オルガノ株式会社
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 当社は、2022年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。第74期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
3 役員向け株式交付信託が保有する当社普通株式を、1株当たり純資産額の算定上、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めております。また、1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第77期の期首から適用しており、第77期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 当社は、2022年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。第74期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
3 第78期の1株当たり配当額149.00円は、中間配当額116.00円と期末配当額33.00円の合計となります。2022年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っておりますので、中間配当額116.00円は株式分割前の配当額(株式分割を考慮した場合の中間配当額は29.00円)、期末配当額33.00円は株式分割後の配当額となります。(株式分割を考慮した場合の1株当たり年間配当額は62.00円となります。)
4 役員向け株式交付信託が保有する当社普通株式を、1株当たり純資産額の算定上、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めております。また、1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
5 株主総利回りの算定にあたっては、株式分割による影響を考慮しております。
6 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。なお、第78期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式分割前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載しております。
7 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第77期の期首から適用しており、第77期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループは、当社、子会社13社、関連会社1社及び親会社(東ソー(株))で構成され、総合水処理エンジニアリング会社として水処理エンジニアリング事業と機能商品事業を行っております。
当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
・親会社
当社は東ソー(株)から水処理薬品の原材料の一部などの仕入れを行うとともに、同社に対し各種水処理装置及び関連薬品を販売するなどの取引を行っております。
この他に、化学プラント工事等を行っている東北電機鉄工(株)があります。
事業の系統図は次のとおりであります。

(注) 1 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称等を記載しております。
2 東ソー㈱は支配力基準に基づく親会社であり、有価証券報告書の提出会社であります。
3 議決権の所有(被所有)割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
4 オルガノ・テクノロジー有限公司は売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
提出会社の労働組合は、オルガノ労働組合と称し、日本化学エネルギー産業労働組合連合会に加盟しております。なお、2023年3月31日現在の組合員数は573名であり、労使関係は安定しております。
① 提出会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 契約社員及び嘱託社員を含み、パートタイマーを除きます。
② 連結子会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 契約社員及び嘱託社員を含み、パートタイマーを除きます。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
■ 経営理念・長期経営ビジョン
当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。
(2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等
① 経営環境
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、米国と中国をめぐる各種の摩擦や中国・台湾の問題など地政学的なリスクの拡大に加え、新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大、気候変動によるさまざまな影響の深刻化が懸念されるなど、社会・経済の先行きに対する不確実性や予測の困難性が非常に高い環境にあると言えます。これからのオルガノが向かう事業の方向性はこうした変化に沿って考える必要がありますが、水に関わる事業を展開する当社にとって、気候変動や環境保全、水資源の有効活用などSDGsに対する役割を果たすことでサステナブルな社会の実現とともに当社の持続可能な成長を如何に実現するか、社会的な価値の追求によって顧客価値を如何に実現していくか、ということが重要なポイントになると考えています。
