アステラス製薬株式会社
(注) 1.国際会計基準 (以下「IFRS」) に基づいて連結財務諸表を作成しています。
2.百万円未満を四捨五入して記載しています。
3.第16期において企業結合に係る暫定的な会計処理を確定し、暫定的に測定された公正価値の修正を行ったため、連結財政状態計算書を遡及修正しています。これに伴い、第15期の関連する主要な経営指標等については、当該修正が反映された後の金額を表示しています。
(注) 1.提出会社の財務諸表は日本基準に基づいて作成しています。
2.百万円未満を四捨五入して記載しています。
3.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所 (市場第一部) におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所 (プライム市場) におけるものです。
4.「収益認識に関する会計基準」 (企業会計基準第29号 2020年3月31日) 及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日) を第17期の期首から適用しています。
当社グループは、当社及び連結子会社77社、持分法適用会社3社から構成されており、医薬品の研究開発、製造及び販売を主要な事業としています。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。
なお、当社グループは、区分すべき事業セグメントが存在しないため、報告セグメントは医薬品事業単一となっています。
当社は研究開発、製造及び販売を行っており、各地域の関係会社へ原料及び製品の一部を供給しています。
また、主に以下の関係会社が、研究開発、製造及び販売の各機能を担っています。
(注)オーデンテス セラピューティクス Inc.は、2023年4月1日に社名をアステラス ジーン セラピーズ Inc.に
変更しました。
以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。

(注) 1.主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しています。
2.議決権の所有割合欄の( )内は間接所有割合を内数で示しています。
3.アステラス US ホールディング Inc.、アステラス US LLC、アステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.及びアステラス (中国) 投資有限公司は、特定子会社に該当します。
4.オーデンテス セラピューティクス Inc.は、2023年4月1日に社名をアステラス ジーン セラピーズ Inc.に変更しました。
5.アステラス ファーマ US, Inc.については売上収益 (連結会社相互間の内部売上収益を除く) の連結売上収益に占める割合が10%を超えています。
(2023年3月31日現在)
(注) 従業員数は就業人員を記載しています。
(2023年3月31日現在)
(注) 1.従業員数は就業人員を記載しています。
2.前事業年度末に比べ従業員数が924名増加していますが、これは主として、2022年4月1日付で当社の完全子会社であった、アステラス ファーマ テック株式会社及びアステラスグリーンサプライ株式会社を吸収合併したことによるものです。
3.平均勤続年数は、吸収合併前完全子会社での勤続期間を通算しています。
4.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含む総年間賃金を人数で除して算出しています。
5.経営基幹職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」 (平成27年法律第64号) の規定に基づき算出したものです。労働者の母数には取締役及び担当役員を含めていません。
6.男性労働者の育児休業等取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」 (平成3年法律第76号) の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」 (平成3年労働省令第25号) 第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。なお、同第71条の4第1号における育児休業等のみの取得率は32.5%です。
7.男女の賃金の差異は、男女別に対象労働者の年間平均賃金 (対象労働者の総年間賃金÷対象労働者数) を算出し、女性年間平均賃金÷男性年間平均賃金×100として算出しています。
なお、差異の主な要因は男性の方が高い職務グレードに就いている割合が高いことであり、同等の期待役割を持つ職務レベルであれば男女で賃金に差異が生じることはありません。
当社の従業員は、アステラス労働組合を構成し、上部団体として医薬化粧品産業労働組合連合会に加盟しています。2023年3月31日現在における組合員数は2,944名です。また、労使は健全な関係を構築しています。
文中において将来について記載した事項は、提出日現在において判断したものです。
当社の経営理念は、「存在意義」「使命」「信条」の3つのパートから構成されています。この経営理念は、有用性と信頼性の高い医薬品で世界の人々の健康に貢献し、企業価値を持続的に向上させることを目指していく当社の姿勢を表現しています。
アステラスの存在意義:先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する
