カシオ計算機株式会社
(注) 1 第64期から第67期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第66期の期首から適用しており、第66期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 第64期から第67期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第66期の期首から適用しており、第66期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3 最高株価及び最低株価は、第67期より東京証券取引所プライム市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第一部におけるものであります。
当グループ(当社及び当社の関係会社…以下同じ)は、当社、連結子会社39社及び持分法適用関連会社2社により構成され、時計、コンシューマ、システム、その他の分野において、開発・生産から販売・サービスにわたる事業活動を展開しております。
当グループの各事業に係る位置づけは次のとおりであります。
なお、事業区分は「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。
開発については、基礎研究開発、新製品開発、新生産技術開発は主に当社が担当し、生産技術の開発は、主として生産関係会社が行っております。
生産については、生産関係会社が主要部品を当社から支給を受け、一部自己調達部品をもって製品組立加工を行い、それぞれ当社に供給する経営形態をとっております。
製品セグメント別の主要製品及び主要生産関係会社は次のとおりであります。
当グループの販売関係会社は複数のセグメントに跨る製品を販売しているため、販売については、国内・海外に区分し、上記セグメント及び主要製品に関連づけて記載しております。
国内販売については、時計及びコンシューマ製品は、主として当社が小売店、代理店を通して販売しております。また、システム製品は販売関係会社、代理店を通じて販売し、一部得意先は、当社が直接販売を行っております。
海外販売については、北米地域はCasio America, Inc.等、欧州地域はCasio Europe GmbH等、アジア地域ではカシオ(中国)貿易有限公司、Casio Singapore Pte.,Ltd等、その他の地域においては主として代理店を設け、直接輸出または間接輸出を行っております。
サービスについては、主としてカシオテクノ株式会社及び販売関係会社が当グループ製品の保守サービスを行っております。
事業の系統図は、次のとおりであります。

(注) 1 「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報の名称を記載しております。
2 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
3 特定子会社に該当しております。
4 Casio America,Inc.については売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1)売上高 35,657百万円
(2)経常損失(△) △720百万円
(3)当期純利益 100百万円
(4)純資産額 11,398百万円
(5)総資産額 17,619百万円
2023年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員数(当グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 出向者は出向先の労働者として集計しております。
3 男性正規雇用労働者の育児休業取得率を記載しており、男性非正規雇用労働者の育児休業及び休暇の取得はありません。
4 出向者は出向元の労働者として集計しております。
5 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
6 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
② 連結子会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 出向者は出向先の労働者として集計しております。
3 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定による公表義務の対象でない場合は、「―」としております。
4 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象でない場合は、「―」としております。
5 出向者は出向元の労働者として集計しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループ(当社及び当社の関係会社…以下同じ)が判断したものであります。
当連結会計年度における内外経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響はグローバルで緩和されつつあるものの、中国においてはゼロコロナ政策及び規制解除後の混乱により、経済活動の停滞も見られました。また、原材料・エネルギー価格の高止まり、欧米におけるインフレ加速や急激な為替変動等、先行き不透明感が一層強まる状況となりました。
