中外製薬株式会社
(注)1.国際会計基準(以下、「IFRS」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2.金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
3.当社は、2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。「1株当たり当社の株主帰属持分」、「基本的1株当たり当期利益」及び「希薄化後1株当たり当期利益」につきましては、2018年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。
(注)1.提出会社の財務諸表は日本基準に基づいて作成しております。
2.金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年度の期首から適用しており、2022年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4.当社は、2020年7月1日を効力発生日として普通株式を1株につき3株の割合で株式分割を行っております。「1株当たり純資産額」、「1株当たり当期純利益金額」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額」につきましては、2018年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。
5.1株当たり配当額は、2020年度の期首に当該株式分割が行われたものと仮定して中間配当額を25円、期末配当額を30円とし、年間配当額55円として記載しております。
6.株主総利回りの記載にあたっては、株式分割を考慮した株価を使用して算定しております。
7.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。なお、2020年度の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、括弧内に分割前の株価を記載しております。
当企業集団は、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」という。)、子会社15社及び親会社の子会社2社により構成されており、主な事業内容と企業集団を構成する各会社の当該事業に係る位置づけの概要は次のとおりであります。
医薬品事業18社
国内事業:当社が製造した医薬品を、全国の特約店を通じて販売しております。
製造については、一部医薬品の原材料をエフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド[本社:スイス]から購入しております。また、中外製薬工業㈱及びジェネンテック・インコーポレーテッド[本社:米国]に医薬品の製造を委託しております。
研究業務については、㈱中外医科学研究所に医薬品の研究業務の一部を委託しており、また同社に研究用施設等の管理業務を委託しております。
開発業務については、㈱中外臨床研究センターに臨床開発業務の一部を委託しております。
また、中外製薬ビジネスソリューション㈱は当社の事務処理業務を請け負っております。
海外事業:欧州では、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッドが販売統轄会社として位置づけられております。
エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドが当社一部製品を輸入し販売しております。
欧州において、中外ファーマ・ヨーロッパ・ロジスティクス・エスエーエスが当社製品を輸入し販売しております。中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド及び中外ファーマ・ユー・ケー・リミテッドが英国における販売活動を、中外ファーマ・フランス・エスエーエスがフランスにおける販売活動を、中外ファーマ・ジャーマニー・ジーエムビーエイチがドイツにおける販売活動を行っております。
台湾において、台湾中外製薬股份有限公司が医薬品の販売を行っております。
中国においては、日健中外製薬有限公司が医薬品の販売を行い、医薬品学術情報を提供しております。また、泰州日健中外製薬工業有限公司が医薬品の生産を行っております。
海外での研究開発活動は、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外製薬有限公司(中国)及び台湾中外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド(シンガポール)が医薬品の研究を行っております。
企業集団の関係概要図は次のとおりであります。
2022年12月31日現在

・子会社のうち、上場している会社はありません。
・2022年4月に日健中外製薬有限公司と日健中外科技(北京)有限公司を、前者を存続会社として統合しています。後者は2023年2月に清算を完了しております。
(注)1.連結子会社の主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。
2.議決権に対する所有(又は被所有)割合の[ ]内は、間接所有割合で内数であり、小数点第2位以下を切り捨てて記載しております。
3.2022年4月に日健中外製薬有限公司と日健中外科技(北京)有限公司を、前者を存続会社として統合しています。後者は2023年2月に清算を完了しております。
4.上記のうち、中外製薬工業株式会社は特定子会社に該当しております。
5.上記のうち、有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社、及び連結財務諸表に重要な影響を与えている債務超過の状況にある会社はありません。
6.親会社の所有関係は次のとおりであります。(参考:アライアンス基本契約等については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.関連当事者」をご参照ください。)

2022年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。
2.当社グループは、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、グループ全体での従業員数を記載しております。
2022年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。
2.当社は、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、当社全体での従業員数を記載しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
当社グループには、当社及び国内関係会社(株式会社中外医科学研究所、株式会社中外臨床研究センター、中外製薬工業株式会社、中外ビジネスソリューション株式会社)を対象とした中外製薬労働組合が組織されており、2022年12月末現在の組合員数は4,636名であります。労使は、相互信頼をベースとした協力的な関係を維持しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことをMission(存在意義)とし、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーター」となることをEnvisioned Future(目指す姿)に掲げ、社会とともに発展することを経営の基本方針としています。
その実践にあたっては、当社グループのCore Values(価値観)である、「患者中心」、「フロンティア精神」、「誠実」に沿った事業活動を行っています。
この基本方針のもと、革新的な創薬を柱とするイノベーションに集中し、一人ひとりの患者さんにとって最適な医療の提供による社会課題の解決を目指すとともに、持続的な企業価値拡大を図ります。
このように、社会と自社が共に発展するための共有価値を創造する上で、重点的に取り組むべき事項を重要課題(マテリアリティ)として策定しています。Envisioned Future(目指す姿)でも掲げる「持続可能な医療」を始め、ESGやSDGsに代表される社会課題に積極的に取り組んでまいります。こうした活動は、社会全体の持続性向上に寄与するとともに、当社グループの長期的な発展を支える基盤になると確信しています。
