古野電気株式会社
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第72期の期首から適用しており、第72期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
2 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
3 第68期の1株当たり配当額25円には、創立70周年記念配当5円を含んでおります。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第72期の期首から適用しており、第72期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社(1951年5月23日設立、1980年1月4日商号を水産電気工業株式会社から古野電気株式会社に変更)は、1980年3月1日を合併期日として、旧古野電気株式会社を経営合理化等の目的で形式上吸収合併いたしました。
しかしながら、合併前の当社は、魚群探知機を製造し、その全製品を被合併会社に納品する等、被合併会社の製品製造の一部を担っていたにすぎず、また、事業規模も同社と比較して小規模であり、合併後も実質上は被合併会社である旧古野電気株式会社がそのまま存続しているのと同様の状態でありますので、以下の記載は実質上の存続会社について記述いたします。
(注) 登記上の本店所在地は、設立時から1980年5月27日(合併登記完了日)まで、長崎県南高来郡口之津町丁4160番地でありました。
(参考) 形式上の存続会社である古野電気株式会社(旧水産電気工業株式会社)の合併前の沿革は、次のとおりであります。
当社グループは、当社、連結子会社36社、非連結子会社1社及び関連会社2社で構成されており、超音波及び電磁波を中心としたセンサー技術をもとに、舶用電子機器及び産業用電子機器の製造販売を主たる事業としております。
当社グループの主な事業の内容と、当社及び関係会社の位置づけは次のとおりであります。
なお、以下の事業区分はセグメントの区分と同一であります。
舶用事業
主要な製品は航海機器、漁労機器及び無線通信装置等であります。
当社が製造・販売するほか、FURUNO FINLAND OY、ELECTRONIC NAVIGATION LIMITED及び古野香港有限公司が製造しており、主に国内はフルノ九州販売㈱、フルノ関西販売㈱、海外はFURUNO U.S.A.,INC.、FURUNO(UK)LTD.、FURUNO DANMARK A/S、FURUNO NORGE A/S、FURUNO FRANCE S.A.S.、FURUNO ESPAÑA S.A.、FURUNO DEUTSCHLAND GmbH、FURUNO HELLAS S.A.、FURUNO SINGAPORE PTE LTD及びFURUNO CHINA CO., LIMITED等が販売しております。
産業用事業
主要な製品は、医療機器、ITS機器、GPS機器及び航空機用電子装置等であります。
当社及び孚諾科技(大連)有限公司が製造・販売しております。
無線LAN・ハンディターミナル事業
㈱フルノシステムズが主に無線LANアクセスポイント、ハンディターミナル等の製造・販売をしております。
その他
主に、ラボテック・インターナショナル㈱が電磁環境試験事業を行っております。
事業の系統図

(注)1 議決権の所有割合の( )書は、間接所有の内書であります。
2 役員の兼任の( )書は、当社職員数の内書であります。
3 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
4 上記のうち特定子会社に該当する会社はFURUNO U.S.A., INC.及び古野香港有限公司であります。
5 FURUNO U.S.A., INC.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。なお、数値は同社の子会社1社を連結した数値であります。
主要な損益情報等 ① 売上高 11,600百万円
② 経常利益 200 〃
③ 当期純利益 160 〃
④ 純資産額 6,666 〃
⑤ 総資産額 8,107 〃
2023年2月28日現在
(注) 従業員数は、パートタイマー、派遣社員及び当社グループから当社グループ外への出向者を除き、執行役員、契約社員及び当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員であります。
2023年2月28日現在
(注)1. 従業員数は、パートタイマー、派遣社員及び当社から他社への出向者を除き、執行役員、契約社員及び他社から当社への出向者を含む就業人員であります。
2. 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
当社の労働組合は、古野電気労働組合と称し上部団体の全日本電機・電子・情報関連産業組合連合会に加盟しております。2023年2月28日現在の組合員数は966人であります。
なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「会社存立の原点は社会の役に立つことである」「経営は創造である」「社員の幸福は会社の発展と共にある」との経営理念を掲げております。また、当社グループ社員の行動指針は、「未来に向かう」「最良に挑む」「独創を貫く」「率直を好む」を謳っております。今後も、これらを普遍的な価値観として尊重しつつ、2018年12月に迎えた創立70周年を機に、2030年までに目指す姿を示す新たな経営ビジョン「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」を策定しました。
当社グループは、2030年までの目指す姿を「事業ビジョン」と「人財・企業風土ビジョン」で構成する新たな経営ビジョンとして明示し、その実現に向けた諸活動を展開することを通じて、顧客提供価値と企業価値の両面を持続的かつ発展的に高める方針です。
「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」の概要は、次のとおりです。
① 事業ビジョン「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」
