津田駒工業株式会社
(注) 1 経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益及び1株当たり当期純利益の△印は損失を示している。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については潜在株式がないため記載していない。
3 自己資本利益率については、第109期、第110期、第111期及び第112期は親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載していない。
4 株価収益率については、第109期、第110期、第111期及び第112期は1株当たり当期純損失を計上しているため記載していない。
5 平成30年6月1日付けで普通株式10株について1株の割合で株式併合を行っている。第108期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益(△は損失)を算定している。
6 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等を第112期の期首から適用しており、第112期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっている。
7 従業員数は就業人員数である。
(注) 1 経常利益、当期純利益及び1株当たり当期純利益の△印は損失を示している。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については潜在株式がないため記載していない。
3 自己資本利益率については、第109期、第110期、第111期及び第112期は当期純損失を計上しているため記載していない。
4 第109期、第110期、第111期及び第112期の株価収益率及び配当性向については、当期純損失を計上しているため記載していない。
5 平成30年6月1日付けで普通株式10株について1株の割合で株式併合を行っている。第108期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益(△は損失)を算定している。
6 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等を第112期の期首から適用しており、第112期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっている。
7 従業員数は就業人員数である。
8 最高株価及び最低株価は、令和4年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものである。それ以前は東京証券取引所市場第一部におけるものである。
当社グループは当社、子会社9社及び関連会社1社で構成され、繊維機械及び工作用機器の製造、販売を主な事業内容としている。当社グループの事業に関わる位置づけ及びセグメントとの関連は次のとおりである。
なお、以下の繊維機械事業、工作機械関連事業の2部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一の区分である。
繊維機械事業
繊維機械等……………当社が製造販売している。なお、製造については、電装部品の一部を共和電機工業㈱に委託している。
津田駒機械設備(上海)有限公司及びTSUDAKOMA SERVICE INDIA PRIVATE LIMITEDはアフターサービスを行っている。
津田駒機械製造(常熟)有限公司はウォータジェットルームの一部機種について、中国での製造・販売を行っている。
TSUDAKOMA Europe s.r.l.は繊維機械等の製品、部品の販売、アフターサービスを行っている。
準備機械については、当社が㈱T-Tech JapanにOEM供給した上で、当社及び㈱T-Tech Japanが販売している。
ツダコマ・ゼネラル・サービス㈱は主として当社製品の梱包業務、当社構内の警備、営繕業務並びに損害保険代理店業務を行っている。
ふぁみーゆツダコマ㈱は当社の庶務、軽作業の請負を行っている。
工作機械関連事業
工作用機器……………当社が製造販売している。なお、一部の製品の製造を共和電機工業㈱に委託している。
ツダコマテクノサポート㈱は、工作用機器の製品の修理、アフターサービスを行っている。
事業の系統図は次のとおりである。

経緯津田駒紡織機械(咸陽)有限公司は、令和2年9月に解散決議し、現在清算中のため、事業系統図には記載していない。
(注) 1 議決権の所有割合の( )は、間接所有割合である。
2 上記のうち、共和電機工業(株)及び津田駒機械製造(常熟)有限公司は特定子会社である。
3 上記のうち、有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はない。
