河西工業株式会社
(注) 1 従業員数は、就業人員で表示しており、臨時従業員数は[ ]内に各連結会計年度の平均人員を外数で記載しております。
2 第89期における親会社株主に帰属する当期純損失(△)の大幅な増加は、海外子会社において減損損失等を計上したことによるものであり、第90期における親会社株主に帰属する当期純損失(△)の大幅な増加は、新型コロナウイルス感染症の影響により得意先の稼働停止等による売上高の大幅な減少、連結子会社における減損損失の計上、また、当社及び連結子会社において事業構造改善費用を計上したことによるものであり、第91期における親会社株主に帰属する当期純損失(△)の増加は、連結子会社における減損損失の計上と当社及び連結子会社において事業整理損を計上したことによるものであります。また、92期の親会社株主に帰属する当期純損失(△)の減少は、前連結会計年度で計上した事業整理損を当連結会計年度では計上していないこと、連結子会社において収益性の低下に伴う減損損失が大幅に減少したことによるものであります。
3 第89期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。また、第90期、第91期及び第92期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4 米国会計基準を適用している在外連結子会社において、ASC第606号「顧客との契約から生じる収益」を、第89期の期首より適用しております。
5 国際財務報告基準を適用している在外連結子会社は、第89期の期首より、国際財務報告基準第16号「リース」を適用しております。
6 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を第91期の期首から適用しており、第91期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
7 米国会計基準を採用している在外連結子会社は、第92期の期首より、ASC第842号「リース」を適用しております。
(注) 1 従業員数は、就業人員数を表示しており、臨時従業員数は[ ]内に各事業年度の平均人員を外数で記載しております。
2 第89期における当期純損失(△)の大幅な増加は、海外子会社にかかる関係会社出資金評価損及び貸倒引当金繰入等を計上したことによるものであり、第90期における当期純損失(△)の大幅な増加は、海外子会社にかかる関係会社出資金評価損の計上や当社において事業構造改善費用等を計上したことによるものであり、第91期における当期純損失(△)の大幅な増加は、子会社株式評価損を計上したことによるものであります。また、92期における当期純損失(△)の減少は、受取配当金等の増加によるものであります。
3 第89期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。また、第90期、第91期及び第92期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4 第92期の自己資本利益率については、債務超過であるため記載しておりません。
5 第89期の配当性向については当期純損失であるため記載しておりません。また、第90期、第91期及び第92期の配当性向については、当期純損失であり、かつ、無配であるため記載しておりません。
6 第90期における従業員数の減少については、早期退職優遇制度の特別募集を実施したことによるものであります。
7 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
8 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を第91期の期首から適用しており、第91期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループは、当連結会計年度末現在、当社、子会社18社、関連会社7社で構成され、自動車内装部品の製造販売を主な事業内容としております。
当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであり、セグメントと同一の区分であります。
(日本)
日本においては、子会社である河西工業ジャパン㈱は当社からの部品等の支給を受けて製造しており、そのほとんどを当社を通して得意先に納入しております。エスケイ工業㈱は自動車用天井素材の製造を行う関連会社であります。東北KAT㈱は自動車内装部品の製造、販売を行う当社の関連会社であります。河西テクノ㈱は自動車内装部品設計開発子会社であり、河西サポートサービス㈱はグループ各社のための保険代理業や業務請負等を行っております。
(北米)
北米においては、米国のKASAI NORTH AMERICA, INC.は自動車内装部品を製造し、NISSAN NORTH AMERICA, INC.、Honda of America Mfg.,Inc.、Honda Canada Inc.、Honda Manufacturing of Alabama, LLC、Honda Manufacturing of Indiana, LLC、Subaru of Indiana Automotive, Inc.、Toyota Motor Manufacturing, Indiana, Inc.、Toyota Motor Manufacturing, Mississippi, Inc.、Volkswagen Group of America Chattanooga Operations, LLC、General Motors Corporation等向けに販売しております。メキシコのKASAI MEXICANA S.A. DE C.V.は、NISSAN MEXICANA,S.A. de C.V.、Cooperation Manufacturing Plant Aguascalientes、Honda de Mexico S.A. de C.V.、Mazda de Mexico Vehicle Operation S.A. de C.V.、Toyota Motor Manufacturing, Indiana, Inc.、Toyota Motor Manufacturing, Mississippi, Inc.等向けに製造販売しております。
(欧州)
