池上通信機株式会社
(注) 1. 第78期から第81期までの潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。第82期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載していません。
2. 第82期の自己資本利益率は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載していません。
3. 第82期の株価収益率は、1株当たり当期純損失であるため記載していません。
4. 従業員数は、就業人員数を表示しています。
5. 当社は2018年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を行っています。第78期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しています。
6. 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第81期の期首から適用しており、第81期以降に係る主要な連結経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっています。
(注) 1. 第78期から第81期までの潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。第82期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載していません。
2. 第82期の自己資本利益率は、当期純損失を計上しているため記載していません。
3. 第82期の株価収益率は、1株当たり当期純損失であるため記載していません。
4. 第82期の配当性向は、1株当たり当期純損失であるため記載していません。
5. 従業員数は、就業人員数を表示しています。
6. 当社は2018年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を行っています。第78期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しています。
7. 最高株価および最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものです。なお、第78期の株価については株式併合後の最高株価および最低株価を記載しており、株式併合前の最高株価および最低株価を括弧内に記載しています。
8. 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第81期の期首から適用しており、第81期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっています。
9. 株主総利回りおよび比較指標の最近5年間の推移は以下のとおりです。

当社グループは、当社および子会社5社から構成されており、情報通信機器の開発、生産、販売、サービスにわたる事業活動を展開しています。
当社グループの事業に係る位置付けは次のとおりです。
当社が情報通信機器の開発、生産ならびに北米・中南米、欧州・中東・アフリカ、西アジア・東南アジア・大洋州地域を除いた販売、サービス活動を行っています。
㈱テクノイケガミでは当社が生産した情報通信機器の修理・サービスの一部を行うとともに、当社プロダクト
センターの製品の一部を生産しています。
連結子会社であるIkegami Electronics(U.S.A.),Inc.(米国)では、北米・中南米地域で、Ikegami Electronics(Europe)GmbH(ドイツ)では、欧州・中東・アフリカ地域で当社製品の販売、サービス活動を行っています。
また、非連結子会社であるIkegami Electronics Asia Pacific Pte.Ltd.(シンガポール)では、西アジア・東南アジア・大洋州地域を対象として、当社製品の販売、サービス活動を行っています。
事業の系統図は次のとおりです。

(注)特定子会社に該当します。
2023年3月31日現在
(注)従業員数は就業人員です。
2023年3月31日現在
(注)1. 従業員数は就業人員です。
2. 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。
当社グループの労働組合は結成されておりません。なお、労使関係については、特に記載すべき事項はありません。
①提出会社
(注)1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。
②連結子会社
女性活躍推進法等により上記公表を行っていないため、記載を省略しています。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、社会における当社グループの存在意義(パーパス)を『「技術」のチカラで、あなたをしあわせに。』と定め、「卓越した技術と匠の技で社会が求める新たな価値を創造し、持続可能な社会インフラ構築の一翼を担い、広く世の中に貢献し、社会から必要とされる企業であり続ける。」ことを目指して参ります。
そして、創業理念「技術の向上、開発へのたゆまざる意欲と不屈の精神を支えとし、使って喜ばれる製品を作り出し、世の中に寄与してゆく。その実現に向け、常に努力し、責任を以て事に当たる社員を育てる。」をベースに、以下の4つの経営ビジョンを基本方針として定めています。
