株式会社中山製鋼所
(注) 1 第125期から第129期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第128期の期首から適用しており、第127期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
(注) 1 第125期から第129期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第128期の期首から適用しており、第127期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
3 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部の、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場の売買実績によっております。
4 第126期の1株当たり配当額には、記念配当2円を含めております。
5 第129期において、当社の完全子会社である中山三星建材株式会社を吸収合併しております。
当社は、1919年9月に創業者中山悦治の個人経営で、兵庫県尼崎市に於いて亜鉛鉄板製造工場を設立しました。
その後、1923年12月に株式会社中山悦治商店を設立、さらに1934年6月に商号を株式会社中山製鋼所と改称し、今日に至っております。
会社設立後の主要な変遷は次のとおりであります。
当社グループは、鉄鋼の製造、販売を主な事業内容としておりますが、各事業に関わる位置付け等は、次のとおりであります。
なお、次の3部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
鉄鋼製品については当社の鉄鋼事業部門が製造・販売を行っており、鉄鋼二次加工製品については、当社以外に連結子会社三泉シヤー㈱及び関連会社日鉄ボルテン㈱においても製造・販売を行っております。また、当社グループの製品等の輸送については、連結子会社三星海運㈱が主として行っております。
当社製品の一部については、連結子会社中山通商㈱及び三星商事㈱を通じて販売しております。
当社の鉄鋼事業部門は、主要株主である阪和興業㈱と鋼材の販売及び鋼材の原料となる鋼片等の購入を行っております。
なお、前連結会計年度において連結子会社であった中山三星建材㈱は、2022年4月1日付で当社を存続会社とする吸収合併により消滅しております。
当社のエンジニアリング事業部門が国内シェアの過半を占める鋼製魚礁の製造・販売のほか、ロールの製造・販売及び機械の加工・組立等を行っております。
当社の不動産事業部門が不動産の賃貸・販売を行っているほか、連結子会社中山興産㈱が不動産の売買・仲介、その他サービス事業を行っております。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

(注) 1 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2 三星商事㈱については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等
3 前連結会計年度において連結子会社であった中山三星建材㈱は、2022年4月1付で当社を存続会社とする吸収合併により消滅したため、連結の範囲から除外しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む)であります。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)であります。
2 平均年間給与は時間外手当等の基準外賃金及び賞与を含んでおります。
3 平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、出向受入者(13名)を除いております。
4 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
5 前事業年度末に比べ、従業員数が248名増加しておりますが、これは主として、当社が2022年4月1日付で連結子会社である中山三星建材株式会社を吸収合併したことによるものであります。
当社の労働組合は企業内単一組合で中山製鋼所労働組合と称し、日本基幹産業労働組合連合会に加盟しており、2023年3月31日現在の組合員数は、591名であります。
なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。
2023年3月31日現在
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 パート・有期労働者については定年再雇用者を主とする賃金ベースの高い役職者の男性比率が高いため、格差が大きくなっております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
1. 経営方針
当社グループは、以下の「経営理念」、「行動指針」及び「グループビジョン」を経営の基本方針としております。
<経営理念>
中山製鋼所グループは、公正な競争を通じて付加価値を創出し経済社会の発展を担うとともに、社会にとって有用な存在であり続けます。
<行動指針>
① 法令や社会的規範を守り、高い倫理観を持って行動します。
② 安全・防災・環境問題は企業の存在の基本条件と位置づけ、生産活動に優先して取り組みます。
