イリソ電子工業株式会社
(注) 1 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均人員(1日8時間換算)であります。
2 臨時従業員には、季節工及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
3 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第56期の期首から適用しており、第56期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
2 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第56期の期首から適用しており、第56期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社(イリソ電子工業株式会社)、連結子会社14社及び非連結子会社2社により構成され、オートモーティブ(車載)機器、デジタル機器、インダストリアル機器向けに、プリント基板接続用の基板対基板コネクタ(BtoBコネクタ) 、FPC基板(Flexible Printed Circuits)やFFCケーブル(Flexible Flat Cable)接続用のFPC/FFCコネクタ、機器間の信号接続用のインターフェイスコネクタといった多極コネクタの製造、開発及び販売を主要な内容とした事業活動をしております。(注)コネクタの種類の説明は次のとおりであります。
当社グループの営む事業内容並びに当社企業集団の当該事業による位置付けは次のとおりであります。
(1) 当社は生産子会社4社(上海意力速電子工業有限公司、IRISO ELECTRONICS PHILIPPINES,INC.、IRISO ELECTRONICS VIETNAM CO.,LTD.、南通意力速電子工業有限公司)に材料の供給を行い、IRISO ELECTRONICS VIETNAM CO.,LTD.は、上海意力速電子工業有限公司より、上海意力速電子工業有限公司は、南通意力速電子工業有限公司より材料の供給を受け、生産子会社4社は当社仕様に基づき多極コネクタを製造し、当社に製品を供給しております。(一部生産子会社より販売子会社及びユーザーに直接販売を行っております。)
(2) 販売子会社7社(IRS(S)PTE.LTD.、IRISO ELECTRONICS(HONG KONG)LIMITED、IRISO U.S.A.,INC.、株式会社イリソコンポーネント、IRISO ELECTRONICS EUROPE GmbH、意力速(上海)貿易有限公司、IRISO ELECTRONICS(THAILAND)
LTD.)は当社及び生産子会社から製品の供給を受け、その販売を行っております。
(3) 当社は、意力速(上海)電子技術研発有限公司に多極コネクタの設計及び設備の研究開発の委託を行っております。
(4) 当社は、有限会社イリソエンジニアリングに成形金型の設計及び製作の委託を行っております。
(5) 当社グループの事業における当社及び主要な会社の位置付け及びセグメントとの関係は、概ね以下のとおりであります。なお、以下の「日本」、「アジア」、「欧州」、「北米」は、セグメントと同一の区分であります。

(注) IRISO ELECTRONICS PHILIPPINES,INC.は、IRS(S)PTE.LTD.の子会社であります。
(注) 1 議決権の所有割合欄の( )内は間接所有割合であります。
2 特定子会社であります。
3 IRISO ELECTRONICS(HONG KONG) LIMITED、IRISO U.S.A., INC.、IRISO ELECTRONICS EUROPE GmbH及び意力速(上海)貿易有限公司は、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合がそれぞれ100分の10を超えております。
主要な損益情報等
4 IRISO ELECTRONICS (THAILAND) LTD. については、持分は100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としております。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人数であります。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均人員(1日8時間換算)であります。
3 臨時従業員には、季節工及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下の通りとなります。
①女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示
(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合については「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであり、出向者を出向元の従業員として集計しております。
2 男性労働者の育児休業取得率については「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものになり、出向者を出向元の従業員として集計しております。
3 労働者の男女の賃金の差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。
4 全労働者には、正規雇用労働者に加え、パートタイマーや有期労働者が含まれ、派遣社員は除かれます。また、出向者は出向元の従業員として集計しております。
5 パートタイマーについては、フルタイム労働者の所定労働時間(8時間/日)をもとに人員数の換算を行っております。
②連結会社の状況
