ロート製薬株式会社
(注) 1 2021年3月期、2022年3月期及び2023年3月期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、 2020年3月期、2021年3月期及び2022年3月期に係る主要な経営指標等については、暫定的な会計処理の確定後の指標等となっております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年3月期の期首から適用しており、2022年3月期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3 2023年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。2019年3月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。
(注) 1 最高株価・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。なお、2023年3月期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式分割前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載しております。
2 2019年3月期の1株当たり配当額25円には、創業120周年記念配当2円を含んでおります。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年3月期の期首から適用しており、2022年3月期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4 2023年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。2019年3月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。
当社グループは、当社、子会社67社及び関連会社15社で構成され、主にヘルス&ビューティケアの領域で、アイケア関連(目薬、洗眼薬等)、スキンケア関連(外皮用薬、リップクリーム、日やけ止め、機能性化粧品等)、内服関連(胃腸薬、漢方薬、サプリメント等)及びその他(体外検査薬等)の製品(サービス)を製造・販売しております。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び当社の関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
(日本)
当社を中心に、アイケア関連、スキンケア関連、内服関連及びその他の製品(サービス)を製造・販売しております。また、クオリテックファーマ㈱においては、主に内服関連の製品(サービス)の受託製造・販売を行っております。
(アメリカ)
メンソレータム社を中心に、主にスキンケア関連の製品(サービス)を製造・販売しております。
(ヨーロッパ)
メンソレータム社・イギリスを中心に、主にスキンケア関連の製品(サービス)を製造・販売しております。
(アジア)
メンソレータム社・アジアパシフィック及びメンソレータム社・中国並びにその他の現地法人が、主にアイケア関連、スキンケア関連の製品(サービス)を製造・販売しております。
事業の系統図は次のとおりであります。

2023年3月31日現在
(注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2 特定子会社であります。
3 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
4 議決権の所有割合の(内書)は、間接所有割合であります。
5 メンソレータム社・中国については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 ① 売上高 31,327百万円
② 経常利益 4,145百万円
③ 当期純利益 3,093百万円
④ 純資産額 23,601百万円
⑤ 総資産額 36,633百万円
2023年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
提出会社の労働組合には、1949年に企業内単一組合として結成されたロート製薬労働組合(2023年3月末現在 組合員数1,498名)があります。
会社と組合との間には、特記すべき事項もなく円滑な労使関係を維持しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当連結会計年度の多様性に関する指標は以下のとおりであります。なお、管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は当連結会計年度末時点、男性労働者の育児休業取得率は育児・介護休業法に基づき当連結会計年度における実績を記載しております。また、集計対象には対象会社から他社への出向者を含み、他社から対象会社への出向者を除いています。
当社において、採用、評価、昇格、登用、各種手当の支給要件等に際し、性別、国籍、年齢等による賃金体系や制度上における差異はなく、個人の役割、能力、成果・評価、成長を加味した処遇を行っています。現在の当社における労働者の男女の賃金の差異を生んでいる主な要因は、勤続年数が長く給与水準の高い上位等級の男性比率が高いことによるものと考えています。労働者の男女の賃金の差異の解消の取り組みとしては、女性上位等級者比率を引き上げることが重要と考えており、継続して人財育成に取り組んでまいります。
