マクセル株式会社
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額は、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第76期の期首から適用しており、第76期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3.第74期より「業績連動型株式報酬制度」により信託を通じて当社の株式を取得しており、信託が保有する当社株式は連結貸借対照表において自己株式として計上しており、「1株当たり純資産額」の算定上、期末発行済株式数の計算において控除する自己株式に含めております。また「1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)」の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額は、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第76期の期首から適用しており、第76期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3.第76期において、2021年10月1日付で、当社を存続会社、連結子会社であったマクセル㈱を消滅会社とする吸収合併を行っており、持株会社体制を解消しております。また、従来営業収益としておりました表記を売上高に変更しております。
4.第73期、第74期及び第75期の従業員数は、当社子会社との兼務者を含んだ従業員数となります。
5.第76期の平均臨時雇用人員は、上記3.に記載の合併により、2021年10月~2022年3月の平均臨時雇用人員数を記載しております。
6.第74期の1株当たり配当額268.00円には、特別配当250.00円が含まれております。
7.第74期より「業績連動型株式報酬制度」により信託を通じて当社の株式を取得しており、信託が保有する当社株式は貸借対照表において自己株式として計上しており、「1株当たり純資産額」の算定上、期末発行済株式数の計算において控除する自己株式に含めております。また「1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)」の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
8.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
(注) 当社は、1970年4月に株式の額面金額変更のため日立マクセル㈱(実質上の存続会社)を合併しており、登記上の設立年月日は1947年11月7日となっております。
当社グループは、当社、子会社19社、関連会社2社で構成され、エネルギー、機能性部材料、光学・システム及びライフソリューション製品の製造・販売を主な事業内容としております。
当社グループのセグメント別の主要製品及び主要な関係会社の当該事業における位置付けは次のとおりであります。
(エネルギー)
民生用リチウムイオン電池、リチウムイオン電池用電極、コイン形リチウム二次電池、リチウム一次電池、ボタン電池、充電器・組電池、電極応用製品などの製造販売をしております。また太陽光発電による売電事業を行っております。
(機能性部材料)
粘着テープ、機能性材料、塗布型セパレーター、工業用ゴム製品などの製造販売を行っております。
(光学・システム)
光学部品、電鋳・精密部品、半導体関連組込みシステム、金型・合成樹脂成形品、RFIDシステム、ICカード、プロジェクター、映像機器などの製造販売を行っております。
(ライフソリューション)
健康・理美容機器、小型電気機器、音響機器、光ディスク、充電機器、アクセサリー、乾電池、電設工具などの製造販売を行っております。
事業系統図は、次のとおりです。

(注) 1.上記のうち、特定子会社は、Wuxi Maxell Energy Co., Ltd.、Maxell Europe Ltd.、Maxell Digital Products China Co., Ltd.及びMaxell Corporation of Americaであります。
2.議決権の所有割合の( )内は間接所有(内数)であります。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
3.全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない管理部門等の従業員であります。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の平均雇用人員であります。
3.平均年間給与は、第77期事業年度(2022年4月1日~2023年3月31日)において、賞与及び基準外賃金を含んだものを記載しております。
4.全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない管理部門等の従業員であります。
当社グループには、マクセル株式会社にマクセル労働組合、マクセルフロンティア株式会社にマクセルフロンティア労働組合、マクセルイズミ株式会社にマクセルイズミ労働組合、マクセルクレハ株式会社にマクセルクレハ労働組合が組織されております。
上部団体には、マクセル労働組合及びマクセルフロンティア労働組合は、日立グループ労働組合連合会に加盟し、日立グループ労働組合連合会として全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会(電機連合)に加盟しております。また、マクセルイズミ労働組合は中信地区労働組合協議会に、マクセルクレハ労働組合は日本ゴム産業労働組合連合に加盟しております。
2023年3月31日現在の当社グループの組合員数は、2,013名であります。
なお、労使関係については、特に記載すべき事項はございません。
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づいた当社及び主要な連結子会社の指標は次の通りです。なお、管理職に占める女性従業員の割合は、2030年までに10%をめざしています。
(注)1.管理職に占める女性従業員の割合については、出向者を出向先の従業員として集計しております。
2.男性の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号に基づき算出しており、出向者を出向元の従業員として集計しております。
3.男女の賃金格差については、出向者を出向元の従業員として集計しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、独自の強みである「混合分散(まぜる)」「精密塗布(ぬる)」「高精度成形(かためる)」を柱とする「アナログコア技術」に立脚した事業を成長の主軸と位置付け、事業ポートフォリオ改革を進めるとともに、すべてのステークホルダーに最高の価値を提供する「価値創出企業」となることをめざしています。
また、以下を経営の基本方針としています。
a.経営理念
当社グループは、その創業の精神である"和協一致"、"仕事に魂を打ち込み"、"社会に奉仕したい"を継承しつつ、「和協一致 仕事に魂を打ち込み 社会に貢献する」を社是とし、今後もマクセル人としての誇りを堅持し、優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献することを基本理念とします。
あわせて、企業が社会の一員であることを深く認識し、公正かつ透明な企業行動に徹するとともに、環境との調和、積極的な社会貢献活動を通じ、良識ある市民として真に豊かな社会の実現に尽力します。
b.ミッション
当社グループは、優れた技術や製品の開発を通じて持続可能な社会に貢献することをめざし、「独創技術のイノベーション追求を通じて持続可能な社会に貢献する」をミッションとします。
c.ビジョン
当社グループは、すべてのステークホルダーにとってのMaximum Excellence(最高の価値)を創造する「価値創出企業」となることをめざし、「独自のアナログコア技術で、社員・顧客・社会にとってのMaximum Excellenceを創造する」をビジョンとします。
d.バリュー
当社グループがステークホルダーに対して提供し続けるべき価値や強みを、Technological Value(技術価値)、Customer Value(顧客価値)、Social Value(社会価値)の3点とします。ミッションとビジョンの実現に向け、これらの価値を大切にしていきます。
