キクカワエンタープライズ株式会社
KIKUKAWA ENTERPRISE,INC.
伊勢市朝熊町3477番地36
証券コード:63460
業界:機械
有価証券報告書の提出日:2023年6月30日

提出会社の状況

回次

第138期

第139期

第140期

第141期

第142期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

7,440,303

4,920,900

4,453,045

4,175,313

4,132,500

経常利益

(千円)

1,922,393

680,588

862,232

452,363

515,994

当期純利益

(千円)

1,500,441

476,588

590,017

336,191

377,018

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

660,000

660,000

660,000

660,000

660,000

発行済株式総数

(千株)

1,320

1,320

1,320

1,320

1,320

純資産額

(千円)

10,034,657

10,211,994

10,787,074

10,778,404

11,029,185

総資産額

(千円)

12,704,934

11,929,772

12,510,417

12,557,295

13,277,631

1株当たり純資産額

(円)

8,134.20

8,278.21

8,742.33

8,818.65

9,147.36

1株当たり配当額

(円)

170.00

90.00

170.00

125.00

125.00

(うち1株当たり中間配当額)

(3.00)

(30.00)

(20.00)

(55.00)

(35.00)

1株当たり当期純利益

(円)

1,213.54

386.32

478.22

272.60

310.40

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

79.0

85.6

86.2

85.8

83.1

自己資本利益率

(%)

14.95

4.67

5.62

3.12

3.46

株価収益率

(倍)

6.02

9.03

8.87

15.39

12.07

配当性向

(%)

14.0

23.3

35.5

45.9

40.3

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,209,389

460,687

163,549

1,145,599

705,446

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

691,416

124,571

9,483

398,861

129,217

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

171,875

216,649

101,739

360,888

158,589

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

3,381,694

3,497,477

3,571,870

4,773,573

5,206,616

従業員数

(人)

185

183

185

183

185

株主総利回り

(%)

221.0

110.9

138.2

140.5

130.9

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(95.0)

(85.9)

(122.1)

(124.6)

(131.8)

最高株価

(円)

10,270 

(1,027)

7,340

4,380

4,795

4,125

最低株価

(円)

3,240 

(324)

2,801

3,115

3,635

3,470

 

 

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

3.当社は2018年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を行っております。これにより、発行済株式総数は11,880,000株減少し、1,320,000株となっております。

4.第138期の1株当たり配当額170.00円は、1株当たり中間配当額30.00円と1株当たり期末配当額140.00円の合計であります。2018年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で併合しているため、1株当たり中間配当額3.00円は株式併合前、1株当たり期末配当額140.00円は株式併合後の金額となっております。

5.第138期の1株当たり配当額には、特別配当70.00円を含んでおります。

6.第140期の1株当たり配当額には、特別配当50.00円を含んでおります。

7.第141期の1株当たり配当額125.00円は、1株当たり中間配当額55.00円と1株当たり期末配当額70.00円の合計であります。

8.当社は関連会社がないため、持分法を適用した場合の投資利益は記載しておりません。

9.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所(スタンダード市場)におけるものであり、それ以前は東京証券取引所(市場第二部)におけるものであります。

10.当社は2018年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を行っております。第138期の株価については株式併合後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式併合前の最高株価及び最低株価を記載しております。

11.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第141期の期首から適用しており、第141期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2【沿革】

 当社の実体である(旧)株式会社菊川鉄工所は、1897年11月2日に合名会社菊川鉄工所として設立され、1954年4月に株式会社に組織変更しました。その後、株式の額面500円を50円に変更するため、1963年10月に形式的に菊川鉄工株式会社(創立1947年6月)に吸収合併(その後、商号を株式会社菊川鉄工所に変更)されましたが、実質的には(旧)株式会社菊川鉄工所がそのまま継続され現在に至っております。従って、合併期日以前の会社の沿革については、実質上の存続会社である(旧)株式会社菊川鉄工所について記載しております。

1897年11月  合名会社菊川鉄工所を設立し、出資金2,000円、従業員56名をもって、当時すでに特許を取っていたマサツ自動送り丸鋸盤(国産第1号の製材機械)の製造を開始