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)」第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
ロート製薬は、創業以来「健康」をコアバリューに、一般用医薬品やスキンケア商品の提供を通じて、多くの方に身近な「健康」をお届けしてまいりました。生活者の皆さま一人ひとりの健康寿命が延伸し、生活の質(Quality of Life)が向上することによって、社会全体の経済活動は活性化し、増加する社会保障費も抑制され、持続的な健康長寿社会の実現につながると考えます。当社の存在意義(パーパス)は、世界の人々に商品やサービスを通じて『健康』をお届けすることによって、 当社を取り巻くすべての個人や社会を『Well-being』に導くこと。これからも、事業活動を通じて世界の人々のWell-beingに貢献するとともに、健康で幸せに過ごすことができる持続可能な社会の実現を目指してまいります。
経営理念
① 豊かで幸せな生活を送るための心身の健康に貢献し続けることが当会社の最大の責務と捉え、 その実現のために長期視点での経営と価値創出に努める
② 当会社は、社会の公器としての使命を自覚し、当会社を取りまく全ての人たちと協働して 社会課題を解決し、これにより得られた便益を共有する
当社の考える「Well-being」
肉体的健康、精神的健康、社会的健康、そしてそれを取り巻く環境面の健康、すべてにおいて満たされた幸福な状態
当社の目指す「Well-being経営」
社内外に「Well-being」の輪を広げていくために、「健康」「美」「サイエンスに基づく高い品質」「一人ひとりが自律し、チャレンジを続ける企業文化」といった当社の事業的強みや文化的特徴をベースとしながら、当社と当社を取り巻く世界中の人々が、健康で笑顔あふれる幸せな毎日を過ごしながら、長寿を全うできる社会環境の実現を目指し、社内外の仲間と手を携え挑戦し続けることです。
(2)経営環境および対処すべき課題等
当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する行動制限の緩和が進んだことにより、経済活動に一定の改善の兆しがみられました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化および中国のゼロコロナ政策とその解除に伴う混乱、急激な円安方向の為替変動など、世界情勢は依然として不安定な状態が続いております。個人消費につきましても、原材料価格の高騰や物流費上昇の影響による物品・サービスの相次ぐ値上げにより消費行動や価値観が変化し、経営環境も不透明な状況で推移いたしました。
このような状況のもと、当社は2019年に制定した総合経営ビジョン2030「Connect for Well-being」の推進に全力を注ぎ、果敢にリスクを取る意思決定や、変化に柔軟に対応できる経営によって持続的な成長を目指しており、コア事業である一般用医薬品、スキンケアを中心とした6つの事業領域に積極投資を行い、イノベーションを起こすことに取り組んでおります。
また、サステナビリティにおける重点課題の解決に向けた取り組みを推進するため、事業活動を通じて優先的に取り組むべき課題としてESG/SDGsの観点から、①事業を通じたWell-beingの実現、②企業価値向上に向けた人的資本の最大化、③持続可能な地球環境への貢献、④社会との共生、⑤さらなる経営基盤の強化、という5つのマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。各マテリアリティの取り組みを推進し、企業価値向上と持続的成長の実現を目指してまいります。
これらを成長軌道に乗せるためには人財育成が益々重要になるとの考えのもと、2022年10月に人事・報酬制度を見直しいたしました。仕事の価値や業績への貢献度に応じた報酬設計としており、従業員一人ひとりが「プロの仕事人」として成長することで、「仕事の価値」の創出とWell-beingの実現を追求してまいります。
さらには、2023年3月にガバナンス強化の一環として新たにコンプライアンス推進部を設置いたしました。経営リスクおよび経営倫理の適切な管理を行ってまいります。
① 目標とする経営指標
当社グループでは、すべてのステークホルダーの満足度向上を図るという目標に向けて、ヘルスケア市場において、その分野でトップあるいは主要なブランドを築くことを目指すとともに、営業利益率や自己資本当期純利益率、総資産経常利益率に代表される収益指標を重視し、経営管理を行っております。
② ビジョン2030に掲げる6つの事業
当社が取り組む事業領域は、健康、未病、軽度疾患、病気の全てのステージにおける美と健康の提供です。
これを6つの分野に分けて、それぞれにおいて貢献することを目指しております。
1. OTC医薬品事業
“日本におけるOTC医薬品リーディングカンパニーを目指す”
医療費膨張傾向の中、セルフメディケーションの考え方はますます重要性を増しております。健康寿命の延伸に対する貢献にOTC医薬品は欠かせません。当社は長年の技術とブランド力を活かし、OTC医薬品リーディングカンパニーを目指してまいります。リーディングは必ずしも規模のことに限定せず、顧客満足や市場での影響力、健康意識への貢献度の点において業界トップを走るということであります。既存の眼科用薬、皮膚用薬、胃腸薬、漢方薬、検査薬などに加え、高齢化ニーズ、女性の健康ニーズに応えるカテゴリーに積極的に挑戦します。その基盤となる開発と技術力の優位性を維持していくため技術革新に注力するとともに、ベンチャー企業や国内外研究者との共同研究を図るなど、有機的な研究体制の構築を積極的に推進しております。また必要に応じて異業種を含め他社との提携強化を行ってまいります。
