JFEホールディングス株式会社
(注) 1 第17期より国際財務報告基準(以下、IFRS)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2 △は損失またはキャッシュ・フローの支出を示しております。
3 事業利益又は事業損失(△)は、税引前利益又は税引前損失(△)から金融損益および金額に重要性のある一過性の項目を除いた利益または損失(△)であり、当社連結業績の代表的指標であります。
4 第18期および第19期の株価収益率については、当期損失であるため記載しておりません。
(注) 1 第17期の日本基準に基づく連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
2 △はキャッシュ・フローの支出を示しております。
(注) 最高株価および最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
[前史]
[提出会社設立以降]
なお、事業別会社への再編(2003年4月)までの旧日本鋼管㈱および旧川崎製鉄㈱の沿革は以下のとおりであります。
① 旧日本鋼管㈱
② 旧川崎製鉄㈱
[前史]
[設立以降]
当社は、JFEグループ全体の経営戦略の策定、グループ会社の経営とリスク管理、グループIR等の対外説明、グループ全体の資金調達等の機能を集約した、グループを代表する上場会社として、スリムなグループ本社機能を担う会社であります。
JFEグループは、「JFEスチール㈱」、「JFEエンジニアリング㈱」、「JFE商事㈱」の3つの事業会社により、事業分野ごとの特性に応じた最適な業務執行体制の構築を図っております。
なお、セグメント情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載しております。また、主な関係会社については、「4 関係会社の状況」に記載しております。
当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
(1) 鉄鋼事業
JFEスチール㈱およびその関係会社において、銑鋼一貫メーカーとして各種鉄鋼製品の製造・販売を主力事業とし、鋼材加工製品、原材料等の製造・販売、ならびに運輸業および設備保全・工事等の周辺事業を行っております。
[主要製品等]
鉄鋼製品・半製品(熱延薄鋼板、冷延薄鋼板、表面処理鋼板、厚鋼板、形鋼、H形鋼、鋼矢板、レール、継目無鋼管、鍛接鋼管、電縫鋼管、角型鋼管、電弧溶接鋼管、電磁鋼板、ステンレス鋼板、棒鋼、線材、鉄粉、スラブ)、チタン製品、鋼材加工製品、化学製品、素形材製品、各種容器類、鉱業・鉱産品、鉄鋼スラグ製品、機能素材、合金鉄、各種耐火物、築炉工事、各種運送事業・倉庫業、土木建築工事、設備管理・建設工事、電気工事、電気通信工事、火力発電、ガス、建設仮設材、不動産、保険代理業、各種サービス業、各種コンピュータシステム、材料分析・解析、環境調査、技術情報調査、知的財産支援等
(2) エンジニアリング事業
JFEエンジニアリング㈱およびその関係会社において、エネルギー、都市環境、鋼構造、産業機械等に関するエンジニアリング事業、リサイクル事業および電力小売事業を行っております。
[主要製品等]
ガス・石油・水道パイプライン、LNG・LPG等各種タンク、太陽光・地熱・バイオマス等再生可能エネルギー発電設備、都市ごみ焼却炉、水処理システム、使用済みプラスチック等のリサイクルサービス、橋梁・港湾構造物、物流流通システム・エンジン・シールド掘進機・バラスト水処理システム等の産業機械、製銑・製鋼・ミニミル関連設備、EV(電気自動車)急速充電器等
(3) 商社事業
JFE商事㈱およびその関係会社において、鉄鋼製品、製鉄原材料、非鉄金属製品、食品等の仕入、加工および販売を行っております。
[主要取扱製品等]
鉄鋼製品(厚鋼板、縞板、熱延薄鋼板、冷延薄鋼板、電磁鋼板、表面処理鋼板、亜鉛鋼板、ブリキ、鋼管、特殊鋼管、棒鋼、H形鋼、軽量形鋼、一般形鋼、コラム、線材、ステンレス鋼、特殊鋼、スラブ)、溶材、鉄粉、鋼材加工製品、製鉄原材料・資機材、非鉄金属製品、金属スクラップ、高炉スラグ、化学製品、石油製品、紙製品、船舶、バイオマス燃料、土木建築工事、テールアルメ工法、缶詰製品、農畜産物、水産物、半導体製品、不動産等
JFEグループを構成している当社および事業会社ならびに主な関係会社の位置づけは以下のとおりであります。

(注) 1 →印は、製品・サービス等の流れを示しております。
2 *印は持分法適用関連会社等(共同支配事業含む)、その他は連結子会社であります。
3 関係会社の異動については、「4 関係会社の状況」に記載しております。
なお、当社は、2022年6月24日にジェイ エフ イー ホールディングス㈱からJFEホールディングス㈱に商号変更いたしました。
4 鉄鋼事業の連結子会社3社および持分法適用関連会社1社については、商社事業において持分法を適用しております。
(注) 1 ※1 特定子会社に該当する会社であります。
2 ※2 有価証券報告書を提出しております。
3 議決権の所有割合の( )内の数値は、間接所有割合であり議決権比率の内数であります。
4 ※3 JFEスチール㈱の売上高は、連結売上収益に占める割合が100分の10を超えております。
主要な損益情報等(日本基準)
売上高 2,895,718 百万円
経常利益 71,338
当期純利益 83,486
純資産額 887,261
総資産額 3,319,073
5 持分法適用関連会社等には共同支配事業を含んでおります。
6 関係会社の異動
・当連結会計年度より、セムコ・LLCを重要な連結子会社として記載しております。
・当連結会計年度より、㈱セイケイを重要な持分法適用関連会社として記載しております。
・JFEミネラル㈱および前連結会計年度に記載しておりました水島合金鉄㈱、JFEマテリアル㈱の3社は、2022年4月1日にJFEミネラル㈱を存続会社として合併しております。
・JFEコンテイナー㈱は、2022年8月1日に株式交換により、JFEスチール㈱の完全子会社となっております。
・エヌケーケーシームレス鋼管㈱は、2023年4月28日に清算結了しております。
・JFEスチール㈱は2023年5月9日に、JFE継手㈱の発行済株式の76.6%を㈱リケンへ譲渡しております。
7 ※4 商社事業の持分法適用関連会社等その他20社には、鉄鋼事業の連結子会社3社および持分法適用関連会社1社が含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員を含んでおりません。
2 全社(共通)は、当社の従業員数であります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、他社からの出向者を含み、他社への出向者、臨時従業員を含んでおりません。
2 他社への出向者数は1名であります。
3 平均勤続年数の算定にあたり、JFEスチール㈱、JFEエンジニアリング㈱およびJFE商事㈱からの出向者については、それぞれの会社での勤続年数を通算しております。
4 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
当社には労働組合はありません。
事業会社においては、JFEスチール労働組合連合会、JFEエンジニアリング労働組合、JFE商事労働組合が組織されております。
なお、その他に労働組合との関係について特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
(注) 1 ※1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 ※2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 ※3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
4 上表は、法令に基づき各社が公表している数値をとりまとめており、小数点の表記が異なります。なお、従業員数等の要件により、各社で公表状況が異なっており、「-」は数値を公表しておりません。
5 ※4 パート・有期労働者については該当者が存在しない区分のため「-」と表記しております。
企業理念:JFEグループは、常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。
行動規範:挑戦。柔軟。誠実。
JFEグループは鉄鋼、エンジニアリング、商社の3つの事業を中心とした企業グループです。
鉄を中核として、エネルギー技術や資源リサイクル技術など幅広い分野に領域を広げており、世界最高の技術に裏打ちされた3つの事業が生み出し続けるシナジーを、持続可能な社会の構築に向けてさらに拡大していきます。
鉄鋼事業は、世界有数の生産規模と高い技術開発力を有する銑鋼一貫メーカーのJFEスチール㈱を中核としており、お客様や社会の多様なニーズにお応えする鉄鋼製品をグローバルに供給しています。
また商社事業は、JFE商事㈱を中核として、鉄鋼製品を中心に、鉄鋼原料・非鉄金属・化学品・資機材・船舶から食品・エレクトロニクスまで幅広く取り扱い、サプライチェーン全体の付加価値を向上させるサービスをグローバルに提供しています。
鉄鋼・商社事業の競争優位の源泉は、①お客様のニーズに基づいた最先端の「技術開発力」と、②製造現場で培われてきた「生産」の実力、および③JFEスチール㈱とJFE商事㈱が一体となって長年築いてきた強固なお客様との信頼関係に基づく「販売力」の3つを基礎としています。これらをベースに、お客様のニーズに沿った新たな価値を創造し、最適なソリューションを提供し続けてきました。これらの競争優位性は私たちが長年の努力により積み重ねてきた貴重な財産であり、他社が容易に真似できない持続的成長のドライバーです。
世界各地のお客様の高度なご要望にお応えすることで、業界をリードする技術力を蓄積してきました。幅広い分野での高機能・高品質の商品やサービスの開発と提供を通じて新たな価値を創造し、世界中の産業や社会の発展と人々の生活の進化に貢献しています。また、優れた環境保全・省資源・省エネ技術により、世界で最も低いレベルの環境負荷で鉄鋼製品を生産することができ、その技術を世界各地の環境対策に役立てるとともに、成長の機会として活用しています。
JFEスチール㈱の競争力の第一の源泉は、東西2製鉄所への拠点集約により固定費が抑えられ、高効率生産が可能であることです。特に世界有数の規模を誇る西日本製鉄所は、年間2,000万トンレベルの鋼材を生産でき、コストや商品ラインナップ、技術力の観点からも高い競争力を持っています。現場では長年の努力を通じて優れた製造・商品技術や知的財産、ノウハウ等が無数に蓄積されており、これらにより培われた製造実力は、同社固有の競争力の源泉です。なお、事業環境の変化に対応した国内最適生産体制を構築し、当該競争力を維持・向上させるため、東日本製鉄所京浜地区において2023年9月を目途に高炉を含む上工程(製銑、製鋼)および熱延設備を休止いたします。
