ハリマ化成グループ株式会社
(注)1.従業員数は、就業人員数を記載しております。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
(注) 1.従業員数は、就業人員数を記載しております。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.第80期の配当性向については、1株当たり当期純損失を計上しているため、記載しておりません
4.最高株価および最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4
日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
5.第81期の1株当たり配当額42円には、創立75周年記念配当として、4円が含まれております。
当社グループは、1947年に現在の兵庫県加古川市で創業して以来、「自然の恵みをくらしに活かす企業」として、松から得られるロジン(松やに)、脂肪酸、テレピン油などを使って化学素材をつくるパインケミカル事業を中心に発展してきました。1958年に再生可能資源である粗トール油を原料とした国内初の精留プラントを加古川製造所で稼働させ、樹脂化成品事業・製紙用薬品事業・電子材料事業を展開。2011年にグローバル戦略を進めるに当たり、米国化学企業モメンティブ社のロジン関連事業を買収し、現在世界11ヵ国に製造拠点を有する企業へまで事業を拡大しております。2012年10月、商号をハリマ化成グループに変更し、持株会社制に移行した後も、引き続き事業を拡大しております。その経緯は次のとおりであります。
当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社、子会社35社および関連会社4社で構成され、以下のような事業活動を展開しております。
当グループの事業に関わる位置づけは次のとおりであります。
樹脂化成品事業
建築物や船舶などを保護する塗料に使用される塗料用樹脂、商業用印刷や新聞の印刷に使用される印刷インキ用樹脂、自動車用タイヤなどのスチレンブタジエンゴムを製造する際に活用される合成ゴム用乳化剤、宛名用ラベルやシールなどの粘着剤に活用される粘接着剤用樹脂をはじめ、トールロジンやトール脂肪酸などのトール油製品を主な製品として製造・販売しております。
製紙用薬品事業
段ボールなどの紙に強度を付与する紙力増強剤、紙に耐水性や印刷適性を与え、インキのにじみを防ぐサイズ剤、その他紙を製造する工程で使われる表面塗工剤などを主な製品として製造・販売しております。
電子材料事業
自動車用電子機器や家電製品の電子部品を接合するはんだ付け材料、自動車のエアコンやラジエターなどの熱交換器用アルミろう付け材料、パソコンや5G通信に使用される半導体用機能性樹脂などを主な製品として製造・販売しております。
ローター事業
世界7か国に拠点があるローター社が展開するもので、主に粘接着剤用樹脂、印刷インキ用樹脂を製造・販売しております。
その他事業
作州武蔵カントリー倶楽部、ホテル作州武蔵の運営およびグループの不動産を管理するハリマ化成商事株式会社、業務用洗剤を中心に製造販売する株式会社セブンリバー、業務用食品を中心に製造販売するハリマ食品株式会社などであります。

事業の系統図は、次のとおりになります。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
(注) 1. 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2. 「議決権の所有(又は被所有者)割合」欄の[内書]は間接所有であります。
3. 特定子会社に該当しております。
4. ハリマ化成㈱については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等①売上高 32,658,958千円
②経常利益 151,780千円
③当期純損失 △9,142千円
④純資産額 9,047,801千円
⑤総資産額 19,614,495千円
5. LAWTER Europe BVについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等①売上高 17,126,445千円
②経常利益 1,109,044千円
③当期純利益 1,848,544千円
④純資産額 10,666,267千円
⑤総資産額 18,085,062千円
6. LAWTER Incについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等①売上高 10,803,684千円
②経常利益 652,426千円
③当期純利益 497,893千円
④純資産額 3,095,984千円
⑤総資産額 5,439,110千円
2023年3月31日現在
(注) 1. 従業員数は就業人員数であります。
2. 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員数の年間平均雇用者数であります。
3. 共通部門として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
4. 前連結会計年度末に比べ従業員が187名増加しております。主な理由は、ヘンケル社からのはんだ材料事業に係る商権・資産等の買収、およびハリマ食品株式会社の子会社化によるものです。
2023年3月31日現在
(注) 1. 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
2. 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。
(注) 1. 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。
2. 共通部門として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
当社グループの労働組合は、1961年4月23日に播磨化成労働組合(現ハリマ化成労働組合)として結成され、
2023年3月31日現在の組合員数は374人であり、労使関係は組合結成以来安定しております。
上部団体はありません。
提出会社および主要な連結子会社