当社の主要市場である電子産業分野は、微細化や積層化など先端半導体技術の進展や、電気自動車・自動運転技術などの拡大、再生可能エネルギー分野の成長などによって半導体や電子部品などのさらなる市場の拡大が期待されております。加えて、チップの微細化や高性能化に伴って、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することが期待されるなど、新たな事業分野を拡大するチャンスを秘めた市場と捉えています。加えて、リチウムイオンバッテリーの製造市場や新たな抗体医薬品の市場に向けても当社技術の展開を進めており、こうした活動を通じて気候変動への対応や省エネルギーの実現、ライフサイエンス技術の発展などへの貢献と事業の成長を両立させることが大きな課題であると考えています。また、地域別にみると、これまで日本や韓国・台湾など東アジア地域に集中していた半導体製造が米国や欧州に回帰する動きや、中国に集中していた生産機能を東南アジア地域などに分散する動きが見られるなど、よりグローバルな事業展開が求められております。
当社の強みは「現場力とそこで生み出す最適化の力」にあると考えています。その源泉となる納入・生産の現場に目を向けると、建設工事や設備の運転管理・メンテナンスなど現地・現場での作業が不可欠な業務が多く残る中で労働力不足の問題が各所でみられ、設備のリモートでの監視や自動運転などのニーズはますます高まっています。当社においてもセンサーやIoTなどの技術を利用した自動監視システムや、遠隔での設備診断・エンジニアへの指導などのデジタルテクノロジーを活用した技術・サービスの開発を進めておりますが、今後さらなるITインフラの拡充や、設備の保守・点検、消耗品交換などのメンテナンスサービスとデジタル技術を融合させた新たなソリューションサービスの展開などといった取組みを今まで以上に加速させていきます。
② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等
当社グループは、長期経営計画である“ORGANO2030”に基づいて毎年3か年の中期経営計画をローリングして策定しております。“ORGANO2030”では売上高2,000億円、売上高営業利益率15%の達成を業績の目標イメージとして、重点事業や成長地域・成長ドライバー、事業基盤の強化策などの議論を進めるとともに、サステナビリティ目標である「継続的な事業成長の実現」と「事業基盤の構築」の達成に向け、マテリアリティの特定やそれぞれの課題に対する定量的目標の設定を進めております。
当連結会計年度においては、国内外での活発な受注環境を背景に、大型プロジェクトの設計・納入対応に向けてグループ内のエンジニアリングリソースの活用やアウトソーシングの拡大を推進いたしました。しかしながら、中長期的な目標達成に向けてはさらなるリソースの拡充や人材の育成が不可欠であり、資材の確保や価格の高騰、米国による対中半導体規制の影響などサプライチェーンに対する課題と合わせ、さらなる対応が必要な状況にあります。また、ソリューションサービスや研究開発においては、設備の運転データなどを活用した新たなソリューションサービスの展開や、次世代超純水システムに向けた技術の開発・高度分析技術の進展など一定の成果が見られたものの、新たな事業の創出に向けてはさらなる強化・拡充が求められております。
2025年度を最終年度とする新たな中期経営計画においては、この3年間を当社が新たなステージに移行するための重要な期間と位置付け、事業基盤の強化と事業展開の拡大に取り組んでまいります。具体的には、重点分野として「電子産業」、「薬品事業」、「機能材料」を掲げ、デジタル技術を活用した設計業務の自動化・効率化やキャパシティの拡大など「エンジニアリング体制の強化」、海外でのサービス拡大やデータ活用型のサービス強化など「ソリューションサービスの展開」、高度な分離精製・分析技術の深化や新事業の創出に向けた「研究開発体制の拡充」などの課題への対応、及びサステナビリティ目標の達成に向けて各種施策の実行やパートナー企業との連携強化・投資の拡大などを進めます。最終年度である2025年度における経営目標は売上高1,700億円、営業利益185億円、売上高営業利益率10.9%を目指し、ROEは12%以上を安定的・継続的に達成できる収益構造の構築に取り組んでまいります。なお、当社グループは持続的な企業価値の向上と収益性改善の達成状況を評価するため、ROEと売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。

経営目標
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社のリスクマネジメントは、2022年6月に設置したリスク管理部門が統括管理する形で、全社でのPDCAサイクルを回しております。各部署・各グループ会社は毎年リスクを洗い出し、「顕在化可能性」「影響度」の2つの評価軸に基づいて評価を行い、リスク管理部門がそれらを統合・評価した上で主要なリスク(影響度がaのもの、影響度がbで顕在化可能性がB以上のもの)を抽出します。抽出されたリスクは取締役会にて議論した上で、当社グループの主要なリスクとして決定されます。
特定された主要なリスクは、リスクごとに対応主管部門を決めて、当該部門がリスク管理計画を立案し、実行します。リスク管理部門は対応主管部門の計画立案に対して助言するとともに、リスク対応の進捗状況を取りまとめ、取締役会へ報告しております。取締役会はその報告をもとに必要に応じて改善を対応主管部門に指示するなどして、リスク対応の進捗状況をモニタリングしております。
また、監査室が独立した立場からリスク管理プロセスの運用状況及びリスク管理計画の進捗状況について評価を行うことにより、リスク管理の有効性を高めます。このようにPDCAサイクルを継続的に回すことで、リスクマネジメントの実効性を高めております。
(リスク評価のイメージ図)

(PDCAサイクルのイメージ図)

新型コロナウイルス感染症については、国内での位置付けが5類感染症へ移行するなど、当社グループの事業活動に与えるリスクの重要度も低下したと判断し、独立した重要なリスクとしては識別せず、「(3) その他事業基盤に関するリスク ④ 感染症」に含めて記載しております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループにおいては、水処理エンジニアリング事業が連結売上高の約80%を占めており、半導体や電子部品等をはじめとする電子産業分野がその半分以上(当連結会計年度は67.6%)を占めております。特に半導体市場においては、顧客企業や設備の再編・統廃合が進む中、一件当たりの設備投資規模が拡大するなど、国内・台湾・中国などにおける主要顧客の動向が当社の業績に大きく影響する状況が続いており、当社が客先構内に設備を保有し顧客に水処理サービスを提供する加工受託型サービスの規模も拡大しております。また、当連結会計年度末における営業債権のうち32.6%が上位3社に対するものとなるなど、特定顧客への依存度が高い状態が続いております。
