太平洋工業株式会社
(注) 1 従業員数欄の〔臨時従業員数〕については、平均雇用人員を外数で記載しております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第98期の期首から適用しており、第98期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 従業員数欄の〔臨時従業員数〕については、平均雇用人員を外数で記載しております。
2 最高株価および最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第98期の期首から適用しており、第98期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループは、当社(太平洋工業株式会社)と連結子会社15社、持分法適用関連会社1社により構成されており、その主な事業内容と各社の当該事業に係る位置づけは、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメント情報の区分と同一であります。
(プレス・樹脂製品事業)
当事業においては、軽量化と高剛性を両立させる超ハイテン材の成型技術をもつプレス製品、フィルム加飾技術や防音防振性能制御技術など多彩な製品を提供する樹脂製品およびプレス金型、樹脂金型などの金型製品を製造・販売しております。
[主な関係会社]
国内 … 太平洋産業株式会社、
太平洋精工株式会社[持分法適用会社であるPECホールディングス株式会社の子会社]
海外 … PACIFIC MANUFACTURING OHIO, INC.[米国]、PACIFIC MANUFACTURING TENNESSEE, INC.[米国]、
太平洋汽門工業股份有限公司[台湾]、PACIFIC INDUSTRIES (THAILAND)CO., LTD.[タイ]、
天津太平洋汽車部件有限公司[中国]、長沙太平洋半谷汽車部件有限公司[中国]
(バルブ製品事業)
当事業においては、タイヤバルブ・バルブコア、空調用の各種バルブをはじめとする複数の世界トップシェア製品をもつバルブ関連製品、コンプレッサー関連製品、産業用・レジャー用マイコン制御機器などの電子機器製品ならびに TPMS(タイヤ空気圧監視システム)製品を製造・販売しております。
[主な関係会社]
国内 … 太平洋精工株式会社[持分法適用会社であるPECホールディングス株式会社の子会社]
海外 … PACIFIC MANUFACTURING OHIO, INC.[米国]、SCHRADER-BRIDGEPORT INTERNATIONAL, INC.[米国]、
SCHRADER SAS[フランス]、太平洋汽門工業股份有限公司[台湾]、
PACIFIC INDUSTRIES (THAILAND)CO., LTD.[タイ]、太平洋バルブ工業株式会社[韓国]、
太平洋エアコントロール工業株式会社[韓国]、
太平洋汽車部件科技(常熟)有限公司[中国]、PACIFIC INDUSTRIES EUROPE NV/SA[ベルギー]
(その他)
IoT技術を応用したマルチセンシングロガー「e-WAVES」や牛の体調をモニタリングする「CAPSULE SENSE」などのソフトウェア、QRコードを読むだけで簡単に作業指示書などが閲覧できる「FDSP」などの開発・販売、損害保険の代理業務などを行っております。
[主な関係会社]
国内 … ピーアイシステム株式会社
事業の系統図は、次のとおりであります。

(注)1 ⇒は、製品・部品・役務等の内部取引の流れを示しております。
2 →は、得意先と当社を含む子会社・関連会社との取引の流れを示しております。
(注) 1 「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2 「議決権の所有割合」欄の( )は間接所有割合の内数であります。
3 特定子会社であります。
4 PACIFIC MANUFACTURING OHIO, INC.の売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)については、連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 ①売上高 44,097百万円 ④純資産額 24,511百万円
②経常利益 3,501 ⑤総資産額 33,421
③当期純利益 2,938
(2023年3月31日現在)
(注) 1 従業員数は、就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含むほか、当社グループ雇用の常用パート・臨時社員を含む)であります。
2 従業員数欄の〔外数〕は、臨時従業員(期間従業員、人材派遣会社からの派遣社員等)の年間平均雇用人員であります。
(2023年3月31日現在)
(注) 1 従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含むほか、当社雇用の常用パート・臨時社員を含む)であります。
2 従業員数欄の〔外数〕は、臨時従業員(期間従業員、人材派遣会社からの派遣社員等)の年間平均雇用人員であります。
3 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
当社の労働組合は、太平洋工業労働組合と称し、JAM(Japanese Association of Metal, Machinery, and Manufacturing workers)東海に加盟しており、2023年3月31日現在の組合員数は1,761人であります。
また、一部連結子会社においても、労働組合が組織されておりますが、当社を含めて労使関係は円満に推移しており、現在、組合と会社との間に特記すべき事項はありません。
①提出会社
