金や営業活動によるキャッシュ・フローから創出するとともに、必要に応じて、金融機関からの借入なども実施してまいります。当連結会計年度の有利子負債残高は、新型コロナウイルス感染症の長期化に備えた長期借入金や第1回無担保普通社債発行の影響もあり、864億48百万円となっております。また、国内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、当企業グループの余剰資金を効率的に運用しております。
当社は、2022年7月8日開催の取締役会において、印刷・情報関連事業を再編する目的で、当社100%子会社である東洋インキ株式会社と同じく当社100%子会社である6社(東洋インキ北海道株式会社、東洋インキ東北株式会社、東洋インキ中四国株式会社、東洋インキ九州株式会社、東洋インキグラフィックス株式会社及び東洋インキグラフィックス西日本株式会社)を合併することについて決議いたしました。また、合併当事会社7社は同年8月16日に合併契約を締結し、同日の合併承認総会においてそれぞれ承認されました。これに伴い、当社は、合併当事会社7社の合併を2023年1月1日付で実施しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
当企業グループにおける主要な設備は以下のとおりであります。
2022年12月31日現在
2022年12月31日現在
(3) 在外子会社
2022年12月31日現在
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品、リース資産及び建設仮勘定の合計であります。
2 土地及び建物の一部を企業グループ外部より賃借しております。賃借している土地の面積については、[ ]で外書きしております。
3 現在休止中の主要な設備はありません。
会社法に基づく新株予約権は、次のとおりであります。なお、2021年3月24日開催の第183回定時株主総会において、譲渡制限付株式報酬制度の導入を決議したことに伴い、株式報酬型ストックオプション制度を廃止したため、新たな新株予約権の発行は行っておりません。
※ 当事業年度の末日(2022年12月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年2月28日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1 各新株予約権の目的である株式の数(以下、「付与株式数」という)は200株とする。
ただし、新株予約権を割り当てる日(以下、「割当日」という)以降、当社が当社普通株式の株式分割(当社普通株式の株式無償割当てを含む。以下、株式分割の記載につき同じ)又は株式併合を行う場合には、次の算式により付与株式数の調整を行い、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
調整後付与株式数 = 調整前付与株式数 × 株式分割又は株式併合の比率
調整後付与株式数は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日の翌日(基準日を定めないときはその効力発生日)以降、株式併合の場合は、その効力発生日以降、これを適用する。ただし、剰余金の額を減少して資本金又は準備金を増加する議案が株主総会において承認されることを条件として株式分割が行われる場合で、当該株主総会の終結の日以前の日を株式分割のための基準日とする場合は、調整後付与株式数は、当該株主総会の終結の日の翌日以降、当該基準日の翌日に遡及してこれを適用する。
また、割当日以降、当社が合併又は会社分割を行う場合その他これらの場合に準じて付与株式数の調整を必要とする場合には、当社は、合理的な範囲で付与株式数を適切に調整することができる。
付与株式数の調整を行うときは、当社は調整後付与株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各新株予約権を保有する者(以下、「新株予約権者」という)に通知又は公告する。ただし、当該適用の日の前日までに通知又は公告を行うことができない場合には、以後速やかに通知又は公告する。
2 発行価格は、新株予約権の公正価額と新株予約権行使時の払込金額1円を合算したものである。なお、新株予約権の払込金額については、当社の取締役、執行役員及び顧問の報酬債権と相殺されている。
3 (1) 新株予約権者は、新株予約権の行使期間内において、割当日の翌日から3年を経過した日から新株予約権を行使することができる。ただし、任期満了による退任又は定年による退職により当社の取締役、執行役員、監査役、相談役及び顧問のいずれの地位をも喪失した場合は、当該地位喪失の日の翌日から新株予約権を行使することができる。
(2) 上記(1)にかかわらず、新株予約権者は、新株予約権の行使期間内において、当社が消滅会社となる合 併契約承認の議案又は当社が完全子会社となる株式交換契約若しくは株式移転計画承認の議案につき株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要な場合は、取締役会決議がなされた場合)には、当該承認日の翌日から15日間に限り新株予約権を行使できる。ただし、(注)4に従って新株予約権者に会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という)の新株予約権が交付される旨が合併契約、株式交換契約若しくは株式移転計画において定められている場合を除く。
(3) 上記(1)は、新株予約権を相続により承継した者については適用しない。
(4) 新株予約権者が新株予約権を放棄した場合、当該新株予約権を行使することができない。