当グループを取り巻く事業環境は、パンデミックによる市場の縮小、ロシア・ウクライナ紛争に起因する原材料費の高騰、さらに中国のゼロコロナ政策など、予測し得ない変化が続いてまいりました。当グループは、この劇的な環境変化に適応すべく、カシオ独自の強みを最大限に活かし、時代の変化に合わせて常に新しい文化を創造することで、人と社会の役に立ち続ける存在となることを目指してまいります。
①収益基盤強化とイノベーション創造
当グループは2030年の企業価値最大化に向けて、“市場に新たな価値軸を創り出し、唯一無二のブランドに育て上げる”べく、2024年3月期から2026年3月期を「収益基盤強化期」及び「変革・イノベーション創造期」と位置付け、以下の事業戦略をはじめとする3ヶ年中期経営計画をスタートいたします。あわせて、『DX』によるバリューチェーン改革や新たな価値軸を創造し続ける『技術』の醸成、『人財』の活性化など、全社基盤の再構築を行いながら、ユーザーを起点とした戦略により市場に新たな価値軸を生み出してまいります。
1)時計事業………………………コロナ禍の影響を受けた収益力を回復すべく、「G-SHOCK」のメタル高価格帯を中心にブランディング投資を進めるとともに、「G-SHOCK」40周年を軸にグローバルでのブランド認知拡大を行います。また、「G-SHOCK」を中心に直営店・直営EC比率の拡大を図ってまいります。
2)EdTech(教育)事業……関数電卓では新機種「New ClassWiz」の拡販をはじめとして引き続き新興国を中心に規模拡大を図るとともに、電子辞書「EX-wоrd」とアプリケーション「ClassPad.net」の学習データ同期によりアプリケーション事業の拡販を図り、ハードとソフトの融合によるグローバルエリア展開を加速させます。
3)サウンド(楽器)事業…………「Privia」最上級機種(PX-S7000)を中心に、ライフスタイルを基軸とした独自市場ポジションの確立を図るとともに、「Slim&Smart」のラインアップによりEnjoyment市場の拡大を図ります。
4)システム事業…………………事業運営体制をコンパクトに集約し、成長分野にリソースを集中し収益改善を図ります。
5)新規事業・新規領域…………次世代の柱となるネクストコア領域の見極めと育成を目的とし、予算枠の設定とステージゲートによるマネジメント強化を図ります。
6)構造改革………………………事業体質改善に向けた構造改革を加速させるとともに、早期退職優遇制度の実施や資産の有効活用などにより抜本的な収益改善施策と基盤強化策を推進してまいります。
②資本収益性を意識した経営
当グループは、財務安全性を確保しながら手元資金を有効活用し、コア事業への成長投資及びアライアンス等の戦略投資を促進することで、中長期的な成長とROEの持続的な向上を図ってまいります。また、資本コストを意識した事業活動の推進及びバランスシートの効率化によりフリー・キャッシュ・フローの創造に努めると共に、資本収益性の改善を図ることで、引き続き企業価値の向上を目指してまいります。
③事業を通じたサステナブルな社会への貢献
当グループにとってのサステナビリティとは、「創造 貢献」という経営理念のもと、企業活動を通じて当グループと社会の持続的成長を目指すことと考えております。当グループは、社会から期待される課題の解決に事業を通じて取り組むにあたり、重点的に取り組むべき6つのマテリアリティ(①脱炭素社会の実現、②資源循環型社会の実現、③自然との共生、④人権の尊重、⑤CSR調達の推進、⑥働きやすい職場環境の提供とダイバーシティの推進)を策定するとともに、事業を通じた貢献をさらに加速させるべく、中長期の経営戦略と連動したサステナビリティ経営の強化を目指してまいります。また、気候変動の事業に与える影響が重要視される中、環境に関する取り組みとして「カシオグループ環境ビジョン」を掲げ、具体的なテーマを設定し推進しております。
当グループではこれらの課題に対し、国内主要事業所の再生可能エネルギーへの切り替えや中国製造拠点における太陽光発電設備の導入など、脱炭素2050年実質ゼロに向けたエネルギー戦略を推進するとともに、商品パッケージの脱プラを含め環境配慮素材を活用した商品開発に取り組むなど、引き続きサプライチェーン全体でサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
④コーポレート・ガバナンス機能の強化・充実
当社はコーポレート・ガバナンスの強化・充実も重要な経営課題と位置付けております。2019年には監査等委員会設置会社へ移行し経営の監督機能強化を図るとともに、2021年にはそれまでの「カシオ倫理行動規範」を「カシオビジネスコンダクトガイドライン」に刷新するなど役職員の基本的な価値観の共有、倫理観の醸成、法令等遵守体制の構築に努めてまいりました。
さらに、本年4月からは、経営のさらなる健全性の確保に向けて、監督機能と執行機能の分離をもう一段進めるべく会長が経営の監督を、社長が経営の執行を担当する新経営体制に移行しました。2030年の企業価値最大化に向けた事業計画を確実なものとする為にはRPDCAサイクルの実行と各ステップでの的確な管理・監督が必要です。取締役会などにおける経営監督機能を充実させ当グループが発揮できるポテンシャルの最大化及び事業計画の達成に繋げてまいります。
また、当社はこれまで9名で構成されている取締役会のうち3分の1を占める3名の社外取締役を選任しておりましたが、取締役会の実効性をさらに高めコーポレート・ガバナンス体制の充実を図るため、社外取締役を1名増員することといたしました。
