アライドテレシスホールディングス株式会社
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第36期の期首から適用しており、第36期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 第33期、第34期及び第35期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため記載しておりません。第36期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
(注) 1「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第36期の期首から適用しており、第36期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 第32期、第33期、第34期及び第35期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第36期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 第32期、第33期、第34期及び第35期の自己資本利益率及び株価収益率は、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
4 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第二部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の経緯は以下のとおりであります。
当社グループは、当社及び子会社の計32社で構成されており、日本、米州、EMEA及びアジア・オセアニアにて情報通信及びネットワーク関連製品の研究開発、製造及び販売を主な事業としております。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
〔事業の系統図〕
(2022年12月31日現在)

(注) 1 特定子会社に該当しております。
2 「議決権の所有(又は被所有)割合」欄の[内書]は間接所有であります。
3 債務超過会社であり、債務超過額は2022年12月末時点で下記のとおりとなっております。
(2022年12月31日現在)
(注) 1 ヨーロッパ、中東及びアフリカ。
2 従業員数は就業員数であり、パート及び嘱託社員等は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
(2022年12月31日現在)
(注) 1 従業員数は就業員数であり、パート及び嘱託社員等は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2 平均年間給与は、2022年1月1日から2022年12月31日までの平均年間給与額であり、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は良好であります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「社会品質を創る。アライドテレシス」をコーポレートミッションとして掲げ、ネットワーク関連事業をビジネス領域として企業活動を行い、世界中の人々が安心して、いつでも、どこでも、快適にかつ安全に情報を利用できる豊かな社会の創出に貢献することを基本方針としています。
当社グループは、財務の健全性を保ち、持続的成長のための積極的な研究開発投資を行いつつ、株主をはじめ ステークホルダーへの利益還元を両立させるということを重点課題としております。そのため経営指標として、まずは売上高成長率、営業利益、営業利益率の向上に努めております。
当社グループは、次の4本の柱を基本戦略として経営を実践しております。
これまでに築き上げたブランド力、技術力そして培った豊富な知識や経験などを活かし、ネットワークスペシャリストとして顧客にとって最適なソリューションを提供することでビジネスの拡大を図ります。製品(モノ)の販売から、顧客ニーズに沿った価値あるサービスやサポートを含む包括的なソリューションの提供により収益力を向上させてまいります。
事業環境の変化をビジネスチャンスと捉え、社会の潮流を見据えた技術開発と成長分野へ経営資源を投入します。社会ニーズに合致した製品とサービスを安定的に提供することはもとより、IoT時代に求められるより快適なネットワークインフラを提供すること、さらには、社会の安心・安全を担保するIPネットワーク技術を活かした新しい価値の創造に取り組んでまいります。
顧客のTCO(総所有コスト)を削減する製品やサービスを提供し、高付加価値化による収益率の向上を図ります。さらに、ソフトウェア製品やサービスのストックビジネス化により安定的な収益の確保を目指します。
ローカライズされていた製品等をグローバルに統合・標準化し、開発、生産、販売活動及び物流の合理化を進めております。在庫管理等のロジスティック業務を集約化し、グローバルで最適な製品供給体制の強化によるさらなる経営の効率化を図ります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが属する情報通信機器業界は、半導体の世界的な需給ひっ迫などから部品調達に困難な状況がみられ、製品の供給面での制約が生じています。