(注) 1 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としております。
2 管理職に占める女性労働者の割合については「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。
3 「―」は海外関係会社にて集計をしていないため、記載を省略していることを示しております。
詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本経営に関する取組 ②方針、戦略 e.賃金体系、昇格・昇給体系の改善」をご参照ください。
下記の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋となるべく、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。
2023年4月には、新たに当社のパーパス(存在意義)として「私たちは、社会やお客様の期待を超える“つなげる”を実現します」という言葉を策定し、当社が製造するコネクタを通して、人と環境にやさしく、様々な機能を容易につなげる未来を創造していくことを、社会に対して実現したいこととして掲げました。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社の事業領域において、車載関連市場では100年に一度と言われる電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及という2つの大きな変化が、またインダストリアル関連市場では自動化・省人化に向けたFA機器・ロボットの増加、次世代移動通信システム「5G(第5世代移動通信システム)」の導入・拡大という変化が起きております。
いずれの市場における変化も当社が培ってきた三次元可動並びに大容量情報伝達等の独自技術による当社コネクタ事業を飛躍的に拡大する好機ととらえ、グローバルでの成長市場への展開を重点戦略として、顧客ニーズを先取りするマーケティング、顧客ニーズに対応した顧客密着型営業体制により、お客様の期待を超える製品開発を目指しております。また、生産・サプライチェーンにおいても、グローバル情報ネットワークを活用し、最適生産拠点の決定、集中購買・複数購買、各生産拠点での材料の現地調達、内製化・合理化を推進し、グローバルでのQCD(品質・コスト・納期)をより一層強化していくことを目指しております。
当社は、以上の市場環境の変化を確実に捉え、2030年までに接続部品業界でグローバルトップ10入りを果たすことで、事業規模の確保とブランドの向上を図り、売上高1,000億円を目標とする長期ビジョンを策定し、グローバルでの新規顧客開拓並びに、海外生産拠点の拡大を推進して参ります。
中期目標として、2020年8月4日に中期経営計画(2020~2022年度)を公表いたしましたが、その後の自動車販売台数の回復やxEV(EV、FCV、PHV、HEV、HV)の急増等、市場が大きく変化していることを踏まえて、2021年5月10日に業績目標の見直しを中心とする「見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)」を策定しました。
①業績目標
当社は、この「見直し中期経営計画期間」の2021~2023年度を、成長軌道への回帰と長期ビジョン達成の基盤を固める3年間と位置付け、2024年3月期に売上高520億円、営業利益率20%の達成を目指す計画を策定しました。
市場別では、販売台数が増加する電動車向けの拡販を加速すると共に、5G等の新たな市場に対して新製品を開発し、車載分野、5G、ロボット分野を伸ばす戦略を取っています。
一方、計画時から市況は、コロナ感染の長期化、ロシア・ウクライナ紛争等大きく変化しており、現時点での進捗状況は、後段の「④見直し中期経営計画の進捗状況(売上高、営業利益率)」に記載しております。
②重点施策
上記の位置付けと業績目標の下、当社は、以下の重点施策に取組んで参ります。
a. 当社が狙う市場セグメント並びに戦略の明確化
・車載市場において伸長するxEV、ADAS等重点領域での拡販強化
・インダストリアル市場のグローバル顧客に対するカバレッジ強化
・顧客、市場の特性に応じた販売チャネルの多様化

b. グローバル営業体制強化
・海外営業体制の強化とグローバル・サポート体制構築
・業界№1スピードでのワンストップ顧客対応
c. 可動(フローティング)(注)を核とした製品開発力の強化
可動(フローティング)テクノロジーの進化による革新的接続を実現すべく、
・業界№1、Only one製品開発
・お客様の付加価値を創造するOnly one製品開発
・新たな市場ニーズに応える新製品の開発と攻勢
により、顧客ニーズを先取りした、先進技術製品を活用したソリューション提案を実施
(注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに
動き、その篏合ずれを吸収するように設計されたコネクタの技術。
d. 品質力、コスト力、生産効率、生産能力の向上
・品質の向上(サプライヤー管理・品質保証体制の充実、クリーンリネスの追求等)
・設計標準化、VE/VAによる材料共通化、再生材料使用等コスト力強化
・設備・金型の標準化、スマートファクトリー等による生産効率・生産能力の向上
e. 経営インフラの強化
・基幹システムの刷新(グローバルITシステムの再構築とBPRの推進)
・ESGの拡充(CO2排出削減、多様な人財活用、レジリエンス経営の強化)
③経営目標
・見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)
※為替レート設定はUSD105円、EUR127円(2022年3月期~2024年3月期)
④見直し中期経営計画の進捗状況(売上高、営業利益率)