・絶え間ない技術の研鑽に努め、時代を先取りした技術革新に果敢に挑戦し続け、技術優位性の確立により、「Ikegami Way」を追求してゆく
・「Ikegami Way」の追求により、顧客ニーズを逸早く具現化し、常に顧客満足と社会の信頼と期待に応え、安定した経営基盤の構築を図る
・その対価を、全てのステークホルダーへの確実なる還元と将来への成長投資の原資とすべく好循環サイクルを確立し、進化させ続け、グローバル企業として成長・発展し、グローバルでの社会貢献を目指す
・その実現に携わる全ての人々が生き甲斐と働き甲斐を見出すことのできる企業であり続ける
当社を取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症拡大に端を発した半導体を始めとしたサプライチェーンの混乱は仕入れ価格や調達リードタイムに大きな変動をもたらし、市況は未だ不安定な状態が続いておりますが、一部事業領域においては落ち着きを取り戻しつつあります。
また、ロシアのウクライナ侵攻後の資源価格の高騰や、物価上昇によるインフレ局面の進行が世界経済に悪影響を及ぼし、依然として予断を許さない状況です。
しかしながら、こうした状況のなか当社グループは業績の確保に向け、調達先の多様化の一環として各種部材の供給状況、納期変動を迅速に把握できる体制を整え、生産計画への影響を最小限に留めるべく、長納期部材の早期発注、適正なタイミングでの入手に取り組んでおり、徐々に改善の兆しが表れております。
また、生産の平準化による生産効率の追求や販売価格の見直し・改定を進めるなど、不安定な原材料市況に起因する売上原価への影響を極小化するための施策を引き続き推進して参ります。
併せて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、ウィズコロナ、アフターコロナ下でのニューノーマルへの対応を加速するとともに、新3カ年中期経営計画を確実に実行することで、基盤となる放送システム事業の更なる収益性向上への取り組み強化、セキュリティー事業、メディカル事業、検査装置事業の産業システム事業の成長戦略を加速させ、更なる事業の拡大を目指して参ります。
2024年3月期の通期連結業績の目標とする経営指標は、現時点において以下のとおりです。
(単位:百万円)
注意事項
上記の業績見通しは、当社グループが現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は重要なリスク要因や不確実な要素等により異なる可能性があります。
当社グループを取り巻く事業環境は、中長期の視点では国内外での4Kシステムの需要増加と、放送技術の高度化に伴う設備投資、更には高精細を目指した8Kシステムへの期待、安心・安全の確保によるセキュリティー需要、医療用映像機器の高画質、高精細化需要、品質、安全性の確保による検査工程の自動化要求等が高まっていくことが見込まれます。
こうした環境の中、当社グループは、4つの経営の基本方針に基づき、2023年5月25日に公表した新3カ年中期経営計画2023―2025の実現へ向けて取り組んで参ります。
こうした状況の中、部品選定の見直し、調達先の多様化に取り組む一方で、取引価格の見直し・改定を進めるなど、サプライチェーンの混乱による影響を最小限に留めるための施策を継続して参ります。併せて、メーカーとしての基本である製品競争力のさらなる強化はもちろん、更なるコスト構造の改善による企業体質の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、ウィズコロナ、アフターコロナ下でのニューノーマルへの対応を加速することで、売上・利益の確保に努め、持続的成長と企業価値向上を目指して参ります。
当社グループは、2025年度を最終年度とする新3カ年中期経営計画を策定いたしました。本中期経営計画に掲げた目標を確実に達成することで対処すべき課題を解決し、更なる事業の発展と企業価値の向上を目指して参ります。
①中期経営計画基本方針
□ 産業システム事業(※1)の注力事業領域への拡大戦略と放送システム事業の事業安定化戦略を推進し、更なる売上高の拡大と利益の増出を目指す
※1 MS(メディカルソリューション)事業
IS(インスペクションソリューション)事業
SS(セキュリティーソリューション)事業
□ コア技術の進化と深耕、外部リソースの有効活用・アライアンス、更にはM&Aも視野に、既存事業のバリューアップと事業領域の更なる拡大を推進する
□ ESG経営の推進により、企業価値の向上と持続的な成長・発展を追求する
②計数計画(連結)
単位:百万円
③事業戦略
<基本方針>
3つの「キョウソウ力」強化の推進
□ 技術力強化の加速・推進による「競争力」強化
□ 働き方改革やビジネス環境変化に伴う新たな顧客ニーズをお客様と共に共有し、その具現化に向けて先進的に取り組むための「共創力」強化
□ 外部リソースの有効活用と外部パートナーとの連携(アライアンス)による「協創力」強化
<成長戦略>
□ 産業システム事業
・MS(メディカルソリューション事業)
画像処理技術の高度化や差異化機能開発により、医療用カメラの更なる更新需要促進と新たな需要喚起を図る。また、既存の硬性鏡カメラ、顕微鏡カメラ以外の新領域カメラ技術へのチャレンジにより新たな医療分野への参入を推進する。
・IS(インスペクションソリューション事業)
医薬市場のシェア拡大と新分野への挑戦にて産業市場を成長路線に乗せ、事業拡大を目指す。
・SS(セキュリティーソリューション事業)