一方で、経済・社会のデジタル化加速によって、ネットワークの強靭化やWi-Fi通信環境の更新需要が高まる中、増加するサイバー攻撃への情報セキュリティ対策、IT運用管理の複雑化に伴う業務負荷の軽減とIT専門分野の人材不足の解消といった喫緊の課題への対応は、当社グループの事業における拡大要素と捉えております。
このような経営環境の中で、競争力を維持するためには、潜在ニーズをいち早く捉えて、将来を見据えた技術の獲得や顧客ニーズへの様々な対応が不可欠であると同時に、サービスメニューの拡充など収益源の多様化が必須となります。
また、企業経営に対する健全性、透明性が求められる中、当社グループは、コーポレートガバナンスの確立、コンプライアンスの強化、会社情報の適時開示等を通して、これらの要求、要望に応えられるように取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、記載された以外にも重要性が低いと考えられるリスクや想定していないリスクも存在します。
なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づいて、当社グループが判断したものであります。
① 政治・経済情勢に関するリスク
当社グループは20か国に連結子会社を有し事業を展開しております。各国・地域の政治・経済情勢の変化により、特定の国・地域での生産及び販売に支障が出た場合又は需要の急減等の事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ内での情報収集や第三者機関を通じた政治・経済情勢の変化及び政策変更等をモニターすることにより、これらのリスク顕在化の兆候を早期に把握し対応する体制を取っております。また、生産拠点の分散化(中国、シンガポール及びインドネシア)や販売拠点の分散化により、特定の国・地域への依存を回避することで、リスクの逓減に努めております。
② 調達に関するリスク
当社グループの製品には多数の精密電子部品(IC、メモリー、光デバイス等)を使用しており、複数のサプライヤーから調達しております。これらの部品は世界的な需給バランスの影響を強く受ける傾向があり、当社グループが属する産業以外や特定の地域からの需要の増加、災害等による供給の減少、また、特定の国・地域での人件費の高騰による部品価格の高騰等が発生する可能性があります。
当社グループは、これらの部品の安定的な調達のため、調達先との関係強化、長期購買契約の締結等に加え、調達先の分散化、価格比較による安価な部品の調達、代替品の検討等も進めております。
しかしながら、想定を超える需給バランスの変化により当社グループの調達に支障が出た場合や部品価格高騰によりコスト競争力が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法規制に関するリスク
各国・地域の安全基準、環境基準及び輸出関連規制等は様々であり、当社グループは、部品サプライヤーに対する安全基準、環境基準の確認、外部機関による監査を通じ、これらの基準や規制等に適合する製品を提供しております。また、グループ内での情報収集・共有化を図り輸出関連規制の改正による影響を把握し、違法性のモニタリングを通じて必要に応じ取引体制を整備しております。さらに、現地日系企業等との情報交換や専門機関の協力を得て、基準や規制の改正情報を早期に把握するように努めております。
しかしながら、予期しない基準や規制等の改正により、製品の製造及び販売に支障が出た場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 品質に関するリスク
当社グループは、開発から製造、販売、サポート・サービスに至る全てのプロセスで、品質確保及びお客様満足度の向上に取り組んでいます。製品調達は、調達先の認証取得や規格準拠の確認、実績やサポート体制等の事前調査を実施し、品質マネジメントシステムに基づく評価により、事前のリスク評価と対策を講じております。開発及び設計段階では、厳格な品質基準を定め、これに基づいて工程管理を行っております。製造段階では、工場の工程内での全数機能検査や出荷前の抜き取り検査等を実施し、不良品の流出防止体制を整えております。販売及びサポート・サービス段階では、お客様との綿密な対話を通じてニーズを的確に分析し、満足度の高い製品及びサポート・サービスの提供に努めるとともに、不具合の早期発見及び対応に努めております。さらに、適切な賠償保険に加入し、万一の事態に備えております。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず、想定を超える問題が生じ、顧客システムの停止等による損害や生命・身体に危険を及ぼすことによる多額の損害賠償責任や事実関係の当否にかかわらず当社グループの社会的信頼の損失などを負った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 為替に関するリスク
当社グループの連結売上高に占める海外の比率はおおよそ30%~50%で推移しております。また、日本における当社グループの部品、製品等の仕入れは主にドル建で決済しており、為替変動の影響を受け易くなっております。さらに、当社グループは国外19か国で事業を行っているため、研究開発費等の海外の費用についても、為替変動の影響を受け易くなっております。これらの影響を軽減するため、市場リスク管理要領を定め、為替変動による損益インパクトの感応度分析を行うとともに、必要に応じて為替予約取引等のヘッジを行っております。