○ニーズへの対応力と安定したお客様基盤(鉄鋼事業・商社事業)
長年のお取引による数多くのお客様との双方向のコミュニケーションにより、お客様との信頼関係を構築してきました。お客様との綿密なニーズの摺り合わせや、開発初期段階からの協働等の取り組みを通じて新たな価値を創造し、お客様の課題解決に貢献してきました。結果として、他社が容易に入り込むことができない堅固なお客様基盤を構築しています。
JFEスチール㈱と戦略的に連携を取りながら日本、中国、北米、アセアンの4極を主軸にグローバル展開する鋼材SCMを構築しています。日本で製造されるJFEスチール材のみならず、JFEスチール㈱の海外製造拠点やJFEグループのアライアンス先で製造される鋼材も含めたJFEブランドを、世界各地に製造拠点を展開するお客様へ良質なサービスとともに提供しています。またお客様のニーズに合わせ、スリットなどの切断加工製品や、環境規制・省エネを背景に拡大している自動車用モーターコアや高効率変圧器用トランスコアなどの鋼材加工部品をグローバルに提供できる体制を整えています。
変化が激しいグローバル市場においてお客様のニーズを先取りし、中核商社としてJFEグループの全体最適を考えながらトレードビジネスや事業を展開し、お客様への価値貢献を最大化しています。こうした他社にはないグループ全体最適を追求する商社事業モデルを通じ、グローバル市場におけるグループ全体の競争優位性を維持拡大していきます。
エンジニアリング事業は、JFEエンジニアリング㈱を中核として、ガス・石油・水道パイプライン、再生可能エネルギー発電設備、都市ごみ焼却炉、水処理システム、橋梁・港湾構造物など、人々が生活するうえで不可欠となるインフラの構築等を行っており、それらのEPC(設計・調達・建設)、O&M(運転・維持管理)に加え、リサイクル・発電事業などの事業運営を展開しています。
また数多くの国内支店・営業所、海外現地法人・海外支店を有することでグローバルかつきめ細かな販売ネットワークを構築しており、長年にわたり、官公庁や、大手電力会社・ガス会社など様々な民間企業のお客様へ高度な技術・サービスを提供しています。
エンジニアリング事業の競争力の源泉は、時代の変化に対応する先進かつ多種多彩な商品・サービスや、高度なプロジェクト遂行能力、ものづくりのノウハウを強みにした事業運営に至るまでの幅広い事業展開を基礎としています。
造船事業がベースの加工・組立技術と鉄鋼事業がベースの素材・燃焼技術を融合・進化させた高度な技術力を強みとして、エネルギー・環境や橋梁など幅広い分野で事業を展開してきました。
とりわけ、世界的な課題となっている地球温暖化に対しても、次世代エネルギーの創出や、高効率発電プラントによるCO2排出量の抑制など、課題解決に向けた技術を数多く保有しており、これらの技術に基づいた新たなビジネスモデルの企画・立案・推進に積極的に取り組んでいます。
エネルギー・環境や橋梁など様々な分野で、設計から引き渡しまで、お客様のニーズに即した高機能・高品質な施設を数多く建設してきました。また、国内最大級の鋼構造物製作工場をはじめとする生産拠点を有しており、高品質・低コストでの製品供給を可能としています。さらに、アジア諸国を中心とした海外拠点にグローバルエンジニアリング体制を構築し、一段と競争力を強化しています。
環境・上下水などのプラントを中心として、長きに亘りオペレーション・メンテナンスのノウハウを培い、公共サービス分野で数多くの官民連携事業を手掛けています。また、自らが建設したプラントで、リサイクル事業や再生可能エネルギー発電事業を行い、循環型社会、持続可能な社会の構築に取り組んできました。こうした、ものづくりや運営ノウハウを強みにした官民連携事業やエネルギーサービス事業などの運営型事業領域をさらに拡大していきます。
JFEグループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの持ち直しや中国のウィズコロナ政策への転換等により経済回復の兆しがみられるものの、エネルギー・資源価格の高騰にともなうインフレの継続や欧米各国の金融引き締めによる景気後退懸念に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、一部地域における地政学的リスクの高まり等により、先行きの不透明な状況が今後も続くと考えられます。さらに、全世界的に気候変動に対する危機感が従来にも増して高まっており、鉄鋼事業を中心とする当社グループにとって、気候変動問題への取り組みはより一層重要な経営課題となっています。
<第7次中期経営計画>
こうしたなか、当社グループは、第7次中期経営計画(2021~2024年度)で掲げた施策を推進し、社会の持続的発展と人々の安全で快適な生活のために「なくてはならない」存在を目指して、変革に向けた挑戦を続けています。「JFEグループ環境経営ビジョン2050」で示した気候変動問題への取り組みをはじめ、人材の活躍推進、地域社会への貢献やサプライチェーンの人権尊重等の取り組みを推進することにより、環境的・社会的持続性を確かなものといたします。また、鉄鋼事業における構造改革の完遂やDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の推進等によってコスト競争力を高めるとともに、脱炭素化の進展を事業機会ととらえ、高機能電磁鋼板等の環境負荷低減に資する高付加価値品の供給や再生可能エネルギー発電の拡大等、成長戦略を推進することにより、より強靭な経営基盤を確立し経済的持続性を確保いたします。
(注)1 D/Eレシオ:格付け評価上の資本性を持つ負債について、格付け機関の評価により資本に算入しております。
2 鉄鋼事業のトン当たり利益:(連結セグメント利益÷単体出荷数量)
<各事業会社の取り組み>
◆ JFEスチール㈱においては、人口の減少により国内の鉄鋼市場は縮小に向かう一方、海外では、汎用品の価格競争激化に加え、鉄鋼製品の地産地消の流れが強まることが想定されており、第7次中期経営計画において掲げた「量」から「質」への転換を徹底するとともに、成長戦略を着実に推進してまいります。
同社では、2022年度に東日本製鉄所千葉地区の缶用鋼板製造設備を休止し、西日本製鉄所福山地区に集約いたしました。さらに2023年9月には、東日本製鉄所京浜地区の上工程および熱延設備の休止を予定しており、構造改革の完遂による固定費の削減や、DX推進を通じた生産効率の向上等により大幅なコスト削減を実現し、スリムで強靭な事業構造へと変革いたします。加えて、鉄鉱石や原料炭等の主原料をはじめとする諸物価のさらなる高騰が想定されるなか、従来から取り組んできた販売価格体系の抜本的な見直しを強化し、収益の拡大を目指してまいります。
また特に、高機能電磁鋼板については、世界的な電力需要の拡大や自動車の電動化進展等により需要が急伸することを見据え、供給体制を増強し、伸び行く需要を確実に捕捉してまいります。国内においては、西日本製鉄所倉敷地区の設備増強を進めるとともに、海外においては、インドのJSWスチール社と方向性電磁鋼板製造販売会社の共同設立について基本合意しております。
今後同社では、現地生産化を通じた事業戦略の深化、品種構成の高度化による高付加価値品の製造拡大、さらには環境負荷低減等に関する高度な製造・操業・研究ノウハウを提供するソリューションビジネスの拡大等、成長戦略を着実に推進することで、収益の拡大に努めてまいります。
◆ JFEエンジニアリング㈱においては、『くらしの礎を「創る」「担う」「つなぐ」-Just For the Earth』というパーパスのもと、世界の人々のくらしを支え、地球を守り次世代につなげることを使命として事業を推進してまいります。
第7次中期経営計画の達成に向け、Waste to Resource(※)分野、カーボンニュートラル分野を中心とした受注の拡大に取り組むとともに、既に受注したプロジェクトに対しては、資機材費の高騰への対策や要員の適切な投入等に注力することにより、安定的な収益確保を目指してまいります。
今後拡大する廃棄物発電施設の建替え需要を確実に捉えるとともに、施設操業の遠隔監視等、強みであるDXを活用したサービスを提供し、安定的に収益を見込める運営型事業の展開を加速いたします。さらに、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、従来の太陽光、バイオマスに加え、洋上風力発電や地熱発電分野での取り組みを強化するなど、事業を通じた社会全体のCO2排出量削減へ貢献してまいります。
なお、2023年10月に月島アクアソリューション㈱との国内水エンジニアリング事業の統合を実施いたします。引き続きM&Aや業務提携等も活用して競争力強化を図るとともに、安心、安全な社会を創り人々のくらしを支える企業として取り組みを進めてまいります。
※Waste to Resource:リサイクルや廃棄物発電等
◆ JFE商事㈱においては、電磁鋼板の世界No.1グローバル流通加工体制構築に取り組んでおり、現在国内の5拠点に加え、海外では中国、ASEAN、インド、メキシコ、カナダ等11カ国15拠点において事業を展開しております。2022年度には、名古屋および中国・浙江においてプレス加工設備の増強を実施しており、今後も、急速に拡大が見込まれる電磁鋼板の需要捕捉に向け、流通加工体制の構築を着実に進めてまいります。
また、海外建材事業では、鋼製薄板建材製品の製造・販売会社である米国のCEMCO社を買収いたしました。安定した成長が期待される北米の薄板建材の需要を捕捉するとともに、米国JFE商事やJFEスチール㈱の関連会社であるカリフォルニアスチール社等との連携を深め、収益の安定化に努めてまいります。さらに、自動車向け鋼材においては、ニューコア・JFEスチール・メキシコ社に隣接する加工センターにおける加工設備増強を決定するなど、グループ連携によるサプライチェーン強化を図ってまいります。なお、2023年2月に太陽光パネルを静岡の鋼材加工センターに設置し、国内で初めて鋼材加工におけるCO2排出量の実質ゼロを実現しており、今後は他の鋼材加工拠点にも取り組みを拡大してまいります。引き続き第7次中期経営計画の達成に向け、マーケットにおけるJFEグループの存在感を高めるとともに、収益の拡大に努めてまいります。
なお、2023年度におけるグループ全体の事業利益は、鉄鋼事業における構造改革完遂によるコスト削減の実現に加え、エンジニアリング事業における一過性の工事損失の影響がなくなること等もあり、2,900億円と当連結会計年度に比べ増益を見込んでおります。引き続き、第7次中期経営計画の収益目標である連結事業利益3,200億円の達成に向けて取り組んでまいります。
