丸一鋼管株式会社
(注) 1.第86期の1株当たり配当額には記念配当30.00円(中間配当金15.00円、期末配当金15.00円)が含まれております。
2.最高株価および最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
当社グループは、当社、連結子会社17社、持分法適用関連会社5社、非連結子会社8社及び持分法非適用関連会社2社の合計33社によって構成され、各種鋼管及び表面処理鋼板の製造・販売活動を主な事業としております。
当社グループの事業に係わる位置づけは次のとおりです。
(日本)
国内市場では、当社が製品を製造・販売するほか、子会社の北海道丸一鋼管株式会社、九州丸一鋼管株式会社及び四国丸一鋼管株式会社の製品を当社が直接仕入れて販売しております。また、当社製品の一部は、丸一鋼販株式会社を通じて販売しております。株式会社アルファメタルで使用される鋼管は、当社から仕入れており、自動車部品等に加工して販売しております。丸一ステンレス鋼管株式会社はステンレス鋼管の製造・販売を行っております。
(北米)
北米市場では、マルイチ・アメリカン・コーポレーション、マルイチ・レビット・パイプ・アンド・チューブLLC、マルイチメックスS.A. de C.V.、マルイチ・オレゴン・スチール・チューブLLC及びマルイチ・ネブラスカ・チューブLLCが鋼管の製造・販売を行っておりマルイチ・ステンレス・チューブ・テキサス・コーポレーションは2024年4月以降の稼働を予定しております。
(アジア)
アジア市場では、ベトナム国でマルイチ・サン・スチール・ジョイント・ストック・カンパニーが鋼管及び表面処理鋼板の製造・販売を、マルイチ・サン・スチール・(ハノイ)・カンパニー・リミテッドが鋼管の製造・販売をしております。インド国ではマルイチ・クマ・スチール・チューブ・プライベート・リミテッドがステンレス鋼管及びアルミメッキ鋼管の製造・販売、フィリピンではマルイチ・フィリピン・スチール・チューブ・インクが鋼管の製造・販売を行っております。
事業の系統図は次のとおりです。

(注) 1.議決権の所有割合の()内は間接所有で内数。
2.上記以外の持分法適用関連会社は1社であります。
3.*1 特定子会社に該当します。
*2 丸一鋼販株式会社、丸一ステンレス鋼管株式会社、Leavitt社及びSUNSCO社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
(主要な損益情報等)
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、就業人員であります。
2.臨時従業員数は年間の平均雇用人員数を()内に外数で記載しています。
2023年3月31日現在
(注) 1.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
2.従業員数は就業人員であります。
3.臨時従業員数は従業員数の100分の10未満であり、記載を省略しております。
当社の労働組合は、1964年3月に結成され、上部団体「JAM」に加盟しています。組合活動は極めて穏健かつ建設的で労使関係は円満であります。また、連結子会社の一部に労働組合が結成されておりますが、労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.実数を()内に記載しております。
4.当社は女性活躍推進法による目標(2026年3月期まで)として、管理職に占める女性労働者の割合を2.2%超とする目標を掲げております。
② 連結子会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.実数を()内に記載しております。
4.連結子会社のうち国内連結子会社について記載しております。
当社は2021年4月7日に第6次中期経営計画(2021年4月~2024年3月)を公表いたしました。
今中期経営計画は70周年を迎えた当社が、100周年を健全に迎えることができるサステナブル企業グループを目指すとの方針のもと、その基盤固めの3ヶ年と位置づけております。 経営計画を確実に推進することにより、経営基盤を確固としたものにし、また環境への配慮を更に進めゼロカーボンに向けた体制も早期に確立し、長期安定的な成長によるサステナブル企業グループを目指します。
第6次中期経営計画の内容は、以下の通りとなっております。
①長期的成長のための収益基盤:売上高:2,000億円、営業利益:260億円、営業利益率:13%
②計画策定の前提となる経営環境の想定
・国内:鉄鋼需要は長期的な減少傾向にあるが、この3年間はコロナの影響が前半で収束し最終年度は2018年度のレベルまで回復