この事業ビジョンは、「当社グループのすべての事業は、海でも陸でも、安全安心かつ快適であることを前提に、人と環境に優しい社会や航海の実現を目指す」という、“わたしたちが最も優先する価値”を表現しています。これまで当社グループが事業活動で重視してきた「安全安心」「環境」という提供価値を、「安全安心」と「快適」、「環境」と「人」の視点へ拡大することで、既存事業での顧客提供価値の拡充や周辺領域での新規事業育成を推進するための新たな道しるべとします。
当社グループは、世界初の魚群探知機実用化を成し遂げた1948年の創立当時から現在に至るまで、「事業を通じた社会的課題の解決」を果たすべき使命としてまいりました。一方で、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の考え方が国際社会の共通認識となる中、企業が事業活動を通じてその実現に貢献することが求められております。当社グループは今後も、創立当初からの価値観を大切に受け継ぎながら、企業運営並びに事業活動の基本方針の中にSDGsを積極的に取り入れることにします。
② 人財・企業風土ビジョン「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」
企業運営における重要な経営資源である人財と企業風土については、経営理念並びに行動指針を普遍的な価値観として尊重した上で、事業ビジョンの実現に向けて重点的に強化・評価する基軸として「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」を謳い、3つのポイントを定めました。
(VALUE)さらなる価値共創への挑戦
わたしたちはビジョンを深く理解し、高い自律性を持って行動していくことで、社会へのさらなる価値を、当社グループに関わるすべてのステークホルダーと「共に」創り上げていきます。
(GLOBALIZATION)グローバリゼーションの浸透
わたしたちはグローバルマインドセットを醸成し、ビジョン実現に向けて、社内外の資源を所属、地域、国等の属性に依らず最適かつ最大限に活用いたします。
※グローバルマインドセット:異なる文化・習慣・価値観を持つ人たちやグループに対して影響を与えることを可能とする思考を意味しています。
(SPEED)迅速かつ柔軟な判断と行動
わたしたちは変化することに躊躇せず、新しい時代を創り続けることを目指します。
当社グループは、創立から間もない1955年に「世界のフルノ」を宣言し、海外展開を加速してまいりました。現在では連結売上高のうち海外売上比率が6割を超え、世界80カ国以上に開発・生産・販売・サービス拠点を有するようになりました。今後は、顧客提供価値と企業価値の最大化を目標に、事業と市場の特性に応じて当社グループの人財と組織機能をグローバリゼーションの観点からより有機的に活用するとともに、顧客や取引先との連携を積極的に推進することで「名実ともに世界のフルノ」となることを目指します。
「FURUNO GLOBAL VISION “NAVI NEXT 2030”」の実現は、次の3つのフェーズに分けて段階的かつ速やかに挑む方針です。
フェーズ1・・・変える
事業の体質改善による資源の捻出・体力強化のフェーズ(2021年2月期~2023年2月期)
フェーズ2・・・つなぐ
技術と事業の柱・収益構造の構築に向けた行動のフェーズ(2024年2月期~2026年2月期)
フェーズ3・・・変わる
あるべき企業規模・収益性・事業構造を実現するフェーズ(2027年2月期~2031年2月期)
これらすべてのフェーズが完結する2030年度の成長目標は、連結売上高1,200億円、営業利益率10%、新規事業構成比率30%です。
(2)中期経営計画及び目標とする経営指標
当社グループは、2023年2月に、2024年2月期から2026年2月期までの3年間を対象期間として、フェーズ2となる中期経営計画を策定いたしました。フェーズ2では利益水準向上の取り組みとして、フェーズ1で未達に終わった施策を完遂させるとともに、売上規模拡大による利益の確保も進めてまいります。また将来成長に向けた投資を推し進め、企業価値を向上させてまいります。経営指標としては利益の確保に加え、資本効率の観点から、自己資本経常利益率向上※による企業価値の増大に努めてまいります。また、株主還元に当たっては連結配当性向を重要な経営指標としております。最終年度にあたる2026年2月期には、自己資本経常利益率10%以上を計上し、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築いたします。
※2010年2月期から2018年2月期の平均自己資本経常利益率は6%
主な基本施策
① 利益水準の向上
体質改善・体力強化による収益性改善に焦点をあてたフェーズ1の取り組み(品質水準向上、在庫適正化、商品開発機能・総合モノづくり機能の最適化)を完遂させます。
② 売上規模の拡大
将来成長への投資を進めていくさらなる原資獲得に向け、リモート管理による高品質なサービスの提供、舶用Digitalization等を中心とした舶用DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、成長期待事業へのリソース投下等を推し進め、売上規模の拡大を目指します。
③ サステナブル経営の実行
未来に向けた将来事業の道標となる長期方針を表明し、戦略的な投資枠を活用した事業創出の強化、新規事業・領域拡大事業の早期事業化、人財投資、ダイバーシティ等を推し進め、サステナブル経営の実現を目指します。
個別事業戦略
(舶用事業)
新造船竣工時から保守メンテナンス、機器換装に至るまで、船のライフサイクルを通して顧客に寄り添う「ライフサイクルサポート」を舶用事業の共通理念とし、市場及び地域別の戦略・戦術によるグローバルな販売・サービスを推し進めます。また新規取り組み分野における売上の拡大と舶用DXの推進を加速させます。
① グローバルに展開する販売体制を最適化しつつ、市場に近い現場での製品・ソリューション開発を強化することで新たなグローバル戦略の進化を図ります。
② サービス品質のさらなる向上とともに、予兆サービス及びリモートメンテナンスを促進し、顧客の満足度と収益力向上を目指します。
③ 舶用事業で培った強みを活かし、養殖や洋上風力等、新たな取り組み分野での事業展開を加速させます。
④ データを活用した製品・サービスを市場投入し、新たな顧客価値の創造を目指します。また既に獲得した自律航行支援技術の普及によって、「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」に貢献していきます。