世界経済は、新型コロナウイルスによる経済制限の長期化、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等により、グローバルサプライチェーンの混乱、世界的なインフレ等、不透明な状況が継続しました。当社の主力事業領域である自動車市場においても、半導体等の部品不足等の影響も加わり、回復を見込んでいた世界の自動車生産台数は想定より大きく下回り、正常化には至っておりません。そのような環境下ではありますが、売上高は、自動車の電動化の進展による車載関連市場でのパワートレイン分野と中国での設備投資需要に応じたインダストリアル市場の増加、及び為替が円安に推移していることもあり、見直し中期経営計画に対して、2022年3月期までは上回る水準で推移し、2024年3月期も同様の計画としています。一方で営業利益率は、想定していた時点と比較して、操業度の減少、原材料や運送費の価格高騰により、原価低減活動で十分吸収できず、下回る水準となっています。

(3)2024年3月期の重点施策、対処すべき課題
①市場環境
a. 車載市場
当社の主力である車載関連市場においては、半導体などの供給制約の緩和により生産活動は正常化へと向かうものの、グローバルでの生産台数は各国の景気減速を受けて前期比微増に留まると見込んでいます。一方でxEVは世界的な脱炭素の動きによる推進効果や各自動車メーカーの取り組みにより成長を見込んでいます。
b. コンシューマー市場、インダストリアル市場
巣籠り需要の終了による反動や中国での設備投資需要の一服感から上期を中心に調整局面が続くと見込んでいます。
②2024年3月期の重点施策
このような不透明な環境下ではありますが、xEV市場の成長を捉え売上拡大に努めて参ります。利益面では、自動車生産台数減、原材料費等の高騰影響等により、中期経営計画を下回る状況となりますが、以下の5つの施策を継続して注力して参ります。
・収益構造改善プロジェクトの刈り取り
・戦略製品のラインナップ強化
・営業力の強化
・生産能力拡大、BCPの強化
・新ERPシステムの円滑な立ち上げ
③2024年3月期の見通し
連結売上高550億円(対前期比4.0%増)、連結営業利益77億円(対前期比10.9%増)、連結経常利益75億5千万円(対前期比1.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益 57億円(対前期比2.9%増)を見込んでおります。為替レートは、130円/ドル、140円/ユーロ、19.5円/人民元を前提としております。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のような事項があると考えております。また、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、これらのリスクを認識し、リスク管理体制を整備した上で、リスクの未然回避及びリスク発生時の影響を最小限に抑えられるように努めております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループは、主に自動車向け電装品メーカー、AV音響メーカー及び各種エレクトロニクス製品を製造するメーカーに対して、電子部品を供給することを主たる事業としております。
連結売上高の過半数を車載関連市場向けが占めており、自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品の需要動向は、いずれも世界の経済情勢に大きく影響を受けます。そのために、想定外の世界経済の悪化や自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品市場の急激な変化によって当社グループ製品の需要が大幅に落ち込んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、売上高の第2の柱とすべくFA機器や通信機器等の非車載関連市場への販売強化を行っております。
当社グループは、電子部品の製造及び販売を世界各地に展開しており、当社と海外子会社並びに海外子会社間の取引は、米国ドル建て、ユーロ建て及びタイバーツ建てにて行っております。2023年3月期の連結売上高に占める海外売上高の割合は81.0%ですが、一方、海外生産比率も約87.2%となっております。
当社グループは、円高または円安が急激かつ長期に及んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、為替相場の変動リスクを軽減させるために、地産地消の推進、為替ヘッジ等の対策を講じております。
当社グループは、グローバルな事業展開を積極的に推進しており、生産及び販売活動の多くを米国や欧州並びに中国その他アジア諸国にて展開しております。これらの海外市場への事業進出には、1)予期しない法律・環境等の規制又は税制の変更、2)不利な政治又は経済要因の発生、3)輸送遅延や電力停止などの社会インフラの未整備による混乱、4)政治変動、テロ行為、戦争、感染症の流行及びその他の社会的混乱等のリスクが常に内在されております。これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、海外展開にあたっては販売拠点、生産拠点ともにリスクを慎重に検討し、評価した上で判断しております。
当社グループは、茨城工場、フィリピン生産子会社及びベトナム生産子会社での複数拠点生産品を除いて、中国の上海生産子会社に生産が集中しております。何らかの原因でそれら生産拠点での操業が不可能になる不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、2016年9月に南通生産子会社を設立し、量産拠点の再構築を図っております。また、2025年稼動を目指して日本での第2量産拠点となる秋田に新工場を建設し、生産拠点の分散、地産地消、BCP対応を強化します。
