日本精密株式会社
(注) 1. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2. 従業員数は、就業人員数を記載しております。
(注) 1. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2. 従業員数は、就業人員数を記載しております。
3. 最高・最低株価は、東京証券取引所(ジャスダック及びスタンダード市場)におけるものであります。
4. 第44期まで、株主総利回りの比較情報に日経ジャスダック平均を用いておりましたが、令和4年4月4日の東京証券取引所の市場再編にともない廃止されました。このため、第45期から比較情報を、継続して比較可能な配当込みTOPIXに変更しております。
5. 第41期、第42及び第43期の当期純利益、第43期の経常利益の大幅な減少は、関係会社株式評価損及び関係会社短期貸付金に対する貸倒引当金繰入額の計上等によるものであります。
当社の企業集団は、当社、子会社5社(うち休眠会社1社)及び持分法適用の関連会社2社で構成されており、時計関連、メガネフレーム、釣具・応用品事業を三本の柱として取り組んでおります。
当社グループの事業に係わる位置付け及び事業の種類別セグメントとの関係は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、従来「その他」としていた報告セグメントの名称を「釣具・応用品」に変更しております。
時計関連
子会社のNISSEY VIETNAM CO.,LTD.及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.において製造し、また当社及び当社香港支店において仕入し、当社及び当社香港支店、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.で販売しております。当社において一部加工を行っております。
メガネフレーム
当社及び子会社の株式会社村井において企画し、株式会社村井において仕入し、当社、株式会社村井及び持分法適用の関連会社のモンドティカジャパン株式会社で販売しております。
釣具・応用品
釣具用部品、健康器具、静電気除去器、ウエアラブル関連、医療機器用部品、音響機器用部品などの製造販売を行っておりますが、釣具用部品については、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.で製造販売、NISSEY CAMBODIA CO.,LTD.で製造しております。また、健康器具、ウエアラブル関連及び音響機器用部品については、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.で製造しております。なお、子会社のエヌエスジー株式会社は、消臭剤の販売をしております。
以上を図示すると次のとおりであります。

当社には子会社のNISSEY(HONG KONG)LIMITEDがありますが、当該子会社は平成16年10月1日に営業を当社に譲渡し、休眠会社となっております。
(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、連結子会社の場合、セグメントの名称を記載しております。
2. 特定子会社であります。
3. 当連結会計年度において、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.に対するデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)の実施にともない出資金が700,000千円増加しております。
4. 債務超過会社であり、令和5年3月末時点で債務超過額は1,351,516千円であります。
5. NISSEY VIETNAM CO.,LTD.及び株式会社村井については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (単位:千円)
6. KOSDAQ上場会社であります。
7. 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
令和5年3月31日現在
(注) 1. 従業員数は就業人員であり、パートタイマー及び派遣社員は除いております。
2. 全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。
令和5年3月31日現在
(注) 1. 従業員数は就業人員であり、パートタイマー及び派遣社員は除いております。
2. 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3. 全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。
4. 従業員数及び平均年間給与には、外国人労働者5名を含んでおります。
5. 提出会社における従業員数の男女数は、男性38名、女性10名であります。
当社グループの労働組合員数は、令和5年3月31日現在1,166名であります。
なお、労使関係は良好な状態にあります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「夢、美、形」を経営理念として掲げております。
この3つの追求により、社会へ貢献し、社会と共に企業の成長を図り、企業価値を高めていくことを、当社で働く者一人一人の使命と考えております。
当社は経営理念を実践するための4つの指針を定め、この実現を通じて、世界の人々に深い喜びと感動を与え続けてまいります。
① 常に発展する企業であること
② 安定的な企業であること