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成23年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3. 管理職に占める女性労働者の割合 % = 女性の管理職数 ÷ 管理職数 × 100(%)
※「管理職」とは、「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある労働者の合計。
4. 対象期間:2022年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)
賃金:基準給、超過労働に対する賃金、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除く。
正規雇用労働者:出向者については、当社から社外への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む。
パート・有期労働者:嘱託社員(定年後の再雇用者、契約社員)、パートタイマーを含み、派遣社員を除く。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「自然の恵みをくらしに活かす」を基本理念として、植物資源「松」から得られる有効物質を化学製品にする循環型ビジネスモデルを通じて、地球環境に配慮した事業の展開を基本的な考え方としております。
今後もこの基本理念のもと、企業価値の一層の向上をめざします。
当社事業の主軸であるパインケミカル事業は、松から得られるロジン(松やに)、トール油(松の油)、テレピン油などの天然素材を有効活用した、資源循環的なビジネスモデルが特徴です。この特徴を活かした2022年を初年度とする中期経営計画「NEW HARIMA 2026」では、2026年度の売上高1,100億円、営業利益70億円と「事業基盤の強化と事業領域の拡充」、「新規事業、成長分野に向けた研究開発」、「新時代に向けた経営の革新」の実現を目標としております。
〈NEW HARIMA 2026 業績目標〉
〈NEW HARIMA 2026の主な進捗状況〉
基本方針1:事業基盤の強化と事業領域の拡充
1)パインケミカル総合メーカーとしての競争力強化
パインケミカル事業分野では、ローター社ニュージーランドの工場に続く当社2か所目の「ミルセン」生産設備を加古川製造所に新設しました。ミルセンは、松から得られるテレピン油に含まれる植物成分で、主にアロマオイルや香料の原料として利用されますが、世界的な環境志向の高まりに伴い、需要が増加しております。
また、長期安定的な原料確保と販売価格の適正化による採算確保への取り組みを継続して進める他、ロジンのグループ内調達強化を通じた競争力アップにも努めております。
2)海外事業領域の拡充
ヘンケル社から買収したはんだ材料事業は、英国に技術営業拠点を設立した他、マレーシアの生産拠点統合など、当初計画に沿った買収後の事業統合作業が進んでおります。自動車の電動化や通信機器の高度化に伴い、高性能はんだ材料の需要増加が見込まれており、成長市場でのシェアアップと既存事業とのシナジー効果追求に取り組んでおります。
また、製紙用薬品事業は、市場での競争激化に対応すべく販売品種の増加やサプライチェーン見直しによる売上増と収益改善に取り組んでおります。
3)事業ポートフォリオの見直し
今後、需要拡大が見込まれる半導体用機能性樹脂事業では、生産能力の拡充を進めております。他方、市場が成熟している平版インキ用樹脂事業や塗料用樹脂事業、国内の製紙用薬品事業は、事業運営を見直し、生産体制の効率化を進めております。
基本方針2:新規事業、成長分野に向けた研究開発
当社は、粘接着剤用樹脂、インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤、トール油製品、サイズ剤などのパインケミカル事業の他、塗料用樹脂、水系樹脂、紙力増強剤、バリアコート剤などの事業分野でも環境負荷の軽減に役立つ製品を数多く展開しております。また、半導体用機能性樹脂や高耐久はんだなど、成長性の高い電子材料分野の製品群も有していることから、次の時代を牽引する新製品を生み出すべく、引き続き研究開発投資へ重点的な資源配分を継続します。
基本方針3:新時代に向けた経営の革新
1)デジタル技術を活用したものづくりとDX体制づくりの推進
デジタル人材の育成と業務プロセスのデジタル化を推進する為に、社内にDX推進企画の専担部署を新たに設けました。これにより、生産部門や営業部門、研究開発部門と情報システム部門の連携を強化し、AIやデジタル技術を活用した最適生産体制の構築、安全操業に向けた予防保全体制の確立、在庫管理や構内物流の効率化、製品開発のスピードアップなどを目指します。
2)企業理念に沿ったESG経営の推進
当社は、2013年度の温室効果ガス排出量を2027年に46%、2030年には50%削減し、2050年までにカーボンニュートラル達成を目指しております。加古川製造所のバイオマス発電、高砂市伊保基地の太陽光発電に続き、2023年3月には加古川市・狩ヶ池で「ため池水上太陽光発電」事業を開始しました。また、「カーボンニュートラル都市ガス」の導入、「再エネ指定の非化石証書」を活用した加古川製造所の電力CO2排出量ゼロ化など、温室効果ガス排出量削減目標の達成に向けた取り組みを進めております。
また、当社は非財務情報の開示の充実にも取り組んでおります。気候変動(TCFD提言に基づく開示)ではリスク・機会の分析や財務影響の情報開示を開始しました。また、人的資本では、開示義務化への対応と開示内容の拡充に取り組み、経営理念に沿ったESG経営を推進します。
当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境に関するリスク
① 各国の経済状況、世界情勢(影響度:3、発生可能性:2)
当社グループの製品需要は販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本、北米、南米、アジア、欧州等の主要市場における景気後退、政情不安、貿易摩擦などの世界情勢、およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの業績予想では、世界のマクロ経済の動向や規制動向、市場動向を調査し、想定に沿った現実的な目標設定を行っております。
② 原材料の調達(影響度:2、発生可能性:2)