・海外:各国とも後半にはコロナの影響から脱し、アジアを中心に成長路線に戻る
・鉄鋼市況:前半は乱高下を予想するが、徐々に落ち着くと想定
・国内外の自動車関連:各国のEV化の動向を注視し、必要な対応を開始
・競争力のある原材料の安定的な調達に努力
③デジタル化の一層の推進による製造/営業での生産性向上
④ESGを意識した経営により、企業の長期的安定的成長を目指す
①売上高:国内外での販売数量の回復を見込
②営業利益/営業利益率:単体は営業利益率15%、主要連結各社は営業利益率最終10%
(Leavittのみ5%以上)を目標
③ROE:連結ROE6.5%を目標とする
④株主還元率:引き続き配当方針を堅持し高い還元率を実現
⑤環境方針:CO2排出量を2013年度比、国内グループ2030年△46%(2023年度比△30%)削減
1)国内での取り組み
①生産販売の回復と高収益体質の維持
②丸一ステンレス鋼管の営業利益率10%目標:半導体/自動車向けBA管の生産能力増強、
自動化投資による生産効率の向上
⇒BA管の生産能力を2023年度から25万本/月に引き上げ
③グループ企業間のシナジー効果の発揮:丸一ステンレス鋼管、東洋特殊鋼業、アルファメタル、丸一鋼販間の連携
⇒2024年3月期より東洋特殊鋼業の連結子会社化
④堺工場のSR仕上工程、九州工場のGHライン、東京/名古屋工場の設備改修など168億円の投資
⑤生産及び営業でのデジタル化の一層の推進による生産性の向上
・IoT:生産ラインの稼働データの自動収集と分析システムの全工場への展開
・DXを活用した営業関連のIT化推進(WEB化、電子化、リモートワーク環境の整備等)
・AI/RPAを活用した事務システムの本格運用と利用範囲の拡大
・生産現場における検査と品質管理の全自動化
⑥ESGレポートの作成。ゼロカーボンへの対応の国内関連会社や海外現法への順次展開
⇒2022年度版ESGレポート発行済み
⑦女性人材、海外人材の一層の活用
⇒女性の生産現場への配属、女性管理職登用実施
⑧遊休土地、建物の利活用
⑨オープンイノベーションの展開:設備メーカーとの協働による造管新技術の開発
顧客との協働によるソリューションビジネスの新たな取り組み
⇒操業条件のデジタル化、設備自動化、作業省力化等を導入した次世代型造管機を名古屋工場に導入
(2024年末稼働開始予定)
2)海外での取り組み
①営業利益率目標:米国Leavitt社の5%以外は10%の達成を目標とする
②SUNSCO:国内販売比率を更に高め(50%以上)収益基盤を強固に
第2冷延設備稼働によるコスト削減と品質の向上による収益への貢献
③自動車二輪車関係工場での設備投資の継続と収益の拡大
④インドKUMA社の四輪二輪の排ガス用ステンレス鋼管以外の製品需要の捕捉と投資の検討
⑤丸一ステンレス鋼管の海外進出の検討
⇒MST-X社設立(2022年8月)
⑥現地人材の育成による人材現地化の更なる推進
⑦海外でのESGへの取り組み
⑧国内外でのM&Aを含めた事業投資の積極的な検討の継続
⇒米国GENEVA社(現マルイチ・ネブラスカ・チューブLLC)を買収(2021年11月)
3)株主還元と社会貢献
①株主還元:配当方針の堅持
②社会貢献:各国での社会貢献を継続(配当実施後の純利益の1%程度を目途)
今後の見通しにつきましては、欧米の金融引締め長期化に伴う景気減速やエネルギー価格の高止まり等、景気後退懸念リスクもあり、引き続き厳しい状況が見込まれます。米国では、(決算期が3ケ月ズレており)米国のHRC価格は、12月に681$/トンまで下落したものが、足元4月では1,300$近くの水準まで回復しております。アジアは、中国のゼロコロナ政策の転換による行動規制の緩和があるものの、不動産市況の下落等中国経済への警戒感が強く、鉄鋼製品価格は頭打ちの状況にあります。日本国内では、足元では需要が盛り上がりに欠ける中で販売数量の確保が難しい状況となっています。
このような情勢のもと、当社といたしましては、第6次中期経営計画の最終3年目として主要施策の着実な実行の為、各地域での状況変化を的確に把握し、マイナス要因をミニマイズする迅速な対応を引き続き進めてまいります。セグメント別には以下の通りとなっております。
(日本)
国内単体事業につきましては、建築分野を始め需要回復は期待薄で、年間の販売予定数量は前年度比微増に止まる見通しとしております。パイプ販売単価も、前年度末までは値上げ価格の維持が出来ていたものの、足元一部値下げを見込まざるを得ない状況です。一方、コイル仕入価格は海外輸入材の値上げも想定され、スプレッドの悪化が見込まれます。加えて、電力等のエネルギーコストや塗料などの副資材等の製造コストやパイプの切断加工賃やハンドリング等の外注コスト等の上昇もあり、引き続き自助努力として工場の生産性向上やコストダウンに努めますが、厳しい状況です。丸一ステンレス鋼管㈱も、好調であったBA管が、半導体価格の下落に加え米国の対中半導体装置輸出規制問題もあり、半導体製造工場の建設遅延や、需要家でのBA管の在庫圧縮の動きもあり、1~2年はBA管需要が減少する見込みです。