③ 社会的に有用な商品・サービスを開発、提供し、顧客の満足度と豊かさを実現します。
④ 従業員の人格・個性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現します。
⑤ 社会および株主とのコミュニケーションを大切にし、企業情報を積極的かつ公正に開示します。
⑥ 良き企業市民として積極的に社会貢献活動に取り組みます。
<グループビジョン>
中山製鋼所グループは、鉄鋼事業を中核に発展してきた企業集団であり、今後ともお客様と将来の夢を共有し、社会にとって有用な付加価値の高い製品を開発、商品化し、お客様に安定的に提供していく努力を継続してまいります。
2. 経営環境
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和により経済・社会活動が正常化に向かう一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、ゼロコロナ解除後の中国の動向や各国の金融引締めに伴う世界経済の減速懸念など先行き不透明な状況が続くことが想定されます。
当社グループを取り巻く環境につきましては、国内鋼材需要は緩やかな国内経済の回復のもとで、自動車生産や民間設備投資の増加、倉庫・物流施設などの非住宅分野の堅調ぶりなど、製造業向け、建築向けともに底堅く推移することが期待されます。一方で、原材料価格やエネルギー価格は高位で推移するなどコスト環境は厳しい状況が続くことが見通されます。
3. 対処すべき課題
当社グループは、2030年のありたい姿・目指す企業として「中山製鋼所グループ2030長期ビジョン」を定め、その実現に向けて2024年度を最終年度とする3ヵ年の「中山製鋼所グループ中期経営計画」に取り組んでおります。長期ビジョン及び中期経営計画の概要につきましては以下の通りです。
中山製鋼所グループ2030長期ビジョン~ESGにおける5つのマテリアリティ(重要課題)
当社グループは、上記の2030長期ビジョンの実現に向けて、そのスタートとなる3年間の中期経営計画(2022年度~2024年度)を策定し、施策を着実に進めております。当該中期経営計画の重点方針やその概要及び最終目標は以下の通りです。
(1) 重点方針
① ”中山らしさ”の追求、グループ一体での付加価値向上による連結収益最大化
当社は、2022年4月1日に完全子会社の中山三星建材株式会社を合併しました。加工ビジネスへの取り組みを一段と加速させ、当社グループのシナジーを拡大させるとともに、その実現を通じて当社グループの総合力強化を図ってまいります。母材のホットコイルから加工製品までの一貫メーカーとして強みをさらに発揮し、コスト・品質・デリバリー面での競争優位性をさらに高めます。同日付けで製品開発本部を創設し、技術開発・商品開発も推進しております。
また、縞鋼板の切断や2次加工能力の増強のため、完全子会社の三泉シヤー株式会社の第2工場を当社構内に建設し、2023年度から営業生産を開始しました。
グループ全体で加工分野を強化するとともに、サプライチェーンの拡大により高付加価値品の拡販に努め、収益力の強化を図ってまいります。
② カーボンニュートラル・循環型社会の実現に向けた取り組み強化
月間5万トンの電気炉生産体制を確立し、上級スクラップ使用比率の低減や原単位の向上に一層取り組み、コスト競争力を高め、電気炉鋼材の普及拡大に注力しております。当連結会計年度におきましては、鉄スクラップの集荷対策や電気炉生産量の増加を図るとともに、各工場での歩留の改善などを推進してまいりました。
長期成長戦略の検討については、2022年2月1日に設置した「製鋼プロセス改革検討グループ」を2023年4月1日に「新製鋼検討グループ」として改組し、電気炉新設を含めた抜本的な電気炉生産能力増強策の詳細検討を進めております。
また、気候変動対策をはじめとしたサステナビリティへの取り組みを推進すべくサステナビリティ委員会を設置し、CO2削減への取り組みを強化するとともに、2022年3月には「GXリーグ基本構想」に賛同、2022年10月には「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言へ賛同、さらに「Nakayama Steel CSR Report 2022」を当社ウェブサイトに掲載し、当社グループの環境への取り組み内容を開示しました。
③ 中部鋼鈑株式会社との業務提携の推進
2021年4月に中部鋼鈑株式会社と包括的業務提携契約を締結し、同社からのスラブ供給や同社への厚板生産委託などを推進しております。同社の新電気炉完成後の2023年下期以降では提携内容の拡充を図ります。相互にメリットを享受しながら、カーボンニュートラル・循環型社会の実現に貢献してまいります。
④ 経営基盤の強化
鉄鋼事業の競争力維持・強化のため、生産設備の新陳代謝を促進します。将来を見据えた計画的な更新投資により次期中期経営計画(2025~2027年度)以降での投資負担の軽減も図ります。また、安全性向上のための投資については別枠を設け、安全・安定操業への取り組みを一層強化します。
また、2022年度より遊休設備の解体撤去を進め、当社船町工場での遊休設備解体後の跡地活用に向けた準備を進めております。
DXへの取り組みとして、前中期経営計画期間から進めている電子契約、ワークフローシステム導入やRPA活用による業務効率化の対象範囲を拡大します。また、グループシステム共通の基盤を構築するとともに、業務のあり方を見直しつつデータ活用の基盤づくりを検討し、2024年度には当社の基幹システムを更新することにより、業務の改善を推進します。