・生命科学の未知なる可能性を、誰よりも深く究めたい。
・新しい挑戦を続け、最先端の医薬品を生み出したい。
・高い品質を確かな情報と共に届け、揺るぎない信頼を築きたい。
・世界の人々の健やかな生活に応えていくために。
・世界で輝き続ける私たちであるために。
アステラスの使命:企業価値の持続的向上
・アステラスは、企業価値の持続的向上を使命とします。
・アステラスは、企業価値向上のため、お客様、株主、社員、環境・社会など、すべてのステークホルダーから選ばれ、信頼されることを目指します。
アステラスの信条
アステラスの「信条」は、私たちが常に大事にする行動規範です。
アステラスは、これらの信条に共鳴し実践する人々の集団であり続けます。
高い倫理観: 常に、高い倫理観をもって、経営活動に取り組みます。
顧客志向: 常に、お客様のニーズを把握し、お客様の満足に向かって行動します。
創造性発揮: 常に、現状を是とせず、未来志向で自己革新に挑戦し、新しい価値を創造します。
競争の視点: 常に、視野広く外に目を向け、より優れた価値を、より早く生み出し続けます。
アステラスは、信条に則した行動を通じて、ステークホルダーの皆様への責任を適切に果たし続けるとともに、積極的な情報開示を行います。
製薬産業を取り巻く事業環境は時代とともに大きく変化しています。新薬開発の難易度の上昇、医療費抑制政策等マイナスの影響がある一方で、イノベーションを評価する制度の拡充や、科学技術の進歩に伴い、創薬に活用できる治療手段が増加するなどプラスの動きもあります。また、デジタル技術や工学技術の進歩は、異業種との融合を促し、患者さんに新しい医療ソリューションの提供を可能にします。当社は、これらの変化に柔軟に対応し、社会のサステナビリティへの貢献、その結果としてアステラスのサステナビリティに寄与する戦略を策定することで、企業価値を持続的に向上させ、革新的な医療ソリューションを患者さんに届け続けていきます。
①経営計画2021
当社は、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」というVISIONの実現に向けて、2025年度までの5カ年にわたる「経営計画2021」を策定しました。「経営計画2021」では、2025年度までに着実な成長を実現し、成果へと結びつけることができるよう、4つの戦略目標、それを推進する企業風土を醸成するための“道しるべ”となる3つの組織健全性目標、それらが全て達成された際に到達できると考える3つの成果目標を設定しています。
4つの戦略目標
戦略目標はVISIONを実現するための向こう5年間の道筋と、優先事項を示しています。
戦略目標1:患者さんのより良いアウトカムの実現
(i) アステラス製品に対する患者さんの持続的なアクセス、(ii) 患者さんがアステラスの製品から享受するアウトカム、の最大化に取り組んでいきます。
戦略目標2:科学の進歩を確かな「価値」へ
研究開発における重点戦略領域であるPrimary Focusに優先的に経営資源を投下し、パイプライン価値を高めます。
Primary Focus:遺伝子治療、がん免疫、再生と視力の維持・回復、ミトコンドリア、標的タンパク質分解誘導
戦略目標3:Rx+ビジネスの進展
Rx+プログラムの事業化により我々が目指す「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会の実現」に向けて前進していきます。
戦略目標4:サステナビリティ向上の取り組みを強化
当社は、サステナビリティ向上への取り組みの重要性を認識しており、社会・環境に対する様々な活動を推進し、活動の基盤となるガバナンスの強化に努めています。社会に良い影響を与える活動によって得られたステークホルダーからの信頼が、アステラスのサステナビリティを向上させると考えています。
3つの組織健全性目標
長期にわたり優れたパフォーマンスを生み出す社内環境を構築するために3つの組織健全性目標を策定しました。組織健全性目標への取り組みによって組織の最大限のポテンシャルを引き出し、One Astellasとして優れた実行力とイノベーションを生み出すための社内環境を構築します。
組織健全性目標1:果敢なチャレンジで大きな成果を追求
適切なリスクを取ることができるよう社員に権限が与えられるとともに、成果を追求し、イノベーションに注力できる環境を構築します。
組織健全性目標2:人材とリーダーシップの活躍
目的を持った人材マネジメントと、一貫したリーダーシップスタイルにより、望ましいマインドセットと行動が促進される環境を構築します。
組織健全性目標3:One Astellasで高みを目指す
共通の目標を達成するために社員が効果的に協働し、組織的に力強く戦略を推進する環境を構築します。
成果目標
理想とする組織に近づき、戦略目標を確実に実行できた時、2025年時点で達成できているだろうと考えられる姿を、数値目標として表したものが、この成果目標です。
・売上収益:XTANDI及び重点戦略製品 (注1) の売上は2025年度に1.2兆円以上
・パイプライン価値:Focus Areaプロジェクトからの売上は2030年度に5,000億円以上
・コア営業利益率 (注2) :2025年度に30%以上
これら3つの成果目標を達成することで、2025年度には当社は株式時価総額7兆円以上と評価されるような企業となることを目指します。
(注) 1.パドセブ、ゾスパタ、ゾルベツキシマブ、エベレンゾ、fezolinetant、AT132
2.当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
②株主還元方針
