愛知製鋼株式会社
(注) 第118期より国際会計基準(以下、「IFRS」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
(注) 1 第118期の日本基準諸数値につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第118期の期首から適用しており、第118期の主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 第118期の株価収益率及び配当性向については、当期純損失であるため記載しておりません。
3 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所市場プライム市場におけるものであります。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第118期の期首から適用しており、第118期以降の主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」という。)、トヨタ自動車㈱(その他の関係会社)及び連結子会社18社、非連結子会社1社、関連会社2社で構成され、鋼材(特殊鋼及びステンレス鋼)、鍛造品、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の製造・販売を主な内容とし、事業活動を展開しております。当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
なお、以下に示す区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「4.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
鋼(ハガネ)カンパニー
当社が、特殊鋼(熱間圧延材)の製造・販売を行うほか、アイチセラテック㈱及び近江鉱業㈱は製鋼用資材の生産、アイチ物流㈱は鋼材製品の運搬・保管を行っております。
ステンレスカンパニー
当社が、ステンレス鋼及びチタン(熱間圧延材、二次加工品)並びにステンレス構造物エンジニアリングの製造・販売を行うほか、愛鋼㈱は当社製品の販売、特殊鋼及びステンレス鋼の加工・販売、アイチ テクノメタル フカウミ㈱はステンレス鋼の圧延・二次加工・販売を行っております。また、アイチコリア㈱はアジアにおいて、当社製品の販売を行っております。
鍛(キタエル)カンパニー
当社が、型打鍛造品(自動車部品粗形材、機械部品粗形材など)及び鍛造用金型加工品の製造・販売を行うほか、㈱アスデックスは鍛造用金型加工品の製造・販売を行っております。また、アイチ フォージ フィリピン㈱、アイチ フォージ(タイランド)㈱、上海愛知鍛造有限公司及びアイチ フォージング インドネシア㈱はアジア、アイチフォージ ユーエスエイ㈱は北米で型打鍛造品の製造・販売を行っております。
スマートカンパニー
当社は電子機能材料・部品及び磁石応用製品並びに植物活性材、金属繊維を製造・販売しております。
主な製品として、電子機能材料・部品では、高度なメッキ技術による車載用放熱部品等の電子部品や超小型・超高感度磁気センサであるアモルファスMIセンサがあります。また磁石応用製品としては、医療市場向けの義歯用アタッチメント、自動車・家電市場向けのネオジム系異方性ボンド磁石があります。アイチ ヨーロッパ㈲は欧州において、磁石応用製品等の販売、アイチ マグファイン チェコ㈲は欧州において、磁石応用製品の製造、愛知磁石科技(平湖)有限公司はアジアにおいて、磁石応用製品の販売、浙江愛智機電有限公司はアジアにおいて、磁石応用製品の製造を行っております。
その他事業
アイチ情報システム㈱がコンピュータソフト開発、アイコーサービス㈱が物品販売や緑化などのサービス事業を行っております。
(事業系統図)

(注) 1 「主要な事業の内容」欄には、その他の関係会社を除き、セグメントの名称を記載しております。
2 「議決権所有割合」欄の( )内は、間接所有割合で内数であります。
3 特定子会社に該当します。
4 持分は、100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため、子会社としております。
5 有価証券報告書を提出している会社であります。
2023年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。なお、臨時従業員数(パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含む)は、当連結会計年度の平均人員を( )外数で記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。なお、臨時従業員数(パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含む)は、当連結会計年度の平均人員を( )外数で記載しております。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
① 提出会社の労働組合は、愛知製鋼労働組合と呼称し、日本基幹産業労働組合連合会に加盟しております。
② 2023年3月31日現在の組合員数は2,362名であります。
③ 会社と労働組合の間に特記すべき事項はありません。
① 提出会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 労働者の男女の賃金の差異についての補足説明
・当社の給与制度および評価制度において、性別による差異はありません。
<正規雇用労働者について>
