双信電機株式会社
(注) 1.第77期、第78期および第81期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
2.第78期は親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、株価収益率は記載していません。
3.当社は、2022年6月24日開催の定時株主総会で「定款一部変更の件」が決議されたことを受けて、当期より決算期(事業年度の末日)を3月31日から12月31日に変更しています。これにより、12月決算の連結子会社について、前連結会計年度は2021年1月1日から2021年12月31日まで(12か月間)の損益およびキャッシュ・フローを連結していましたが、当連結会計年度は2022年4月1日から2022年12月31日まで(9か月間)の損益およびキャッシュ・フローを連結しています。
なお、12月決算の連結子会社の2022年1月1日から2022年3月31日までの損益については利益剰余金で調整し、現金及び現金同等物の増減については連結キャッシュ・フロー計算書の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額として表示しています。
(注) 1.第77期、第78期、および第81期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
2.第78期および第81期は当期純損失を計上しているため、株価収益率および配当性向については記載していません。
3.最高株価および最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものです。
4.当社は、2022年6月24日開催の定時株主総会で「定款一部変更の件」が決議されたことを受けて、決算期(事業年度の末日)を3月31日から12月31日に変更しています。
当社グループ(当社および当社の関係会社)は2022年12月31日現在、双信電機株式会社(当社)および子会社9社、親会社1社(WALSIN TECHNOLOGY CORPORATION)、その他の関係会社1社(釜屋電機株式会社)で構成され、事業はパワーエレクトロニクス事業および情報通信事業に関連する市場向け製品の開発、製造、販売を主たる業務としています。
当社グループの事業内容および当社と関係会社の当該事業における位置付けは次のとおりです。
次の2事業区分は、セグメントと同一の区分です。
企業グループの事業系統図は次のとおりです。

(注) 1.「議決権の所有割合又は被所有割合」欄の(内書)は間接所有です。
2. 台湾証券取引所に上場しており、同国の法規制に則ってアニュアルレポートを作成、開示しています。
(注) 1. 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しています。
2.特定子会社に該当します。
3.「議決権の所有割合又は被所有割合」欄の(内書)は間接所有です。
4.上記連結子会社のうちには、有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
(注) 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社ではありません。
(2022年12月31日現在)
(注) 1.従業員は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門やその他特定のセグメントに区分して記載することができない部門の所属人員です。
(2022年12月31日現在)
(注) 1.従業員は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
2.平均年間給与は、基準外賃金および賞与を含んでいます。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門やその他特定のセグメントに区分して記載することができない部門の所属人員です。
当社には次の組合が組織されており、労使関係は安定しています。
(2022年12月31日現在)
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年3月28日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループを取り巻く事業環境は、安全・環境規制の強化、通信・交通インフラ網の拡充など事業機会は拡大しますが、長年当社グループを支えてきた一部製品は、顧客の設計変更や安価な競合品の台頭などによって構造的な需要減少に直面しています。また、ロシアのウクライナ侵攻長期化や中国情勢変化による世界経済ブロック化、インフレ懸念による景気減速、感染症や自然災害によるサプライチェーン寸断等が経済活動にも深刻な影響を及ぼすことが考えられます。
このような厳しい事業環境ではありますが、当社グループは「収益力の向上」と「持続的な成長」に向け邁進していきます。
当社グループは、創業以来、コンデンサ、フィルタ、回路部品等を市場へ提供してきました。これらは、各種の電力インフラや産業機器、個人の端末機器に至る広い分野でご利用いただいています。その歴史を踏まえ、改めて当社の存在目的を定義いたしました。
「ノイズの無い世界を作る」
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて世界が変化していくなか、電気エネルギーの重要性はますます高まり、電気エネルギーの効率的な伝送、利用が求められていきます。一方で、電気エネルギーの伝送には必ずノイズが伴います。当社の製品やサービスは、このノイズを無くすことに利用されています。今後も当社は「ノイズの無い世界を作る」ためのソリューションを通して、より効率的な電気エネルギー伝送の実現を支え、カーボンニュートラルな世界の構築に貢献していきます。
