株式会社MORESCO
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2.第61期の1株当たり配当額は、記念配当(創立60周年記念)5円が含まれております。
3.第63期の自己資本利益率については、当期純損失のため記載しておりません。
4.第63期の株価収益率及び配当性向については、1株当たり当期純損失のため記載しておりません。
5.最高・最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所(プライム市場)におけるものであり、それ以前は東京証券取引所(市場第一部)におけるものであります。
6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループは、当社(株式会社MORESCO)、連結子会社14社および、持分法適用関連会社2社により構成されており、化学品(特殊潤滑油、合成潤滑油、素材、ホットメルト接着剤、エネルギーデバイス材料)の製造・販売を主な事業としており、主要製品は以下のとおりであります。
[特殊潤滑油]
高真空ポンプ油、難燃性作動液、ダイカスト用油剤、熱間鍛造潤滑剤、切削油剤、自動車用ブレーキ液・不凍液、冷熱媒体
[合成潤滑油]
高温用潤滑油、ハードディスク表面潤滑剤、耐放射線性潤滑剤
[素材]
流動パラフィン、スルホネート
[ホットメルト接着剤]
ホットメルト接着剤
[エネルギーデバイス材料]
有機EL用封止材、ガス・水蒸気透過度測定装置
当社グループのセグメントは、製造・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「中国」、「東南/南アジア」および「北米」の4つを報告セグメントとしております。
日本国内では当社が主要製品の製造・販売を行っております。なお、自動車用ブレーキ液・不凍液はエチレンケミカル株式会社が製造・販売を行っております。
中国では無錫德松科技有限公司および莫莱斯柯花野圧鋳塗料(上海)有限公司が特殊潤滑油を製造しており、無錫莫莱斯柯貿易有限公司および莫莱斯柯貿易(浙江)有限公司が販売しております。また、天津莫莱斯柯科技有限公司がホットメルト接着剤を製造・販売しております。なお、莫莱斯柯(浙江)功能材料有限公司が特殊潤滑油の製造・販売に向けて工場を建設中です。
東南/南アジアではタイにおいて、MORESCO(Thailand)Co.,Ltd.が特殊潤滑油を製造・販売しており、ホットメルト接着剤を輸入販売しております。インドネシアにおいて、PT.MORESCO INDONESIAが特殊潤滑油を製造・販売しており、PT.MORESCO MACRO ADHESIVEがホットメルト接着剤を製造・販売しております。また、インドにおいて、MORESCO HM&LUB INDIA PRIVATE LIMITEDが、特殊潤滑油およびホットメルト接着剤を製造・販売しております。
北米では米国において、MORESCO USA Inc.が特殊潤滑油および合成潤滑油を製造・販売しております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

(注) 1.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
2.特定子会社に該当しております。
3.2022年11月30日付で莫莱斯柯貿易(浙江)有限公司を設立しております。なお、同社の資本金につきましては2023年2月28日現在の払込済資本金はございませんが、登録資本金の額は10百万中国人民元であります。
4.2022年3月23日付で莫莱斯柯(浙江)功能材料有限公司を設立しております。なお、同社の資本金につきましては2023年2月28日現在の払込済資本金の額を記載しており、登録資本金の額は12百万米ドルであります。
5.無錫莫莱斯柯貿易有限公司の売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)は連結売上高に占める割合が10%を超えております。同社の主要な損益情報等は以下のとおりであります。
(1) 売上高 3,186百万円
(2) 経常利益 358百万円
(3) 当期純利益 260百万円
(4) 純資産額 1,341百万円
(5) 総資産額 2,127百万円
2023年2月28日現在
(注) 1.従業員数は、就業人員であります。
2023年2月28日現在
(注) 1.従業員数は、就業人員であります。
2.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
3.上記の従業員は、全員が日本セグメントに所属します。
当社グループには労働組合として、国内ではMORESCO労働組合とマツケン労働組合があり、株式会社MORESCO従業員(子会社および関連会社への出向者を含む。)はMORESCO労働組合に、株式会社マツケン従業員はマツケン労働組合に所属しております。MORESCO労働組合については、事業所別に支部が置かれ、提出会社の本社に組合本部が置かれております。2023年2月28日現在における各組合への加入者数は、MORESCO労働組合が271名、マツケン労働組合が16名であります。当社グループの労働組合はいずれの上部団体にも加盟しておりません。また在外連結子会社の一部においては労働組合があります。なお、いずれも労使関係は安定しており、特筆すべき事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、経営理念である「ユーザーのための研究開発」をモットーに、境界領域(モノとモノとの接点における摩擦や磨耗など)におけるニーズに応えることによって、社会に貢献できる企業を目指してまいりました。現中期経営計画(2021~2023年度)においては、次の5項目を中期経営方針に掲げております。
① 当社グループの経営資源を最大限活用し、持続可能社会の実現に貢献する。