(産業用事業)
事業ポートフォリオを見直し、防衛装備品事業やモバイル基地局向けに製品展開する時刻同期事業等、今後市場の成長が見込まれる成長期待事業にリソースを集中させ、収益の向上を図ります。
(無線LAN・ハンディターミナル事業)
顧客の求めるDXの実現に貢献する新たなシステムソリューションを展開し、無線LANアクセスポイントの文教市場でのさらなるシェア拡大とともに、新たな市場を開拓し事業領域の拡大を目指します。
フェーズ1 主な基本施策の取り組み結果について
当社グループは、2021年2月期から2023年2月期までの3年間を対象期間とするフェーズ1に取り組んでまいりました。最終年度である当連結会計年度は、自己資本営業利益率3.0%、配当性向は58.5%となりました。
※2010年2月期から2018年2月期の平均自己資本営業利益率は5%
① 在庫管理の強化及び適正在庫の実現
本施策では、生産量の適正化、在庫管理の強化により、在庫廃棄や評価損による費用はフェーズ1開始前の2020年2月期と比較し6億1千7百万円減少しました。しかしながら、フェーズ1期間中に半導体をはじめとする部材の入手が困難となり、生産遅延が急激に拡大したことから、在庫が大幅に増加しました。今後も、関連費用の発生を抑えた管理の徹底を継続していくとともに、在庫の早期適正化に取り組んでまいります。
② 品質水準の更なる向上
本施策では、役員直属の品質統括部門を中心に事業部横断での品質改善活動等の取り組みを推し進めた結果、品質ロスコストはフェーズ1開始前の2020年2月期と比較し4億3千3百万円減少しました。またクレーム件数も減少したことにより、顧客満足の向上にも繋がりました。今後も、さらなる品質ロスコスト削減を推し進めるとともに、サイバーセキュリティ対策も含めた品質向上に取り組んでまいります。
③ 商品開発機能の最適化
本施策では、現行機の原価低減活動の他、新商品開発において共通化設計を用いる等の開発業務の効率化により、フェーズ1期間中において、累計3億9千9百万円のコスト削減を実施しました。取り組みを通じて得たノウハウを今後の新商品開発や設計変更に水平展開し、品質水準を落とすことなく利益創出への貢献を継続してまいります。
④ 総合モノづくり機能の最適化
本施策では、国内外の工場における生産や購入部材の最適化、生産工程の自動化等を推し進め、必要とされる時期に、必要なモノを、必要な量だけ生産・出荷する体制の構築に取り組みました。しかしながら、部材の入手困難に伴う生産遅延の発生により、顧客にご迷惑をお掛けする事態となりました。まずは受注に対する未生産品の解消を最優先に、一刻も早く正常な生産活動に戻す取り組みを進めてまいります。また、生産リードタイムの大幅な短縮を目指した工場のスマート化に向けた仕組みの構築に取り組んでまいります。
⑤ 戦略投資枠の新設
本施策では、新規事業の創出・育成、先端技術領域を含む研究開発の推進、洋上風力事業への参画を始めとした既存事業の領域拡大の取り組み、またインフラ整備等、フェーズ2以降の将来成長に向けた投資を進めました。新規事業では養殖支援事業や建設テック事業を立ち上げ、事業化に向けた取り組みが加速しています。また海外での製品開発力強化を目的とするM&Aや、研究開発部門を集約した研究開発棟の新設等、積極的な投資を行いました。今後も、新たな事業創出の取り組みや研究開発活動を推し進め、将来成長に向けた投資を継続してまいります。
(3)経営環境及び対処すべき課題
世界経済の状況は、政策金利の上昇、ウクライナ情勢の長期化や米中対立等の地政学リスクの高まりから、先行き不透明感が増しており、不安定で不確実性の高い状況にあります。このような状況の中、当社グループは増加した受注に対する未生産品の解消に取り組むとともに、フェーズ2で掲げる利益率向上の取組みを推し進め、産み出した経営資源を将来成長に向けた投資に充てることで、当社グループの持続的成長を可能とする基盤構築に努めてまいります。また、以下の施策に取り組むことによりグループ全体の企業価値を高めてまいります。
① 新たな価値の創造
商船向け事業における「ライフサイクルサポート」戦略の奏功、漁業向け事業におけるハード・ソフト両面から漁業者を支える「勘と経験の見える化」ソリューションのグローバル展開等により、当社グループの収益性は中長期的に向上傾向にありますが、依然改善の余地は大きいと認識しております。また、主力の舶用事業は中期的に安定した売上収益を獲得することが見込まれ、総じて成熟傾向にありますが、船舶のDX(デジタルトランスフォーメーション)を見据えた製品やソリューションの研究開発として、自律航行船実現に向けた動きや、漁業先進国を中心に資源管理型漁業推進の流れが加速しており、当社グループは舶用電子機器のグローバルトップメーカーとして関連技術の研究開発をリードしていく必要があります。産業用分野においても、高齢化や人手不足等、当社グループが解決すべき社会的課題はより多様化し、ますます顕在化しており、対応する商品やソリューションを産み出し続けることが求められております。
② 働き方改革の推進
2019年4月より働き方改革関連法が順次施行され、2020年4月には派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向けた改正労働者派遣法の施行、70歳までの雇用延長の法令化が検討される等、従来の雇用や勤務のあり方を見直す動きが広がっております。当社は経営理念のもと、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、明るく活き活きと働くことができるよう、従業員の健康意識向上と、安心して働きつづけることのできる職場環境の整備に向けた取り組みを推進しており、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営有料法人(ホワイト500)」に2019年度から連続で認定されております。また、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進する一環として長時間労働の削減、有給休暇取得の奨励、在宅勤務対応やフレックスタイム制度の拡充、人事処遇制度の改革等を推進してまいります。
③ 人財の育成、確保