e.スローガン
当社グループ共通のブランドスローガン(合言葉)を「Within, the Future」-未来のなかに、いつもいる-、とします。
f.マクセルグループ行動規範
当社グループの事業活動における共通の規範であるマクセルグループ行動規範を、今後も当社グループの経営に当たって遵守していきます。
g.コーポレートガバナンス・ガイドライン
当社グループの内部統制システムを構築するための基本方針であるコーポレートガバナンス・ガイドラインに従い、今後もコーポレートガバナンス体制の強化を図り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざします。
上記の経営の基本方針に関わるキーワードとした、ミッション、ビジョン、バリュー、スピリット、スローガン(MVVSS)の5項目は以下のとおりです。
なお、本経営の基本方針については、2021年3月期以降、経営トップによるタウンホールミーティングを主要拠点において順次開催し従業員に直接説明を行ったほか、社内報や社内ホームページも活用し、当社グループ全体への浸透を図っています。
グローバルの経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響は当連結会計年度中に収束方向に向かい、経済・社会活動に対する制限も徐々に緩和されました。一方で、2022年3月期第4四半期にロシア-ウクライナ情勢が急変し当連結会計年度中も地政学的リスクとして継続したことにより、当該地政学的リスクの発生以前に既に顕在化していた半導体の供給不足や原材料費の高騰、物流面の停滞といった問題に加えて、原油価格の上昇に伴う電動力費の高騰による当社グループの事業活動への影響も懸念される状況となっています。
当社グループは、2024年3月期も財務規律の徹底による収益管理と事業ポートフォリオ改革による事業の新陳代謝を継続し、徹底した原価低減策を推進するとともに電動力費も含めた足元のコスト上昇の販売価格への反映を着実に進めることとしています。
当社グループは、今後の成長が期待される「ヘルスケア」「5G/IoT」「モビリティ」を注力3分野とするとともに、「アナログコア技術」に立脚した特徴のある製品・サービスを強化し、競争力の源泉としていくことを基本戦略とします。
a. 中期経営計画「MEX23」
当社グループは、2021年3月期以降、財務規律の徹底による事業ポートフォリオ改革を推進し、一部事業の他社への譲渡を行うなど、課題事業への対策と事業の新陳代謝を進めるとともに、経営基盤の強化を図るため、徹底した原価低減を行いました。
2022年3月期から2024年3月期までの3年間の中期経営計画「MEX23」(Maximum Excellence 2023)の策定にあたっては、まず2030年に向けた世界経済や社会におけるメガトレンドを想定し、当社グループが2030年に実現したい姿から遡る形で以下の経営目標を設定しました。
MEX23基本方針:「価値にこだわる」~企業価値・利益成長を重視した経営の実践~
2024年3月期経営目標:
連結売上高 125,000百万円
連結営業利益率 10%
ROIC 7%超
配当性向 30~40%
上記のMEX23の経営目標の達成に向け、初年度の2022年3月期においては「価値にこだわる」というMEX23の基本方針に沿って利益面での「成長路線への回帰」をめざしました。2022年3月期の営業利益は、事業改革、不採算事業の縮小及び原価低減策などの効果により2014年3月の再上場以降最高益となり、2021年3月期との比較で、営業利益率は2.7%から6.8%に、ROICは1.9%から5.5%に向上するなど、収益力の強化を図りました。しかしながら当連結会計年度は、原材料費高騰や半導体不足による一部の製品での生産数量の伸び悩みといった厳しい環境に見舞われた結果、2022年3月期との比較で減収減益となりました。これに伴い、2024年3月期の連結営業利益率は5.6%、ROICは4.8%と、当初の経営目標を下回る見込みではありますが、MEX23の基本方針「価値(企業価値・利益成長)にこだわる」に沿って、収益力の強化に重点を置く計画としています。
2030年に向けた社会や市場のメガトレンドを想定する上で、特に「人」「環境」「産業」「消費」に関連した課題や潜在需要を見極めることが当社グループとして重要であると考えています。「人」については、少子高齢化や医療費の増大、労働力不足、新型コロナウイルスなど新たな感染症への対応のため、健康維持や予防医療の進化、労働・住宅環境の向上などに関連した需要が増大すると考えられます。「環境」については、異常気象や自然災害、天然資源の枯渇懸念への対応のため、インフラ監視や災害対策、環境保全や省資源化に関連した需要が増大すると考えられます。「産業」については、人工知能や再生可能エネルギーの利用拡大、社会インフラの整備・拡充に向けて、自動運転など移動手段の進化、インターネットへの常時接続(コネクテッド)の普及に関連した需要が拡大すると考えられます。また「消費」については、働き方改革の進展に伴うライフスタイルの変化やニーズ・価値観の多様化、所有から利用へ、といった変化が想定され、e-commerceなど高速ネットワーク環境を前提とした購買の拡大や環境配慮製品への需要の高まりが考えられます。
当社グループにおいては、こうしたメガトレンドを見据え、競争力の源泉である「アナログコア技術」と高い親和性がある「ヘルスケア」「5G/IoT」「モビリティ」を注力3分野と位置付けて経営資源を重点配分し、売上高・利益の拡大を図り、当社グループのビジョン「独自のアナログコア技術で、社員・顧客・社会にとってのMaximum Excellenceを創造する」の実現をめざしていきます。
上記の注力3分野に関わる市場環境は以下のとおりです。
(ヘルスケア)
ヘルスケア分野では、健康・衛生や美容への意識の高まりを背景として、関連製品の需要が中長期的に増加していくと考えています。
特に新型コロナウイルスの感染拡大は、社会の健康や衛生に対する意識をさらに向上させました。このため2021年3月期においてオゾン除菌消臭器の売上が急拡大し、利益面でも大きく貢献しましたが、2022年3月期以降はその反動により売上・利益ともに減少しました。
当社グループでは、オゾン除菌消臭器やEMS運動器、低周波治療器などの健康機器、シェーバーやヘアドライヤーなどの理美容機器など、多様な顧客ニーズやライフスタイルの変化に応え、マクセル独自の価値を提供するオンリー・ワン製品の開発を中心に成長をめざすとともに、マクセル (maxell)及びマクセルイズミ (IZUMI)ブランドの製品に加え、顧客のブランドに対応したOEM事業の拡大を図っていきます。なお、マクセル及びイズミブランドの日本国内向けコンシューマー製品の販売事業については、2023年4月以降、㈱デンキョーグループホールディングスの完全子会社である㈱電響社を販売総代理店とし、当該事業に係る当社の機能(営業・商品企画等)を同社に移管しました。今後は、同社が保有する強力な販売ネットワークのもと当該事業の拡大を図ります。
また、医療関連では、補聴器や血糖値計など小型医療機器の需要が増加するとともに、利便性や機能の向上が求められており、特に、こうした要求に対応した電源ソリューションが必要になると考えています。当社グループでは、小型、高容量、長寿命に加えて安全な電池を提供することにより市場の要求に応えていきます。
(5G/IoT)
5G/IoT分野では、住環境のスマート化やIoT化に伴い、センシングや安全・安心、快適をキーワードとして、高速ネットワーク環境の整備を前提とした次世代に向けた新たな機器や社会インフラ構築に伴う需要が中長期的に増加していくと考えています。
当社グループにおいては、半導体や情報通信機器、民生用電子機器、住宅などに関連した需要動向が影響します。特に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅勤務やリモート授業などの推進はパソコンなどの情報通信機器の需要を増加させ、加えて情報通信インフラとしてのデータセンターの増強が図られたことにより、基幹部品である半導体の需要が増加しました。これに伴い、2022年3月期における当社グループの半導体関連製品の売上が増加したほか、2023年3月期も増収が継続しました。