令和4年11月30日現在
(注) 1 従業員数は就業人員である。
2 前連結会計年度末に比べ、従業員数が113名減少している。これは主に当社において希望退職者の募集を行ったことなどによるものである。
令和4年11月30日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であり、当社から関係会社等への出向者29名を含んでいない。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。
3 前事業年度末に比べ、従業員数が106名減少している。これは主に希望退職者の募集を行ったことなどによるものである。
(3) 労働組合の状況
当社グループのうち、労働組合を組織しているのは当社、ツダコマ・ゼネラル・サービス㈱及び共和電機工業㈱であり、ともにJAMに属している。組合員数は令和4年11月30日現在当社が691名、共和電機工業㈱が184名、ツダコマ・ゼネラル・サービス㈱が30名である。
なお、労使関係について特に記載すべき事項はない。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「われわれはつねに最高の品質をめざし社会に貢献する」の社是のもと、世界最高の技術と品質を究めたモノづくりと、公正な企業活動を通じて産業の発展に寄与し、安全で豊かな市民生活と持続可能な世界の実現に寄与することを経営の基本方針としている。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2021年~2023年の3カ年をターゲットにして、連結売上高560億円、営業利益率10%の達成を目標とした「中期経営計画2023」に取り組んでいる。新製品を市場投入して売上・シェアの拡大、徹底した生産の効率化とコストダウンを図り、投資家の皆さまへの利益還元を実現する企業体質への転換を図っていく。
(3)経営環境及び対処すべき課題
(事業構造)
当社グループの事業構造は、超高速ジェットルーム及びその周辺準備機械等を中心とする繊維機械事業と、NC円テーブルやマシンバイス等を中心とする工作機械関連事業を主力事業としている。また、新規の事業開拓として、炭素繊維複合素材の自動加工装置を開発販売するコンポジット機械事業、ロボットインテグレーションシステムの開発・提供を行うTRI(ツダコマ・ロボティック・インテグレーション)事業、航空機部品加工事業等を展開している。
(市場の状況)
繊維機械事業では、中国やインドを中心とした新興国市場が大きな比率を占めている。こうした市場に対し、使いやすく、生産性と環境性能が優れた機械の提供を行うとともに、市場特性に合わせたきめ細かな製品仕様の展開とサービスの提供を強みとしている。
工作機械関連事業では、工作機械業界、自動車業界、電子機器・通信等のEMS業界を主力市場として、加工特性に最適な3つの駆動方式をラインアップした唯一のメーカーとして高精度NC円テーブルを提供している。
コンポジット機械事業は、航空機業界向けに革新的な加工装置を開発し参入したが、昨今の航空機業界の不振等により大きな拡大には至っていない。一方、自動車・一般機械分野でも炭素繊維複合素材の利用拡大の動きが出はじめており、国内研究機関とともに共同研究・製品開発を進めている。
(経営戦略等)
新型コロナウイルス感染拡大の影響が残る中、原材料価格の高騰、半導体・電装部品を中心とする部品不足、ロシア・ウクライナ情勢や物流の混乱、欧米経済のインフレ懸念、円安の進行による物価上昇など、景気の先行きに不透明感が広がってきた。
当社グループは、後述の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、2021年から2023年の3カ年をターゲットとした「中期経営計画2023」を策定し、取り組んでいる。詳細は後述の「(4)中期的な会社の経営戦略」に記載のとおりであるが、収益体質への転換を確実なものとするとともに、さらにその先の時代の変化を見越した技術・製品の開発を進めていく。
繊維機械事業は、市場投入を行った新型機種の販売拡大に注力していく。特に新型エアジェットルームは、仕様拡大を進めるとともに、ターゲットとする市場でのモデル工場拡大やプライベート展の開催等を通して、市場認知の向上と受注の獲得を図っていく。ウォータジェットルームは、本社で生産する新型モデルの販売を強化するとともに、販売・生産体制が整ってきた中国子会社 津田駒機械製造(常熟)有限公司を活用して、中国のボリュームゾーンの取り込みを図っていく。
工作機械関連事業では、自動車業界、工作機械業界の需要動向を的確に判断し、最適な製品の提供を図っていく。特にEV化へのシフトが進む自動車業界の需要に対応するため、汎用機種の生産拡大など新たな製品構成への転換を進めていく。また、国内向けに販売が好調なマシンバイスは、新製品を市場投入し、一層の販売拡大を目指す。