しかしながら、すべてのリスクを排除することは困難であり、急激な為替相場の変動が起きた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 法令遵守に関するリスク
当社グループは、企業倫理規程等のコンプライアンス体制に係る規程を制定し、全役職員が法令、定款及び社会規範を遵守した行動を取るための行動規範として教育等を実施するとともに、各国・地域の特性に応じ、拠点ごとの社内研修等を実施しております。また、コンプライアンス体制の運用評価及び整備・強化・有効性の維持・向上のために必要な諸施策の提言など、組織横断的なリスク状況の監視及び全社的対応を行う統合コンプライアンス委員会を設置するほか、法令上疑義ある行為等について使用人が直接に情報提供を行う手段としてコンプライアンス・ホットラインを設置し、法令遵守の徹底を図っております。
しかしながら、これらの対策を講じても、役職員の故意又は過失により重大な法令違反等が発生し、社会的信用の失墜や損害賠償責任などを負った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループはシステム構築やサポート・サービスにおいて、お客様や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがありますが、これらの情報管理において、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊・紛失・漏洩等が発生する可能性があります。
これらのリスクを回避するため、情報セキュリティ基本方針や個人情報保護方針等の社内ルールの制定、プライバシーマークや情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO/IEC 27001の認証取得により、役職員の情報セキュリティに関する意識向上を図る教育・啓発活動を実施しております。また、業務データの暗号化やPCのシンクライアント化、外部からの不正アクセスに対する情報システムの構築等の対策を講じております。さらに、適切な賠償保険に加入し、万一の事態に備えております。
しかしながら、予測できないサイバー攻撃やコンピュータウイルスの侵入等により、個人情報あるいは機密情報等が漏洩したことにより、多額の損害賠償責任や事実関係の当否にかかわらず当社グループの社会的信頼の損失などを負った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 知的財産権に関するリスク
製品開発において、当社グループが第三者の知的財産権を侵害するリスク又は当社グループの知的財産権が第三者に侵害されるリスクが存在します。
これらのリスクを回避するため、第三者の知的財産権に関しては、知的財産権の取得方針と責任者を定め、組織的に管理運用する体制を整備しております。製品の開発段階、出荷前、サービス提供等の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、第三者の知的財産権の侵害を回避しております。なお、万一見解の相違等により第三者から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、知的財産の専門人材を配置するとともに、弁護士・弁理士等と連携し適切に対応する体制を整えております。また、当社グループは、製品開発の中で多くの技術やノウハウを蓄積し、それらの保護を目的に知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の国・地域においては、知的財産権の保護制度が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造・販売する可能性があります。これらに対応するため、グループ各社で常に情報収集を行い、必要に応じて弁護士・弁理士等と連携し適切に対応する体制を整えております。
しかしながら、リスクに十分に対応できなかった場合や当社グループが認識していない知的財産権が存在し、製品の製造・販売に支障が出た場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 災害等に関するリスク
当社グループが事業展開する国・地域等において地震等の自然災害やテロ等が発生した場合には、各拠点の設備等が壊滅的な被害を被り操業が中断するだけでなく、修復や代替設備等に関する巨額の費用が発生する可能性があります。
これらの影響を最小限に抑えるため、販売・生産拠点の分散化、耐震工事の実施、適正在庫の保持並びに損害保険加入等の施策を講じておりますが、想定を超える災害等が突発的に発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 新型コロナウイルス感染症に係るリスク
当社グループは、従業員の健康と安全を確保するとともに事業活動への影響を最小化するため、新型コロナウイルス感染症の職場における感染予防/ガイドラインに基づき、リモート会議、テレワーク及び時差出勤の推進、就業時のマスク着用や手洗いの徹底等の感染防止策を講じております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大による働き方の変化は、中長期的には企業のデジタル化を推進するため、当社グループの属する市場には拡大要素と捉えております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響が縮小し、景気に緩やかな持ち直しの動きが見られた一方で、ウクライナ情勢の長期化による原材料やエネルギー価格の上昇に加えて、世界的な金融引締めや円安の急速な進行などにより、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループが属する情報通信機器業界におきましては、半導体の世界的な需給ひっ迫から製品の供給制約がみられるものの、経済・社会のデジタル化加速によって、ネットワークの強靭化やWi-Fi通信環境の更新需要は高まりを見せています。