欧州においては、英国のKASAI UK LTDは、NISSAN MOTOR MANUFACTURING (UK) LTD.、Honda of the U.K. Manufacturing Ltd.及びJAGUAR LAND ROVER AUTOMOTIVE PLC向けに製造販売しております。インドのKASAI INDIA(CHENNAI)PRIVATE LTD.は、Renault Nissan AutomotiveIndia Private Limited向けに製造販売をしております。ドイツのKASAI (GERMANY) GmbHは、VOLKSWAGEN AG、DAIMLER AG、BMW AG向けに製造販売しております。モロッコのKASAIKOGYO MOROCCO SARL AUは、Renault Nissan AutomotiveIndia Private Limited向けに販売をしております。スロバキアのKASAI SLOVAKIA s.r.o.は2021年11月30日付けで解散しております。なお、当連結会計年度末において、清算が結了していないため、連結の範囲に含めております。
(アジア)
アジアにおいては、中国の広州河西汽車内飾件㈲は、東風日産乗用車公司、本田汽車用品(広東)㈲等向けに製造販売しており、広州艾司克汽車内飾㈲は、自動車用天井素材の製造から製品の組立てまで一貫生産しております。開封河西汽車飾件㈲は、同国において自動車内装部品の製造を行っております。また、東風河西(大連)汽車飾件系統㈲は、東風日産大連工場向けに製造販売しております。東風河西(武漢)頂飾系統㈲は、東風本田汽車有限公司向けに製造販売しております。武漢河達汽車飾件㈲は、同国において自動車内装部品の製造販売拠点であります。東風河西(襄陽)汽車飾件系統㈲は、東風日産襄陽工場向けに製造販売している当社の関連会社であります。広東河澤汽車飾件㈲は、自動車内装加飾部品を製造販売する当社の関連会社であります。台湾の穎西工業股份㈲は、台湾裕隆汽車製造股份㈲等向けに製造販売している当社の関連会社であります。タイのKASAI TECK SEE CO.,LTD.は、当社及びHonda Automobile (Thailand) Co.,Ltd.及びNissan Motor (Thailand) Co.,Ltd.等向けに製造販売をしております。インドネシアのPT. KASAI TECK SEE INDONESIAは、PT. Mitsubishi Motors Krama Yudha Indonesia、PT. Honda Prospect Motor等向けに製造販売しております。マレーシアのKASAI TECK SEE (MALAYSIA) SDN. BHD.は、自動車内装部品の製造を行う当社の関連会社であります。
事業系統図は次のとおりであります。

(注) 1 ◎ は連結子会社、○ は持分法適用関連会社、□ は非連結子会社の関連会社を示しております。
2 連結の範囲に含めております特別目的会社1社は、上記の表に含めておりません。
3 KASAI SLOVAKIA s.r.o.は、清算手続き中であります。
(注) 1 特定子会社に該当いたします。
2 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
3 債務超過会社であり、2023年3月末時点で債務超過額は545百万円であります。
4 KASAI NORTH AMERICA, INC. は売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)が連結売上高の10%を超えております。
「主要な損益情報等」は次のとおりであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員数(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む)であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2 臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
3 日本セグメントにおいて、前連結会計年度末に比べ従業員数が204名減少しておりますが、主として河西工業ジャパン㈱における経営の合理化、および採用の抑制等の結果によるものであります。
4 欧州セグメントにおいて、前連結会計年度末に比べ従業員数が85名減少しておりますが、主としてKASAI UK LTDにおける経営の合理化によるものであります。
5 アジアセグメントにおいて、前連結会計年度末に比べ従業員数が175名減少しております。これは主として、得意先における中国国内の拠点間での生産配分変更に伴い、開封河西汽車飾件㈲が生産する製品が減少したことにより従業員を削減したためであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員数(当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む)であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2 臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4 前連結会計年度末に比べ従業員数が106名減少しておりますが、主として河西工業ジャパン㈱へ出向及び転籍したことによるものであります。
当社グループの労働組合(組合員数 1,304名)は、全日産・一般業種労働組合連合会を上部団体として、全日本自動車産業労働組合総連合会を通して日本労働組合総連合会に加盟しております。
なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。
①女性の活躍推進
多様化する顧客ニーズに対応するために、当社グループは女性活躍推進を積極的に行っており、多数の女性が様々な場で重要な役割を担って活躍しています。今後さらにこれを加速するため、能力ある女性を積極的に管理職に登用し、当社では2026年3月期までに女性管理職比率を9%に向上させることを目標として掲げています。
(女性管理職比率の状況推移)
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 当社、および連結子会社のうち、常時雇用する労働者が101名以上の国内子会社を記載しております。
3 河西工業ジャパン㈱では、2026年3月期までに女性管理職比率を3%に向上させることを目標としております。
②男性社員による育児目的休暇の取得
積極的に子育てをしたいという男性の希望を実現し、女性側に偏りがちな育児や家事の負担を夫婦で分かち合うことで、出産意欲や継続就業の促進をおこない、企業全体の働き方改革を目指します。そのため、当社では男性の育児休業取得率を2026年3月期までに50.0%へ引き上げることを目標としています。
(男女別育児休業取得率の推移)
(注) 1 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