目標の早期達成に向け、2022年3月期に親会社となったWALSIN TECHNOLOGY CORPORATIONを中心とした企業グループ(以下「PSAグループ」)との連携を加速し、同グループが保有するグローバルな販売、調達チャネルや低コストの製造技術などのリソースを最大限活用していきます。
〔収益力の向上 現行事業の課題〕
①リードタイム適正化 長納期の解消
当社の一部製品において、原材料不足や新型コロナウイルス感染症拡大によるサプライチェーン分断の影響から、部材の長納期化、入手困難が生じ、お客様に多大なご迷惑をおかけしています。引き続き先行発注による部材確保、代替部品への切替え、生産能力の増強、生産計画・管理の見直しを進め、今期もさらにリードタイムの適正化を図ることで、お客様のご要求に沿う供給体制を構築していきます。また、今後も予想される部材不足等に対処するため、適切な部材、製品在庫の仕組みを整備していきます。
②製品収益性の改善
部材・電力費等の高騰、納期遅延解消のための航空便による輸送費増などの影響により、前期の収益性は営業利益率4%台に低迷しました。今期は代替部材によるコスト低減、納期遅延解消による航空便抑制、生産性の改善を進めます。その上で吸収できないコスト増分については、お客様と製品価格への転嫁を調整していきます。
③積層誘電体フィルタ事業の拡大
PSAグループとの連携による積層誘電体フィルタ事業の拡大を進めます。販売面では、両社製品の相互販売を開始し、さらにPSAグループ販売網を活用した中国・台湾への販売強化を進めています。生産面では、当社設計品をPSAグループの量産ラインで生産すべく、前期より両社の製造プロセス共通化に関する技術検討を進め、今期中に目処を得る計画です。少量高機能品は当社ライン、大量中機能品はPSAラインと棲み分けることで、当社設備投資を抑制しながら、事業拡大を図っていきます。
2025年度 営業利益率10%を目指し、以上の課題に取り組んでいきます。
〔持続的な成長 人材育成〕
「ノイズの無い世界を作る」のような長期ビジョンを実現する上で、最も重要な資産は人材です。当社でも従業員平均年齢44.9歳に上がり、部門での人材過不足が課題となっていますが、会社が持続的に成長するためには、人材の潜在力を活かし育成することが最重要課題です。このための人事制度見直し、人材教育の拡充、柔軟な人事配置等の施策を実施し、従業員がやりがいを感じ、主体的に業務に取り組む環境を整備していきます。
〔持続的な成長 「ノイズの無い世界」実現に向けて〕
「ノイズの無い世界を作る」に対し当社が貢献できる5つの領域を設定しました。その実現に向け、当社コア技術(高電圧高電流回路、高周波設計、ノイズ測定診断、セラミックプロセス)を進化させると共に、PSAグループとの連携による技術、マーケティング強化を進めていきます。
① 新たなモビリティ社会インフラ
2050年カーボンニュートラル実現に向け、新たなモビリティ(移動手段)が提案、実用化されます。駆動源は電気エネルギーであり、自動制御が基本となるため、これらを支える新たな社会インフラが求められます。自動車を例にとりますと、2030年以降、EV化、自動運転採用が本格的になるに伴い、充電インフラ、車車間・路車間通信ネットワークの整備が必要です。充電インフラに対しては、当社コア技術である高電圧高電流技術を活用し、低ノイズ化、高効率化を実現します。車車間・路車間通信では、当社の積層誘電体フィルタ並びにPSAグループとの協業による部品・モジュールにより高効率なネットワークの実現に貢献していきます。
EV車自体に対しても、蓄電池安全性・省電化要求に対応する部品を提供し、EV化の促進に寄与していきます。
また、自動車以外のモビリティ(鉄道・船舶・空中移動機等)の進化に対しても、当社の低ノイズ高効率な製品群を提案していきます。
② 高効率な電気エネルギー活用
カーボンニュートラル実現に向け、発電や蓄電方法に注目が集まっていますが、作られた電気エネルギーをいかに効率的に送り、使用するかも重要な課題となります。この解決に向け、今後、直流送電や高周波利用による電圧変換等、損失を低減する新たな技術の利用が予想されます。これらの新技術実用化に向け、当社は高電圧高電流技術、ノイズ測定診断技術による低ノイズ高効率な製品群を提供、実現を促進していきます。
③ 世界をつなぐ通信網
カーボンニュートラルを実現する上で、デジタル技術を用いた、さまざまなサービスの社会実装が求められます。そのためには通信インフラやデジタルインフラの整備により、世界がいつでもどこでも「つながる」状態にすることが必要です。当社は基地局小型化や小型衛星通信網の構築を通して、低ノイズ高効率な通信を実現する製品群を、PSAグループと共同して開発していきます。
④ 産業への高周波エネルギー応用
現在の半導体製造プロセスにて主流である高周波成膜プロセスでは、今後さらに高精度化が要求されます。また、一般的な化学反応プロセスにおいても、カーボンニュートラル実現に向け、石油石炭燃焼に依存しない、より低温化が可能な高周波を応用したプロセスのニーズが予想されます。実現には高精度な高周波電源技術が必要です。この分野は高電圧と高周波を組合わせた新しい領域ですが、当社のコア技術を活用し、社会のニーズに応えていきます。
⑤ デジタルツインに向けた取り組み