生産面では、特に新型エアジェットルームの効率的な生産体制の構築に注力していく。また、すべての事業において徹底したコストダウン、経費の圧縮を行い、利益確保を図っていく。
(4)中期的な会社の経営戦略~「中期経営計画2023」について~
当社グループは、2021年度から2023年度をターゲットにして、連結売上高560億円、営業利益率10%の達成を目標とした「中期経営計画2023」に取り組んでいる。長引く景気停滞の影響から目標との乖離はあるものの、基本的な方向性は変更せず、計画進捗の管理を徹底して、繊維機械事業の黒字化と継続的な利益確保ができる事業体質の構築に注力していく。また、工作機械関連事業をはじめ、コンポジット機械事業など非繊維機械の事業分野の拡大を図っていく。
製造業の原点である「顧客第一」に立ち返り、顧客に最適なソリューションを提案していくためには、我々の製品・サポート・サービスがどうあるべきかを見つめなおし、顧客の満足を得られ続けることができる企業への変革を目指していく。また、各部門における課題の解決や生産・業務効率の向上を進めるため、全社的にDXへの取り組みを強化し、収益性の向上を図っていく。
繊維機械事業では2021年に発表した新型エアジェットルーム・ウォータジェットルームやサイジングマシンを中心に積極的な販売促進活動を展開した。新型エアジェットルームは、主要市場及び織物分野別にモデル工場が本格稼働を始めており、市場に高生産性、省エネ性能を広く浸透させ、市場への普及、拡大を加速している。新型ウォータジェットルームは、中国及び台湾市場を中心に当社の高性能ウォータジェットルームの需要が高まっており、受注が増加している。また、非衣料分野への取り組みも始めている。
工作機械関連事業では、自動車業界において、EVへの市場トレンドの移行にともない、汎用NC円テーブルのラインアップの拡充を図っている。
2023年度は、「2 事業等のリスク ⑥継続企業の前提に関する重要事象等」で記載のとおり、重点施策を確実に実行していく。
当社グループは、輸出比率が高く、米中間の政治・経済対立や欧米経済のインフレ懸念、為替相場の変動などの国際経済の影響に加え、取引相手国の政治状況・経済政策の影響も受けざるを得ない。また、主要市場である中国での新型コロナウイルス感染拡大に加え、サプライチェーン問題による部材の長納期化や世界的な物流の混乱なども重大なリスクとなっている。このような状況から、主に次の要因が当社グループの経営成績に影響を及ぼすリスクと考えている。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。
①米中間の政治・経済対立
特に繊維機械事業における主力市場の中国では、米国が重要な繊維製品の輸出相手国となっており、米中間での政治的な対立や、米中貿易摩擦・追加関税引き上げにより、繊維製品輸出が減少すると設備投資に影響が及ぶ。一方、こうした環境の中で、中国から隣国等への生産拠点の移動現象も見られ、新たな商機と捉えていく。
②欧米経済のインフレ懸念、為替変動や金利上昇リスク
欧米経済のインフレの進展やそれに伴う金利上昇により、世界各国・地域の経済成長が減速し、顧客の設備投資に対する判断が慎重になるなどの影響を受ける懸念がある。当社は輸出にあたっては、為替リスクを回避する手段として、円建て契約を基本としているが、急激な円高は相手側の円調達リスクとなる。また、当社客先とその最終仕向国の間の為替変動による資金調達リスクが、当社顧客の設備投資に影響する。
③新型コロナウイルスの感染状況
繊維機械事業では、営業面において、主要市場の中国市場でのゼロコロナ政策による都市封鎖(ロックダウン)で、販売活動及び客先での実機試験など対面を要求される活動が大幅に制限される。また、当社顧客においても経済面での停滞により、当社製品への投資が慎重になっている。
④半導体等、基幹部品の長納期化及び価格の高騰リスク
当社製品の主要素材である半導体をはじめとする原材料の供給不足やサプライチェーンの混乱により、生産の減速、納期の遅延が生ずるリスクがある。また、主要素材である金属類、半導体等の価格高騰に加え、災害によるサプライチェーンの寸断や国際的な需給バランスの変動も調達コストの上昇リスクとなる。サプライチェーンの多様化により、リスクの解消を図っている。また、原材料価格の高騰を反映した販売価格を顧客に提案することで、採算性の改善を図っていく。
⑤海上輸送運賃やエネルギー価格の高騰リスク
当社は、主に船便によるコンテナ輸送で当社製品を顧客へ引渡しを行っている。コンテナ不足による物流停滞は、海上輸送運賃の高騰を引き起こし、輸出契約時に見込んでいた海上輸送運賃を上回る費用が発生するリスクとなる。原油・電力等のエネルギー価格の高騰は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える。エネルギー価格の高騰等に対し、販売価格への転換をすすめ、採算性の改善を図っていく。