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、「サステナビリティレポート2022」の開示から計算方法を一部見直し、「管理職」の定義を役職者と資格呼称者の合算としていましたが、役職者のみの計算としております。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。正社員を対象としており、社外への出向者を除いております。また、有期労働者は、嘱託(再雇用者を含む)、アルバイト、期間従業員です。
②連結子会社
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」による公表を行わなければならない子会社はありません。
③連結会社
(注) 提出会社および全ての連結子会社(海外13社、国内2社)を対象としております。連結子会社についても、提出会社と同様の算出基準に基づいております。
(1) 経営の基本方針
当社グループの主力事業分野である自動車産業は、モビリティ社会に向けて100年に一度といわれる大変革期にあります。
当社は、安全・環境・快適性能向上に寄与する新事業・新技術・新製品開発を通じて、社会から信頼され期待される企業として成長を続けていきたいと考えており、ブランドスローガン「思いをこめて、あしたをつくる」を定めていましたが、その意味するところは、「多様な従業員が力を発揮し、新たなる価値を創造する」ことであり、これはまさに「存在意義」でもあると考え、2023年4月に「ブランドスローガン」から「パーパス」へと改めました。
また当社では、新たな価値の創造に挑戦するとともに、持続可能な社会への貢献をめざして、長期ビジョン「PACIFIC GLOCAL VISION」を掲げております。
長期ビジョン「PACIFIC GLOCAL VISION」
1 ステークホルダーに信頼され、地域社会に根ざし、共存・発展できる真のGLOCAL企業
2 持続可能な社会に向けて、コア技術を活かし、新事業・新製品・新技術を提供し続ける企業
3 社員の新しい発想や挑戦を大切にし、仕事と生活の調和が実感できる企業
当社グループは、これからも社会から信頼・期待され、持続的成長を続ける100年企業、そしてさらにその先に向け、企業経営の質の向上を追求するとともに、ステークホルダーの皆様との関係をより良いものにしてまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2023年4月に中長期経営構想としての「Beyond the OCEAN」、そのマイルストーンとしての中期経営計画「NEXUS-26」を発表いたしました。
詳細は、当社WEBサイト(https://www.pacific-ind.co.jp/company/our_way/management_plan/)に記載しております。
中長期経営構想「Beyond the OCEAN」
長期的なトレンドと、モビリティ価値の変容のなかで、当社が生き残っていくためには、「技術×現場力」と「信頼とNo.1シェア」といった当社の強みを徹底的に活かすことが重要となります。そのための鍵は、一人ひとりの従業員が力を発揮して「新しい価値づくり」にチャレンジしていくための「パーパスを実現する人財戦略」です。そのうえで、長期的な基本戦略として、「売上と利益の共成長」「多様な技術による価値創出」「サステナビリティと経営の統合」を掲げ、この4つの注力テーマで、取り組みを進めてまいります。
中長期的な成長の前提として、サステナビリティに関する課題を経営に統合することが重要です。これは、当社と社会・環境のつながりを経営基盤としてとらえ、事業成長との相乗効果を創出するということです。その要となるのが、従業員です。従業員が力を発揮して、技術やデジタルといったツールを駆使することで、「売上と利益の共成長」を実現し、財務価値とともに非財務的な価値を創造してまいります。
事業戦略としては、「多様な技術」を活かし、主力のプレス製品の収益力をさらに高めてまいります。また、バルブ製品と樹脂製品で新市場を果敢に開拓し、資本効率を高めつつ成長をめざしてまいります。さらにモビリティ以外の分野にも果敢に挑戦し、次世代の柱を創造する芽を育ててまいります。
これらは当社のサステナビリティ経営における「マテリアリティ」とも合致いたしております。(マテリアリティについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略」に記載しております。)
経営目標としては、財務的な価値のみでなく、非財務的な価値も踏まえた目標を策定いたしました。
財務価値目標は、資本効率を高め、持続可能な成長を実現するべく、売上高を2026年度 2,100億円とし、その後も持続的な成長をめざしてまいります。また、2026年度の営業利益率を7%以上、ROEを8%以上としましたが、2030年度には、それぞれ10%以上に高めることを目標としております。
非財務価値目標として、製品を通して社会・顧客課題を解決するというマテリアリティも踏まえ、主力事業のモビリティ分野では、2026年度の電動車向け売上比率を50%、2030年度には70%に高めてまいります。新事業では、2026年度までの新規商品・サービス上市件数を15件、2030年度には35件をめざしてまいります。
また、サステナビリティ価値の目標として、従業員が力を発揮し、持続可能な成長を実現するため、従業員エンゲージメントを指標といたしました。2023年度中に第1回の調査に基づいて目標を策定いたします。自然資本では、既に長期目標として、CO2排出量の削減を2030年度に2019年度比50%にすることを掲げておりますが、そのマイルストーンとして、2026年度には30%削減をめざしてまいります。



中期経営計画「NEXUS-26」
「OCEAN-22」の成果としては、事業面では厳しい環境ながら、売上高は着実に成長し2022年度は過去最高となり、利益も2021年度には過去最高を記録しました。また、冷間超ハイテン技術を確立し、電動化に向けた技術開発を進化させるとともに、コア技術を活かして新分野への商品開発も積極的に行い、複数の商品を市場投入できました。