今後、現実の事象を仮想空間上に再現し、さまざまな分析を行うデジタルツインが発達すると予測されます。例えば、当社が扱う各種産業機器のノイズ測定診断でも、これまでの現地現物による診断から仮想空間上での診断への進化が求められます。当社でも、これまで培ったノイズ測定診断技術をベースに、新たなデジタル技術を用いた診断技術を構築します。デジタル技術を用いることで、これまでアクセスができていなかった世界中のお客様へ「ノイズを無くす」ための解決手段を提供していきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクは、以下のようなものがあります。なお、これらは全てのリスクを網羅したものではなく、これら以外にも投資者の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年3月28日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
現時点では、新型コロナウイルス感染症に関する大きな影響は想定していません。ただし、依然として新型コロナウイルス感染症の流行に収束の目途は立っておらず、流行が更に長期化すれば、事業活動の制約や経済の混乱などの様々なリスクが生じ、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) ロシアのウクライナへの侵攻に関するリスク
ロシアのウクライナへの侵攻による当社グループへの影響として、原材料、エネルギー価格の上昇等による材料費、外注費、物流コスト等が増加するリスクがあります。また、両当事国を市場としている顧客向けの売上が減少した場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 生産拠点に関するリスク
当社グループは、生産拠点と生産委託先を国内外の複数に分散して製品を製造することで、生産拠点の集中によるリスクを軽減しています。ただし、地震、火災などの災害や事故により生産拠点の生産設備に重大な被害が発生した場合には、生産活動が相当期間停止し当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、特に海外展開では、①当該国の法律、規制、租税制度の変更、②為替変動を含む経済変化、③社会騒乱、テロ、戦争等による社会的混乱等のリスクが存在しています。これらの予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 景気変動に関するリスク
当社グループは、グローバルに事業活動を展開しているため、国内外の景気動向が業績に影響を与えます。当社グループでは、常に市況の動向を見極めながら事業活動を行っていますが、景気後退およびそれに伴う需要の縮小の影響を完全に回避することは困難であるため、景気が変動した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 研究開発に関するリスク
当社グループは、新たなテーマの研究開発や既存製品の高性能化に取り組んでおり、当連結会計年度は4億32百万円の研究開発費を計上しました。しかし、技術開発、製品開発には不確実要素が多く、また技術間競争も複雑化していることから、開発インプットが十分な成果に結びつかず、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 為替変動に関するリスク
当社グループは、生産、販売、仕入れに関して海外展開を行っています。当社グループの外貨取引の主要通貨は米ドルのため、米ドルに対する円高は売上高、利益の減少要因となり当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、在外子会社の現地通貨建ての財務諸表は連結財務諸表作成の際に円貨に換算するため、為替の変動により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人材確保・育成に関するリスク
当社グループが継続的に事業を発展させるためには、様々な専門性を有した人材を継続的に確保し、育成していくことが重要となります。しかし、必要な人材の確保・育成が遅れたり、人材が流出することがあった場合には、会社全体の組織力低下に繋がり、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(8) 環境規制に関するリスク
当社グループは、製品中の有害物質、産業廃棄物の処分、水質・大気・土壌汚染防止など、様々な環境法令の規制を受けています。これらの法令を遵守し、事業を推進していますが、今後さらに環境規制が強化された場合、それらに対応するための費用が発生し、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(9) 販売価格に関するリスク
当社グループは、多様な分野の企業を顧客とするエレクトロニクス業界に事業展開しているため、多くの製品は他社製品と競合し価格競争に直面しています。海外生産の拡大や使用部材のグローバルな調達、自動化設備の導入等により製造コストの削減に取り組んでいますが、競合他社との価格競争が更に激化した場合には、販売価格の下落等により、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(10) 仕入価格に関するリスク
当社グループは、生産に必要な多くの原材料を仕入れているため、仕入価格の上昇は製造コストの増加につながります。仕入価格の上昇を吸収するため、継続的に海外生産の拡大や使用部材のグローバルな調達、自動化設備の導入等による製造コストダウンや経費削減、販売価格への反映等に取り組んでいますが、過度の仕入価格上昇は、製造コストダウン等の取り組みでは吸収しきれず、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 退職給付会計に関するリスク