⑥継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、令和元年11月期以降4期連続で営業損失を計上することとなった。令和2年11月期、令和3年11月期は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による需要の急激な冷え込みとともに、主力市場における経済活動の停滞、海外渡航制限による営業活動の自粛等から、令和2年11月期の受注高は21,784百万円(前期比22.8%減少)、売上高は20,851百万円(前期比44.7%減少)となった。令和3年11月期の受注高及び売上高は前期比増加したものの、受注高は29,361百万円、売上高は27,796百万円となった。令和2年11月期の営業損失は4,484百万円、令和3年11月期は3,723百万円となっている。令和4年11月期については、繊維機械事業において受注は回復、拡大したが、生産・売上が低水準で推移したことに加え、原材料価格等のコスト上昇もあり、営業損失2,497百万円を計上している。そのような中、令和4年11月期には希望退職を実施し、人件費等固定費の削減を行うことにより、損益分岐点の引き下げ、受注の変動に耐えうる企業体質への転換を進めた。
令和5年11月期についても、取り巻く環境に不透明感が増す中、継続的に営業キャッシュ・フローを確保するにはいましばらくの時間を要することが見込まれる。このような状況から、当社グループには、引き続き継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。
当社グループは、2021年度から2023年度をターゲットとする「中期経営計画2023」を策定しているが、このような状況を解消し、健全な企業活動を継続するために、特に2023年度においては、以下の点を重点項目として取り組んでいく。
繊維機械事業の受注・売上拡大
繊維機械事業では、主力市場のインド市場、中国市場でのL/C(信用状)の開設が進み、受注は拡大している。引き続き、商談・成約案件を確実に受注・売上に結び付けるとともに、その他の市場も開拓し、下記の取り組みを通して、さらなる拡大を図る。
a. 新型エアジェットルーム ZAX001neoの販売促進
主要市場および織物分野別にモデル工場が本格稼働を始めており、これにより市場に高生産性、省エネ性能を広く浸透させ、ZAX001neoシリーズの市場への普及、拡大を加速している。特に設備の近代化を進めているインド市場では成約・受注を大きく伸ばしている。2023年度に入り、2022年12月に同国で開催された国際繊維機械展においても高い評価を得て、引き合い、商談件数も拡大している。また、仕様拡大のための開発も進めている。
b. 新型ウォータジェットルームの販売強化と中国内需向けボリュームゾーンの市場確保
世界経済のコロナ禍からの回復を背景に、中国及び台湾市場を中心に当社の高性能ウォータジェットルームの需要が高まっており、新型ウォータジェットルームZW8200の受注が増加している。また、中国市場を中心に、非衣料分野への取り組みも始めている。
中国市場における市場シェアを確保するため、中国子会社 津田駒機械製造(常熟)有限公司の製品ラインアップを刷新し、新たにウォータジェットルームZW8001の販売を開始した。すでに生産も開始しており、中国内需向けボリュームゾーンの拡大を図っていく。
c. 準備機械の販売体制見直しによる販売促進
ウォータジェットルームと同様に当社の強みであるサイジングマシン(準備機械)については、販売会社の株式会社T-Tech Japanに対するバックアップ体制を強化し、販売拡大を図る。すでに販売員を増員、販促活動を強化するとともに、各市場での販促セミナーも開始しており、サイジングマシンの受注が増加している。
繊維機械事業における採算性の改善
a. 販売価格の改定
採算性を改善するために、原材料や海上輸送運賃の高騰などを反映した販売価格の改善を推進してきたが、今後は更に、製造コストの変動をタイムリーに把握し、それを反映した適正な販売価格の構築を強力に進めていく。
b. 新基幹システムの活用
新基幹システムの機能を活用し、詳細な製造コストの把握、生産性の向上、調達・生産改革を通じた利益改善及び在庫適正化を進めている。
工作機械関連事業の受注・売上の拡大、採算性向上
工作機械関連事業では、取り巻く環境は徐々に不透明感が増しているが、自動車業界のEVシフトや航空宇宙産業の拡大、クリーンエネルギー発電への需要など、中期的には成長分野であると捉えている。これまで当社が培ってきた要素技術やノウハウを活かし、産業構造や加工技術の変化に対応しながら、顧客の要望に応える製品の投入を進めていく。
a. 自動車業界のEVシフトに対応した製品の販売促進