このような案件規模拡大の動きは当社グループのさらなる成長への機会となる一方、リソースの集中によって他の分野の受注機会を喪失するリスクや、市場・顧客の事業戦略に当社が適切に対応できなかった場合や、重大な事故・大幅な工事遅延・品質不良等が発生した場合、顧客に予期せぬ財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、市況が大きく悪化した場合など、リスクが顕在化した際の影響が大きくなる可能性があります。
また、半導体技術の進展によってチップの微細化・積層化が進み、当社グループが提供する超純水や排水・回収システムに対してもそれらの技術進展に対応した技術開発が求められており、開発の成果によって顧客の囲い込みも期待できますが、開発の遅延や技術の陳腐化によって顧客の信頼を逸した場合には、将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、水処理エンジニアリング事業は、電子産業分野に限らず個別受注生産を主としており、設備の建設期間や規模・契約形態などに応じて長期契約となるケースも多いため、受注後の仕様や工程の変更、資材価格・工事費等の変動や災害の発生などに伴い見積りに対して実績のコストが超過する可能性があるほか、顧客の要求する仕様や納期などに未達となった場合の損害賠償や費用負担等の発生が業績に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当社グループは、2025年度を最終年度とする新たな中期経営計画においても「ソリューションサービスの展開」として海外でのサービス拡大やデータ活用型のサービス強化などの取組を進め、プラント分野の受注変動の影響を安定化する取組みを進めているほか、案件規模・案件数の増加に対応するため、デジタル技術を活用した設計業務の自動化・効率化、グローバルエンジニアリングセンター(GEC)や外注の活用による効率化を進めるなど、グループ全体で納入体制の拡充に努めております。加えて工事現場における安全対策の強化や電子産業市場に対するマーケティングの強化、客先の与信管理の強化などに取り組むことでリスクの低減を図っております。
高度化する顧客ニーズに対しては、リソースを重点的に配分し、技術開発ロードマップに基づいた研究開発を加速させることで適切に対応してまいります。当連結会計年度では、開発センター新実験棟で次世代型超純水システムの開発活動を始動したほか、半導体開発・製造における最先端技術開発を目的としたリサーチ活動を開始するなどの取組も進めております。
また取締役会や経営会議において大型案件の受注審議を実施しているほか、月次事業報告会において受注案件の予算実績状況の報告・確認を行うことで長期の契約に特有なリスクの軽減に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、台湾、中国、東南アジア等を中心に海外での事業活動を展開しており、2025年度を最終年度とする新たな中期経営計画においては、各重点分野で海外展開を拡大するとともに海外を含めたグローバルな体制整備を進める方針としております。しかしながら、海外市場においては予期しない政治・経済の混乱や為替の変動、進出先の法規制や商習慣への対応などのリスクが内在しております。近年では米中の貿易摩擦を背景に、輸出入への規制強化や自国での半導体製造拡大などサプライチェーンへの影響や、世界的な半導体製造拠点である台湾をめぐる緊張の高まりなど、当社グループの重点地域においても地政学的なリスクが高まっております。特に台湾有事のリスクについては、軍事侵攻時だけではなく、中台関係・米中対立の先鋭化によっても当社グループの事業活動の制限が想定され、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
事業を展開する地域に対する情報収集を進め、継続的なモニタリングを行うことに加え、当社独自の差別化技術を開発・展開することでサプライチェーンに対する規制が強化された場合でも影響を受けにくいビジネスモデルの構築を目指してまいります。また、新たに現地法人を設立した米国など新たな地域・市場への展開を加速させ、特定の地域への集中によるリスクの分散に努めてまいります。
台湾有事のリスクについては当社グループへの影響が大きいと想定されるだけではなく、未経験のリスクであるため、シナリオ分析を行い、リスクシナリオごとに当社事業への影響の評価及びリスク対応策の検討を行っております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、製造や建設等に使用する資材を外部から調達するとともに工事等を外部へ委託しております。主要資材であるイオン交換樹脂などについては、その仕入れを特定の取引先に依存しているため、供給元の経営戦略の変更や取引条件の大幅な変更等により調達が困難になった場合や納期が長期化した場合などには、業績に影響を及ぼす可能性があります。エネルギー価格の高騰や円安の進行などの影響による、資材価格・工事費等の上昇、サプライチェーンの混乱による重要資材の納期の長期化などの状況は継続しております。また、資材納期の長期化は顧客所掌の工事についても遅れを生じさせる可能性もあり、それらによっても当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、電子産業分野を中心にイオン交換樹脂は需要が拡大しておりますが、その供給の一部は当社工場の生産能力に依存しております。今後、市況の変動等により資材価格・工事費等の高騰が加速した場合や重要資材が確保できない場合などには、仕入価格や工事原価の上昇や納期遅延により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当社グループは重要な取引先との安定的な関係の維持に取り組むとともに、複数の取引先からの調達や代替品の検討など供給体制の見直しに向けた取組みをグローバルな調達の視点で進めております。