そのような状況の中、当社グループは、市場動向に基づく最新技術の開発を強化し、高付加価値製品やサービスの拡販を図ってまいりました。また、自社生産による柔軟な製品供給体制の強みを活かし、顧客ニーズに沿ったきめ細やかな対応で顧客満足度の向上を図るとともに、自社ブランドの訴求に努めてまいりました。
当連結会計年度の業績は、年間を通して日本で売上が好調に推移したことに加え、設備投資再開によって海外の売上が好調となり、さらに円安進行によって円換算額が増加したことから、売上高は414億97百万円(前連結会計年度比24.7%増)と、大幅な増収になりました。
利益面では、原材料価格の高騰や物流コストの増加などによる売上原価の上昇や、採用コストを含む人件費の増加に加えて円安進行による海外コスト全般が上昇しましたが、増収効果により、営業利益は18億85百万円(前連結会計年度比34.4%増)、また、外貨建資産負債の換算等による為替差益13億53百万円(前連結会計年度は90百万円の為替差損)を計上したことなどにより、経常利益は29億82百万円(前連結会計年度比207.8%増)、さらに、第1四半期(2022年1月~3月)に受取和解金86億12百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は86億5百万円(前連結会計年度比528.0%増)となりました。
当連結会計年度における当社グループの所在地別セグメント売上高の概要は以下のとおりです。
■日本
日本では、人員増強による営業・サービス体制の強化に取り組み、オンライン/オフライン双方のメリットを活かした積極的かつ効果的な各種プロモーション活動を展開してまいりました。そのような中、コロナ禍で先送りとなっていたIT設備投資が回復し、医療機関及び製造業などからの受注が増加するなど、年間を通してソリューションビジネスの売上が好調となりました。製品別では、主力製品であるxシリーズ・スイッチ製品群及び無線LAN製品に加え、サービス売上が伸長しました。この結果、日本での売上高は254億30百万円(前連結会計年度比15.2%増)となりました。
■米州
米州では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で先送りとなっていたITシステムの更新需要の高まりが見られ、米国ではパートナー企業からの受注が年間を通して好調に推移しました。中南米では医療機関や公共交通機関向けの大型案件を獲得し、また、在日米軍基地においては引き続き居住者向けの定額制インターネットサービスの売上が増加しました。製品別では、ネットワークインターフェースカード及びメディアコンバーターの出荷が増加しました。この結果、米州全体での売上高は74億93百万円(前連結会計年度比59.6%増)となりました。
■EMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)
EMEAでは、IT設備投資再開からフランスやベネルクス三国などで政府系案件が好調となり、イタリアではパートナー企業との連携強化により売上が増加しました。また、中東では、スマートビルディングやビデオ監視システムなどの案件が好調となりました。製品別では、xシリーズ・スイッチ製品群やネットワークインターフェースカードなどの出荷が増加しました。この結果、EMEA全体での売上高は57億96百万円(前連結会計年度比29.2%増)となりました。
■アジア・オセアニア
アジア・オセアニアでは、人材の補強により営業・サポート体制を再構築し、パートナーの新規開拓でソリューションビジネスを推し進める一方、販売代理店の新規開拓による拡販に取り組んでまいりました。そのような中、公共案件が堅調となり、製品別では、xシリーズ・スイッチ製品群及び無線LAN製品の売上が好調となりました。この結果、アジア・オセアニア全体での売上高は27億75百万円(前連結会計年度比39.0%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は416億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ127億53百万円の増加となりました。流動資産は295億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ109億87百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金が43億34百万円、商品及び製品が31億67百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度は受取手形及び売掛金)が22億28百万円増加したことによるものです。また、固定資産は121億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億65百万円の増加となりました。