工作機械関連事業においては、当社の主要な納入先の自動車業界ではエンジン車の生産は当面継続すると予想されるが、エンジンからEVへの市場トレンドの移行に伴い、生産設備も両方に対応したスペックでの導入が進んでいる。今後は、より汎用性を持たせたマシニングセンターでの加工が主流となり、当社でも汎用NC円テーブルの割合が増加している。汎用NC円テーブルのラインアップの拡充を図り、受注の拡大を図る。また、部品の共通化を主眼とした開発(プラットフォーム)手法により、迅速に製品供給できるよう効率的な生産管理体制を構築している。
b. 新しい産業分野・加工技術・省人化に対応する新製品の迅速な開発と市場投入
今後拡大が見込まれる航空宇宙産業やクリーンエネルギー発電などでは、当社が得意とする大型NC円テーブルの需要が期待される。顧客の要望に沿った大型ワークの高精度加工に対応すべく、新機種の市場投入を進め、需要の取り込みを行っていく。
また、11月に開催されたJIMTOF(日本国際工作機械見本市)において、工程集約、自動化対応の新型ダイレクトドライブNC傾斜円テーブルや5軸加工に対応した新型バイスの出展を行い、販売を開始している。今後も省人化に対応した加工設備の拡大が見込まれる中、柔軟な生産対応で、短納期で製品を納入できる体制を構築し、需要の拡大を図っていく。
DXへの取り組み強化
各部門における課題の解決や生産・業務効率の向上を進めるため、全社的にDXへの取り組みを強化し、収益性の向上を図っていく。
キャッシュ・フロー確保に向けた対応策
資金計画については、令和5年度の通期予算を基礎に策定している。通期予算等は、最近の受注高および受注見込額の推移、過去の売上の推移による趨勢を検討の上、収益予測を行っている。また、コスト・費用面においても通期予算を基に計算しているが、更にコストダウン計画の遂行、経費節減の徹底によって改善を図っていく。なお、資金計画には主要金融機関からの借入更新が含まれている。
取引金融機関とは、定期的に資金計画及び中期経営計画の進捗状況の説明を行うなど、緊密な関係を維持している。また、令和4年3月に新たに取引金融機関2行とコミットメントライン契約等を締結し、総額20億円を極度額とする融資枠を設定した。なお、令和4年6月に希望退職等の資金として8億円の借入を行っている。
また、売却の意思決定を行った政策保有株式について、相手企業との同意の内容や株式相場を勘案したうえで売却を実施している。
これらの施策により、主要金融機関からの支援等の対応策を含めて資金計画を検討した結果、翌事業年度末までの資金繰りに懸念は無いと判断している。
以上のことから、当社グループは、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断している。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等を適用している。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前期比(%)を記載せずに説明している。
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中、原材料価格の高騰や半導体・電装部品を中心とする部品不足、ロシア・ウクライナ情勢や物流の混乱、欧米経済のインフレ懸念、円安の進行による物価の上昇など、景気の先行きには不透明感が広がってきた。
こうした中、当社グループは、2021年度から2023年度をターゲットにした「中期経営計画2023」を基本に、市場の変化に対応しながら、受注・売上の拡大に向けて取り組んだ。また、受注の変動に耐えうる企業体質への転換を進めるため、希望退職を実施し、人件費等の固定費削減による損益分岐点の引き下げも行った。
繊維機械事業では、市場は総じて回復傾向にある中、新型エアジェットルーム・ウォータジェットルームやサイジングマシンの販売促進に注力し、受注を拡大した。一方、売上では、前連結会計年度の受注減による生産の減少や購入部品の納期遅れに伴う生産調整により、翌連結会計年度へのずれ込みもあり、当初の計画を下回った。
工作機械関連事業では、当連結会計年度の後半に入り国内市場、海外市場ともに先行き不透明感が出てきたものの、当連結会計年度を通しては概ね堅調に推移した。
両事業とも、原材料価格等の高騰によるコストの上昇や購入部品の長納期化による生産への影響がある中、変化に対応した柔軟な生産計画の策定、生産効率の向上、コストダウン活動の推進のため、調達部と生産技術部を統合する組織変更を行い、迅速な意思決定が行えるよう対応した。また、購入部品の長納期化に対しては、協力企業との情報交換を密にするなどの対応も行っている。
この結果、全体の受注高は37,443百万円(前期 29,361百万円)となった。なお、当期末の受注残高は14,532百万円(前期末 8,277百万円)になっている。