当連結会計年度に購買・物流部にグローバル調達グループを新設し、グループ横断の活動を通じた中長期的な調達機能の強化に取り組んでおります。また、将来の需要を見据えて在庫の確保を進めることで、重要資材の納期の長期化や価格高騰のリスクの軽減に努めるほか、顧客との交渉を継続して業績への影響を最小限に抑えるよう努めてまいります。また、イオン交換樹脂の供給能力向上に向けた投資の検討を継続するなど、安定供給確保に向けた取組みを進めてまいります。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループはソリューションサービスの強化や業務効率化の推進といった課題に対してデジタル技術を活用する取組みを強化しており、当社グループの事業活動においては各種のデータ活用やソフトウエアの利用など情報システム技術が極めて重要な役割を果たしております。こうしたデジタル技術を活用したサービスの展開が競合他社に比べて遅れた場合には業績が悪化する可能性があるほか、業務効率化施策の遅れ等によって新たなビジネスチャンスの獲得機会や既存の顧客からの信頼を逸するなど将来の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、コンピュータウイルスや不正アクセスなどのサイバー攻撃、システム障害等により情報システムが機能不全に陥り業務の停滞が生じた場合、重要な機密情報が漏えいした場合などには、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおける各種ITツールやクラウドを活用した業務範囲は年々拡大しており、これらのリスクの重要性が高まっております。
[対応策]
当社グループは新たな顧客価値創造に向けて、DX推進の専任部署が中心となってグループ全体の攻めのDX戦略を立案・推進するとともに、その要素技術を開発センターの専門部署が開発し、デジタル技術を活用したソリューションサービスの展開や、エンジニアリング業務のデジタル化に取り組むとともに、デジタル人材の育成・確保に努めております。情報漏えいやサイバー攻撃等に対しては、情報システム部門を中心にウイルス検知や対策ツールの導入、ゼロトラストネットワークへの移行検討、セキュリティ教育の強化などグループ全体の情報セキュリティ対策を継続して行ってまいります。さらには、データ量やアクセス数の増大に対応するため、継続的な情報インフラの強化にも取り組んでおります。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループの事業展開においては、いずれも技術開発の強化が成長のドライビングフォースとなっております。そのため、主要顧客である半導体業界が進める微細化や高純度化要求に対応する技術開発の遅れや、ソリューションサービスにおけるICT/AI技術の活用遅れなどによる競争力の低下、新規事業分野における当社技術の陳腐化などが発生した場合には、成長戦略を進めることが著しく困難になり業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
これらのリスクに対応するため、当社グループは、連結売上高の2.5%を目途に研究開発費を増加させるなど研究開発の強化に継続して取り組んでおります。開発センターには、電子産業向けの次世代型超純水装置や薬液・溶剤などの分離精製技術の研究開発のために実験棟を2棟新たに建設し、当連結会計年度より稼働しております。今後も必要に応じて研究開発費を増加していくほか、顧客の技術開発ロードマップに基づいた研究開発を推進し、重点分野に研究開発投資を集中させるとともに、国内外のさまざまな研究機関とのオープンイノベーションも積極的に推進するなど、リスクの軽減に取り組んでまいります。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
近年、グローバルな社会・環境問題をはじめとするサステナビリティをめぐる課題に対する関心が高まっております。特に気候変動や脱炭素をめぐる問題は、地球規模での社会や環境に対する脅威として当社グループにおいても注視すべきリスクとして認識しております。当社グループにとってはこういった分野への関心の高まりは事業拡大の機会でもあり、当社の強みである高度な分離精製技術や水処理の総合エンジニアリング企業としての幅広い実績を活かし、持続可能な社会の構築に貢献することを目指しております。
しかしながら、顧客や市場からの期待に対し、環境負荷を低減する製品・サービスの開発の遅れや技術の陳腐化など、技術開発や営業展開に対するこれらの課題への取組みが十分ではないと評価される場合には、新たな事業機会を逸するだけにとどまらず、社会的信頼の低下、顧客の喪失等につながる可能性があります。
[対応策]
当社グループは「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおり、当連結会計年度にマテリアリティの特定及びサステナビリティ基本方針の制定を行っております。今後も持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループの競争力は、優れた知識・能力・経験を持つ各国の従業員によって支えられております。このため、従業員の離職や人材確保に失敗した場合などは生産キャパシティや納入品質の低下、受注機会を喪失するなどの影響が生じる可能性があります。特に電子産業分野の受注が拡大している中、従業員の離職や人材確保の失敗はその影響が大きくなる可能性があり、非常に重要なリスクであると認識しております。また、少子・高齢化社会を背景に優秀な人材や特にデジタル化を担う人材の確保については世界的に競争が激しくなることが予想されます。このため、人材の確保や育成が進まなかった場合は、長期的に当社グループの競争力が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当社グループは、人材の活用に向けて適正配置や業務の見直し、デジタル技術を活用した業務効率化、協力会社の活用などを進めております。また、階層別研修や機能別研修を実施しているほか、デジタル人材育成のための教育を進めるなど、人材育成のための取組みを進めております。また、当社グループは、「多様な人材が活躍し働きがいのある職場づくり」を重要課題としており、多様な人材の確保に向けて、国籍や性別を問わず優秀な人材の採用、育成の強化に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが行う水処理設備の製作・納入、メンテナンス、運転管理等においては、顧客工場における建設工事や自社工場での組立・製造作業など生産活動を伴います。また、当社グループは水以外の各種溶剤の分離精製に関する事業展開を進めており、開発センターや顧客工場で有機溶剤等の化学物質を取り扱っております。これらの生産活動や化学物質の取扱いに関して、重大な労働災害や事故等が発生した場合は大幅な納期遅延等の発生に伴う費用の増加や損害賠償の発生などの直接的損害に加えて、信用失墜など重大な影響が生じる可能性があります。
