ニチバン株式会社
(1) 連結経営指標等
(注) 1.第115期、第116期、第117期及び第118期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第118期の期首から適用しており、第118期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(2) 提出会社の経営指標等
(注) 1.第115期、第116期、第117期及び第118期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は、東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第118期の期首から適用しており、第118期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループは、当社、子会社5社、関連会社3社及びその他の関係会社1社で構成しております。その主な事業内容は、粘着技術を基盤に高分子技術を駆使して、布・紙・セロファン・プラスチックをベースとした医薬品、各種感圧性粘着テープ及び接着剤並びにそれらに関連する機械器具の製造販売であります。
なお、当社グループの製品・商品は、医薬品業界向けの絆創膏等、産業用粘着テープ業界及び文具・事務用品業界向けの粘着テープ等に大別され、セグメントもこの区分によっております。
当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
メディカル事業
テープ事業
事業の系統図は次のとおりであります。

子会社及び関連会社の名称及び業務内容は次のとおりであります。
連結子会社
持分法適用関連会社
2023年3月31日現在
(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、関連するセグメントの名称を記載しております。
2.「議決権の所有又は[被所有]割合」欄の(内書)は間接所有割合であります。
3.特定子会社に該当しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員数であります。
2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員(パートタイマー、嘱託契約の従業員及び派遣社員を含む)の年間平均雇用人員数であります。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門及び研究所に所属しているものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員数であります。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員(パートタイマー、嘱託契約の従業員及び派遣社員を含む)の年間平均雇用人員数であります。
4.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門及び研究所に所属しているものであります。
提出会社の従業員が組織する労働組合は、新ニチバン労働組合(組合員数498名)であります。その他特記すべき事項はありません。
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.2024年4月までに10.0%とすることを目標としております。なお、当事業年度において、当該目標はすでに達成しているため、2024年4月に向けて、更なる向上に努めます。
3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表をしない項目としているため、記載を省略しております。
4.管理職に占める女性労働者の割合は当事業年度、労働者の男女の賃金差異の対象は2022年1月1日から2022年12月31日の期間にて算定しております。
② 主要な連結子会社
(注) 1.ニチバンメディカル㈱は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.ニチバンメディカル㈱は、2026年3月までに15.0%とすることを目標としております。
3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表をしない項目としているため、記載を省略しております。
4.管理職に占める女性労働者の割合は当事業年度、労働者の男女の賃金差異の対象は2022年1月1日から2022年12月31日の期間にて算定しております。
5.連結子会社のうち主要な連結子会社以外のもの(海外連結子会社)については記載を省略しております。
当社グループの経営理念は、「粘着の分野を原点として新たな価値を創造する技術で快適な生活に貢献し続ける」ことで「当社グループにかかわるすべての人々の幸せを実現する」ことであります。この理念のもと、事業活動を通じて社会、自然との共生を目指し、ステークホルダーとともに持続可能な社会の実現に貢献する取り組みを進めてまいります。