当社グループは、ロジン、粗トール油および石油化学製品などの原材料を購入して製品を製造・販売しております。そのため、市況によって原材料購入価格の変動リスクがあります。
また、戦争、暴動、テロ、自然災害、感染症、環境規制、ストライキ、サプライヤーの工場における事故災害やサプライチェーンの混乱などにより原材料の調達が制限された場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの業績予想は、原材料価格の動向や契約状況、仕入れ先の原材料提供可能量を踏まえて策定しております。また、原材料調達の制限といったリスクを極小化するために、仕入れ先の分散などサプライチェーンの冗長化などに取り組んでおります。
③ 自然災害や感染症(影響度:3、発生可能性:1)
当社グループが事業展開している地域で大規模な自然災害や想定を超える感染症の拡大により操業を中断する事象が発生した場合、生産能力が著しく低下し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自然災害を想定して、国内外各地に配置する生産拠点の相互広域バックアップ体制の構築を進めて参りました。また、感染症につきましては各国・各地域の行政の方針に沿った社内ガイドラインを策定し、当社グループ内で周知徹底の上、日々の管理・監視を行っております。
④ 為替レートの変動(影響度:2、発生可能性:3)
当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各国における財務諸表の現地通貨建ての各項目は、連結財務諸表作成のため円換算されております。これらの項目は外貨建数値に変動がない場合でも、円換算後の当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融市場の動向を踏まえつつ、為替予約などでリスク回避に努めております。
⑤ 公的規制(影響度:2、発生可能性:2)
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許認可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理制度、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらをはじめとする規制の改正によっては当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各国法規制を遵守すべく、グローバル行動指針や社内規程を整備の上、社員教育を行い、監査体制を整備しております。また、各国法規制の改正についても適時に対応する体制としております。
(2)事業運営に関するリスク
① 生産活動における事故(影響度:4、発生可能性:1)
当社グループは、生産活動で爆発や有害物質の漏洩などが生じた場合、近隣住民ならびに従業員の安全確保、復元処置を速やかに行いますが、そのためのコストが発生し、生産能力や信頼の低下を招く可能性があります。
当社グループは、生産拠点の重要な設備すべてについて定期点検・保守を行っております。また、排水処理施設には異常値を即時に検知する常時監視システムを備えております。加えて、従事する監督者や従業員の資格取得、研修を実施しております。
② 製造物責任(影響度:3、発生可能性:1)
当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、賠償額が保険の補償範囲を超える大規模なクレ―ムや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥により売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ品質方針を定め、品質マネジメントシステムの運用と改善を継続することで、顧客からのご要請と各種法規制に適合する質の高い製品を提供し続ける体制を整備しております。
③ 知的財産(影響度:1、発生可能性:1)
当社グループの事業分野に関する知的財産権については、特許権、商標権を取得しております。当該知的財産権に基づく具体的な製品ノウハウについては、当社グループ内に蓄積しているため、知的財産権が侵害されることにより当社グループの業績に重大な影響を受ける可能性は低いと想定しておりますが、知的財産に関しての紛争が発生した場合、製品販売への影響、訴訟対応とその結果によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、適切な知財管理を行うための組織を設置することにより、リスクの低減に努めております。
④ 情報セキュリティ(影響度:3、発生可能性:2)
当社グループの財務、人事、顧客、戦略、技術など、紙、電子媒体、ネットワーク上にある機密情報が毀損、漏洩した場合、事業活動に支障を来たすことがあります。また、情報インフラの増強で投資・経費が増加することがあります。これらによって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電子情報については各種セキュリティ対策および研修による社員のセキュリティレベル向上により、機密情報の毀損・漏洩の防止に努めております。
(3)経理・財務に関するリスク
① 資金調達リスク(影響度:2、発生可能性:1)
当社グループの事業に必要な資金は、株主や金融機関より調達しております。金融市場の不測の混乱により、借入コストの大幅な上昇や、借入そのものが困難になることで、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、資金調達の効率化および安定化を図るため、国内外取引銀行との特定融資枠契約を締結しております。
② 固定資産の減損(影響度:2、発生可能性:2)
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。このため、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績および
キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
日本経済も、行動制限の緩和により経済活動が正常化し、インバウンド消費に回復の兆しがあったものの、世界的な半導体不足、原油高、円安などにより、物価上昇圧力が高まり、経済活動に大きな影響を及ぼしました。