当社は、従業員は、まさに「人財」であり重要な経営資源と認識しております。現状としては、中核人財に占める中途採用者はかなり多く、また海外現地法人を多数有することから中途採用者・外国人という観点では比較的に良好な水準にありますが、持続的な成長に向けて、優秀な人財の育成、確保が不可欠であります。特に当社グループのグローバルビジョン「NAVI NEXT 2030」の事業像で描かれている新規領域を実現するためには、イノベーションや新しい価値創造の源泉である人財の多様性確保は欠かすことのできない施策であり、多様なスキルや個性をもった全ての人財が成長・活躍できる環境の整備に取り組んでまいります。また、失敗を恐れない価値の共創、自主性・自律性の高い人財を増やすこと等を目的に各事業部門及びグループ会社毎の表彰に加え、その中からグループ全体の最優秀賞を選出する社員表彰制度を設けております。なお、多様な人財を活用するため、ダイバーシティ(多様性)を推進するとともに、性別、国籍、年齢等に関係なく採用、評価等を行っており、先進的かつ独創性のある人財発掘等に努めております。
④ 配当政策
当社は、配当政策を経営における最重要政策のひとつと位置付けております。現在の中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)では、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築することを目標に掲げております。また、内部留保につきましては、将来を見据えた投資や企業体質の一層の強化のために活用してまいりたいと考えております。
⑤ 株主、機関投資家等との建設的な対話
当社は、毎年、株主や機関投資家等と継続的な対話を行うことで、経営方針や成長戦略等についての理解促進に努めております。また、株主、機関投資家、顧客等ステークホルダーとの建設的な対話から得られた意見等を経営層と共有し、持続的な成長と企業価値向上に活かしております。
その他、当社のホームページ等を通じて株主総会や決算内容等の情報を提供していることに加え、ご要望ご質問等に対して迅速かつ、適切に対応するよう心掛けてまいります。
⑥ コーポレート・ガバナンスの取り組み
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。また、経営の健全性や透明性を高めるため、任意の指名・報酬諮問委員会及びコンプライアンス委員会を設置する等、ガバナンスが機能する組織体制を構築することによりリスク回避や不祥事防止に努めております。また、コーポレート・ガバナンス強化の観点から、執行役員制度を導入することにより、経営と執行を分離し、取締役会の意思決定・監督機能と経営方針・戦略立案機能に重点を置いた体制強化を図るとともに、業務執行機能を強化することで、事業環境の変化に迅速適切に対応できる体制を構築してまいります。
⑦ サステナビリティへの取り組み
当社は、会社の持続的な成長とともに持続可能な社会を実現するため、ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを重視した経営を進めてまいります。環境(環境汚染防止と予防、空調の省エネ化や照明のLED化等電力やCO2排出の削減への取り組み、産業廃棄物の削減等)、社会(多様な人財の活用、事業活動、社会活動による貢献等)及び企業統治(健全なコーポレート・ガバナンス体制の確立、社外取締役比率の向上、指名・報酬委員会の設置等)を勘案した経営戦略を推進しており、ステークホルダーの皆様(株主、投資家、顧客、取引先、債権者、従業員、地域社会等)との信頼を構築することにより企業価値の向上に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、商品を製造するにあたって高品質な原材料、部品等をタイムリー且つ必要数入手するため、信頼のおける仕入先を選定しています。しかし、予期できない自然災害や事故等によるサプライチェーンへの大きな影響、仕入先の経営状態悪化による部品の供給制限や製造中止、市場での需要増加による供給制限等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、環境への配慮等、サプライチェーンを通して、社会からESG観点での高度な対応を求められています。当社グループは仕入先に対してCSR調達の徹底を図っていますが、仕入先における対応不備により、調達に影響があった場合、商品の販売にも影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として仕入先の所在地情報を一元管理し、地震・水害や工場火災等の発生時に、影響を早期に把握する体制を整備するとともに、第三者機関を活用し、仕入先の財務情報をはじめとする経営リスクを定期的に評価し、リスクレベルに応じた対策を実施しております。また、当社グループのCSR活動をサプライチェーン全体で実践すべく、仕入先に対して積極的な啓蒙活動、協力要請及び、必要な支援に努めております。
また、急激な需給環境の変化等により、原材料、部品等の供給不足が続き、生産の遅延が避けられず商品の販売に影響がある場合、及び原材料や部品等の著しい価格変動が商品原価の上昇を招いた場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として調達先との関係強化・調整や関係各部門の連携による生産管理の強化等により影響を最小限に抑えることに努めております。
(2) 国際情勢等の影響について
当社グループは、日本、アジア、欧州、米州等の様々な国・地域に商品を供給しております。これら国・地域の経済状況の変化や対象市場での当社商品に対する需要の変化、また、米中貿易摩擦やウクライナ情勢の長期化等による地政学リスクの高まりから、安全保障、人権関連を中心に国家の政策・法律の変更、関税の引き上げ、製品供給・技術提供の制限等が発生する事が懸念されております。それにより、生産・物流・営業活動が制限を受け、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として関係国の政治・経済情勢や法規制・関税の動向等を、関係部署・関係会社にてグローバルでモニタリングし、最新状況を踏まえた対策を講じております。また、海外子会社を含むグループ全体として適切な貿易管理を行うために、代表取締役社長を最高責任者とした安全保障貿易管理体制の整備や、輸出入に関する規制・新興技術等に対する取引制限等の政策に対して分析を行い、関係する従業員への教育や必要に応じた取引形態やサプライチェーンの見直し等を行うことにより、事業への影響の低減を図っております。