⑤ ステークホルダーに貢献する取り組み強化
ガバナンス体制の強化として、当社は、2022年6月28日開催の定時株主総会の承認を経て、監査等委員会設置会社に移行しました。これにより経営の意思決定の迅速化を図り、取締役会における経営の基本方針等の議論をより充実させるとともに、取締役会による業務執行への監督機能を強化してまいります。さらに、取締役が株価変動のメリットとリスクを株主の皆様と共有し、株価上昇及び企業価値向上への貢献意欲を従来以上に高めるために、2023年6月28日開催の第129回定時株主総会の承認により当社の取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)を対象に譲渡制限付株式報酬制度を導入しました。
また、コンプライアンスの徹底を図り、安全・防災を最優先し無事故・無災害の実現を目指すとともに、健康経営の一層の強化を推進します。さらに働き方改革を進めワークライフバランスの充実を図ってまいります。
以上のように経営基盤の強化や収益力向上により企業価値を高め、業績に見合った安定的な株主還元を行うことを目指すとともに、株主・投資家に向けて非財務情報を含めた情報開示の充実や建設的な対話の促進に努めます。
(2) 経営目標
本中期経営計画の最終年度である2024年度の定量目標・KPIは以下の通りです。
当報告書に記載している事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 主要原材料の価格並びに製品の販売価格の動向に伴うリスク
鉄鋼製品の主要原材料価格は、国内だけでなく国際的な資源需給の動向等の影響を受けます。主原料の国際商品市況が急激に上昇した場合、製造コストの上昇分に見合った販売価格への転嫁を早期に実施することは困難であるため、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。また、原油価格の変動に伴う重油・ガソリン・天然ガスなど、燃料価格の上昇は、製造プロセスにおける燃料コストや販売運送コストに影響を与える可能性があります。
当社グループでは、販売価格や主原料価格の動向により、電気炉鋼片又は購入鋼片をフレキシブルに使い分けた生産・営業体制を堅持し、鋼材スプレッドの最大化を図っております。
② 最終ユーザーの需要動向に伴うリスク
当社グループが製造している鉄鋼製品は、総合商社や鉄鋼商社、問屋や溶断業者などを通じて最終ユーザーに販売されております。最終ユーザーは、主として建設、建設機械や産業機械などに属する企業であることから、建設需要の低迷や建設機械や産業機械の生産量の減少など、最終ユーザーにおける鉄鋼需要そのものが低迷した場合、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、特に問屋、溶断業者とのサプライチェーンを全国にきめ細かく築いております。特定の大手最終ユーザーと直接取引をするより、各地域の多種多様な中小最終ユーザーへ問屋、溶断業者が持つ地場密着のきめ細かな販売、配送機能を利用して販売することで需要低迷時のリスク分散、競合他社との差別化を図っております。今後もこのサプライチェーンをより一層強化するため、全地域に販売拠点を持つグループ会社との連携営業、加工能力増強による商品ラインアップの充実を進めてまいります。
③ 電気料金の価格動向に伴うリスク
現在、国内の原子力発電所の多くが運転を停止し、火力による発電比率が高まる中、電力単価が上昇し、電力費の負担は高水準で推移しております。また、燃料費調整単価は、火力発電に必要な石炭、液化天然ガス及び原油などの価格や為替の動向によって上昇する可能性があります。これらの動向による電力料金の状況により、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、電気炉コストが急激に上昇したり、計画停電などにより減産を余儀なくされた場合においては、鉄源多様化による購入鋼片を増加させることなどにより、生産・販売や収益への影響を最小限にとどめるよう努めてまいります。
④ 各種法的規制、訴訟等に伴うリスク
当社グループは、日本及び海外各国・地域の法令や規制に従って事業活動を行っております。法規制には、環境、商取引、労務、知的財産権、租税、為替等の各種関係法令に加えて、事業活動や投資を行うために必要とされる様々な官公庁等の許認可規制があります。今後、より厳格な規制が導入されたり、法令の運用・解釈が厳しくなったりすることにより、当社グループの事業活動の継続が困難になったり、法令遵守のための費用負担が増加する可能性があります。
当社グループは、「中山製鋼所グループ企業理念」により、法令遵守することを行動指針の一つとして掲げており、全役職員に教育・指導しておりますが、当社グループが何らかの理由により法規制に違反したと認定された場合には、課徴金等の行政処分、罰金等の刑事処分を受ける可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
また、重要な訴訟において当社グループに不利な判断がなされた場合には、事業活動の停止・制約、補償等により、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、各種業界団体への加盟やセミナーへの参加等により、各種法的規制に関する必要な情報を適時・的確に収集するとともに、各種法令等遵守の徹底を図るため、コンプライアンス推進部署が、各種法令等への遵守に向けた社員教育及び体制整備に努めております。