<グループ共通の取り組み>
当社グループは、気候変動問題への対応を経営の最重要課題と位置付け、「JFEグループ環境経営ビジョン2050」を掲げ、カーボンニュートラルの実現に向けて「鉄鋼事業のCO2排出量削減」「社会全体のCO2削減への貢献」を戦略の軸として取り組みを進めています。
鉄鋼事業では、2030年度におけるCO2排出量を2013年度比で30%以上削減することを目標としており、既存プロセスの省エネルギー・高効率化および電気炉技術の活用等の取り組みを進めています。また、カーボンリサイクル高炉や水素製鉄(直接還元)等の超革新技術の開発にチャレンジし、2050年カーボンニュートラルの実現を目指しています。
2030年度削減目標の達成に向けて、転炉においてスクラップ使用量の拡大により大幅なCO2排出量削減が可能となるプロセスを全地区に導入したことに加え、仙台製造所における電気炉の増強や千葉地区のステンレス製造プロセスにおける電気炉の導入等を決定いたしました。また、倉敷地区においては高炉の改修時期にあわせて高効率・大型電気炉の導入も検討しており、引き続き目標達成に向けて必要な設備投資を実行してまいります。なお、当事業年度における技術開発の進捗等を精査、検証した結果、現時点の削減目標は適切であると判断しておりますが、今後トランジション技術の開発を促進し、さらなるCO2削減に向けて目標の見直しを検討してまいります。
さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の支援を受け、超革新技術の開発を複線的に進めております。千葉地区においては、カーボンリサイクル高炉の試験炉建設工事に着手しており、引き続き研究開発を推進するとともに、超革新技術の早期実装化にも取り組んでまいります。
また、社会の脱炭素化ニーズが急速に高まる中、自社のCO2排出削減技術により創出した排出削減量を適用したグリーン鋼材「JGreeX™(ジェイグリークス)」の供給を開始いたします。2023年度は20万トン程度の供給を予定しており、カーボンニュートラル社会の実現に貢献できるグリーン鋼材の価値をお客様に認めていただけるよう市場の創出に積極的に取り組んでまいります。
社会全体のCO2削減への貢献に関しては、EV向けモーターや変圧器の効率性向上に資する電磁鋼板等の環境配慮型商品の供給や再生可能エネルギーによる発電事業等の拡大にも取り組んでまいります。さらに、洋上風力発電の事業化にグループ全体で取り組んでおり、2022年度には着床式基礎構造物の製造・供給体制を整備すべく岡山県笠岡市においてモノパイル製造工場の建設に着手するなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組みを継続してまいります。
なお、気候変動問題への取り組みを加速させるインセンティブとして、気候変動に関する指標を役員報酬に連動させることを2023年3月に決定いたしました。引き続き、気候変動問題への解決に向けた取り組みを強力に推進することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
第7次中期経営計画では、DXを創立以来最大の変革の鍵となる重要な戦略として位置付けております。当社グループで長年積み重ねてきた膨大なデータ・ノウハウ・技術は価値創造の源泉であり、それらを最大限に活用したCPS(Cyber Physical System ※1)による高炉操業自動化の実現や製鉄プロセス全体への展開、発電プラント向け操業支援サービスである「RODAS®※2」のお客様への供給開始等、今後も労働生産性の向上や新たな付加価値の提供につながるDX戦略を推進し、差別化を図ってまいります。
さらに、DXを推進するうえでサイバー攻撃や情報漏洩リスクへの対策はさらに重要性が高まっており、深刻化・巧妙化するサイバー脅威に対し、グループ全体のサイバーセキュリティ対策の一層の強化を進めてまいります。
※1 Cyber Physical System:製造プロセスの仮想モデルと現実のプロセスのリアルタイム融合化技術
※2 RODAS®:AI活用技術と操業支援技術を組み合わせたボイラ発電プラント向けDXサービス
2023年、上工程および熱延設備の休止を予定している京浜地区の土地利用転換については、扇町エリアの売却を決定したことに加え、南渡田エリア北地区北側において事業パートナーを選定し、研究開発機能を中心としたまちづくりに着手し、約400haにおよぶ大規模土地利用転換の第一歩を踏み出しました。扇島エリアについては、川崎市が策定する土地利用方針を踏まえて当社の整備方針を策定し、上工程等設備休止時期に合わせて公表する予定です。今後も「土地売却」「土地賃貸」「事業利用」の3つを軸に取り組みを推進してまいります。
中長期の成長に向けた攻めの経営には安定した財務基盤の確立が必要であり、選択と集中に基づく効果的な投資の実行と財務健全性の確保を両立させることが重要です。2022年度には、事業の見直しによるグループ会社株式の譲渡や、政策保有株式の売却、京浜地区一部用地の売却等を実施し、資産圧縮に努めてまいりました。
一方、成長戦略やカーボンニュートラルに資する投資を実施したことに加え、物価高騰や円安の進行等による運転資金増加の影響により、当期末の有利子負債残高は、前期に比べ135億円増加し、1兆8,629億円となりましたが、ネット有利子負債残高(※)は、前期に比べ41億円減少し、1兆7,435億円となりました。この結果、第7次中期経営計画の財務目標として掲げているDebt/EBITDA倍率は3.7倍、D/Eレシオは67.8%となりました。引き続き、事業や資産の見直しによる徹底した資産圧縮と、棚卸資産圧縮等によるCCC(Cash Conversion Cycle)の改善により、投資に向けた必要資金を確保するとともに財務健全性の確保に努めてまいります。
※ネット有利子負債残高:有利子負債残高-現預金および現金同等物
当社グループは、人権が尊重・擁護される社会の実現に向けて人権デューディリジェンスに取り組んでおり、更なる推進に向けて2023年4月にグループ人権基本方針の改正を行いました。今後もサプライチェーンも含めたすべてのステークホルダーに対する人権尊重のために取り組みを拡大してまいります。
また、複雑化・多様化する変化の激しい経営環境下で、当社グループが将来にわたって持続的な成長を成し遂げるためには、人的資本への投資を通じて従業員の能力や活力を最大限に引き出すことが不可欠です。従業員の能力発揮や活性化につながる働き方改革、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを進めるとともに、安全で健康的な職場環境の整備に向けた取り組みに注力してまいります。
当社はグループの経営課題を着実に実行するため、株主利益に適うグループ経営および健全なコーポレートガバナンスの要としてその機能を充実させるとともに、さらに効率的な運営を図ってまいります。
なお、JFEエンジニアリング㈱が2017年6月および2020年6月に沖縄県竹富町と契約した海底送水管更新工事に関して、入札談合等関与行為防止法違反容疑および公契約関係競売入札妨害容疑で、同社社員3名が起訴され、2022年8月に、うち1名(同社元社員)が那覇地方裁判所において有罪判決を受けました。
本事案を厳粛かつ真摯に受け止め、係属している同社社員の裁判の進捗を注視しつつ、原因究明を進めるとともに、再発防止に取り組み、早期の信頼回復に努めてまいります。
JFEグループは、社会との信頼関係の基本である、コンプライアンスの徹底、環境課題への取り組み、安全の確立について、グループをあげて真摯な努力を継続してまいります。また、第7次中期経営計画で掲げた施策を完遂し、企業としての持続的な成長と株主の皆様をはじめすべてのステークホルダーにとっての企業価値の向上に努めることにより資本市場の評価を高めてまいります。
(注)上記の記載には、2023年5月8日の決算発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれております。
本報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。それらのリスク要因のいずれも投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループのリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③経営体制・内部統制体制 c. 内部統制体制・リスク管理体制の整備の状況」に記載しております。
鉄鋼事業・商社事業においては、各製品市場と地域市場において、競合他社との競争に直面しております。国内鋼材販売は、建築・土木、自動車、産業機械、電気機械等各需要分野に広がっており、販売形態も多岐にわたっております。また、これら国内向けに加え、JFEスチール㈱は44%程度(単独・金額ベース)、JFE商事㈱は49%程度(単独・金額ベース・JFEスチール材含む)を海外に輸出しております。主な輸出先はタイ等のアセアン、韓国、中国向けとなっております。従いまして、今後の少子高齢化に伴う国内市場の縮小や、国内およびアジアをはじめとする世界経済の状況等を背景とした国内外の鋼材需給の動向が当社グループの鋼材の販売量や価格に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ海外市場においては、中国の内需減少に伴う輸出の増加や、新興国における鉄鋼生産能力の拡大という構造的な変化により、ますます競争が激化していく可能性があります。また、海外主要国において関税引き上げやアンチダンピング・セーフガード措置等の輸入規制が課せられた場合には、当社グループの輸出取引が制約を受け、業績に影響を及ぼします。一方、当社グループの輸出量が少ない米国、EU等においても、各種輸入規制が行われた結果、その市場から締め出された鋼材が当社グループの主要輸出エリアに還流することにより市場が影響を受け、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、2022年にウクライナにおいて発生したような国際的な紛争も、国内外の鋼材需給の動向の変化を通じて当社グループの鋼材の販売量や価格に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、国内外の鋼材需給の変化に対応して生産数量の最適化を図るとともに、長期的な鋼材需給の動向を見据えて設備の統廃合等による最適な生産体制の構築を図ってまいります。この一環として、2023年9月を目途にJFEスチール㈱東日本製鉄所京浜地区の上工程(製銑、製鋼)および熱延設備を休止し、国内の生産体制を高炉8基体制から7基体制へ変更し、粗鋼生産能力を約400万トン(約13%)削減することとしております。一方で、基幹製鉄所であるJFEスチール㈱西日本製鉄所への戦略的な投資を行い、コスト競争力を向上させることで、市場環境が変化しても収益を確保できる体制を整えてまいります。販売面でも新興国ミルに対して技術優位性の高い商品の販売比率の拡大を進め、収益基盤の安定化を図ってまいります。更に、海外での垂直分業体制や海外鉄鋼メーカーへの出資による鋼材の現地製造を進めることで、海外市場環境の変化に柔軟に対応するグローバル供給体制の確立を進めてまいります。