当社グループはイノベーションの創出による企業価値の向上を重視し、革新的な新薬の創出に優先的に経営資源の配分を行っています。長期にわたる投資効率の指標としてCore ROICを重点的に管理するとともに、短中期的にも安定的な利益成長を達成できるよう、機動的で柔軟な事業運営に努めています。そして、個別の開発テーマ等の投資判断におきましては、資本コストを踏まえた投資価値評価を行い、収益性と効率性を重視した意思決定を行っています。
当社は、2030年に向けた成長戦略「TOP I 2030」(後述)を策定し、「R&Dアウトプット倍増」「自社グローバル品毎年上市」という目標を目指して取り組んでいます。「TOP I 2030」の推進にあたり、中期(3年)経営計画を廃止し、長期目標からバックキャストして現状とのギャップを埋めるための中間(3~5年後)目標を中期マイルストンとして設定・管理することといたしました。これにより、計画の進捗や環境変化に応じてアジャイルかつ柔軟に軌道修正を図りながら、長期的な目標達成を目指しています。中期マイルストンの進捗や研究開発パイプラインの見通しの説明を通じて中長期的な事業活動の進捗の状況を開示し、その達成に向けた道筋を示すとともに、引き続き、単年度業績予想の公表や各説明会等の場で経営状況を説明し、当社の掲げる経営戦略の進捗を適時報告してまいります。
世界人口の増加と各国における高齢化進展、そして2020年から続く新型コロナウイルス感染症の世界的流行などによって、医薬品への期待・ニーズが一層高まっています。また、未だ治療法のない疾患も数多く残っています。一方、各国において医療費等の社会保障費増加により財政が逼迫し、薬剤費を含む医療費の抑制政策はますます厳しくなり、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっています。限られた資源のもとで高度かつ持続可能な医療を実現するため、「真に価値あるソリューションだけが選ばれる」VBHC(Value Based Healthcare)の流れは着実に加速しています。
そして、ライフサイエンスやデジタル技術の飛躍的な進歩によって、医療課題解決に向けたイノベーション創出機会が拡大する中、デジタルをはじめとする多様なプレーヤーがヘルスケア領域に参入しています。その結果、既存業界の枠を超えた競争もこれまで以上に熾烈化してきています。
そのような中、革新的な医薬品の提供を使命とする私たちの最重要課題は、「イノベーションの追求」であると考えています。患者さん一人ひとりにとって最適な医療の実現に向けて、新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新により、アンメット・メディカルニーズに応える新薬の創出が求められます。さらに、ビッグデータやAIなどのデジタル技術の進化を柔軟に取り入れ、従来の創薬力にとどまらない能力を獲得・強化することが競争優位性を確保する鍵となります。また、グローバル規模での財政圧力の増加によって製薬企業の経営環境が厳しさを増す中、限られた資源をイノベーションに集中投資できる体制への変革が一層求められています。
当社グループは、独自のサイエンス力・技術力とロシュとの戦略的アライアンスを基盤として、国内トップクラスの成長を実現してまいりました。ロシュの充実したパイプラインにより日本市場における安定した収益基盤を確保しながら、自社創製品の後期開発や販売ではロシュのグローバル・プラットフォームを活用する、高い生産性を実現するビジネスモデルにより、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジェクトを連続的に創出しています。その結果、これまで6つの当社創製医薬品(アクテムラ、アレセンサ、ヘムライブラ、エンスプリング、ネモリズマブなど)が米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)*」に指定されるなど、当社グループの創薬力は世界的に高い評価を受けています。
これらの成長ドライバーをグローバル市場で確実に価値最大化すること、そして後続の革新的新薬をいち早く創出し、高い患者価値を証明しつつ迅速な開発を成し遂げることで、今後も持続的な利益成長を目指してまいります。
上述の持続可能な医療の実現における課題に加え、地球環境、人権、人財、社会貢献、ガバナンス、倫理・コンプライアンス、サプライチェーンマネジメントを当社が取り組むべきマテリアリティと定め、その解決に向けて継続して取り組んでまいります。
* 画期的治療薬(Breakthrough Therapy):重篤または致命的な疾患や症状に対し、既存治療を上回る改善が期待される治療薬候補
当社グループは、ミッションステートメントに掲げたEnvisioned Future(目指す姿)の実現を目指し、2030年に到達すべきトップイノベーター像を具現化するとともに、その実現に向けた成長戦略「TOP I 2030」を策定し、2021年から展開しています。
2030年トップイノベーター像
1)「世界の患者さんが期待する」
世界最高水準の創薬力を有し、世界中の患者さんが「中外なら必ず新たな治療法を生み出してくれる」と期待する会社
2)「世界の人財とプレーヤーを惹きつける」
世界中の情熱ある人財を惹きつけ、ヘルスケアにかかわる世界中のプレーヤーが「中外と組めば新しい何かを生み出せる」と想起する会社
3)「世界のロールモデル」
事業活動を通じたESGの取組みが評価され、社会課題解決をリードする企業として世界のロールモデルである会社
「TOP I 2030」の二つの柱は、「世界最高水準の創薬の実現」と「先進的事業モデルの構築」です。
独自のサイエンスと技術を駆使して数々の革新的新薬を生み出してきた当社は、今後10年間でさらに創薬力を大きく向上させ、世界のアンメット・メディカルニーズに応えるソリューションを継続的に世に送り出せる体制構築・強化を目指します。具体的には、現在のR&Dアウトプットを10年間で2倍に拡大し、革新的な自社開発グローバル品を毎年上市できる会社を目指します。
そして、環境変化や技術進化を踏まえた先進的事業モデルの構築にも取り組んでまいります。特にデジタルを活用したプロセスや価値創出モデルの抜本的な再構築によって、バリューチェーン全体にわたる生産性の飛躍的向上と、一人ひとりの患者さんにとっての価値・製品価値の拡大を目指してまいります。
具体的な取組みとして、バリューチェーンに沿った「5つの改革」、すなわち「創薬改革」「開発改革」「製薬改革」「Value Delivery改革」及び「成長基盤改革」を掲げています。
①創薬改革

「TOP I 2030」では、たんぱく質エンジニアリング技術をはじめ、これまで積み上げてきた自社創薬の強みをベースにしながら、独創的な創薬アイデアを具現化する創薬技術基盤の一層の強化を目指します。そして、最大の価値創出源である創薬及び早期開発に全社資源を集中し、十分な投資によって成果を創出してまいります。特に、当社グループの今後の中長期的な成長の牽引を期待する中分子医薬では、早期の実用化に向けた技術開発・臨床プロジェクトに資源を優先的に投入します。また、AIを含むデジタル技術の効果的な活用と積極的な外部連携を通じて、創薬技術の多様化、スピードの加速を図ります。
②開発改革

画期的なプロジェクトをより速く、より多くの患者さんに届けるため、数理モデルやデジタル技術を最大限活用した業界トップクラスの臨床開発モデルを構築します。生体反応を精緻に理解し、自社に蓄積されたあらゆる疾患・治療データやリアルワールドデータ(RWD)を徹底活用することで、用法用量・有効性・安全性の予測性を高めるとともに、デジタル・バイオマーカーやデジタル・デバイスで、患者さんのQOLを早期に実証していきます。また、後期臨床開発の業務効率化とRWD等を活用した試験規模の縮小や期間短縮など、オペレーション・モデルの抜本的な改革にも取り組みます。
③製薬改革

R&Dアウトプットの大幅な拡充を目指す上で、革新的創薬を確実に製品化する世界水準の製薬技術の追求も重要な課題となります。創薬・早期開発~製薬の機能間の連携を一層強化し、最先端技術を駆使して中分子などの高難度の薬物に対応した製薬技術開発を進めてまいります。引き続きコア技術として進化が期待される抗体医薬についても、さらなる技術開発の推進と開発スピードの向上に努めます。