⑤ 事業活動にかかる環境規制に伴うリスク
当社グループは、現在、鉄鋼事業活動の過程で発生する廃棄物、副産物等の扱いは、国内外の法規制を遵守し、的確な対応を行っておりますが、将来において環境規制が強化された場合、鉄鋼事業活動が制約を受け、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
また、パリ協定の合意以降、世界的に脱炭素化の流れが加速しており、当社グループにおいてもカーボンニュートラルに向けた取り組みを行いCO2排出量削減に努めておりますが、国内外において法規制の厳格化、炭素税や排出量取引制度が導入された場合、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各種業界団体への加盟やセミナーへの参加等により、必要な情報を適時・的確に収集するとともに、環境パフォーマンスの改善を図ることを目的としてISO14001を取得するなど、環境マネジメントシステムを構築し運用しております。
⑥ 気候変動が及ぼすリスク
当社は、2022年10月に「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおり、気候変動に関するリスクと機会を分析・開示するとともに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組みを開始しておりますが、気温の上昇や異常気象、自然災害等によって原材料の調達停止やコストの増加、生産停止など事業活動に影響が生じる可能性があります。また、脱炭素への対応が不足又は遅延することで、生産コストの増加や新たな税負担、事業活動の制限等の影響を受ける可能性があります。
⑦ 製品・サービスの品質問題等によるリスク
当社グループは、鉄鋼製品をはじめ様々な製品・サービスについて、お客様に有用な付加価値の高い製品・サービスを提供してまいります。当社グループでは、法令・日本産業規格などの公的な規格・顧客との協定事項の遵守を徹底し、厳密な社内規準の制定や堅固な検査体制の構築を実施し、これを確実に運用しております。ただし、不適合な製品等が社外に流出し、あるいは顧客にて品質問題が生じた場合には、顧客等からの代品の納入や補償の要求などにより、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、品質問題が発生した場合には不適合の発生原因を正確に突き止め、そのうえで確実な再発防止策を講じてまいります。こうした施策により、当社グループまたは当社グループの製品やサービスに関する信頼の損失や売上の減少等を回避し、当社グループの財政状態や経営成績等の維持・向上を図ります。
⑧ 各種感染症や台風・地震等の大規模な自然災害等の異常事態発生に伴うリスク
当社の本社・船町工場は大阪市内にあり、単独の事業拠点、工場をもって事業を展開しております。新型コロナウイルスを始めとする感染症拡大や、台風・地震等の大規模な自然災害など、異常事態が当社グループの想定を超える規模で発生し、工場の生産や製品の販売が困難な状態となった場合、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、有事の際には、在宅勤務等、勤務体制の変更、従業員の行動基準の策定、異常事態発生時の対応マニュアルの運用等により、事業リスクの最小化に向けた施策を推進します。
⑨ 重大な労働災害、設備事故等によるリスク
当社の船町工場をはじめとする当社グループの各製造工場において、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には、操業に支障をきたし、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、労働災害や工場事故発生時の対応マニュアルの発動や、通常時は安全管理を徹底するなど、事業リスクの最小化に向けて対応いたします。
⑩ 人材の確保におけるリスク
当社グループでは、企業戦略を支えるのは人材であると認識しております。現在、わが国では、少子高齢化が進展していますが、人材の確保が十分にできない場合には、生産・販売・サービス等のレベル低下により、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、新卒採用活動の強化のほか、中途採用も積極的に行うだけでなく、高齢者の活用のため65歳までの再雇用制度を導入しております。さらに、有能な人材の確保のために取り組むだけでなく、設備の省力化・合理化等の設備投資も進めております。
⑪ システムリスク
当社グループの業務は、基幹システムを導入し業務運営を行っております。不正アクセス、大規模停電、予期せぬシステムトラブルが発生し、復旧等に時間を要した場合、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、データのバックアップを外部のデータセンターに送ることによりシステム障害によるデータ消失への対策を講じております。また、システムハード障害においても重要な機器類を冗長化するとともに24時間365日の障害監視を外部に委託し障害の予兆監視と障害発生時の早期修理対応ができるように対策を講じております。
⑫ 減損会計適用に伴うリスク