当社グループは、創業以来、粘着技術をベースに絆創膏や「セロテープⓇ」をはじめ人々の健康や快適な暮らし、産業の合理化・省人化に貢献する価値ある製品を幅広く供給してまいりました。
今後も、高い技術力と確かな品質を軸に地球環境に配慮した独創的な製品の提供を通じて、お客様にご満足いただき、信頼される企業を目指してまいります。
当社グループは、今後の企業価値及び株主価値を高めるため、収益性重視の観点から売上高営業利益率10%以上を中期的な目標とし、また経営に託された資本の将来における成果の観点から、自己資本当期純利益率(ROE)10%を目指してまいります。
今後の日本経済の見通しは、新型コロナウイルス感染症対策の緩和による経済活動の活性化が期待されるものの、長期化するウクライナ情勢やエネルギー資源・原材料高騰の影響により、先行きは引き続き不透明であり、当社グループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況であります。このような状況のなか、販売価格の改定や継続的なコストダウンを実施するとともに、人的資本やTCFD提言に基づいたサステナビリティへの取り組みを推進し、コーポレート・ガバナンスの更なる充実を図ってまいります。あわせて、最終年度となった中期経営計画「ISHIZUE 2023 ~SHINKA・変革~」を推進し、重点テーマである「イノベーション創出」「グローバル展開・拡大」「事業推進体制の見直しと収益改革」「AI・IoT積極活用」「持続的成長を担う人財育成」を実行し、「NICHIBAN GROUP 2030 VISION」実現に向けて取り組んでまいります。
① 中長期成長エンジンの確立、イノベーション創出
「マーケットイン開発による新製品の上市実現、新製品カテゴリーでの事業探索・成果の創出」
顧客を機軸とした事業推進の一環として、BtoC(ヘルスケア・EC・オフィスホーム)での開発マーケティング、BtoB(医療材・工業品)での顧客現場ニーズを起点とした新規提案による開発を推進し、新製品カテゴリーでの成果創出を進めてまいります。
「コア技術の深化・進化の成果創出と共有、新たな事業展開に向けたオープンイノベーション・協業によるターゲット領域での新規事業の創出」
新製品のスピーディーかつタイムリーな上市を実現するために、全社員がイノベーションにかかわる意識を持ち、当社グループが持つコア技術の深化・進化の成果創出と共有を進めます。またオープンイノベーションなど社内外のリソースを活用した研究開発の取り組みによりターゲット領域で新たな価値を創出し、新規事業の創出を図るとともに、将来に向けたイノベーティブな人財の育成に取り組んでまいります。
② グローバル市場へのスピーディな展開・拡大
「3拠点体制による海外販売の拡大、及び支援体制の強化」
販売3拠点(日本本社、タイ販社、ドイツ販社)体制による事業拡大に向けて、現地戦力の充実と新規開拓・市場育成の活動をスピーディーに推進してまいります。海外市場での主要品目(「ケアリーヴTM」、止血製品シリーズ“セサブリックTM”、和紙マスキングテープ、「PanfixTMセルローステープ」)とともに、新規注力品目(「ロイヒつぼ膏TM」、ドレッシング材“カテリープラスTM”、術後ケアシリーズ“アスカブリックTM”)の取り組みを強化してまいります。また海外事業の推進体制強化のため、サプライチェーン・開発・薬事規制関連部署との連携を強化し、あわせて販売面・物流・生産面での協業を目的とした業務提携・M&A活用施策を進めてまいります。
③ 事業推進体制の見直しと収益改革
「顧客を機軸とした事業推進体制での戦略遂行」
BtoC事業であるコンシューマー営業本部(ヘルスケア・EC・オフィスホーム)は、多様化する顧客の様々なニーズ・チャネル・コミュニケーション機会を的確にとらえるためのブランドマーケティング戦略のもと、プロモーション施策と販売・流通施策を積極的に推進、実行してまいります。
一方のBtoB事業である工業品及び医療材は、顧客の現場課題の探索をベースとした営業活動を推進し、更なる新規案件・新規ユーザー開拓を推進してまいります。
「サプライチェーンマネジメントの最適化と業務プロセス改善、品質管理強化」
安定した原材料・商品調達及び需要予測に基づく生産、販売、在庫プロセスの最適化を図ります。また物流の安定化と効率化、品質管理強化に努めるとともに、全社コストダウンに向けてサプライチェーン本部主導のもと各部署連携し、課題を推進してまいります。
「サステナブル社会への貢献」
サステナビリティ委員会を中心とした体制のもと重要課題の抽出を行い、医療・健康などに関わる社会課題、CO2排出抑制などの環境課題の解決に向けた製品開発と事業戦略施策を推進します。また今後、気候変動問題や人的資本経営、コーポレート・ガバナンスなどの取り組みの充実化と情報発信の強化を図ります。
④ 事業戦略推進に向けたAI・IoTの積極活用
「事業戦略を実現するためのIT基幹システム活用」