一方で、デジタル・ロボティクスの活用により生産性を飛躍的に向上させる次世代工場の構築や、内製・外製の最適化などによって、世界水準でのコスト競争力と原価の低減を追求します。
④Value Delivery改革

デジタルツールの発達や、新型コロナウイルス感染拡大の影響を背景に、製薬企業の顧客タッチポイントのあり方も大きく変容しました。そのような変化も踏まえながら、医療従事者や患者さんが求める情報を、高い専門性を担保しながら的確かつ迅速に届けるため、革新的な顧客エンゲージメントモデルの構築を目指します。具体的には、リアル(対面)・リモート・デジタルの最適活用と、営業・安全性・メディカルの各専門機能の適切な連携によって、顧客に対して価値ある情報を、迅速かつ最適な形で提供できる体制を強化します。
製品ポートフォリオの変化に伴い、成長領域や新規領域へ集中したリソース投入を行うなど、資源シフトも進めてまいります。
また、創薬や開発を通じて蓄積された各種データベースや、リアルワールドデータを統合的に解析・活用することで、個別化医療を促進するエビデンス創出を高度化し、患者さんごとに有効性・安全性を的確に予測するバイオマーカーの開発も加速します。
⑤成長基盤改革

各バリューチェーンにおける改革と並行して、イノベーションの創出と成長戦略の実現を支える全社基盤の強化として、特に下記5つのテーマを重点分野として掲げて取り組んでまいります。
「人・組織」:2020年より開始した人事制度の運用を通じて、ポジションマネジメントとタレントマネジメントの高度化による適所適財の推進、果敢なチャレンジや対話を推奨する組織風土の強化、データサイエンティストをはじめとするデジタル人財やサイエンス人財など戦略遂行上の要となる高度専門人財の獲得・育成・充足に注力するとともに、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進によりイノベーション創出文化の醸成を図ります。
「デジタル」:「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」のもと、デジタル技術を活用した革新的な新薬創出に注力するとともに、すべてのバリューチェーンにおけるDXを推進し、効率化を図ります。その実現に向けてソフト・ハード両面のデジタル基盤の構築とロシュ・グループとの連携を通じた社内の各種データの統合や解析基盤構築によるグローバル水準のIT基盤の確立を行います。
「環境」:マテリアリティとして特定した気候変動対策、循環型資源利用、生物多様性保全の3つの課題について、「中期環境目標2030」を設定し、その達成に向けた先進的な取り組みを通して、持続可能な地球環境を実現します。特に気候変動対策については、2050年にCO2排出量ゼロを目指し、長期的に取り組んでまいります。
「クオリティ」:これまで取り組んできた製品品質の確保に加えて、薬事対応やビジネスプロセス全体にわたるクオリティ・マネジメントの高度化に努めています。さらに、多様な技術進化や新モダリティへの挑戦に伴う規制への対応、デジタル・コンプライアンスの強化、外部との協業拡大を見据えた品質保証体制の整備など、変化するビジネスプロセスに適した質と効率を両立するクオリティ・マネジメント手法の整備・運用を強化します。
「インサイトビジネス」:ロシュ・グループ各社とも協働しながら、創薬、開発、製薬、Value Deliveryの各段階で得られるデータやリアルワールドデータを含む外部データを集積し、高度な解析を加えることにより、自社の創薬・開発や医薬品の価値最大化に資するさまざまなインサイトを抽出し活用する取り組みを推進します。
前述のとおり、世の中には、未だ治療法が存在しない、或いは治療満足度が低いアンメット・メディカルニーズが数多く存在し、世界中の患者さんが有効な治療の登場を待ち望んでいます。これらアンメット・メディカルニーズを一つひとつ解決することこそが社会のニーズであり、私たち中外製薬グループの使命であり、そして企業としての成長機会でもあります。ミッションステートメントに掲げた「ヘルスケア産業のトップイノベーター」を目指し、成長戦略「TOP I 2030」で策定した5つの改革を着実に実行することで、引き続き当社グループはイノベーションによる社会の発展と自社の成長を追求してまいります。
ERM(Enterprise Risk Management=全社的リスクマネジメント)とは、企業価値の最大化を図るため、事業活動に係るあらゆるリスクを可視化し、統合された仕組みで管理を行うリスク管理手法のことを言います。当社グループでは、従来から部門ごとにリスクの抽出・評価、対策実施状況のモニタリングなどERMを行っておりましたが、リスク管理の高度化に向け、2021年からは、戦略に関するリスク管理を包含する新たなERMのフレームワークの導入・運用を行っております。具体的には、リスク選好に係る方針を「リスクアペタイト ステートメント」として明示し、健全なリスクカルチャーの醸成を目指します。そして、全社的に対処すべきリスクを「戦略リスク(=戦略の意思決定に内在するリスクや戦略の遂行を阻害するリスク)」と「オペレーショナルリスク(=事業の円滑な運営を阻害するリスク)」に分け、これらのリスクを一元的に把握・整理・可視化し、全社的に共有・議論を行うことで、効果的・効率的なリスク管理を図るとともに、社外のステークホルダーへの説明責任をさらに強化していきます。

全社的なリスク情報の把握・分析・フィードバックを効率的に推進するため、独自のリスクマネジメントシステムを開発し、グローバルで運用しております。このシステムでは、各部門がリスクマップや年間リスク対応計画、インシデント報告、作成したBCPマニュアル等を登録し、それらの情報をデータベース化して一元管理することで、グループ全体のリスク分析や各部門での対策の状況をモニタリングしております。

当社グループでは、社会との共有価値を創造し、企業価値を高める企業活動の根幹となるミッションステートメント(=企業理念)を基点とした事業経営において、経営目標の達成や戦略遂行を阻害する事象を「リスク」と捉えております。
戦略の意思決定や事業の円滑な運営を適切に行うために、リスクへの対応方針である「リスクアペタイト ステートメント」を定め、リスクカルチャーの醸成を図るとともに、従業員の一人ひとりがこれに基づいた判断・行動を徹底します。
当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により重大な影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性がある主な事項を記載しております。
当社グループはこれらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、これらは当社グループにかかるあらゆるリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。また、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
① 技術・イノベーションについて
当社グループは、ロシュとの戦略的アライアンスのもと、自社の強みであるサイエンス力と技術力をさらに強化することで、革新的な医薬品の創出に努めております。特にこれまでの低分子・抗体医薬では解決できなかったアンメットメディカルニーズ(有効な治療方法が見つかっていない疾病に対する治療薬への要望)を満たす中分子創薬技術の開発に注力するとともに、デジタル技術を活用し研究プロセスの効率化に積極的に取り組んでおります。
しかしながら、医薬品には研究開発の不確実性(自社創薬・技術開発の遅れや失敗)が常に存在しており、さらにサイエンス、創薬技術、デジタルという日進月歩の分野では、競争優位性の高いソリューションの出現などにより、自社技術・製品の価値低下や開発計画の見直しなどのリスクがあります。また、当社グループは業務活動上様々な知的財産権を使用しており、それらは当社グループ所有のものであるか、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から侵害を受けたり、第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。当社グループの業務に関連する重大な知的財産権を巡って係争が発生した場合、期待される収益の減少、製造販売・技術使用の停止や使用料の発生など戦略遂行に重大な影響を与える可能性があります。