当社は、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。
また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。
(1) 事業活動遂行に係るリスクの特定とリスク低減への取り組み
グローバルに事業を展開する製薬企業には高い水準で各種規制を遵守することが求められており、当社も業績やレピュテーションに影響を及ぼしうる、多様なリスクに対応する必要があります。当社では経営戦略担当が議長を務めるグローバル・リスク&レジリエンス委員会を設置し、効果的なエンタープライズ・リスク管理の運用を進めています。
エンタープライズ・リスク管理では、全社的並びに部門別に識別されたリスクを、一貫した評価によって分類し、必要に応じてリスク低減計画に結び付けます。識別されたリスクはグローバル・リスク&レジリエンス委員会で定期的に評価し、優先順位の高いリスクに関しては、代表取締役社長が議長を務めるエグゼクティブ・コミッティでその解決・低減策を協議します。
(2) リスク管理体制
当社のリスク管理体制は以下のとおりです。
詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況 2.リスク (損失の危険) の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

(3) 最重要リスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、経営者が、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事項には、主として以下のようなものがあります。
なお、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
①サイバーセキュリティに関するリスク
近年、サイバー攻撃はこれまで以上に技術が高度化し、攻撃手法も多様化・巧妙化しています。このような状況を踏まえ、当社はサイバーセキュリティに関するリスクを最重要リスクの一つと認識し、エシックス&コンプライアンス部門を中心に、ネットワーク及び設備の監視をはじめとする各種サイバー攻撃対策をグローバルベースで実施し、その管理には万全を期しています。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃やそれに伴う深刻なシステム障害等により実質的にビジネスが中断した場合、又は個人を特定できる情報を含む重要データが逸失、破損、社外流出した場合、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
②サプライチェーンマネジメントに関するリスク
医薬品事業において、安全で有効な医薬品を確実に製造し安定的に提供することは極めて重要です。当社はサプライチェーンマネジメントに関するリスクを最重要リスクの一つと認識し、製薬技術部門を中心に、医薬品の製造工程における製造管理、品質管理の基準 (GMP) 及び適正流通の基準 (GDP) に合致した独自の基準を設定し、製造施設・設備のほか、原料の調達から保管、製造、さらに配送まで、一貫した高水準の品質管理を徹底しています。また、サプライチェーンの複雑化に対応すべく、グローバルベースでの製造受託機関 (CMO) 管理の導入、緊急事態の供給に関する事業継続計画 (BCP) の作成等の対策を進めています。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず、供給中断、欠品、品質問題が発生した場合、また、これらに伴い当社のレピュテーションが棄損した場合、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
これらの当社グループが認識している最重要リスクに加え、研究開発の不確実性、知的財産権を侵害される又は侵害するリスク、製品に副作用や安全性の問題が生じるリスク、当社グループのビジネスが他社の開発した医薬品のライセンス及び販売に一部依存するリスク等、製薬産業に特有のリスクのほか、競合品との競争、環境・安全衛生に関する関係法令違反、事業を行う過程において訴訟を提起されるリスク、災害等による製造の遅滞や休止、為替レートの変動等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるさまざまなリスクが存在しています。なお、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」) の状況の概要は次のとおりです。
[財政状態]
当連結会計年度末の連結財政状態計算書の概要及び前連結会計年度末からの主な変動は以下のとおりです。
総資産は2兆4,565億円 (前連結会計年度末比1,241億円増) となりました。
非流動資産は、1兆4,066億円 (同25億円減) となりました。有形固定資産は、2,865億円 (同174億円増) となりました。のれんは3,284億円 (同254億円増) 、無形資産は5,625億円 (同609億円減) となりました。第4四半期連結会計期間において、エベレンゾの将来計画の見直しに伴う無形資産の減損損失、FX-322の開発中止に伴う無形資産の減損損失、Adaptimmune Limitedとの契約解約に伴う無形資産の減損損失を計上したこと等により、無形資産が減少しました。
流動資産は、1兆500億円 (同1,266億円増) となりました。現金及び現金同等物は3,768億円 (同609億円増) となりました。