商社事業においては、鉄鋼製品を中心に、製鉄原材料、非鉄金属製品、食品等の仕入、加工および販売を行っており、国内外の各製品市場において市場環境の変化に適切に対応できる流通販売網を構築しております。具体的には、国内においては流通再編等を通じ販売力の強化を進めるとともに、基盤強化に必要な設備の更新をタイムリーに進めております。また海外においてはグローバル4極体制における流通加工機能の強化を積極的に推進し、高付加価値分野におけるJFEスチール材の販売強化を進めております。更に、JFEグループ材(アライアンス先含む)や他サプライヤーの製品も活用しながら顧客におけるプレゼンスの維持・強化を図ってまいります。
エンジニアリング事業においては、エネルギープラント・ごみ焼却炉等の環境施設・橋梁を中心とした設備のEPC(設計・調達・建設)を行っております。また、DBO(設計・建設・運転)案件における設備の運転保守の受託や、リサイクル・発電・電力小売等の運営型事業を自ら行っております。上記事業のポートフォリオは、公共インフラ(ごみ焼却施設、橋梁等)関連が過半を占めているため、国内経済状況および国・自治体の方針・政策の影響等による国内公共事業の縮小は、応札案件の減少に直結し、その結果、受注高が減少する可能性があります。
また、海外についても同様に対象国の経済状況や政策の変化により、受注高が減少する可能性があります。また、プロジェクト遂行にあたり、資機材等の価格が上昇した場合、建設コストが上昇することになります。建設コスト上昇の影響に左右されない競争力を確保するために、技術開発等を進めてまいります。また、長期安定的な収益源として運営型事業を強化し、収益の安定化を図ってまいります。
鋼材の原材料として鉄鉱石、原料炭、合金鉄・非鉄金属・スクラップ等を調達しております。近年これらの原材料の価格は世界的な需給構造変化、主要原産国である豪州・ブラジルにおける自然災害や事故の発生、更には2022年にウクライナにおいて発生したような国際的な紛争等により上昇しており、それを鋼材価格に反映できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製鉄プロセスに使用する電気・天然ガス等を購入しておりますが、これらの価格も世界的な需給変化、環境規制強化や国際的な紛争等に起因して上昇しており、それを鋼材価格に反映できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
更にこれら原材料・エネルギーについて、生産国における自然災害や事故の発生、国際的な紛争、サプライチェーンの混乱等により調達が困難となった場合、当社グループの生産量・販売量の減少を通じて当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、安価原料の使用技術を開発し、その使用比率の増加を図ることで原料調達におけるコスト削減とコスト変動の低減を図ってまいります。また、調達ソースの分散化等により、調達不安定化のリスクの低減を図ってまいります。更に、製鉄所内の発電所等のリフレッシュを計画的に進めることにより、調達エネルギーのコスト削減とコスト変動の低減を図ってまいります。
当社グループ向けに原材料を販売するとともに、当社グループ外への原料販売も行っています。従って、当社グループの活動水準に変化があった場合や、原材料生産国における自然災害や事故の発生、また国際的な紛争、サプライチェーンの混乱等、仕入環境や販売環境に変化があった場合、商社事業の販売量に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、原料調達における低廉化や新たな調達ソースの開発等により、原材料サプライチェーンのリスク低減を図ってまいります。また、当社グループ以外への販路開拓を進め、販売量の維持安定化を進めます。
鉄鋼事業においては、高炉、コークス炉、転炉、連続鋳造機、圧延機、焼鈍炉、発電所等の多数の大規模な製造設備を用いて鉄鋼製品の生産を行っております。これらの設備の中には稼働後数十年を経て更新時期を迎えたものもあります。持続的な安定生産を実現する国内製造基盤を確立するため、第5次中期経営計画以降、集中的な設備投資を計画し、老朽設備の更新を順次進めてまいりましたが、これらの設備において設備・システムトラブルが発生した場合、生産量の減少や修繕コストの増加等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、重要設備の更新投資を計画的に進め、製鉄所の製造実力の強靭化を図ってまいります。2019年度より高炉の操業安定化を中心に高炉付帯設備の劣化対応やDX・AI・IoT技術の活用等による基盤整備投資を実施してきましたが、第7次中期経営計画では全プロセスへの水平展開を図っております。
当社グループは収益基盤の維持・向上、事業拡大を目指し、多額の設備投資および事業投資を行っております。
鉄鋼事業では、安定生産基盤の確立に加え、生産性・コスト競争力の更なる進展のために、国内製造拠点への戦略的な投資を継続しております。東西製鉄所においては、コークス炉の更新、電磁鋼板製造ラインの増強等を行い、これらの設備の最新鋭化・能力増強を図ってまいりますが、これらの稼働が遅れた場合や鋼材需要が変化した場合、予定通りのコスト削減効果や拡販効果が発揮されず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、主要工事の進捗確認を定期的に実施することで、計画的な実施を図っております。また、世界の経済状況や需要動向を常に注視し、変化が生じた場合には、当初の設備投資計画に対して、投資時期や規模等の適切な見直しを行います。
当社グループは、国内投資に加え、海外成長機会を捉えるための事業投資も推進しております。海外各国における政情や経済情勢の変動、合弁相手先企業の状況の変化等の不測の事態により、期待する収益の獲得や投資回収が困難となる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、世界の経済状況や需要動向を常に注視し、変化が生じた場合には、当初の事業投資計画に対して、投資時期や規模等の適切な見直しを行います。また、事業投資の意思決定の過程では、個社・各地域のリスク評価を行い、そのリスクに応じたフォローを行うことで、リスクの管理を図っております。
当社グループは、お客様の高度なご要望にお応えすることで、グローバルで戦うことができる技術力を磨いてまいりました。当社グループの収益基盤を維持・向上していくためには、今後も社会に貢献する世界最先端の新製品・新技術の開発・新規事業の探索を行っていく必要があります。これらが計画通り実施できなかった場合や各種環境変化により計画通りの効果が発揮されなかった場合、新商品の提供機会を逸することによる販売量の減少、十分な付加価値を付与できないことによる収益性の低下、受注機会の逸失等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、鉄鋼事業では自動車・インフラ建材・エネルギー分野を主軸とし、開発の加速化を図ってまいります。また、これまで以上にお客様のご要望を的確にとらえた開発を推進してまいります。例えば、自動車分野では、お客様との交流を深めてEVI(Early Vendor Involvement)を進化させ、先進ハイテンやその利用技術等の先端技術の提案を続けることで、鉄の価値創造に努めています。また、エンジニアリング事業ではプラントの自動運転・遠隔監視等、最先端のAI・IoTを活用した技術開発やエネルギーサービス等の新たな商品・サービスの提案を積極的に進めております。
更に、当社グループでは、技術開発の進捗状況のフォローを行い、市場環境の変化に応じた開発計画の見直しを適宜実施しております。
当社グループは、鉄鋼製品をはじめとした多種多様な製品・サービスをお客様に提供しています。当社グループの製品品質は品質設計・製造部門から独立した品質保証部門により確認し、また、品質保証体制は品質監査部門によりチェックを行うことで保証しておりますが、製品やサービス、品質管理体制等に問題が発生した場合には、補償金の支払いや、社会からの信用失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、グループ会社を含めて品質管理体制を統括する組織を本社内に設置し、品質不具合の撲滅に向けた体制構築を進めております。お客様へ提供する品質データについては、自動測定・伝送化を一層拡充することで、人為的なミスや改ざんの根絶に努めております。また、鋼材の中間素材の識別管理の強化、品質保証体制の社内診断による強化等により、お客様への異常材の流出の未然防止を図っております。
また、エンジニアリング事業における設備のEPC(設計・調達・建設)では、調達した建設資材および機器を使用して建設工事を行っており、設備引渡し後も一定期間は契約不適合責任を負っております。建設した設備において、契約不適合責任のある不具合が生じた場合、請負者の責任において改修工事を実施することになり、追加コストが発生する可能性があります。こうしたリスクに対しては、品質保証体制を整備し、調達品および工事の検査によってリスクの軽減を図っております。
エンジニアリング事業における設備のEPC(設計・調達・建設)では、プロジェクト遂行にあたり、資機材の購入、外注業者の起用を行っており、工期が数年間に及ぶプロジェクトもあります。また、運営型事業では、設備の運転に必要な電気・燃料等を購入しており、運営期間が20年間以上に及ぶ事業もあります。市況・景気変動に伴う建設資材費および外注労務費の変動は建設コストに、電気・燃料費等の変動は運営コストに影響を与え、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、受注前の段階(応札段階)においてリスクの洗い出しを実施し、契約条件への織り込み等の対策を行うことで、受注後の変動リスクの軽減を図っております。更に、受注後においては、プロジェクト経験者による第三者視点でのフォローを実施し、リスクを早期に発見し軽減するよう努めております。