1909年9月  オサ鋸盤の製造を開始

1910年2月  自動送材車式帯鋸盤や木工機械の製造を開始

1929年1月  わが国で初めて自動四面鉋盤を開発・製造

1932年10月  本業である製材・木工機械のほか、工作機械の製造を開始

1942年    工作機械製造事業法による許可会社に指定

1944年    軍需会社法による軍需会社に指定

1950年4月  大阪営業所を開設

1951年4月  東京営業所を開設

1954年4月  組織を株式会社に改め、商号を株式会社菊川鉄工所に変更

1954年6月  九州営業所を開設

1960年6月  定款に工作機械の製造を含め、また仕上工場を改築

1963年10月  株式の額面変更のため、菊川鉄工株式会社に吸収合併され、株式会社菊川鉄工所に商号変更

1964年4月  株式を大阪・名古屋証券取引所市場第二部に上場

1964年6月  名古屋営業所を開設

1967年7月  米国タイムセーバーズ社と技術提携し、ワイドベルトサンダの製造に着手

1996年11月  会社創立100周年

1999年10月  ISO9001品質システム認証(審査登録)

2011年12月  三重県伊勢市に産業用地を取得

2012年5月  三重県伊勢市朝熊町に新工場(現本社工場)を建設

2012年10月  商号をキクカワエンタープライズ株式会社に変更

2013年7月  東京証券取引所と大阪証券取引所との市場統合に伴い、東京証券取引所市場第二部に上場

2016年10月  三重県伊勢市朝熊町に本社を移転

2018年3月  本社工場を増設

2022年4月  市場区分見直しに伴い、東京証券取引所市場第二部からスタンダード市場に移行

名古屋証券取引所市場第二部からメイン市場に移行

2022年12月  三重県伊勢市朝熊町に研究棟を建設

3【事業の内容】

 当社の事業は木工機械及び工作機械の製造販売を主要業務としております。

 なお、当社は単一セグメントのため、機種別に記載しております。

 これらの販売高の割合は下表のとおりであります。

生産品目

製品の説明

販売高比率(%)

第141期

第142期

木工機械

丸太を建築用、木工用などの角材、板材、小割材に加工する機械及び角材、板材、小割材、合板、繊維板、合成樹脂などを製品に二次加工する機械をいう。

70.1

62.9

工作機械

鉄、非鉄金属、その他新素材などを加工する機械をいう。

29.9

37.1

 

100.0

100.0

4【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

5【従業員の状況】

 (1)提出会社の状況

 

 

 

2023年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

185

40.7

19.3

5,496,325

  (注)1.従業員数は就業人員であります。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 (2)労働組合の状況

 2023年3月31日現在、当社の従業員中150名(従業員総数に占める割合81%)がキクカワエンタープライズ労働組合(1952年7月結成 旧 菊川鉄工所労働組合)を組織し、上部団体「JAM」に加盟しており、会社との間に労働協約を締結し、この協約に基づき労使協議会を設置しております。

 なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務に基づく公表項目として選択しておらず公表していないため、記載を省略しております。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営方針

 

 

 

 

 

 

 

0102010_001.png

 

 

 

 

 

 

 

  コロナ禍に加えて国際紛争が顕在化するなど混沌とした経営環境が続いておりますが、事業活動を通して企業価値を向上するためには、株主貢献はもちろんの事ですが、「稼ぐ力」を養うための適切な投資を行うと共に、ものづくり企業である当社の「ブランド」価値を創造することを基本方針として、顧客・取引先・従業員・地元地域の皆様などと密接に連携を取り、当社が如何に社会に良き影響を与えられるかを、上図のように多面的に考慮する必要があると思っております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  当社は、通期決算発表の場において、次期の業績予想として売上・利益目標を掲げた上で、四半期毎にその進捗を管理しながら、株主還元策の根幹をなす配当予想を随時見直して行く事が、企業価値をより正確に表現すると共に株主価値を向上させる上でも重要であると認識しており、その達成を社内外において共有しうる重要な経営指標としております。