当社は退職給付制度の一環として確定給付型年金制度を設けており、基礎率や年金資産の期待運用収益率等の前提条件に基づき退職給付費用や債務を認識し健全な年金制度を維持しています。これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた差異は、一定期間にわたり退職給付費用に含めて償却することとしていますが、金利低下に伴う割引率の低下や、年金資産の運用悪化など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、退職給付費用の増加につながり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 減損会計に関するリスク
当社グループは、固定資産の減損の判定にあたって、製品群を独立したキャッシュ・フローを生み出す管理会計上の最小単位でグルーピングを行い、減損損失の兆候がある場合には各グループ単位で回収可能価額を見積ります。その上で回収不能と判断した固定資産は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し減損損失を計上しています。回収可能価額の算定に使用する将来キャッシュ・フローは、今後の事業計画を基に見積り、正味売却価額は不動産鑑定評価額等から関連する経費等を差し引いた額で見積っていますが、事業環境の悪化等により収益性が事業計画の想定を下回る場合には回収可能価額が低下するため、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、コンプライアンス遵守の周知徹底を目的として「双信電機グループ企業行動指針」を策定し、全社員に配布しています。また、「コンプライアンス委員会」を設置し、コンプライアンス活動により発見した事案等に対応しているほか、不正や法令、定款に違反する行為を発見した際に通報できる「ヘルプライン制度」を設けています。しかし、役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、損害賠償請求やお客様および市場等からの信頼失墜により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、情報セキュリティの品質確保を重要課題の1つと位置付け、社内規程を整備するとともに、情報セキュリティ教育を全社員に定期的に行うなどの施策を実施しています。しかし、コンピュータウイルスの感染や不正アクセス等の事態により、外部へ情報が漏洩する事態が生じた場合には、損害賠償請求やお客様および市場等からの信頼失墜により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15) 訴訟に関するリスク
当社グループは、米国等でフィルムコンデンサの取引価格に関する訴訟の対応を行っています。該当製品の販売実績がないことや、原告らの訴える事実がないことなどを主張していきますが、訴訟の動向によっては、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、競争法に関する違反行為を防止するため、全役職員に対し定期的に教育を行うとともに「競争法順守ハンドブック」を配布するなどの対策を実施しています。
経営者の視点による当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績
当連結会計年度は決算期変更(3月31日から12月31日へ変更)に伴い、9か月決算となっています。そのため前連結会計年度との比較は記載しませんが、2021年4月1日から2021年12月31日までの期間との比較を「前年同期比」として記載しています。
当連結会計年度における国内外経済は、各国のウィズコロナ政策等により回復が継続していますが、ロシアのウクライナ侵攻の長期化等による世界的な資源価格上昇やインフレの影響等により回復速度は鈍化しました。
このような状況のもと、当社グループの主要市場の状況は、パワーエレクトロニクス事業は工作機械、半導体製造装置市場の拡大とともに堅調に推移しました。一方、情報通信事業では高速大容量へ対応した新規格Wi-Fiや第5世代移動通信システム(以下、「5G」)などの市場は引き続き拡大したものの、リチウムイオン電池市場や車載市場は世界経済の減速による需要低迷や半導体不足による影響等で落ち込みました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高95億3百万円(前年同期比7.2%増加)、営業利益4億11百万円(前年同期比55.2%減少)、経常利益5億12百万円(前年同期比46.6%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益35百万円(前年同期比95.9%減少)となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。
〔パワーエレクトロニクス事業〕
当セグメントの売上高は48億17百万円(前年同期比31.3%増加)となりました。
ノイズフィルタは、半導体製造装置向けの増加やロボットニーズの拡大、設備自動化需要に対する工作機械向けの伸張等により売上高が増加しました。また、電磁波ノイズ測定やフィルムコンデンサも増加し、セグメント全体で売上高は増加しました。
営業利益は、売上高の増加による利益の増加があったものの、原材料やエネルギー価格の上昇に加え為替の円安影響に伴う輸入品のコスト増などにより84百万円(前年同期比55.2%減少)となりました。
〔情報通信事業〕
当セグメントの売上高は48億37百万円(前年同期比9.1%減少)となりました。