資本合計は、1兆5,080億円 (同476億円増) となり、親会社所有者帰属持分比率は61.4%となりました。当期利益987億円を計上した一方で、剰余金の配当1,004億円に加え、自己株式の取得606億円を実施しました。なお、2023年3月に477億円(2,618万株)の自己株式を消却しました。
(注)株式数は表示単位未満の端数を切り捨てて表示しています。
負債の合計は、9,486億円 (同765億円増) となりました。
非流動負債は2,225億円 (同379億円増) となりました。その他の金融負債は、第3四半期連結会計期間において、普通社債500億円を発行したこと等により、1,399億円 (同440億円増) となりました。
流動負債は7,260億円 (同386億円増) となりました。その他の金融負債は1,801億円 (同48億円減) となりました。そのうち、コマーシャル・ペーパーの残高は750億円となりました。その他の流動負債は3,827億円(同599億円増)となりました。
[経営成績]
<連結業績 (コアベース) >
当連結会計年度の連結業績 (コアベース) は下表のとおりです。売上収益、コア営業利益、コア当期利益はいずれも増加しました。
売上収益
・主要製品の前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ、尿路上皮がん治療剤パドセブ、急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタの売上が拡大しました。これらのほか、日本における骨粗鬆症治療剤イベニティの売上も増加し、増収に貢献しました。
以上の結果、売上収益は1兆5,186億円 (前連結会計年度比17.2%増) となりました。
コア営業利益/コア当期利益
・売上総利益は、1兆2,303億円 (同17.9%増) となりました。売上原価率は、前連結会計年度に比べ0.5ポイント低下し、19.0%となりました。
・販売費及び一般管理費は、6,303億円 (同14.8%増) となりました。グローバルでのコマーシャル要員の最適化による費用減少(同約80億円減)や、成熟製品における費用の削減(同約80億円減)があった一方で、新製品の立ち上げ・発売に向けた準備費用の増加(同約120億円増)や為替の影響(同803億円増)を受け、総額として増加しました。なお、XTANDIの米国での共同販促費用を除いた販売費及び一般管理費は、4,548億円(同11.1%増)となり、為替の影響を除くと前連結会計年度比較で減少しました。
・研究開発費は、2,761億円 (同12.2%増) となりました。為替の影響(同275億円増)に加え、第1四半期連結会計期間に選択的ニューロキニン3受容体拮抗薬fezolinetantの優先審査を目的にPriority Review Voucherを使用したことに伴う費用(137億円)を計上したことにより、総額として増加しました。売上収益研究開発費比率は、前連結会計年度に比べ0.8ポイント減少し、18.2%となりました。
・無形資産償却費は、384億円 (同35.9%増) となりました。
以上の結果、コア営業利益は2,869億円 (同17.2%増) 、コア当期利益は2,246億円 (同17.9%増) となりました。
<連結業績 (フルベース) >
当連結会計年度の連結業績 (フルベース) は下表のとおりです。売上収益は増加しましたが、営業利益及び当期利益は減少しました。
フルベースの業績には、コアベースの業績で除外される「その他の収益」、「その他の費用」等が含まれます。当連結会計年度における「その他の収益」は36億円 (前連結会計年度:153億円) となりました。
「その他の費用」として、第4四半期連結会計期間において、抗Claudin18.2モノクローナル抗体ゾルべツキシマブの条件付対価の公正価値の増加(386億円)、エベレンゾの将来計画の見直しに伴う無形資産の減損損失(471億円)、FX-322の開発中止に伴う無形資産の減損損失(86億円)、Adaptimmune Limitedとの契約解約に伴う無形資産の減損損失(46億円)等を計上しました。加えて、第1四半期連結会計期間に計上した遺伝子治療プログラムAT702、AT751、AT753の研究開発中止に伴う無形資産の減損損失(230億円)やfezolinetantの米国承認申請に伴い発生した条件付対価の公正価値の増加(132億円)等の計上もあり、当連結会計年度における「その他の費用」は1,575億円(前連結会計年度:1,043億円)となりました。
<主要製品の売上>
(注) プログラフ:アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLを含む
<XTANDI/イクスタンジ>
・全ての地域で売上が拡大し、グローバル売上は前連結会計年度と比較して増加しました。特にエスタブリッシュドマーケット、日本及びインターナショナルマーケットにおいて処方が伸長し、売上の拡大に貢献しました。
<パドセブ>
・米国において、これまでに承認を取得した適応症の患者層に対する推奨治療のオプションとしてのポジショニングを確立したことにより、売上が増加しました。日本においても、推奨治療オプションとしての浸透が進み、新規患者数が大きく増加し、売上が増加しました。また、欧州においては、2022年4月の承認以降、発売国が着実に拡大し、売上の増加に貢献しました。
<ゾスパタ>
・高いマーケットシェアを獲得している米国や欧州、日本での継続的な成長に加えインターナショナルマーケットでは発売国が増加するなど、全ての地域で売上が増加しました。
<エベレンゾ>
・欧州においては発売国が増加したことに伴い売上が拡大した一方、日本では市場の競合激化の影響を受け売上が減少しました。
<ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ>
・地域ごとに増減はあったものの、グローバルの売上は拡大しました。
<プログラフ>
・グローバルの売上は増加しました。
(注) エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ
インターナショナルマーケット:ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国、
オーストラリア、輸出売上等
<地域別売上収益の状況>
地域別の売上収益は下表のとおりです。全ての地域において、売上収益が増加しました。
(注) 当連結会計年度から、オーストラリアのコマーシャル区分をエスタブリッシュドマーケットからインターナショナルマーケットに変更しています。前連結会計年度の金額は当該変更を反映しています。
エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ
グレーターチャイナ:中国、香港、台湾
インターナショナルマーケット:ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国、
オーストラリア、輸出売上等
[セグメント情報]
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、3,278億円 (前連結会計年度比703億円増) となりました。
・法人所得税の支払額は695億円 (同274億円増) となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△845億円 (同221億円支出増) となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、△1,956億円 (同207億円支出減) となりました。
・第3四半期連結会計期間において、普通社債を発行したことにより、社債の発行及び長期借入れによる収入が500億円ありました。
・配当金の支払額は1,004億円(同151億円増)となりました。また、自己株式の取得による支出606億円(同98億円支出増)がありました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,768億円 (前連結会計年度末比609億円増) となりました。
当連結会計年度における生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.当社グループでは、自社工場及び外部パートナーへの製造委託による生産のほか、他社からの仕入等さまざまな工程を経て完成した製品を販売しています。前連結会計年度までは生産実績のみを開示していましたが、当社グループの事業活動をより適切に表すため、当連結会計年度からこれら一連の工程を一体の活動とみなし、生産実績と仕入実績を合算した「生産及び仕入実績」を開示する方法に変更しています。
2.金額は、販売価格に基づいています。
3.前連結会計年度比 (%) は、前連結会計年度の「生産及び仕入実績」に対する比率となっています。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[キャッシュ・フロー]
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
[財務政策]
当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。
成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。資金の流動性については、コマーシャル・ペーパー及び借入金による資金調達を行い、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有のさまざまなリスクを伴っています。事業展開にあたっては、必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性の維持に努めます。
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。
(注) 1.以下の技術導入契約を終了しています。
・Ferring Group(スイス)とのデガレリクス(ゴナックス)に関する技術導入契約
・Adaptimmune Limited(英国)との多能性幹細胞由来の他家T細胞医療製品創製・開発に関する技術導入契約
2.Merck & Co., Inc.(米国)とのフィダキソマイシン (ダフクリア) に関する技術導入契約については、2023年4月にゼリア新薬工業株式会社へ譲渡する契約を締結しました。
(4)その他
・Sandoz AG(スイス)との資産譲渡契約
当連結会計年度において、当社はSandoz AGとの間で、キャンディン系抗真菌剤「ファンガード」(一般名:ミカファンギンナトリウム、海外での製品名:「マイカミン」)に関し、日本を含む全世界での製造販売承認を同社に譲渡する契約を締結しました。
・IVERIC bio, Inc.(米国)買収に関する契約
2023年4月、当社はIVERIC bio, Inc. との間で、同社を買収する契約を締結しました。詳細については、注記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.後発事象」に記載のとおりです。
当社グループにおける主要な設備は、以下のとおりです。