当社グループが属している電子部品業界は、国内外において大手から中小まで様々な規模の同業者が存在する極めて競合色の強い業界であり、業界における価格競争は激化しております。販売価格の引下げ競争に巻き込まれた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、継続的な先行開発により「可動(フローティング)BtoBコネクタ(注)」等の独自技術の蓄積と新製品・新技術の開発を進め、顧客のTCO(Total Cost of Ownership)削減に貢献する製品の提案を行い、顧客価値の創造に取り組んでおります。
(注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに可動
し、その篏合ずれを吸収するように設計したコネクタ。
当社グループは、国際標準規格である品質マネジメントシステムにより全ての製品を製造し、製品の欠陥、リコール等の発生を最小にする生産体制を取っており、製造物責任賠償に対する保険にも加入しております。しかし、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、車載を中心にお客様から高い信頼性を求められてきたノウハウを活かし、開発段階から出荷に至る全ての段階において細心の注意を払っております。
当社グループの展開する市場では、技術革新とコスト競争について厳しい要求があり、新規製品を継続的に投入していく必要があります。技術の急速な進歩や顧客ニーズの変化により期待通りに新製品開発が進まない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、十分なマーケティング活動を行い、市場ニーズを的確に把握し、新技術や新製品開発、生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資を行っております。当社グループは、継続して新製品を開発できるものと考えております。
当社グループは、全ての主要原材料と一部部品の供給を外部業者に依存しております。これら外部業者とは安定供給のための協力関係を築いておりますが、需要の急激な変動に伴う供給不足や供給先からの供給遅延が起こった場合には、顧客への供給が不可能になる事や納期遅延を誘発する事により競争力を失うことがあります。また、原材料等の市場における需給関係の変化等により市況価格が急激に高騰した場合は、当社グループ製品の原価上昇を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、原材料及び部品の市況の変化に対して、当社グループにおける内製化、グローバル調達による現地調達の推進等の原価低減に努めております。
当社グループは、想定を超える大規模な災害が発生した場合は、停電又はその他事業運営の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はなく、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、地震を含めた防災対策を徹底しており、火災や風水害等による事故や災害による損害を防止するため、設備の点検、安全装置・消火設備の充実、各種の安全活動等を継続的に行っております。
当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律的手続の対象となるリスクがあります。とりわけ、技術革新の激しい電子部品業界においては、知的財産権は重要な経営資源の一つであります。独自開発した技術等に関する特許申請、意匠登録等に基づき当社グループが保有する知的財産権が、第三者によって侵害や模倣された場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償請求を受けた場合は、生産・販売活動が制約を受けることや損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、特許権を含む知的財産権の管理と運営については、技術本部技術部技術管理課にて一元管理を行い、開発者や設計者と技術管理課の知的財産権担当者との間での情報共有及び知的財産権に関する問題提起やその解決について適宜対応がとれる体制を取っております。
(11) 人材獲得に係るリスクについて
当社グループは、技術的変化及び競争関係が激しい電子部品業界に属しており、また海外売上高比率や生産に占める海外比率も高いため、多様な専門技術に精通した人材、グローバルでの経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。専門性の高い優秀な人材は限られていることから、優秀な人材を確保できない場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、事業の継続的発展のために、国内に加え海外でも採用を積極的に展開しております。
(12) 情報セキュリティに係るリスクについて
当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、営業上・技術上の機密情報も保有しております。
予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当社グループでは、機密情報の管理方法を万全とするために「情報セキュリティ規程」の制定と情報セキュリティ委員会の設置を行い、機密情報管理体制の確立・徹底に努めております。また、役員及び従業員の情報セキュリティ意識の向上を目的に、eラーニング等の教育を定期的に実施しております。
なお、2018年5月施行のGDPR(EU一般データ保護規則)については、グローバルで該当個人情報の保護対策を強化しております。
(13) 新型コロナウイルスなどの感染症の世界的流行に係るリスクについて
新型コロナウイルスの世界的流行に対しては、2020年3月に本社内に社長及び執行役員を中心に構成した対策チームを発足し、また、各国や自治体による感染拡大防止政策に則り、従業員出勤時の体温測定、体調確認、マスク着用を徹底し、リモート会議、時差通勤、在宅勤務の推進などにより感染拡大防止に向けた取り組みを行っております。