[対応策]
当社グループは「労働安全衛生の推進」を重要課題の一つとしており、「安全はすべてに最優先する」との考えのもと、事業年度ごとに安全衛生管理方針を策定した上で、重点実施事項等を計画・実行するとともに、安全パトロール等による評価、是正指示を実施する労働安全衛生マネジメントシステムを構築・運用しており、今後も改善に向けた取組みを継続してまいります。また、安全教育やイントラネットを通じた労働災害等の発生状況の報告や改善策の情報共有を行い、安全意識のさらなる向上に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが提供する製品・サービス等において重大な瑕疵、事故等の品質問題が発生した場合は、製品・サービス等の品質に対する信頼性の低下や保険の補償範囲を超える損害賠償責任の発生などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが展開する食品事業においては、製品による健康被害等が発生した場合、影響が広範囲にわたり賠償金額が多額となる可能性があります。
[対応策]
当社グループは、品質マネジメントシステムの整備や取引先の品質調査の強化、生産プロセスの改善などの取組みを通して継続的な品質の確保及び向上に努めるとともに、発生した不適合については、関係部署へ水平展開することで再発防止に努めております。また、各種保険の拡充を進めることでリスクが顕在化した際の影響の低減に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
地震や台風等の想定を超える大規模な自然災害が発生した場合、事業活動の遅延・停止による損失、復旧費用等が発生するなど、その規模や範囲によっては業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当社グループは、自然災害発生時に事業への影響を最小限にとどめるため、主要事業の事業継続計画(BCP)を策定しております。事業に重大な影響を及ぼす事態発生に際しても、影響を最小限にとどめるため、BCPの拡充や範囲拡大、グループ全体での管理体制強化などさらなる対応を進めてまいります。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
新型コロナウイルス感染症のように、想定を超えるまたは想定していない感染症が発生した場合、現場作業停止や物流の混乱等によって事業活動の制限や遅延などによる損失が発生するなど、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
新型コロナウイルス感染症への対応として、当社グループは対策本部を設置し迅速かつ適切な対応を行うことで、影響を最小限にとどめることが出来ました。新型コロナウイルス感染症での経験を踏まえ、感染症発生時の事業継続に向けた戦略の立案・実施を進めてまいります。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループの事業展開は、各国・各地域の各種法令や関係する許認可・規制等を遵守して進めてまいります。しかし、意図せずに法令や規制に違反したと判断された場合や共謀による不正などが発生した場合などには、社会的信用の低下を招くほか、行政処分等の措置を受けるなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、信頼性の高い財務報告を実現するため、財務報告に係る内部統制を整備し、その評価を実施しております。しかしながら、当社グループの内部統制が適切に機能しない、内部不正を阻止できないなど、重要な不備が発見された場合、当社グループの社会的信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当社グループは、代表取締役社長自らがメッセージを発信し不正が発生しない企業風土の醸成に努めているほか、社員教育の充実など内部統制の強化に努めております。また、当社グループは役員と従業員が遵守すべき基本的な行動指針として「オルガノグループ企業行動指針」を定め、海外子会社への展開やアンケートの実施など企業行動指針の浸透に向けた取組みを継続しております。さらには、コンプライアンス委員会がコンプライアンス体制の構築やコンプライアンス教育計画の策定に取り組んでいるほか、内部通報制度を国内外で整備し、その内容を従業員へ周知することで、コンプライアンス違反等の未然防止・早期発見に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、他社の権利を尊重しつつ、保有する知的財産権の適切な保全に努めておりますが、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用することを完全に防止することは困難であります。また、特に当社が事業展開を強化している中国等の新興国においては近年、特許や商標権などの出願数や知的財産権関連の訴訟件数も増加しているため、以前よりもリスクが高くなっております。当社グループが、意図せず他社の知的財産権を侵害してしまう場合などには、損害賠償責任を負うなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