ハイエンド技術市場である「安全保障(防衛・公共)」「安心安全(鉄道・流通)」「環境(プラント)」への注力とOEM展開による安定した売上高規模・利益体質の構築に取り組む。
□ 放送システム事業
・IP対応製品の開発を強化するとともに、次世代新技術の習得・活用により高度なトータルシステムソリューションの提案強化に取り組むことで、お客様の更新需要を確実に取り込み、全社の基盤事業として事業の安定化を確立する。
・海外市場においては、エリアマーケティング戦略を強化・推進し、次世代4Kカメラシステムの販売促進により、シェア拡大と事業の安定化を図る。
④財務戦略
<財務体質強化>
□ 「部材入手難における早期部材発注・計画生産推進」に対応した、円滑な資金調達と資金管理
□ DEレシオによる有利子負債残高管理と財務コストの圧縮
<利益増出構造の構築>
□ 全社大での徹底した変動費の削減
□ DX推進による業務効率化の推進
<安定した株主還元>
□ 収益の状況や経営環境に対応した安定配当の継続を基本とし、企業体質の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保の充実等を勘案し、配当を行うことを基本とする。
⑤非財務戦略
<人的資本の強化>
□ 中長期的な人員採用戦略/ジョブローテーションによる人財多能化の推進
□ 女性活躍の更なる推進(継続就業支援、役職者への登用)
□ シニア人財の活用と働きがいのある職場・しくみ(制度)の整備
<知的資本の強化>
□ 注力事業領域にフォーカスした知的財産戦略の推進
□ 外部技術教育環境の活用と奨励制度によるプロとしての自己研鑽の推進
<環境への取り組み>
□ 省電力設備への入替による電気使用量の削減と、再生可能エネルギー利用への移行によるCO2排出量削減(scope2)
□ 業務用車両の保有台数削減、およびHV/EV車両への入替(scope1)
□ 開発における環境負荷の軽減対応、開発製品の省電力化、リユースの促進
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 事業等のリスク
① 新型コロナウイルス感染症の再拡大について
新型コロナウイルス感染症の影響が緩和したことから、世界的に経済活動の制限が緩和されるなど、景気の持ち直しの動きに期待がされていますが、今後、再び感染が再拡大するなどして、経済活動の停滞が生じた場合、計画されていた案件の延期や規模縮小、新規設備投資の凍結のリスクも見込まれます。こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、こうしたリスクの影響を最小限に留めるため、ウィズコロナ、アフターコロナ下でのニューノーマルへの対応を加速するとともに、比較的影響を受けにくいと思われる公共性の高い案件や、投資意欲が旺盛な市場、地域に注力するなど、お客様の運用変化や新たなニーズに即したソリューション提案を推進して参ります。
また、当社グループ従業員が新型コロナウイルスに感染し、その感染がグループ内に拡散した場合、操業停止やサプライチェーンの停止等により、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを未然に防ぐため、テレワーク・時差通勤の導入、衛生管理の徹底など、引き続き感染予防と拡散防止に努めて参ります。
② サプライチェーンの混乱について
コロナ禍の影響によるサプライチェーンの混乱から、半導体を始めとした様々な部品の調達難および価格の高騰が続いており、現時点において、一部事業領域においては落ち着きを取り戻しつつあるものの、市況は未だ不安定な状態が続いております。今後、こうした状況が長期化し、さらなる部品の調達難や価格の高騰などのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、こうしたリスクの影響を最小限に留めるため、調達先の多様化の一環として各種部材の供給状況、納期変動を迅速に把握できる体制を整え、生産計画への影響を最小限に留めるべく、長納期部材の早期発注、適正なタイミングでの入手に取組むとともに、生産の平準化による生産効率の追求や販売価格の見直し・改定を進めてまいります。
③ 国際情勢について
当社グループは国内のみならず米国、欧州、アジア、中近東、ロシア等の地域で商品を供給しています。従って、これらの国または地域の経済状況や地政学的要因、法的規制等により当社グループの販売活動に影響を及ぼす可能性があります。特に、ウクライナ情勢が長期化し、資源価格をはじめとした過度の物価上昇によるインフレが世界経済への悪影響を及ぼした場合、また、米国と中国間の貿易摩擦が過熱し、米国による中国への各種規制強化等により、中国のみならず、世界経済にまで景気減速が広がった場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクが顕在化した場合、その影響を最小限に留めるため、米国、ドイツ、シンガポールの現地法人との連携を密にし、各地域の情勢を的確に把握するとともに、サプライチェーンの強化を図って参ります。また、国際情勢の変化に伴う為替相場の変動リスクにも備え、為替予約等によりリスクの最小化に努めて参ります。
④ 災害・事故について
当社グループでは、工場における生産活動に関し、労働安全衛生に配慮するとともに、環境マネジメントシステムISO14001の認証を取得し、地球環境に配慮した生産活動に努めております。また、首都圏における大規模地震の発生などにより本社機能が麻痺した場合に指揮命令系統を早期に確立するための震災マニュアルも策定しています。しかしながら、不測の大規模地震や台風等の自然災害による生産設備の被害、工場における事故、製品輸送・外部倉庫保管中の事故等、不測の事態が発生するリスクが考えられます。これらの事象は、工場の操業や顧客への供給に支障が生じることで、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 品質リスク