2.スキンケア事業
“肌本来の機能に働きかけ、健やかさを再生するスキンケアを創造する”
既に売上の6割強を占めるスキンケア事業については、引き続き、安全性・有効性・メカニズムを追求するエビデンスベースの研究開発を進めてまいります。再生医療研究の過程で得られた知見の応用や、長年の研究の蓄積である基幹技術をベースにした他社にはできない機能性の高い商品を提供し続けます。またDXを見据えて、顧客との共創関係を構築したマーケティングを実装してまいります。
3.機能性食品事業
“エビデンスと信用に基づく食品事業を第三の柱に育てる”
機能性食品は医薬品の代替になり得る2030年までに最も伸長する可能性が高い領域であり、当社は、当領域のアンメットニーズを狙い差別性の高い商品開発を行ってまいります。グループ会社や提携会社で保有する素材技術、製造設備、販売ルート、顧客との関係性を最大限活用して顧客満足の向上に努めます。特に重点課題として「目」「妊娠」「更年期」「生活習慣病」「肌」「免疫」に機能する分野における開発に取り組んでおります。また異業種とのコラボ、ブランディングについても探索してまいります。
4.医療用眼科事業
“アイケアリーダーとして医療用眼科チャネルを開拓し、早期の収益化を実現する”
当社は2020年3月に医療用眼科用薬メーカーである㈱日本点眼薬研究所(現・ロートニッテン㈱)を子会社化し、製造および販売に掛かるリソースを確保いたしました。また他企業とも提携を進めながら、医療用眼科用薬の開発を進めております。同時に眼科領域における再生医療研究、眼科用医療機器の開発も進めており、早期の収益化を目指しております。
5.再生医療事業
“革新的なライフサイエンス技術を事業化する”
当社は2013年に再生医療に取り組む再生医療研究企画部を新設以来、再生医療・バイオ事業に注力してまいりました。多様な可能性を秘めた脂肪由来幹細胞を応用してプロフェッショナルメディケーションに挑戦しております。2021年3月には整形外科分野における再生医療アプローチを推進する子会社を買収し、対象患者の多い変形性膝関節症対応の医薬品開発にも取り組んでおります。また、これらをスキンケア等の既存事業と掛け合わせることで、当社にしかできない新しいWell-beingの創造に努めてまいります。
6.開発製造受託事業
“独自開発力を付加した開発製造受託(CDMO)へ進化する”
現状の医薬品製造受託(CMO)事業を進化させ、独自の開発力を活かした開発・製造をワンストップに提供する開発製造受託(CDMO)事業を推進することで競争優位性を実現してまいります。内服剤分野においては当社子会社であるクオリテックファーマ㈱、医療用眼科用薬分野においては当社子会社であるロートニッテン㈱、再生医療分野においては京都府木津川市の当社研究所において、それぞれ開発製造受託が可能な高い技術力とコスト競争力を実現すべく取り組んでおります。
③ デジタルトランスフォーメーション
DXの推進は経営戦略の重要な課題と捉え、継続的なイノベーションの創出を行うとともに、新しいヘルスケアビジネスのモデルとしてデジタルヘルスケアへのシフトに対応してまいります。顧客データを通じて、一人ひとりのヘルスケアに向き合う、また新たなニーズを発掘するConnect for Customer(D2Cプラットフォーム)を実装し、顧客との信頼関係を創出してまいります。また全社員がDXについての見識を深め、現場起点でのデジタル活用アイデアが生まれやすい環境を構築するためにDX人財育成ロードマップを策定し、推進してまいります。
④ グローバル事業
全体売上の約4割を占め、2023年3月末時点で110か国以上をカバーしている海外事業については、引き続き現地に根付いて消費者と向き合いながら企業価値の向上を目指してまいります。特にOTC目薬、スキンケアの導入を進めてまいります。日本とビジネス上の親和性の高いアジア地域(中国および東南アジア)を中心に積極的に経営資源の投入を行い、欧米については子会社メンソレータム社の成長戦略の策定と実行を軸に維持・拡大に努めます。
⑤ SDGs
当社の持続的な成長、ひいては持続的な社会成長を目指し、環境に配慮した生産活動、販売活動を推進してまいります。2022年9月に当社のマザー工場である上野テクノセンター(三重県伊賀市)において新しい工場棟が稼働を開始しました。新しい工場棟では再生可能エネルギーの使用や廃棄物をできる限り削減する仕様に努めております。また機械にできることは機械に任せ、人はより創造的な業務に対処することで生産効率を向上させることを狙います。販売活動においては空容器の回収、再利用というサイクルができるような仕組みの構築、推進に努めてまいります。またロートのESH(Environment+Social+Health)の追求、発信源として、持続性のあるアグリファーム事業、地域創生事業についても実践してまいります。