このような環境下、当社グループは新中期経営計画『NEW HARIMA 2026』の初年度に当たり、更なる事業の成長に取り組んでまいりました。
当社グループの海外事業は、欧米での粘接着剤用樹脂の売上高が増加し、製紙用薬品事業が堅調に推移したこともあり、売上高は前期に比べ増加しました。利益面は、売上高が増加しましたが、原材料およびエネルギー価格高騰の影響を受け、前期に比べ減少しました。
国内事業は、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁を進めたこともあり、売上高は前期に比べ増加しましたが、利益面では原材料およびエネルギー価格高騰の影響を受け、前期に比べ減少しました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高は945億1千万円となり、前期に比べ184億1千7百万円(24.2%)の増収となりました。
利益面では、営業利益は17億6百万円となり、原材料価格高騰の影響を受け、前期に比べ15億4千4百万円(△47.5%)の減益となりました。経常利益は25億4千1百万円となり、持分法投資利益が10億4千2百万円ありましたが、為替差損が2億7百万円あったため、前期に比べ8億9千2百万円(△26.0%)の減益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は8億8千5百万円となり、投資有価証券売却益1億9千3百万円、負ののれん発生益1億8千6百万円がありましたが、訴訟損失引当金繰入4億9千2百万円、固定資産解体撤去費1億5百万円があったため、前期に比べ8億6千万円(△49.3%)の減益となりました。
当社グループのセグメント別経営成績の概況は次のとおりであります。
売上高は、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が一定程度進んだことにより192億5千1百万円と、前期に比べ16億8千5百万円(9.6%)の増収となりました。営業利益は、3千5百万円と原材料価格など製造原価増加の影響を受け、前期に比べ5千5百万円(△61.5%)の減益となりました。
塗料用樹脂は、物価高騰の影響で一般家庭や工場などの塗替え需要が低迷し建築関連の需要が減少したことから、販売数量は前期比で減少となりました。売上高は原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進み、増加しました。
印刷インキ用樹脂は、商業印刷や新聞などに使用されるインキの需要が前期を下回り、販売数量は前期比で減少となりました。売上高は原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進み、増加しました。
合成ゴム用乳化剤は、タイヤ生産量が前期比で微減となり、合成ゴムの在庫調整の影響もあり販売数量は前期比で減少しました。売上高は原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進み、増加しました。
b.製紙用薬品
売上高は、原材料価格高騰に対する販売価格への一部転嫁、および円安の影響により、249億3千3百万円と前期に比べ37億5千9百万円(17.8%)の増収となりました。営業利益は15億3千4百万円となり、原材料価格など製造原価増加の影響を受け、前期に比べ1億1千6百万円(△7.0%)の減益となりました。
紙力増強剤は、国内では、段ボール需要は前期並みとなりましたが、原材料価格高騰に対する販売価格への一部転嫁、東南アジアでの需要拡大により、売上高は増加しました。中国では、紙、板紙の生産量が前期に比べ減少しましたが、円安の影響により、売上高は増加しました。
サイズ剤は、国内では、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が一定程度進んだことにより売上高は増加しました。米国では、紙、板紙の生産量が前期に比べ減少しましたが、原材料価格の高騰により市場価格が上昇したことから、売上高は増加しました。
(単位:百万円)
c.電子材料
売上高は、買収したはんだ材料事業の立ち上げにより、92億4千1百万円となり、前期に比べ29億3千7百万円(46.6%)の増収となりました。営業利益は1億6千3百万円となり、原材料価格高騰およびはんだ材料事業の償却費増加で、前期に比べ4億9千4百万円(△75.1%)の減益となりました。
はんだ付け材料は、はんだ材料事業の買収と原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁により、売上高は増加しました。
熱交換器用ろう付け材料は、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁により、売上高は増加しました。
半導体用機能性樹脂は、5G通信インフラなどの需要拡大により、売上高は増加しました。
(単位:百万円)
d.ローター
売上高は、世界的な景気後退懸念に伴う需要減少の兆しは見られるものの、原材料価格高騰に対して販売価格への転嫁が進んだことにより、387億9千7百万円となり、前期に比べ92億7千9百万円(31.4%)の増収となりました。営業利益は、13億1千5百万円となり、エネルギー価格の高騰や世界的なインフレの影響で製造原価が上昇したことにより、前期に比べ4億5百万円(△23.6%)の減益となりました。
粘接着剤用樹脂の分野では、南米、オセアニア地域で物流の混乱に伴い販売数量は減少しましたが、全体としては通販市場の拡大に伴い宛名用ラベルシールに使用される粘着剤用樹脂の需要が世界的に増加し、また、路面標示塗料用樹脂の需要も北米を中心に堅調に推移したことから売上高は増加しました。
印刷インキ用樹脂の分野では、情報のデジタル化を背景に需要の低迷は継続しているものの、コロナ禍からの経済回復に伴って全地域で需要が回復し、販売数量は増加しました。また、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁により、売上高は増加しました。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の総資産は前期末に比べ135億3千4百万円増加し、924億3千9百万円となりました。増減の主な内容は以下のとおりとなりました。
(流動資産)受取手形及び売掛金が21億6千6百万円増加し、商品及び製品が12億9百万円増加し、原材料及び貯蔵品