こうしたリスクに対しては、最先端のサイエンス・技術へのアクセスを怠らず、経営資源の選択と集中により自社技術の優位性を高めるとともに、外部連携の強化により多様性を高めることに努めております。さらに中分子医薬の開発にあたっては関連する社内組織(創薬・開発・製薬)の連携強化、知的財産権については知財戦略のさらなる強化を図ってまいります。
当社グループはリスクアペタイトに基づき、リスクをとって積極果敢にイノベーション創出の機会を追求するとともに、職場環境や組織文化、人財育成などの面からもイノベーションを奨励する仕組みを強化し、イノベーション創出を妨げるリスクの低減に努めております。
② 医療制度・薬事規制について
当社グループは、アンメットメディカルニーズに応えるべく、ファーストインクラス(新規性・有用性が高く、これまでの治療体系を大幅に変えうる独創的な医薬品)、ベストインクラス(同じ分子を標的にするなど、同一カテゴリーの既存薬に対して明確な優位性を持つ医薬品)となりうる革新的な新薬の連続的な創製に注力しております。
一方、国内外において高齢化の進展や医療費高騰などによる財政逼迫を背景とした薬剤費引き下げ政策の強化が進められています。さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う多額の財政出動により、各国が進める医療費抑制は加速することが予想されます。日本においては昨今の安全保障政策の強化に伴う防衛費の増大等により、医療等の社会保障財政への影響も懸念されます。既に2年に一度行われる薬価改定に加え、2021年度に導入された中間年改定が2023年度も実施される中、こうした薬価引き下げ政策やバイオシミラー(バイオ後続品)等の振興政策が拡大すると、これまで以上に収益の低下を招き、研究開発への投資を妨げるリスクがあります。
また、こうした政策により今後ますます「Value Based Healthcare(価値に基づく医療)」が進展し、患者さんにとって真に価値のあるソリューションだけが選ばれる傾向がより一層強まると考えております。日本のみならず、海外の制度・薬事規制改革の内容や環境動向を適時適切に把握する海外インテリジェンス機能の強化に取り組むとともに、引き続き、イノベーション追求により新たな価値の提供と収益構造の強化を図ってまいります。
③ 市場・顧客について
ⅰ.市場・顧客の変化
近年、競合品や後発品/バイオシミラー(バイオ後続品)の浸透加速に加え、再生医療、細胞/遺伝子治療、核酸医薬など新たな治療手段(モダリティ)の進展や、予防・診断・治療・予後まで一貫した価値提供が求められるようになっております。ITプラットフォーマーのヘルスケア産業参入によるデータ寡占等、ライフサイエンスやデジタル分野での新たな技術・脅威が台頭しており、ヘルスケア産業における競争環境は急激に変化しています。さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響を背景に、製薬企業における医薬品の情報提供体制、すなわち顧客タッチポイントのあり方も大きく変容しています。
このような状況におきまして、市場での地位や製品競争力が低下するリスク、あるいは顧客タッチポイントの急速な変化により、医薬品の情報提供体制の抜本的な見直しを迫られる可能性があります。
こうしたリスクに対応するべく、当社グループでは連続的な新薬の創出と製品ラインアップの多様化に努めるとともに、常に高いコンプライアンス意識を持ちながら環境にあった情報提供のあり方を模索しています。また、新たな顧客エンゲージメントモデル、すなわち顧客のニーズに合わせて、リアル(対面)・リモート・デジタルを融合させたアプローチにより、迅速かつ的確に顧客に価値を提供する体制を強化しております。
ⅱ.地政学リスクの高まりによる事業制限
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻とそれに伴うヨーロッパにおけるエネルギー供給の懸念や、人権、ハイテク、台湾問題等をめぐる米中対立の高まり、そしてそれらに端を発した各国の経済安全保障法制の強化など、地政学リスクをめぐる企業活動への影響が注目されています。
これら国際情勢の急激な変化や国家間紛争の発生によって、関連地域における事業制限・撤退(生産・R&D・販売拠点の喪失、利益減少、将来の機会損失)、関連地域におけるサプライチェーン停滞・供給遅延などのリスクが生じる可能性があります。
これら地政学リスクに対して、当社グループでは、外部情報の入手や事業影響分析を行う社内体制を整備していくとともに、突発的な有事に備えた安全管理体制の再整備、事業継続計画(BCP)・供給バックアップ体制の強化などを行っていきます。
④ 事業基盤について
ⅰ.ロシュとの戦略的提携
当社グループはロシュとの戦略的提携により、日本市場におけるロシュの唯一の医薬品事業会社となり、また日本以外の世界市場(韓国・台湾除く)ではロシュに当社製品の第一選択権を付与し、多数の製品及びプロジェクトを同社との間で導入・導出しております。独自のビジネスモデルによって安定的な収益基盤を確立できることが提携の大きなメリットです。
一方、戦略的提携における合意内容が変更となった場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、ロシュの創薬・グローバルネットワークが不調に陥り、ロシュからの導入品による安定的な収益源が低下するリスクやロシュに導出した自社品のグローバル市場浸透の遅延や収益低下などのリスクがあります。
当社グループとしてはイノベーションを追求し、革新的な医薬品を連続的に創出することにより、引き続き、ロシュグループ全体の価値創造に対し貢献できるよう努めてまいります。
ⅱ.人事・組織
当社は2020年に新たな人事制度を導入し、適所適財に基づく人財配置の徹底、タレントマネジメントの高度化、そして果敢なチャレンジを推奨する組織風土の醸成を図っております。また、データサイエンティストをはじめとするデジタル人財やメディカルドクター(MD)など、戦略遂行上の要となる高度専門人財の発掘・育成・獲得に注力しております。
一方、人財獲得ニーズの競合等による獲得の遅れや社内育成に要する時間、目まぐるしい環境変化により求められる業務の質の変化による人財のミスマッチや不足、余剰等が発生するリスク、あるいは期待される組織文化が醸成されず、イノベーションの創出が阻害されるリスクなどが想定されます。
こうしたリスクに対応するべく、戦略遂行上の要となる人財の要件を明確に定義し、社外にも積極的に開示するとともに、社内では定着・育成に向けた施策の強化に努めております。組織・人財への投資を強化し、環境動向を見極めた組織体制と戦略的な採用計画を実施してまいります。
ⅲ.デジタル基盤
すべてのバリューチェーンで生産性の飛躍的向上を図るべくデジタル投資を加速する一方、デジタル技術が進展しない可能性や社内のデジタルケイパビリティ不足、デジタルコンプライアンスの理解不足等によりデジタルトランスフォーメーション(DX)の停滞やトラブルが発生する可能性があります。タイムリーにDX戦略を見直し、ケイパビリティの強化に努めるとともに、外部専門人財を積極的に活用してまいります。
ⅳ.収益構造
製薬産業における技術の進歩は顕著であり、国内外製薬企業等との厳しい競争に直面する中、R&D費などの投資・コスト増加が収益構造に影響を及ぼす可能性があります。このため、デジタルを活用したプロセス改善と生産性の向上によるオペレーションコストの最小化に取り組むとともに、投資プロジェクトの見極めが重要と考えております。
① 品質・副作用について
患者さんに価値の高い製品・サービスを安定的にお届けするにあたっては、何よりも製品の有効性や安全性は勿論のこと、それらを担保する品質が重要であると考えます。当社グループでは、製品のライフサイクルにおける業務プロセスの妥当性を確認・評価し改善するとともに、グローバルITシステムの導入・運用によりデータの信頼性を確保しております。また、恒常的な品質確保に向けて、社内及び社外パートナーとの連携を重視し、品質について考え話し合う場を定期的に設けるなど、様々な取り組みにより連携を深化させています。しかしながら、何らかの原因により製品品質に懸念が生じた場合には、販売中止・製品の回収や社会的信頼の喪失などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。