  また、経営方針を達成するために、社内で安全衛生方針・品質方針・内部統制方針を定め、部署別並びに個人別にそれぞれ目標設定をした上で、毎月開催するマネジメントレビューにて進捗管理しながら、問題点の継続的改善に取り組む体制を構築しております。

 

(3)会社の経営環境及び優先的に対処すべき課題

  新型コロナウイルス感染症対策が一段落しつつあり、経済活動の活性化に伴う諸資材の長納期化、エネルギー価格の問題に注視が必要な状況が継続すると見られます。

  木工機械においては、国内の人口減少に伴う住宅着工減や人手不足などによる住宅建設コストの急速な高騰が当面の懸念材料ですが、SDGsの観点からも環境に優しい再生資源である木材の活用が広がりつつあり、この動向を先取りした技術開発を心掛けて参ります。

  また、工作機械においても、世界中での様々な業態において需要回復が続いていますので、次世代型を見据えた自動車産業、技術イノベーションを図る各種IT関連産業などに、当社製機械が活用される可能性を追究して行きます。

 

  さらに、製造面においては、中長期的な発展を加速するために効率的かつ先進的な工場運営を常に心掛け、新たに完成した研究棟において新製品の開発に取り組み、当社の考え方に共鳴して下さる社外ネットワーク作りにも積極的に取り組んで参ります。

  なお上記の様な経営環境の中、当社としては以下の点などが重要な事項であると認識しており、それぞれの実現に向けた検討を随時行なっております。

   ・顧客訪問や展示会開催を通じた業界情報収集と顧客ニーズの把握

   ・株主や取引先などの皆様との積極的な対話と経営層への情報循環

   ・SDGsやESGの観点から国産材の利用拡大に関わる研究

   ・AIなどの新しい先端技術をいち早く製品に取り入れる為の研究開発

   ・国際的な製品競争力を向上するための、積極的な設備投資

   ・生産性を上げるためのDXを意識した社内システムの見直し

   ・販売体制を支える本社機能並びに国内営業拠点の充実

   ・新たな海外販売市場の開拓と海外販売・据付体制の強化

   ・社員のモチベーションをより強く引き出す為の待遇改善

   ・人材採用を行うための地域教育機関とのネットワーク拡充

   ・働き方改革やテレワーク推進に伴う業務改善ソフトの導入

   ・研究棟設立に伴い、出荷前の製品品質検査・安全性向上の取り組み

   ・厳格な輸出管理規制の策定

   ・新型コロナウイルス感染症の感染防止対策

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況・経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主に以下のようなものがあり、それぞれ発生に至る可能性を認識した上で、回避に努めると共に万一発生した場合でも、当社に対する影響を極力低減できうる対応に努めます。

これらの中には、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在(2023年6月30日)において判断したものであります。

 

(1)景気変動のリスク

  各種製造業の業績推移は、それぞれ為替変動や税制などの政策あるいは国際的な資源価格動向に大きく左右され、これにより当社事業に関連の深い設備投資に関する意欲が大きく変動する場合があります。

 

(2)海外活動のリスク

  当社製造機械の輸出取引は、為替レートが大幅な円高基調で推移した場合には、国際競争力の低下要因となり、反対に大幅な円安基調で推移した場合には、企業運営に必要な仕入コストの増加要因となり、それぞれ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、国際的紛争に伴う経済活動の制限事項も当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)債権の貸倒リスク

  当社は、販売先に対しての売掛債権に掛かる貸倒リスクを有していると認識しております。当該リスクに備えるべく、随時与信管理や顧客の投資計画に変化がないかを観察し、進捗状況に懸念があると判断した場合は、その時点で個別に回収可能性を勘案し、貸倒引当金を設定しておりますが、支払い条件によっては業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)災害発生リスク

  当社は、大規模自然災害による事業継続リスクを軽減するために、2012年5月に伊勢市内の高台に新たに工場を建設しましたが、今後予想しがたい大規模災害が発生した場合などは、生産活動の制限または中断を引き起こす可能性があります。

  また、当社工場内の設備機械並びに顧客へ納入する製造機械ともに、重篤な労働災害が発生しないように、平素から徹底的な予防安全教育を講じる必要があると認識しております。