当社の経営理念である「創造 貢献」という考え方は、当社独自の強みを最大限に活かし、時代の変化に合わせて常に新しい文化を創造することで、世の中の役に立ち続ける、ということを意味しています。当グループは、この貢献のための創造を通じて、人々の暮らしの中に溶け込み、必要としてくれる人にとって最も大切な存在となるような、新しい価値を生み出し続ける企業を目指しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合の影響の内容、当該リスクへの対応策は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
(1) 日本経済及び世界経済の状況
当グループの製品は、日本、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアなどの世界各国において販売されており、その需要は各国経済状況の影響を受けております。市況が下降した局面においては、売上の減少や過剰在庫などが発生する可能性があり、とりわけ当グループ製品の大部分が個人消費者を対象としているため、各国の個人消費の動向は当グループ事業に大きく影響しております。当該リスクが顕在化する可能性は常にあり、その影響を完全に回避することは困難ではありますが、当該リスクへの対応については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、常に市況の動向を見極めながら事業活動を遂行してまいります。
(2) 戦争、テロ、感染症等の要因による社会的混乱
戦争やテロなど当グループによるコントロールができない事態によって、当グループの各種設備や生産拠点等が壊滅的な損害を被る可能性があります。この場合は、当グループの生産体制等に影響を与え、生産・出荷の遅延、営業活動の停滞などにより、売上高が減少し、また、修繕や代替の為に多大な費用を要する可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は常にあり、特に、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、及びロシア・ウクライナ紛争による世界経済への影響が懸念されます。当該リスクへの対応については、固有の市場状況に応じたきめ細やかなマーケティング活動を展開し、状況に応じて臨機応変な対応に努めるなど、リスク管理を行ってまいります。
(3) 外国為替リスク及び金利リスク
「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載の通り、当グループは世界各地で製品の生産販売を行っており、結果として為替レートの変動による影響を受けております。当グループの利益は、円と対象通貨との為替レートが変動した場合に不利益を受ける可能性があり、また、当グループは金利変動リスクにも晒されており、このリスクは全体的な営業費用、調達コスト、金融資産・負債の価値(特に長期債務)に影響を与える可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は常にあり、その影響を完全に回避することは困難ではありますが、当該リスクへの対応については、為替の変動の影響を軽減し、またこれを回避するために、為替予約取引等の手段を講じてまいります。
(4) 価格変動
当グループの関連業界においては、数多くの企業が国内外の市場シェアをめぐり激しい競争を続けております。短期間における急激な価格変動や、販売価格の下落が長期にわたって続きコストダウン活動がこれに追いつかない場合、当グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクは一部の品目で顕在化しておりますが、当該リスクへの対応については、採算の取れるアイテムの選択、他社との差別化を図って優位性を保持することなどにより、採算を確保するよう努めてまいります。
(5) 新製品
当グループにおいて新製品開発を行うに際し、新製品の開発プロセスは、複雑かつ不確実なものであり様々なリスクを含んでいます。当グループが新たな人気製品を速やかにかつ定期的に発売できなかった場合、あるいは競合他社が当グループと同様の製品を発売し、特にそれが当グループの新製品発売と同時期であった場合は、市場における唯一の先行者、もしくは先行集団の一員として当グループが享受出来たはずの優位性を減少させる可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、新製品の開発スケジュールの管理徹底、市場への投入時期の見極め等により、優位性を保つよう努めてまいります。
(6) 大口顧客との取引
当グループの大口顧客の戦略変更、製品仕様の変更、もしくは注文の解約やスケジュール変更は、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、顧客との緊密な連携に努めてまいります。
(7) アウトソーシング
当グループは生産効率と営業利益率の改善を目的に、製造・組立工程の相当部分を外部サプライヤーに委託しているため、納入遅延や確実な品質管理が難しくなるといった生産面のリスクが生じる可能性があります。また、当該委託先による関係法令違反や第三者の知的所有権侵害等の問題により、当グループの業績及び製品声価に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、委託先の選定にあたって、技術力や供給能力などについてあらかじめ厳しく審査を行い、信頼できる取引先の選定に努めてまいります。