当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。なお、当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの事業は、医薬品医療機器法等関連法規の規制(規制緩和も含む)の影響を受けます。将来、これらの規制が変更された場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはグローバルに事業展開をしており、近年海外売上のシェアが一定割合に達しております。(当連結会計年度の海外売上高は、連結売上高の43.5%)このため、現地での予期せぬ政治的及び経済的状況の悪化並びに法規制の変更等により、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの取引高は、得意先の上位3社に売上高の35.3%が集中しており、上位取引先の営業活動の状況や倒産等による貸倒れが発生した場合は、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、共同開発、共同販売、製品導入(ライセンス契約に基づく製造販売も含む)等、様々な形で他社との提携を行なっておりますが、今後、何らかの事情によりこれらの提携関係を解消することになった場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、既存事業の拡大や新たな事業展開を図るため、当社グループ及びグループ外の他社との提携関係の強化又は新規提携を行うことがあります。そのため、他社と提携して新会社の設立、又は既存の企業へ投資する等の投資活動を行っており、今後も投資活動を行う可能性があります。投資先の企業価値や株式等の市場価値が下落した場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品の一部が、製品の欠陥、予期せぬ副作用、異物混入等により、販売中止又は製品回収などの事態となった場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが知的財産権を適切に保護できない場合、第三者が当社グループの技術等を使用し当社グループの市場における競争力に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないように留意し、調査を行なっておりますが、万一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求等の訴えを起こされる可能性や対価の支払等が発生し、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。知的財産権以外にも製造物責任関連、環境関連、その他に関して訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各種の情報システムを利用して業務を遂行しているため、システムの停止や機能障害により効率的な業務遂行を妨げる可能性があり、また、個人情報を含め多くの情報を保有しているため、社内管理体制を整備し、情報管理の充実を図っておりますが、万一情報漏洩が発生するような場合には、信用失墜により、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内で販売する主要な製品を当社の本社工場、上野工場等で生産し、中央物流センター等から出荷しております。安全管理には、十分に注意を払っておりますが、当該工場や物流センター等が火災、地震その他の災害等により操業停止となった場合は、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはグローバルな事業展開をしていることから、為替レートの変動が、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、時価のある有価証券、有利子負債等を保有しており、株価や金利の動向等が、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 気候変動等の社会的課題への対応に関するリスク
気候変動の影響により、原材料や燃料の継続的な高騰が予想され、原価の上昇につながる可能性があります。また当社グループの事業は、消費者・顧客のニーズの変化に影響を受けます。サステナビリティに対する顧客ニーズの高まりに対応した商品やサービスを提供するための開発費用の増加によって業績に影響をおよぼす可能性があります。
(12) その他の外部要因
冷夏・暖冬・花粉飛散量等の季節要因による出荷・返品の増減、及び厳しい競合環境下での予想を上回る市場価格の低下等が、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度との比較にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
当連結会計年度のわが国の経済は、新型コロナウイルス変異株による感染拡大の影響が続いたものの、行動制限の緩和が進んだことにより、経済活動に一定の改善の兆しが見られました。一方、ロシアのウクライナ侵攻の長期化と、中国のゼロコロナ政策や2022年12月の政策解除に伴う混乱に加えて、物品・サービスの値上げの傾向が顕著となりました。さらに世界的な金融引き締めや急激な為替の変動などにより、今後の世界経済は不透明感を増している状況にあります。
このような状況のもと、当社グループは世界の人々が身体も心もイキイキと様々なライフステージにおいて笑顔 あふれる幸せな毎日を過ごせるよう「Connect for Well-being」のスローガンを掲げ、さらなる企業価値の向上を 目指し「総合経営ビジョン2030」の実現に向けて取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度における売上高は、2,386億6千4百万円(前期比19.5%増)と大幅な増収となりました。国内におきましては、経済活動再開により消費マインドが回復したことに加え、お客様のニーズに合った商品提案により増収となりました。海外におきましても、原材料価格の高騰があったものの経済活動の回復や円安の影響により増収となりました。