① 品質について
当社グループは設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。しかしながら、製品の品質面でのリスクを全て排除するのは不可能であり、製造物責任(PL)問題を提起される可能性があります。また、その他にも製品の不具合による賠償など品質や安全面での問題を提起される可能性も考えられ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクに備え、製品の設計段階からデザインレビューを実施するともに、製品化の前段階での品質、性能評価試験を徹底しています。また、製品として出荷前に品質管理部門での出荷前テストを綿密に実施しています。
② 製品開発について
当社グループは、国内外の市場へ向けた新製品、新技術の開発を進めておりますが、各事業において、市場で競合する各社との競争の激化により、製品競争力が相対的に低下し、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクが発生しないよう、常に次世代技術の習得・獲得・活用に注力し、各事業において市場でのマーケティング戦略の立案・実行による製品開発へのフィードバックを徹底します。
(3) コンプライアンス・リスク
当社グループは、事業の遂行にあたって、国内はもとより、事業を展開する各国において、当該国の法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受けたりお客様からの信頼を失ったりする可能性があります。当社グループでは、コンプライアンスの取り組みを横断的に統括するRC委員会を設置し、具体的な計画を策定、実行することで、リスクの未然防止に努めています。また、リスクマネジメントやコンプライアンスに関する研修を通じ、従業員へ法令順守の意識醸成と徹底を推進し、違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。
(4) 財務制限条項に関するリスク
当社グループは、資金需要に対する機動性と安定性の確保および資金効率向上を図ることを目的に、取引銀行3 行とコミットメントライン契約等を締結しています。これらには純資産の減少および経常損失の計上に関する財務制限条項が付されています。これに抵触し、借入先の請求に基づき借入金の返済を求められた場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの影響が緩和し、経済活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されましたが、外国為替市場での急激な円安の進行や物価の上昇など、依然として先行き不透明な状況で推移しました。
また、世界経済におきましても、緩やかな持ち直しが続くことに期待されていますが、ウクライナ情勢の長期化による資源を始めとした原材料価格の高騰による世界的なインフレ局面の進行や、サプライチェーンの混乱による部品調達難、中国での新型コロナウイルス感染者数の急増など、景気の下振れリスクが存在する状況で推移しました。
このような状況下において、当社グループの当連結会計年度における経営成績の概要は次のとおりです。
売上高につきましては、前年同期比19.9%増収の221億46百万円となりました(前年同期売上高184億70百万円)。
損益面につきましては、営業損益は前年同期比で12億52百万円減の営業損失9億97百万円(前年同期営業利益2億55百万円)、経常損益は前年同期比で12億94百万円減の経常損失10億円(前年同期経常利益2億93百万円)、最終損益につきましては、前年同期比で12億53百万円減の親会社株主に帰属する当期純損失10億74百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益1億78百万円)となりました。
当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルスの影響が緩和したことから、国内外での需要が回復傾向で推移し受注が好調であったこと、併せてお客様の契約納期を遵守できたことも寄与し、前年同期の売上高を下回る結果となりました。
放送システム事業では、国内で、大型中継車やSNG中継車など、中継車システムの販売が大きく伸長し、ヘリコプターテレビシステムなど、無線伝送システムの販売も堅調に推移するとともに、欧米でも放送用カメラシステムの販売が堅調に推移したことから、前年同期に売上高を上回りました。
産業システム事業でも、セキュリティー事業では、CCTVカメラおよびシステムの販売が堅調に推移し、検査装置事業でも医薬市場向け検査装置のほか、産業市場向け検査装置の売上が増加するとともに、メディカル事業では中国市場における医療用カメラの販売が大幅に増加したことあり、前年同期を上回る売上高となりました。