これは主に繰延税金資産が5億81百万円減少した一方で、使用権資産が8億99百万円、建設仮勘定が4億86百万円、土地が1億83百万円、建物及び構築物が1億70百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は258億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億86百万円の増加となりました。流動負債は197億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億92百万円の増加となりました。これは主に短期借入金が13億円減少した一方で、未払法人税等が16億60百万円、契約負債(前連結会計年度は前受収益)が14億46百万円、支払手形及び買掛金が8億84百万円増加したことによるものです。また、固定負債は61億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億5百万円の減少となりました。これは主にリース債務が6億24百万円、固定負債のその他が4億58百万円増加した一方で、長期借入金が11億19百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は157億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ95億66百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益86億5百万円の計上等による利益剰余金が増加し、為替換算調整勘定が8億31百万円増加したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は37.8%となり、前連結会計年度末より16.6ポイントの上昇となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ43億34百万円増加となる90億51百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度の営業活動による収入は84億6百万円となり、前連結会計年度に比べ58億67百万円の収入増加となりました。これは主に、売上債権の増減額が23億92百万円、棚卸資産の増加額が22億70百万円、為替差益が14億53百万円増加した一方で、和解金の受領額が86億12百万円増加したことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度の投資活動による支出は14億54百万円となり、前連結会計年度に比べ10億31百万円の支出増加となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が9億7百万円増加したことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度の財務活動による支出は42億45百万円となり、前連結会計年度に比べ26億20百万円の支出増加となりました。これは主に、長期借入による収入が14億67百万円減少、セール・アンド・割賦バックによる収入が4億31百万円減少、長期借入金の返済による支出が4億20百万円増加したことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 ヨーロッパ、中東及びアフリカ。
2 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における商品仕入高、委託生産に伴う仕入高及び生産に伴う原材料・部品の仕入高の実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 ヨーロッパ、中東及びアフリカ。
2 金額は、仕入価額によっております。
当社グループの取扱品目は原則として全てが標準製品でありますので、個別受注生産は行わず、見込み生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 ヨーロッパ、中東及びアフリカ。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の業績は、売上高は414億97百万円(前連結会計年度比24.7%増)、営業利益は18億85百万円(前連結会計年度比34.4%増)、経常利益は29億82百万円(前連結会計年度比207.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、86億5百万円(前連結会計年度比528.0%増)と、大幅な増収増益となりました。
<売上高>
売上高は、年間を通して日本で受注が好調に推移したことに加え、設備投資再開によって海外の売上が好調となり、さらに円安進行によって円換算額が増加したことから、前連結会計年度(332億65百万円)から82億32百万円増加し、414億97百万円と、大幅な増収となりました。
地域別では、日本では、人員増強による営業・サービス体制の強化に取り組み、オンライン/オフライン双方のメリットを活かした積極的かつ効果的な各種プロモーション活動を展開してまいりました。そのような中、コロナ禍で先送りとなっていたIT設備投資が回復し、医療機関及び製造業などからの受注が増加するなど、年間を通してソリューションビジネスの売上が好調となりました。製品別では、主力製品であるxシリーズ・スイッチ製品群及び無線LAN製品に加え、サービス売上が伸長しました。この結果、日本での売上高は254億30百万円(前連結会計年度比15.2%増)となりました。