・勤続年数に男女で差があること(男性18.5年、女性13.5年)や基幹職の女性比率が1%であることなどか
ら全体で見た場合、差異はありますが、等級、勤続年数、職種、学歴などの性別以外の条件が同じ場合、
基本賃金での差異はありません。
・主に大卒者の職種である総合事技職と業務職の2つの職種について、総合事技職の方が給与水準は高い設
定になっておりますが、総合事技職の女性比率が14.7%、業務職の女性比率が100%となっております。
なお、職種は採用時に本人の希望に沿って決まり、入社後には職種転換制度(条件あり)も利用すること
ができます。
<パート・有期労働者について>
・男性は正社員から定年を迎えた再雇用者が多く、給与水準が比較的高い傾向にあります。
・パート労働者はほとんどが女性であり、週所定労働時間や1日の所定労働時間をフルタイムに換算せず、
実数値で算出しております。
② 連結子会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
当社は、国際的な視野に立ち、企業集団の総合力を結集して、「研究と創造」の精神で高い技術による魅力ある商品を提供することにより、株主、顧客、社会に貢献することを経営の基本方針としております。この経営の方針は、「経営理念」として掲げており、その内容は次のとおりです。
-経営理念-
国際的な視野に立ち、活力に溢れ、信頼される企業体質をもとに、
魅力ある商品を提供することによって社会に貢献する。
1.研究と創意につとめ、常に時流に先んずる。
2.相互の信頼と理解のもとに、一致協力する。
3.責任ある判断と行動のもとに、常に最善を尽くす。
この経営理念を実践することにより、年々変化する経営環境においても持続的な成長を続けると共に、広く社会から信頼され、必要とされるべく、「世界中で選ばれる会社」を目指しています。
その実現に向けて、「愛知製鋼グループが将来目指す姿」を示した「愛知製鋼グループ 2030年ビジョン」(2020年8月4日公表。以下、「2030年ビジョン」という。)及びその実行計画である「愛知製鋼グループ 2021-23年度 中期経営計画」(2021年5月10日公表。以下、「中期経営計画」という。)を策定、公表しております。
1.中期経営計画の基本方針
2030年ビジョンの実現に向け、そのスタートとなる3年間での重点課題を定め、「事業とモノづくり力の変革で収益力を向上させESG経営を実践」してまいります。
2.中期経営計画の重点施策
当社グループ社員全員が持つべき普遍的な価値観・行動規範を定めた「Aichi Way」に基づき、安全、品質、安定供給の順番をきちんと守ったうえで、健全な財務体質の維持を前提に、2030年ビジョンで定めた3つの経営指針である「持続可能な地球環境への貢献」「事業の変革で豊かな社会を創造」「従業員の幸せと会社の発展」に取り組んでまいります。
(1)持続可能な地球環境への貢献:
カーボンニュートラルに向けて、4つのRを視点に、技術開発を通じて果敢に挑戦
①Reduce:鋼の製造プロセス改革による消費エネルギー削減(直行・直結工程・工程省略の実現)
②Reuse/③Recycle:エネルギーの再利用(電気炉排熱活用、開発蓄熱材の活用)
④Renewable:LCA(ライフサイクルアセスメント)視点での再生可能エネルギー活用促進(太陽光発電の導入)
(2)事業の変革で豊かな社会を創造:
①既存事業の変革
・鍛鋼一貫の強みを活かし良品廉価な電動車部品の開発・拡販
・高性能磁石粉末と高強度材料との融合でCASE部品の受注拡大
・パワーカード用部品の技術開発・供給体制構築を加速
・商品の付加価値向上を見据えた機械加工へ領域拡大
・インド・アセアンでの事業拡大と国内供給量の上方弾力性確保
・来るべき水素社会とインフラクライシスに対応する商品投入で新市場創出
②新分野へ事業展開
・高感度磁気センサを用いたGMPS(磁気マーカシステム)の実証実験の知見を基に早期事業化
・新鉄供給材の開発推進とカンキツグリーニング病対策材のグローバル販売網構築
③DX(デジタルトランスフォーメーション)
・5大テーマ「働き方改革」「モノづくり改革」「スマートファクトリー」「デジタルソリューション」「グループITガバナンス」に取りくみ、デジタル技術を活用した事業変革でビジョン実現を目指す
(3)従業員の幸せと会社の発展:
厳しい経営環境を従業員と会社が一体となって乗り越えるためのエンゲージメントを高める取り組み
①多様な人材の活躍促進
・65歳現役実現に向けた制度の企画
・女性スタッフキャリア開発
・シニア・女性に優しいモデルラインづくり
②従業員の満足度向上
・職場風土改革プロジェクトの推進
・カフェテリアプランの導入
・新独身寮の建設
3.経営指標
目標とする経営指標につきましては、2030年時点での連結営業利益200億円以上を達成するため、中期経営計画の最終年度にあたる2023年度に連結売上収益2,508億円、連結営業利益150億円の達成を目指してまいります。
4.対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、コロナ禍による経済社会活動への制約がほぼ解消され社会活動が回復することが期待される一方、欧米では、高インフレ・金融引き締めの影響を受けた個人消費の落ち込みが懸念されるなど、2023年度の世界経済成長は低成長が見込まれております。
また、自動車業界では、「100年に一度の大変革期」といわれるCASE(未来の車の特性をConnected・Autonomous・Shared・Electricの頭文字で表したもの)に向けた動きが加速しています。これは、特殊鋼や鍛造品など素材や部品を通じてクルマの可能性を広げてきた当社にとって、新たな挑戦であり事業拡大の機会と捉えております。既存事業でモノづくりをしっかり守り、発展させながら、新たな事業の創出にもモノづくりの力を活用し、収益の維持と拡大を同時に図る「両利きの経営」を実践してまいります。