(8) 技術開発と技術の変化
当グループの事業分野におけるテクノロジーの急激な変化、市場ニーズの激変等から当グループ製品が予想より早く陳腐化する可能性があり、その場合、当グループの事業展開、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、当グループの事業分野におけるテクノロジー変化の動向を注視し、技術開発の促進に努めてまいります。
(9) 国際活動及び海外進出に関するリスク
「第1 企業の概況 3 事業の内容」及び「第5 経理の状況 1(1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載の通り、当グループの生産・製品販売の大部分は日本国外で行われております。従って、当グループの財政状態及び経営成績等はかなりの程度、海外の政治経済情勢並びに法整備に影響されます。特に予期しない規則の変更、法令の適用は予測が難しく、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、海外の法改正情報を的確に収集するように努めてまいります。
(10) 知的財産
当グループは基本的に自社開発技術を使用しており、特許、商標、及びその他の知的所有権などの組合せにより、テクノロジーの保護を図っていますが、以下のようなリスクが当グループに該当することもあります。
・競合他社による同様の技術の独自開発
・当グループが出願中の特許申請の不承認
・当グループの知的財産の悪用・侵害を防ぐための手段が有効に機能しない場合
・知的財産に関する法規制が当グループの知的財産を保護するのに不充分である場合
・当グループの将来の製品又は技術が他社の知的財産権を侵害しているとされる場合
当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、当グループは基本的に自社開発技術を使用し、特許、商標、及びその他の知的所有権などの組合せにより、テクノロジーの保護を図ってまいります。
(11) 製品の欠陥・訴訟問題
当グループは、創業以来重大なクレームや悪評を受けたことはありませんが、将来において当グループ製品の製造物責任や安全性などを問うクレームが発生しないという保証はありません。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、消費者製品の製造販売会社として、製品そのものの品質にとどまらず、環境保全やリサイクルまで含めた全てを「カシオの品質」と位置付け、お客様にご満足いただける品質をお届けするのが品質保証の役割と考え、厳正なる品質管理を行ってまいります。
(12) 情報管理に関するリスク
当グループは、事業の推進・展開に関連して多くの個人情報や機密情報を保有しております。情報が漏洩した場合、営業秘密の流出による競争力の低下及び顧客の信用や社会的信用の低下を招き、当グループの事業展開、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、情報の管理について、社内規程の整備と周知、従業員に対するセキュリティ教育、サイバー攻撃及びシステム障害に関する保全(予防・監視及び対処・復旧準備)等を講じ、情報管理の強化を図ってまいります。
(13) 提携・合弁・戦略的出資
当グループは、事業の推進・展開を図るため、あるいは経営の効率化を目指すために、国内を含むいくつかの国において提携・合弁・戦略的出資を行っております。これらにあたっては事前に、投資回収や収益性などの可能性について様々な観点から検討しておりますが、相手先の経営環境、経営方針や事業環境の変化等により協力体制の確立が困難となる可能性や、充分な成果が期待できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する場合もあり、提携や買収が当初の目的を達成できず、当グループの事業展開、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、事前に、投資回収や収益性などの可能性について様々な観点から検討するなど、慎重に進めてまいります。
(14) 当グループが保有する有価証券の価値下落
有価証券への投資において株価・金利等の変動により影響を受ける他、基本的な経済全般の不確実性により、当グループの資産額に大きな影響を与える可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は常にあり、その影響を完全に回避することは困難ではありますが、当該リスクへの対応については、保有の意義や合理性について定期的に検証し、慎重に判断してまいります。
(15) その他リスク
上記以外に以下の要因によっても将来的に当グループの事業並びに業績に影響を及ぼす可能性があります。
・IT業界の景気循環性
・必要時における、機器、原材料、利用設備、電力等の妥当なコストでの入手可能性
・退職給付会計に係る法令の改定、制度改訂、運用環境の激変
・税効果会計に係る会計基準の改正、税率変更を含む税制改正
・火災や、地震、洪水などの自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や業務上の事故などの発生