設備投資関連では、女性も扱える次世代造管機をコンセプトとして造管機メーカーと共同で開発を進め、名古屋工場3号機(6インチミル)の老朽化更新への採用を進めるべく、これに先駆けて既存カラー塗装設備の新建屋建設による移設についても進めております。また、工場の現場作業の環境対策の一環として、東京工場で製造現場のエアコン設置の検討も開始しました。丸一ステンレス鋼管㈱ではコイル管の生産能力増強も検討しております。
(北米)
北米事業につきましては、金融引締めによる影響はあるものの、景気は底堅さを維持しております。米国のHRC価格は、年初以降は上昇し続けており、足元では受注・出荷も好調に推移しており、価格上昇局面での数量確保とスプレッドの先行確保による利益改善を期待しております。また、2021年11月に買収した米国MNT社について、取引先との販売条件の見直しや高付加価値販売先へのシフトを図り、年明け以降は単月で黒字化出来ており、コイルのスリット内製化についても設備投資を進めてまいります。米国の半導体需要拡大に伴い昨年8月にテキサス州に新規設立したBA管製造子会社マルイチ・ステンレス・チューブ・テキサス・コーポレーション(MST-X社)では、土地の取得も終え建屋着工など2024年4月以降の稼働開始予定ですが、足元の一過性と思われる半導体需要の落ち込みもあり、稼働時期は柔軟に対応し進めております。
(アジア)
アジア事業につきましては、中国経済の不透明感から、コイル及び製品価格の上昇は頭打ちの状況にあります。ベトナムSUNSCO社では、ベトナム国内の販売比率拡大や家電向け鋼板の拡販に加え、増加した在庫と借入金の圧縮に取り組んでまいります。ベトナムSUNSCO(HNI)社では、二輪車のサプライチェーン問題も解消したものの、バイク販売台数の落ち込みが見込まれ、販売数量予想は前年度割れとしています。インドKUMA社では、四輪市場の需要が急回復しており、加えて環境規制強化から商用車向け大径排気管需要が増加しており、増設したバンガロール工場ラインも含め、販売数量の増加を見込んでおります。フィリピンのMPST社では、半導体供給不足等から現地二輪車生産が減少していましたが、足元二輪メーカーの現地生産の拡大を背景に受注を確実に取込み販売数量の2桁伸長を見込んでおり、累損解消に取り組みます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、これらの事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループで製造・販売している各種鋼管及びメッキ鋼板製品は、店舗・工場・倉庫などの中低層建造物の建築資材、自動車等輸送機器向け、ビニールハウス向け農芸用資材、公共施設・各種工場やプラントにおける電線管、配管用の資材及び道路標識や街灯の支柱などが主たる用途です。したがって、中低層の建築投資、輸送用機器の生産量、企業の設備投資及び公共投資、及び当社製品ユーザーの生産動向等によって、連結経営成績は影響を受ける可能性があります。
当社グループが取扱っている各種鋼管は、熱延コイルを主要原材料としておりますが、熱延コイルの市況は世界の鉄鋼原料及び鉄鋼製品の需給動向等によって変動いたします。当社グループでは、国内外の高炉メーカーを原材料の仕入先として安定した価格での購入と適正な販売価格体系構築に努めておりますが、原材料の価格が上昇し、販売価格への転嫁が十分に図れない場合等には、連結経営成績に影響が出る可能性があります。
当社グループでは、各種の規格、品質管理基準に従って製品を生産し、需要家のニーズに応えるべく品質の維持向上に万全を期しておりますが、全ての製品に欠陥が無いとは限らず、製造物賠償責任等に伴う費用が発生する可能性があります。
当社グループが保有している固定資産について収益性が低下し投資の回収が見込めなくなった場合、固定資産の減損損失が発生し連結経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの有価証券及び投資有価証券は、総資産の約2~3割を占めており、主な内容は、当社の関係会社株式、主要な取引先の株式及び債券となっております。当社グループでは、時価のある有価証券については、期末日時点での時価が取得原価に対して30%以上下落した場合、減損処理を実施しております。