さらに、2050年度を目標としているカーボンニュートラル(以下、CN)の早期実現も見据え、スピード感を持った取り組みにさらなる力を注いでいく必要性を感じております。今後は、革新的な電気炉の導入検討や水素、アンモニアを用いた加熱技術の開発、バイオ燃料といった新たな動力源を採用した構内車両の使用なども進めてまいります。
上記のとおり、コロナ禍、地政学リスク、CASE、CNと言った世界規模の課題が当社の経営に影響を与えており、まさにパーマクライシスと言える激しい変化が続いております。今こそ、社員一人一人がその状況を自分事として捉え、情報収集力(先読み力)とチーム一丸で取り組むことを大切にし、高い志で自ら変革にスピード感を持って挑戦してまいります。
そのようななか、当社グループは、「2030年ビジョン」実現を目指し、2023年度は、「AichiWayでの”大変革”!将来の生き残りをかけ、全員本気で全力発揮!!」をスローガンとして、以下の施策を中心に取り組んでまいります。
1.「モノづくりの底力」向上と「稼ぐ力」強化
1-(1):迅速かつ的確なアクションにつながる原価管理のしくみ構築
1-(2):TPSをベースにロスの徹底改善とTPM再構築でつくりの実力向上
1-(3):グローバル及び新ビジネスを意識した調達基盤強化による競争力向上
1-(4):原材料・エネルギー価格の変動をリニアに転嫁できるしくみと将来に向けた顧客・品種戦略の構築
2.明日の愛知製鋼を見据えた両利きの経営
2-(1):基幹事業の持続的成長を死守する改革シナリオ構築とビジョンの明確化
2-(2):素材技術のDNAをベースとしたCASEやCNに対応する高機能製品の開発推進
2-(3):マーケット環境を踏まえ、着地点を明確にした技術開発による新規ビジネスの早期事業化
2-(4):限られたリソーセスの最適配分とビジネスチャンスへの集中投入
2-(5):海外プロジェクトの確実な遂行による連結収益基盤の強化
2-(6):CN及びDXシナリオのプロジェクト推進とカンパニービジョンの明確化
3.会社とステークホルダーを守るコンプライアンス・ガバナンス
3-(1):重要な情報の速やかな共有と監査体制の拡充によるリスクマネジメントの充実
3-(2):グループガバナンスの強化に向けた子会社の戦略的サポート
4.明日を支える人材の育成と風土醸成
4-(1):風通し良く、かつ規律ある職場づくり
4-(2):立場に応じた役割認識と俯瞰的視野を有するマネジメント育成
4-(3):現状に疑問をもち考え抜くマインドの定着と問題解決力のレベルアップで仕事の質向上
これらの取り組みをさらに加速・強化することにより、全社員が心を一つに力をひとつに、モノづくり力の向上とESG経営実践に向け、全員参加で取り組み、当社グループの企業価値を高めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況
当社グループの主力製品である鋼材及び鍛造品の主要需要先は自動車業界であります。経済状況により自動車業界が影響を受ける場合、製品需要の大幅な変動で、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料、エネルギー及び副資材価格の変動及び市場環境の変化
当社グループが主要原材料として調達する鉄スクラップや合金鉄の価格は、国際商品市況の影響を受けて大きく変動することがあります。また、生産活動全般において大量の電力やLNGなどのエネルギー、製鋼工程等において電極・耐火物等の副資材を消費します。原材料、エネルギー及び副資材の価格上昇分は売価への転嫁に努めておりますが転嫁できない場合は、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、供給元の分散や供給元との関係強化により安定調達に努めていますが、地政学的リスクや供給元の災害、事故等による供給能力の制約で調達が困難となった場合、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 為替相場の変動
当社グループは、製品の一部を輸出するとともに、原材料である合金鉄の大部分を輸入に依存しています。為替相場の変動は、当社グループにおける製品、原材料の輸出入価格及び電力やLNGなどのエネルギー価格に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの外貨建取引及び連結財務諸表作成のための海外子会社の財務諸表数値は、外貨から円貨への換算において、為替相場変動の影響を受け、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 価格競争
当社グループの主要需要先である自動車業界をはじめとする各業界は、厳しいコスト競争の下にあります。激化する価格競争の環境下で、経済変動による需要の減少などに伴い製品価格の大幅な低下や、市場シェア低下の可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 製品の品質不具合
当社グループは、厳格な品質管理体制や品質管理基準に従い、鉄鋼製品はじめ、各種製品を製造しています。しかしながら、製品の品質不具合が生じた場合、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 製造設備の故障
当社グループの製造設備は、安定生産に向けて日々の点検や定期補修に努めていますが、設備トラブルが発生し、操業が中断した場合、生産量の減少や修繕コストの増加等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 特定販売先への依存