 

(5)期間業績の変動リスク

  当社製造機械は、プラント設備の一部を構成することも多く、仕入部品の長納期化や国内外において納入先工場の建設計画遅延などにより、一定期間の出荷遅延が発生する場合があります。その場合は、これらの案件が年間売上高に占める構成比が高いため、期間業績が当初見込みから大きく変動する可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)経営成績等の状況の概要

    当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

  当事業年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における経済情勢は、世界各地での新型コロナ感染症に対する行動制限が徐々に緩和され、感染防止対策と社会経済活動の両立が進みました。しかしながら、国際的な紛争行為の影響や、世界各国の金融政策により円安環境が進んだ事などにより、電力価格の高騰に象徴されるような急速なインフレ環境の進捗と、経済回復を見越した人材獲得競争の激化により、業種間や企業規模による業績格差が大きく拡大しました。

  そのような経済環境の中において、当社製造機械と関連の深い業界動向に着目しますと、木工機械関連については、国土交通省が公表した2022年度の新設住宅着工数は86万828戸(前年比0.6%減少)と底堅く推移しましたが、木造比率の高い持ち家需要は住宅価格の高騰や景気の先行きに対する懸念から前年比11.3%と減少しました。これにより2021年春頃に「ウッドショック」として大幅な上昇基調となっていた木材価格も、ここ数ヶ月は輸入材の在庫が急増した事もあり下降傾向に転じております。

  また、工作機械関連については、日本工作機械工業会が発表した2022年度の受注額は、人手不足を背景とした自動化投資などにより、1兆7056億円と過去2番目の好結果となりました。しかしながら、欧米ならび中国の景気減速懸念を受けて、内外共に設備投資への慎重姿勢が強まりつつあり、2023年3月には前年同月比15%減と3ヶ月連続のマイナス傾向に転じております。

  このような事業環境のもと、国内の顧客業界に対しては、自給率の回復傾向が鮮明となるとともに低炭素型社会の構築への効果が期待されます国産木材の公共建築物などへの有効活用の提案を図ると共に、顧客工場の省力化に関する技術開発を推進して参りました。また海外の顧客業界に対しては、出張活動の再開による営業提案並びに顧客サービスを積極的に展開すると共に、DXに伴う対応として据付作業などのオンラインミーティングも併せて展開をして参りました。

  その結果として、当期の売上高につきましては、諸資材の長納期化などが影響したことにより前年比1.0%減の41億3250万円と、4年連続の減収となりました。なお、機種別の内訳としましては、木工機械は前年比11.2%減の25億9811万円、工作機械は前年比22.9%増の15億3438万円となっております。

  しかしながら、顧客に対して付加価値の高い商品提案を行い続けた結果、損益面では営業利益4億3758万円(前年度は3億2878万円)、経常利益5億1599万円(前年度は4億5236万円)、当期純利益は3億7701万円(前年度は3億3619万円)と、それぞれ2年振りの増益となりました。

 

  財政状態につきましては、当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ7億2033万円増加し、132億7763万円となりました。

  これは主に、現金及び預金が2億3224万円、仕掛品が1億3408万円それぞれ増加したことなどによるものであります。

  負債につきましては、前事業年度末に比べ4億6955万円増加し、22億4844万円となりました。

  これは主に、プラント受注に伴う前受金が3億4974万円増加したことなどによるものであります。

  また、純資産につきましては、前事業年度末に比べ2億5078万円増加し、110億2918万円となりました。その結果、自己資本比率は83.1%となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

  当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、52億661万円となり、前事業年度より4億3304万円増加しました。

  当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は,次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果として得られた資金は、7億544万円(前年同期は11億4559万円の獲得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加による資金の減少があったものの、税引前当期純利益の計上及び前受金の増加などにより資金が増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果として使用した資金は、1億2921万円(前年同期は3億9886万円の獲得)となりました。これは主に、定期預金の払戻による資金の増加があったものの、有形固定資産の取得及び長期預金の預入により資金が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果として使用した資金は、1億5858万円(前年同期は3億6088万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額によるものであります。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当事業年度の生産実績は次のとおりであります。