このため、株式市場の低迷等、当社グループが保有する有価証券並びに投資有価証券の時価が大きく変動した場合、連結経営成績に影響が出る可能性があります。
当社グループは鋼管製造において成熟された技術力を有し、高品質・多品種・小ロットといった顧客の需要に応える生産体制を整えており、同業他社に対して優位性を確保しておりますが、鋼管製造において技術革新が起きた場合、当社の優位性が失われ連結経営成績に影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、国内外において需要地生産体制をとり、生産拠点を需要地に設けることで自然災害やパンデミックに対するリスクを分散しております。また、工場等の安全対策として安全教育部による従業員教育を徹底して実施しておりますが、地震や風水害等の大規模災害、パンデミックの発生や事故等により当社グループの工場操業に支障が出た場合、連結経営成績に影響を受ける可能性があります。
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、紛争やテロ、デモ、ストライキ、政情不安、通貨危機等が発生した場合、当社グループの事業に大きな影響を与えるリスクがあります。
当社グループは太陽光発電設備の導入や環境対応塗料の採用を進め、環境負荷の低減に取り組んでまいりましたが、二酸化炭素の排出量削減などを義務付ける新たな環境規制が導入された場合には、当社グループの事業活動に制約を受けたり、規制に適合する設備更新などに多額の費用が発生し連結経営成績に影響が出る可能性があります。
当社グループはグローバルに事業を展開し、各国における法令並びに条例を遵守しておりますが、貿易摩擦等で関税の引き上げや、輸出入に関する規制が強化されることにより事業活動に支障が生じた場合、連結経営成績に影響を与えるリスクがあります。
当社グループは国内の労働力人口の減少への対応や海外で活躍できる人材の育成と現地人材のレベルアップのため、女性の採用や海外研修に積極的に取り組んでおります。また、再雇用制度による技術継承や設備更新による省力化を進めております。これらの施策が計画通りに進まず優秀な人材を確保できなかったり、技術継承が行えなかった場合、当社グループの継続的発展に影響を与えるリスクがあります。
当社は情報セキュリティポリシーを策定し情報管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態により顧客・取引先等の機密情報、従業員の個人情報や営業秘密が漏えいした場合、当社グループの社会的評価や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
総資産は、前年度比230億8千7百万円増加し3,931億6千5百万円となりました。
流動資産は、248億1千4百万円増加し2,173億7千7百万円となりました。主な増減要因は、現金及び預金が174億9千2百万円増加すると共に、原材料価格の高騰や円安の進行による海外子会社在庫の円換算差額もあり原材料及び貯蔵品が54億6千7百万円増加しました。
固定資産は、17億2千7百万円減少し1,757億8千8百万円となりました。主な増減要因は、MPST社を新規連結したことや円安による換算差額もあり有形固定資産が49億2千8百万円増加した一方で、投資有価証券が時価評価の影響や投資有価証券の償還・売却等により68億3千3百万円減少したことによります。
負債は、64億6千万円増加し689億4千5百万円となりました。主な増減要因は、海外子会社での運転資金の短期借入金が36億7百万円増加すると共に、国内子会社において海外子会社設立出資のための長期借入金が13億7百万円増加したことによります。
純資産につきましては、166億2千7百万円増加し3,242億2千万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を241億6千4百万円確保、円安の進行により為替換算調整勘定が55億9千3百万円増加した一方で、配当金の支払で72億7千4百万円、その他有価証券評価差額金が投資有価証券の時価評価の影響で27億8千2百万円減少したこと等によります。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、国内及び海外子会社の借入金の返済の流動性は満たしておりますが、経営環境の先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて116億4百万円増加し、1,527億9千5百万円となりました。売上の伸長から受取手形及び売掛金が35億7千4百万円、原材料価格の高騰等により原材料及び貯蔵品が49億9千万円、製品が20億4千万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて18億2千2百万円減少し、287億7千3百万円となりました。