当社グループの製品の売上収益は、トヨタ自動車株式会社及びトヨタグループ企業集団に対する依存度が非常に高いため、同社の自動車販売台数の動向が、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、同社は、2023年3月31日現在、当社の議決権の24.0%(間接所有含む)を所有しております。
(8) グローバルな事業展開
当社グループは、さまざまな国で商品の生産及び販売を行っています。その国々における、不利な政治的又は経済的な要因や予期せぬ法律又は規制の変更、ストライキ、テロ、戦争、疾病等の要因による社会的又は経済的な混乱で、生産・出荷活動が遅延・停止する可能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 気候変動
当社グループは、資源循環型企業として、気候変動への対応を経営の最重要課題と捉え、2021年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同を表明し、CO2排出量を2030年50%削減(2013年度比)、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指しています。今後、顧客からの要求や法規制の強化による生産コストの上昇や新たな税負担で、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 気候変動への対応を除く環境規則
当社グループは、国内外の環境法規制を遵守するとともに、「アイチ環境取り組みプラン2025」を策定し環境への負荷低減に努めています。しかし、環境に関する法規制は、改正・強化される傾向にあり、その対応のため費用が増加し、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 有形固定資産及び無形資産の減損
当社グループが保有する有形固定資産及び無形資産について、経営環境の著しい悪化等により収益性が低下し、投資額の回収が見込めなくなった場合、その資産の減損損失の計上を行うことにより、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(当社の鋼(ハガネ)カンパニーの減損テスト)
当社の鋼(ハガネ)カンパニーにおいて減損の兆候が認められたため、減損テストを実施し、減損損失の認識は不要であると判断しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。
(12) 情報セキュリティ
当社グループは、顧客及び取引先の機密情報や個人情報、また、当社グループの機密情報や個人情報を有しております。サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、システム障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報の外部流出が起きた場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等で、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 自然災害
当社グループの国内工場や取引先の多くが中部地区に所在するため、この地域で大規模地震などの自然災害が発生した場合、生産・出荷活動が遅延・停止する可能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 人権
当社グループは世界各国から原材料や副資材を調達するとともに、国内外の拠点でグローバルな事業活動を実施しています。当社グループでは、すべての役員・従業員が、当社グループの人権に関する最上位方針である「愛知製鋼グループ人権方針」の遵守を基本として事業活動を進めていますが、サプライチェーンにおいて人権問題が発生した場合、生産・出荷活動が遅延・停止する可能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(15) その他の法令・公的規制の変更
当社グループは、事業を展開する日本及び各国において、労働・安全衛生、通商・貿易・為替、知的財産、租税等の様々な法令・公的規制の適用を受け、遵守に努めています。今後、これらの法令又は公的規制が改正もしくは変更される場合、対応費用の増加等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 訴訟
当社グループは、事業活動を遂行するうえで、訴訟を提起される可能性があります。訴訟の結果によっては、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(当社及び当社取締役等に対する訴訟の提起)
2022年5月16日に、当社及び当社取締役等は、マグネデザイン株式会社及び本蔵義信氏より損害賠償請求訴訟を提起されております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「32.偶発事象」をご参照ください。
(17) 株価の変動
当社グループが保有する投資有価証券の価値が、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等で大幅に変動した場合、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による行動制限が多くの国で緩和され、経済活動の再開が進みましたが、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を背景とした原油・天然ガス等資源価格の上昇やインフレ抑制に向けた世界的な金融引き締めなど世界経済の先行きは不透明な状況となっております。