一方、売上高は、繊維機械事業が低水準で推移したことから、31,189百万円(前期 27,796百万円)にとどまった。
損益面では、工作機械関連事業では利益を確保したものの、繊維機械事業で生産・売上が低水準であったことに加え、原材料価格や海上輸送運賃等の急激な高騰に対し、販売価格への転嫁やコストダウン活動が追い付かず、全体では営業損失は2,497百万円(前期 営業損失3,723百万円)、経常損失は2,583百万円(前期 経常損失3,605百万円)となった。特別利益では、資本政策として政策保有株式の売却を進め、投資有価証券売却益315百万円を計上した一方、特別損失では、希望退職実施に伴う特別加算金170百万円を計上している。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2,567百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失4,495百万円)となった。
セグメント別の状況は下記のとおりです。
(繊維機械事業)
繊維機械事業では、中心市場の中国市場においてゼロコロナ政策による都市封鎖(ロックダウン)の影響から営業活動の制限、一部商談の停滞を余儀なくされたものの、2021年に発表した新型エアジェットルーム・ウォータジェットルームやサイジングマシンを中心に積極的な販売促進活動を展開した。また、堅調な内需を背景に設備の近代化投資を進めているインド市場においても、新型エアジェットルームやサイジングマシンの販売促進活動を展開した。
新型エアジェットルームは、特に綿織物が盛んなインド市場で多くの引き合いを得て、成約を積み増し、受注も増加した。また、中国市場においても、2021年に出展した国際繊維機械見本市やプライベート展の効果、モデル工場での集団稼働の実績も評価され、受注は回復している。新型ウォータジェットルームは、中国市場で輸出向けの高品位織物製織用の需要が高まり、第2四半期以降、引き合い、成約、受注は上向きとなっている。準備機械では、販促セミナーの開催なども進めており、昨年発表した新型スパン用サイジングマシン中心に、中国、インド、パキスタン、インドネシア等で高い評価を得ており、受注の増加につながっている。
コンポジット機械事業については、航空機業界でコロナ禍からの回復の兆しが出てきているものの、炭素繊維加工設備の需要は依然低調に推移した。一方、TRI(ツダコマ・ロボティック・インテグレーション)関連では、ロボットを活用した自動化ニーズは強く、受注の取り込みを図っている。
この結果、受注高は30,617百万円(前期23,421百万円)となった。
一方、売上高は、前年度の受注減による生産の減少や購入部品の納期遅れに伴う生産調整の影響に加え、船積みの遅れ等による次期へのずれ込みもあり、24,395百万円(前期22,293百万円)にとどまった。損益面では、原材料価格や海上輸送運賃等の急激な高騰に対し、販売価格への転嫁やコストダウン活動を進めたものの追い付かず、営業損失は2,179百万円(前期 営業損失2,504百万円)となった。
(工作機械関連事業)
工作機械関連事業では、好調に推移していた国内・海外工作機械業界において、当連結会計年度の後半には半導体などの部材の不足、長納期化などの影響から設備投資計画の延期・中止が見られるなど、先行きには不透明感が出てきたが、当連結会計年度を通してはおおむね堅調に推移した。海外市場では、北米市場は総じて堅調に推移し、中国市場でEMS業界向けは一服感があるものの、自動車部品加工業界でEV化を視野に入れた設備投資が活発化している。当社製品もEV部品加工用に継続して採用されており、今後この分野での成長を見込んでいる。
この結果、受注高は6,825百万円(前期5,940百万円)、売上高は6,793百万円(前期5,502百万円)となった。損益面では、生産・売上が増加したことに加え、販売価格の改訂を進めたことや原低活動の効果もあり、営業利益は825百万円(前期29百万円)となった。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,253百万円増加し33,578百万円となった。主な増減は、生産増加により原材料及び貯蔵品、仕掛品が増加したこと等によるものである。負債は、前連結会計年度末に比べ3,341百万円増加し30,414百万円となった。主な増減は、長期借入金の返済の一方、短期借入金の借入、生産増加による仕入債務の増加等によるものである。純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失2,567百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,088百万円減少し3,164百万円となり、自己資本比率は9.08%となった。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,480百万円減少し3,390百万円になった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失2,437百万円の計上などによりマイナス1,875百万円となった。(前期 マイナス2,905百万円)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入494百万円があったものの、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出578百万円などによりマイナス60百万円となった。(前期 マイナス626百万円)