これらのリスクを低減するため、当社グループは、自社技術を国内はもとより中国等の新興国にも積極的に特許出願することによって確実に保護するとともに、海外を含めた他社出願状況を定期的に監視し、他社の知的財産権を侵害することのないよう努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の親会社は東ソー株式会社であり、同社は当社議決権の44.45%(間接所有を含む。)を所有しております。当社は同社の企業グループと関連した事業を営んでおりますが、両社の扱っている製品や取引先の点で明確な棲み分けがなされており、当社は上場会社として事業活動や経営判断において一定の経営の独立性が確保されていると認識しております。また、当社は同社から水処理薬品の原材料の一部などの仕入れを行うとともに、同社に対し各種水処理装置及び関連薬品を販売するなどの営業取引を行っておりますが、当社の営業取引関係における依存度は僅少であります。しかしながら、今後、同社の資本政策や経営戦略に変更が生じた場合、当社グループの事業展開や株価等に影響を及ぼす可能性があります。
[対応策]
当社グループは、同社との適切なコミュニケーションを継続することで同社が資本政策等の変更を行った際の影響を軽減できるよう努めてまいります。また、当社は同社グループと少数株主間の利益相反問題を監視・監督し、少数株主の利益を適切に保護するために、独立社外取締役のみで構成される特別委員会を設置しております。同社グループと当社との間に重要な取引等が生ずる場合には、同委員会にて取引内容を審議し、取締役会に対して答申又は報告を行います。また更なる少数株主の利益保護及び経営の独立性の向上のため、2023年6月29日開催の第78回定時株主総会以後、取締役会に占める独立社外取締役の比率を過半数にしております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要、これらに関する経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻や米中摩擦など地政学的なリスクの影響が長期化する中、エネルギーや食糧価格などに端を発するインフレーションの進行や、それに伴う各国の金融政策見直しなどの影響で回復のペースが鈍化し、景気の停滞感が色濃くなりつつあります。
当社グループの主力市場である電子産業分野においては、メモリなどを中心に半導体市況が悪化したことに加え、米国による対中半導体規制の影響などにより一部の顧客で減産や設備投資を縮小・延期する動きが見られた一方、台湾における最先端半導体向けの大型投資や、日本や中国・マレーシアなどではシリコンウェハーや車載用・パワー半導体などに対する設備投資が活発に推移いたしました。また一般産業分野においてはコロナ禍の影響による大型投資の減少からの回復が見られ、電力・上下水など社会インフラ分野では国内のソリューション事業を中心に堅調に推移いたしました。
このような状況の下、当社グループは国内外における大型プロジェクトの受注・納入活動を進めるとともに、各国におけるサプライチェーンや納入体制の整備、エンジニアリング業務の効率化やソリューションサービスの拡大に向けたデジタル化の推進、次世代の超純水システムや分離精製技術の創出に向けた研究開発の拡充、リスク管理などのガバナンス体制やサステナビリティ方針の策定・マテリアリティの特定など経営基盤の強化に向けた取組みを進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度は受注高173,491百万円(前連結会計年度比27.9%増)、売上高132,426百万円(同18.2%増)、営業利益15,212百万円(同40.2%増)、経常利益16,020百万円(同38.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11,730百万円(同27.4%増)となり、ROE(自己資本当期純利益率)は14.5%(前連結会計年度は12.9%)となりました。受注高、売上高及び各利益とも前年度の実績及び期初の計画を上回り、いずれも過去最高となる水準を達成いたしました。また、翌年度以降の売上のベースとなる繰越受注残は117,659百万円(同36.2%増)となり、半導体関連の大型プロジェクトなどの受注残を中心に高い水準の残高を確保しております。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

■受注高
受注高は前連結会計年度比31.3%増となる152,422百万円となりました。主力市場である電子産業分野において、国内での半導体プロジェクトや台湾での先端半導体向け投資、国内でのシリコンウェハー向け案件など大型の工事案件を受注したことに加え、中国やマレーシアなどでの車載用やパワー半導体などに対する投資が活発に推移したことなどから受注高は大きく増加いたしました。また一般産業分野においても、製薬や食品、電子産業の周辺分野などで大型の設備投資が回復し受注が拡大しております。電力・上下水など社会インフラ分野においては、国内のソリューション案件などを中心にほぼ前年度並の受注高を確保しております。
■売上高
売上高は前連結会計年度比20.4%増となる111,601百万円となりました。電子産業分野において一部の案件でスケジュールの見直しや原材料の調達・工事の遅れが影響したものの、全体的には受注案件の工事が概ね順調に進捗し、メンテナンスや改造工事、設備保有・加工受託などのソリューション事業も好調であったことなどから売上が増加いたしました。また一般産業分野においても大型案件の受注回復やソリューション事業の伸長などにより売上が拡大しており、電力・上下水など社会インフラ分野においては国内のソリューション案件などを中心にほぼ前年度並の売上高を確保いたしました。
■営業利益
営業利益は、前連結会計年度比42.7%増となる12,966百万円となりました。電子産業分野を中心とした売上拡大の効果によって売上総利益が増加したことに加え、大型プロジェクトの利益改善などによって利益率も前年度に比べ改善したことなどから、人件費や外注費などを中心とした販管費の増加を上回り、営業利益は前年度比で増加しております。


■受注高・売上高
受注高は前連結会計年度比7.6%増となる21,068百万円、売上高は同7.6%増となる20,824百万円となりました。電子産業分野に向けた各種の水処理薬剤の販売が拡大したことに加え、標準型機器・フィルタ分野ではピューリックμ(ミュー)など小型純水装置の販売が好調に推移いたしました。また食品分野でも食品添加剤などの売上が増加しております。
■営業利益