2 当社、および連結子会社のうち、常時雇用する労働者が101名以上の国内子会社を記載しております。
3 河西工業ジャパン㈱では、有価証券報告書提出日現在において目標値を設定しておりません。
③男女間賃金の差異
女性活躍推進の指標の一つである男女間の平均賃金差異は下記のとおりとなっておりますが、これは人事制度・賃金体系の違いによるものでなく、職位・等級別在籍数、平均年齢等総合的な労務構成の違いにより平均賃金差異が生じているものです。
当社グループの人事制度・賃金体系は、性別に関係なく、個人の仕事における責任と能力により平等・公正
な処遇をおこなうことを理念としており、女性活躍推進の取り組みにより、女性の採用と定着率向上施策の推進、女性管理職比率向上をはかることで、男女間の賃金差異の縮小に努めて参ります。
(男女の賃金の差異・・・男性の賃金に対する女性の賃金の割合)
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 当社、および連結子会社のうち、常時雇用する労働者が101名以上の国内子会社を記載しております。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、次の社訓、経営理念、経営方針及び行動指針を経営の基本方針として掲げ、企業活動を行っております。
<社訓>
1.社会の信用を "Gain Trust from Society"
2.企業の繁栄を "Seek Prosperity for Company"
3.相互の幸福を "Share Happiness with Everybody"
<経営理念>
当社グループは、誠意と新しい技術の創造によって、価値ある商品、サービスをグローバルに提供し、顧客・株主・従業員をはじめ、全ての関わる人々の幸福を実現します。
<経営方針>
当社グループは、業界トップクラスの「コスト競争力・品質水準・技術水準」を基盤として、グローバルで自動車内外装部品の専門メーカーとしての地位を確立するために以下の3点を基本方針としております。
1. 継続してお客様に満足される最高水準の品質を提供する
2. 常に自動車部品業界をリードする先進技術を生みだし、商品化に繋げる
3. 永続して高収益を出せる強靭な体質を構築する
<行動指針>
-Act with Ownership!-
自ら考え 自ら行動
最後までやり抜く
より速く、より早く 結果で示す
当社は、2022年2月24日に公表した2022年度から2024年度の3か年を対象とする中期経営計画「Athletes Kasai 24+」に基づき企業価値の向上を目指してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や半導体供給不足等の影響に伴う主要販売先OEMの減産や生産の不安定化等の外部環境の変化により当該中期経営計画は達成が困難となっていることを踏まえ、近時の経営環境の変化に迅速に対応し、外部環境の実態に即した事業戦略のもとに当社の総力を最大限にすべく、新たな中長期的な経営戦略を現在策定中であります。
<企業構造>
当社グループは、自動車分野を事業領域と位置づけ、研究開発・生産技術開発・営業活動を担っている当社を中心に、世界各国において製造・販売を行う各事業会社で構成されております。各事業会社は、それぞれの国において、得意先への納入体制を確立し、自律した形で事業運営を行っております。
<事業を行う市場の状況>
当社グループの事業領域である自動車業界では、企業間の競争が世界規模でますます激しくなっております。また、世界的な半導体の供給不足は自動車業界全体に影響を及ぼしており、各自動車メーカーは稼働調整を行うなど、当社の事業運営にも世界規模で影響しております。
このような経済環境の中、市場の回復は見通しにくい状況にありますが、当社では更なる発展を目指して、経営基盤の強化を進めているところであります。
<主要製品・サービスの内容>
当社の主力事業は、ドアトリム・ルーフトリムをはじめとする自動車内装トリムシステム部品の企画・開発・生産であります。当社は独立系部品メーカーとして、全自動車メーカー(OEM)に対しビジネスの門戸を拡げ、高級ブランド車から軽自動車、商用車に至る幅広い得意先ニーズにお応えするために、企画・開発・設計・実験、そして生産に至る一貫した体制で高品質、低コストの製品づくりを追求しております。
<顧客基盤>
主得意先は、日本の自動車メーカーであります。自動車メーカー各社の海外現地生産に追従し、当社は1986年(昭和61年)の北米を皮切りに、積極的な海外展開を進めてまいりました。近年、飛躍的な成長を遂げている中国やアジア諸国においてもすでに供給体制を構築しており、全世界にネットワークを確立しております。製品の現地開発・生産を進めるとともに、非進出国における現地部品メーカーとの技術援助契約の締結、そしてこれらを統括管理するワールドワイドな経営の確立にも努め、グローバルな競争力強化を図っております。
<競争優位性>
当社は内外装トリムシステムサプライヤーとして、キャビントリム・ラゲッジトリム・防音部品など取扱製品の性能向上に取り組むとともに、車室全体からの視点で、「環境」「安全」「魅力/快適」の3つのテーマで次世代自動車の開発を支える製品・技術開発を進め、未来を先取りする付加価値の高い製品づくりに取り組んでおります。当社は世界各地に生産拠点があり、それぞれの地域や得意先に対応するための開発機能を持っております。製品設計から制作までを一貫して行う開発体制と、お客様にご満足いただける製品を提供するためのグローバルに統一・強化された生産体制で、自動車内外装部品の新しい価値を創造する製品を提供してまいります。
<販売網>
当社グループは高い技術力とともに、最高の品質と価格競争力をもった製品をグローバルに供給するために、国内はもとより、世界12か国に所在する子会社等を通じて販売網を確立しております。
当社グループは、2022年2月24日に公表した2022年度から2024年度の3か年を対象とする中期経営計画「Athletes Kasai 24+」に基づき企業価値の向上を目指してまいりました。しかしながら、前連結会計年度において新型コロナウイルス感染症の感染拡大や半導体供給不足等の影響に伴う、主要販売先OEMの減産や生産の不安定化を受け、売上が減少し固定費を回収することができず、2期連続で営業損失を計上しており、当該中期経営計画は達成が困難となっております。加えて、当連結会計年度においては、国内・欧州での業績は改善するも、北米での原材料や人件費の高騰による業績悪化を受け営業損失147億90百万円を計上しており、また、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり財務制限条項に抵触していること等から、前連結会計年度に引き続き継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