(財務活動によりキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動におけるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出755百万円があったものの、短期借入金の借入による収入1,107百万円などにより352百万円となった。(前期 1,525百万円)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りである。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次の通りである。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りである。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去している。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。
経営成績
当社グループは、売上高に占める輸出比率が高く、また主力の繊維機械事業ではインドや中国など、持続的な成長を図るための様々な経済改革を進める市場が売上の中心となっており、世界経済や国際政治あるいは各国の経済・金融政策の動向に大きな影響を受けざるを得ない。
こうした環境において、当社グループは、2021年から2023年度をターゲットとした「中期経営計画2023」に取り組んでいる。
当連結会計年度の当社グループの経営成績は、(1)経営成績等の状況の概要に記載したとおりであるが、工作機械関連事業では利益を確保したものの、繊維機械事業で生産・売上が低水準であったことに加え、原材料価格や海上運送運賃等の急激な高騰に対し、販売価格への転嫁やコストダウン活動が追いつかなかったこと等から、連結売上高、営業利益率共に目標の達成には至らなかった。全体では、受注高は37,443百万円(前期 29,361百万円)、受注残高は14,532百万円(前期 8,277百万円)となった。売上高は31,189百万円(前期 27,796百万円)となった。損益面では、生産・売上は前期比増加し、売上原価率は前期比3.5%改善し89.6%となった。販売費及び一般管理費は売上が増加し販売手数料や荷造運送費等の増加により前連結会計年度に比べ99百万円増加し5,746百万円となった。その結果、営業損失2,497百万円(前期 営業損失3,723百万円)となった。
営業外収益では、受取配当金、為替差益、補助金収入の計上等により122百万円となった。一方、営業外費用は、支払利息、支払手数料等により208百万円となった。特別利益では、政策保有株式の売却を進め、投資有価証券売却益の計上で315百万円となった。特別損失では、希望退職実施に伴う特別退職加算金等の計上等で170百万円となった。セグメント別では、繊維機械事業では、受注高は30,617百万円(前期 23,421百万円)、売上高は24,395百万円(前期 22,293百万円)、営業損失2,179百万円(前期 営業損失2,504百万円)となった。工作機械関連事業では、受注高は6,825百万円(前期 5,940百万円)、売上高は6,793百万円(前期 5,502百万円)、営業利益825百万円(前期 営業利益29百万円)となった。
財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,253百万円増加し33,578百万円となった。主な増減は、生産の増加により原材料及び貯蔵品、仕掛品が増加したこと等によるものである。負債は、前連結会計年度末に比べ3,341百万円増加し30,414百万円となった。主な増減は、長期借入金の返済の一方、短期借入金の借入、生産の増加による仕入債務の増加等によるものである。純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失2,567百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,088百万円減少し3,164百万円となり、自己資本比率は9.08%となった。