③ 幸福感を持てる企業であること
④ 安全かつクリーンなもの造りを行う企業であること
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、中長期的な企業価値向上を目的とし、親会社株主に帰属する当期純利益の継続的拡大を実現するために売上高及び売上高成長率、並びに売上高営業利益率(目標は3%以上)を重視しております。
なお、令和5年度を初年度とする中期経営計画につきしては、現時点では開示しておりません。このため、令和5年5月15日付けで開示しております令和6年3月期の連結業績予想である、売上高65.6億円、営業利益1.6億円(売上高営業利益率2.5%)を当面の目標数値に設定しております。セグメント別の売上高は、時計関連45.7億円、メガネフレーム10.5億円、釣具・応用品9.4億円であります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは業績拡大のため、またグローバルに信頼される企業集団としてその地位を着実に築いていくため、「ASEANプロジェクトⅠ期」(平成30年3月期を最終年度とする5ヶ年計画)の基本的なコンセプトを引き継ぎながら、“手のひらロマンで世界を刻む”をコーポレートスローガンとして掲げ、「ASEANプロジェクトⅡ期」(令和5年3月期を最終年度とする4ヶ年計画)に取り組み、適宜分析または評価を行いながら、企業価値の向上を目指してまいりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況及び(2)事業構造改革」などに記載しております。
(中期経営計画の達成状況)
平成31年4月より取り組んできました、令和5年3月期を最終年度とする中期経営計画「ASEANプロジェクトⅡ期」で発表した経営指標目標の達成状況は次のとおりであります。
(単位:千円)
売上高は、令和4年度に入り、急激な円安を追い風にほぼコロナ禍前の水準に回復したものの、結果として計画目標を大幅に下回りました。セグメント別では、時計関連及びメガネフレームは、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.において、新型コロナウイルス感染症の影響にともなうロックダウン(都市封鎖)により、時計関連の生産拠点が長期間に渡り製造停止になるなど、世界的な消費の落ち込みなどにより、経営環境は一変し大幅な計画未達となりました。一方、釣具・応用品は、前述の感染症の影響がほとんどなく、96.7%の達成率となりました。とくに釣具用部品は、4期連続して二桁の伸びを記録し、第三の柱として、主要事業のひとつになりました。
営業利益は、平成31年度より開始した事業構造改革の効果は認められるものの、売上高の計画未達により、計画目標を大幅に下回りました。
営業利益率は、売上高及び営業利益は大幅な計画未達となりましたが、事業構造改革の実施などにより2.6%となり、計画目標は未達でしたが、83.5%の達成率となりました。
また、平成31年3月期実績との比較では、売上高は572,301千円(7.7%)の減少となりましたが、事業構造改革の実施などにより、営業利益は87,956千円の赤字から181,175千円の黒字に転換いたしました。
なお、令和5年度を初年度とする中期経営計画につきましては、世界的にコロナ禍からの緩やかな持ち直しが続く一方で、ウクライナ情勢やエネルギー価格の高騰などによる世界経済減速の影響に加え、取引先の資材調達における脱中国化の動向について、令和6年度以降の当社グループに与える影響を見通せないことなどにより、現時点では適正かつ合理的な算定が困難であることから開示しておりません。今後、算定が可能となった時点で当社ホームページにて開示いたします。
数値目標につきましては、現時点では開示しておりませんが、事業構造改革の継続やこれまでの中期経営計画の基本的なコンセプトは踏襲していく方針であります。
次期連結会計年度以降につきましては、サステナビリティ経営を推進するとともに、事業構造改革の完遂により、強靭な経営基盤を確立し、将来の成長戦略の足掛かりを構築するため、以下の項目を優先的に取り組んでまいります。
(既存事業の維持拡大と事業領域の拡大)
主力製品である時計関連につきましては、既存の取引先との強固な関係の維持拡大に加え、新規取引先の開拓と関係構築を図ります。それらに加え、時計バンドや時計外装部品の新規受注に向け、開発部と営業部が一体となり提案営業を強化することなどにより、収益の拡大を図ります。メガネフレームは、㈱村井の主要ブランドであるagnès b.(アニエスベー)やJILL STUART(ジルスチュアート)に並ぶブランドの育成などにより、収益の拡大を図ります。釣具・応用品は、釣具用部品の更なる収益の拡大を図るとともに、事業構造改革の推進継続などによりセグメント損益の黒字化を目指してまいります。
また、既存の事業領域にとどまらず、当社グループの有する精密加工技術を生かすことにより、将来性のある販路拡大を目指してまいります。
(ASEAN生産拠点の効率化)
脱中国化の流れが進むなか、ASEANエリアにおける、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.(以下、ベトナム工場という。)及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.(以下、カンボジア工場という。)は、今後益々魅力が増す拠点になることが予測されます。この様な環境下、取引先からの支持を得るには、生産拠点の更なる効率化や合理化などによる生産性の向上及び製造原価の低減が重要と考えます。そのためには、ベトナム工場から相対的にコストが安価なカンボジア工場への段階的な生産ラインの移管や、ベトナム工場の生産ラインの半自動化または自動化などによる合理化を推進いたします。同時に、材料の調達先の見直しや人員の適正化などを継続実施することなどにより、当社グループのサプライチェーンの強化を図ります。