が23億3千9百万円増加しました。
(固定資産)ヘンケル社資産譲受により顧客基盤が40億4千6百万円増加しました。
(流動負債)支払手形及び買掛金が2億9千2百万円減少しましたが、短期借入金が106億2千4百万円増加しました。
(固定負債)長期借入金が64億7千6百万円減少しました。
(純資産) 為替換算調整勘定が14億3千7百万円増加したことにより純資産は増加しましたが、総資産も増加し
たことにより、自己資本比率は40.1%となりました。
(単位:百万円)
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は62億1千8百万円となり、前連結会計年度末と比べ8億7千9百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
a.営業活動によるキャッシュ・フローでは、4億6千6百万円の支出となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益が23億2千3百万円、減価償却費24億6千9百万円等があったものの、棚卸資産の増加額が20億4千3百万円、仕入債務の減少額が11億9千万円、持分法による投資利益10億4千2百万円等により、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フローでは、66億4千9百万円の支出となりました。
これは主として、顧客基盤の取得による支出が40億6千万円、有形固定資産の取得による支出が35億2千3百万円、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フローでは、76億5千7百万円の収入となりました。
これは主として、配当金の支払額9億9千8百万円、自己株式の取得による支出8億6千7百万円等があったものの、短期借入れによる収入101億3千万円等により、資金の収入が支出を上回ったことによるものであります。
③生産、受注および販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループは見込生産を行っており、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりでありま す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は924億3千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ135億3千4百万円増加しております。これは主として、流動資産では増収に伴い、受取手形及び売掛金が21億6千6百万円増加しました。固定資産では設備投資の増加に伴い、有形固定資産が37億1千6百万円増加し、無形固定資産が45億1千4百万円増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は516億1千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ128億1千8百万円増加しております。これは主として、流動負債では支払手形及び買掛金が2億9千2百万円減少し、短期借入金が106億2千4百万円増加しました。固定負債では長期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)が3億1千万円増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は408億2千万円となり、前連結会計年度末に比べ7億1千5百万円増加しております。これは主として、為替換算調整勘定が14億3千7百万円増加し、自己株式が8億2千9百万円増加したことによるものです。
(自己資本比率)
自己資本比率は前連結会計年度末の46.6%から40.1%へと6.5ポイントの減少となりました。連結会計年度末の発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は前連結会計年度末1,459.97円から1,533.01円と73.04円の増加となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は945億1千万円となり、前連結会計年度に比べ184億1千7百万円の増収となりました。これは主として、買収したはんだ材料事業立ち上げと、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進んだことによるものです。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の売上原価は753億円となり、原材料価格の高騰の影響等により売上原価率が3.3ポイント増加し79.7%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費の合計は175億4百万円となり、販売の増加に伴う運搬費の増加や、旅費交通費等の増加等により27億7千7百万円増加しております。売上高比率は前連結会計年度に比べ0.8ポイント減少の18.5%となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は17億6百万円となり、前連結会計年度に比べ15億4千4百万円の減益となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は14億9千7百万円、営業外費用は6億6千2百万円で、持分法による投資利益が増加したため、営業外利益は8億3千5百万円となりました(前連結会計年度の営業外利益は1億8千3百万円)。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、25億4千1百万円となり前連結会計年度に比べ8億9千2百万円の減益となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度の特別利益は3億7千9百万円となり、投資有価証券売却益として1億9千3百万円、負ののれん発生益として1億8千6百万円計上しております。特別損失は5億9千8百万円となり、訴訟損失引当金繰入額として4億9千2百万円、固定資産解体撤去費として1億5百万円計上しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は8億8千5百万円となり、前連結会計年度に比べ8億6千万円の減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に営業活動によるキャッシュ・フローの支出が4億6千6百万円、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が66億4千9百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの収入が76億5千7百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ8億7千9百万円(16.5%)の増加となりました。