また、サステナビリティ経営にも積極的に取り組み、2020年に「マテリアリティ」を特定し、「PACIFIC環境チャレンジ2050」を発表、カーボンニュートラルの実現に向けた諸施策を推進してきました。人権方針の策定や健康経営の実施など、人的資本についても取り組みを強化しました。さらには情報開示も積極化し、国際的な評価機関から高い評価を得ることができました。
しかしながら、事業面では、利益率および資本効率の向上が課題となっており、これを向上させていくためにも各事業における競争優位性のある技術を融合させ、競争力を高めていくことが重要であると認識しております。また、サステナビリティの取り組みも戦略や事業とさらに統合していく必要があり、新しい時代を切り拓いていくために、多様な人財が活躍でき、人が育っていく企業になることも重要な課題です。
こうした課題を踏まえ、「NEXUS-26」では、まずは「パーパス」として多様な人財が活躍できる企業となる人財戦略を基盤としております。その人財が、当社の強みである多様な技術のポテンシャルを引き出し、既存の顧客基盤の深耕に加え、新市場を開拓していくこと、さらにサステナビリティも踏まえた価値を一体的に創造していくことで、売上と利益の共成長を図っていくというのが、基本的な考え方となります。
なお、財務戦略としては、資本効率を意識しながら、成長投資を果敢に実施し、継続的に株主に還元してまいります。基本的な考え方は以下のとおりです。

(3) 経営環境、中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
当社では、中期経営計画「NEXUS-26」で、以下の4つのテーマを主要課題としてとらえ、取り組みを進めております。
① パーパスを実現する人財戦略
人財戦略は、パーパスである「思いをこめて、あしたをつくる」に込められた、「全ての働く人が、『思い』をもち、活躍できる企業となる」ことをゴールとしております。そのためには、「従業員エンゲージメント」を把握し、高めていくことで、「挑戦できる風土を醸成」していくことが必要となります。「挑戦できる風土を醸成」していくことが、人権の尊重、安全と健康、労働環境改善といった基盤整備と、人財育成・ダイバーシティ&インクルージョンといった事業成長に結びつく施策の強化を促し、それ等がさらに従業員エンゲージメントを高めるという好循環を生み出すものと考えております。
具体的な人財戦略の考え方は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略 人財戦略の考え方(環境整備方針)」を参照ください。

② 売上と利益の共成長
前中期経営計画「OCEAN-22」の財務目標のうち、営業利益とROAが未達であったこと、資本市場から資本効率に対する要求が強まっていることなどから、当社では資本効率を意識しながら、営業キャッシュ・フロー内で成長投資を果敢に実施し、「売上と利益の共成長」を実現していきたいと考えております。各事業の成長戦略の基本的な考え方は以下のとおりです。
・プレス製品は、生産変動に耐えうる改善に支えられた現場力をベースに、軽量化や生産時のCO2削減など脱炭素への寄与を踏まえ、ボディ骨格の構造提案により大物部品の一括受注を増やし、付加価値を高めることで売上も利益も高めてまいります。
・樹脂製品は、強みである防音防振・新加飾技術を応用し、新規顧客への拡販を強化するとともに、サーキュラーエコノミーを踏まえた材料・製品開発で、持続可能な成長をめざしてまいります。
・バルブ・TPMS製品は、無線通信技術や高品質といった強みを活かし、電動化時代に選ばれる高い付加価値を生み出す、スピード感ある開発型事業展開の実現をめざしてまいります。
・そして新製品は、これまで開発した製品をバージョンアップして「深化」を追求しつつ、新分野への「探索」を強化し、社会課題を解決するデータビジネスを柱へ育てていきたいと思っております。
③ 多様な技術による価値創出
当社全体の技術開発戦略としては、「既存事業の多様なコア技術を深化、新価値創造」と、「開発環境を整備し、新規事業の創出加速」の2軸で取り組みつつ、既存事業と新規事業の開発連携を図ってまいります。2025年7月には新東大垣工場にR&Dセンターを稼働させ、「共創空間」をテーマに、開発・生産技術の一体的な研究開発と、将来の新規事業創出の実現を図ってまいります。
また、知財戦略として、新価値創造に資する効果的な知財を生み出すべく、知財分析・人財育成・体制整備を進め、グループ全体の知財マネジメント力強化を図ってまいります。
これらの取り組みが一体となり、高付加価値で社会に資する事業成長を推し進めてまいります。
④ サステナビリティと経営の統合
当社は、長期ビジョン「PACIFIC GLOCAL VISION」を踏まえ、サステナビリティに関する15の重要課題(マテリアリティ)を特定し、KPIを定め取り組んでまいりました。また、「PACIFIC環境チャレンジ2050」を公表し、2050年のカーボンニュートラルを含む長期目標を掲げ、取り組みを加速しております。こうした取り組みを経営課題と位置付けるため、「Beyond the OCEAN」「NEXUS-26」について、あるべき姿からのバックキャスティングの視点を踏まえ、時間軸を長期におきつつ策定を進めました。その過程で、あるべき姿として、「思いをこめて、あしたをつくる」を「パーパス」と位置付けるとともに、マテリアリティとの整合性を確認しております。「NEXUS-26」は、「人財の尊重と活躍」、「環境負荷の極小化」、「ステークホルダーとの信頼醸成」といったマテリアリティを基盤としており、事業においても、プレス製品やバルブ製品を通じた脱炭素への貢献、樹脂製品におけるサーキュラーエコノミーへの取り組み、社会課題解決を意識した新事業開発と、それぞれサステナビリティの視座が含まれております。さらに、経営目標の非財務価値目標では、マテリアリティに関連して事業価値目標として、「電動車向け売上比率」「新規商品・サービス上市件数」、サステナビリティ価値目標として、「従業員エンゲージメント」「CO2排出量」を掲げ、サステナビリティと経営の統合を図っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