営業利益は前連結会計年度比27.4%増となる2,246百万円となりました。各分野における売上拡大の効果に加え、原材料価格の上昇などコスト増に対して値上げなどの価格転嫁が進んだことも影響し、前年度比で営業利益が増加いたしました。

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は販売価格をもって表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
3 当連結会計年度のTaiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(資産)
当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ34,348百万円増加し、164,854百万円となりました。
流動資産は、主に売上高の増加に伴う売掛金及び契約資産の増加や水処理加工受託用設備の建設に伴う仕掛品の増加などによって前連結会計年度末に比べ33,903百万円増加し、136,765百万円となりました。
固定資産は、当連結会計年度から稼働した開発センター新実験棟に関連する設備等の減価償却が進んだ影響で有形及び無形固定資産が減少した一方で、繰延税金資産や持分法適用会社の増益等による投資有価証券の増加などによって投資その他の資産が増加したことで、前連結会計年度末から444百万円増加し、28,088百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ23,981百万円増加し、78,483百万円となりました。
流動負債は、主に大型の工事案件や水処理加工受託用設備の建設の影響で短期借入金や仕入債務が増加したことで、前連結会計年度末に比べ25,666百万円増加し、68,738百万円となりました。
固定負債は、主に長期借入金の返済によって前連結会計年度末から1,685百万円減少し、9,744百万円となりました。なお、当連結会計年度末における借入金合計は前連結会計年度末に比べ17,391百万円増加し、33,019百万円となっております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ10,366百万円増加し、86,371百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴う利益剰余金9,383百万円の増加によるものであります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
水処理エンジニアリング事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ34,049百万円増加し、141,199百万円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産、水処理加工受託用設備の建設に伴う仕掛品の増加によるものであります。
機能商品事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ624百万円増加し、18,387百万円となりました。これは主に売掛金などの増加によるものであります。
当社グループにおける資金の配分方針については、次のとおりであります。
成長投資については、新たな中期経営計画において策定した重点分野に対して経営資源を重点的に配分していく方針であります。いずれの重点分野も戦略の実現には研究開発の強化が必須であるため、連結売上高の2.5%を目途に技術研究費を増加させ、重点分野に集中的に資金を配分する方針であります。設備投資についても同様に重点分野へ集中的に資金の配分を行ってまいります。
株主還元についても、重要な経営課題の一つとして考えており、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針とした上で、収益の状況を勘案した利益配分に努めることとしております。
また、当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期の運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期の運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,639百万円減少し、当連結会計年度末には15,558百万円となりました。活動ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
当社グループは、水処理エンジニアリング事業が売上高の84.3%を占めており、同事業のキャッシュ・フローの状況によってグループ全体のキャッシュ・フローが大きく変動します。中でもプラント事業においては長期にわたる大型プラント建設工事を行っており、それらの工事代金の回収時期、原材料・外注費等の支払時期などによって営業活動によるキャッシュ・フローが大きく増減することがあります。また、設備を自らが設置・所有し、顧客にサービスを提供する水処理加工受託業務においては、設備の製作から資金の回収までが長期にわたるため設備の製作時においては支出が先行する傾向にあります。
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益を16,035百万円計上したものの、売上債権及び契約資産の増加額19,954百万円及び棚卸資産の増加額17,295百万円などにより、営業活動によって支出された資金は18,536百万円となりました(前連結会計年度は10,787百万円の収入)。これは、大型プラント案件の代金回収の時期が翌期に集中していることに加えて、水処理加工受託用設備の建設が進捗していることで支出が先行したためであります。そのため、棚卸資産の増加額17,295百万円には、当該水処理加工受託用設備の建設に係る仕掛品の増加額が約14,500百万円含まれております。
当連結会計年度における投資活動によって支出された資金は、前連結会計年度に比べ210百万円減少し、1,309百万円となりました。設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」をご参照ください。