MST-X社の新規設立で、土地を取得したこと等により7億9千3百万円増加した一方で、原材料価格の下落等により原材料及び貯蔵品が11億6千8百万円、製品が17億3千万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて38億4千4百万円増加し、266億5百万円となりました。MPST社を新規連結したことで16億2千9百万円、SUNSCO社において在庫数量が増加したこと等により原材料及び貯蔵品が15億4千4百万円、製品が4億9千3百万円増加したことによるものです。
販売数量面では、下期以降に日本(単体)が前年同期比割れとなったことに加え、北米の伸び悩みやアジアSUNSCO社の落ち込みから、全体では新規連結2社(MNT社・MPST社)を加えても、前年度比△3.7%の減少となりました。売上高は、各地域セグメントでの製品値上げ効果から2,734億1千6百万円(前年度比21.9%増)と増収になりました。利益面は、日本は増益を確保したものの、北米・アジアの落ち込み幅が大きく、営業利益は300億1千9百万円(同17.2%減)と減益になりました。営業外損益は、受取配当金の増加や持分法による投資利益の改善から前年度比22億1千4百万円改善しましたが、経常利益は344億1千6百万円(同10.5%減)と減益になりました。特別損益は、投資有価証券売却益の増加よりも投資有価証券売却損の増加の方が上回ったものの減損損失が減少したことから、前年度比6千2百万円改善しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は241億6千4百万円(同13.0%減)と減益になりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、パイプの販売価格と材料コイルの仕入価格との値差(スプレッド)の変動が最も大きなものです。当連結会計年度は、製品価格の値上がりにより増収となった一方で、北米セグメントにおいてスプレッドが縮小したことに加え、在庫評価損計上の影響もあり、営業利益・経常利益共に減益となりました。
国内事業につきましては、中小建築案件の需要低迷と自動車生産が本格回復には至らず、鋼材全般にタイト感に欠け市況が盛り上がらない中、単体の販売数量は上期までは何とか前年同期比横ばいの水準に止まったものの、下期以降は前年同期比マイナスの見通しを更に下回る実績となりました。材料コイルの調達価格の上昇に連動して製品価格の値上げに取り組み、その価格の維持に努めました。売上高は、単体での製品値上げに加え、丸一ステンレス鋼管㈱でのステンレス管・BA管の値上げおよびBA管販売本数の増加もあり、1,632億4千4百万円(前年度比19.9%増)と増収になりました。セグメント利益は、単体での製品値上げ効果により引き続きスプレッドが改善維持出来たことから、単体営業利益は過去最高益を更新したことに加え、丸一ステンレス鋼管㈱での値上げ効果と管種の構成比変動やステンレス管の輸出採算改善も寄与し、274億8千8百万円(同27.9%増)と増益になりました。
北米事業につきましては、(決算期が1~12月とズレており)米国の熱間圧延コイル(HRC)価格(英国CRU社による米国中西部コイル価格指数)が、年初1,646$/トンでスタートしたものが3月初旬に1,031$/トンまで下がり続けましたが、ウクライナ侵攻から再上昇し4月中旬には1,645$/トンまで上昇したものの、再び下がり始め12月第1週には681$/トンと半値以下まで大幅に下落しました。米国MAC社、米国Leavitt社、米国MOST社の米国3拠点合計の販売数量は、客先が当用買い姿勢となり前年度比△0.6%となりました。また、メキシコのMaruichimex社の販売数量も、サプライチェーン混乱による自動車の減産影響から前年度比△10.1%となりました。2021年11月に新規連結した米国MNT社を加えた北米5拠点合計の販売数量は前年度比+8.4%となりました。
売上高は、一昨年来からの販売単価の上昇により650億5千1百万円(前年度比33.6%増)と増収になりました。一方、セグメント利益は、前年度がHRC価格の急騰に連動して製品販売価格の値上がりがコイル消費単価の上昇に先行し、結果スプレッドが大幅改善出来たものに対し、当年度は逆にスプレッドが縮小したことに加え、在庫評価損計上の影響もあり11億7千8百万円(同89.5%減)と大幅減益になりました。また、MNT社は一部取引先との納入価格条件が厳しく、2期連続の営業赤字となったことから、1億2千3百万円の固定資産(のれん)の減損損失を特別損失に計上しました。なお、有形固定資産4億7千1百万円及び無形固定資産その他4億5千7百万円については回収可能性判定の結果、中期事業計画に基づいて算定された割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回ったため、減損損失は認識しておりません。