なお、当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、各種事前対策を定めるとともに、法令を遵守し慎重に進めてまいります。
当連結会計年度における売上高は2,638億円(前期比4.6%増)、営業利益については181億円(前期比17.5%減)、売上高営業利益率は前期比1.8ポイント減の6.9%となりました。また経常利益は195億円(前期比11.7%減)となりました。
税金等調整前当期純利益は168億円(前期比26.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は130億円(前期比17.7%減)、1株当たり当期純利益は54円65銭(前期比10円88銭減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
当グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比50億円減の113億円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益168億円(前期229億円)、減価償却費109億円(前期113億円)、運転資金(売上債権、棚卸資産、仕入債務)の増加額58億円(前期85億円)、その他の流動負債の減少額36億円(前期は増加額11億円)、法人税等の支払額51億円(前期56億円)であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期と比べて29億円支出が減少し、31億円の支出となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出110億円(前期109億円)、投資有価証券の取得及び売却・償還による純収入71億円(前期48億円)であります。
これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前期比21億円減の81億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期と比べて38億円支出が減少し、152億円の支出となりました。主な内訳は、長短借入れ及び返済による純収入4百万円(前期は純支出37億円)、自己株式の取得による支出22億円(前期24億円)、配当金の支払額108億円(前期109億円)であります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比36億円減の1,302億円となり、十分な流動性資金を確保しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における内外経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響はグローバルで緩和されつつあるものの、中国においてはゼロコロナ政策及び規制解除後の混乱により、経済活動の停滞も見られました。また、原材料・エネルギー価格の高止まり、欧米におけるインフレ加速や急激な為替変動等、先行き不透明感が一層強まる状況となりました。
このような環境のもと、当グループは、「使う人にとって最も大切な存在を創り続ける」という存在価値のもと、2030年度に企業価値を最大化する「New CASIO C30プロジェクト」をスタートさせました。2030年度の目指す姿からバックキャストした2024年3月期からの3ヶ年中期経営計画のスタートに備え、当連結会計年度は外部環境の変化に左右されない収益体質を確立すべく、各事業において、ユーザーにタイムリーに必要なコトを提供し続けるリカーリング型のビジネスモデルへの移行を進めてまいりました。
当連結会計年度の当グループ業績は、コロナ影響の継続、中国における景気減速や長期化する原材料費・物流費の高騰などの影響を受けたものの、時計の国内でのインバウンド需要の回復及び「G-SHOCK」高価格帯モデルの好調な推移とともに、関数電卓の市場規模がコロナ前水準に回復しており、増収減益となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,638億円、営業利益は181億円、経常利益は195億円、親会社株主に帰属する当期純利益は130億円、1株当たり当期純利益(EPS)は54円65銭となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
中国における景気減速の影響を受けたものの、国内でのインバウンド需要の回復、「G-SHOCK」の『GMW-B5000D』など高価格帯の製品や、『2100』シリーズが好調に推移するなど、増収となりました。
当セグメントの売上高は、1,574億円(前期比3.4%増)、営業利益は235億円(前期比15.4%減)となりました。
(コンシューマ)
楽器は電子ピアノ「Privia」最上級ラインの好調が継続するも、インフレ影響によるエントリーモデルの需要減などの影響を受け、減収となりました。
当セグメントの売上高は、863億円(前期比6.4%増)、営業利益は43億円(前期比26.6%減)となりました。