今後の事業戦略施策の遂行に向けて、新たに構築したIT基幹システムを販売・生産・在庫・会計などの基幹業務の管理水準向上及び業務プロセスの見直し、生産性の向上を図ります。
「社内外データの見える化、活用の推進」
DX(デジタルトランスフォーメーション)を見据えて戦略的データ活用・業務プロセス変革、デジタル技術を活用した販売拡大施策と事業運営の効率化、品質管理の強化、生産性向上を進めてまいります。
⑤ 将来の持続的成長を担う人財育成
「多様な人財の活用による組織運営の活性化、行動指針を実践する人財育成、社員の健康とエンゲージメント向上」
中長期ビジョンに向けた事業運営・管理体制の確立に向けて、ニチバングループの理念に掲げる行動指針を実践するための人財評価及び多様な人財の能力や特性を活かした育成を行います。また、従業員の健康、安全を基本とした健康経営の取り組みを推進し、中長期ビジョンの達成に向けて、個人の成長と事業の成長のベクトルを一致させるべく、エンゲージメント向上施策を推進してまいります。さらに、スキルマップを活用したリーダーシップやマネジメント力及び業務遂行能力の向上を図るとともに、次世代経営層の育成を進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、当社グループの事業上のリスク全てを網羅するものではありません。
(1) リスクマネジメント体制
当社グループでは、「危機管理方針」を制定し、事業の継続を危うくする重大な危機に対して、事前に予測・予防措置を実行し、万一発生した場合には被害を最小限に抑え、再発防止措置をとることで、危機を適切に管理し、事業の継続・安定的発展を確保できるよう努めております。
損失の危険の全社的な管理や対応については内部統制委員会が管轄し、「リスク管理規則」に基づき、総務担当部署が全社的なリスク管理体制の構築、規則類の整備、運用状況の確認、情報の適切な伝達など必要な措置を講じております。
個々の損失(品質、財務等)の危険については「リスク管理規則」に基づき、当該危険の存在する各担当部署が、リスク管理体制整備、運用状況の確認等、必要な措置を講じております。
また、大規模災害等、当社グループに対する危機が生じた場合には、「緊急時対応規則」に基づき、速やかに緊急対策本部を設置し、「事業継続計画(BCP)」に沿って損失の極小化及び復旧に向けた対応を行うこととしております。
(2) 認識している重要なリスク
当社グループでは、(1)リスクマネジメント体制のもと、全社的なリスクのアセスメントを実施し、事業や社会環境の変化に合わせて定期的にリスクの確認や見直しを行っております。その結果、以下の重要なリスクを認識しており、リスク低減のための取り組みを実施しております。
また、リスクの洗い出しに際して、リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類しており、それぞれ以下のように定義しております。
(リスクマップ及び凡例)


(3) 気候変動に関するリスク
当社グループは、「サステナビリティの考え方」においてマテリアリティ(重要課題)を定め、「気候変動・温暖化対策」を最も優先度の高い項目として掲げております。(2) 認識している重要なリスクとは別に、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言において開示が推奨されている、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの内容について検討を行い、以下の通りリスクの認識をしております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 中長期成長エンジンの確立、イノベーション創出
・BtoC開発マーケティング・BtoB現場提案による新製品上市実現、新領域・新製品カテゴリー
での事業探索・創出
・コア技術の深化・進化と共有、オープンイノベーション・協業による新規事業の創出
② グローバル市場へのスピーディな展開・拡大
・販売3拠点(日本本社、タイ販社、ドイツ販社)体制による事業拡大及び支援強化、生産・
物流を含めた体制拡充の推進
・海外事業拡大に向けた戦略的パートナー探索(業務提携・M&A活用)
③ 事業推進体制の見直しと収益改革
・顧客を機軸とした事業推進体制での戦略遂行、業務プロセス・活動の効率化
・サプライチェーンマネジメント最適化と品質管理強化
・サステナブル経営とSDGs視点の事業戦略・開発の推進、CO2排出削減等の取り組み強化
④ 事業戦略推進に向けたAI・IoTの積極活用
・事業戦略を実現するためのIT基幹システム活用の実践
・社内外データの見える化・活用の推進
⑤ 将来の持続的成長を担う人財育成
・行動指針を実践する人財育成、社員の健康とエンゲージメント向上策の強化
・スキルマップ活用によるミドルマネジメント・専門分野のスキル強化
・次世代経営層の育成
以上の取り組みを実施いたしました結果、
売上高は、インバウンド需要回復への事前準備、海外の販売子会社を含めた海外需要拡大に向けた取り組み、為替の円安影響等により、前期比5.6%増の455億6千万円となりました。