(3) 情報セキュリティについて
当社グループは、事業上の重要情報及び事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有しており、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざん又は情報システムの停止等が引き起こされる可能性があります。このような事態が生じた場合、信用低下、損害賠償等の費用の発生、又は業務の停止等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として「情報セキュリティ基本方針」を定め、当該情報の盗難・紛失等を通じて第三者が不正流用することを防ぐため、情報の取り扱いに関する管理を強化するとともに、法規制強化への対応等も都度実施しています。また、情報セキュリティ認証基準であるISO27001の取得、高度化するサイバー攻撃に対する技術的対策、情報リテラシーを高めるための社員教育の実施、当社グループを装った不審メール・詐欺サイトに関する社内外への注意喚起等も行っております。インシデントが発生した場合や早期警戒対応時には、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)等の体制により、継続的な監視・情報収集、インシデント対応を行い被害拡大防止・早期鎮静化を図っております。
(4) 自然災害等について
当社グループは、地震、火災、台風、洪水等の災害や新型コロナウイルス等の感染症の流行の発生時にも、事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行する義務がありますが、当社グループの本社・研究開発拠点・主要工場は兵庫県南部に集中しており、同地域において大規模な地震、その他事業の継続に支障をきたす災害、事故の影響、世界的な経済活動の停滞等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、定期的な防災訓練の実施及び社員の安否確認システムの構築を行うとともに、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震等の大規模地震に対する事業継続計画(BCP)を策定して災害時の体制整備や資機材の備蓄を行っております。また、感染症の流行に対し、事業運営を可能な限り維持するために必要な対応・措置を定める等の対策に取り組んでおります。加えて、事務所の高台・内陸部への移転等、中長期的な対策にも取り組んでおります。
(5) 為替変動について
当社グループは、海外子会社及び代理店を経由して海外市場へ販売を行っており、連結売上高に占める海外売上高の割合は当連結会計年度において64.3%と高い状況にあります。このため、為替相場の変動は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、社内規程に基づき事業活動の中で発生する為替取引リスクを正確に把握・管理し、適切な為替リスクヘッジを行うことにより、為替差損を極小化する施策を実施しております。また、為替リスクヘッジ取引は、将来の市場変動による損失の回避、コストの確定等を目的とし、事業活動から生じる為替取引に限定し、実需に基づかない投機取引は行わないことを基本方針としております。
(6) 舶用事業の市場環境変化について
当社グループの連結売上高に対する舶用事業の売上高比率は当連結会計年度において82.9%と、高い水準を維持しております。対象となる漁業向け市場は資源減少に伴い世界的に漁獲高・漁船数の管理が強化されており、商船向け市場はこれまで大きな景気変動を繰り返しています。プレジャーボート向け市場は欧米の景気及び個人消費動向に影響を受けます。漁業向け市場における管理漁業化の一層の進展や商船需給の悪化、欧米諸国の景気の悪化等に伴い、従来の舶用電子機器の需要は縮小する可能性があります。また、自律航行をはじめとする、業界における大きな転換に対応できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、予測される市場変化に対応できる体制構築のほか、サービス業務の収益向上、新規分野への取り組み、舶用DXの推進、産業用事業等の拡大を目指していく方針であります。
(7) 知的財産権について
当社グループは、自社が製造する製品に関連して、特許等の知的財産権を保有しておりますが、当社グループが保有する知的財産権に対し異議申立がなされたり、無効請求がなされる可能性があります。また、当社グループが知的財産権に関し訴訟を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権を保全するために訴訟を提起しなければならない可能性があります。このような重大な係争問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、自社が保有している知的財産権の権利確保及び他社が保有している知的財産権の調査による係争発生のリスク低減を図っております。
(8) 価格競争について
当社グループの市場における価格競争は、舶用電子機器、産業用電子機器とも大変厳しくなっており、今後もこの傾向は継続するものと予想されます。新たな競合先の台頭、競合他社の低価格商品の投入等により、さらに価格競争が激化し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、フェーズ1より継続して取り組んでいる製造コストの削減に向けた施策の完遂に向けて、在庫・品質・生産・開発の各部門によるコスト削減に努めるとともに、デジタルを活用した高付加価値商品の拡販等により、かかる価格低下傾向に対処しております。
(9) 人財の確保について
当社グループの将来の成長・発展は、科学・技術、マネジメント分野等での優秀な人財の確保に大きく依存しています。当社グループは、事業の拡大やグローバル化の推進を図るため、積極的な採用活動を行っていますが、人財確保における競争は年々高まっており、それが困難となった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として目標管理制度に基づいた公平な評価・充実した処遇制度等の仕組みを構築するとともに、自律型人財やグローバル人財を育成し、当社グループの価値観、知識及びモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの拡充に取り組み、在籍している従業員の流出防止や当社グループの求める人財の獲得に努めております。