(8)重大な労働災害(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
多様な事業を展開する当社グループの中には、高所作業、高温作業、重量物の運搬、ガス関連設備での作業等災害の発生率が比較的高い作業を行う職場もあります。当社グループは、高齢者や女性を含め、多様な人材が災害を被ることなく安心して働ける作業環境の整備を進めておりますが、万が一生産設備等の重大事故や重大な労働災害が発生した場合には、事業活動が制約を受け、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、各事業会社では重大事故・重大災害の撲滅に努めております。鉄鋼事業では、安全文化醸成の取り組みに先進的なデュポン社による安全に対する診断を行い、これに基づいた内部監査制度を導入しております。また、作業員が立入禁止区域に入ると警報を発して自動でラインを停止させるAI活用画像認知システムや、ガス濃度や重機との近接をリアルタイムでモニタリングして災害を未然に防ぐシステム等の導入を進めております。
当社グループは大量のCO2を排出する鉄鋼製造プロセスを有しており、当社グループの気候変動問題への対応は、当社グループの事業の持続性に関わる極めて重要な経営課題と認識しております。当社グループのカーボンニュートラルに向けた取り組みが十分でなかった場合や革新的な技術開発が達成できなかった場合は、コスト競争力を失う、お客様との取引が縮小する、資金調達が困難になる等により、国際的な競争力を失い、当社グループの業績等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、CO2排出量を2013年度比で2024年度末に約18%、また2030年度に30%以上削減すること、更に2050年にカーボンニュートラル実現を目指すことを経営目標として掲げ、達成に向けて社内の体制を整備し、迅速かつ効率的な推進を図っております。
また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業として「製鉄プロセスにおける水素活用」プロジェクトに参画し、高炉における水素還元技術開発、高炉排ガスの低炭素技術開発(カーボンリサイクル高炉、CCU(Carbon Capture and Utilization))、 直接水素還元技術開発、電気炉での不純物除去技術開発等の超革新技術の開発にも積極的に取り組んでおります。更に、2027~2030年頃に改修時期を迎える高炉を休止し高効率大型電気炉へプロセスを転換することを検討しているほか、電気炉での高品質鋼材製造に有効な低炭素還元鉄生産の事業化調査、CCS(Carbon Capture and Storage)の活用に向けた技術開発等、CO2排出量削減に向けて複線的な取り組みを進めております。
加えて、当社グループはマスバランス法を適用することにより鉄鋼製造プロセスにおけるCO2排出量を従来の製品より大幅に削減したグリーン鋼材「JGreeX™」の供給を2023年度上期より開始いたします。
一方、これらのカーボンニュートラルプロセスの導入には多大な技術開発費、設備投資費を要し、大幅な製造コストの上昇は不可避であると考えています。国家戦略として、「GX実現に向けた基本方針」や、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律により、脱炭素に向けた技術開発や設備投資に対する長期的かつ継続的な政府の支援がコミットされましたが、既に補助金という形で具体的な支援措置が示されている他鉄鋼生産国と同等の支援が得られない場合、更には既に国際的に高い水準にある日本の産業用電力価格が更に上昇する場合は、他国に対して日本の鉄鋼メーカーのコスト競争力が低下し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。カーボンニュートラル実現に向けては、低価格で大量のグリーン水素や国際的に競争力がある安価な非化石電力の調達が必要不可欠となりますが、これらが国際的に競争力のある価格で供給されない場合、環境価値が適切に鋼材価格へ反映されない場合にも当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これらを実行していく上では、社会全体でのコスト負担のあり方の検討や環境価値を適切に評価しグリーン調達を促すような政府等による更なる支援が必要と考えております。
なお、タクソノミーや炭素国境調整といった政策・制度においては、世界的な保護主義を招く懸念があり、脱炭素への円滑な移行を阻害する恐れがあります。また、グリーン鋼材に関して、国際機関や民間機関を含めて、世界各地で様々な基準や閾値、定義やCO2定量方法の基準が乱立している状況においては、国際的に取引されている鋼材貿易に混乱を引き起こす懸念があります。したがって、鉄鋼業におけるCO2排出量の測定手法やデータ収集に関しては国際的に共通の枠組みが必要であり、この点に関しては、2023年4月に開催されたG7(先進7か国)気候・エネルギー・環境大臣会合において、日本政府の提案に基づき、取り組みを進めることで合意がなされています。引き続き、政府や関係機関とともに、主要鉄鋼生産国との間で共通の手法を定めるための議論を深め、排出削減努力を適切に評価し正当な対価をいただける仕組み作りが進むよう、また、環境規制が適切な制度として制定されるよう、関係機関に働きかけてまいります。
大規模な地震・台風等の自然災害、新型インフルエンザ等感染症の急速な感染、戦争、内乱、暴動、テロ活動等は、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績等に影響を及ぼす可能性があります。例えば、新型コロナウイルス感染症のような感染症の大流行により、世界的な移動制限や都市部のロックダウン等が行われ、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、需要産業の生産水準が大幅に低下することにより販売数量が減少し、当社グループの業績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが事業活動を行っている地域において国際的な紛争等が発生した場合においても、需要産業の生産水準が大幅に低下することにより販売数量が減少し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。更に、大型台風により設備や建屋の損壊や製鉄所の浸水が生じた場合には、生産量の減少等により当社グループの業績等に影響する可能性があります。あるいは、当社グループの原料の調達先で港湾施設の機能停止により一定期間の生産・出荷停止が生じた場合には、生産量の減少等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
近年激甚化する国内の台風や豪雨に対しては、製鉄所内の排水設備の増強等を実施しております。また、原料の主要な調達先である海外での大規模気象災害に対しては、代替調達先の確保、調達ソースの分散、設備能力の増強を図ってまいります。なお、非常事態に対するBCPを策定しており、例えば大規模地震では、津波に対する避難場所の設置や、通信規制・停電等の状況下での全社指揮命令機能の維持、データのバックアップ等の対策を実施しております。また、新たな感染症のリスクに対しては、全従業員の健康と安全を第一に考え、安心して働けるよう、衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務等の柔軟な事業運営や、インフラ構築等の環境整備を進めるとともに対策検討チームを発足させ、迅速な対応をとる体制を構築しております。
当社グループはCO2の排出抑制効果の大きいエコプロダクトや環境配慮型技術を販売しております。自動車車体に適用されるハイテンは、アルミニウムや炭素繊維等の他素材と比べコスト優位性を有し、また軽量化にも貢献するため、他素材への置換は限定的と考えますが、他素材の大幅なコストダウンが実現した場合には鋼材需要が減少し、当社グループの業績に影響する可能性があります。これに対しては、継続的なコストダウンや性能向上に努め、他素材への置換を抑止するとともに、樹脂等の軽量素材を組み合わせたマルチマテリアル構造なども提案し、鉄と他の素材とを組合せた部材の開発を行い、素材としての持ち味をより引き出し、鉄の需要のすそ野を広げるとともに、軽量化へ貢献していきます。
当社グループは、事業を展開する上で、顧客および取引先の機密情報や個人情報、また、当社グループの機密情報や個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や改ざん等が無いように、グループ全体で徹底した管理を実行しております。過失や盗難、外部からの攻撃等によりこれらの情報が流出もしくは改ざんされた場合、技術優位性の喪失、損害賠償の発生、社会的な信用失墜等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループでは、情報管理の諸規定を制定することで、サイバー攻撃やシステムの不正利用による情報漏洩やシステム障害を防止する対策を実施しております。また、情報セキュリティを中心にITに関する重要課題を審議する「JFEグループ情報セキュリティ委員会」を設置し、そこで決定した方針に基づき、情報セキュリティ施策の立案と実施推進を図る社内チームである「JFE-SIRT」にてグループ全体の情報セキュリティ管理レベルの向上を推進しております。
当社グループは、成長する海外での需要を捕捉するため、鉄鋼事業・商社事業における現地の鋼材生産・加工ラインへの投資や現地鉄鋼会社との資本提携、エンジニアリング事業における新興国のインフラプロジェクトの受注等、積極的な海外事業展開を推進しております。事業実施地域における政治・経済情勢の変化、テロ・その他の動乱、法改定、大規模自然災害等の不測の事態が発生した場合、生産量の減少、資本提携先とのシナジー効果の減少、法令改定に起因した費用の発生、物流費の増大、連結財政状態計算書に計上したのれんの減損、受注プロジェクトの製造コストの変動等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、事業投融資の審査の過程で各国のリスクに応じた事業のリスク評価を行うことで慎重な投資判断を行うとともに、不測の事態が発生した場合の影響を軽減するために、監視体制の強化、現地での調達ソースの分散化等を図っております。
また商社事業では貿易取引を行っており、対象国の状況により輸出入ができなくなるリスクや、外貨事情等により相手国政府が対外送金を停止した場合の代金回収リスクを負う可能性があります。これに対しては貿易保険等を活用しております。