当社グループは、事業用の設備、不動産をはじめ、様々な有形・無形固定資産を所有しております。当該資産が将来期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない状況に陥る等、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合には、減損損失の計上が必要となり、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、事業用の設備、不動産の安定した稼働を維持し、安定したキャッシュ・フローの創出に努めてまいります。
⑬ 投資有価証券の価格変動リスク
上場株式の株価が著しく下落した場合には、当社グループが保有する投資有価証券の減損損失計上が必要となったり、年金資産を構成する上場株式の評価下落により、退職給付会計における数理計算上の差異が発生し、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、純投資目的である投資株式は保有しておらず、純投資目的以外の目的である投資株式についても保有の意義が必ずしも十分でないと判断される株式については縮減を図る方針であります。また、年金資産の構成についても、国内債券等安全性の高い資産が過半数を占めるなど、上場株式のリスクについて極力低減させております。
⑭ 資金調達に関わるリスク
当社の金融機関からの借入契約には、各年度の末日の連結純資産及び各年度の連結経常損益に関する財務制限条項が付されております。これに抵触し、借入先金融機関の請求があった場合には、当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。当社が借入金について期限の利益を喪失し、一括返済の義務を負った場合には、当社グループの財政状態や経営成績等は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、経営計画の着実な実行により安定した収益確保と財務体質の強化に努めてまいります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和により、個人消費を中心に緩やかに持ち直してまいりました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による物価上昇や世界的な金融引締めなど、依然として先行き不透明な状況が懸念されます。
当社グループの主力事業である鉄鋼業界におきましては、製造業向け需要は、産業機械向けは一部で内外需要の回復による増加が見られましたが、自動車向けは半導体など部品の供給制約から年度後半まで減少基調が続きました。建築向け需要は大型案件は堅調でしたが、中小案件は資材価格の高騰の影響等から低迷するなど、総じて鉄鋼需要は弱含みで推移しました。
このような状況のもと、当社グループは、中期経営計画(2022年度~2024年度)の重点方針に沿って、当社グループが掲げた目標の達成を目指して施策を推進してまいりました。
「“中山らしさ”の追求、グループ一体での付加価値向上による連結収益最大化」においては、昨年4月1日に完全子会社の中山三星建材株式会社を合併し、母材のホットコイルから加工製品までの一貫メーカーとしての強みを発揮することによりグループ総合力の強化に努めております。また、縞鋼板の加工能力を増強させるため、完全子会社の三泉シヤー株式会社の第2工場を当社構内に建設し、本年4月より本格的に稼働しました。これらによりグループ全体で加工分野を強化し付加価値の高い加工品の拡販を図ります。
「カーボンニュートラル・循環型社会の実現に向けた取り組み強化」においては、電気炉生産量の増加や各工場でのコスト・品質の改善などに注力するとともに、「中山製鋼所グループ2030長期ビジョン」のもとで特定されたマテリアリティとその推進方針に従い、サステナビリティへの取り組みを一層強化してまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,885億14百万円(前期比218億13百万円増)、営業利益136億44百万円(前期比63億94百万円の増益)、経常利益133億71百万円(前期比67億16百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益102億27百万円(前期比54億11百万円の増益)となりました。
当連結会計年度における各セグメントの業績は、次のとおりであります。
鉄鋼につきましては、鋼材販売数量の減少、資源価格の上昇及び円安の進行に伴いスクラップ・鋼片などの主原料価格や電力・ガスなどのエネルギー価格が高騰したことにより製造コストが増加しましたが、鋼材販売価格の改善により鋼材スプレッドが拡大しましたので、前期比で増収増益となりました。これらの結果、売上高は1,855億42百万円(前期比213億95百万円増)、経常利益は129億79百万円(前期比61億30百万円の増益)となりました。
エンジニアリングにつきましては、海洋部門及び鋳機部門の受注が増加しましたが、資材価格の高騰が響き増収ながら減益となり、売上高は19億7百万円(前期比1億29百万円増)、経常利益は2百万円(前期比56百万円の減益)となりました。
不動産につきましては、賃貸収入を中心に安定した収益を確保し、売上高は10億64百万円(前期比2億87百万円増)、経常利益は6億97百万円(前期比1億96百万円の増益)となりました。
当連結会計年度末の総資産は1,487億87百万円となり、前連結会計年度末と比べ51億68百万円増加しました。これは主として、受取手形、売掛金及び契約資産、電子記録債権が増加したことによるものであります。