このような環境のもと、当連結会計年度の売上収益は、主力製品である鋼材・鍛造品の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、前連結会計年度(260,117百万円)に比べ9.6%増の285,141百万円となりました。
利益につきましては、販売数量の減少や合金鉄・購入鋳片・エネルギー等購入品価格の高騰が減益要因となった一方で、販売価格の値上がりが増益要因となり、営業利益は前連結会計年度(2,139百万円)に比べ52.4%増の3,260百万円となりました。また、税引前利益は前連結会計年度(2,895百万円)に比べ41.6%増の4,099百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度(1,089百万円)に比べ47.8%増の1,610百万円となりました。
なお、セグメント区分ごとの売上収益は、次のようになっております。
鋼(ハガネ)カンパニー
主力製品である特殊鋼の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上収益は105,687百万円と、前連結会計年度(99,556百万円)に比べ6.2%増加しました。
ステンレスカンパニー
主力製品であるステンレス鋼の販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上収益は42,244百万円と、前連結会計年度(36,322百万円)に比べ16.3%増加しました。
鍛(キタエル)カンパニー
主力製品である自動車用型打鍛造品の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上収益は114,463百万円と、前連結会計年度(103,037百万円)に比べ11.1%増加しました。
スマートカンパニー
磁石の売上収益は減少したものの、電子部品の売上収益の増加により、当連結会計年度の売上収益は20,243百万円と、前連結会計年度(18,970百万円)に比べ6.7%増加しました。
その他事業
当連結会計年度の売上収益は2,502百万円と、前連結会計年度(2,230百万円)に比べ12.2%増加しました。
当連結会計年度末の資産合計は、退職給付に係る資産の減少などあったものの、現金及び現金同等物及び棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ21,049百万円増の385,449百万円となりました。
負債合計は、借入金の増加などにより、19,201百万円増の171,126百万円となりました。
資本合計は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に係る純変動の増加などにより、1,847百万円増の214,322百万円となりました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末(32,866百万円)に比べ14,668百万円増加し、47,534百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は13,028百万円と前連結会計年度(5,210百万円)に比べ7,818百万円増加しました。これは、営業債務及びその他の債務の減少による資金の減少2,864百万円(前連結会計年度は、営業債務及びその他の債務の増加による資金の増加7,590百万円)があったものの、税引前利益が4,099百万円と1,204百万円増加、棚卸資産の増加による資金の減少が4,560百万円と9,911百万円減少、営業債権及びその他の債権の増加による資金の減少が2,075百万円と5,762百万円減少したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は15,958百万円と前連結会計年度(15,542百万円)に比べ416百万円増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は16,998百万円(前連結会計年度は、財務活動による資金の減少11,987百万円)となりました。これは、前連結会計年度は、社債の償還による支出20,000百万円(当連結会計年度は、該当なし)、短期借入金の返済による支出5,000百万円(当連結会計年度は、該当なし)があったことに対して、当連結会計年度は長期借入れによる収入が4,038百万円増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、内部振替前の金額によっております。
2 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、スマートカンパニー及びその他事業は見込生産を行っているため、記載しておりません。
(注) セグメント間の内部受注金額は、消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「3.重要な会計方針」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績
当社グループの当連結会計年度の売上収益は、販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して9.6%増加し、285,141百万円と過去最高となりました。