医薬品・医療機器は各国規制当局の厳しい審査を受けて承認されておりますが、当社グループでは、承認後も医薬品の安全監視活動を強化・徹底するとともに、「調査・副作用・治験データベースツール」による患者さんの特性に応じた迅速な情報提供や、患者さんと医療関係者とのコミュニケーションを円滑にし、患者さんにより安心して治療を受けていただくための「治療支援アプリ」の運用、安全性専属スタッフである「セイフティエキスパート」を中心とした、医療関係者への安全性コンサルテーション・ネットワーク体制の構築など、適正使用に向けた安全性情報提供活動の強化を図っております。しかしながら、その特殊性から、使用にあたり、万全の安全対策を講じたとしても副作用等の健康被害を完全に防止することは困難であり、副作用、特に新たな重篤な副作用が発現した場合には、「使用上の注意」への記載を行うほか、販売中止・製品の回収等に至ることもあり、業績に重大な影響を与える可能性があります。
② ITセキュリティ及び情報管理について
業務上、各種ITシステムを利用しており、従業員・アウトソーシング企業の不注意または故意による行為や、サイバー攻撃等の外部要因によりシステム障害や社外提供サービスの停止、提供情報の改ざん等が生じた場合、事業活動の停止・遅延・計画の見直しや、突発的な対応・対策費用などが発生する可能性があります。また、万が一、研究開発等にかかる営業秘密や個人情報等が社外に流出した場合、競争優位性の喪失、社会的信頼の喪失、損害賠償などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループはこれらのリスクに備え、関連規程を整備し、従業員に対する教育・訓練を定期的に実施するとともに、システムの堅牢性・可用性の強化、サイバー攻撃・ウイルス感染の検知機能・監視体制や情報セキュリティインシデント対応体制の強化を図っております。また、これらの対策状況をグループ横断的に評価し強化するためのセキュリティマネジメント体制を構築し、継続的なリスクの低減に努めております。
③ 大規模災害等による影響について
地震、台風、洪水等の自然災害、火災等の事故により、当社グループの事業所・営業所及び取引先の建物・設備等が深刻な被害を受けた場合、医薬品の供給停止や設備修復などの費用計上の発生、新製品の浸透遅延、それらによる収益の低下など、業績に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに備え、損害保険の加入や、事業継続計画(BCP)の策定・訓練の実施、耐震対策、安全在庫の確保など、従業員の安全と医薬品の安定供給のための体制を整備し、リスクの低減に努めております。
④ 人権について
職場におけるハラスメントや労働安全衛生を含む人権問題への対応遅延が生じた場合、従業員の健康やメンタルヘルスの悪化、離職率の増加など人財力の低下、社会的信頼の喪失により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これら人権問題に対し、役員、従業員に対する継続的な人権研修の実施や、ハラスメントに関する相談窓口の設置、また健康経営の一環として安全衛生活動に取り組んでいます。
サプライヤーに対しても人権尊重に対する理解を求め、協力して人権問題に関する課題解決に努めております。
⑤ サプライチェーンについて
自然災害、事故、パンデミックの発生等により当社の原材料調達先や外部製造委託先などのサプライヤーに被害や事業活動の制限が生じた場合、また、サプライチェーンにおけるコンプライアンス違反や環境問題などへの対応が遅延した場合、原材料の確保や生産の継続が困難となる可能性があり、社会的信頼の喪失や売上・シェアの低下により業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらサプライチェーンに係るリスクに備え、損害保険の加入や、事業継続計画(BCP)の策定、安全在庫の確保、サプライヤーとの情報共有体制の構築など、医薬品の安定供給のための体制を整備しております。
また、サプライチェーンにおけるコンプライアンスや環境問題など当社グループだけでは解決できない課題に関し、サプライヤーと協力して課題解決に努めております。
⑥ 地球環境問題について
環境関連法規等の遵守はもとより、さらに高い自主基準を設定してその達成に向けて努めており、今後も強化と充実を図っていきます。しかしながら、万が一、有害物質による予期せぬ汚染やそれに伴う危害が顕在化した場合、対策費用や損害賠償責任を負うなどにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。
気候変動については、地球環境保全のための重大な課題の一つと考え、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでおります。その一環として、エネルギー消費量削減に加え、2025年までに温室効果ガスを排出しないサステナブル電力比率100%、並びに2030年までにスコープ1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)及びスコープ2(他者から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出)の60~75%削減を目指しております。しかしながら、これら気候変動に対する技術・設備対応の遅れが発覚した場合、設備投資計画の見直し、追加的な費用計上が生じる可能性があります。
また、将来における環境関連法規制の強化により、対策費用の増加や当社グループの研究、開発、製造、その他の事業活動が制限される可能性があります。
なお、当社グループは、透明性・信頼性の高い環境情報を開示するため、毎年、環境パフォーマンスデータの第三者保証を取得しております。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言」のフレームワークに基づき、気候変動が当社へもたらすリスクと機会を織り込んだ定性評価及びシナリオ分析を実施し、長期的に大規模な事業転換や投資を必要とする重大な気候関連リスクは特定されませんでした。加えて、2021年には、弊社の温室効果ガス削減目標に対してScience Based Target(SBT)事務局よりSBT認定を取得いたしました。今後も継続的に分析・評価を行い、プロアクティブな環境課題の解決に取り組んでいきます。
⑦ パンデミックによる影響について
当社グループは、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、テレワークなど柔軟性の高い働き方と生産性の維持・向上を実現する「新しい働き方」の定着に向けた取り組みを進めております。また、患者さんに対する医薬品の安定供給という社会的責務を担っており、感染症拡大時においても、必要な医薬品の提供体制を維持することを基本方針としております。
引き続き、従業員及び事業関係者への感染防止策に取り組みながら、医薬品の安定供給に努めてまいりますが、今後、新たな感染症の全国的・世界的な大流行等により事業活動が制限された場合、サプライチェーンの停止・遅延により製品供給に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、研究・臨床試験の進行や、MR活動の制限による新製品等の浸透に遅延が生じる可能性があります。
① 経営成績の状況
(単位:億円)
<連結損益の概要(IFRSベース)>
当連結会計年度の売上収益は12,599億円(前年同期比26.0%増)、営業利益は5,333億円(同26.4%増)、当期利益は3,744億円(同23.6%増)となりました。これらには無形資産の償却費17億円、無形資産の減損損失6億円及び事業所再編費用等68億円に加え、当社とアレクシオン ファーマスーティカルズ インコーポレーテッドとの間において締結した和解契約に関わる収入等907億円など、当社が管理する経常的業績(Coreベース)から除外している項目が含まれています。
<連結損益の概要(Coreベース)>
当連結会計年度の売上収益は、ロイヤルティ等収入及びその他の営業収入は大きく減少したものの、製商品売上高の大幅な伸長により、11,680億円(前年同期比16.8%増)となりました。