営業利益は、ナフサ価格の上昇等による原材料単価の上昇や電力費・燃料費等が増加したこと等による原価の上昇に加え、人員増に伴う人件費の増加、新基幹システムの稼働に伴う減価償却費の増加、行動制限の緩和に伴う旅費交通費の増加等による販売費及び一般管理費の増加等により、前期比34.3%減の16億9百万円となりました。
経常利益は、主に営業利益の減少により、前期比31.8%減の17億4千8百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、これらの影響があったものの、当社が保有していた旧大阪工場跡地の売却益16億2千9百万円を計上したこと等により、前期比31.0%増の23億7千1百万円となりました。
なお、自己資本当期純利益率は前年同期比1.3ポイント上昇の6.0%となりました。
(連結業績の概要)

(営業利益の前期比増減) (億円単位)

(フィールド別売上高、前期比増減)

当社グループのセグメントの概要は次のとおりです。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、顧客機軸をベースとした事業活動を強化するために、営業担当管掌を「国内事業本部」、「海外事業本部」とし、国内事業本部の傘下に、販路別に以下の営業統括部を設置しております。
・顧客を機軸とした新たな営業推進体制の強化とブランド戦略の再構築のために、「コンシューマー営業本部」を設置し、傘下に「ヘルスケア営業統括部」、「オフィスホーム営業統括部」を置くとともに、越境EC含め積極的にEC営業の拡大を図るため、EC特販営業部から独立した「EC営業統括部」を置いております。
・より顧客に密着した営業活動を推進し、新規開発案件探索、顧客拡大のために、「工業品営業統括部」、「医療材営業統括部」を置いております。
また、当社グループは、以上の営業担当管掌に、各子会社を加えた事業フィールドとして、「ヘルスケアフィールド」、「ECフィールド」、「オフィスホームフィールド」、「工業品フィールド」、「医療材フィールド」及び「海外フィールド」を設定しております。
経営資源の配分の決定及び業績の評価については、取り扱う製品、商品の性質や、市場、製造方法の類似性に基づき、「メディカル事業」、「テープ事業」の単位で行っていることから、当社グループの事業セグメントとしては、「メディカル事業」、「テープ事業」と認識し、これを報告セグメントとしております。
なお、EC事業の拡大に伴い事業管理体制を変更したため、当連結会計年度より、「ヘルスケアフィールド」、「ECフィールド」、「オフィスホームフィールド」の区分を見直しております。
そのため、前連結会計年度の金額については、当該変更後の金額に組み替えて比較・分析しております。
「メディカル事業」、「テープ事業」セグメントと各事業フィールドとの関係は以下のとおりです。
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。
メディカル事業
(ヘルスケアフィールド)
ドラッグストアを中心とした大衆薬市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響があるなか、行動制限の緩和と訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要の回復がみられましたが、物価上昇による消費者心理の冷え込みもあり、依然として先行き不透明な販売環境が続きました。
このような状況のなか、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズについては、国内需要拡大に向けて、認知度向上のためにテレビCMやキャンペーンなどのPR活動を行うとともに、試供品配布を継続して行いました。あわせて、鎮痛消炎剤“ロイヒ”シリーズについては、訪日外国人客数の増加に伴うインバウンド需要拡大への準備を行うとともに、国内需要拡大に向けてテレビCMやキャンペーンなどのPR活動を行いました。その結果、ともに売上高は前年を上回り、フィールド全体としての売上高は124億7千万円(前期比10.7%増)となりました。
(医療材フィールド)
医療機関向け医療材料市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大時には医療提供体制の逼迫により、不急の手術延期等で関連商材は影響を受け、直近では新規陽性者の減少に伴い通常に戻りつつあるものの、依然として先行き不透明な販売環境が続きました。
このような状況のなか、止血製品シリーズ“セサブリックTM”については、オミクロン株拡大により高齢者を中心に4・5回目のコロナワクチン接種の需要があったものの、若者の接種率は伸び悩みワクチン接種数が減少し、売上高は前年を下回りました。その一方、術後ケアシリーズ“アスカブリックTM”やドレッシング材“カテリープラスTM”は、国内産による安定供給と品質の良さで認知度拡大が進んだことにより、ともに売上高が前年を上回り、フィールド全体としての売上高は60億6百万円(前期比3.4%増)となりました。