(注) 帳簿価額の「合計」欄には建設仮勘定を含んでいません (以下同じ)。
(注) 上記の設備は全て医薬品事業セグメントに属しています。
(3) 国内子会社の状況
該当事項はありません。
旧商法に基づき発行した新株予約権
(a) 2005年8月発行新株予約権 (2005年8月31日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。提出日の前月末現在 (2023年5月31日) において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しています。
(注) 1.新株予約権1個当たりの目的となる株式の数 (以下「付与株式数」) は500株とします。なお、当社が当社普通株式の分割または併合を行う場合、次の算式により付与株式数を調整するものとし、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てるものとします。
また、当社が資本の減少、合併または会社分割を行う場合等、付与株式数の調整を必要とするやむを得ない事由が生じたときは、資本の減少、合併または会社分割の条件等を勘案のうえ、合理的な範囲で付与株式数を調整します。
2.新株予約権の行使時の払込金額は、新株予約権を行使することにより交付を受けることができる株式1株当たりの金額を1円とし、これに付与株式数を乗じた金額とします。
3.新株予約権の行使の条件
(1) 新株予約権者は、当社の取締役及び執行役員のいずれの地位をも喪失した日の翌日 (以下「権利行使開始日」) 以降、10年間に限り、新株予約権を行使することができる。
(2) 上記 (1) に拘わらず、新株予約権者は、以下の①または②に定める場合には、それぞれに定める期間内に限り新株予約権を行使できる。
① 新株予約権者が2024年6月24日に至るまでに権利行使開始日を迎えなかった場合
2024年6月25日から2025年6月24日まで
② 権利行使開始日の前後に拘わらず、当社が消滅会社となる合併契約書、当社が完全子会社となる株式交換契約書の議案または株式移転の議案につき当社株主総会で承認された場合
当該承認日の翌日から15日間
(3) 各新株予約権の一部行使はできないものとする。
会社法に基づき発行した新株予約権
(b) 2007年2月発行新株予約権 (2007年2月13日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。提出日の前月末現在 (2023年5月31日) において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しています。
(注) 1.新株予約権1個当たりの目的となる株式の数 (以下「付与株式数」) は500株とします。なお、当社が当社普通株式につき、株式分割 (当社普通株式の株式無償割当てを含む) または株式併合を行う場合には、付与株式数を次の算式により調整し、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てるものとします。
また、上記のほか、付与株式数の調整を必要とする場合には、合理的な範囲で付与株式数を調整します。
2. (a) 2005年8月発行新株予約権の (注) 2に同じです。
3.新株予約権の行使の条件
(1) 新株予約権者は、当社の取締役及び執行役員のいずれの地位をも喪失した日の翌日 (以下「権利行使開始日」) 以降に限り、新株予約権を行使することができる。
(2) 新株予約権者は、権利行使開始日以降10年間に限り、新株予約権を行使することができる。
(3) 上記 (1) 及び (2) に関わらず、新株予約権者は、以下の①または②に定める場合 (ただし、②については、組織再編における新株予約権の消滅及び再編対象会社の新株予約権交付の内容に関する決定方針に従って新株予約権者に再編対象会社の新株予約権が交付される場合を除く) には、それぞれに定める期間内に限り新株予約権を行使できるものとする。
① 新株予約権者が権利行使期間の満了日の1年前の日までに権利行使日を迎えなかった場合
権利行使期間の満了日の1年前の日の翌日から権利行使期間の満了日までの間
② 当社が消滅会社となる合併契約承認の議案、または当社が完全子会社となる株式交換契約若しくは株式移転計画承認の議案につき当社株主総会で承認された場合 (株主総会決議が不要な場合は、当社の取締役会決議がなされた場合)
当該承認日の翌日から15日間
(4) 各新株予約権の一部行使はできないものとする。
4.組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項
当社が、合併 (当社が合併により消滅する場合に限る) 、吸収分割、新設分割、株式交換または株式移転 (以上を総称して以下「組織再編行為」) をする場合において、組織再編行為の効力発生の直前の時点において残存する新株予約権 (以下「残存新株予約権」) の新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号のイからホまでに掲げる株式会社 (以下「再編対象会社」) の新株予約権を本新株予約権の発行要領に準じた条件に基づきそれぞれ交付することとする。この場合においては、残存新株予約権は消滅し、再編対象会社は新株予約権を新たに発行するものとする。ただし、本新株予約権の発行要領に準じた条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約または株式移転計画において定めた場合に限るものとする。