4 当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る)、吸収分割若しくは新設分割(それぞれ当社が分割会社となる場合に限る)又は株式交換若しくは株式移転(それぞれ当社が完全子会社となる場合に限る)(以上を総称して以下、「組織再編行為」という)をする場合には、組織再編行為の効力発生日(吸収合併につき吸収合併がその効力を生じる日、新設合併につき新設合併設立株式会社の成立の日、吸収分割につき吸収分割がその効力を生じる日、新設分割につき新設分割設立株式会社の成立の日、株式交換につき株式交換がその効力を生じる日及び株式移転につき株式移転設立完全親会社の成立の日をいう。以下同じ)の直前において残存する新株予約権(以下、「残存新株予約権」という)を保有する新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、再編対象会社の新株予約権をそれぞれ交付することとする。ただし、以下の各号に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めることを条件とする。
(1) 交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する残存新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付する。
(2) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
(3) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案のうえ、(注)1に準じて決定する。
(4) 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、以下に定められる再編後行使価額に上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とする。再編後行使価額は、交付される各新株予約権を行使することにより交付を受けることができる再編対象会社の株式1株当たり1円とする。
(5) 新株予約権を行使することができる期間
新株予約権の行使期間の開始日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、新株予約権の行使期間の満了日までとする。
(6) 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
① 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条
第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の
端数は、これを切り上げる。
② 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記①記載の資
本金等増加限度額から上記①に定める増加する資本金の額を減じた額とする。
(7) 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要する。
(8) 新株予約権の取得条項
以下の①、②、③、④又は⑤の議案につき当社株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要の場合は、当社の取締役会決議がなされた場合)は、当社取締役会が別途定める日に、当社は無償で新株予約権を取得することができる。
① 当社が消滅会社となる合併契約承認の議案
② 当社が分割会社となる分割契約若しくは分割計画承認の議案
③ 当社が完全子会社となる株式交換契約若しくは株式移転計画承認の議案
④ 当社の発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当社の承認を要するこ
とについての定めを設ける定款の変更承認の議案
⑤ 新株予約権の目的である種類の株式の内容として譲渡による当該種類の株式の取得について当社の
承認を要すること若しくは当該種類の株式について当社が株主総会の決議によってその全部を取得
することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
(9) その他の新株予約権の行使の条件
(注)3に準じて決定する。
5 2018年7月1日を効力発生日として、普通株式5株につき1株の割合で株式併合を実施しております。これに伴い、新株予約権の目的である株式の数、新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額を調整しております。
該当事項はありません。
(注)自己株式の消却による減少であります。
2022年12月31日現在
(注) 1 株式会社証券保管振替機構名義の株式は「その他の法人」に12単元含めて記載しております。
2 自己株式5,298,507株は「個人その他」に52,985単元、「単元未満株式の状況」に7株含めて記載しております。
2022年12月31日現在
(注) 1 千株未満は切捨てて表示しております。
2 上記のほか当社所有の自己株式5,298千株があります。
1.報告セグメントの概要
当企業グループの報告セグメントは、当企業グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会等が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当企業グループは、事業の種類・性質の類似性等を勘案して、「色材・機能材関連事業」、「ポリマー・塗加工関連事業」、「パッケージ関連事業」及び「印刷・情報関連事業」の4つの事業に区分しており、これを報告セグメントとしております。各事業は取り扱う製品・サービスごとに国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
「色材・機能材関連事業」は、有機顔料、加工顔料、プラスチック用着色剤、カラーフィルター用材料、インクジェット材料及びリチウムイオン電池材料等を製造・販売しております。「ポリマー・塗加工関連事業」は、缶用塗料、樹脂、接着剤、粘着剤、塗工材料、天然材料及びメディカル製品等を製造・販売しております。「パッケージ関連事業」は、グラビアインキ、フレキソインキ及びグラビアシリンダー製版等を製造・販売しております。「印刷・情報関連事業」は、オフセットインキ、金属インキ、印刷機械、印刷機器、プリプレスシステム、印刷材料等を製造・販売しております。