(盤石な財務基盤の確立)
取引金融機関や取引先などからの信頼を維持するため、引き続き事業構造改革を徹底してまいります。製造部門の採算性の向上などによる継続的な黒字の確保、資金繰りの安定化、極端な為替変動による影響からの回避などに注力し、盤石な財務体質を確立いたします。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、上席執行役員を委員長とするリスク管理委員会において、リスクの発生防止、発生した場合の適切な対応に努めております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 有利子負債について
当社グループは、設備及び運転資金について、主に金融機関からの借入金に依存しております。財務体質の改善を図るため、キャッシュマネジメントシステムの導入などにより、資金効率の向上と手元流動性の確保に努めておりますが、総資産額に占める有利子負債の割合は当連結会計年度末において59.9%(前連結会計年度末は60.8%)となっており、今後の金融環境の変化や金利動向により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、「(10)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当社グループは、取引先金融機関より借入金元本の一定期間の返済猶予を受けております。
金融機関等からの借入金等の連結決算日後の1年ごとの返済予定額
(2) 外国為替変動のリスク
当社グループは、ベトナム、カンボジア、中国(委託生産)に生産拠点が、中国(香港)に営業拠点が存在しております。営業債務の一部につきましては、恒常的に同じ外貨建ての売掛金の範囲内にあります。一部の外貨建て取引については、為替予約などによりリスクの軽減に努めております。在外子会社向けの外貨建債権につきましては、NISSEY CAMBODIA CO.,LTD.に対するデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)の準備を進めておりますが、また、外貨建ての金融負債につきましては、主に外貨により返済しておりますが、外国為替レートの変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 大口取引先の戦略変更のリスク
当社グループの売上高のうち時計関連は、当連結会計年度末において70.8%(前連結会計年度末は68.0%)となっており、大きな割合を占めております。定期的にバランスのチェックを行い、新規取引先の拡大や他社のシェア拡大など営業力の強化に努めており、また大口取引先との定期的な会議の開催など絶えず情報交換も行っておりますが、大口取引先の戦略変更、製品仕様の変更もしくは、大口注文の解約やスケジュール変更は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 取引先の変化
当社グループは、与信管理規定に従い取引先の管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制を整えておりますが、取引先の倒産などにより、不良債権の発生や商品の調達に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人件費の高騰・人員不足のリスク
当社グループは、ベトナム及びカンボジアに生産拠点が存在しております。生産性の向上、賃金のベースアップ、賞与の支給などにより、安定雇用に努めておりますが、人件費の高騰や人員不足などにより稼働率が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 人的資本
当社グループの市場競争力の核は、技術開発力にあるため、国内だけでなく海外においても専門性の高い技術者の確保が不可欠であります。当社グループは、働き方改革やダイバーシティの実現に向けて、優秀な人材の採用、社内人材の育成と確保、外国人の雇用、勤務体制の多様化などに努めておりますが、計画通りに進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 減損会計に関するリスク
当社グループの保有資産につきましては、減損リスクを意識することにより、資産収益性を高める取り組みを行っておりますが、実質的価値の低下等による減損処理が必要となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 災害等予測困難な事象によるリスク
当社グループは、日本(委託生産)、中国(委託生産)、ベトナム及びカンボジアに生産拠点が、日本及び中国(香港)に営業拠点が存在しております。定期的なリスク管理委員会や各拠点とのテレビ会議の開催など、様々な情報の収集に努めておりますが、当該国における政情の悪化、自然災害、戦争やテロ、経済状況の変動、法律や税制の変更、労働力不足やストライキの発生、感染症の拡大などの予期せぬ事象により、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 環境・気候変動によるリスク