(10) 品質について
当社グループは、ISO規格認定された品質システムを構築し、それに従った各種商品の開発や製造を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行う等グループをあげてすべての商品の品質向上に継続的に努めております。しかしながら、品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生する可能性があります。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや損害賠償等の費用が発生し、また売上が減少するおそれがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の欠陥によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。これらが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として国際規格ISO9001で認定された品質システムを構築しそれに従った開発・製造や、本社の品質関係部門による指導等により、品質管理体制の整備・強化に努めるとともに、製造物責任賠償保険に加入する等の対策を講じております。また、製品・システムに関するサイバーセキュリティ基本方針の制定や脆弱性の報告受付フォームを当社ホームページに開設する等、製品・システムのサイバーセキュリティ確保を進めております。
(11) 法規制・コンプライアンスについて
当社グループは、事業の展開において適用を受けている、国内外の各種法令・規制や行政による許認可等に違反した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、法令・社会規範・契約・社内ルール等に則った活動を推進するために、社外の弁護士や監査役を含めた「コンプライアンス委員会」を設置するとともに、役員・従業員へ各種研修や教育を行い、周知・啓蒙に努めております。また、コンプライアンス違反の予防・把握のために、社内外に相談・通報窓口「フルノほっとライン」を設けた内部通報制度を整備しております。
(12) 環境について
当社グループは、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクル及び土壌・地下水の汚染等に関する種々の環境関連法令及び規制等の適用を受けておりますが、自然災害、事故等により、環境汚染が発生する可能性があります。このような事態が生じた場合、信用低下、損害賠償等の費用の発生、又は業務の停止等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として環境関連法令及び規制等に従った商品の開発や製造を行い、チェック体制の整備を図り、監査を行う等、グループを挙げて環境保全の対応を実施しております。また、CSR活動をサプライチェーン全体で実践すべく、当社資材調達基本方針を取引先にも共有し、環境配慮の要請等を行っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進展する中、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格の高騰、欧米におけるインフレ加速に伴う政策金利の上昇、中国での感染再拡大等により、緩やかに減速して推移いたしました。米国では、インフレ抑制のための金利上昇やエネルギー価格の高騰を背景に減速しつつも、行動制限の大幅緩和に伴う個人消費の回復、底堅い雇用環境等により堅調を維持しました。欧州では、行動制限の緩和により景気は回復傾向にあったものの、エネルギーの価格高騰やロシアからの輸入制限、記録的な物価高騰が経済活動の制約となりました。中国では、ゼロコロナ政策の堅持による主要都市の封鎖及び昨年12月の同政策の緩和による感染拡大の進行、不動産市況の低迷等により、景気は減速しました。わが国においては、行動制限の緩和により経済活動が正常化し、インバウンド消費回復の兆しがあったものの、円安の進行やエネルギー価格の高騰、部材の供給不足等が経済活動を鈍化させ、緩やかな回復基調で推移しました。
このような経済環境の中、当社グループの関連する市場において、舶用分野のうち商船向け市場では、鋼材価格の高騰を受けた船価の上昇等により新造船の受注環境は軟調ながらも、手持ち工事量は高い水準を維持しました。漁業向け市場では、アジアを中心に需要が堅調に推移しました。プレジャーボート向け市場では、北米及び欧州において需要が好調を維持しました。産業用事業では、新車及び中古車販売台数の減少に伴い、車載関連機器の需要が減少しましたが、ヘルスケア市場におけるIVD(体外診断用医療機器)等の機器設置需要は堅調に推移しました。国内の教育ICT市場においては、ICT整備の需要が安定的に推移しました。
以上の状況の中、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は913億2千5百万円(前年同期比7.7%増)、売上総利益は343億7千7百万円(前年同期比8.7%増)となりました。しかし販売費及び一般管理費は連結対象子会社の追加等により前年同期に比べて37億4千7百万円増加し、328億5千3百万円となったことから、営業利益は15億2千3百万円(前年同期比39.8%減)、経常利益は25億9千3百万円(前年同期比30.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億4千8百万円(前年同期比52.1%減)といずれも大幅な減益となりました。
売上高については、全ての報告セグメントで増収となりました。
利益については、舶用事業が前年同期比で大幅に減益となった一方で、産業用事業及び無線LAN・ハンディターミナル事業は前年同期比で増益となりました。
なお、当連結会計年度に適用した米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ129円及び138円であり、前年同期に比べ米ドルは約18.7%、ユーロは約6.0%の円安水準で推移しました。