利益面につきましても、大幅な増収となったことに加え、販売費及び一般管理費の効率的活用に努めた結果、営業利益は339億5千9百万円(同17.0%増)、経常利益は355億6千8百万円(同23.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、263億7千7百万円(同24.9%増)と全ての利益段階で大幅な増益となりました。
報告セグメントの概況は次のとおりであります。
<日本>
外部顧客への売上高は、1,366億6千8百万円(前期比12.6%増)と大幅な増収となりました。
酵素洗顔が好調の「メラノCC」や日やけ止めに新機能を付加した「スキンアクア」、「肌ラボ」、「ロートV5粒」が引き続き好調に推移いたしました。マスク着用習慣により伸び悩んでいたリップクリームも回復傾向に転じています。 国内グループ会社におきましても、2021年8月に子会社化した「ボラギノール®」を主力商品とする天藤製薬㈱ やロートニッテン㈱も増収に寄与しました。
セグメント利益(営業利益ベース)につきましては、211億5千万円(同10.1%増)と大幅な増益となりました。
<アメリカ>
外部顧客への売上高は、166億5千5百万円(前期比65.9%増)と大幅な増収となりました。
2021年10月に子会社化した医療用消毒薬等を製造・販売するハイドロックス・ラボラトリーズ社が増収に大きく貢献しました。
セグメント利益(営業利益ベース)につきましては、原材料の調達コストや人手不足による労務費上昇により原価率が悪化したものの、販売費及び一般管理費の効率的活用により、7億2千4百万円(同234.6%増)と大幅な増益となりました。
<ヨーロッパ>
外部顧客への売上高は、122億3千1百万円(前期比18.8%増)と大幅な増収となりました。
主力の消炎鎮痛剤が引き続き好調に推移し増収に寄与しました。「Hadalabo Tokyo」も英国、東欧及び中東主要国で好調に推移しました。また、2021年5月にCEマークを取得し発売したドライアイ点眼剤である「ロートドライエイド」により、目薬市場の開拓を引き続き進めており好調に推移しています。
セグメント利益(営業利益ベース)につきましては、エネルギーコストや原材料の調達コストが増加し原価率が悪化したものの、販売費及び一般管理費の効率的活用により、9億7千8百万円(同73.6%増)と大幅な増益となりました。
<アジア>
外部顧客への売上高は、707億7千3百万円(前期比26.4%増)と大幅な増収となりました。
「50の恵」が人気の香港をはじめ、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどの東南アジア諸国が引き続き成長を維持しており売上を牽引しています。中国では、12月のロックダウン緩和施策により中国全土に感染が拡大し消費行動がスローダウンしましたが、通年では堅調に推移しました。製品別では、前述の「50の恵」、目薬、東南アジア諸国で人気のフケ抑制シャンプー「セルサン」が好調に推移いたしました。さらに、「肌ラボ」や日やけ止め、リップクリームも増収に寄与いたしました。
セグメント利益(営業利益ベース)につきましては、売上が好調であったことにより、103億9千2百万円(同24.2%増)と大幅な増益となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
②仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
③受注状況
一部の子会社では受注生産を行っておりますが、大部分は見込生産でありますので記載しておりません。
④販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当連結会計年度末における資産総額は3,096億7千7百万円となり、前連結会計年度末より348億円増加いたしました。これは、現金及び預金が71億6千万円、受取手形及び売掛金が63億7千6百万円、投資有価証券が55億5百万円それぞれ増加した一方、建設仮勘定が20億4千8百万円減少したこと等によるものであります。
負債総額は945億9千9百万円となり、前連結会計年度末より37億1千6百万円増加いたしました。これは、未払費用が45億1千万円、支払手形及び買掛金が23億6千5百万円それぞれ増加した一方、長期借入金が58億3千3百万円減少したこと等によるものであります。
また、純資産につきましては2,150億7千8百万円となり、前連結会計年度末より310億8千3百万円増加いたしました。これは、利益剰余金が217億1百万円、為替換算調整勘定が76億5千6百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ67億8千6百万円増加し、776億9千1百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、前年同期に比べ36億7千4百万円増加し309億2千4百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益が342億9千万円あり、キャッシュ・フローの増加要因である減価償却費が74億1千8百万円あった一方、キャッシュ・フローの減少要因である売上債権の増加額が75億6千万円、法人税等の支払額が69億6千2百万円、棚卸資産の増加額が61億5百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、131億7千6百万円と前年同期に比べ32億3千万円減少しました。これは、有形固定資産の取得による支出が84億7千3百万円、投資有価証券の取得による支出が44億1千7百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、161億9千9百万円となりました(前年同期は34億7千万円の収入)。これは、長期借入金の返済による支出が87億6千1百万円、配当金の支払額が46億7千6百万円あったこと等によるものであります。