当社グループでは、スマートメーター向け電源用電池、半導体関連組込みシステム、半導体製造工程用テープ、電鋳、電設工具など、社会課題の解決に不可欠なキーデバイスの提供による成長をめざしています。また、全固体電池については、まずはFA機器やインフラ・プラント設備向け市場への導入を開始し、将来的に主力製品として拡大していきます。
(モビリティ)
モビリティ分野では、自動車市場におけるADAS (Advanced Driver Assistance System)、CASE (Connected、Autonomous、Shared、Electric)、MaaS(Mobility as a Service)など、安全運転支援機能の拡充、自動運転化や電動化、移動手段の革新などが予想され、関連した部品・材料などの需要が中長期的に増加していくと考えています。
当社グループにとって自動車市場が安定して成長することは極めて重要ですが、世界の自動車生産台数は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け2020年は約78百万台となり、2019年の年間約92百万台と比較して大きく減少しました。その後、中国や東南アジア・インドなどを中心に拡大基調に転じ2021年は約80百万台、2022年は約85百万台と徐々に回復しました。なお、半導体の供給不足などにより自動車生産台数の動向は不透明となっていますが、2023年は約88百万台、2024年は約91百万台と緩やかながら成長は続くと考えています。
当社グループでは、車載カメラ用レンズユニットやLEDヘッドランプレンズ、ヘッドアップディスプレイ、タイヤ空気圧監視システム用耐熱コイン形リチウム電池、車載用リチウムイオン電池材料など、光学、映像、電池技術を主軸とした製品の確固たるポジションの確保をめざすとともに、車載用や交通関連のミリ波レーダーに対応した電磁波吸収部材を含むEMC(Electromagnetic Compatibility 電磁両立性)対策部材など、新たな製品の事業化に取り組んでいきます。
当社グループでは、上記の注力3分野に対応した製品や事業別に需要動向を見極めながら事業戦略を推進していきます。
事業セグメント別の、ビジョン、中期経営計画MEX23における成長事業とその注力分野、基本戦略及び強み、主に次期中期経営計画以降に業績貢献を計画する新規事業とその注力分野、ターゲット用途・特長及び強みは以下のとおりです。
(エネルギー)
(機能性部材料)
(光学・システム)
* 当社による推計
(ライフソリューション)
* 当社による推計
c. 経営体制の強化
当社グループの事業改革をさらに加速し、中長期的な成長を実現するため、2021年10月1日を効力発生日として、当社を存続会社、主要事業会社であったマクセル株式会社を消滅会社とする吸収合併を行い持株会社体制を解消し、当社が当社グループ全体を強力に牽引する新たな経営体制を構築しました。また、併せて当社の商号をマクセルホールディングス株式会社からマクセル株式会社に変更しました。
多様なステークホルダーとのコミュニケーションに対する投資を継続してブランド価値の向上を図ります。特に若年層を中心とした消費者にマクセルブランドを浸透させることが、中長期的な成長に向けた重要なテーマであると考えています。マクセルユニーク追求による脱コモディティへのブランディング、パブリシティ、SNSの活用強化、CSV(Creating Shared Value 共通価値創造)の推進、株主・投資家等との積極的な対話を基本施策としてコーポレートブランドの構築に取り組みます。
当社グループは、資本効率性の向上を経営課題に掲げています。株主の皆様からの投資に対するリターンを高めるべく、資本効率性を向上する経営の実践に取り組みます。成長のための投資を十分に確保する一方、投資案件を厳選することによって、投資額に対する収益率を高めていきます。このため、すべての事業部門においてROICを重要経営指標として認識し、その向上に向け運用を強化するとともに、資本効率性を踏まえた株主還元策を実施していきます。
また、中期的な経営戦略の実践のために当社グループが対処すべきその他の課題は次のとおりです。
当社グループは、人財の育成と活用を企業経営における最優先事項のひとつであると認識しています。経営環境の変化を捉えた効率的な人財配置の実践、公正で透明性のある人事評価制度の運用により価値に貢献した従業員に報いていくとともに、ダイバーシティ&インクルージョンをさらに深化させ、従業員のエンゲージメントの向上を図り、元気で活力のある企業をめざしていきます。当社グループの人的資本などのサステナビリティに関する考え方や取り組みの詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
当社グループは、中長期的な企業価値の向上に向け、すべてのステークホルダーの視点に立った経営施策を実施していくことが重要であると考えています。特に、サステナビリティを意識して企業価値を向上させることは、企業経営における最重要課題のひとつであると認識しています。当社グループの気候変動対応などのサステナビリティに関する考え方や取り組みの詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
また、リスク管理体制の強化や内部統制システムの整備によりコンプライアンス経営の徹底を推進します。特に、独占禁止法をはじめとする法令遵守の徹底につきましては、日本だけでなく欧米・アジアにおいても強力に推進していきます。当社グループは、これらの施策を通じて、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループをめざしていきます。
コーポレートガバナンスの強化
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的に2015年10月に「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しており、適正な情報開示と透明性の確保に努め、取締役会の役割・責務を適切に果たすとともに、株主及び投資家との建設的な対話(エンゲージメント)をさらに活性化させていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。ただし、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが事業活動を行っている日本、欧米、中国や新興国等の経済環境の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらの地域において、景気後退により個人消費や民間設備投資が減少した場合、当社グループが提供する製品及びサービスの需要の減少や価格競争の激化が進展する可能性があります。当社グループでは、当社が事業を行う国や地域の経済・市場動向を常に注視するとともに、原価低減や固定費削減を行い、経済動向の変化による影響を最小限とするよう努めておりますが、このような環境下において、当社グループは売上高や収益性を維持できる保証はありません。
主にエネルギー事業、機能性部材料事業及び光学・システム事業の市場規模は企業の投資動向などに、ライフソリューション事業の需要は個人の消費動向などにより影響を受ける可能性があります。特に民生用リチウムイオン電池やコンシューマー製品などは市場トレンドや機種の変更などにより、当社グループの製品の出荷実績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの生産・販売活動は日本を含む全世界で展開しております。地震及び洪水等の自然災害、疫病、火災、戦争、テロ及び暴動等が起こった場合、当社グループの販売活動の停滞や生産設備等への損害などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、文化や慣習の違いから生じる労務問題や疾病といった社会的なリスク、商習慣の違いから生じる取引先との未知のリスクが潜んでいる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合は、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当社が販売活動を行う、あるいは製造拠点を有する国や地域の法令や文化を遵守・尊重することに加え、事業継続性の観点及び顧客のサプライチェーンへの要求にも対応した製造拠点の配置の最適化についても検討を行っています。しかしながら、現在当社グループは、経済発展が著しい中国に製造拠点や協力工場を数多く有しており、同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立していることから、同国にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、2022年3月期第4四半期において、ロシア‐ウクライナ情勢が急変し、新たな地政学的リスクとして浮上しました。当社グループでは従来、当社の連結子会社であるMaxell Europe Ltd.(英国)より両国の代理店に、主にマイクロ電池、アクセサリー等のコンシューマー製品を販売していましたが、ロシア向け販売については、2022年2月末以降自主的に停止しました。なお、両国向けの販売実績金額は月額数百万円程度であったため、当社の連結売上高に占める割合は極めて小さく、販売停止による影響は軽微ですが、対ロシア制裁の開始以降原油価格が上昇しており、日本も含む他の国・地域との通商関係の制限の長期化とともに電気料金など動力費の高騰が顕著となっています。