当連結会計年度における財務活動によって支出された資金は、14,706百万円となりました(前連結会計年度は2,586百万円の収入)。営業活動における支出増加により短期借入金が増加しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を使用しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりであります。
(特に重要な会計上の見積り)
水処理エンジニアリングリング事業における大型案件は当社グループの売上高に占める割合が大きく、その収益認識の基礎となる工事原価総額の見積りが業績に与える影響は非常に大きいと認識しており、特に大型の案件では作業内容の特定やその原価の見積りに高い不確実性が伴います。また、工事着手後に生じる資材価格の変動や作業内容の変更などを適時・適切に工事原価へ反映する必要があることに加えて、工事原価総額の見積りは工事損失引当金の金額にも影響することなどから当社は、工事契約に係る会計処理を特に重要な会計上の見積りに該当すると考えております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
(その他の重要な会計上の見積り)
棚卸資産の評価は、原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)によっております。営業循環過程から外れた滞留又は処分見込等の棚卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難であるため、過去の実績から見積った年数及び割合を基に規則的に簿価を切り下げております。実際の正味売却価額が切下げ後の簿価と比べて大きく異なる場合は、棚卸資産の期末残高が過小もしくは過大になるほか、売上原価に影響を及ぼします。
完了した請負工事に係る瑕疵担保等に備えるため、将来の保証見込額を製品保証引当金として計上しております。見積りには、個別に見積可能なものについては、その見積額を計上しておりますが、多くの請負工事は個別の見積りが困難であるため、主に過去2年間の実績を基礎に見積りを行っております。しかし、想定を上回る重大な瑕疵や事故等の品質問題が発生した場合は、将来の業績が変動します。
当社グループは、固定資産の減損の兆候判定、認識及び測定にあたり、将来の事業計画を基礎とした各資産グループの将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。その将来キャッシュ・フローの見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額は業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合や予期しない変化などが生じた場合は、回収可能性の評価の見直しを行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
当社グループの退職給付債務及び費用は、死亡率、退職率、昇給率や給与の変更及び割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されています。
割引率は、日本の国債の利回りを基に、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用して算出しております。また、長期期待運用収益率については、過去の運用実績と将来収益に対する予測を評価することにより設定しております。
これらの前提条件の見積りは合理的であると判断しておりますが、割引率の低下が数理計算上の退職給付債務の増加をもたらす可能性があるなど、主要な前提条件が実際の結果と異なった場合、退職給付債務及び費用が変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 上記の契約は1年毎に更新されます。
2023年3月31日現在
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は工具、器具及び備品であり、建設仮勘定は含んでおりません。
2 食品事業用設備はオルガノフードテック㈱へ賃貸しているものであります。
2023年3月31日現在
(注) 帳簿価額のうち「その他」は工具、器具及び備品であり、建設仮勘定は含んでおりません。
(注)2022年5月12日開催の取締役会決議により、2022年10月1日付で当社普通株式1株を4株とする株式分割に伴う定款変更が行われ、発行可能株式総数は76,176,000株増加し、101,568,000株となっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 2022年5月12日開催の取締役会決議により、2022年10月1日付で当社普通株式1株を4株に分割いたしました。これにより、発行済株式総数は34,769千株増加し、46,359千株となっております。
2023年3月31日現在
(注) 1 2023年3月31日現在の自己株式数は337,755株であり、このうち337,700株(3,377単元)は「個人その他」に、55株は「単元未満株式の状況」に含めて記載しております。
なお、自己株式337,755株は株主名簿記載上の株式数であり、期末日現在の実質的な所有株式数も同じであります。
2 「金融機関」及び「単元未満株式の状況」には、役員向け株式交付信託が保有する当社普通株式が、それぞれ133,000株(1,330単元)及び40株含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は次のとおりであります。
2 上記株式会社日本カストディ銀行(信託口)の所有株式数のうち、133千株は役員向け株式交付信託が保有する当社株式であります。
1 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、製品・サービス別の事業部制を採用しており、各事業部等は取り扱う製品・サービスについて国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
従って、当社は事業部等を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、経済的特徴や製品の性質、サービスの内容が概ね類似しているものを集約した「水処理エンジニアリング事業」及び「機能商品事業」の2つを報告セグメントとしております。
各報告セグメントに属する主要製品及び事業内容は、以下のとおりであります。