当社グループでは、当該事象又は状況を改善、解消するため、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (11) 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載の対応策に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況等
当社グループの連結売上高は、今日までの積極的な海外展開と得意先の海外生産のシフトにより、その海外売上比率は74.1%と高い水準にあります。したがって、当社グループの自動車関連製品の需要は、進出先の国及び地域の経済状況の影響を受けます。特に北米地域の売上高は46.8%と連結売上高に占める割合が高く、同地域の自動車市場の景気動向と需要変動が、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、北米地域のほか、欧州、アジア地域、を含めたバランスの取れた経営体制を目指してまいります。
(2)グローバル展開
当社グループは、前述のとおり海外売上比率は74.1%と高い水準にあります。そのため、海外生産拠点に予期しない政治・経済の不安定化、法律又は税制の変更、或いはテロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等により事業の遂行に問題が生じる可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの現在の主な販売先は、日産自動車㈱グループと本田技研工業㈱グループであり、当連結会計年度における連結売上高に占める割合は73.6%となっております。当社グループは、両社の自動車販売動向が、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、両グループとの取引関係を維持発展させつつ、販売先の多様化を推進し、安定した事業運営を目指してまいります。
(4)為替レートの変動
当社グループの連結売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度で74.1%(前連結会計年度75.8%)となっており、為替相場の影響を受けやすい状況になっております。当社グループの想定を超えた為替レートの変動が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの想定を超えた為替レートの変動に備え、各地域において現地通貨による取引・決済等を進めてまいります。
(5)製品の欠陥・品質
当社グループは、予期せぬ製品の欠陥や品質面の不備が発生した場合、その欠陥や不備の内容によっては多額のコストが発生したり、当社グループの評価が低下したりすることにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格(IATF16949)を国内・海外拠点において取得し、グローバルで品質保証体制の強化に努めております。このシステムを継続的に実践し、製品品質の安定と向上を図るために、マネジメントシステムの定期的な監査と経営層による診断を実施しております。
(6)原材料等の供給不足・供給価格の高騰
当社グループの事業にとっては、十分な品質の原材料、部品、サービス等を調達することが不可欠であります。しかし、供給業者での不慮の事故、震災などにより供給が中断した場合や不安定となった場合、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定しておりますが、原油価格上昇等により原材料・部品価格が高騰する可能性があり、この場合には当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。
当社グループにおきましては、不測の事態に備え、複数の供給網を構築し、原材料等の供給不足への対策を講じております。
(7)自然災害、新型コロナウイルス感染症等による異常事態
日本各地で発生している大規模地震や台風、米国で発生した大寒波などの自然災害、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック等は、経済活動に大きな影響を及ぼしております。これら異常事態が発生した場合、一時的な操業停止や減産対応、サプライチェーンへの影響による製品部材等の調達遅延や価格高騰、経済活動の停滞による製品やサービスの受注・売上の減少など、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報セキュリティ
当社グループは、製品の開発、生産、販売など、事業活動において情報技術やネットワーク、システムを利用しております。これらの情報技術やネットワーク、システムには安全な対策が施されておりますが、サイバーテロ、不正アクセス、コンピューターウイルスへの感染等により、情報システム障害による業務の停止、重要なデータの喪失、機密情報や個人情報の漏洩などが発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、一般的なセキュリティ対策とされる外部からの不正アクセスを防ぐファイヤーウォールの設置、リアルタイムでのウイルスチェックによる検疫、サーバーやネットワーク回線の冗長化に加えクラウドサービスの利用促進、サイバー攻撃を考慮したバックアップシステムの確立、生産系とOA系のネットワークの論理的分離の対策により不測の事態による業務停止リスク軽減など取引先への影響極小化に向けた各種の対策を講じております。
(9)価格競争
自動車業界の価格競争の激化を受け、自動車メーカーから部品メーカーに対する価格引下げ要請は強まってきております。当社グループの製品は、価格的、品質的、技術的に十分競争力を有していると考えておりますが、価格競争の激化による競合先の低販売価格に対して、販売を維持、拡大し、収益性を保つことができなくなる可能性があります。この場合には、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、ユーザー及び自動車メーカー各社のニーズに積極的に応える新製品・新工法を提供するため、強力に研究開発を進め、競争力確保に努めてまいります。
(10)有利子負債依存度、支払利息の増加
当社グループは、設備投資、システム投資及び研究開発投資等のための資金調達を主に金融機関からの借入金に依存しており、当連結会計年度末現在における連結総資産に占める有利子負債依存度は53.5%であります。今後、借入金利の上昇により支払利息が増加した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、借入金について現在各取引金融機関と協議中であり、資金調達の方法・金額・条件・時期については確定しておりません。