記載したリスクは全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
① 世界経済情勢・グローバル展開
当社グループは、日本・アジア・欧米に生産拠点を有して事業展開しており、海外売上高は連結売上高全体の約63%を占め、今後も増加が見込まれます。グローバルな事業展開を推進するにあたり、予期せぬ法令・税制・輸出入その他各種の規制の変更、戦争・テロなど地政学リスクによる政治的・社会的混乱の発生、感染症対策による人・モノの移動制限などにより、生産・販売活動の縮小を余儀なくされるおそれがあります。こうした事態に適切に対処できない場合、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各国・地域の主要市場の政治・経済動向、各種法令の制定・改廃などの把握に努め、需要変動に応じた柔軟な生産体制づくりを推進しております。また、生産拠点の操業停止を回避する施策として、社員の感染防止対策の徹底、原材料・部品調達先の拡大等サプライチェーンの維持、グループ内資金を有効活用する資金マネジメント、地域社会・行政との連携などを実施し、有事に強い企業として顧客の信頼を得るべく取り組みを進めてまいります。
当社グループは、トヨタ自動車株式会社をはじめとする取引先上位5社に対する売上高が、全体の約5割を占めており、特定得意先への依存度が高くなっております。これら主要得意先の業績不振や予期せぬ方針変更による受注の減少により、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新規事業の確立や新規顧客の獲得に注力するとともに、得意先との長年の信頼関係を礎に、得意先のニーズを先取りした製品や新工法の提案による新規製品の受注獲得に努めております。
当社グループでは、連結売上収益の大部分を自動車関連部品が占めております。国内外で再編・提携の動きが加速し、技術開発競争が激化する自動車関連業界において、技術の急速な進歩と市場ニーズの変化に十分に追従できず、継続して魅力ある新製品を開発できない場合、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「思いをこめて、あしたをつくる」をパーパスとして掲げ、将来の飛躍に向けた成長基盤の構築を進めております。プレス・樹脂製品事業では軽量化に寄与する超ハイテン製品やアルミ製品、電動化により求められる快適性能向上のための樹脂製品の開発を進めております。バルブ製品事業では、TPMSの事業領域拡大に向けた開発、センシング技術や流体制御技術などのコア技術を活かした電動車向けの製品開発を加速しております。
また、主力製品への開発投資に加え、長期的な事業領域の拡大を見据え、センシング技術などを活用し、モビリティ以外の分野を含め社会課題や顧客課題を先取りした新事業開発にも果敢に挑んでまいります。
当社グループの主要事業分野である自動車関連業界は、国内外で競合他社との厳しい価格競争下にあります。また、原材料の供給不安や仕入れ価格の高騰が価格競争力を弱める要因となる可能性があります。価格競争力や製品の優位性が維持できない場合、受注機会の喪失により、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、高品質な製品の提供を前提とした原価低減活動を推進し、価格競争力の維持・向上、新技術・新工法を駆使した高付加価値製品の提供に努めるとともに、ニーズのある地域でグローバルに生産できる体制を整備することで、優位性の確保に努めております。
当社グループは、高度な加工技術を要するプレス・樹脂製品や非常に精度の高い品質が要求されるバルブ製品を生産しており、大規模な製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合が発生した場合には、多額のコスト負担や売上の減少、当社グループの信用低下による失注などを招き、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、高品質な製品を提供するため、設計・生産準備の段階から品質の造り込みを行うとともに、各工程で徹底した品質チェックと製品データ管理を行い、グローバル基準での品質保証体制を構築しております。
当社グループは、鉄鋼材料をはじめ黄銅材料などの金属材料や、ゴム材料、樹脂材料などを原材料として使用しており、これら原材料の価格が高騰し、当社で吸収または、販売価格に転嫁できない場合や、需給の逼迫や物流停滞による納入遅延等、供給能力の制約により、生産に必要な量を確保することが困難になった場合、製造コストの増加や売上収益の減少により当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、原価低減等の改善により、価格上昇分を吸収するよう努めております。また、原材料の需要予測に基づく在庫管理、グローバル調達による調達先の多拠点化、物流ネットワークの強化などサプライチェーンの最適化に取り組み、原材料の需給逼迫に備えております。
当社グループは、生産管理などの管理業務、会計システム、社内外の情報伝達などにITを活用しております。コロナ禍でのリモート・オンライン業務の増加やデジタルトランスフォーメーションの進展によりIT活用の重要性が高まる中、悪意あるサイバー攻撃や過失によるシステムダウンなどの危険が増大しております。このようなリスクの完全な排除は困難であり、情報システムの障害発生による事業活動の一時的な中断や情報漏洩による信用低下が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、セキュリティ監視機器の強化、従業員への啓蒙・教育によるITリテラシーの向上、バックアップ環境の強化、有事に備えた生産継続体制を構築し、サプライチェーン全体でセキュリティ対策を継続的に推進しております。