当連結会計年度の損益につきましては、販売価格の見直し・改定を進めるなど、サプライチェーンの混乱による影響を最小限に留めるための施策を敢行して参りましたが、部材価格の高騰による急激な売上原価の悪化を吸収できなかったこと、また、お客様の契約納期遵守のため、部材調達にあたり通常仕入れ価格より高額な市場流通品を一定数確保せざるを得ず調達いたしましたが、その結果、直近におけるそれら部材の評価額が2023年3月末の帳簿価額を下回ったことから、主に再調達原価まで切り下げる方法により会計処理を行い、8億27百万円を棚卸評価損として売上原価に計上したことにより、営業損益、経常損益、最終損益ともに前年同期比で大幅な減益となりました。
生産、受注および販売の実績は、次のとおりです。
当連結会計年度における生産実績は次のとおりです。
(注) 金額は、販売価格によっています。
当連結会計年度における受注実績は次のとおりです。
当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。
(注) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
当連結会計年度末の総資産は、289億61百万円であり、前連結会計年度末に比べ15億57百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金の減少、売掛金、原材料及び貯蔵品の増加等により、前連結会計年度末に比べ15億94百万円増の239億72百万円となりました。固定資産は、有形固定資産、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べ37百万円減の49億88百万円となりました。
負債総額は162億50百万円であり、前連結会計年度末に比べ25億57百万円増加しました。流動負債は、支払手形及び買掛金、電子記録債務、短期借入金、賞与引当金の増加等により前連結会計年度末に比べ29億83百万円増の116億9百万円となりました。固定負債は、社債の減少等により、前連結会計年度末に比べ4億26百万円減の46億40百万円となりました。
純資産については、前連結会計年度末に比べ9億99百万円減少し、127億10百万円となりました。これは主として、利益剰余金の減少と為替換算調整勘定の増加によるものです。この結果、自己資本比率は、43.9%(前連結会計年度末50.0%)となりました。
翌連結会計年度につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に端を発した半導体を始めとしたサプライチェーンの混乱は仕入れ価格や調達リードタイムに大きな変動をもたらし、一部事業領域においては落ち着きを取り戻しつつありますが、市況は未だ不安定な状態が続いております。当社グループは、前述の2024年3月期の業績目標を達成すべく、その影響を最小限に留め、売上高の確保と、さらなる利益創出を目指し、資金の流動性も確保しつつ、更なる財務基盤の強化を図って参ります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純損失10億24百万円を計上し、減価償却費5億42百万円、売上債権の増加19億59百万円、棚卸資産の増加8億14百万円、仕入債務の増加14億21百万円、未払消費税等の増加2億84百万円等により、11億87百万円の支出となりました(前年同期比4億32百万円の支出減少)。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得による支出3億3百万円、無形固定資産の取得による支出34百万円等により、3億35百万円の支出となりました(前年同期比6億49百万円の支出減少)。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の純増加5億10百万円、長期借入れによる収入14億27百万円、長期借入金の返済による支出11億58百万円、社債の償還による支出3億12百万円等により、2億72百万円の収入となりました(前年同期比17億86百万円の収入減少)。
(4) 資金の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費のほか、設備の新設、改修に係る投資となります。特に、放送市場におけるデジタルハイビジョン設備の更新需要の納入に係る仕入代金の資金需要が生じています。また、近年においては、新たな収益源泉を拡充するため産業システム事業の投資への資金需要が発生しています。これらの資金需要の財源については、自己資金のほか、金融機関からの借入および社債発行により調達することとしています。
資金の流動性については、前述の製品の納入に係る仕入代金の他、突発的な資金需要に対しても機動的に資金を調達できるよう金融機関との間で総額40億円のコミットメントライン契約を締結しており、流動性リスクに備えています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループが行う重要な見積りは以下のものです。
①貸倒引当金
当社グループの売上高は季節的変動が著しく、第4四半期連結会計期間に売上が集中する傾向にあります。この期間の売上債権の回収は翌連結会計年度に行われることから、貸倒引当金の会計上の見積りは重要なものとなります。
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。
当社グループは、適切な与信管理を行い、一般債権の貸倒実績率が低い状況で推移していますが、売上増加により期末時の債権が増加したり、多額の貸倒れが発生した場合、貸倒引当金の金額が増加する可能性があります。
②投資(有価証券)の評価・減損
当社グループは、取引先との中長期的な取引・関係維持、シナジー創出等、企業価値の維持・発展等を目的として、この目的に合致した株式を保有しています。これらの株式には、取引所に上場されている上場株式と上場されていない非上場株式があります。