当社グループは、運転資金及び設備投資資金等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び手元資金で賄うことを基本とし、それを超える投資規模の場合には、金融機関からの借入により調達しております。当社グループの当連結会計年度末における手元流動性残高は、776億9千1百万円あり、加えて緊急時の流動性確保のために金融機関との間で貸出コミットメント契約を113億6千4百万円締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。
2023年3月31日現在
(注) 1 帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。
2 ※1は、本社工場土地に含まれております。※2は、中央物流センター土地に含まれております。
3 帳簿価額は、減損損失計上後の金額を記載しております。
4 上記の他、主要な賃借設備として東京支社(日本、その他設備)及びグランフロント大阪オフィス(日本、その他設備)を賃借しており、年間賃借料はそれぞれ364百万円、235百万円であります。
5 現在休止中の主要な設備はありません。
6 従業員数の[ ]書は、臨時雇用者数を外数で記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。
2 主要な設備の賃借はありません。
3 帳簿価額は、減損損失計上後の金額を記載しております。
4 現在休止中の主要な設備はありません。
5 従業員数の[ ]書は、臨時雇用者数を外数で記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。
2 面積のうち〔 〕書は、連結会社以外から賃借している土地の面積であります。
3 現在休止中の主要な設備はありません。
4 従業員数の[ ]書は、臨時雇用者数を外数で記載しております。
(注)2022年11月10日開催の取締役会決議により、2023年1月1日付で株式分割に伴う定款変更が行われ、発行可能株式総数は399,396,000株増加し、799,792,000株となっております。
(注)1 提出日現在の発行数には、2023年6月1日から有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
2 2023年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。これにより発行済株式総数は118,089,155株増加し、236,178,310株となっております。
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末(2023年5月31日)現在において、これらの事項に変更はありません。
(注) 1 2008年8月25日及び2008年9月12日開催の取締役会決議における付与対象者の区分及び人数を記載しております。
2 新株予約権1個につき目的となる株式数は、2株であります。
ただし、下記3に定める株式の数の調整を行った場合は、同様の調整を行う。
3 新株予約権発行後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により目的となる株式の数を調整するものとする。ただし、かかる調整は、新株予約権のうち、当該時点で行使されていない新株予約権の目的となる株式の数について行われ、調整の結果生じる1株未満の端数については、これを切り捨てる。
調整後株式数=調整前株式数×分割・併合の比率
4 当社が合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転(以上を総称して以下「組織再編行為」という。)をする場合において、組織再編行為の効力発生時点において残存する新株予約権(以下「残存新株予約権」という。)の新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下「再編対象会社」という。)の新株予約権を以下の条件に基づきそれぞれ交付することとする。この場合においては、残存新株予約権は消滅し、再編対象会社は新株予約権を新たに交付するものとする。ただし、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとする。なお、定めがない場合は、(注)5に従って当社が残存新株予約権を取得するものとする。
① 交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する残存新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付する。
② 新株予約権の目的となる再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
③ 新株予約権の目的となる再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、前記新株予約権の目的となる株式の数及び(注)3に準じて決定する。