② 営業と開発の強みを相互に活かし、事業の付加価値向上と新事業分野へのチャレンジを加速する。
③ 継続的な技術革新によりものづくりの競争力を強化し、製造原価の低減と品質の向上を図る。
④ 管理部門の抜本的な改革により業務効率の改善を図り、MORESCO流働き方改革を推進する。
⑤ コンプライアンス・リスクに対して高い意識をもち、ステークホルダーの信頼を高める。
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が収束しつつある中、社会経済活動の回復が期待できる状況にあります。一方、世界経済は昨年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻から1年以上が経過しましたが、収束の兆しが見えず情勢は予断を許しません。また、米国・欧州等における金融情勢の不安定さ、日本においても物価の上昇傾向が顕著であることから、経済情勢の不透明感には注視を要します。
一昨年の下期以降、上昇し続けていた原材料価格は、目下のところ落ち着きを見せていますが、販売価格への転嫁を継続し、利益確保に努めてまいります。
当社は事業の付加価値向上と持続可能社会の実現に向け、2022年に制定した「MORESCOグループサステナビリティ基本方針」および以下の経営ビジョンのもとで、2022年11月にはTCFD提言への賛同を表明し、脱炭素社会に向けた活動について積極的に情報開示を行っております。
地球にやさしいオンリーワンを世界に届けるMORESCOグループ
未来のために もっと化学 もっと輝く
環境関連分野では、サーキュラーエコノミー(循環型経済)推進の一環として、難燃性作動液の回収・再生率向上、モニタリングシステム導入による製品の長寿命化等、サステナブル社会に合わせ新たなビジネスを推進しています。また、バイオマスマーク商品として認定された植物由来樹脂配合のホットメルト接着剤、環境負荷低減に寄与する低VOC型ホットメルト接着剤等の開発をさらに進め、持続可能社会実現に貢献していきます。
エネルギーデバイス分野では、食品包装分野、水素エネルギー分野に向けて、ガス・水蒸気透過度測定装置の開発を推進しています。2023年度内には、水素社会実現への貢献として、水素に特化した透過度測定装置を上市予定です。また、有機薄膜太陽電池(OPV)はフレキシブルで軽量なフィルム状の太陽電池であり、半透明で意匠性も高いことから、商業施設、研究機関、公的機関、官公庁への展開を推進しています。OPVに蓄電されたエネルギーは、CO ₂ を大幅に抑えたクリーンな再生可能エネルギーであり、大学とともに材料開発にも注力し環境にやさしいエネルギーデバイスとして、企業を中心にOPVの拡販を進めております。
ライフサイエンス分野では、当社の強みである有機合成技術を生かし、オートファジーを制御する新規化合物の共同研究開発を進めております。また、水に溶けにくい有効成分を当社の特許技術であるナノエマルジョンテクノロジーで水溶化することで皮膚や腸からの吸収を促進させる技術を生かし、大手化粧品会社等での採用に向け活動を続けています。
海外においては、これまでの中国担当の執行役員に加え、北米担当、東南/南アジア担当を新たに選任し、従来以上に各地域でのニーズ把握、新製品開発等に注力してまいります。
研究開発においては、各市場において顧客ニーズに即応する製品開発に重点を置いた体制を構築してきましたが、今後は事業部を横断した連携や、海外子会社、大学との連携をより図る等、既存技術と新規技術をシンクロさせながら社会課題に対応できる両利きの研究開発を進めてまいります。
また、当社は2021年から2023年まで3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定を受けておりますが、今後も従業員の健康を会社の財産と考え、従業員のワークライフバランスやメンタルヘルスを重要視し、健康増進のため最大限の支援を継続いたします。
第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)の最終年度である2023年度においては、目標を下記のとおり定めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、中国、タイ、インドネシア、米国およびインドで現地法人設立による生産販売拠点を設置し海外事業を推進しております。当社グループの海外売上高は、中国、東南アジアをはじめとするアジア地域を中心に、2022年2月期10,484百万円、2023年2月期11,492百万円であり、売上高に対する比率はそれぞれ、38.4%、37.9%であります。これらの海外市場における景気変動、通貨価値の変動、政治情勢の変化、災害・疫病の発生および法規制の変化等が、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
当社グループでは、気候変動を経営上の重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しております。
気候変動リスクとしては、移行リスクとしてコストの上昇や市場の変化、物理的リスクとしてサプライチェーンリスク等が重要度と発生確率が高いものと認識しております。
このような認識の一方で、当社グループは、気候変動をリスクだけでなく機会と捉え、「持続可能社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を両立させつつ事業を運営し、社会課題や環境課題の解決により一層貢献するべく、サステナビリティ課題に対して積極的に対応していきます。
当社グループは、国内外に生産拠点を有しており、安定供給への重大な責任を有しております。これら拠点が大規模な自然災害やパンデミックの発生または事故等により、製品の供給が困難な事態に至った場合には、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
(合成潤滑油部門)