⑧知的財産管理
当社グループでは、独自性、先進性を有する技術を駆使した高付加価値製品の開発に取り組み、多くの知的財産権を有しております。これら知的財産権が侵害され、または第三者から思いがけない権利侵害の指摘を受けるなど、適切な知的財産管理が行われない場合、経済的損失や信頼失墜など、当社の業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当社製品に使用される独自性、先進性を有する技術を、特許出願により確実に保護するとともに、他社による権利侵害が持続しないような対策を講じております。また、技術開発・製品設計プロセスの各段階で知的財産権に関する調査を行い、他社の権利を侵害しないよう努めております。
為替レートの変動
当社グループは、為替レートの変動により、海外連結子会社の外貨建取引の売上高・原価、資産・負債およびキャッシュ・フローならびに連結財務諸表における売上高・原価、資産・負債の現地通貨の円換算額の二つの側面で影響を受ける可能性があります。
為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたリスクヘッジを行っております。また、グループ間決済の一部について、同一通貨で入金と支払いの相殺を行っております。
① 災害などの影響
当社グループでは、過去の被災経験やハザードマップなどから、国内外の各拠点にて、大規模地震、集中豪雨・河川氾濫等の風水害、火災・爆発等の事故など、人的・物的被害が生じるリスクを想定しております。また、新型ウイルス等の感染症による影響が長期化、深刻化した場合、国内外のサプライチェーンや当社グループの事業活動の停止・停滞などが生じるおそれがあります。こうした災害・感染症の発生・拡大が生じた場合、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、災害の発生に備え、人命第一・地域復興・早期復旧を柱とするBCPや従業員の行動ガイドラインを策定し、建屋・設備の耐震対策、社員安否確認システムの導入、定期的な防災訓練の実施、感染症対策など有事を想定した対策を講じております。
一極生産のリスクを回避するため、生産拠点の分散化や各拠点間で設備・生産方法の互換性を担保し、代替生産が可能な体制を構築するなど安定的な供給の確保に取り組んでおります。
当社グループは、気候変動によるリスクへの取り組みを最重要課題の一つとして認識し、グループ全体でCO2削減に取り組んでおります。脱炭素社会への移行リスクとして、炭素税の導入・原材料価格の高騰に伴う製造コストの増加、燃費・排ガス規制の強化、市場・顧客ニーズの変化に適切に対処できないことで、競争力や企業価値の低下を招くおそれがあります。また、物理的リスクとして、局地的豪雨や洪水、気温上昇による水不足や干ばつ、熱中症の増加等、工場の操業停止やサプライチェーンの分断により生産能力の低下や製品供給の遅延が発生する可能性があります。
当社グループは、気候変動、有害化学物質、産業廃棄物、水資源、生物多様性等の環境課題に取り組んでおります。特に気候変動を最重要課題の一つとして認識しており、2020年に「PACIFIC環境チャレンジ2050」を策定しグループ全体でCO2削減に取り組んでおります。2050年カーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)に向けて、2030年にCO2排出量を2019年比で50%削減する目標を掲げ、省エネ活動の推進、再生可能エネルギーの積極導入、設備投資判断へのICP導入による設備の高効率化など、継続的にCO2削減活動に取り組んでおります。また、TCFD提言に沿ったシナリオ分析の実施により、リスクと機会を明確にし、事業戦略への反映と開示に向けた検討を進めております。また、BCPへの洪水リスクや感染症リスク対策の盛り込みに加え、熱中症対策として、各工場へのエアコン設置等の対策を進めております。
当社グループは、車両軽量化に不可欠な超ハイテン加工技術を活用したプレス部品や省エネに寄与するTPMSの拡販など、CO2削減に寄与する電動化・軽量化製品の開発・販売を促進してまいります。
当社グループは、強制労働、児童労働、ハラスメント等の人権課題を重要なリスクとして認識しております。これらの人権課題に対し、バリューチェーンを通じて適切な行動がとられていないと、顧客との取引停止や行政罰、社会的信用の失墜につながり、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2021年度に、「国際人権章典」や「労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」など国際規範に沿った「太平洋工業グループ人権方針」を策定・開示し、パーパスである「思いをこめて、あしたをつくる」に基づき、バリューチェーン全体で人権リスクの低減に取り組んでおります。
コンプライアンス
当社グループは、日本、アジア、欧米に拠点を有し、各国の法規制の適用や当局による法的措置により金銭的な賦課を課され、または事業活動を制約される可能性があります。また、適正な取引が図られない場合、取引に関する訴訟提起や損害賠償請求など法的手続きの当事者となるリスクがあります。こうしたリスクが当社グループの重大なコンプライアンス違反によって顕在化した場合、社会的信用の失墜による事業への影響などにより、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、社会から信頼・共感されるためには、従業員が高い倫理観を持って公正・誠実に行動することが重要と考え、ガイドラインを策定し、全従業員に配布して意識向上を図っております。海外では、競争法、腐敗防止をはじめとする各国・地域の法令・慣習を反映した自国の行動ガイドラインを運用し、各国・地域の実情に即したコンプライアンス活動を行っております。また、「贈収賄・腐敗防止の基本方針」、「仕入先サステナビリティガイドライン」を制定し、腐敗防止ルールを整備、従業員への啓発・教育、サプライチェーンへの展開を実施するととともに、「自動車産業適正取引ガイドライン」の遵守に努めております。