また、収益認識会計基準等の適用により売上高は6億2千6百万円増加、売上原価は3億3千万円増加、営業利益は2億9千5百万円増加、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ3億4千9百万円増加しております。
当連結会計年度のセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
① 舶用事業
舶用事業の分野では、部材の入手困難に伴う生産遅延による販売機会の喪失や、部材価格の高騰等の影響が継続しましたが、海外での販売が好調に推移しました。北米ではプレジャーボート向け機器の販売が拡大し、欧州では保守サービスの売上が拡大するとともに商船向けとプレジャーボート向け機器の販売が好調でした。アジアでは漁船向け機器の販売が増加し、また商船向け市場において新造船の案件が回復しました。日本では漁業向け機器の販売が減少しましたが、商船向け機器の販売が増加しました。この結果、舶用事業の売上高は757億2千5百万円(前年同期比7.4%増)となりました。セグメント利益は12億4千8百万円(前年同期比55.0%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は4億5千万円増加しており、当連結会計年度の売上高を従来の会計処理にて算出した金額と前年同期の売上高を比較すると6.7%の増加となりました。また、セグメント利益は3億6千6百万円増加しており、従来の会計処理にて算出したセグメント利益は8億8千2百万円となります。
② 産業用事業
産業用事業の分野では、自動車販売台数の減少に伴いETC車載器の販売が減少し、またGNSSタイミング製品も携帯電話基地局向けの販売が減少しましたが、ヘルスケア事業のうち生化学分析装置の販売が増加しました。また、産業用その他事業の販売も増加しました。この結果、産業用事業の売上高は111億2百万円(前年同期比6.9%増)となりました。セグメント利益は1億2千8百万円(前年同期のセグメント損失は2千3百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億3千9百万円増加しており、当連結会計年度の売上高を従来の会計処理にて算出した金額と前年同期の売上高を比較すると5.6%の増加となります。また、セグメント利益は9千6百万円減少しており、従来の会計処理にて算出したセグメント利益は2億2千4百万円となります。
③ 無線LAN・ハンディターミナル事業
無線LAN・ハンディターミナル事業の分野では、文教市場のリプレイス向けで無線LANアクセスポイントの販売が好調に推移したことから増収となりました。この結果、無線LAN・ハンディターミナル事業の売上高は41億5千5百万円(前年同期比17.0%増)となりました。セグメント利益は5億1千4百万円(前年同期比15.4%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は3千6百万円増加しており、当連結会計年度の売上高を従来の会計処理にて算出した金額と前年同期の売上高を比較すると15.9%の増加となります。また、セグメント利益は2千5百万円増加しており、従来の会計処理にて算出したセグメント利益は4億8千9百万円となります。
④ その他
その他の売上高は3億4千1百万円(前年同期比8.8%増)、セグメント損失は8千8百万円(前年同期のセグメント損失は3億5千9百万円)となりました。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当社グループの製品は、一部の受注生産を除き見込生産を行っております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
1)資産、負債及び純資産の状況
① 資産
流動資産は前連結会計年度末と比較して202億7千万円増加し、822億8千万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が215億3千7百万円(前連結会計年度末は「受取手形及び売掛金」150億8千万円として表示)となったこと及び原材料及び貯蔵品が72億7千7百万円増加したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末と比較して1億5千3百万円増加し、241億1千6百万円となりました。これは主に、退職給付に係る資産が3億4千6百万円減少した一方で、その他有形固定資産が6億3千4百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末と比較して204億2千3百万円増加し、1,063億9千6百万円となりました。
② 負債
流動負債は前連結会計年度末と比較して125億1百万円増加し、375億2千5百万円となりました。これは主に、短期借入金が80億7百万円増加したことによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末と比較して33億円増加し、163億6千8百万円となりました。これは主に、長期借入金が28億6百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末と比較して158億1百万円増加して、538億9千3百万円となりました。
③ 純資産
純資産は前連結会計年度末と比較して46億2千2百万円増加し、525億3百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が31億4千3百万円増加したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の自己資本比率は前連結会計年度の55.7%から6.7ポイント下降し、49.0%となりました。また、中期経営計画(2021年2月期~2023年2月期)で経営指標として設定した自己資本営業利益率については、前連結会計年度の5.4%から2.4ポイント下降して3.0%となりました。
(当社グループの自己資本営業利益率の推移)
(注) 自己資本営業利益率(%)の算出方法:営業利益/自己資本