当社では、高温用潤滑油製造のための合成設備を赤穂工場で、またハードディスク表面潤滑剤製造設備は本社・研究センター内でそれぞれ保有しており、万一、工場、本社において重大なトラブルが発生し、設備の稼働が長期的に停止する事態になった場合には、製品の供給が一時的に停止する可能性があります。在庫量につきましては約1.0ヵ月であります。
(素材部門)
当社では、流動パラフィンならびにその連産品であるスルホネートを硫酸精製法により生産しております。硫酸精製法のメリットは、連産品としてスルホネートを生産できることですが、デメリットとしては製造過程において廃棄物として廃硫酸が発生することがあげられます。当社においては、隣接する廃硫酸リサイクル企業との間をパイプラインで直結し、廃硫酸処理を含めた一貫生産ライン(クローズドシステム)を構築しておりますが、廃硫酸処理を他社の設備で行っているため、当該他社工場の移転、縮小等、設備に変更が生じた場合、素材部門の生産能力に影響をおよぼす可能性があります。
また、当社では流動パラフィンならびにスルホネートを千葉工場のみで生産しており、万一工場において重大なトラブルが発生し、工場の稼働が長期的に停止する事態になった場合には、製品の供給が一時的に停止する可能性があります。工場の在庫量は約1.0ヵ月であります。
以上のような製品の製造に係るリスクに対して当社グループでは、拠点ごとでの事業継続計画(BCP)の策定、定期的な設備の保守点検および防災訓練の実施等、リスク発生の回避と発生時の被害最小化を図る取り組みを行っております。
当社グループは、ISO9001の認証取得を含む厳しい社内品質保証体制に基づき製品の品質と信頼性の維持向上に努めておりますが、製品の品質不良に伴うリスクを完全に排除することは不可能であり、予期せぬ不良等が発生した場合、訴訟等のリスクがあります。当社グループの製品に品質保証問題が生じた場合には、補償費用が発生し、また、製品の信頼を損なって顧客の喪失等に結びつき、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。当社グループは、製造物賠償責任請求に対しては保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額をすべてまかなえるという保証は無く、製品の欠陥が当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
当社グループの製品は、潤滑油、石油化学製品、化成品等を主な原料としており、これらの原料は、原油価格・ナフサ価格の変動の影響を受けます。原油価格・ナフサ価格は、今後とも国内外の需給動向等により大きく変動することがあります。また東日本大震災では原料製造工場の被災による影響を受けましたが、今後とも災害・事故等による供給停止や、供給者側の事業・製品の統廃合等にともない原料の入手に支障をきたす可能性もあります。
当社グループとしては、原料価格の変動による影響に対しては特殊潤滑油の主たる販売先との間で原油・ナフサ価格に連動した製品価格の改定を行っているなど、製品価格への転嫁を進めるとともに、コスト削減および高付加価値製品への転換を図ってまいります。所要原料の確保については、グローバルレベルでの原料調達先の確保・使用原料の多様化により対処してまいりますが、これらの対処が十分にできなかった場合には、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。
当社グループでは、新製品開発が収益性の向上や将来の成長に寄与するものとの認識のもと、新製品の開発に多くの経営資源を投入しております。特に、2021年度より開始した第9次中期経営計画では、「持続可能社会の実現への貢献」と「事業の付加価値の向上と新事業分野へのチャレンジの加速」を経営方針に掲げ、「環境関連分野」「情報関連分野」「エネルギーデバイス分野」「ライフサイエンス分野」の4分野に重点を置き、研究開発に取り組んでおります。
このような経営方針のもと、研究開発部門と営業部門が密接に連携を取りながら、社内外のネットワーク(人脈、技術等)を活用し、市場ニーズの的確な把握と研究成果の早期結実に努めておりますが、投資に見合った収益が得られなかった場合には当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
当社グループが開発した新技術に関して、基本的には特許を出願する方針でありますが、製造方法に関する特許等で侵害発見が容易でないものおよび特殊潤滑油に関する特許等で組成を開示することにより配合ノウハウが他社に漏洩する可能性があるものについては、秘密保持のため、出願を控える場合があります。このため他社が、当該事項に関する特許を出願した場合には、特許が成立する可能性があります。当社としてはこうした事態に備え、社内での当該事項の実施記録を残すことにしており、「先使用権による通常実施権」を主張することができるよう対処しております。
当社の製品および各事業所を規制する主な法的規制・行政指導は、以下のとおりであります。なお、新たな法規制、条例等の改正により、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。
・化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
・労働安全衛生法
・消防法
・水質汚濁防止法
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律
・石油コンビナート等災害防止法
今後、環境に対する意識の高まりから「水質汚濁防止法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の更なる法改正が進められる可能性が考えられ、当社工場からの廃棄物、排水等の処理に更なる規制の強化が図られた場合には、工場内での処理方法の開発、排出前処理のための設備投資等が必要となり、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