当社グループでは、事業の持続的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得・育成が不可欠であると認識しており、計画通りに人財の獲得・育成が進まない場合、競争力の低下を招き、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業を通じて社会的課題を解決していくため、人財戦略のなかで、多様な個性やスキル、経験を持った人財の育成を掲げ、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンを積極的に進めております。
また、人的資本経営を推進するため、働きやすい環境づくりに努めることにより会社と従業員との信頼関係を構築することでエンゲージメントを向上させ、従業員自ら挑戦できる風土への変革を進めております。さらには日常業務の改善に全社員が取り組む改善活動の実施など、自らがスキルアップを実感できる教育・育成を実施しております。
当社グループでは、大小様々な生産設備を有しており、重大な労働災害が発生するリスクを負っております。重大な労働災害が発生すれば、社会や取引先からの信頼を失い、事業停止を余儀なくされるなど、当社の業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、従業員の健康状態が悪化した場合、当社の生産に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、STOP6(挟まれ・巻き込まれ、重量物、車両、墜落・転落、感電、高熱物による災害防止)の視点に基づき、設備・機械の設計・導入段階から作業アセスメントを実施し、設備への安全装置の付設や危険エリアの見える化などリスク低減と安全な作業環境づくりを進めております。また、机上・体感教育を通じて、危険予知能力の向上やリスクアセスメント手法・安全な異常処置の体得など、危険感受性を高め、安全のために考えて行動できる人財の育成に取り組んでおります。また、当社は従業員の健康を重視し、「太平洋工業グループ健康宣言」にその姿勢を明文化し、積極的に健康経営に取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進む中、中国におけるゼロコロナ政策や、ウクライナ情勢の長期化が資源価格の高騰に拍車を掛け、インフレ抑制のための利上げにより景気が減速し、厳しい状況で推移しました。日本においては、行動制限が緩和され社会経済活動に回復の兆しがみられたものの、日米間の金利差拡大による円安の進展や、資材高騰等により景気回復への懸念が増しております。
当社グループの主要事業分野であります自動車関連業界におきましては、主要顧客の自動車生産は、生産の制約となっておりました部材供給不足の緩和により、回復傾向にあります。
このような中、社員の感染症対策に努め、人員・部材の確保等を行い、生産量変動に合わせた生産活動を行ってまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、円安による為替換算の影響が大きく、原材料価格の変動等により、1,912億54百万円(前期比16.3%増)となりました。利益面では、原価改善活動を継続的に推進しましたが、生産量が変動するため原価改善の効果が出づらいこともあり、販売価格の低下や原材料等の高騰をカバーするまでには至らず、営業利益は92億98百万円(前期比13.6%減)、経常利益は円安による為替差益の計上により、132億9百万円(前期比9.6%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は93億1百万円(前期比5.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(プレス・樹脂製品事業)
円安による為替換算の影響や、原材料価格の変動等により、当事業全体の売上高は1,368億6百万円(前期比19.7%増)となりました。利益面では、生産量の変動に伴う原価増やエネルギー価格の高騰の影響があるものの原価改善の効果等により、営業利益は49億77百万円(前期比1.1%増)となりました。
(バルブ製品事業)
円安による為替換算の影響により、当事業全体の売上高は542億7百万円(前期比8.4%増)となりました。利益面では、原材料価格の高騰等により、営業利益は42億58百万円(前期比26.9%減)となりました。
(その他)
その他は主に情報関連等のサービス事業から成っており、売上高は2億40百万円(前期比22.4%増)、営業利益は8百万円(前年同期は営業損失31百万円)となりました。
なお、セグメント別の金額は、セグメント間取引の消去後の数値であります。
当連結会計年度末の資産合計は2,580億58百万円となり、前連結会計年度末と比較して126億18百万円の増加となりました。
資産の部では、流動資産は906億90百万円となり、前連結会計年度末と比較して83億39百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金が50億74百万円、棚卸資産が26億49百万円増加したことによるものであります。
固定資産は1,673億67百万円となり、前連結会計年度末と比較して42億79百万円の増加となりました。これは主に、時価評価および売却等に伴い投資有価証券が18億36百万円減少しましたが、有形固定資産が75億75百万円増加したことによるものであります。
負債の部では、流動負債は526億35百万円となり、前連結会計年度末と比較して77億25百万円の増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が12億5百万円増加したことによるものであります。