今後も感染症の世界的流行に関して、感染状況や各国の政策により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。生産活動については仮にロックダウン措置で稼動停止になった場合でも影響を最小限にすべく、BCP対応の見直しを2021年2月から行っており、在庫の増量、流動製品のスペア設備配置による生産設備のリードタイム短縮、流動製品の生産体制変更によるマルチ生産化の3つの取り組みを実施して参ります。
また、不測の事態が生じた場合の経営と雇用の安定化及び中長期での成長投資に備えて手許資金を確保すべく、グループ内における資金管理の最適化にも努めて参ります。具体的には、グループ会社間における資金の最適な配分や設備投資の延期による支出の抑制などを実施して参ります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、地域により新型コロナウイルスによる制限からの経済活動正常化の動きが進んだ一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレや金融引き締めなど、不透明な状況が継続しました。
当社グループの主要事業領域である自動車の生産・販売は、半導体等の部品不足が穏やかに解消することにより回復傾向にはありますが、中国のコロナ政策転換による生産活動の停滞などの要因も加わり、未だ正常化には至りませんでした。
このような不透明な事業環境ではありますが、当社グループは、電動化関連におけるパワートレイン分野の販売拡大と為替が円安で推移したことにより、連結会計年度での最高売上高を更新しました。主力である車載市場の売上高は、第1四半期における中国でのロックダウンによる影響や、半導体等の供給制約の影響を受けたものの、前期比22.0%増となりました。特にパワートレイン分野では、xEV(EV、FCHV、PHV、HEV)の台数増加や当社独自のパワートレイン機器向け耐振ソリューションサービスによる受注拡大により、売上高は前期比で84.2%増加し、増収の牽引役となりました。コンシューマー市場では、ゲーム機向けが増加し増収となりました。インダストリアル市場は、第3四半期から中国向けでの設備需要の調整があったものの、上期にFA関連機器向けが増加したことにより、増収となりました。以上の結果、売上高は、前期比20.6%増の529億3百万円となりました。
利益面では、第1四半期での中国でのロックダウンに伴う上海生産子会社の稼働停止の影響、原材料価格の高騰等の要因がある一方で、第2四半期からの売上高の回復、収益構造改善の取り組み、原価低減の推進により、営業利益は前期比53.5%増の69億4千万円、経常利益は前期比58.3%増の76億6千1百万円、親会社株主に帰属する純利益は前期比41.6%増で過去最高の55億4千1百万円となりました。
なお、第1四半期のロックダウンに伴う上海生産子会社の稼働停止の影響を、特別損失として3億6千4百万円計上しました。
セグメントの業績を示すと次のとおりであります。
国内においては、車載市場でxEVの需要増加によるパワートレイン分野の増加があったものの、半導体等の供給不足等で自動車の生産調整があったため、売上高は前期比7.4%減の100億3千5百万円となりました。営業利益は5.3%増の37億6百万円となりました。
アジア地域においては、半導体等の供給不足や第1四半期における中国のロックダウンの影響で自動車生産の落ち込みがあったものの中国における車載市場でのxEVの需要増加によりパワートレイン分野が大幅に増加したこととコンシューマー市場が堅調であったことに加え、為替が円安に推移した結果、売上高は前期比38.3%増の281億8千5百万円となりました。営業利益は50.8%増の43億2百万円となりました。
欧州地域においては、車載市場でインフォテイメント分野やパワートレイン分野を中心に増加したことと為替が円安に推移した結果、売上高は前期比16.7%増の83億7千7百万円となりました。営業利益は160.1%増の6億1千2百万円となりました。
北米地域においては、車載市場で半導体等の供給不足等の影響があったものの、為替が円安に推移した結果、売上高は前期比15.4%増の63億4百万円、営業利益は3千7百万円(前期は営業損失6千2百万円)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(2022年3月末)に比べ、93億3千8百万円増加し、824億9千1百万円となりました。流動資産は、現金及び預金45億7千4百万円の増加、受取手形、売掛金及び契約資産10億6千7百万円の増加、商品及び製品4億1千1百万円の増加等により57億5千8百万円増加し461億9千4百万円となりました。固定資産は、建設仮勘定20億8千2百万円の増加、ソフトウエア仮勘定12億8千万円の増加等により35億8千万円増加し362億9千7百万円となりました。。
負債は、前連結会計年度末に比べ30億9千5百万円増加し、144億7千2百万円となりました。流動負債は、未払金7億9千5百万円の増加、短期借入金3億2千1百万円の増加、1年内返済予定の長期借入金2億8千5百万円の増加等により14億2百万円増加し112億9千2百万円となりました。