当社グループでは、全ての役職員が「経営理念」「MORESCO行動憲章」および「内部統制システムの整備に関する基本方針」に沿って企業活動に従事し、ステークホルダーから支持される企業となるため、「コンプライアンス方針」を制定し、これに基づきコンプライアンス遵守体制の整備と推進を実行しております。またグループ各社を対象とした内部監査の実施により、コンプライアンス遵守体制の維持、改善に努めております。
こうした取り組みにも関わらず、重大な法令違反を起こした場合、社会的信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
近年、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染等により、企業が保有する情報が流出する事件が多発しています。当社としましては、「情報セキュリティポリシー」およびこれに関連する規程の整備および運用、情報セキュリティ対策製品の導入、並びに役員、従業員を対象とした情報セキュリティ教育の実施等により、その防止に努めております。
しかしながら、不測の事態により情報の流出等が発生した場合には、社会的信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
当社グループは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用しております。市場環境の急激な変化等により収益性が低下していると判断し、保有する棚卸資産に対して評価損を計上する場合に、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、保有する固定資産について減損損失を計上する場合に、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の回復等により、回復基調で推移しました。世界経済においては、インフレ圧力が顕在化する中で、欧米各国は金融政策を引き締め方向に転換させました。このような金融情勢の中、ドル円相場は激しく変動しました。中国においては、ゼロコロナ政策下での厳しい行動制限や同政策終了後の感染急拡大による混乱が景気を下押ししました。
このような状況のもと、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて3,009百万円増加し、32,017百万円となりました。これは主に、売上債権が752百万円、棚卸資産が979百万円、投資その他の資産が537百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べて2,321百万円増加し、10,778百万円となりました。これは主に、仕入債務が836百万円、短期借入金が1,822百万円それぞれ増加した一方で、未払法人税等が244百万円減少したこと等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べて688百万円増加し、21,240百万円となりました。これは主に、利益剰余金が242百万円、為替換算調整勘定が373百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度の売上高は、原材料価格高騰等に伴う販売価格の是正により、30,333百万円(前期比11.1%増)となったものの、販売価格への転嫁までにタイムラグが生じていることから、営業利益は523百万円(前期比63.5%減)となり、経常利益は1,046百万円(前期比48.0%減)となりました。また、前期の特別利益(固定資産売却益833百万円)の剥落もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は615百万円(前期比66.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
日本
全体的には販売価格の是正により増収となりました。部門別の販売の状況は次のとおりです。
特殊潤滑油部門では国内自動車生産台数は前期を上回ったものの、主要顧客での生産台数減少の影響を受け、数量は前期を下回りました。ホットメルト接着剤部門では、主力の衛生材用途が堅調に推移したことに加え、粘着用途での新規獲得による増加等により数量は前期を上回りました。素材部門では、ポリスチレン可塑剤用途での数量が、顧客工場での大型定期修理等の影響で減少しました。合成潤滑油部門では、高温用潤滑油が顧客での在庫調整の影響を受け、またハードディスク表面潤滑剤はデータセンター投資の冷え込みの影響により、ともに数量は前期を下回りました。
以上の結果、当セグメントの外部顧客への売上高は19,637百万円(前期比6.8%増)となりましたが、原材料価格高騰等の影響によりセグメント利益は33百万円(前期比96.0%減)となりました。
中国
特殊潤滑油は販売価格の是正と円安の進行により増収となりました。ホットメルト接着剤は、空気清浄機用フィルター用途での需要が一段落したこと等により減収となりました。
この結果、当セグメントの外部顧客への売上高は3,814百万円(前期比5.2%増)となりましたが、原材料価格高騰等の影響によりセグメント利益は311百万円(前期比28.2%減)となりました。
東南/南アジア
特殊潤滑油は需要の回復により前期を上回る数量となり、また販売価格の是正と円安の進行により増収となりました。ホットメルト接着剤はインドおよびインドネシアでの数量増により増収となりました。
この結果、当セグメントの外部顧客への売上高は5,870百万円(前期比30.4%増)となりセグメント利益は123百万円(前期比42.7%増)となりました。
北米
メキシコにおける日系自動車メーカーの稼働率低下の影響等により数量は減少しましたが、販売価格の是正と円安の進行により増収となりました。