上記の「(1) 経済動向による影響について」、「(2) 災害、国際情勢等による影響について」とも関係しますが、2020年3月期第4四半期以降、新型コロナウイルス感染症が急速に拡大し、過去例を見ない新たなリスクとして浮上し、当社グループも2020年3月期において、中国など海外工場の操業度の低下や製品・部品の調達停滞、中国向け販売の減少といった影響を受けました。なお、2021年3月期において、国内外工場の操業や製品・部品の調達に関する大きな問題は解消されましたが、2022年3月期においては、新たな変異株の発生等により、新型コロナウイルス感染症の感染者数が急増しました。なお、当連結会計年度においては、ワクチン接種の拡大に伴い重症化率が低下したことなどにより、経済・社会活動に対する制限は徐々に緩和の方向に向かいましたが、今後も新型コロナウイルス感染症のみならず新たな感染症の台頭には引き続き注視が必要であると考えます。
また、新型コロナウイルス感染症のような感染症の拡大が及ぼす影響には、外出制限や在宅勤務の拡大に伴うステイホーム関連製品の需要や衛生意識の高まりによる健康関連製品の需要が喚起されるなど、当社グループの事業にとって好材料となった側面もありますが、主に以下のリスクがあると考えられます。
(影響が及ぶ期間の長期化のリスク)
当社グループの主な事業は、自動車や半導体関連の部品など当社顧客の生産や販売の計画が大きく影響するものと、健康・理美容機器など個人消費の動向が直接影響するものなど、多岐にわたっています。従って、事業により回復時期に差が生じ、影響が及ぶ期間が長期化する可能性があり、新型コロナウイルス感染症の影響は、2020年3月期第4四半期以降当連結会計年度まで、約3年間にわたり継続しました。当社では、今後もこうした市場の状況を見極めつつ、機会損失を最小限に留めるべく生産や在庫の計画を立てていきます。
(事業の継続性に係るリスク)
当社グループは、国内外に生産・販売拠点を有しており、顧客や従業員、その他関係者等の健康・安全確保、ひいては事業の継続のため、国内拠点では在宅勤務や時差出勤を推進するとともに、海外拠点でも営業停止、外出禁止や移動制限といった各国政府の指導に従った事業運営を行いました。しかしながら、グループ内感染の発生や製品・部品の調達停滞により、工場の操業や営業活動が行えなくなる可能性があります。当社では、今後もこうしたリスクを最小限に留めるべく、従業員の健康管理をさらに強化するとともに、国内外の生産拠点の柔軟な活用や調達先の複数採用などの対応を行っていきます。
(財務面のリスク)
経済環境の悪化により、当社グループの販売の低迷や、回収の遅延などが生じる可能性があります。このため、コミットメントラインの拡充や追加の資金調達を含めて手元流動性の確保を図るとともに、新規の投資計画については厳選のうえ優先順位を検討していきます。
なお、こうしたリスクについては、実際の程度や発生時期などにより、上記の対応策で完全にリスク回避できない可能性がありますが、当連結会計年度までの経験も活かしつつ、新型コロナウイルス感染症のような感染症の拡大に対応していきます。
(4) 為替相場の変動による影響について
当社グループは、日本を含む全世界において事業活動を行っており、海外売上高の割合が高く、為替相場の変動リスクにさらされている資産及び負債を保有しています。主に、米ドルをはじめとする現地通貨建ての製品の輸出及び原材料の輸入を行っていることから、為替相場の変動は円建てで報告される当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、外貨建て輸出入取引のバランス調整や為替予約など、為替相場の変動リスクをヘッジする施策は行っておりますが、急激な為替相場の変動による経営成績への影響を完全に回避できる保証はありません。
当社グループの製品は、石油化学製品を原材料としているものが多く、また、一部の製品において希少な物質を原材料としているものがあります。
当社グループでは、部品・材料の調達ルートの定期的見直しや、安定供給が可能な材料を用いた製品の開発などの対策を行っておりますが、原油価格の大きな変動や国際市況などによる原材料価格の大きな変動があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業分野においては、多様な競合相手が存在するほか、一部の製品においては汎用品化や低コストの地域における製造が進んでおり、価格競争が激化しています。激しい競争のもとで成功するためには、価格、技術、品質及びブランド力の面において競争力を有する製品及びサービスを適宜市場に投入する必要がありますが、当社グループが提供するすべての製品及びサービスについて実現できる保証はなく、製品及びサービスが競争力を維持できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、継続的な原価低減や固定費削減、生産地の変更など競争力確保に向けた対応を行っていますが、中長期的に競争力や収益性の確保が困難と判断した事業や製品については、他の事業へのリソースの移管や撤退、対象製品の廃盤化といった対応を行い、当社グループ全体での収益性確保を図ります。
当社グループの事業分野においては、自動車におけるADAS(Advanced Driver Assistance System)、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)、MaaS(Mobility as a Service)のように自動車の安全運転支援機能の拡充、自動運転化や電動化、移動手段の革新が進むなど新しい技術が急速に発展しています。
当社グループでは、技術革新を継続的に、迅速かつ優れた費用効率で実現し、製品及びサービスに適用することが競争力を維持するために不可欠であると考えており、研究開発においては、当社独自の強みである「アナログコア技術」に立脚した将来性の高い案件を厳選して行っておりますが、当社グループの研究開発が常に成功する保証はなく、先端技術の開発または製品・サービスへの適用が予定どおり進展しなかった場合は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが取り扱う製品及びサービス分野において、競合企業間の再編により業界動向が大きく変化した場合は、価格や開発ロードマップ、材料調達等の条件などが変動することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループが業界内で高いシェアを獲得している製品及びサービス分野において、競合企業間の再編によって当社シェアが下落した場合は、当該市場における当社グループのイニシアティブが低下する可能性があります。
当社グループでは、品質・コスト両面での競争力強化を継続して行い、単に市場シェアにとらわれることなく顧客から信頼される製品及びサービスの提供を行います。
当社グループは、エネルギー事業、機能性部材料事業、光学・システム事業及びライフソリューション事業の各事業分野において、事業拡大のために同業他社の事業譲受や買収または当社傘下への販路取り込み等を行う可能性があります。また、経営基盤の強化などのために他社との合併を行う可能性があるほか、個別事業の強化拡大のために当該事業を承継する新会社を会社分割により設立する可能性があります。