当社グループの資金の財源につきましては、短期借入金の残高が183億4千9百万円、長期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)の残高が132億8千4百万円となっております。
また、当社グループの資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの支出が4億6千6百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を62億1千8百万円保有しております。さらには、金融機関との間にコミットメントライン契約を締結しているので、国内・海外で必要なタイミングで資金調達を行える体制になっております。将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する債権の貸倒による損失見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化しその支払能力が低下した場合、追加計上が必要になる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の顧客および金融機関の株式を保有しております。これらの株式には、公開会社株式と非公開会社株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資に対する減損額を計上しております。公開会社株式への投資の場合、通常決算期末時点で株価が取得価額に対して50%以上下落した場合に減損額を計上しております。また、取得価額に対して30%以上50%未満の範囲で下落した場合には、過去における時価の推移等を勘案し、回復可能性がないと判断した銘柄については、減損額を計上しております。非公開会社株式への投資の場合、その会社の純資産額が、投資額に対して50%程度以上、下回る場合に減損額を計上しております。将来、市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要になる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。繰延税金資産を評価するにあたっては、将来の課税所得および過去の業績等を基準に検討しております。しかし、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、および計上された繰延税金資産を上回る金額を今後回収できると判断した場合、当該判断を行った各々の期間に繰延税金資産の調整額を費用および収益として計上させることになります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来キャッシュ・フローの総額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社および連結子会社)における主要な設備は、次のとおりであります。
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
(注)1. 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具備品の合計であり、建設仮勘定は含んでおりません。
2. 現在休止中の主要な設備はありません。
3. (1)提出会社の樹脂化成品等製造設備等は、子会社へ賃貸しております。
4. (2)国内子会社の表中における< >は、連結会社以外への賃貸設備で帳簿価額に含まれております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 発行済株式総数の減少は、利益による株式の消却によるものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1. 自己株式1,878,064株は、「個人その他」に 18,780単元、「単元未満株式の状況」に64株含まれております。
2. 上記「その他の法人」には、証券保管振替機構名義の株式が50単元含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1. 持株数は千株未満を切り捨てて表示しております。
2. 発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点第3位以下を切り捨てて表示しております。
3. 上記のほか当社所有の自己株式1,878千株があります。
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象になっているものであります。
当社は、経営環境の変化に対応し、経営戦略の充実、業務の効率化を図ること等を目的として、本社に事業本部を置き、各事業部は、取り扱う製品・サービスについて国内および海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。なお、「樹脂化成品事業」、「製紙用薬品事業」、「電子材料事業」、「ローター」を報告セグメントとしております。
「樹脂化成品事業」は印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤、粘接着剤用樹脂、トール油製品の製造販売を行っております。「製紙用薬品事業」は紙力増強剤、サイズ剤、表面塗工剤の製造販売を行っております。「電子材料事業」ははんだ付け材料、熱交換器用ろう付け材料、半導体用機能性樹脂の製造販売を行っております。「ローター」は粘接着剤用樹脂、印刷インキ用樹脂の製造販売を行っております。