積層誘電体フィルタは、顧客の一部半導体不足による納期調整があったものの新規格Wi-Fi向け製品等の需要増加や為替の円安効果により売上高が増加しましたが、厚膜印刷基板はリチウムイオン電池に搭載されるヒューズ向けが世界経済の減速による需要低迷や半導体不足による影響等で減少し、セグメント全体で売上高が減少しました。
営業利益は、為替の円安効果による利益の増加があったものの、売上高の減少に加え増産投資に伴う立ち上げ費用や減価償却費の増加等により2億86百万円(前年同期比60.6%減少)となりました。
生産・受注および販売の実績は以下のとおりです。
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.金額は販売価格によっています。
3.決算期変更に伴い、当連結会計年度は9ヶ月決算となっていますので、前期比については記載していません。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.決算期変更に伴い、当連結会計年度は9ヶ月決算となっていますので、前期比については記載していません。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.決算期変更に伴い、当連結会計年度は9ヶ月決算となっていますので、前期比については記載していません。
3.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
(2)経営者の視点による財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析
① 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前期末に比べ1億65百万円減少し156億5百万円となりました。
流動資産は売上高の増加に伴い売上債権が3億40百万円、長納期化する原材料の確保等により棚卸資産が4億2百万円、未収税金を主とした流動資産のその他が1億41百万円増加しましたが、増産対応のための設備投資の支払い等で現金及び預金が12億82百万円減少したこと等により、前期末に比べ3億99百万円減少し76億84百万円となりました。固定資産は退職給付に係る資産が2億64百万円減少しましたが、増産対応のための設備投資等により有形固定資産が5億9百万円増加したこと等により、前期末に比べ2億33百万円増加し79億21百万円となりました。
負債は未払金が2億14百万円、未払法人税等が1億87百万円、賞与引当金が1億81百万円減少しましたが、増加要因として原材料価格の高騰の影響等による仕入債務が92百万円、短期借入金が4億94百万円、設備購入代金を主とした流動負債のその他が1億39百万円増加したこと等により、前期末に比べ1億36百万円増加し39億92百万円となりました。
純資産は利益剰余金が1億8百万円減少したことに加え、その他の包括利益累計額が1億93百万円減少したことにより、前期末に比べ3億2百万円減少し116億12百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は、前期末の75.6%から74.4%となり、1株当たり純資産額は、前期末に比べ17円68銭減少し679円08銭となりました。
セグメント別の資産は以下のとおりです。
〔パワーエレクトロニクス事業〕
当セグメントの総資産は、37億1百万円(前期比29.4%の増加)となりました。産業用機械、装置などに使用されるノイズフィルタの売上高の増加による売上債権の増加および受注増加による棚卸資産が増加しました。
〔情報通信事業〕
当セグメントの総資産は、50億3百万円(前期比8.1%の増加)となりました。通信機器に使用される積層誘電体フィルタの受注増加による棚卸資産の増加および増産対応のための製造設備投資による有形固定資産が増加しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、6億68百万円(前期末は19億51百万円)となり、前期末と比べて12億82百万円減少しました。
なお、決算期変更の経過期間である当連結会計年度は2022年4月1日から2022年12月31日までの9か月の変則的な決算となっています。このため、前年同期の数値については記載していません。
また、12月決算の連結子会社について、前連結会計年度は2021年1月1日から2021年12月31日まで(12か月間)の決算数値を連結していましたが、当連結会計年度は2022年4月1日から2022年12月31日まで(9か月間)の決算数値を連結したことにより、2022年1月1日から2022年3月31日までのキャッシュ・フローについて、決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額として27百万円を表示しています。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、7億59百万円の支出となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益2億74百万円の計上等により資金が増加した一方で、棚卸資産、売上債権の増加等により資金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、9億53百万円の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による資金の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3億40百万円の収入となりました。主な要因は、配当金の支払で資金が減少した一方で、短期借入により資金が増加したことによるものです。
③ 資本の財源および資金の流動性に係る情報