種別

数量(台)

金額(千円)

前期比(%)

木工機械

53

1,696,715

△6.5

工作機械

45

1,201,140

+21.8

合計

98

2,897,855

+3.5

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.生産実績の中には部品と転売品の販売高は含まれておりません。

 

 b.受注実績

 当事業年度の受注状況は次のとおりで、輸出分(商社を経由するものを含む)は( )内の内数で示しております。

 なお、輸出受注の主な相手先はエクアドル、ベトナム、中国などであります。

種別

受注高

受注残高

数量

(台)

金額(千円)

前期比

(%)

数量

(台)

金額(千円)

前期比

(%)

木工機械

(15)

58

(558,507)

3,911,689

(+119.5)

△4.3

(11)

31

(439,480)

2,801,980

(+1,498.4)

+88.3

工作機械

(9)

43

(318,161)

1,471,856

(△38.8)

+15.3

(6)

21

(182,300)

539,540

(△16.7)

△10.4

合計

(24)

101

(876,669)

5,383,545

(+13.2)

+0.4

(17)

52

(621,780)

3,341,520

(+152.4)

+59.8

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.輸出受注高の総受注高に対する割合は、16.3%であります。

 

 c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

種別

数量(台)

金額(千円)

前期比(%)

木工機械

(5)

54

(146,522)

2,598,119

(△44.9)

△11.2

工作機械

(12)

50

(354,681)

1,534,381

(△42.7)

+22.9

合計

(17)

104

(501,204)

4,132,500

(△43.3)

△1.0

 (注)1.( )内は輸出に係るものを内数で示しております。

    2.最近2事業年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりであります。

前事業年度

当事業年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

884,504

21.2

501,204

12.1

    3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

      なお、当事業年度の割合が10%未満のため記載を省略しております。

相手先

前事業年度

当事業年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

  株式会社ハルキ

552,040

13.2

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の当事業年度の経営成績は、地政学的リスクの高まりに伴い一部の事業活動が制限されるとともに、製造工程において仕入れる諸資材の長納期化や資源価格の高騰などの悪影響に見舞われました。

 このような事業環境のもと、国産木材の公共建築物などへの有効活用の提案を図ると共に、顧客工場の省力化に関する技術開発を推進して参りました。また海外の顧客業界に対しては、出張活動の再開による営業提案並びに顧客サービスを積極的に展開すると共に、DXに伴う対応として据付作業などのオンラインミーティングも併せて展開をして参りました。

 その結果として、前期比でわずかに減収となりましたが、利益面におきましては、付加価値の高い商品提案を行った結果おかげさまで2年振りの増益となりました。年度当初に想定していた様々な懸念状況を振り返りますと、ある程度の安定した業績を残す事が出来た事は、ひとえに顧客を初めとします関係先の皆様のおかげであると深く感謝をしております。

 また、現時点において資本の財源及び資金の流動性については、自己資本比率は83.1%となっているなど充分に安全な水準を確保しており、直ちに懸念する状況にはないと判断しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資本の流動性に係る情報

 当社の当事業年度のキャッシュ・フローにつきましては、強固な財務基盤の維持並びに株主への利益還元に必要な資金の確保を目指し、安定的なキャッシュ・フローの創出に努めております。

 また、当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金及び設備投資資金等は、全額自己資金を充当しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

技術援助契約の概要

 当社は1967年7月25日付外資法認6034号をもって、研削機械に関し、米国タイムセーバーズ・インコーポレーテッドと技術援助契約を締結しております。

 技術援助を受けている契約の概要は次のとおりであります。

相手方

契約機器

契約の内容

販売地域

契約の対価

契約期間

タイムセーバーズ・インコーポレーテッド

研削機械

1.研削機械の製造に関する技術情報の提供

2.上記製品の日本国内における独占的製造権及び販売権

独占的販売地域は日本、非独占的販売地域は東南アジア諸国及び、ロシア、韓国、中国、台湾等

技術援助の代償として正味販売価格の一定率を支払う。

1967年7月25日から2026年1月1日まで。

2【主要な設備の状況】

 当社における主要な設備は次のとおりであります。

事業所名

(所在地)