売上収益のうち、製商品売上高は10,392億円(同29.4%増)となりました。国内製商品売上高は、薬価改定や後発品の影響を受けたものの、新製品のエブリスディ、ポライビー、エンスプリング、バビースモの順調な市場浸透や、主力品のヘムライブラやカドサイラの好調な推移に加え、ロナプリーブの政府納入を主因として前年比で増加しました。海外製商品売上高は、ロシュ向けのアレセンサ輸出が減少した一方で、ヘムライブラ及びアクテムラの輸出が大幅に増加し、前年を大きく上回りました。ロイヤルティ等収入及びその他の営業収入は、ヘムライブラの初期出荷分に関するロイヤルティ収入の大幅な減少により1,288億円(同34.6%減)となりました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により45.7%と前年同期比で3.9%ポイント上昇しました。これらの結果、売上総利益は6,930億円(同4.3%増)となりました。
経費については、2,413億円(同4.8%増)となりました。販売費は為替影響等により767億円(同1.2%増)、研究開発費は開発プロジェクトの進展に伴う費用の増加や為替影響等により1,437億円(同10.7%増)でした。一般管理費等は諸経費等が減少したことに加えて有形固定資産の売却益が発生し209億円(同15.0%減)となりました。以上から、営業利益は4,517億円(同4.1%増)、当期利益は3,177億円(同2.0%増)となりました。
なお、ロシア及びウクライナの情勢変化による当連結会計年度での業績影響については、当社は当該国内において直接的な事業活動を展開しておらず、製造委託先や原材料の仕入れ先はありませんが、これらの情勢変化等に起因するエネルギー価格等の高騰により、一部の原価や経費が増加しています。また、当該国及び周辺国において、一部のロシュ主導試験の進捗に影響がみられているものの、開発活動全体への影響は限定的です。
※Core実績について
当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とは、IFRS実績に当社が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであります。なお、当社が非経常事項と捉える事項は、事業規模や範囲などの違いによりロシュと判断が異なる場合があります。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。
株主還元を行う際の指標には、Core EPS及びCore配当性向を指標として使用しております。Core EPSは、Core実績をもとに算出された、当社株主に帰属する希薄化後1株当たり当期利益であり、Core配当性向は、Core EPS対比の配当性向です。
<製商品売上高の内訳>
(単位:億円)
[国内製商品売上高]
国内製商品売上高は、薬価改定や後発品浸透の影響を大きく受けたものの、主力品及び新製品の好調な市場浸透により、6,547億円(前年同期比26.2%増)となりました。
オンコロジー領域の売上は、2,560億円(同2.1%減)となりました。新製品の抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗CD79bモノクローナル抗体「ポライビー」の適応拡大による順調な市場浸透や、抗悪性腫瘍剤/抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体「カドサイラ」の堅調な推移、遺伝子変異解析プログラムFoundation Medicine**の検査数の伸長により売上が増加しました。一方、薬価改定及び後発品浸透の影響により抗悪性腫瘍剤/抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン」や抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「ハーセプチン」の売上が減少し、抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク」も主に2021年8月の市場拡大再算定の影響により売上が減少しました。
スペシャリティ領域の売上は、3,986億円(同54.9%増)となりました。薬価改定及び後発品浸透の影響により、骨粗鬆症治療剤「エディロール」や持続型赤血球造血刺激因子製剤「ミルセラ」などの売上が減少したものの、主力品の血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤「ヘムライブラ」が好調に推移しました。新製品では2021年7月に特例承認された抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ロナプリーブ」の政府納入による売上が大幅に増加したことに加え、脊髄性筋萎縮症治療剤「エブリスディ」、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング」、眼科用VEGF/Ang-2阻害剤/抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ」の順調な市場浸透が寄与しました。また、2022年8月にアトピー性皮膚炎に伴うそう痒を適応症としてマルホ株式会社が新発売したヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体「ミチーガ」について、同社への製品提供の売上が計上されました。
* 2022年7月より領域名称を「プライマリー」から「スペシャリティ」に変更
** 「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイリング」及び「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイリング」
[海外製商品売上高]
海外製商品売上高は3,846億円(前年同期比35.5%増)で、前年を大幅に上回りました。ロシュ向け輸出については、抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤「アレセンサ」が前年比で減少したものの、通常出荷価格での輸出本格化に伴い「ヘムライブラ」が1,911億円(同70.6%増)と大幅に増加しました。加えて、重症の新型コロナウイルス治療薬、入院中の成人COVID-19治療薬としてそれぞれ欧州、米国で承認を取得した「アクテムラ」も1,262億円(同26.1%増)と好調に推移しました。また、2022年7月に中国で発売した「エディロール」の売上高は1億円でした。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ2,267億円増加し、9,993億円となりました。うち、純運転資本は、ロナプリーブ等の営業債権の増加などにより前連結会計年度末に比べ1,815億円増加し5,516億円となりました。また、長期純営業資産は主に中外ライフサイエンスパーク横浜及び藤枝工場における合成原薬製造棟(FJ3)への投資により前連結会計年度末から454億円増加し、4,478億円となりました。
次項「③ キャッシュ・フローの状況」で示すとおり、有価証券や有利子負債を含むネット現金は前連結会計年度末に比べ311億円増加し、5,031億円となりました。その他の営業外純資産は、主に為替予約負債の増加等により前連結会計年度末から216億円減少し、△781億円となりました。
これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ2,364億円増加し、14,244億円となりました。
※純営業資産(NOA)及び純資産について
連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資産にはCore実績のような除外事項はありません。
※純営業資産(NOA)について
純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グループの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、使用権資産、無形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