当社グループの業績は、為替レートの変動の影響を受けます。外貨建て取引による外貨の受け取り(製品輸出額等)と外貨の支払い(原材料輸入額等)で相殺されない部分がある場合、為替レートの変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、為替予約等を利用したヘッジ取引を適宜実施しております。
円安が進行した場合、円換算の原材料コストの上昇等を通じて当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、製品販売価格への反映を図ってまいります。
また、円高が進行した場合、自動車等の需要産業の輸出競争力低下による国内鋼材需要が減少すること、および当社グループの製品の海外市況における競争力が低下することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対しては、主に(1)、(5)に記した対応による国内鋼材シェアの確保、および海外での垂直分業体制や海外鉄鋼メーカーへの出資による鋼材の現地製造を進めることで、海外市場環境の変化に柔軟に対応するグローバル供給体制の確立を進めてまいります。
当社グループは、大規模な鉄鋼製品製造設備等、多くの固定資産を保有しております。当社グループが保有している固定資産について、収益性の低下等に伴い投資額の回収が見込めなくなった場合は、その資産の減損損失の計上を行うことにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、主に上記の(1)~(5)、(9)、(11)に記した対応により資産価値の維持向上に努めてまいります。
当社グループでは、国内の生産年齢人口の減少に伴い、労働力や有能な人材を確保するための各種施策の強化、人材育成による個々の能力向上、省力化による労働生産性向上に取り組んでおりますが、当社グループおよび当社グループのサプライチェーンを構築する企業において、労働力の確保や人材育成が十分でなかった場合、安定的な生産体制や競争力が損なわれることにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、ダイバーシティ&インクルージョンを経営課題として位置付け、採用ソースを拡大して多様な人材の確保・活用を図るとともに、多様な人材や意見を尊重する企業風土を醸成し、定着率や生産性の向上に努めてまいります。更に、職場環境の改善や各種制度の充実、IT技術の活用による省力化・効率化についても推進して労働力不足に対応してまいります。
また、適切な労務管理が行われなかった場合、人材の流出や当社グループの信用の著しい低下につながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、適正な労働時間管理や人権啓発研修の実施、ハラスメント相談窓口の設置等により未然防止を図っております。
当社グループは、事業活動に必要な個々の技術や商標の使用権利を保護する目的で、日本および海外諸国において多数の知的財産権を保有しております。当社グループにおいて事業を遂行する際には、当社外で保有されている知的財産権の調査を行い、その侵害を回避する対策をとっておりますが、万一、第三者より当社グループによる知的財産権の侵害を主張された場合、損害賠償金やロイヤリティの支払い、事業差し止め等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、第三者により当社グループの知的財産権が無効化される場合には、対象となる事業の競争力の低下等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、第三者により当社グループの知的財産権が侵害される場合や、社内外の情報保持者により知的財産情報が漏洩する場合には、技術・ブランド価値の低下や損害金の回収不履行等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、当社グループは海外を含めて当社外の知的財産権の調査・監視体制を強化することで、その侵害の未然防止を図っております。また、海外地域を重点的に重要技術の権利化を進めるとともに第三者による模倣技術・模倣品の監視体制を強化し、当社グループの知的財産権の侵害の抑止を図っております。更に、情報管理に対する社内教育の拡充、退職者等の守秘義務の管理強化を図っております。
当社グループの中核である鉄鋼事業は、大規模な設備を有しており、その設備の維持更新に多額の資本を必要とするため、財務健全性の維持が重要です。近年、減価償却費を上回る設備投資を行ってきたことから、有利子負債は高水準で推移しております。そのため金融市場の不安定化や金利上昇、また格付機関による当社信用格付の引下げがあった場合等には、資金調達の制約を受け資金調達コストが増加する可能性があります。
これらに対しては、財務管理指標としてDebt/EBITDA倍率やD/Eレシオを用いて、当社グループ全体並びに各事業会社の財務管理を行っております。また一部の借入金等について、金利スワップを利用したヘッジ取引を実施しております。足元では、有利子負債を削減するため、棚卸資産圧縮等によるCCC(Cash Conversion Cycle)の改善、保有株式の縮減等の資産圧縮および設備投資・投融資の優先順位見直し等を行い、財務健全性の維持に取り組んでおります。
当社グループが保有している株式等の価値が変動した場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、上場株式について、その株式保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを原則としており、上場会社株式の売却を進めております。
当社グループが保有する売上債権について、取引先の倒産により貸倒損失が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このため、徹底した与信管理を行っており、一部リスクの高い取引については信用保険を活用しております。
当社グループは、日本国内および事業展開する各国において、環境、労働・安全衛生、通商・貿易・為替、知的財産、租税、独占禁止法等の経済法規、建設業法等の事業関連法規、その他関連する様々な法令・公的規制の適用を受けております。これら法令・公的規制が厳格化された場合、(1)、(9)等で述べた影響の他にも、当社グループの事業活動が制約を受けることや対策費用が発生すること等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、内部統制体制の充実を図りこれら法令・公的規制の遵守に努めておりますが、これら規制等を遵守していないと判断された場合、行政処分を課される等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、法令の制定・改廃の検討段階での意見提出を行う等により、法令の適切な制定・改廃に向けた活動を継続してまいります。また、法令の制定・改廃が生じた場合には、当該法令に関する主管部署が業務への影響度を評価し、社内の関係部署に周知する体制を整えております。また、法令テーマ別にコンプライアンス研修を行い、定期的に従業員への周知・徹底を図っております。
当社グループは世界各国から原材料や資機材を調達しておりますが、これらのサプライチェーンにおいて人権問題が発生した場合、調達や生産への影響に加え、当社グループの信用の毀損につながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、人権尊重に関するグループ全体の考え方を示す方針として2018年に「JFEグループ人権基本方針」を定めるとともに、昨今の人権に関する意識や課題の変化を踏まえ、2023年4月に本方針を改正いたしました。各事業会社においては、「調達ガイドライン」や「調達基本方針」「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」等を制定し、人権尊重・法令遵守・環境保全に配慮した購買を行っております。また、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権デューディリジェンスも開始しており、今後、当社グループにおける人権リスクの特定、是正に向けた取り組みの検討および実行等のプロセスを継続してまいります。
(23)退職給付債務(鉄鋼事業・エンジニアリング事業・商社事業)
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。金利の変動、制度資産の公正価値の変動、および退職金制度の変更等があった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社および連結子会社は、多数の持分法適用関連会社を有しております。持分法適用関連会社の損失は、当社および連結子会社の持分比率に応じて、連結財務諸表に計上されます。また、当社および連結子会社は、持分法適用関連会社の回収可能価額が取得原価または帳簿価額を下回る場合、当該持分法適用関連会社の株式について減損損失を計上しなければならない可能性もあります。なお、当社および連結子会社は、一部の持分法適用関連会社の金銭債務に対して債務保証を行っておりますが、将来、これら債務保証の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対しては、持分法適用関連会社の収益向上の取り組みをモニタリングするとともに、必要な諸施策を実施し、リスク低減に努めております。
なお、現時点では予期できない上記以外の事象の発生により、当社グループの事業活動および業績等が影響を受ける可能性があります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況の概要は、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループにおける生産実績については鉄鋼事業の粗鋼生産量を、また受注実績についてはエンジニアリング事業の受注実績・受注残高を記載しております。
鉄鋼事業は、特定顧客からの受注については反復循環的に生産しているため、受注実績の記載を省略しております。エンジニアリング事業は、請負工事を中心としているため、生産実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。商社事業は、受注生産形態をとらない製品が多いため、生産実績・受注実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績は、以下のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、各販売先への当該割合が100分