((メディカル事業にかかる)ECフィールド)
EC市場におきましては、オンライン購買に対するWEBマーケティングを強化してきたことにより、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズが好調に推移し売上高は前年を上回りました。その一方、越境ECの売上高においては、“ケアリーヴTM”シリーズ育成に注力するものの前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は6億5千3百万円(前期比17.4%増)となりました。
((メディカル事業にかかる)海外フィールド))
海外市場におきましては、Withコロナへの移行が進むなか、急激な物価上昇や中国での新型コロナウイルス感染症拡大など、経済成長への負荷が高まり、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、重点地域であるアジア及び欧州にて、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズや止血製品シリーズ“セサブリックTM”を中心に、販売代理店とともに現地に密着した営業活動を展開してまいりました。特に“ケアリーヴTM”シリーズは、主に韓国・タイにて販路拡大が進み好調に推移し、アセアン及び欧州における医療材製品も堅調に推移いたしました。これらに加えて円安影響もあり、フィールド全体としての売上高は18億6千2百万円(前期比28.1%増)となりました。
以上の結果、メディカル事業全体の売上高は209億9千2百万円(前期比10.0%増)となりました。また、原材料単価の上昇や電力費・燃料費等が増加したこと等による原価の上昇があったものの、ヘルスケアフィールドを中心とした売上高の増加により、セグメント利益は47億9千4百万円(前期比14.1%増)となりました。
テープ事業
(オフィスホームフィールド)
文具事務用品市場におきましては、原材料価格高騰を起因とした物価上昇による消費者心理の冷え込みやコロナ禍の出社減少によるオフィス用品需要の低迷が続き、厳しい販売環境となりました。
このような状況のなか、キッチン雑貨「ディアキチTMワザアリTMテープ」の売上高につきましては、大手流通への取り組みを強化し、前年を上回りました。その一方、主力製品である「セロテープⓇ」や両面テープ「ナイスタックTM」については、価格改定や新製品を含めたラインアップ拡大を進めたものの、需要低迷の影響は大きく、ともに売上高は前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は52億1千2百万円(前期比4.4%減)となりました。
(工業品フィールド)
産業用テープ市場におきましては、行動制限の緩和により消費に緩やかな回復傾向が見られましたが、部品供給不足による一部自動車メーカーの減産や原材料価格の高騰などもあり、依然として先行き不透明な販売環境が続きました。
このような状況のなか、主要製品の価格改定を進めるとともに、「セロテープⓇ」については、多くの企業や自治体に向けて天然素材を使用した環境配慮製品であることを特設ホームページ等を通じて啓蒙し、SDGsへの取り組みとしてご賛同をいただきました。その一方、車両用マスキングテープについては、原材料供給停止による廃番が重なり、売上高は前年を大きく下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は131億6千4百万円(前期比0.9%減)となりました。
((テープ事業にかかる)ECフィールド)
EC市場におきましては、オフィス用品需要の低迷が続く厳しい販売環境のなか、価格改定を進めるとともに、オンライン購買に対するWEBマーケティングを強化してきたことにより、「セロテープⓇ」や両面テープ「ナイスタックTM」など消耗品の需要が好調に推移いたしました。その結果、フィールド全体としての売上高は34億3千6百万円(前期比5.6%増)となりました。
((テープ事業にかかる)海外フィールド)
海外市場におきましては、中国での新型コロナウイルス感染症拡大によるビジネスの停滞など、先行き不透明な状況が続きましたが、欧州市場においては、Withコロナへの移行によりイベント需要が大きく回復いたしました。
このような状況のなか、重点地域であるアジア及び欧州にて、「PanfixTMセルローステープ」は香港やインドネシア市場への取り組みを強化し、塗装用和紙マスキングテープは欧州市場での取り組みを強化するなど、販売チャネルの構築と製品育成に注力いたしました。あわせて、主要製品の価格改定を実施し、改定前の仮需要も発生いたしました。これらに加えて円安影響もあり、フィールド全体としての売上高は27億5千4百万円(前期比34.0%増)となりました。