負債については519億27百万円となり、前連結会計年度末と比べ27億59百万円減少しました。これは主として、未払法人税等が増加しましたが、短期借入金が減少したことによるものであります。
純資産については968億59百万円となり、前連結会計年度末と比べ79億28百万円増加しました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと及び配当金の支払いによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、167億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億10百万円増加(+6.4%)しました。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、130億12百万円(前期87億56百万円の支出)となりました。これは、主として、売上債権の増額64億52百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益136億53百万円、減価償却費27億51百万円、未払消費税等の増額28億93百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、34億60百万円(前期23億8百万円の支出)となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出37億34百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、85億41百万円(前期83億88百万円の収入)となりました。これは、主として短期借入金の純減額50億円、長期借入金の返済による支出6億74百万円、配当金の支払額24億31百万円によるものであります。
(注) 上記以外については、役務の提供や重要性のないものであるため記載を省略しております。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 鉄鋼セグメントについては、製造会社である当社、三泉シヤ―㈱の2社の受注高及び受注残高を記載しております。また、当該2社の中山通商㈱、三星商事㈱を介した外部顧客に対する受注高及び受注残高については、実務上算定が困難であるため、上記には含めておりません。
3 当連結会計年度において、エンジニアリングの受注高及び受注残高は著しく増加しました。これは、ロール受注の増加や魚礁の大型物件受注によるものであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ218億13百万円増加し、1,885億14百万円(前年度比13.1%増)となりました。これは、主に鋼材販売価格の大幅な上昇によるものであります。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、鉄鋼が98.4%、エンジニアリングが1.0%、不動産が0.6%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ63億94百万円増加し、136億44百万円(前年度比88.2%増)となりました。これは、鋼片や合金鉄などの主副原料価格の高騰やエネルギーコストの増加がありましたが、鋼材販売価格が大幅に上昇し鋼材スプレッドが改善したことなどによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、受取配当金や持分法による投資利益の増加などにより、前連結会計年度に比べ42百万円増加し、4億81百万円(前年度比9.6%増)となりました。
営業外費用は、シンジケートローン手数料や補修費用などその他の営業外費用の減少などにより、前連結会計年度に比べ2億80百万円減少し、7億54百万円(前年度比27.1%減)となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ67億16百万円増加し、133億71百万円(前年度比100.9%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、前連結会計年度では、抱合せ株式消滅差益2億20百万円などを計上し、当連結会計年度では、スクラップ売却益9億59百万円、受取保険金1億52百万円などを計上したため、前連結会計年度に比べ8億55百万円増加し、11億71百万円(前年度比269.8%増)となりました。
特別損失は、前連結会計年度では、固定資産除却損1億81百万円などを計上し、当連結会計年度では、固定資産除却損5億80百万円、損害賠償金1億52百万円などを計上したため、前連結会計年度に比べ6億86百万円増加し、8億89百万円(前年度比337.6%増)となりました。
税金費用は、課税所得の増加などにより法人税、住民税及び事業税が前連結会計年度に比べ21億96百万円増加し、繰延税金資産の回収可能性の見直しなどにより法人税等調整額が前連結会計年度に比べ7億23百万円減少したため、法人税等合計では前連結会計年度に比べ14億73百万円増加し、34億26百万円(前年度比75.5%増)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ54億11百万円増加し、102億27百万円(前年度比112.4%増)となりました。