営業利益から、営業利益に含まれる減価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産に係るすべての非損益現金流出入を調整した調整後営業利益は、5,706億円(前年同期比22.3%増)となりました。
純運転資本等の増加1,833億円及び有形固定資産の取得による支出626億円等があった一方で、営業利益の増益により、営業フリー・キャッシュ・フローは3,084億円(同2.3%増)の収入となりました。純運転資本等の増加要因は前項「② 財政状態の状況」に記載したとおりです。
営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税1,521億円を支払ったこと等により、フリー・キャッシュ・フローは1,664億円(同12.1%減)の収入となりました。
フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払1,382億円等を調整したネット現金の純増減は311億円の増加となりました。
また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は456億円減少し、当期末残高は2,222億円となりました。
※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について
連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づいて作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のような除外事項はありません。
当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
(注)1.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は売価換算(仕切単価ベース)であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。
2.当連結会計年度において、医薬品事業の生産が著しく増加しております。これは、主に抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ロナプリーブ」の政府納入に伴うものです。
当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の商品仕入実績は次のとおりであります。
(注)IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は実際仕入高であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
3.販売高は売上収益(製商品売上高とロイヤルティ等収入及びその他の営業収入、その他の収入)であります。
4.当連結会計年度において、医薬品事業の販売高が著しく増加しております。これは、主に抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ロナプリーブ」の政府納入、及び当社とアレクシオン ファーマスーティカルズ インコーポレーテッドとの間において締結した和解契約による一時金収入などに伴うものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 及び ② 財政状態の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループは、これまで、運転資金並びに設備投資及び研究開発活動を自己資金で充当しております。2021年度に始動しましたTOP I 2030 は「R&Dアウトプットの持続的な創出」に代表されるイノベーションへの継続的な経営資源の配分を掲げています。引き続き資金流動性の確保と事業活動から創出されるキャッシュ・インフローの最大化に努めるとともに、継続的なイノベーション投資に必要な財務健全性を維持していく方針です。また、計画外の急な資金需要が生じた場合の財源につきましては、金融機関からの借入や短期社債等を利用するなどの体制を整えており、既存の手許資金も含めて十分な流動性を確保しております。
今後についても資本財源は事業活動を通じて獲得した資金を基盤とする方針であり、継続的なイノベーションへの投資を通じ、持続的な企業価値の向上を目指す方針です。なお、資本配分としての配当につきましては、継続的で安定的な配当の実施を目標としており、Core EPS 対比45%(5年平均)を目安としております。
③ 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度においては、Core売上収益は、主にヘムライブラやアクテムラのロシュ向け輸出の増加や、国内における新製品・主力品の好調な市場浸透に加え、ロナプリーブの政府納入もあり11,680億円(公表予想比1.6%増)となり、当社として初めて1兆円を超えました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により45.7%(同1.1%増)、経費は2,413億円(同3.5%減)となりました。この結果、Core営業利益は、公表予想を上回る4,517億円(同2.7%増)となり、6期連続で過去最高の売上収益・営業利益を達成しました。また、長期にわたる投資効率の指標として重点的に管理することとしているCore ROICの実績は、ロナプリーブ政府納入に伴う期中平均純営業資産の大幅な増加により、前年を下回る36.1%となりました。
2021年に開始した成長戦略「TOP I 2030」の2年目となる2022年は、創薬、開発、製薬、Value Delivery、成長基盤という5つの改革分野で設定している中期マイルストン(3~5年後の目標)に対し、着実な進展が見られました。
創薬においては、抗体、低分子に続く第3のモダリティとして注力する中分子医薬品について、初のプロジェクトである抗がん剤LUNA18の臨床試験が進行するとともに、製造体制の構築も着実に進展しております。後続プロジェクトの継続的な創出や競争優位性を高める新技術の開発についても中期マイルストン目標達成に向けて、着実に進展しております。また、自社の強みとする抗体医薬品においても、次世代抗体技術の開発とプロジェクトの創出が進んでおります。こうした自社の技術基盤を強化するとともに、本年はCAR-T細胞療法であるPRIME(Proliferation inducing and migration enhancing)技術に関しノイルイミューン・バイオテック社とライセンス契約を締結するなど、外部連携の活用等により革新的なモダリティの開発も進捗しています。加えて、10月には当社の新研究拠点「中外ライフサイエンスパーク横浜」が竣工しました。これまで富士御殿場研究所及び鎌倉研究所の二カ所に分散していた創薬研究拠点を統合し、一カ所に集約することで、創薬力を最大限に発揮する体制が整いました。
開発については、2022年は合計12プロジェクトが承認・発売され、新薬・適応拡大を含め3プロジェクトが承認申請に移行しました。また、ロシュ品・自社品含めて計6プロジェクトの第Ⅲ相国際共同治験、6プロジェクトの第Ⅰ相臨床試験を開始しました。引き続き、画期的な医薬品をより速く、より多くの患者さんにお届けできるよう、臨床予測性の向上や複数疾患の同時開発、後期臨床開発オペレーションの進化に向けた活動も進展しています。
製薬では、R&Dアウトプット倍増への対応及び効率的な生産体制の実現を目指し、7月に製薬技術本部・生産技術本部の二本部に分割しました。生産機能においては、効率的で質の高い生産プロセスを支えるデジタル基盤を構築し、グループ会社である中外製薬工業株式会社の浮間工場にて稼働しました。また、両機能強化を目指し浮間事業所の隣接用地の購入契約を締結いたしました。これらに加え、バイオ原薬開発・製造体制や効率的な生産体制の構築に向けて、順調に進展しております。
Value Deliveryにおいては、多様化する顧客ニーズに対応すべく、リアル・リモート・デジタルを組み合わせた最適な顧客エンゲージメントモデルを構築し、医療従事者や患者さんが求める情報を的確かつ迅速に提供できる体制の強化が進んでいます。7月には営業本部の組織改正を行い、より高度・専門的な情報提供を行うべく、オンコロジー/スペシャリティの2領域体制に再編しました。加えて、デジタルMSL・オンラインMR等の取組みを開始し、新たな情報提供チャネルも拡充しております。また、個別化医療に資する独自エビデンスの創出を目指し、社内外データの統合的な活用にも取り組んでいます。