当社グループは、ベトナムなどの生産拠点において、工場排水の保全や金属等の産業廃棄物のリサイクルによる廃棄物の削減などに取り組んでおりますが、環境汚染による損害や廃棄物の増加による処理費用の増加などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、サステナビリティ経営を推進しておりますが、気候変動や脱炭素社会への移行にともなう新たな費用の発生などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、平成29年3月期から令和3年3月期まで、継続的な売上高の減少傾向にありました。前連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症という。)拡大の影響はあったものの、売上高は5,739,949千円となり前年同期比971,985千円(20.4%)の増加、営業利益は80,580千円(前々連結会計年度は営業損失481,212千円)、経常利益は189,895千円(前々連結会計年度は経常損失529,040千円)とそれぞれ前連結会計年度までの赤字から黒字に転換しましたが、親会社株主に帰属する当期純損失は、感染症にともなう災害損失の計上などにより128,166千円(前々連結会計年度は631,927千円)と4期連続して最終赤字の計上となりました。また、営業キャッシュ・フローも173,640千円の支出(前々連結会計年度は305,471千円)を計上いたしました。
当連結会計年度におきましては、売上高は6,900,896千円となり前年同期比1,160,947千円(20.2%)の増加、営業利益は181,175千円、経常利益は257,387千円をそれぞれ計上、親会社株主に帰属する当期純利益は175,553千円と5期ぶりに最終赤字から黒字に転換することができました。営業キャッシュ・フローにつきましても、217,709千円の収入を計上しております。詳細につきましては、「2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。感染症の影響から業績は回復基調にあり、今後は、ウクライナ情勢や世界的な金融引締めなどによる不透明感は残りますが、事業構造改革の継続などにより、更なる収益の拡大を目指してまいります。
しかしながら、当社グループは、設備及び運転資金につきまして、主に金融機関からの借入金に依存しており、総資産額に占める有利子負債の割合は、当連結会計年度末において59.9%(前連結会計年度末は60.8%)と依然として高い水準が続いております。
これらの状況から、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象が存在しております。
こうしたなか、当社グループは以下の施策を事業構造改革として引き続き実施し、収益体質の改善を実現してまいります。
前年度は、ASEAN地域の製造部門であるNISSEY VIETNAM CO.,LTD.及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.を中心に、グループ各社が相互協力のもと、連携を密にしながら製造活動を行い、在庫管理の徹底、生産性の向上及び製造原価の改善を図り、今後の受注増加への対応を進めるとともに、サプライチェーンの基盤強化を行いました。前々年度は、ASEAN地域における製造部門におきましては、主要な設備投資の凍結及びそれにともなう減価償却費の削減、人員の適正化及び残業の抑制などによる労務費単価の圧縮、消耗品や電気料などの経費削減、当社及び当社の香港支店、㈱村井の販売管理部門におきましては、役員報酬の減額、人員の適正化や再配置などによる労務費の削減、予算統制の厳格化による諸経費の削減などを、平成31年度より継続して推進してまいりました。これら労務費経費の削減の施策は継続中の一部を除きほぼ一巡しておりますが、当年度は、引き続きASEAN地域の製造部門を中心に、サプライチェーンの基盤強化を推進するとともに、採算性の向上を目指してまいりました。来年度も、引き続きASEAN地域の製造部門の採算性の向上を目指すとともに、徐々にではありますが工場の生産ラインの半自動化または自動化の推進による生産性の向上及び製造原価の低減を進めてまいります。また、既存の事業領域にとどまらず、当社が有する精密加工技術を生かし、将来性のある販路拡大を目指してまいります。
財務面におきましては、当年度も当社グループの取引金融機関に対し、長期借入金元本の返済条項の緩和を要請し、要請しているすべての取引金融機関から同意を頂いており、今後も継続的な支援を受けられる見込みであります。また、当社は令和2年6月において、第三者割当増資200,003千円を実施しております。
なお、当社グループは、取引金融機関より借入金元本の一定期間の返済猶予を受けておりましたが、令和4年12月及び令和5年1月において、借入金元本の一部返済を実行いたしました。同時に、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.の財務基盤の強化を目的として、同社に対して700,000千円のデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を実施いたしました。
これらの具体的な対応策を実施又は継続することにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢による不透明感がみられたほか、世界的な金融引締めによる金融資本の変動や物価上昇などによる下振れリスクが懸念されましたが、総じてみると、景気は緩やかな持ち直しの動きが続きました。国内におきましても、ウィズコロナへの移行が進められるなか、景気は一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直してきました。