10未満のため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、特に記載のあるものを除き、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。
重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」、重要な見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積りおよび仮定」に記載しております。
JFEグループは、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。」という企業理念の実践を通じて、企業としての持続的な成長を図り、株主の皆様をはじめすべてのステークホルダーにとっての企業価値の向上に努めてまいりました。
当連結会計年度の国内および海外経済は、総じて新型コロナウイルス感染症の影響による落ち込みからの回復の動きが続いたものの、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制、世界的なインフレ懸念の高まりや円安の進行もあり、物価上昇や供給面での制約等の影響が生じました。
このような状況のもと、JFEグループでは、主原料や諸物価の価格転嫁による販売価格改善や、高付加価値品比率を上昇させる取り組みとともに、構造改革や高炉改修等を着実に実施することで、収益基盤の強化を進めてまいりましたが、為替影響や棚卸資産評価差等の減益要因により、事業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益ともに前連結会計年度に比べ減益となりました。
当連結会計年度のセグメント別の業績は、以下のとおりです。
鉄鋼事業は、資機材費高騰や半導体等部品供給の制約等の影響もあり、国内外の鋼材需要および特に下期の鋼材市況が軟調に推移するなか、価格重視の姿勢を堅持した結果、当連結会計年度の連結粗鋼生産量は2,548万トンと前連結会計年度に比べ減少しました。売上収益については、販売数量は減少したものの、販売価格改善の取り組みや円安による為替影響等を受け、前連結会計年度に比べ7,077億円(22.3%)の増収となる3兆8,811億円となりました。セグメント利益については、販売価格の改善や継続的なコスト削減に取り組んだものの、原料価格高騰や為替影響に加え、棚卸資産評価差等の一過性の減益要因により1,468億円となり、前連結会計年度に比べ1,769億円(54.7%)の減益となりました。
エンジニアリング事業は、国内外の基幹インフラ分野を中心に積極的な受注活動を展開し、受注高は過去最高を更新しました。売上収益は前連結会計年度に比べ43億円(0.8%)の増収となる5,125億円、セグメント利益は資機材費高騰および欧州での個別工事損益の悪化等により、前連結会計年度に比べ126億円(48.2%)の減益となる134億円となりました。
商社事業は、鋼材の拡販に努めた結果、国内外の鋼材販売量が総じて堅調に推移したことに加え、前連結会計年度に比べ北米事業を中心に国内外において販売価格が上昇したことにより、年間の売上収益は前連結会計年度に比べ2,824億円(22.9%)の増収となる1兆5,141億円、セグメント利益は過去最高となる651億円となり、前連結会計年度に比べ92億円(16.3%)の増益となりました。
以上の結果、当社単体業績等と合わせ、当連結会計年度における連結での売上収益は5兆2,687億円となり、前連結会計年度に比べ9,036億円(20.7%)の増収となりました。事業利益は2,358億円となり、前連結会計年度に比べ1,806億円(43.4%)の減益となりました。税引前利益は2,102億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,626億円となり、前連結会計年度に比べそれぞれ1,783億円(45.9%)、1,254億円(43.6%)の減益となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動によるキャッシュ・フローが3,957億円の収入であったのに対し、投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産、無形資産及び投資不動産の取得による支出を中心として2,743億円の支出であったことから、これらを合計したフリー・キャッシュ・フローは1,214億円の収入となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出を中心として1,101億円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ135億円増加し、1兆8,629億円となり、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ176億円増加し、1,193億円となりました。
なお、有利子負債は、社債、借入金及びリース負債であります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の仕入、製造費用、受注建設工事の費用支払および販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、鉄鋼事業における収益向上、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の戦略投資および製造基盤整備を目的とした設備投資です。
運転資金は、主に金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパーの発行などにより調達しております。投資資金は、自己資金を基本としておりますが、自己資金を上回る資金需要については、金融機関からの長期借入金や社債の発行などで調達しております。
当社グループでは、複数の金融機関との間でコミットメントラインを設定することにより、十分な資金の流動性を確保しております。
c.目標とする指標の達成状況
JFEグループは、2021年5月に公表した第7次中期経営計画(2021~2024年度)の中で、以下の財務・収益目標を掲げています。
2022年度は主原料や諸物価の価格転嫁による販売価格改善や、高付加価値品比率を上昇させる取り組みとともに、構造改革や高炉改修等を着実に実施することで、収益基盤の強化を進めてまいりましたが、為替影響や棚卸資産評価差等の要因により、事業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益ともに前連結会計年度に比べ減益となりました。
2023年度におけるグループ全体の事業利益は、鉄鋼事業における構造改革完遂によるコスト削減の実現に加え、エンジニアリング事業における一過性の工事損失の影響がなくなること等もあり、2,900億円と当連結会計年度に比べ増益を見込んでおります。引き続き、第7次中期経営計画の目標達成に向けて取り組んでまいります。
■第7次中期経営計画
(注)1 D/Eレシオ:格付け評価上の資本性を持つ負債について、格付け機関の評価により資本に算入しております。
2 鉄鋼事業のトン当たり利益:(連結セグメント利益÷単体出荷数量)
なお、当連結会計年度の分析につきましては、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。
(注)上記の記載には、2023年5月8日の決算発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれております。
(注)1 ※1 東国製鋼㈱のグループ再編に伴い、2023年6月1日付で契約相手方が東国ホールディングス㈱となりました。
2 ※2 2022年10月21日付で契約相手方の名称が「広東韶鋼松山股份有限公司」から「広東中南鋼鉄股份有限公司」に変更されております。
3 ※3 当社および当社の完全子会社であるJFEスチール㈱と、JFEスチール㈱の連結子会社であるJFEコンテイナー㈱は、2022年5月6日開催のそれぞれの取締役会において、効力発生日を同年8月1日として、JFEスチール㈱を株式交換完全親会社、JFEコンテイナー㈱を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」)を行うことを決議し、JFEスチール㈱とJFEコンテイナー㈱との間で株式交換契約を締結いたしました。
①本株式交換の目的
JFEコンテイナー㈱がJFEスチール㈱の完全子会社となることで、JFEスチール㈱との一体経営を通じ、これまで以上に中長期的視野に立った機動的かつ迅速な意思決定を行い、両社の経営資源を最大限活用した経営課題への対応・成長戦略を推進し、両社の企業価値ひいてはJFEグループ全体の企業価値向上を図ることを主たる目的としております。
②本株式交換の方式および本株式交換に係る割当ての内容
JFEコンテイナー㈱の株主(JFEスチール㈱を除く)には、本株式交換の対価として、当社の普通株式が割り当てられました。本株式交換に係る割当ての内容は以下のとおりです。
(注)JFEコンテイナー㈱の普通株式1株に対して、当社の普通株式 3.90 株を割当交付いたしました。
③本株式交換に係る割当ての内容の根拠等
JFEスチール㈱およびJFEコンテイナー㈱は、本株式交換における株式交換比率(以下「本株式交換比率」)の算定にあたって、その公正性・妥当性を確保するため、それぞれ別個に、両社から独立した第三者算定機関に本株式交換比率の算定を依頼することとし、JFEスチール㈱はみずほ証券㈱を、JFEコンテイナー㈱はSMBC日興証券㈱を、それぞれの第三者算定機関に選任いたしました。
みずほ証券㈱は、当社およびJFEコンテイナー㈱については、両社が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価基準法を採用して算定を行うとともに、JFEコンテイナー㈱については、比較可能な上場類似企業が複数存在し、類似企業比較による株式価値の類推が可能であることから類似企業比較法を、加えて、将来の事業活動の状況を評価に反映するためディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」)を採用して算定を行いました。
一方、SMBC日興証券㈱は、当社およびJFEコンテイナー㈱については、両社が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価法を採用して算定を行うとともに、JFEコンテイナー㈱については、将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF法を採用して算定を行いました。