当社グループでは、こうした案件については、事前にフィジビリティスタディを行い、中長期的な収益性や当社グループの既存事業とのシナジー効果を充分に検証した上で実施しますが、当該買収、合併、会社分割等が当社グループの事業展開や経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、市場環境や経済環境によっては、当該買収、合併、会社分割等が当初想定した結果を創出できる保証はなく、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製造過程で生じる廃棄物や大気・水への排出物、製品に含まれる有害化学物質などについて、国内外の環境関連法令の適用を受けております。当社グループは環境経営を積極的に推進しておりますが、過去の事業活動の結果生じた事象についても、現在の環境規制に対応するための費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各事業部門において、環境面も含めて、各事業・製品に係る法規制の最新動向を注視しており、これらの遵守を最優先していますが、ライフソリューション事業の一部製品は、医療機器として薬事法等の規制を受けており、国内外における法規制の予測できない改正等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また同様に、当社グループが取り扱う電池や部材料などの各製品分野において、今後、法規制が新設または強化された場合、当該製品の製造や出荷、販売等のコストに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは国内外の生産拠点において、ISO(International Organization for Standardization 国際標準化機構)の品質マネジメントシステム規格(ISO9001)や顧客から高度な品質管理体制が求められる自動車業界向けの品質マネジメントシステム規格(ISO/TS16949)などに従って多様な製品の品質管理を行っております。
しかしながら、予想し得ない品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や法令・規制等の不遵守、それに起因するリコールが発生しないとは限らず、当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合は、回収コストや賠償費用の発生、販売量の減少などの恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した商品の品質上の欠陥によってブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招く可能性もあります。したがって重大な品質問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 知的財産権による影響について
当社グループは競合他社等に対抗していくためには特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると認識しており、国内外において出願中のものを含めて多数の特許を保有しております。当社グループは二次電池や一次電池、光学部品、成形、機能性材料、プロジェクター、健康・理美容機器、小型電気機器、磁気テープ、光ディスク、RFIDシステム、ICカード等の分野において、有力な特許を保有しておりますが、さらにこれら事業の将来性を見越した技術及び周辺技術についても特許の出願を進めております。しかしながら、当社グループが出願中である特許について適時に登録を受けられる保証はなく、現在登録を受けている特許が将来においても当社グループにおける事業の知的財産権を保護するのに必要十分である保証はありません。
また当社グループは、第三者の知的財産権を尊重し、業界において必要な特許監視等を実施しておりますが、当社グループが使用する技術要素等について、当社グループが認識しない第三者の特許がすでに成立している場合、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、当該第三者より使用差し止め及び損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。当該特許の使用差し止めや使用に係る対価等の多額の支払い等が発生した場合、当社グループの事業展開や経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、仮にこれらの紛争において勝訴した場合にも、これらの訴えに対して当社を防御し、解決を図るために多大な費用や経営資源を費やすことにより、当社グループの事業展開及び経営成績等に影響を及ぼさないとする保証はありません。
なお、一部の製品においては第三者の特許技術等に係るライセンスを受けております。現時点において、当社グループが導入する特許技術に係るライセンス継続に支障が生じる可能性は低いものと認識しておりますが、これらの継続使用が困難となった場合には当社グループの事業展開等に何らかの制約が生じる可能性があります。
当社グループでは、ファイアウォールの整備やコンピュータウイルス対策ソフトウエアの導入、データ及びシステムのバックアップ、教育啓発の実施など、ハード・ソフト両面において情報セキュリティ上のリスク対策を実施しておりますが、自然災害や人為的な原因により情報の消失・外部流出、システム障害等が起きた場合、システムの一時停止や復旧対策等による費用が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは事業遂行に関連して、当社グループまたは顧客等についての個人情報、技術・営業に関する営業秘密を保有しております。当社グループでは、これらの情報の適切な保護及び管理に努めておりますが、システム障害、人為的な原因、その他の原因でこれらの情報が流出した場合、当社グループに対する信頼ならびに当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業活動を行っている分野において継続的に事業を発展させるためには、多様な専門技術に精通した人財、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人財の確保、育成を継続的に推進していくことが重要と考えております。
このため、当社グループでは計画的な新卒採用や経験者の通年採用を積極的に実施して人財を育成するとともに、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実、自立型人財やグローバル人財を育成するための各種教育制度の拡充など社員のモティベーションを高める諸施策を実施しております。
しかしながら、グローバルで優秀な人財を獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等が懸念されるほか、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、常に適切な人財を確保できる保証はありません。人財獲得や育成が計画どおりに進まなかった場合は、長期的視点から、当社グループの事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。
(15) 有価証券の相場変動による影響について
当社グループは時価のある有価証券を保有しているため、金融商品取引市場におけるこれらの価額が変動した場合は、有価証券の評価損益や売却損益の発生などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、有価証券の保有に関して、定量、定性基準の判定により、定期的に保有意義の検証を行っています。保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)については、取引関係の維持及び強化による中長期的な企業価値向上を目的として保有しており、政策保有株式の保有目的、中長期的な経済合理性及び将来の見通し等について取締役会において定期的に検証を行い、保有合理性がないと判断した銘柄については適宜売却し、政策保有株式の保有額削減を進めています。
また、当社の政策保有株式には金融商品取引市場での取引が行われない非上場会社の株式が含まれており、この場合当該非上場会社の業績動向によって保有価額を評価する場合があります。このため投資有価証券評価損等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業を遂行する上で取引先や第三者から訴訟等が提起されるリスク及び規制当局より法的手続がとられるリスクを有しております。