アジア事業につきましては、ベトナムのSUNSCO社では、中国の市況の影響を受けた東南アジアの鉄鋼市況軟化に伴い、鋼管の日系ユーザー向けひも付きは健闘しているものの、鋼板の販売が落ち込み、販売数量は前年度比△19.0%となりました。また、SUNSCO(HNI)社では、二輪車メーカーのサプライチェーン問題が解消し、販売数量は前年度比+13.7%となりました。新規連結したフィリピンのMPST社の販売数量は、半導体供給不足等による現地二輪車生産の減少もありましたが、7月以降は損益分岐を上回る予定数量を確保しました。インドのKUMA社では、乗用車販売が好調で、販売数量は前年度比10.4%増加しコロナ前の水準を上回り過去最高の販売数量まで回復しました。
結果、売上高は451億1千9百万円(前年度比14.5%増)と増収になりましたが、セグメント利益はSUNSCO社での在庫評価損の計上も含めた赤字幅が大きく、他のアジア各社は増益を確保したものの、全体では9億8千4百万円(同69.7%減)と減益になりました。
目標とする経営指標及びその達成状況につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 の(1)経営方針について」の第6次中期経営計画をご参照ください。
② 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当社グループは、主として見込み生産をしており、金額的に重要性がないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は当該割合が10%に満たないため記載を省略しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末より220億6千5百万円増加し、751億2千4百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は以下のとおりであります。
営業活動によって増加した資金は244億9千1百万円(前年度比93億9千5百万円の収入増)となりました。主な収入は、税金等調整前当期純利益342億6千万円、減価償却費63億1千9百万円であります。主な支出は、法人税等の支払額100億1千1百万円、棚卸資産の増減額27億4千2百万円であります。
投資活動によって増加した資金は43億5百万円(前年度比143億1千6百万円の支出減)となりました。主な収入は、投資有価証券の売却及び償還による収入82億2千9百万円であります。支出につきましては、有形及び無形固定資産の取得による支出66億3千4百万円等によるものであります。
財務活動によって減少した資金は76億1千7百万円(前年度比90億3千8百万円の支出減)となりました。主な収入は海外子会社において、運転資金の借入のために行った短期借入金の純増減額27億2千7百万円、国内子会社において海外子会社設立出資のために行った長期借入による収入18億円などであります。主な支出は、配当金の支払額72億7千3百万円及び、ベトナムSUNSCO社をより安定運営するために行った、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出33億8千万円などであります。
当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金を中心に、一部連結子会社は借入金により充当しております。当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末より220億6千5百万円増加し、751億2千4百万円となりました。一方、当連結会計年度末の借入金残高は、短期借入金64億8千2百万円・長期借入金16億5千2百万円であり、これらの返済に必要な流動性は十分に満たしていると認識しております。従って、当社グループの財務の健全性は引き続き確保されており、第6次中期経営計画に沿った投融資・設備投資を含む当社グループの円滑な事業活動の資金には、大きな支障は無いと考えております。また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況」(重要な会計上の見積り)に注記しております。
該当事項はありません。
当社グループにおける主要な設備は次のとおりであります。