当社グループでは、適切な設備投資計画の策定や資産の効率化を図り、これ以上有利子負債依存度を高めないように取り組んでおります。なお、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、2022年5月26日にシンジケートローン契約及びコミットメントライン契約を締結し、また、2022年9月30日にコミットメントライン契約を締結いたしました。
(11)継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、前連結会計年度において新型コロナウイルス感染症の感染拡大や半導体供給不足等の影響に伴う、主要販売先OEMの減産や生産の不安定化を受け、売上が減少し固定費を回収することができず、2期連続で営業損失を計上しております。当連結会計年度においては、国内・欧州での業績は改善するも、北米での原材料や人件費の高騰による業績悪化を受け営業損失147億90百万円を計上しており、また、後記(追加情報)(財務制限条項)のとおり財務制限条項に抵触していること等から、前連結会計年度に引き続き継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
当社グループでは、当該事象又は状況を改善、解消すべく経営体制の刷新や生産体制の見直し等の対応策を実施してまいりましたが、翌期以降においてもグループの収益力向上及び財務体質の改善・強化を図り、安定した経営基盤を築くために、以下の対応策に取り組んでまいります。
(1) 経営再建策の断行
① 北米拠点では、外部専門家も交えた再建チームを立ち上げて、業績悪化の真因究明、課題に対する具体的な対応策を組み込んだ経営再建策を策定・断行してまいります。また、主要販売先OEMとも協働し、生産現場改善にも取り組んでまいります。
② 欧州拠点では、拠点再編・不採算事業の撤退等も含めた収益改善施策を検討してまいります。
③ 本社拠点では、人員体制の最適化等による人件費抑制策等の施策を継続的に実施してまいります。
(2) 資金繰りについて
① 各取引金融機関には、財務制限条項の抵触を理由とする期限の利益喪失請求等の権利行使を猶予いただくことにご同意頂いております。その後も継続的な支援が得られるように、各取引金融機関とは定期的に協議を行う等により緊密な連携を続けてまいります。
② 保有資産の売却や投資案件の厳選及び抑制等により、事業及び運転資金の安定的な確保に努めてまいります。
③ 財務体質の改善・強化及び運転資本の充実のため、あらゆる資本政策等の可能性についても検討してまいります。
以上の対応策を実施するとともに、今後も引き続き有効と考えられる施策につきましては、積極的に実施してまいります。
現在、各取引金融機関には財務制限条項の抵触を理由とする期限の利益喪失請求等の権利行使を猶予いただくことにご同意頂いていますが、その後の支援継続については現在各取引金融機関と協議中であり、資金調達の方法・金額・条件・時期については確定していないことから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、米銀の経営破綻を契機に金融システム不安が台頭し、米欧景気の先行き不透明感が強まる状況が続いております。米国では金融引き締めが続く中、複数の米銀が経営破綻し、金融環境が悪化しており、景気回復に暗雲が見込まれ経済への悪影響も大きくなることが想定されております。欧州においては、大手金融機関の経営不安が見られ、景気は回復基調ですが先行き不透明感の強まりが懸念されております。中国では、景気が回復、ゼロコロナ解除も受け、サービス消費改善、不動産投資も改善の兆しが見られます。アジアでもゼロコロナ解除により景気は底堅いと見られるものの、輸出依存度が高い地域では世界経済や半導体サイクルを反映し、先行き不透明な状況となっております。
わが国の経済は、インバウンド増加等により景気回復が見られますが、物価高による消費下押し等から景気への影響が懸念されております。
総資産は1,488億25百万円と前連結会計年度末に比べ、58億98百万円の増加(+4.1%)となりました。
負債は1,275億10百万円と前連結会計年度末に比べ、163億80百万円の増加(+14.7%)となりました。
純資産は213億15百万円と前連結会計年度末に比べ、104億82百万円の減少(△33.0%)となりました。
売上高は1,754億69百万円と前連結会計年度に比べ279億94百万円(+19.0%)の増収となりました。営業損失は147億90百万円(前連結会計年度は121億85百万円の営業損失)、経常損失は141億7百万円(前連結会計年度103億56百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は136億59百万円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失190億32百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
売上高は456億18百万円と前連結会計年度に比べ97億62百万円(+27.2%)の増収となり、セグメント利益は12億75百万円と前連結会計年度に比べ31億24百万円の増益となりました。
(北米)
売上高は822億2百万円と前連結会計年度に比べ191億3百万円(+30.3%)の増収となり、セグメント損失は188億70百万円と前連結会計年度に比べ67億7百万円の損失の増加となりました。
(欧州)
売上高は189億82百万円と前連結会計年度に比べ15億5百万円(△7.3%)の減収となり、セグメント損失は11億3百万円と前連結会計年度に比べ13億7百万円の損失の減少となりました。
(アジア)
売上高は286億65百万円と前連結会計年度に比べ6億34百万円(+2.3%)の増収となり、セグメント利益は39億21百万円と前連結会計年度に比べ86百万円の増益となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、306億84百万円(前連結会計年度末比46億41百万円の増加)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費73億2百万円、前受金の増加40億39百万円等による資金の増加があり、一方で、税金等調整前当期純損失117億13百万円、法人税等の支払額36億54百万円等により、△18億96百万円の支出(前連結会計年度は20億70百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入53億56百万円、投資有価証券の売却による収入11億25百万円、有形固定資産の取得による支出34億50百万円等により、27億41百万円の収入(前連結会計年度は36億2百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加92億89百万円、長期借入れによる収入119億17百万円、長期借入金の返済による支出163億51百万円、非支配株主への配当金の支払額15億1百万円、リース債務の返済による支出14億25百万円等により、23億43百万円の収入(前連結会計年度は62億42百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によるものであります。