固定負債は667億1百万円となり、前連結会計年度末と比較して34億45百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金が17億48百万円、繰延税金負債が14億12百万円減少したことによるものであります。
純資産の部は、その他有価証券評価差額金が21億84百万円減少しましたが、利益剰余金が65億74百万円、円安の進行に伴い為替換算調整勘定が55億52百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末から83億38百万円増加し1,387億21百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は53.4%となり、前連結会計年度末と比較して、0.6ポイント増加しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて49億84百万円増加し、315億93百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、241億29百万円の収入(前期は183億17百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益129億11万円、減価償却費181億95百万円による増加と、法人税等の支払額37億59百万円、その他の流動資産の増減額10億73百万円の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、164億28百万円の支出(前期は171億89百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出164億45百万円の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、35億9百万円の支出(前期は40億59百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額27億26百万円の減少によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2 その他については、生産実績の把握が困難でありますのでその記載を省略しております。
当社グループでは、プレス・樹脂製品事業、その他の一部で受注生産を行っておりますが、受注額および受注残高が少額であるため、その記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
(売上高)
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進む中、中国におけるゼロコロナ政策や、ウクライナ情勢の長期化が資源価格の高騰に拍車を掛け、インフレ抑制のための利上げにより景気が減速し、厳しい状況で推移しました。
このような中、当社グループでは、社員の感染防止に努め、人員・部材の確保等を行い、生産量変動に合わせた生産活動を行ってまいりました。その結果、円安による為替換算の影響とプレス鋼材価格等の上昇に伴う材料建値影響等により、第1四半期連結会計期間以降の売上高は、前期比で増収となり堅調に推移しました。第4四半期連結会計期間からプレス鋼材の有償受給化による減収影響もありましたが、引き続き円安基調の継続と材料建値影響により、通期では前期比267億円の増収となり年間を通じて過去最高となりました。
プレス・樹脂製品事業は、円安による為替換算の影響とプレス鋼材価格等の上昇に伴う材料建値影響等により、第1四半期連結会計期間以降の連結売上高は、前期比で増収となり堅調に推移しました。第4四半期連結会計期間からプレス鋼材の有償受給化による減収影響もありましたが、通期では前期比225億円の増収となりました。
バルブ製品事業は、円安による為替換算の影響により、第1四半期連結会計期間以降の連結売上高は、前期比で増収となり、通期では前期比42億円の増収となりました。
半導体不足の状況が緩和され、主要顧客の自動車生産が回復してきたことにより販売物量が増加し、連結営業利益への影響は通期で16億円の増益となり、グループを挙げた原価改善の推進により22億円の増益影響がありましたが、販売価格の低下による26億円、材料価格高騰による14億円、販売物量の増加による労務費の増加13億円、エネルギー価格の高騰等の減益影響により、連結営業利益は前期比14億円の減益となりました。
プレス・樹脂製品事業は、販売価格の低下や設備投資の増加による減価償却費の増加、生産量の変動に伴う原価増やエネルギー価格の高騰の影響がありましたが、主要顧客の自動車生産の回復による販売物量の増加や原価改善等により、通期では前期並みの49億円となりました。
バルブ製品事業は、原価改善効果等はありましたが、材料価格の高騰等により、通期では前期比15億円の減益となる42億円となりました。
(資産および負債)
売上の増加に伴い、流動資産のうち受取手形、売掛金および棚卸資産が増加しております。同じく、流動負債のうち支払手形及び買掛金が増加しております。
戦略的な設備投資の実施の結果、固定資産のうち有形固定資産が増加しております。また、投資有価証券が時価評価および資本効率の向上を目的とした保有株式見直し等に伴い減少しております。
なお、有利子負債は、総額612億17百万円であり、前連結会計年度末比8億83百万円減少しております。その内訳は、短期借入金10億15百万円(前連結会計年度末比同額)、1年内返済予定を含む長期借入金602億2百万円(前連結会計年度末比8億83百万円減少)であります。短期借入金は主に運転資金に、長期借入金は主に設備投資資金に充当しております。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(財務政策)