成長基盤は、D&Iの推進とともに、会社のビジョンや目標の達成に向けて自発的・能動的に行動できる人財の増加を目指す「人・組織」について、2022年は社員意識調査を実施し、グループ全体で活躍社員の出現率は高水準を維持していることを確認いたしました。引き続き中期マイルストン目標であるグローバル好業績企業と同水準まで向上できるよう、取り組んでまいります。また、女性活躍推進に優れた上場企業として2年連続で「なでしこ銘柄」に選定されております。新薬創出力の高度化・効率化や全てのバリューチェーン効率化の柱である「デジタル」については、デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」に3年連続で選定されるとともに、「DXグランプリ2022」に初選定されました。世界水準でのサステナブル基盤としての「環境」については、世界の代表的なESG評価指数である「Dow Jones Sustainability Index World」の3年連続選定(医薬品企業で世界最高の評価)など、当社の事業活動を通じたESGの取り組みが高く評価されました。その他、新モダリティ・新ビジネスプロセスを見据えた質と効率を両立する次世代クオリティマネジメントを目指す「クオリティ」、そして事業化を目指す「インサイトビジネス」など、イノベーション創出に必要な成長基盤の強化を図っています。なお、10月には関係会社変革の一環として人財マネジメント改革を実施し、関係会社への出向者が各関係会社に転籍しております。これにより、関係会社における自律的な事業運営が加速し、オペレーションの高度化・効率化が実現するとともに、中外製薬グループ全体での生産性向上とイノベーション創出に貢献すると考えております。
※ROICについて
投下資本利益率(ROIC:Return On Invested Capital)は事業活動のために投じた資金(投下資本)を使って、企業がどれだけ効率的に利益に結びつけているかを知ることができます。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループはIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 1.重要な会計方針等 (2)重要な会計上の判断、見積り及び前提」に記載のとおりです。
当社グループにおける主要な設備は次のとおりであります。
(提出会社)
(中外製薬工業株式会社)
(注)1.帳簿価額の内訳には、建設仮勘定は含まれておりません。
2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
3.当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため「セグメントの名称」の記載を省略しております。
4.富士御殿場研究所には、御殿場寮(静岡県御殿場市)の土地660百万円(7千㎡)、建物及び構築物205百万円、機械装置及び備品1百万円が含まれております。
5.現在休止中の主要な設備はありません。
6.上記の他、主要な賃借設備として以下のものがあります。全て建物の賃借であります。
(提出会社)
(注)当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため「事業の種類別セグメントの名称」の記載を省略しております。
(注)提出日現在発行数には、2023年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。
ストックオプションとしての新株予約権は、次のとおりであります。
2012年4月24日の取締役会決議にて発行した新株予約権は、2022年4月24日に行使期間が満了となりました。
※ 当事業年度の末日(2022年12月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年2月28日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注)1.当社が株式分割または株式併合を行う場合、次の算式により、新株予約権の目的である株式の数(以下、「付与株式数」という。)を調整するものとします。ただし、かかる調整は、新株予約権のうち、当該時点で権利行使していない新株予約権の目的である株式の数について行われ、調整の結果生じる1株未満の端数については、これを切り捨てるものとします。
調整後付与株式数=調整前付与株式数×分割・併合の比率
また、上記のほか、付与株式数の調整を必要とするやむをえない事由が生じたときは、合理的な範囲で付与株式数を調整します。
2.新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、新株予約権を行使することにより交付を受けることができる株式1株当たりの金銭の額(以下、「行使価額」という。)に付与株式数を乗じた金額とします。
なお、当社が株式分割または株式併合を行う場合、次の算式により行使価額を調整し、調整により生じる1円未満の端数は切り上げます。
また、時価を下回る価額で、新株を発行する場合または自己株式を処分する場合(新株予約権の行使の場合は除く。)は、次の算式により行使価額を調整し、調整により生じる1円未満の端数は切り上げます。
上記算式において「既発行株式数」とは、当社の発行済株式総数から当社が保有する自己株式数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合には「新規発行」を「自己株式の処分」と読み替えるものとします。
さらに、上記のほか、行使価額の調整を必要とするやむをえない事由が生じたときは、合理的な範囲で行使価額を調整します。
3.「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」の発行価格は、公正な評価単価と行使時の払込金額の合計額を記載しております。
4.当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換または株式移転(以上を総称して以下、「組織再編行為」という。)をする場合において、組織再編行為の効力発生の時点において残存する新株予約権(以下、「残存新株予約権」という。)については、新株予約権の割当てを受けた者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号のイからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という。)の新株予約権を本新株予約権の発行要領に準じた条件に基づきそれぞれ交付することとします。この場合においては、残存新株予約権は消滅し、再編対象会社は新株予約権を新たに発行するものとします。ただし、本新株予約権の発行要領に準じた条件に基づき再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約または株式移転計画において定めた場合に限るものとします。
5.2020年7月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
該当事項はありません。
(注)1.金額は百万円未満を四捨五入して記載しております。
2.2020年1月21日開催の取締役会決議に基づき、2020年7月1日付で普通株式1株を3株の割合で株式分割を行い、発行済株式総数は1,119,371,778株増加し、1,679,057,667株となっております。
(注)1.自己株式34,037,098株は、「個人その他」の欄340,370単元、「単元未満株式の状況」の欄に98株を含めて記載しております。
2.証券保管振替機構名義の株式9,000株は、「その他の法人」の欄に90単元を含めて記載しております。
2022年12月31日現在
(注)1.当社は自己株式34,037,098株を所有しておりますが、上記大株主の状況の記載から除いております。
2.所有株式数は、千株未満を、また発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点第3位以下を、それぞれ切り捨てて記載しております。