米州では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で先送りとなっていたITシステムの更新需要の高まりが見られ、米国ではパートナー企業からの受注が年間を通して好調に推移しました。中南米では医療機関や公共交通機関向けの大型案件を獲得し、また、在日米軍基地においては引き続き居住者向けの定額制インターネットサービスの売上が増加しました。製品別では、ネットワークインターフェースカード及びメディアコンバーターの出荷が増加しました。この結果、米州全体での売上高は74億93百万円(前連結会計年度比59.6%増)となりました。
EMEAでは、IT設備投資再開からフランスやベネルクス三国などで政府系案件が好調となり、イタリアではパートナー企業との連携強化により売上が増加しました。また、中東では、スマートビルディングやビデオ監視システムなどの案件が好調となりました。製品別では、xシリーズ・スイッチ製品群やネットワークインターフェースカードなどの出荷が増加しました。この結果、EMEA全体での売上高は57億96百万円(前連結会計年度比29.2%増)となりました。
アジア・オセアニアでは、人材の補強により営業・サポート体制を再構築し、パートナーの新規開拓でソリューションビジネスを推し進める一方、販売代理店の新規開拓による拡販に取り組んでまいりました。そのような中、公共案件が堅調となり、製品別では、xシリーズ・スイッチ製品群及び無線LAN製品の売上が好調となりました。この結果、アジア・オセアニア全体での売上高は27億75百万円(前連結会計年度比39.0%増)となりました。
<売上総利益>
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度(206億29百万円)から35億82百万円増加し、242億12百万円となりました。これは、原材料価格の高騰や物流コストの増加などによる売上原価の上昇で増加幅は控えめとなったものの、増収に伴って増加したことによるものです。
<営業利益>
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度(14億2百万円)から4億82百万円増加し、18億85百万円となりました。これは、採用コストを含む人件費の増加に加えて円安進行による海外コスト全般が上昇したことなどから販売費及び一般管理費が増加したものの、増収により十分な利益を確保したことによるものです。
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの借入を基本としており、設備投資資金の調達につきましては自己資金及び一部は金融機関からの長期借入を行う等、資金調達の多様性を図っております。
なお、当連結会計年度末現在における重要な資本的支出の予定はありません。
当連結会計年度末における有利子負債の残高は69億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は90億51百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。海外の連結子会社は、各国の会計処理基準に準拠しております。連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産、負債及び偶発債務並びに連結会計年度における収益、費用に影響を与える見積りを行っておりますが、実際の結果と異なる場合があります。有形固定資産は取得原価により計上し、見積り耐用年数に基づき減価償却を行っております。自社利用ソフトウェアについては見込利用期間に基づき償却を行っております。投資有価証券については時価又は実質価額が著しく下落した場合には、回復する見込があると認められる場合を除き減損処理をしております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループにおける主要な設備は以下のとおりであります。
(1) 提出会社
(2) 国内子会社
(3) 在外子会社
(注) 1 帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。
2 主要な賃借及びリース設備として、以下のものがあります。
当社は、新株予約権方式によるストックオプション制度を採用しております。
当該制度は、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、当社の従業員・監査等委員でない取締役及び監査等委員である取締役、当社グループ会社の従業員・取締役・監査役及び社外協力者に対し、ストックオプションとして発行する新株予約権の募集事項の決定を当社取締役会に委任することにつき、当社株主総会で決議されたものであります。
(a) 2023年3月27日以前に株主総会及び取締役会決議により発行されたストックオプションの内容
ストックオプション制度の内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (ストックオプション等関係)」に記載しております。
(b)2023年3月28日開催の第36回定時株主総会で決議されたストックオプションの内容
(注) 1 有価証券報告書提出日現在、取締役会で発行決議がなされておりません。具体的な付与対象者の区分及び数については、今後開催される取締役会で決定されます。
2 本新株予約権1個当たりの目的である株式の数(以下「付与株式数」という。)は当社普通株式100株とする。