以上の結果、テープ事業全体の売上高は245億6千8百万円(前期比2.1%増)となりました。また、売上高の増加に伴い、テープ事業にかかる工場の生産は増加しているものの、ナフサ価格の上昇等による原材料単価の上昇や電力費・燃料費等が増加したこと等による原価の上昇により、セグメント利益は9億5千6百万円(前期比56.3%減)となりました。
調整額
報告セグメントに帰属しない一般管理費の計上等により、営業利益と報告セグメントの利益の合計額との調整額が41億4千1百万円(前期比5.0%増)となりました。
(トピックス コンシューマー営業本部)


(トピックス 医療材フィールド)

(トピックス 工業品フィールド)

(トピックス 海外フィールド)



(主要製品別 前期比推移)

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
② 受注実績
当社グループは需要見込による生産方式をとっております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ46億9千6百万円増加し、691億2千3百万円となりました。流動資産は35億3千万円の増加、固定資産は11億6千5百万円の増加となりました。
流動資産の増加は、設備投資や配当等にかかる支払い等により減少したものの旧大阪工場の土地売却等により現金及び預金が9億8百万円、前第4四半期連結会計期間の売上高と比較して、当第4四半期連結会計期間の売上高が増加したこと等により売上債権が14億7百万円、原材料単価の上昇等により棚卸資産が11億8千4百万円増加したこと等によるものです。
固定資産の増加は、当社の埼玉工場における粘着液製造設備及び建屋の設備投資等により有形固定資産が13億1千万円増加したこと等によるものです。なお、前連結会計年度末に建設仮勘定に計上しておりましたニチバンメディカル㈱における新棟及び医療機器製造設備は、当連結会計年度において、すべて本勘定に振り替えられております。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
メディカル事業
当連結会計年度末のメディカル事業の資産は、前年同期と比べ14億8千4百万円増加し、274億3千9百万円となりました。
テープ事業
当連結会計年度末のテープ事業の資産は、前年同期と比べ28億2千4百万円増加し、223億8千8百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比べ30億5千3百万円増加し、285億1千9百万円となりました。流動負債は、29億7千8百万円の増加、固定負債は、7千4百万円の増加となりました。
流動負債の増加は、生産増により、電子記録債務が14億3千6百万円、設備投資の増加により営業外電子記録債務が16億6千1百万円増加したこと等によるものです。
固定負債の増加は、役員退職慰労引当金が1千7百万円減少したものの、退職給付に係る負債が8千3百万円増加したこと等によるものです。
純資産は前連結会計年度末と比べ16億4千2百万円増加し、406億3百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より1.7ポイント低下し、58.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ9億8百万円(6.6%)増加し、147億5千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ11億4千6百万円(28.2%)減少し、29億1千7百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は税金等調整前当期純利益34億3千1百万円の計上、減価償却費27億5千7百万円の計上、売上債権の増加14億7百万円の計上、棚卸資産の増加11億8千4百万円の計上、仕入債務の増加20億3千6百万円の計上、法人税等の支払額10億4千万円等によるものです。
営業活動によるキャッシュ・フローの減少は、長期化するウクライナ情勢やエネルギー資源・原材料高騰の影響等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ17億4千5百万円(60.2%)減少し、11億5千3百万円となりました。これは主に当社埼玉工場の粘着液製造建屋新設等の有形固定資産の取得による支出25億5千万円、当社が保有していた旧大阪工場跡地の売却等による有形固定資産の売却による収入16億8千6百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ1億7千6百万円(25.5%)増加し、8億6千7百万円となりました。これは配当金の支払額6億2千2百万円及び自己株式の取得による支出1億8千7百万円等によるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、株主の皆様への利益還元とのバランスを考えながら、企業体質の強化及び設備投資、コスト競争力向上のための技術開発等の資金需要に備えるために内部留保の充実を図っております。