(c) 2007年8月発行新株予約権 (2007年8月10日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。提出日の前月末現在 (2023年5月31日) において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しています。
(注) 1~4については、 (b) 2007年2月発行新株予約権の (注) 1~4に同じです。
(d) 2008年9月発行新株予約権 (2008年9月16日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。提出日の前月末現在 (2023年5月31日) において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しています。
(注) 1~4については、 (b) 2007年2月発行新株予約権の (注) 1~4に同じです。
(e) 2009年7月発行新株予約権 (2009年7月8日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。提出日の前月末現在 (2023年5月31日) において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しています。
(注) 1~4については、 (b) 2007年2月発行新株予約権の (注) 1~4に同じです。
(f) 2010年7月発行新株予約権 (2010年7月8日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。提出日の前月末現在 (2023年5月31日) において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しています。
(注) 1~4については、 (b) 2007年2月発行新株予約権の (注) 1~4に同じです。
(g) 2011年7月発行新株予約権 (2011年7月5日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。提出日の前月末現在 (2023年5月31日) において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しています。
(注) 1~4については、 (b) 2007年2月発行新株予約権の (注) 1~4に同じです。
(h) 2012年7月発行新株予約権 (2012年7月5日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。当事業年度の末日から提出日の前月末現在 (2023年5月31日) にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を [ ] 内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1~4については、 (b) 2007年2月発行新株予約権の (注) 1~4に同じです。
(i) 2013年7月発行新株予約権 (2013年7月4日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。当事業年度の末日から提出日の前月末現在 (2023年5月31日) にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を [ ] 内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1~4については、 (b) 2007年2月発行新株予約権の (注) 1~4に同じです。
(j) 2014年7月発行新株予約権 (2014年7月3日発行)
※ 当事業年度の末日 (2023年3月31日) における内容を記載しています。提出日の前月末現在 (2023年5月31日) において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しています。
(注) 1.新株予約権1個当たりの目的となる株式の数 (以下「付与株式数」) は100株とします。なお、当社が当社普通株式につき、株式分割 (当社普通株式の株式無償割当てを含む) または株式併合を行う場合には、付与株式数を次の算式により調整し、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てるものとします。
また、上記のほか、付与株式数の調整を必要とする場合には、合理的な範囲で付与株式数を調整します。
2~4については、 (b) 2007年2月発行新株予約権の (注) 2~4に同じです。
該当事項はありません。
(注) 自己株式の消却による減少です。
(注) 1.当社所有の自己株式789,938株は、「個人その他」の欄に7,899単元及び「単元未満株式の状況」の欄に38株を含めて記載しています。
2.証券保管振替機構名義株式5,050株は、「その他の法人」の欄に50単元及び「単元未満株式の状況」の欄に50株を含めて記載しています。
2023年3月31日現在
(注) 1.所有株式数は、千株未満を、また発行済株式 (自己株式を除く) の総数に対する所有株式数の割合は小数第3位以下を、それぞれ切り捨てて表示しています。
2.上記のほか、当社所有の自己株式789千株があります。
3.以下のとおり大量保有報告書 (変更報告書を含む) が公衆の縦覧に供されていますが、2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記「大株主の状況」には含めていません。