資本の財源および資金の流動性について、当社グループの資金需要は製品製造のための原材料の購入、人件費、外注費などの製造費用、営業費用や研究開発費、本社費用などの販売費及び一般管理費および設備投資資金です。
当社グループは、事業運営上必要な運転資金および設備投資資金については自己資金で賄うことを基本方針としつつ、不足分は金融機関からの借入金により調達しています。また、一部はグループ内で資金の効率化を目的としてグループ会社間で融資を行っています。
(3) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しています。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。これらのうち主なものは以下のとおりですが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。
① 棚卸資産の評価
棚卸資産は、取得原価で計上していますが、当連結会計年度末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額を連結貸借対照表価額とし、取得原価との差額を原則として売上原価に認識しています。正味売却価額は、販売実績に基づく価額から販売直接経費を控除するなどして算定しています。市場環境が想定よりも悪化した場合には追加の損失が発生し、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 固定資産の減損損失
有形固定資産、無形固定資産について、独立したキャッシュ・フローを生み出す管理会計上の最小単位でグルーピングを行っており、減損損失の測定のステップに至った場合に、各グループの単位で回収可能価額を見積り、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しています。回収可能価額の算定にあたっては、将来キャッシュ・フローについては社内における将来事業計画を根拠として見積り、正味売却価額については不動産鑑定評価額等から関連する経費等を差し引いた額で見積っています。
事業環境の悪化により、収益性が当初の想定を下回る場合には、回収可能価額が低下することで損失が発生し、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
③ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積って回収可能と判断される将来減算一時差異等について計上しています。将来の課税所得の見積り額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
④ 退職給付債務および退職給付費用の計算
退職給付債務および退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。実際の計算が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合は、退職給付債務および退職給付費用が増額又は減額され、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 引当金の計上
期末日において将来における費用又は損失が発生することが見込まれる場合に、入手可能な情報に基づいて見積りを行い、引当金を計上しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。
該当事項はありません。
当社グループにおける主要な設備は、次のとおりです。
(2022年12月31日現在)
(注) 1.本社管轄資産で双信パワーテック㈱(国内子会社)生産委託製品の製造設備です。
2.本社管轄資産で双信デバイス㈱(国内子会社)生産委託製品の製造設備です。
3.従業員数の[ ]は、臨時従業員数を外書しています。
(2022年12月31日現在)
(注) 1.土地を賃借しています。なお、賃借している土地の面積は[ ]で外書しています。
2.従業員数の[ ]は、臨時従業員数を外書しています。
(2022年12月31日現在)
(注) 1.土地を賃借しています。なお、賃借している土地の面積は[ ]で外書しています。
2.従業員数の[ ]は、臨時従業員数を外書しています。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の権利行使による増加です。
2022年12月31日現在
(注) 1.自己株式1,569株は「個人その他」に15単元および「単元未満株式の状況」に69株含めて記載しています。
2.証券保管振替機構名義1,000株は「その他の法人」に10単元含めて記載しています。
2022年12月31日現在
(注)1. 持株比率は、自己株式(1,569株)を控除して計算しています。
2.「YUANTA SECURITIES CO., LTD-RETAIL ACCOUNT」および「PHILLIP SECURITIES (HONG KONG) LIMITED」の実質保有者は、当社の親会社であるWALSIN TECHNOLOGY CORPORATIONです。
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分決定および業績の定期的な評価、検討を行う対象となっているものです。
当社グループの事業展開は、「パワーエレクトロニクス事業本部」と「情報通信事業本部」の2つの事業本部制の下で「パワーエレクトロニクス事業」と「情報通信事業」の2つを報告セグメントとしています。
「パワーエレクトロニクス事業」の製品は、ノイズフィルタ、プラスチックフィルムコンデンサで構成され、「情報通信事業」の製品は、積層誘電体フィルタ、カプラ、厚膜印刷基板、LCフィルタ、マイカコンデンサ、実装製品で構成されています。