セグメント別の売上収益については、鋼(ハガネ)カンパニーは特殊鋼の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して6.2%増加、ステンレスカンパニーはステンレス鋼の販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して16.3%増加、鍛(キタエル)カンパニーは鍛造品の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して11.1%増加、スマートカンパニーは磁石の売上収益は減少したものの、電子部品の売上収益の増加により、前連結会計年度と比較して6.7%増加しました。
利益につきましては、販売数量の減少や、合金鉄・購入鋳片・エネルギー等の購入品価格の高騰が減益要因となった一方で、販売価格の値上がりが増益要因となり、当連結会計年度の営業利益は3,260百万円となり、前連結会計年度(2,139百万円)に比べ1,121百万円増加しました。税引前利益は4,099百万円となり、前連結会計年度(2,895百万円)に比べ1,204百万円増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益は1,610百万円となり、前連結会計年度(1,089百万円)に比べ521百万円増加しました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末(32,866百万円)に比べ14,668百万円増加し、47,534百万円となりました。
これは、営業活動によるキャッシュ・フローが13,028百万円の資金の増加、投資活動によるキャッシュ・フローが15,958百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローが16,998百万円の資金の増加であったことによるものであります。
当社グループは、中期的には製造設備の合理化や生産能力増強、安定供給のための設備保全に対応するための設備投資を計画的に行っていく予定でありますので、今後も、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの状況を睨みながら、必要に応じて外部資金の調達を行い資金の流動性を維持するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの増加に努め有利子負債の削減を図っていく所存であります。
なお、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は52.9%(前連結会計年度末は55.3%)となっており、安定した財務基盤を維持しております。今後も、グローバルで金融機関との良好な関係を維持し、資金流動性と調達力を確保してまいります。
(4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが目標とする経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。当連結会計年度の経営成績は2023年度を最終年とした中期経営計画の目標とする経営指標(連結売上収益2,508億円、連結営業利益150億円)に対して、当連結会計年度の売上収益は285,141百万円、営業利益は3,260百万円となっております。販売数量の減少に加え、エネルギー・合金鉄等、購入品の価格高騰が継続する不透明な経済環境が継続しておりますが、お客様の従来以上のご理解もあり、購入品の価格高騰に対する販売価格への反映は進んでおります。さらなるモノづくり力の向上に励むとともに、自助努力を超える部分の販売価格への反映の必要性をご理解いただく活動に継続して取組み「愛知製鋼グループ 2021-23年度 中期経営計画」の達成を目指してまいります。
該当事項はありません。
当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 日本基準に基づく数値を記載しております。
2 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品、リース資産及び建設仮勘定の合計であります。
3 上記には貸与中の土地 46百万円(3千㎡)、建物機械装置他 69百万円を含んでおります。
4 土地の一部を賃借しており、賃借している土地の面積については[ ]で外書きしております。
2023年3月31日現在
(注) 1 日本基準に基づく数値を記載しております。
2 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品及び建設仮勘定の合計であります。
2023年3月31日現在
(注) 1 IFRS基準に基づく数値を記載しております。
2 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品、使用権資産及び建設仮勘定の合計であります。
3 賃借している土地の面積については[ ]で外書きしております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 株式の併合(10株を1株に併合)によるものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 期末現在の自己株式は158,902株であり、「個人その他」に1,589単元、「単元未満株式の状況」に2株含まれております。
2 上記「その他の法人」欄には、証券保管振替機構名義の株式が、1単元含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 上記には信託業務に係る株式として、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)1,555千株、
株式会社日本カストディ銀行(信託口)383千株が含まれております。