3 当連結会計年度において、日本セグメントの生産高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症及び半導体供給不足の影響による得意先減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加によるものであります。
4 当連結会計年度において、北米セグメントの生産高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、日本セグメントの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症及び半導体供給不足の影響による得意先減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加によるものであります。
3 当連結会計年度において、北米セグメントの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。
4 当連結会計年度において、アジアセグメントの受注残高に著しい変動がありました。これは中国地域におきまして新型コロナウイルス感染症が再拡大した影響による得意先減産によるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、日本セグメントの販売高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症及び半導体供給不足の影響による得意先減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加によるものであります。
3 当連結会計年度において、北米セグメントの販売高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。
4 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
5 上記の日産自動車株式会社の販売高には、同社の関係会社(NISSAN NORTH AMERICA,INC.、NISSAN MEXICANA S.A. de C.V.、NISSAN MOTOR MANUFACTURING (UK) LTD.、日産車体株式会社、東風日産乗用車公司、鄭州日産汽車有限公司、日産 (中国) 投資有限公司、Nissan Motor (Thailand) Co.,Ltd.、Renault Nissan AutomotiveIndia Private Limitedの9社)向けの販売高を含めております。
6 上記の本田技研工業株式会社の販売高には、同社の子会社(Honda of America Mfg.,Inc.、Honda Canada Inc.、Honda of the U.K. Manufacturing Ltd.、Honda Manufacturing of Alabama,LLC、Honda Manufacturing of Indiana,LLC、Honda de Mexico.S.A.de C.V.、株式会社本田技術研究所、本田汽車用品(広東)有限公司、広汽本田汽車有限公司、東風本田汽車有限公司、Honda Automobile (Thailand) Co.,Ltd.、P.T. Honda Prospect Motorの12社)向けの販売高を含めております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
総資産は1,488億25百万円と前連結会計年度末に比べ、58億98百万円の増加(+4.1%)となりました。この主な要因は、現金及び預金が49億34百万円増加したことによるものであります。
負債は1,275億10百万円と前連結会計年度末に比べ、163億80百万円の増加(+14.7%)となりました。この主な要因は、長期借入金が76億35百万円減少したものの、短期借入金が160億57百万円増加、支払手形及び買掛金が25億18百万円増加、その他が60億32百万円増加したこと等によるものであります。
純資産は213億15百万円と前連結会計年度末に比べ、104億82百万円の減少(△33.0%)となりました。この主な要因は、為替換算調整勘定が27億86百万円増加したものの、利益剰余金が136億59百万円減少したことによるものであります。
(前連結会計年度と当連結会計年度の増減分析)
当連結会計年度の売上高は、日本地域、北米地域、アセアン地域における主要得意先の生産台数の増加に加え円安による為替影響により、1,754億69百万円と前連結会計年度に比べ279億94百万円(19.0%)の増収となりました。営業損失は、急激なインフレ率の上昇による諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料等)の高騰や新規車種立上げ関連費用の増加、為替の影響により、147億90百万円(前連結会計年度は、営業損失121億85百万円)となり、経常損失は141億7百万円(前連結会計年度は、経常損失103億56百万円)となりました。なお、前連結会計年度で計上した事業整理損を当連結会計年度では計上していないこと、連結子会社において収益性の低下に伴う減損損失が大幅に減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は、136億59百万円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失190億32百万円)となりました。
(計画値と実績値の増減分析)
異常なインフレ率の上昇による電力料やガソリン価格の上昇により、家計への負担が増大し、新車購買意欲の低下から、当初想定していた生産台数を下回り、売上高は計画に比べて11,931百万円の減収となりました。営業損失は急激なインフレによる諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料)の高騰により、計画に比べて2,190百万円の減益となりました。経常損失につきましても、計画に比べて1,407百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、法人税の還付によりほぼ計画通りの実績となりました。