当社グループでは、こうした訴訟や法的手続きの発生を防止すべく、法規制に沿った事業活動を行うことに加え、取引先等との十分な意思疎通を図っておりますが、当社グループに対して巨額かつ予想困難な損害賠償の請求がなされた場合や事業遂行上の制限が加えられた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、過年度に生じた税務上の繰越欠損金により課税所得が軽減されております。今後、業績の推移や税制改正等により、繰越欠損金の繰越期間の満了で欠損金が消滅し税金負担が増える可能性があります。また、移転価格税制をはじめとする各国の規制・税制等の変更のような、予測できない事態の発生により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、収益性の向上を図るとともに、「グローバル税務ポリシー」を公表しており、当社グループが事業を行っている国及び地域において適正な納税を行うこととしております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、当連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるグローバル経済は、新型コロナウイルス感染症拡大が年度後半以降に収束方向に向かい、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格の高騰や世界的なインフレの勢いも鈍化している一方で、電子部品を中心とした需要減速の兆候や、欧米の金融引き締めによる景気後退の懸念もあり、予断を許さない状況で進行しました。当社を取り巻く事業環境としては、当連結会計年度前半に大幅な円安が進行した一方で、顧客での半導体不足による一部の製品での生産数量の伸び悩みといった厳しい環境に見舞われました。金属および原油由来の原材料費高騰は第3四半期連結会計期間以降は緩やかになりましたが、エネルギーコストの上昇分と併せて引き続き販売価格への反映を進めております。
このような状況のもと当連結会計年度の売上高は、自動車・半導体市場向け製品の増収がありましたが、事業縮小によりプロジェクターの販売が大きく減少したことに加え、二次電池及びBtoC製品の販売減などにより、前年同期比3.9%(5,439百万円)減(以下の比較はこれに同じ)の132,776百万円となりました。利益面では、二次電池やBtoC製品、プロジェクターの販売減、第2四半期連結累計期間までに進行した原材料費高騰の影響に加え、国内BtoC事業の構造改革費用が発生したことにより、営業利益は39.6%(3,694百万円)減の5,638百万円、経常利益は32.0%(3,161百万円)減の6,727百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度では投資有価証券評価損10,312百万円を計上したこと、当連結会計年度では固定資産の売却益を計上したことなどにより、8,852百万円増の5,193百万円となりました。
当連結会計年度の対米ドルの平均円レートは135円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
(エネルギー)
一次電池は車載用と医療用を中心に増収となりましたが、二次電池は半導体不足による顧客の減産の影響を受け大幅減収となり、エネルギー全体の売上高は、4.8%(1,857百万円)減の36,774百万円となりました。利益面では、二次電池の減収の影響に加え、リチウム、コバルトなどの原材料費高騰の影響により、営業利益は、41.8%(1,691百万円)減の2,359百万円となりました。
(機能性部材料)
粘着テープは建築用テープを中心に増収、産業用部材も工業用ゴム製品が好調に推移し、機能性部材料全体の売上高は、4.5%(1,268百万円)増の29,286百万円となりました。一方で営業利益は、ナフサ、ゴムなどの原材料費高騰の影響により、53.6%(998百万円)減の863百万円となりました。
(光学・システム)
自動車・半導体関連顧客からの受注が好調に推移したことにより、車載光学部品、半導体関連製品ともに増収となりましたが、プロジェクター事業縮小の影響が大きく、光学・システム全体の売上高は、5.2%(2,064百万円)減の37,476百万円となりました。営業利益は、プロジェクターの減収影響を車載光学部品、半導体関連製品の増益でカバーし、16.5%(551百万円)増の3,889百万円となりました。
(ライフソリューション)
健康・理美容製品の販売苦戦などによりBtoC製品が減収となり、ライフソリューション全体の売上高は、8.7%(2,786百万円)減の29,240百万円となりました。営業損益は、BtoC製品の減収、製品の輸入価格が急激な円安の影響を受けたことに加え、国内BtoC事業の構造改革費用が発生したことにより、1,556百万円減の1,473百万円の損失となりました。
地域ごとの売上高は、次のとおりであります。
(日本)
半導体関連組込みシステム、粘着テープ及び工業用ゴム製品が増収となりましたが、二次電池が半導体の供給不足に伴う顧客の減産により減収となったことに加え、健康・理美容機器の販売苦戦による減収及び事業縮小によるプロジェクターの減収などにより、売上高は3.8%減の76,757百万円となりました。
(米国)
事業縮小によりプロジェクターが減収となりましたが、スマートメーターを主用途とする筒形リチウム電池や医療用の一次電池、車載カメラ用レンズユニットやLEDヘッドランプレンズなどの光学部品が増収となったことなどにより、売上高は1.3%増の14,075百万円となりました。
(欧州)
補聴器を主用途とするコイン形リチウム二次電池など二次電池の減収や、事業縮小によるプロジェクターの減収がありましたが、車載カメラ用レンズユニットなど光学部品の増収などにより、売上高は9.4%増の12,577百万円となりました。
(アジア他)
耐熱コイン形リチウム電池などの一次電池、車載カメラ用レンズユニットやLEDヘッドランプレンズなどの光学部品が増収となりましたが、事業縮小によるプロジェクターの減収やヘッドアップディスプレイ、アクセサリー等のコンシューマー製品、二次電池の減収などにより、売上高は11.2%減の29,367百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.生産実績には、完成品仕入にかかわる生産実績も含めており、仕入実績は次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.エネルギーの仕入高の減少は、民生用リチウムイオン電池の第三者からの仕入減によるものであります。
需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、以下の重要な会計方針が、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等を行っております。
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
当社グループは、棚卸資産の市場状況に基づく時価の見積額が原価を下回った場合に評価損を計上しております。
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得を合理的に見積って検討しております。
繰延税金資産の計上に用いた会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当社の年金制度においては、割引率は優良社債の市場利回りを退職給付の平均支給年数で調整して算出しております。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) 2.確定給付制度 (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
長期期待運用収益率は、年金資産の現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に退職給付費用の一部として計上されます。
なお、当連結会計年度の長期期待運用収益率の算定の前提となる年金資産の構成割合は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) 2.確定給付制度 (7)年金資産に関する事項」に記載のとおりであります。