当社グループは、運転資金、設備資金および株式取得資金につきましては主に、自己資金、金融機関からの借入、社債発行により資金調達することを基本としております。このうち自己資金につきましては、グループ内資金を有効活用するため、グループ会社間での資金貸借を実施しております。借入につきましては、運転資金は短期借入金で、設備資金や株式取得資金などの長期資金は長期借入金で調達することを基本としております。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積りに用いた仮定には不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
なお、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(重要な会計上の見積り)、「2 財務諸表等 注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
中期経営計画「OCEAN-22」の2022年度(2023年3月期)目標連結売上高1,750億円に対し、最終連結会計年度である2022年度(2023年3月期)実績の連結売上高は1,912億円(前期比267億円増)となりました。目標に対する達成状況については、計画策定時に想定しておりました生産物量に対し、新型コロナウィルス感染症の影響による大幅な減少や、収益認識会計基準適用の影響はあるものの、新製品開発や拡販など各事業での取り組みは概ね計画どおりに進捗しました。また、為替レートが想定以上に円安となったこともあり売上高は目標達成となりました。
また2022年度の目標連結営業利益率7%台に対し、2022年度実績は4.9%(前期は6.5%)となりました。目標に対する達成状況については、2020年度からのコロナ禍において原価改善や固定費圧縮など、収益改善のスピードを上げて取り組み、成果を出してきたものの、物量変動による固定費負担の増加や、材料価格・エネルギー価格の高騰による影響で営業利益率は目標未達となりました。
2022年度の目標ROA(営業利益)6%台に対し、2022年度実績3.7%(前期は4.6%)となりました。目標に対する達成状況については、営業利益率が目標未達になったことに加え、拡販のための投資や円安に伴う為替換算等により総資産が増加したことに伴いROA(営業利益)は目標未達となりました。
「OCEAN-22」の振り返りを行い、長期的なあるべき姿からバックキャスティングする視点を取り入れ、グローバルを含め全部門の意見を踏まえて検討し、中長期経営構想「Beyond the OCEAN」を策定しました。
また、中期的なマイルストーンとしての中期経営計画は、2026年までの4年間を期間とし、「NEXUS-26」としました。
資本効率を高め、持続可能な成長を実現を目指し、2026年度の目標値を、売上高2,100億円、営業利益率7%以上、ROE8%以上としております。着実な実行を通して、ステークホルダーの皆様とともに、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
該当事項はありません。
当社および連結子会社における主要な設備は、以下のとおりであります。
(2023年3月31日現在)
(2023年3月31日現在)
(2023年3月31日現在)
(2022年12月31日現在)
(注) 1 金額は各社の帳簿価額であり、未実現利益の消去前の金額であります。
2 [ ]内の面積㎡は賃借中の資産であり、外数であります。
3 ピーアイシステム株式会社における[ ]内の土地の面積㎡は、当社から賃借しているものであります。
4 本社等は、主に本社(岐阜県大垣市)について記載しております。
(注) 提出日現在発行数には、2023年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
ストックオプション制度の内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(ストック・オプション等関係)に記載しております。
該当事項はありません。
(注)転換社債型新株予約権付社債の権利行使による増加であります。
2023年3月31日現在
(注) 自己株式1,221,847株は、「個人その他」の欄に12,218単元、「単元未満株式の状況」の欄に47株含まれております。
2023年3月31日現在
(注)1 2022年4月7日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、三井住友DSアセットマネジメント株式会社およびその共同保有者である株式会社三井住友銀行が2022年3月31日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その大量保有報告書(変更報告書)の内容は以下のとおりであります。
(注)2 2020年11月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社およびその共同保有者である日興アセットマネジメント株式会社が2020年10月30日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。
1 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、製品・サービス別の事業本部を置き、各事業本部は取り扱う製品・サービスについて国内および海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
従って、当社は事業本部を基礎とした製品・サービス別セグメントから構成されており、「プレス・樹脂製品事業」および「バルブ製品事業」の2つを報告セグメントとしております。
「プレス・樹脂製品事業」は、自動車用プレス・樹脂製品および金型製品等の製造・販売をしております。「バルブ製品事業」は、タイヤバルブ・バルブコア製品、バルブ関連製品、自動車用TPMS製品(タイヤ空気圧監視システム)、コンプレッサー関連製品および電子機器製品等の製造・販売をしております。