(注) 計画値は、2022年11月14日付け「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」にて公表した数値であります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。
(e)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(日本)
主要得意先の生産台数増加により、売上高は456億18百万円と前連結会計年度比97億62百万円の増収(+27.2%)となりました。加えて支出抑制や人員減少等によるコスト圧縮により、セグメント利益は12億75百万円(前連結会計年度はセグメント損失18億49百万円)となりました。
(北米)
主要得意先の生産台数の増加や円安による為替影響により、売上高は822億2百万円と前連結累計会計年度比191億3百万円の増収(+30.3%)となりました。しかしながら、急激なインフレ率の上昇による諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料等)の高騰や新規車種立上げ関連費用の増加、為替の影響により、セグメント損失は188億70百万円(前連結会計年度はセグメント損失121億62百万円)となりました。
(欧州)
部品供給問題による生産台数の減少や、欧州地域の工場の閉鎖並びに拠点解散に伴い売上が減少したため、売上高は189億82百万円と前連結会計年度比15億5百万円の減収(△7.3%)となりました。一方で、採算性の低い工場の閉鎖並びに拠点の解散に伴い費用の抑制が図られセグメント損失は11億3百万円(前連結会計年度はセグメント損失24億11百万円)となりました。
(アジア)
中国では生産台数の減少が継続していますが、アセアン地域の生産台数が回復し、売上高は286億65百万円と前連結会計年度比6億34百万円の増収(+2.3%)となり、セグメント利益は39億21百万円と前連結会計年度比86百万円の増益(+2.3%)となりました。
(a)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(b)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要は、材料費、経費、労務費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規車種の生産準備に係わる金型、生産設備、新工場の増新設及び設備の更新等の投資資金であります。
当社グループは事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としており、これら資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローを主とし、必要に応じて金融機関からの借入等により資金を充当しております。また、国内連結子会社にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入、海外連結子会社についても当社がグループ資金を一元管理することで資金の効率化を図っております。さらに、当社は適時に資金繰り計画を作成・更新し、手元流動性を検証することなどにより流動性のリスクを管理しています。
当連結会計年度におきましては、2022年5月に、新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、安定的な資金調達を実現し当社グループの財務基盤の安定性を高めることを目的に総額303億円のシンジケートローン契約を締結、及び総額30億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。さらに2022年9月には、新たに45億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。このように、急速な外部環境の変化に対応するため手元流動性を高め、緊急時の資金対応に備えております。
なお、当連結会計期間の末日現在においてコミットメントライン契約の未使用枠を合計75億円保持しております。
(c)資金配分について
当社グループ全体として得られた資金は、設備投資、株主還元、手元資金に振り分けております。設備投資については、経営戦略を踏まえた投資意義や投資資金の回収可能性を検討の上、投資の可否を判断しております。また、業績に応じた株主還元を実施することを基本方針としており、配当政策については、継続的かつ安定的な配当の維持を目指しております。手元資金については、適切な事業環境に応じて一定の水準に抑えることでグループ全体の資金効率を高めていくよう努めております。
なお、翌連結会計年度の設備投資予定額につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、半導体供給不足の問題が依然として生じており、今後の半導体供給不足の解消時期等を予測する事は困難であります。このような状況下、当社グループは、会計上の見積りに関する判断については、現時点で入手可能な外部情報等から、翌連結会計年度(2024年3月期)の一定期間にわたり当該影響について、当年度と同様な状況が継続するという仮定に基づき、会計上の見積りを行っております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(シンジケートローン契約及びコミットメントライン契約)
当社は、2022年5月26日開催の取締役会において、総額303億円のシンジケートローン契約及び株式会社りそな銀行を貸付人とした総額30億円のコミットメントライン契約を締結することを決議し、同日締結いたしました。なお、いずれの契約についても2023年3月31日付及び同年6月28日付の変更契約の締結に伴い、返済期日及びコミットメント期日に変更が生じています。
1.本契約締結の目的
新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、安定的な資金調達を実現し当社グループの財務基盤の安定性をより高めることを目的としております。
2.シンジケートローン契約の概要
※1 2022月12月31日付の実行予定額27.4億円、及び2023年3月31日付の実行予定額24.3億円については、財務制限条項に抵触するおそれがあったことから、不実行となっております。
※2 2023年6月28日付の変更契約の締結に伴い、返済期日が2023年9月29日に変更されております。