2023年3月31日現在
(注)詫間工場の土地の一部は四国丸一鋼管株式会社から賃借しているものであります。
なお、賃借している土地の面積は[ ]で内書きしております。
2023年3月31日現在
(注) 1.北海道丸一鋼管株式会社の土地は全て当社から貸与しているものであります。
2.北海道丸一鋼管株式会社の建物及び構築物の内1,224百万円は当社から貸与しているものであります。
3.四国丸一鋼管株式会社の土地の一部は当社から貸与しているものであります。
なお、貸与している土地の面積は[ ]で内書きしております。
2023年3月31日現在
(注)SUNSCO社、SUNSCO(HNI)社及びMPST社の土地は、賃借物件であります。
(注) 提出日現在の発行数には、2023年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
ストックオプション制度の内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(ストック・オプション等関係)に記載しております。
該当事項はありません。
(注) 自己株式の消却によるものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1.「金融機関」には、従業員インセンティブ・プラン「株式給付型ESOP」制度の信託財産として、株式会社日本カストディ銀行(信託口)が所有している当社株式1,807単元が含まれております。
2.自己株式4,195,772株は、「個人その他」に41,957単元、「単元未満株式の状況」に72株含めて記載しております。
3.上記「その他の法人」の中には、証券保管振替機構名義の株式2単元を含めて記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。
2.上記の他に当社所有の自己株式4,195千株があります。
3.株式会社日本カストディ銀行(信託口)は従業員インセンティブ・プラン「株式給付型ESOP」制度に係る信託財産の委託先であります。なお、3,124千株のうち当社が委託している当社株式は180千株であり、連結財務諸表において自己株式として表示しております。
4.発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は小数点第3位以下を切り捨てて表示しております。
5.2020年9月24日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、SMBC日興証券株式会社及びその共同保有者である株式会社三井住友銀行及び三井住友DSアセットマネジメント株式会社が2020年9月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、上記の表中に記載の株式会社三井住友銀行を除き、当社として当会計期間末現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
6.2021年11月19日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ・エルエルピーが2021年11月18日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当会計期間末現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況は、株主名簿上の保有株式に基づき記載しております。
なお、その大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会・執行役員会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、主に鋼管、表面処理鋼板などを生産・販売しており、日本においては当社及び連結子会社が、海外においては各地域をそれぞれ独立した現地法人が担当しており、取り扱う製品について各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社グループは、生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「北米」及び「アジア」の3つを報告セグメントとしております。
各報告セグメントの主な製品は次のとおりです。
(日本)
構造用溶接鋼管、建築用溶接鋼管、配管用溶接鋼管、ステンレス鋼管、BA精密細管、めっきコイル、照明柱など
(北米)
構造用溶接鋼管、建築用溶接鋼管、配管用溶接鋼管など
(アジア)
構造用溶接鋼管、建築用溶接鋼管、配管用溶接鋼管、めっきコイル、カラーコイルなど