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが64億9千2百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが30億2千7百万円、それぞれ減少したものの、財務活動によるキャッシュ・フローが82億6千3百万円増加したこと及び重要性が増した非連結子会社を連結の範囲に含めたこと等により、前連結会計年度末と比較して8億1千8百万円増加し146億8千3百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において営業活動による資金の減少は64億9千2百万円となりました(前連結会計年度は61億9千3百万円の増加)。これは主に、棚卸資産が増加したことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は30億2千7百万円となりました(前連結会計年度は43億8千9百万円の減少)。これは主に、有形固定資産の取得及び無形固定資産の取得によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は82億6千3百万円となりました(前連結会計年度は35億1千8百万円の減少)。これは主に、短期借入金の増加によるものであります。
(当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移)
(注)1 各指標の算出方法は、次のとおりです。
自己資本比率(%) : 自己資本/ 総資産
時価ベースの自己資本比率(%) : 株式時価総額/ 総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) : 有利子負債/ 営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) : 営業キャッシュ・フロー/ 利払い
2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
4 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
5 有利子負債は、連結貸借対照表上に計上している短期借入金、1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金を対象にしています。
6 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
3)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、安定した収益を確保するための運転資金及び将来成長に向けた投資に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としておりますが、資本コストや自己資本比率等を総合的に勘案し、必要に応じて金融機関からの借入により調達しております。
なお、当連結会計年度末における資金の残高は146億8千3百万円、有利子負債の残高は193億1千7百万円となっております。
また、金融・資本市場の混乱や緊急で資金が必要となる場合に備え、複数の金融機関とコミットメントライン契約及び当座借越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える会計上の見積りを行っております。これらの見積りは、過去の実績等を勘案し慎重に検討したうえで行い、継続して評価・判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
2023年2月28日現在
2023年2月28日現在
2023年2月28日現在
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品、使用権資産並びに建設仮勘定であります。
2 FURUNO(UK)LTD.のその他は、賃貸営業用資産であります。
3 FURUNO U.S.A.,INC.、FURUNO(UK)LTD.、FURUNO NORGE A/S、FURUNO DANMARK A/S、古野香港有限公司及びFURUNO SINGAPORE PTE LTDは,それぞれの子会社を連結した数値で表示しています。
4 リース賃借設備の主要なものは、電子計算機及びコンピューター支援装置であります。
なお、提出会社の年間リース料の総額は、257百万円であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 転換社債の株式転換による増加 96百万円(1990年3月1日から1990年8月31日まで)
新株引受権の権利行使による増加 591百万円(1990年3月1日から1991年2月28日まで)
2023年2月28日現在
(注) 自己株式331,818株(名義書換失念株1,000株を含む)は、「個人その他」に3,318単元及び「単元未満株式の状況」に18株含まれております。
2023年2月28日現在
(注) みずほ信託銀行株式会社退職給付信託みずほ銀行口再信託受託者株式会社日本カストディ銀行の所有株式数942千株は、株式会社みずほ銀行が保有する当社株式を退職給付信託に拠出したもので、その他に株式会社みずほ銀行は201千株保有しております。
1.報告セグメントの概要
(1) 報告セグメントの決定方法
当社の報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、主に舶用及び産業用の電子機器等を製造・販売しております。当社は製品・サービス別の事業部門を置き、各事業部門は取り扱う製品・サービスについて包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。また、連結子会社は個々の会社別にグループにおける経営の見地から事業活動を展開しております。したがって、当社グループは、当社事業部門及び個々の会社を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、「舶用事業」「産業用事業」「無線LAN・ハンディターミナル事業」の3つを報告セグメントとしております。
(2) 各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
「舶用事業」の主な製品は、航海機器、漁労機器及び無線通信装置等であります。「産業用事業」の主な製品は、医療機器、ITS機器、GPS機器及び航空機用電子装置等であります。「無線LAN・ハンディターミナル事業」の主な製品は、無線LANシステム及びハンディターミナル等であります。