この結果、当セグメントの外部顧客への売上高は1,011百万円(前期比28.1%増)となりましたが、原材料価格高騰等の影響によりセグメント利益は87百万円(前期比18.6%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて532百万円増加し、4,186百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは515百万円の収入(前期は2,333百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,172百万円の支出(前期は603百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,227百万円の収入(前期は2,937百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額等によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループの化学品事業は、主として見込み生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.従前は、セグメント間の内部売上高を含めてセグメント別の売上高を記載しておりましたが、当期より外部顧客への売上高のみを記載する方法に変更しております。
2.前連結会計年度および当連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、売上高は30,333百万円(前期比11.1%増)となりました。全般的に販売価格が上昇したこと、インドおよびインドネシアでのホットメルト接着剤の増販および東南アジアでの特殊潤滑油の需要回復等によるものです。利益面については、原材料価格高騰による原価率の上昇により、営業利益は523百万円(前期比63.5%減)となり、経常利益は1,046百万円(前期比48.0%減)となりました。また、前期の特別利益(固定資産売却益833百万円)の剥落もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は615百万円(前期比66.0%減)となりました。
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。
当連結会計年度においては、営業活動で得られた収入および財務活動で得られた収入を主な財源として、有形固定資産の取得を行いました。詳細は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、必要資金は自己資金のほか金融機関からの借入等で確保しております。自己資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フローにより、継続的、安定的な資金の獲得を行っておりますことに加え、グループ各社の資金集約化により、資金の効率的な運用に努めております。また、金融機関からの借入に関しては、主要取引金融機関と当座貸越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載しております。
当連結会計年度は第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)の2年目でありました。当該計画立案当初における当連結会計年度の目標数値の達成状況は次のとおりであります。
(注)目標は2021年2月22日公表値です。
また、2023年度の目標数値は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであり、その達成のための対処すべき課題は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社および連結子会社)における主要な設備は、以下のとおりであります。
(注) 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品、建設仮勘定およびソフトウエア等の合計額であります。
(注) 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品およびソフトウエアの合計額であります。
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品、建設仮勘定、ソフトウエアおよび借地権の合計額であります。
2.[ ]内は連結会社以外から賃借中のものを、外数で表示しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 譲渡制限付株式報酬としての有償第三者割当
割当先 取締役(社外取締役を除く)6名
発行価格 1,928円
資本組入額 964円
払込金総額 40百万円(金銭報酬債権の現物出資)
(注) 自己株式468,970株は、「個人その他」に4,689単元および「単元未満株式の状況」に70株を含めて記載しております。
2023年2月28日現在
(注) 上記日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、394千株であります。
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、主に化学品(特殊潤滑油、合成潤滑油、素材、ホットメルト接着剤)を製造・販売しており、国内においては当社が、海外においては中国、東南/南アジア、北米の現地法人が、それぞれ担当しております。現地法人はそれぞれ独立した経営単位であり、取り扱う製品について各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
従って、当社は、製造・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「中国」、「東南/南アジア」および「北米」の4つを報告セグメントとしております。「日本」セグメントにおいては、化学品事業のほか、賃貸ビル事業を行っております。