当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、投資有価証券の売却及び短期借入金の借入による収入があったものの、税金等調整前当期純損失の計上、長期借入金の返済、有形無形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比べ1,480百万円減少し3,390百万円となった。詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りである。
当社グループの運転資金需要は主に、原材料及び部品等の購入費用、製造費、販売及び一般管理費等の営業費用である。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備である。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としている。
運転資金は自己資金及び金融機関等からの借入により調達しており、設備投資資金は自己資金を充当している。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成している。この連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりである。
連結財務諸表の作成にあたり、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した見積りが含まれているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載している。
該当事項はない。
当社連結グループにおける主要な設備は、次のとおりである。
令和4年11月30日現在
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は工具、器具及び備品で建設仮勘定は含んでいない。
2 現在休止中の主要な設備はない。
令和4年11月30日現在
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は工具、器具及び備品で建設仮勘定は含んでいない。
2 現在休止中の主要な設備はない。
該当事項はない。
該当事項はない。
(注) 1.平成30年2月23日開催の定時株主総会の決議により、資本準備金を2,600百万円減少し、その同額をその他資本剰余金に振り替えている。また、振り替えたその他資本剰余金2,600百万円のうち、2,224百万円を繰越利益剰余金に振り替え、欠損填補を行っている。
2.平成30年2月23日開催の第107回定時株主総会決議に基づき、平成30年6月1日付で単元株式数の変更(1,000株から100株に変更)及び株式併合(10株を1株に併合)を行っており、発行済株式総数残高は61,267,997株減少し、6,807,555株となっている。
令和4年11月30日現在
(注) 1 自己株式419,243株は「個人その他」に、4,192単元、「単元未満株式の状況」に43株含まれている。
2 「その他の法人」には証券保管振替機構名義の株式が、5単元含まれている。
令和4年11月30日現在
(注) 1 上記所有株式数のうち信託業務に係る株式数は次のとおりである。
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 710千株
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 324千株
2 上記のほか当社所有の自己株式419千株(発行済株式総数に対する所有株式数の割合6.16%)がある。
3 平成30年4月5日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、株式会社ポートフォリアが平成30年3月30日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として令和4年11月30日現在の実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めていない。
なお、その大量保有報告書の変更報告書の内容は以下のとおりである。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものである。
当社グループは、当社は製品及びサービスの類似性を基準とした事業部門を設置し、包括的な戦略を立案しており、子会社は子会社ごとに包括的な戦略を立案し、事業活動を展開している。
したがって、当社グループは、当社の事業部門を基礎とし、製品及びサービスの類似性を勘案し、「繊維機械事業」、「工作機械関連事業」の2つを報告セグメントとしている。
各報告セグメントの主な事業内容は、以下のとおりである。