JFEスチール㈱は、第三者算定機関であるみずほ証券㈱から2022年5月2日付で受領した株式価値に関する算定書、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所からの助言、JFEコンテイナー㈱に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて慎重に交渉・協議を重ねた結果、本株式交換比率は妥当であり、当社の株主にとって不利益なものではないとの判断に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
他方、JFEコンテイナー㈱は、第三者算定機関であるSMBC日興証券㈱から2022年5月2日付で受領した株式価値に関する算定書、リーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業からの助言、当社に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果、JFEスチール㈱および当社との間で利害関係を有しない独立した委員から構成される特別委員会からの指示、助言等を踏まえて、JFEスチール㈱との間で複数回に亘り本株式交換比率を含む本株式交換の条件に係る交渉・協議を行うとともに、本株式交換比率により本株式交換を行うことについて慎重に交渉・協議を重ねた結果、本株式交換比率は妥当であり、JFEコンテイナー㈱の少数株主にとって不利益なものではないとの判断に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
このように、JFEスチール㈱およびJFEコンテイナー㈱は、本株式交換比率は当社およびJFEコンテイナー㈱のそれぞれの株主にとって妥当であり、それぞれの株主の利益を損ねるものではないとの判断に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことを決定いたしました。
④株式交換完全親会社となる会社の概要
⑤本株式交換の対価となる株式の発行会社の概要
4 ※4 合同会社CEPCO-Rは、中部電力㈱の連結子会社であります。
5 ※5 JFEエンジニアリング㈱は、月島機械㈱と国内水エンジニアリング事業(以下「本事業」)を統合すること(以下「本統合」)に合意いたしました。
なお、月島機械㈱は、2023年4月1日付で月島ホールディングス㈱に商号を変更しております。
➀本統合の背景および目的
国内水エンジニアリング分野の市場は堅調に推移していますが、人口減による市場規模の縮小および競争の激化等により事業環境が厳しくなることが予想され、対応技術とサービスの向上による競争力強化が急務と捉えています。
本統合により、永続的に水インフラを提供することで一層大きく社会への貢献を果たせると考え、2021年12月に基本合意書を締結して協議を重ね、両社対等の精神に則り、本事業を統合することを決定いたしました。
➁本統合の要旨
a.日程
2021年12月3日:基本合意書の締結
2022年12月5日:合弁契約の締結
2023年10月1日(予定):事業統合
b.方式
2023年10月(予定)、本事業を以下のとおり統合します。
JFEエンジニアリング㈱およびJFE環境テクノロジー㈱の本事業における設計・調達・建設事業および修繕事業を、月島ホールディングス㈱子会社の月島アクアソリューション㈱に分割します。
また、JFE環境テクノロジー㈱およびJFE環境サービス㈱の本事業における運転管理事業を、月島アクアソリューション㈱の運転管理子会社である月島テクノメンテサービス㈱に分割します。JFEアクアサービス機器㈱は、月島アクアソリューション㈱100%出資の子会社となります。なお、JFEエンジニアリング㈱の水道用鋼管事業と海外水エンジニアリング事業は、本統合の対象外です。
本統合に伴い、2023年10月1日付で各社の商号を変更する予定です。
・月島アクアソリューション㈱は、月島JFEアクアソリューション㈱に商号変更予定。
・月島テクノメンテサービス㈱は、月島ジェイテクノメンテサービス㈱に商号変更予定。
・JFEアクアサービス機器㈱は、月島ジェイアクアサービス機器㈱に商号変更予定。
c.条件
本統合は、関係当局の認可等を条件としております。
d.承継させる資産・負債の状況
JFEエンジニアリング㈱、JFE環境テクノロジー㈱、JFE環境サービス㈱は、本事業に係る資産、負債および権利義務を承継させます。
e.本統合に係る割当ての内容
JFEエンジニアリング㈱は月島JFEアクアソリューション㈱の株式を68万株保有することとなり、月島ホールディングス㈱は102万株保有することとなります。
f.算定根拠
JFEエンジニアリング㈱は、第三者算定機関から受領した株式割当比率に関する試算レポート、法務・財務アドバイザーの助言、月島機械(現:月島ホールディングス)グループに対して実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて月島機械㈱(現:月島ホールディングス㈱)と交渉・協議を重ね、上記割当ての内容を合意いたしました。
③統合会社の概要(予定)
商号:月島JFEアクアソリューション株式会社
本社所在地:東京都中央区晴海三丁目5番1号
代表者:代表取締役社長 鷹取 啓太
資本金:50億円
事業内容:上下水道施設の設計、建設、製造、販売
なお、2022年12月5日に締結した合弁契約に基づき、2023年6月27日に本統合に関する4つの吸収分割契約を締結いたしました。
・JFEエンジニアリング㈱と月島アクアソリューション㈱の間の吸収分割契約
対価:統合会社の株式622,400株
・JFE環境テクノロジー㈱と月島アクアソリューション㈱の間の吸収分割契約
対価:統合会社の株式8,100株(JFEエンジニアリング㈱に対し、剰余金の配当として交付)
・JFE環境テクノロジー㈱と月島テクノメンテサービス㈱の間の吸収分割契約
対価:統合会社の株式500株(JFEエンジニアリング㈱に対し、剰余金の配当として交付)
・JFE環境サービス㈱と月島テクノメンテサービス㈱の間の吸収分割契約
対価:統合会社の株式49,000株(JFEエンジニアリング㈱に対し、剰余金の配当として交付)
② 技術供与契約
(注)※1 水島合金鉄㈱は、2022年4月1日にJFEミネラル㈱を存続会社として、JFEミネラル㈱およびJFEマテリアル㈱と合併いたしました。当該合併に伴い、契約会社名が水島合金鉄㈱からJFEミネラル㈱に変更されております。
(注)※1 契約上の規定により、契約期間が延長されております。(延長前の契約期間:2002年4月8日から2022年4月7日まで)
当社および連結子会社(共同支配事業を含む)における主要な設備は以下のとおりであります。
(注) 1 帳簿価額は、日本基準に基づく金額を記載しております。
2 帳簿価額のうち「その他有形固定資産」は、工具、器具及び備品であります。
(注) 1 帳簿価額は、日本基準に基づく金額を記載しております。
2 帳簿価額のうち「その他有形固定資産」は、工具、器具及び備品、リース資産および建設仮勘定の合計額であります。
3 本社他には、本社、支社・営業所・海外事務所を含んでおります。
4 東日本製鉄所(千葉地区)・(京浜地区)、西日本製鉄所(倉敷地区)・(福山地区)、知多製造所、仙台製造所の帳簿価額にはスチール研究所を含んでおります。スチール研究所の従業員については、本社他に含んでおります。
(注) 1 帳簿価額は、日本基準に基づく金額を記載しております。
2 帳簿価額のうち「その他有形固定資産」は、工具、器具及び備品、リース資産および建設仮勘定の合計額であります。
3 鶴見製作所他には、鶴見製作所、本社および支店・営業所を含んでおります。
(注) 1 帳簿価額は、日本基準に基づく金額を記載しております。
2 帳簿価額のうち「その他有形固定資産」は、工具、器具及び備品およびリース資産の合計額であります。
(注) 1 帳簿価額は、日本基準に基づく金額を記載しております。
2 瀬戸内共同火力㈱は共同支配事業であります。同社の帳簿価額のうち、当社グループの持分に相当する金額を記載しております。なお、同社の従業員数は、連結会社の従業員数には含めていないため、記載しておりません。
3 帳簿価額のうち「その他有形固定資産」は、工具、器具及び備品、リース資産および建設仮勘定の合計額であります。
4 JFEミネラル㈱、JFEマテリアル㈱および前連結会計年度に記載しておりました水島合金鉄㈱の3社は、2022年4月1日にJFEミネラル㈱を存続会社として合併しております。
(注) 1 帳簿価額は、IFRSに基づく金額を記載しております。
2 フィリピン・シンター・コーポレーションの焼結工場の土地は賃借しております。
3 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品、使用権資産および建設仮勘定の合計額であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 新株予約権付社債に係る新株予約権の行使による増加であります。
(注) 自己株式が「個人その他」に328,621単元、「単元未満株式の状況」に63株含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)および株式会社日本カストディ銀行(信託口)の所有株式数には、信託業務に係る株式が含まれております。
2 上記のほか、当社は自己株式32,862千株を保有いたしております。
3 2022年7月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において(報告義務発生日2022年6月30日)、三井住友信託銀行株式会社を提出者として、3社の連名により以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができておりませんので、上記「大株主の状況」には含めておりません。なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。
4 2023年1月20日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において(報告義務発生日2023年1月13日)、株式会社みずほ銀行を提出者として、4社の連名により以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができておりませんので、上記「大株主の状況」には含めておりません。なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。