当社グループは、保有株式の評価については、上場株式は取引所の市場価格、非上場株式は取得価額で行っています。
保有株式の減損については、上場株式においては、個別銘柄毎に市場価格と取得価額を比較して50%以上下落した場合は、合理的な反証がない限り著しい下落とみなし減損処理を行い、2期連続して下落幅が30%以上50%未満の範囲で推移した場合、市況および銘柄固有の要因分析を行い、今後の回復可能性を判断して減損処理を行っています。また、非上場株式においては、個別銘柄毎に1株あたり純資産額と取得価額を比較して50%以上下落した場合は、今後の回復可能性を判断して減損処理を行っています。
保有目的が合致しなくなった場合、その株式を売却する場合があります。また、市況悪化や投資先の業績悪化により、保有株式の減損処理を行う場合があります。
③固定資産の減損
当社グループは、固定資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理を行っています。
当社グループの業績の悪化や事業再編、固定資産の用途変更など、固定資産の回収可能性を著しく低下させる変化が生じた場合、減損処理を行う可能性があります。
④繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の分類に応じて、会計上の資産・負債の金額と税務上の資産・負債の金額との差額および税務上の繰越欠損金(一時差異等)に係る税金の額から将来の会計期間において回収が見込まれない税金の額を控除して繰延税金資産に計上しています。
回収の見込額は課税所得に影響を受けるため、業績の悪化により将来の課税所得の減少が見込まれる場合、繰延税金資産の減少および法人税等調整額の増加となる可能性があります。また、税制改正により将来の法定実効税率に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響を与え、法人税等調整額が変動する可能性があります。
⑤退職給付関係
当社グループは、従業員の退職給付に充てるため、非積立型確定給付制度(退職一時金制度)および確定拠出制度を採用しています。このうち退職一時金制度においては、原則法による数理計算をしています。数理計算の計算基礎には、割引率、予定死亡率、予定退職率、予想昇給率があります。
数理計算による退職給付債務の見込額と実際の退職給付債務の金額との差額は、未認識数理計算上の差異として翌期以降費用処理していますので、翌期以降の費用に影響があります。
退職給付関係の計上額等は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載しています。
⑥製品保証引当金
当社グループは、製品のアフターサービスに伴う費用の支出に備えるため、過去の実績率に基づいて算出した見積額および特定の製品に対する個別に算出した発生見込額を計上しています。
当社グループは、設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。また、製品として出荷前に品質管理部門での出荷前テストを綿密に実施しています。
しかしながら、出荷後に想定外の不良が発生することで、多くの修理費用が発生した場合、製品保証引当金の金額が増加する可能性があります。
⑦棚卸資産の評価
当社は、製品、仕掛品については個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)、原材料については移動平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)により評価していますが、連結子会社は、主として先入先出法による低価法を採用しています。
棚卸資産の評価および算定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)(棚卸資産の評価)」に記載しています。
該当事項はありません。
2023年3月31日現在
(注) 1. 上記には建設仮勘定を含んでいません。
2. 建物の一部を借用しています。年間賃借料は44百万円です。
2023年3月31日現在
(注) 上記には建設仮勘定を含んでいません。
2023年3月31日現在
(注) 1. 上記には建設仮勘定を含んでいません。
2. 上記のほか、主要なリース設備として事務所等があり、年間リース料は13百万円です。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)2018年6月28日開催の定時株主総会決議により、株式併合の効力発生日(2018年10月1日)をもって普通株式10株を1株に併合し、発行済株式総数は65,571,722株減少し、7,285,746株となっています。
2023年3月31日現在
(注) 1. 自己株式887,304株は、「個人その他」に8,873単元および「単元未満株式の状況」に4株含まれています。
2. 「その他の法人」の欄には、証券保管振替機構名義の株式が15単元含まれています。
2023年3月31日現在
(注) 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は次のとおりです。
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 513 千株
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 106 千株