財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、975億82百万円(前連結会計年度末926億88百万円)となり、48億94百万円増加しました。これは主として、在庫数量を減少させたことなどにより棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が減少(364億38百万円から348億3百万円へ16億35百万円減少)しましたが、鋼材販売価格の上昇などに伴い受取手形、売掛金及び契約資産が増加(315億38百万円から359億8百万円へ43億70百万円増加)し、電子記録債権も増加(73億86百万円から94億72百万円へ20億85百万円増加)したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、512億4百万円(前連結会計年度末509億29百万円)となり、2億74百万円増加しました。これは主として、設備投資(40億44百万円)による増加、減価償却(27億51百万円)による減少、市場価格の上昇などにより投資有価証券が増加(27億85百万円から31億50百万円へ3億65百万円増加)したこと、及び営業保証に係る差入保証金が減少(23億52百万円から13億64百万円へ9億87百万円減少)したことによるものであります。
(流動負債及び固定負債)
当連結会計年度末における負債合計(流動負債及び固定負債)の残高は、519億27百万円(前連結会計年度末546億86百万円)となり、27億59百万円減少しました。これは主として、未払法人税等が増加(15億65百万円から32億70百万円へ17億5百万円増加)し、未払消費税等も増加(54百万円から19億75百万円へ19億21百万円増加)しましたが、有利子負債(短期借入金、社債(1年内償還予定を含む)、長期借入金)が減少(159億93百万円から102億76百万円へ57億16百万円減少)したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、968億59百万円(前連結会計年度末889億31百万円)となり、79億28百万円増加し、自己資本比率は65.1%となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと(102億27百万円増加)、及び剰余金の配当(24億36百万円減少)によるものであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び貯蔵品の仕入や製造費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入などによる調達を基本としており、設備投資につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金管理の一元化を行い、グループ全体の資金効率化を進めております。
なお、当連結会計年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は102億76百万円、現金及び現金同等物の残高は167億55百万円となっております。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)における主要な設備は、以下のとおりであります。
2023年3月31日現在
※1 帳簿価額の内、「その他」は工具、器具及び備品、車両運搬具、リース資産、建設仮勘定と無形固定資産の合計であります。
※2 本社船町工場の土地等の一部を賃借しており、年間賃借料は522百万円であります。なお、賃借している土地の面積については[ ]で外書きしております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 当社は、2016年6月28日開催の第122回定時株主総会決議により、同年10月1日付にて株式の併合(10株を1株に併合し、発行可能株式総数を7億株から1億5千万株に変更)を実施したため、当社の発行済株式総数が減少しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 自己株式8,942,937株は「個人その他」の欄に89,429単元、「単元未満株式の状況」の欄に37株を含めて記載しております。
2 「その他の法人」の欄には、証券保管振替機構名義の株式が1単元含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、以下の通りであります。
2 前事業年度末時点において主要株主であった日本製鉄株式会社は、同社が2022年12月2日付で当社株式の一部を売却したことにより、主要株主に該当しないこととなりました。なお、当該主要株主の異動については、2022年12月6日付で臨時報告書を提出しております。
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は鉄鋼製品の製造・販売を中心に、魚礁などのエンジニアリング活動や不動産の賃貸・販売などの事業活動を展開しております。
従いまして、当社は製品・サービス別のセグメントから構成されており、「鉄鋼」、「エンジニアリング」、「不動産」の3つを報告セグメントとしております。
「鉄鋼」は、鉄鋼一次製品、二次加工製品等の製造・販売を行っております。「エンジニアリング」は、鋼製魚礁や増殖礁、ロール、バルブ等の受注・販売を行っております。「不動産」は、保有不動産の賃貸や販売を行っております。