固定負債は、長期借入金14億7千6百万円の増加等により16億9千3百万円増加し31億7千9百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加55億4千1百万円、配当による減少14億2千万円、為替換算調整勘定の増加19億6千6百万円等により前連結会計年度に比べ、62億4千2百万円増加し、680億1千9百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により116億1千3百万円増加し、投資活動により81億7千9百万円減少し、財務活動により5億1千6百万円増加した結果、前連結会計年度末に比べ45億7千4百万円増加し、186億4千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動では、税金等調整前当期純利益70億3千4百万円、減価償却費61億6千8百万円に伴う資金の増加から、法人税等の支払額11億5千3百万円に伴う資金の減少を差し引き、資金の増加額は116億1千3百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動では、有形固定資産及び無形固定資産の取得84億2千7百万円の支出等により、資金の減少額は81億7千9百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動では、長期借入による収入20億円、配当金の支払額14億2千万円等により、資金の増加額は5億1千6百万円となりました。
翌連結会計年度については、コネクタ生産設備等を中心に100億円の資本的支出を計画しており、その資金の調達源については、自己資金を想定しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は生産出荷高によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りや仮定について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りや仮定と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2021年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、売上高、営業利益、営業利益率、親会社株主に帰属する当期純利益、総資産、自己資本比率、設備投資額、研究開発費、EPS、ROEについて目標を設定しております。なお、本中期経営計画に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」にも記載しております。
中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)における指標
該当事項はありません。
(注) 1 投下資本の金額は有形固定資産の帳簿価額であり建設仮勘定を含んでおりません。
2 出向派遣者35名は従業員数に含んでおりません。
3 現在休止中の設備はありません。
(注) 1 投下資本金額は有形固定資産の帳簿価額であり建設仮勘定を含んでおりません。
(注) 1 投下資本の金額は有形固定資産の帳簿価額であり建設仮勘定を含んでおりません。
2 従業員数( )内は出向受入者で、内数であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 2017年9月1日付で実施した、普通株式1株につき2株の割合の株式分割によるものであります。
(注) 自己株式910,320株は「個人その他」に9,103単元及び「単元未満株式の状況」に20株を含めて記載しております。
2023年3月31日現在
(注)1 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 5,359千株
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 2,587千株
2 2023年1月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、シュローダー・インベストメン
ト・マネジメント株式会社及び共同保有者1名が2022年12月30日現在で以下の株式を保有している旨が記
載されておりますが、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上
記大株主の状況には含めておりません。
なお、その大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。
3 2022年11月22日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、アセットマネジメントOne株式会社
及び共同保有者2名が2022年11月15日現在で以下の株式を保有している旨が記載されておりますが、当社
として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めて
おりません。
なお、その変更報告書の内容は以下のとおりであります。
4 2022年4月22日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、フィデリティ投信株式会社
が2022年4月15日現在で以下の株式を保有している旨が記載されておりますが、当社として2023年3
月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その変更報告書の内容は以下のとおりであります。
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、電子部品を生産・販売しており、国内においては当社のほか1社が、海外においてはアジア(中国、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム)・欧州(ドイツ)・北米(アメリカ、メキシコ)の各地域をそれぞれ独立した現地法人が担当しております。現地法人はそれぞれ独立した経営単位であり、取り扱う製品について各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社は生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「アジア」、「欧州」、「北米」の4つを報告セグメントとしております。