なお、新株予約権を割り当てる日(以下「割当日」という。)後、当社が株式分割(当社普通株式の株式無償割当てを含む。以下、株式分割の記載につき同じ。)又は株式併合を行う場合は、本新株予約権のうち当該時点で権利行使されていないものについて、次の算式により付与株式数を調整する。ただし、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
調整後付与株式数=調整前付与株式数×分割又は併合の比率
上記のほか、割当日後、付与株式数の調整をすることが適切な場合は、当社は合理的な範囲で付与株式数を調整することができるものとする。
3 本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、本新株予約権を行使することにより交付を受けることができる株式1株当たりの金銭の額(以下「行使価額」という。)に付与株式数を乗じた金額とする。
行使価額は、本新株予約権の発行を決議した日の株式会社東京証券取引所における当社普通株式の終値(終値がない場合は、それに先立つ直近の終値)とする。
なお、行使価額の調整は以下のとおりとする。
(イ)本新株予約権割当日後、当社が株式分割又は株式併合を行う場合は、次の算式により行使価額を調整し、調整の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げる。
上記のほか、割当日後、付与株式数の調整をすることが適切な場合は、当社は合理的な範囲で付与株式数を調整することができる。なお、上記の調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
(ロ)本新株予約権割当日後、当社が当社普通株式の時価を下回る価額で新株式の発行又は本新株予約権自己株式の処分を行う場合(会社法第194条の規定(単元未満株主による単元未満株式売渡請求)に基づく自己株式の売渡し、当社普通株式に転換される証券若しくは転換できる証券の転換、又は当社普通株式の交付を請求できる新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを含む。)の行使による場合を除く。)は、次の算式により行使価額を調整し、調整の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げる。
なお、上記の算式において「既発行株式数」は、当社の発行済普通株式総数から当社の保有する普通株式にかかる自己株式数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合は、「新規発行株式数」を「処分する自己株式数」に読み替える。
(ハ)上記のほか、本新株予約権割当日後、他の種類株式の普通株主への無償割当て又は他の会社の株式の普通株主への配当を行う場合等、行使価額の調整をすることが適切な場合は、かかる割当て又は配当等の条件等を勘案の上、当社は合理的な範囲で行使価額を調整することができるものとする。
4 (1)本新株予約権者は、本新株予約権行使時において、当社の従業員・監査等委員でない取締役・監査等委員である取締役、当社グループ会社の従業員・取締役・監査役及び社外協力者の地位にあることを要する。ただし、任期満了による退任、定年退職、当社又は当社グループ会社の申し入れによる辞任、退職等正当な理由に基づく場合はこの限りではない。
(2)本新株予約権の最低単位は1個とし、分割行使はできない。
(3)本新株予約権の行使に関するその他の条件等は、当社と本新株予約権者との間で締結する新株予約権割当契約に定めるところによる。
5 本新株予約権の譲渡については、取締役会の承認を要する。
6 当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転(以上を総称して以下「組織再編行為」という。)をする場合において、組織再編行為の効力発生の時点において残存する本新株予約権(以下「残存新株予約権」という。)の本新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下「再編対象会社」という。)の新株予約権を本新株予約権の発行要領に準じた条件に基づきそれぞれ交付することとする。この場合においては、残存新株予約権は消滅するものとする。ただし、本新株予約権の発行要領に準じた条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとする。
該当事項はありません。
(注) 新株予約権(ストックオプション)の行使による増加であります。
(2022年12月31日現在)
(注) 1 自己株式471株は、「個人その他」に4単元、「単元未満株式の状況」に71株含まれております。
2 「その他の法人」には、証券保管振替機構名義の株式が44単元含まれております。
(2022年12月31日現在)
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、最高経営意思決定機関である取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、情報通信・ネットワーク事業における製品を生産・販売しており、各地域において包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社グループは、生産・販売体制を基礎とした所在地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「米州」、「EMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)」及び「アジア・オセアニア」の4つの所在地域を報告セグメントとしております。