④ 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、当該各新株予約権の行使により交付される再編対象会社の株式1株当たりの再編後払込金額を1円とし、これに上記③に従って決定される当該新株予約権の目的となる再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とする。
⑤ 新株予約権を行使することができる期間
前記に定める新株予約権を行使することができる期間の開始日と組織再編行為の効力発生日のいずれか遅い日から、前記に定める新株予約権を行使することができる期間の満了日までとする。
⑥ 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
前記に準じて決定する。
⑦ 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の承認を要する。
⑧ 新株予約権の取得条項
(注)5に準じて決定する。
⑨ その他の新株予約権の行使の条件
前記に準じて決定する。
5 新株予約権の取得条項
当社が消滅会社となる合併契約、当社が分割会社となる吸収分割若しくは新設分割計画又は当社が完全子会社となる株式交換契約若しくは株式移転計画の承認の議案が、当社の株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要な場合は、これらを承認する当社の取締役会決議がされた場合)は、当社の取締役会が別途定める日をもって、当社は同日時点で残存する新株予約権のすべてを、同日時点の公正価額に相当する金銭を対価として取得することができる。
該当事項はありません。
(注)1 ストックオプションの権利行使による増加であります。
2 株式分割(1:2)によるものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 自己株式8,039,356株は「個人その他」の欄に80,393単元、及び「単元未満株式の状況」の欄に56株含めて記載しております。
2 上記「その他の法人」の欄には、証券保管振替機構名義の株式が40単元含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。
2 2022年11月8日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、㈱三菱UFJファイナンシャル・グループが2022年10月31日現在で以下の株式を共同所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在で㈱三菱UFJ銀行以外の実質所有株式数の確認ができておりませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
当社は2023年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っておりますが、下記の保有株券等の数は当該株式分割前の株式数を記載しております。
なお、当該大量保有報告書(変更報告書)の内容は以下のとおりであります。
3 2023年2月13日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、マサチューセッツ・ファイナンシャル・サービセズ・カンパニーが2023年2月6日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができておりませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該大量保有報告書(変更報告書)の内容は以下のとおりであります。
4 2023年2月17日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、スパークス・アセット・マネジメント㈱が2023年2月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができておりませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該大量保有報告書(変更報告書)の内容は以下のとおりであります。
5 上記のほか当社所有の自己株式8,039千株があります。
1 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、主にヘルス&ビューティケアの領域で製造・販売活動をしており、国内においては主に当社が担当し、海外においては、「アメリカ」を主にメンソレータム社が、「ヨーロッパ」を主にメンソレータム社・イギリスが、「アジア」をメンソレータム社・アジアパシフィック及びメンソレータム社・中国並びにその他の現地法人が、それぞれ担当しております。現地法人はそれぞれ独立した経営単位であり、取り扱う製品(サービス)について各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社は、製造・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」「アメリカ」「ヨーロッパ」及び「アジア」の4つを報告セグメントとしております。各報告セグメントでは、アイケア関連(目薬、洗眼薬等)、スキンケア関連(外皮用薬、リップクリーム、日やけ止め、機能性化粧品等)、内服関連(胃腸薬、漢方薬、サプリメント等)及びその他(体外検査薬等)の製品(サービス)を製造・販売しております。