※3 契約締結時は株式会社三井住友銀行でありましたが、2023年3月27日付であおぞらアセット株式会社に債権譲渡されました。
(11) 財務制限条項
借入人は、本契約締結日以降、借入人が貸付人及びエージェントに対する本契約に基づく全ての債務の履行を完了するまで、以下の各号を遵守することを確約する。
① 2022年5月末日を初回とし、各暦月末日における単体の貸借対照表における現金及び預金(現金同等物を含まない。)の合計額に、借入人の相手方当事者としての金融機関が貸付義務を有するコミットメントライン契約の未使用貸付極度額を加算した金額を20億円以上に維持する。
② 2023年3月期の第2四半期末日及び決算期末日における連結の貸借対照表における純資産の部の金額を2022年3月期比75%以上に維持する。
(注) 本財務制限条項に加えて、当社の現預金残高を一定金額以上に維持する要件があります。
なお、当連結会計年度末において上記財務制限条項②に抵触しておりますが、各取引金融機関から抵触を理由とする権利行使の猶予にご同意頂いております。
3.コミットメントライン契約の概要
※1 2023年6月28日付の変更契約の締結に伴い、コミットメント期日が2023年9月29日に変更されております。
(固定資産の譲渡)
当社の連結子会社である河西サポートサービス株式会社は、2022年8月5日開催の取締役会において、その保有する固定資産の譲渡を決議し、当該決議に基づき、2022年8月5日に譲渡契約を締結いたしました。
1.譲渡の経緯・目的
経営資源の有効活用と財務体質の向上を図るため、譲渡することといたしました。
なお、現在の綾瀬工場の生産工程は、物件明け渡し迄の約2年の間に当社グループの寒川工場等に移管を予定しております。移管が完了するまで、当該土地については譲渡先と使用貸借契約を締結し継続して使用いたします。
2.譲渡資産の内容
3.譲渡先の概要
譲渡先は国内の事業法人であり、譲渡先との機密保持の観点から開示を控えさせていただきますが、譲渡先と当社の間には、資本関係・人的関係・取引関係・関連当事者として特筆すべき事項はありません。
4.連結子会社の概要
5.譲渡の日程
子会社取締役会決議日 2022年8月5日
売買契約締結日及び所有権移転日 2022年8月5日
物件明渡日 2024年7月31日(予定)
(コミットメントライン契約)
当社は、2022年9月30日に株式会社りそな銀行を貸付人とした45億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。なお、2023年3月31日付及び同年6月30日付の変更契約の締結に伴い、コミットメント期日に変更が生じています。
1.本契約締結の目的
新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、安定的な資金調達を実現し当社グループの財務基盤の安定性をより高めることを目的としております。
2.コミットメントライン契約の概要
※1 2023年6月30日付の変更契約の締結に伴い、コミットメント期日が2023年9月29日に変更されております。
(9)財務制限条項
借入人は、本契約締結日以降、借入人が貸付人に対する本契約に基づく全ての債務の履行を完了するまで、以下の各号を遵守することを確約する。
① 2022年10月末日を初回とし、各暦月末日における単体の貸借対照表における現金及び預金(現金同等物を含まない。)の合計額に、借入人の相手方当事者としての金融機関が貸付義務を有するコミットメントライン契約の未使用貸付極度額を加算した金額を20億円以上に維持する。
② 本契約締結日以降の決算期(第2四半期を含む)の末日における連結の貸借対照表における純資産の部の金額を2022年3月期比75%以上に維持する。
なお、当連結会計年度末において上記財務制限条項②に抵触しておりますが、取引金融機関から抵触を理由とする権利行使の猶予にご同意頂いております。
当社グループにおける主要な設備は以下のとおりであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 帳簿価額のうち建物及び構築物、土地に投資不動産が含まれており、その内訳は次のとおりであります。
建物及び構築物 305百万円
土地 131百万円
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数の[ ]は、平均臨時従業員数であり外数であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 2002年6月27日開催の定時株主総会決議における資本準備金減少決議に基づく減少であり、2002年9月1日にその他資本剰余金に振り替えております。
2023年3月31日現在
(注) 1 自己株式663,235株は「個人その他」に6,632単元及び「単元未満株式の状況」に35株含まれております。
2 業績連動型報酬制度導入の際に株式給付信託として設定した、株式会社日本カストディ銀行が所有する当社株式は「金融機関」に1,554単元及び「単元未満株式の状況」に29株含まれております。
3 株式の状況の「その他の法人」の中には、証券保管振替機構名義の株式数50単元が含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 上記の他に当社が自己保有株式として所有している株式が663千株あり、発行済株式総数に対する所有株式数の割合は1.68%であります。
2 (注)1の自己株式には、業績連動型報酬制度導入の際に株式給付信託として設定した、株式会社日本カストディ銀行が所有する当社株式155千株を含んでおりません。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、主に自動車内装部品を生産・販売しており、国内においては当社及び国内関係会社が、海外においては北米(米国、メキシコ)、欧州(主に英国)、アジア(主に中国)の各地域をKASAI NORTH AMERICA, INC.(米国)、KASAI MEXICANA S.A. DE C.V.(メキシコ)、KASAI UK LTD(英国)、広州河西汽車内飾件㈲(中国)及びその他の現地法人が、それぞれ担当しております。現地法人はそれぞれ各地域での製造・販売戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社グループは、生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「北米」、「欧州」、及び「アジア」の4つを報告セグメントとしております。各報告セグメントでは、自動車内装部品の生産・販売が90%以上を占めております。