当セグメントの売上高は、146億円(前期比9.9%増)、営業利益は25億円の赤字(前期22億円の赤字)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少などにより前期比50億円の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得及び売却・償還による純収入の増加などにより前期比29億円の支出減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れ及び返済による純支出があった前期と比べて38億円の支出減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比36億円減の1,302億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。
当連結会計年度における資金調達につきましては、サステナブルファイナンスにより80億円の長期借入を実施し、同額の有利子負債返済に充当いたしました。
当グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料の購入費等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金及び設備投資資金です。なお、営業費用の主なものは、人件費、研究開発費、広告宣伝費であります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当グループは2030年の企業価値最大化に向けて、“市場に新たな価値軸を創り出し、唯一無二のブランドに育て上げる”べく、2024年3月期から2026年3月期を「収益基盤強化期」及び「変革・イノベーション創造期」と位置付け、3ヶ年中期経営計画をスタートいたします。あわせて、『DX』によるバリューチェーン改革や新たな価値軸を創造し続ける『技術』の醸成、『人財』の活性化など、全社基盤の再構築を行いながら、ユーザーを起点とした戦略により市場に新たな価値軸を生み出してまいります。経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標として、売上高、営業利益、営業利益率、ROEについて、目標を定めており、2026年3月期の目標は、売上高3,100億円、営業利益360億円、営業利益率11.6%、ROE10%超としております。また、2024年3月期の計画は、売上高2,650億円、営業利益160億円、営業利益率6.0%としております。
当連結会計年度においては、当初計画:売上高2,700億円、営業利益270億円、営業利益率10%、見直し後の計画:売上高2,630億円、営業利益180億円、営業利益率6.8%に対し、実績は売上高2,638億円、営業利益181億円、営業利益率6.9%となり、ROEは5.9%となりました。
当グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は運搬具、建設仮勘定の合計であります。
2 連結会社以外から土地及び建物を賃借しております。賃借している土地の面積については、[ ]で外書きしております。
3 現在休止中の主要な設備はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)1 2019年6月27日開催の定時株主総会決議により、会社法第448条第1項の規定に基づき、資本準備金を減少
し、その他資本剰余金へ振り替えたものであります。
2 自己株式の消却による減少であります。
2023年3月31日現在
(注) 1 自己株式9,803,056株は「個人その他」に98,030単元及び「単元未満株式の状況」に56株含まれております。
なお、自己株式9,803,056株は株主名簿上の株式数であり、2023年3月31日現在の実質的な所有株式数は9,802,056株であります。
2 「その他の法人」の欄には、株式会社証券保管振替機構名義の株式が21単元含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 上記の信託銀行所有株式には、信託業務に係る株式が次のとおり含まれております。
2 上記のほか、当社所有の自己株式9,802千株があります。
3 株式会社三井住友銀行は上記のほか、当社株式7,894千株(3.30%)を退職給付信託に拠出しており、議決権行使については同行が指図権を留保しております。なお、当該株式数は株式会社SMBC信託銀行の所有株式数に含まれております。
4 2023年3月20日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、JPモルガン証券株式会社ほか4社が2023年3月15日現在、14,553千株(5.84%)を保有している旨が記載されておりますが、当社として議決権行使の基準日時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記「大株主の状況」では考慮しておりません。
1 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、製品、サービスの内容及び販売市場、顧客の種類により「時計」、「コンシューマ」、「システム」及び「その他」の4つを報告セグメントとしております。
各報告セグメントに属する主要な製品及びサービスの種類は次のとおりであります。
時計……………ウオッチ、クロック等
コンシューマ…電子辞書、電卓、電子文具、電子楽器等
システム………ハンディターミナル、電子レジスター、経営支援システム、データプロジェクター等
その他…………成形部品、金型等