当社グループは、主に管理会計上の区分を考慮して資産グループを決定し、将来キャッシュ・フローの回収額を見積った結果、十分な将来キャッシュ・フローが見込めない事業用資産、処分等の意思決定がなされた資産及び遊休資産について回収可能価額まで減額し、特別損失に計上しております。
なお、当連結会計年度における減損損失の兆候の判定及び回収可能価額の算定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※6減損損失」に記載のとおりであります。
f その他有価証券の減損
当社グループでは、売買目的以外の有価証券のうち、市場価格又は合理的に算定された価額(時価)のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を評価損として計上することとしております。また、時価のない株式につきましても、当該発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したと判断される場合は、相当の減額を行い、評価差額は評価損として計上することとしております。
総資産は、前連結会計年度末比5.3%減(以下の比較はこれに同じ)の168,177百万円となりました。このうち流動資産は、主に自己株式の取得による現金及び預金の減少により、4.7%減の94,837百万円となり、総資産に占める割合は前連結会計年度の56.0%から56.4%となりました。一方、固定資産は、主に土地の売却による有形固定資産の減少により6.1%減の73,340百万円となり、総資産に占める割合は前連結会計年度の44.0%から43.6%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(エネルギー)
エネルギーの資産は、7.6%増の37,594百万円となりました。このうち流動資産は、主に棚卸資産の増加により、10.8%増の29,229百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の75.5%から77.7%となりました。一方、固定資産は、2.1%減の8,365百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の24.5%から22.3%となりました。
(機能性部材料)
機能性部材料の資産は、4.8%増の32,996百万円となりました。このうち流動資産は、主に現金及び預金の増加により8.5%増の17,312百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の50.7%から52.5%になりました。一方、固定資産は、1.1%増の15,684百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の49.3%から47.5%となりました。
(光学・システム)
光学・システムの資産は、4.8%増の37,384百万円となりました。このうち流動資産は、主に現金及び預金並びに棚卸資産の増加により11.4%増の24,501百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の61.7%から65.5%となりました。一方、固定資産は、5.7%減の12,883百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の38.3%から34.5%となりました。
(ライフソリューション)
ライフソリューションの資産は、24.8%減の22,529百万円となりました。このうち流動資産は、主に現金及び預金並びに棚卸資産の減少により14.6%減の15,119百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の59.1%から67.1%となりました。一方、固定資産は、主に賃貸用不動産の売却により39.5%減の7,410百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の40.9%から32.9%となりました。
(その他)
当社グループの全社共通業務を目的として保有している資産は自己株式の取得及び借入金の返済による現金及び預金の減少により17.2%減の37,674百万円となりました。
負債は、11.5%減の82,237百万円となりました。このうち流動負債は、主に支払手形及び買掛金並びにその他流動負債の減少により3.9%減の55,494百万円となり、これにより流動比率は1.7倍に、また流動資産との差額である手持ち資金は39,343百万円となりました。一方、固定負債は、主に長期借入金の減少により24.0%減の26,743百万円となりました。
(c) 純資産
純資産は、1.6%増の85,940百万円となりました。これは主に、自己株式の消却による資本剰余金の減少5,339百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益5,193百万円の計上及びその他包括利益累計額が増加したことによるものです。また、自己資本比率は45.9%から49.2%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度から14,441百万円減少し、4,001百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益7,265百万円、減価償却費4,737百万円、未払費用の増減額が前連結会計年度は8,851百万円の減少であったのに対し、当連結会計年度は1,042百万円の減少となったことによる資金の増加があったものの、前受金の増減額が前連結会計年度は14,086百万円の増加であったのに対し、当連結会計年度は1,816百万円の減少であったこと、仕入債務の増減額が前連結会計年度は1,251百万円の増加であったのに対し、当連結会計年度は1,320百万円の減少であったこと、棚卸資産の増減額が前連結会計年度は1,338百万円の増加であったのに対し、当連結会計年度は3,868百万円の増加となったことによる資金の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度から5,621百万円増加し、1,713百万円の収入となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入5,649百万円、投資有価証券の売却による収入985百万円、定期預金の払戻による収入2,215百万円による資金の増加と、有形固定資産の取得による支出4,931百万円、定期預金の預入による支出1,601百万円による資金の減少によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度から7,774百万円減少し、13,985百万円の支出となりました。これは主に長期借入金の増減額が前連結会計年度は1,598百万円の減少であったのに対し、当連結会計年度は6,844百万円の減少であったこと、自己株式の取得による支出5,000百万円、配当金の支払いによる支出1,938百万円による資金の減少によるものです。
これらのキャッシュ・フローに現金及び現金同等物に係る換算差額と、現金及び現金同等物の期首残高を合わせた当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末よりも6,768百万円減少し、36,569百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度の14,534百万円から、当連結会計年度は5,714百万円へと減少しました。
当社グループは、資金の流動性を考慮して、資金運用については短期的な預金等とし、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用する方針であります。
当社グループの運転資金需要は、製品製造のための材料及び部品の購入のほか、加工費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。
当社グループの設備投資等の需要は成長が期待できる製品分野及び研究開発分野のほか、省力化、合理化及び製品の信頼性向上のための投資によるものです。