設備の内容

帳簿価額(千円)

従業員数

(人)

建物

機械及び装置

土地

(面積㎡)

その他

合計

本社及び工場

(三重県伊勢市)

生産・販売・管理設備

544,955

199,420

375,341

(37,376)

60,183

1,179,901

168

東京営業所

(東京都港区)

販売設備

65,842

706,000

(251)

1,116

772,959

5

大阪営業所

(大阪市西区)

販売設備

16,468

1,113

(261)

3,110

20,693

4

名古屋営業所

(名古屋市西区)

販売設備

6,418

18,045

(331)

2,129

26,593

5

九州営業所

(福岡市東区)

販売設備

6,388

379

(235)

495

7,262

3

 (注)帳簿価額の「その他」は「構築物」、「車両運搬具」、「工具、器具及び備品」であり、建設仮勘定は含んでおりません。

 

①【株式の総数】

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

4,000,000

4,000,000

②【発行済株式】

種類

事業年度末現在発行数

(株)

(2023年3月31日)

提出日現在発行数

(株)

(2023年6月30日)

上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

1,320,000

1,320,000

東京証券取引所

スタンダード市場

名古屋証券取引所

メイン市場

単元株式数

 100株

1,320,000

1,320,000

 

①【ストックオプション制度の内容】

 該当事項はありません。

②【ライツプランの内容】

 該当事項はありません。

(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日

発行済株式総数増減数

(千株)

発行済株式総数残高

(千株)

資本金増減額(千円)

資本金残高(千円)

資本準備金増減額

(千円)

資本準備金残高

(千円)

2018年10月1日

△11,880

1,320

660,000

311,280

 (注)株式併合(10:1)によるものであります。

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満株式の状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

12

13

56

20

2

703

806

所有株式数(単元)

2,375

94

3,421

577

3

6,653

13,123

7,700

所有株式数の割合(%)

18.1

0.7

26.1

4.4

0.0

50.7

100.0

 (注)1.「金融機関」には、従業員インセンティブ・プラン「株式給付信託(J-ESOP)」制度の信託財産として、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が所有している当社株式411単元が含まれております。

      なお、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が所有している当社株式は、財務諸表において自己株式として表示しております。

    2.自己株式73,177株は、「個人その他」に731単元、「単元未満株式の状況」に77株含まれております。

 

(6)【大株主の状況】

 

 

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数

(千株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

木戸 修

愛知県豊田市

89

7.20

光通信株式会社

東京都豊島区西池袋1丁目4-10

67

5.41

菊川 厚

三重県伊勢市

64

5.19

株式会社百五銀行

三重県津市岩田21番27号

55

4.47

株式会社平安コーポレーション

静岡県浜松市北区新都田1丁目5-2

55

4.43

菊川 博史

三重県伊勢市

48

3.91

株式会社日本カストディ銀行

(信託E口)(注)

東京都中央区晴海1丁目8番12号

41

3.30

株式会社三十三銀行

三重県四日市市西新地7番8号

38

3.09

株式会社三菱UFJ銀行

東京都千代田区丸の内2丁目7番1号

37

3.04

INTERACTIVE BROKERS LLC

(常任代理人:インタラクティブ・

ブローカーズ証券株式会社)

ONE PICKWICK PLAZA GREENWICH,CONNECTICUT

06830 USA

(東京都千代田区霞が関3丁目2番5号)

33

2.66

532

42.70

 (注)株式会社日本カストディ銀行(信託E口)は、従業員インセンティブ・プラン「株式給付信託(J-ESOP)」制度に係る信託財産の委託先であります。なお、上記委託先が所有している当社株式は、財務諸表において自己株式として表示しております。

 

①【貸借対照表】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

7,918,373

8,150,616

受取手形

187,152

209,023

売掛金

882,257

869,435

有価証券

200,000

200,000

製品

26,806

37,574

仕掛品

192,908

326,991

原材料及び貯蔵品

72,001

73,138

前渡金

12,494

37,975

預け金

50,806

-

その他

14,541

14,453

貸倒引当金

22,606

107

流動資産合計

9,534,734

9,919,100

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物(純額)