資金調達は、自己資金を基本とし、自己資金で賄えない場合は金融機関から借入れることとしております。
なお、資金調達の柔軟性及び機動性を確保するため、取引銀行と40億円の貸出コミットメント契約(借入未実行残高40億円)を締結しております。
当社グループの運転資金の需要のうち主なものは、原材料・商品の仕入のほか製造経費・販売経費等の営業費用によるものです。また設備資金の需要のうち主なものは、埼玉工場、テープ安城工場、メディカル安城工場及び製造子会社における絆創膏・粘着テープ等の製造設備の新設又は更新によるものです。
2023年3月31日現在、当社グループの借入金の残高は20億円で、その内の一部について金利スワップ取引を利用することで、その全額を円建ての固定金利にて国内銀行より調達しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
(1) 提出会社
2023年3月31日現在
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品であります。
2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員数であります。
3.上記の他、主要なものとして本社オフィスビルを連結会社以外から賃借しており、当該年間賃借料は145百万円、延床面積は2,307㎡であります。
(2) 国内子会社
2023年3月31日現在
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品であります。
2.ニチバンメディカル㈱の建物及び構築物2百万円及び土地907百万円、ニチバンテクノ㈱の建物及び構築物89百万円、機械装置及び運搬具0百万円及び土地408百万円、ニチバンプリント㈱の建物及び構築物50百万円及び土地48百万円は、提出会社が賃貸しているもので、その帳簿価額は提出会社の金額によっております。
3.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員数であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 2017年6月28日開催の第113回定時株主総会において、株式併合に係る議案(2株を1株に併合)が承認可決されております。これにより、株式併合の効力発生日(2017年10月1日)をもって、発行済株式総数が20,738,006株となっております。
2023年3月31日現在
(注) 自己株式126,347株は「個人その他」の欄に1,263単元及び「単元未満株式の状況」の欄に47株それぞれ含めて記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.日本マスタートラスト信託銀行株式会社は上記信託口のほか、退職給付信託口に198千株を保有しております。
2.株式会社日本カストディ銀行は上記信託口のほか、信託口4に25千株、信託A口に19千株、年金信託口に11千株、年金特金口に9千株を保有しております。
1.報告セグメントの概要
(1) 報告セグメントの決定方法
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、顧客機軸をベースとした事業活動を強化するために、営業担当管掌を「国内事業本部」、「海外事業本部」とし、国内事業本部の傘下に、販路別に営業統括部を設置しております。
また、当社グループは、以上の営業担当管掌に、各子会社を加えた事業フィールドとして、「ヘルスケアフィールド」、「ECフィールド」、「オフィスホームフィールド」、「工業品フィールド」、「医療材フィールド」及び「海外フィールド」を設定しております。
経営資源の配分の決定及び業績の評価については、取り扱う製品、商品の性質や、市場、製造方法の類似性に基づき、「メディカル事業」、「テープ事業」の単位で行っていることから、当社グループの事業セグメントとしては、「メディカル事業」、「テープ事業」と認識し、これを報告セグメントとしております。
(2) 各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
「メディカル事業」は、医薬品、医療機器、化粧品、医療補助テープ、テーピングテープ等の製造及び販売を行っております。「テープ事業」は、家庭用・事務用の粘着テープ・粘着シート及びそれらの機器等、産業用の粘着テープ・粘着シート及びそれらの機器等の製造及び販売を行っております。
(3) 報告セグメントの変更等に関する事項
EC事業の拡大に伴い事業管理体制を変更したため、当連結会計年度より、「ヘルスケアフィールド」、「ECフィールド」、「オフィスホームフィールド」の区分を見直しております。これに伴い、事業セグメントの利益又は損失の算定方法を変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の利益又は損失の算定方法により作成したものを記載しております。