当社グループは、事業拡大のための成長投資を進めており、これらの資金需要に対しては主に銀行借入にて賄っております。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)当社グループが対処すべき課題及び経営戦略 e 資本効率性の向上」を達成するため、今後もレバレッジを活用し、資本構成の最適化を意識したバランスシートマネジメントを追求していきます。
売上高は、自動車・半導体市場向け製品の増収があったものの、プロジェクター事業の縮小や二次電池及びBtoC製品の販売減などにより、前連結会計年度に対し、3.9%減の132,776百万円となりました。なお、為替レートは、前連結会計年度1ドル=112円、当連結会計年度1ドル=135円であります。
売上原価は、原材料高騰及び円安による輸入価格の高騰により、売上高の減少ほどにはならず、0.9%減の102,678百万円となり、売上高に対する原価率は、前連結会計年度の75.0%から77.3%となりました。その結果、売上総利益は13.0%減の30,098百万円となり、売上高総利益率は、前連結会計年度の25.0%から22.7%となりました。また、販売費及び一般管理費は、主にのれん償却費の減少により、3.2%減の24,460百万円となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、全固体電池の研究開発費が増加したことにより0.3%増の6,397百万円となりました。なお、売上高に対する研究開発費の比率は前連結会計年度の4.6%から4.8%となりました。
営業利益は、売上高の減少、原材料高騰及び円安による輸入価格の高騰により、39.6%減の5,638百万円となりました。
営業外収益(費用)は、為替差益の増加により、前連結会計年度の556百万円の収益(純額)から、1,089百万円の収益(純額)となりました。受取利息から支払利息を減じた純額は、前連結会計年度の46百万円の収益(純額)に対し、98百万円の収益(純額)へと増加しました。
経常利益は、売上高の減少、原材料高騰及び円安による輸入価格の高騰により、32.0%減の6,727百万円となりました。
利益(損失)は、前連結会計年度において投資有価証券評価損の計上により、11,437百万円の損失(純額)となったことに対し、当連結会計年度は固定資産売却益の増加により538百万円の利益(純額)となりました。
税金等調整前当期純利益は、8,814百万円改善し、7,265百万円となりました。
法人税等は、16.9%増の2,009百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益は329百万円減の63百万円の利益となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、8,852百万円改善し、5,193百万円となりました。1株当たり当期純損益は、前連結会計年度の△73.98円に対し109.33円となりました。
当社グループは、2021年10月1日付で持株会社体制を解消し、当社が当社グループを強力に牽引する経営体制を構築しました。この経営体制のもと、中期経営計画MEX23の初年度の2022年3月期を利益面での「成長路線への回帰」の年と位置付け、プロジェクターなど不採算事業の大幅縮小など事業ポートフォリオ改革による事業の新陳代謝を図るとともに、原価低減策の継続的推進や、原材料費高騰の販売価格への反映努力により、営業利益は2014年3月の再上場以降最高益となり「成長路線への回帰」が実現できました。しかしながら当連結会計年度は、二次電池やBtoC製品、プロジェクターの減収、2022年3月期から継続した原材料費高騰の影響に加え、国内BtoC事業の構造改革費用が発生したことなどにより2022年3月期との比較で大きく減益となりました。2024年3月期は、引き続きMEX23の基本方針である「価値(企業価値と利益成長)にこだわる」を念頭に置き、財務規律の徹底による収益管理と事業ポートフォリオ改革による事業の新陳代謝を継続し、徹底した原価低減策を推進するとともに原材料費や電動力費などのコスト上昇の販売価格への反映を着実に進め、収益力の強化を図っていきます。
(固定資産の譲渡)
当社は、2023年1月31日開催の取締役会において、固定資産の譲渡について決議いたしました。
(1) 譲渡の理由
当社は、経営資源の有効活用による財務基盤強化を図るため、収益性を勘案しつつ賃貸不動産や遊休不動産の売却を順次進めており、神奈川県川崎市に保有する以下の固定資産を譲渡することといたしました。
(2) 譲渡資産の内容
※ 譲渡益1,371百万円は、譲渡価額から帳簿価額及び譲渡に係る諸費用を控除した金額です。
(3) 譲渡先の概要
譲渡先は国内法人であり、当社と譲渡先との間には、記載すべき資本関係、人的関係及び取引関係はありません。また、譲渡先は当社の関連当事者には該当しません。
(4) 譲渡の日程
(5) 特別利益の計上について
当該固定資産の譲渡益1,371百万円につきましては、2023年3月期の連結財務諸表及び個別財務諸表において特別利益に計上しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は、「工具、器具及び備品」及び「建設仮勘定」の合計であります。
2.土地及び建物の一部を賃借しており、賃借料は538百万円であります。
3.上記中< >は、内数で連結会社以外への賃貸設備であります。
4.現在休止中の主要な設備はありません。
5.セグメントの名称のうち「その他」は、全社的管理業務、販売業務が含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は、「工具、器具及び備品」及び「建設仮勘定」の合計であります。
2.土地及び建物の一部を賃借しており、賃借料は84百万円であります。
上記中[ ]は、外数で連結会社以外から賃借している土地の面積であります。
2023年3月31日現在
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は、「工具、器具及び備品」及び「建設仮勘定」の合計であります。
2.土地及び建物の一部を賃借しており、賃借料は194百万円であります。
上記中[ ]は、外数で連結会社以外から賃借している土地の面積であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)自己株式の消却による減少であります。
2023年3月31日現在
(注)自己株式3,854,567株は「個人その他」に38,545単元、「単元未満株式の状況」に67株含まれております。
(6) 【大株主の状況】
2023年3月31日現在
(注) 1.日本マスタートラスト信託銀行株式会社及び株式会社日本カストディ銀行の所有株式数は、信託業務に係る株式数であります。
2.2022年7月7日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、アセットマネジメントOne株式会社及びその共同保有者であるみずほ証券株式会社が2022年6月30日現在で以下の株式を所有している旨が記載されておりますが、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主には含めておりません。
なお、大量保有報告書の変更報告書の内容は以下のとおりであります。
3.2023年4月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社及びその共同保有者である日興アセットマネジメント株式会社が2023年3月31日現在で以下の株式を所有している旨が記載されておりますが、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主には含めておりません。
なお、大量保有報告書の変更報告書の内容は以下のとおりであります。
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、事業本部を基礎とした製品別のセグメントから構成されており、「エネルギー」「機能性部材料」「光学・システム」「ライフソリューション」の4つを報告セグメントとしております。「エネルギー」は、主にコイン形及び筒形リチウムイオン一次電池、ボタン電池、民生用リチウムイオン電池、コイン形リチウム二次電池を製造販売しております。「機能性部材料」は、主に粘着テープ及び塗布型セパレーターなどを製造販売しております。「光学・システム」は、主に光学部品、電鋳・精密部品及び半導体関連組込みシステムなどを製造販売しております。「ライフソリューション」は、主に健康・理美容機器及びコンシューマー製品などを製造販売しております。