557,266

640,074

構築物(純額)

25,928

30,901

機械及び装置(純額)

209,986

199,420

車両運搬具(純額)

16,279

22,527

工具、器具及び備品(純額)

14,005

13,606

土地

1,191,727

1,191,727

有形固定資産合計

2,015,193

2,098,258

無形固定資産

 

 

ソフトウエア

7,475

6,397

無形固定資産合計

7,475

6,397

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

960,605

1,114,054

長期預金

-

100,000

その他

39,286

39,820

投資その他の資産合計

999,891

1,253,875

固定資産合計

3,022,561

3,358,531

資産合計

12,557,295

13,277,631

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

491,937

421,453

未払金

51,560

62,829

未払費用

49,272

54,851

未払法人税等

16,359

84,640

未払消費税等

23,844

32,036

前受金

235,962

585,702

預り金

25,051

28,703

賞与引当金

90,870

104,260

役員賞与引当金

52,500

55,000

流動負債合計

1,037,357

1,429,476

固定負債

 

 

繰延税金負債

442

9,644

退職給付引当金

596,632

633,082

役員退職慰労引当金

115,825

-

従業員株式給付引当金

28,633

35,347

長期未払金

-

140,895

固定負債合計

741,533

818,969

負債合計

1,778,891

2,248,446

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

660,000

660,000

資本剰余金

 

 

資本準備金

311,280

311,280

その他資本剰余金

84,381

84,597

資本剰余金合計

395,661

395,877

利益剰余金

 

 

利益準備金

165,000

165,000

その他利益剰余金

 

 

固定資産圧縮積立金

346,927

341,960

別途積立金

6,500,000

6,500,000

繰越利益剰余金

2,744,411

2,993,805

利益剰余金合計

9,756,339

10,000,765

自己株式

323,083

388,210

株主資本合計

10,488,916

10,668,432

評価・換算差額等

 

 

その他有価証券評価差額金

289,487

360,752

評価・換算差額等合計

289,487

360,752

純資産合計

10,778,404

11,029,185

負債純資産合計

12,557,295

13,277,631

②【損益計算書】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

※1 4,175,313

※1 4,132,500

売上原価

 

 

製品期首棚卸高

27,367

26,806

当期製品製造原価

※2 2,722,169

※2 2,640,966

合計

2,749,537

2,667,772

製品期末棚卸高

26,806

37,574

製品売上原価

2,722,731

2,630,197

売上総利益

1,452,582

1,502,302

販売費及び一般管理費

 

 

運賃及び荷造費

140,784

101,064

販売手数料

79,701

41,323

役員報酬

89,460

93,300

給料及び手当

360,778

373,195

貸倒引当金繰入額

22,606

22,499

賞与引当金繰入額

27,720

32,320

役員賞与引当金繰入額

52,500

55,000

退職給付費用

15,295

16,760

役員退職慰労金

-

23,482

役員退職慰労引当金繰入額

6,350

1,587

株式報酬費用

-

9,072

福利厚生費

63,217

66,586

旅費及び交通費

120,344

139,144

減価償却費

21,829

21,974

その他

123,205

112,402

販売費及び一般管理費合計

1,123,793

1,064,715

営業利益

328,788

437,587

営業外収益

 

 

受取利息

228

90

有価証券利息

1,291

856

受取配当金

21,558

25,540

為替差益

17,907

17,452

売電収入

14,245

14,266

助成金収入

62,027

12,330

雑収入

11,653

11,713

営業外収益合計

128,912

82,249

営業外費用

 

 

支払利息

302

39

売電費用

4,887

3,531

雑損失

147

270

営業外費用合計

5,336

3,841

経常利益

452,363

515,994

特別利益

 

 

投資有価証券売却益

27,810

-

特別利益合計

27,810

-

税引前当期純利益

480,173

515,994

法人税、住民税及び事業税

162,215

156,884

法人税等調整額

18,233

17,908

法人税等合計

143,981

138,976

当期純利益

336,191

377,018