このような状況下、当社グループは業績拡大のため、またグローバルに信頼される企業集団としてその地位を着実に築いていくため、中期経営計画である「ASEANプロジェクトⅡ期」(令和5年3月期を最終年度とする4ヵ年計画)の最終年度を迎え、「収益の拡大」「生産能力及び採算性の向上」「サプライチェーンの基盤強化」をテーマに“手のひらロマンで世界を刻む”をコーポレートスローガンに掲げ、事業構造改革の推進とともに計画の達成に向けて取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は6,900,896千円(前連結会計年度は5,739,949千円)となりました。全てのセグメントにおきまして、円安の追い風もありましたが、コロナ禍前の水準に戻りつつあります。
損益につきましては、売上総利益は、売上高の増加だけでなく、原材料価格の高騰や円安の進行による労務費などの製造コストは増加しましたが、令和3年7月9日から10月3日までの約3カ月間に及ぶホーチミン市における感染症拡大にともなうロックダウンによるNISSEY VIETNAM CO.,LTD.(以下、ベトナム工場という。)の製造停止の影響の解消に加え、平成31年度から取り組んでおります事業構造改革にともなうASEAN地域の製造子会社2社を中心とした、生産性の向上及び製造原価の改善の実施など、採算性の向上を目指してきたことにより1,441,724千円(前連結会計年度は1,241,055千円)となりました。営業利益は、販売管理費のコスト削減はほぼ一巡しましたが、売上総利益の増加などにより181,175千円(前連結会計年度は80,580千円)となりました。経常利益は、円安にともなう在外子会社向け外貨建債権の為替換算による為替差益の計上などにより257,387千円(前連結会計年度は189,895千円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、事業構造改革にともなう事業構造改善費用の特別損失の計上や法人税等の計上などにより175,553千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失128,166千円)となり、5期ぶりに最終赤字から黒字に転換することができました。
また、連結の損益等には影響しませんが、令和5年1月におきまして、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.の基盤強化を目的として、同社に対し700,000千円のデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を実施いたしました。
なお、当連結会計年度において、従来「その他事業」としていた報告セグメントの名称を「釣具・応用品事業」に変更しております。当該変更は、報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
当社グループのセグメントごとの連結業績 (単位:千円)
① 時計関連
時計関連の売上高は4,884,955千円となり、前年同期比で979,414千円(25.1%)増加いたしました。このうち、時計バンドの売上高は、海外の取引先は、前述のベトナム工場の製造停止の影響の解消に加え、受注も回復したため約136%の増加となりました。また、国内の取引先も、ベトナム工場の製造停止の影響の解消に円安の進行が重なり約31%の増加となりました。時計外装部品の売上高も、時計バンドと同様に円安の進行に加え国内の取引先からの受注が増加したため約12%の増加となりました。
これにより、セグメント利益は253,344千円(前連結会計年度はセグメント損失185,194千円)となり、外注加工費の高騰や円安の進行による労務費などの製造コストの増加はありましたが、前連結会計年度までの赤字から黒字に転換いたしました。今後は、製造部門の事業構造改革の継続実施に加え、既存の取引先のシェア拡大、新規製品の受注、新規取引先の開拓などの諸施策の積極的な推進継続などにより、更なる収益の拡大を目指してまいります。
② メガネフレーム
メガネフレームの売上高は1,049,091千円となり、前年同期比で63,742千円(6.5%)増加いたしました。メガネフレームの販売子会社である㈱村井は、仕入コストは、円安により上昇し、また国内眼鏡市場は、大型チェーン店に比べ中小チェーン店などからの受注は依然として厳しい状況ではありますが、開催された展示会の来場者数が前年に比べ増加するなど復調の兆しが見えており、また訪問営業の完全再開などにより、売上高はコロナ禍前の水準に回復しつつあります。
これにより、セグメント利益は11,368千円(前連結会計年度は35,306千円)となりました。今後は、損益を重視した営業の強化継続や主要ブランド以外の既存ブランドの育成などにより、更なる収益の維持拡大を目指してまいります。
③ 釣具・応用品
釣具・応用品の売上高は966,849千円となり、前年同期比で117,791千円(13.9%)増加いたしました。このうち、釣具用部品は、前述のベトナム工場の製造停止の影響の解消に加え、円安の進行が重なり、その上感染症の影響もなく高級品向けを中心に好調を維持し、コロナ禍前を超える水準となっており132,497千円(17.1%)の増加となりました。また、釣具用部品は、4期連続二桁の伸びを記録しており、第三の柱に成長しました。一方、静電気除去器などの応用品は、感染症の影響などによる受注の減少が継続しており、11,760千円(16.6%)の減少となりました。
これにより、セグメント損失は78,639千円(前連結会計年度はセグメント利益23,767千円)となりました。原材料価格の高騰や円安の進行による労務費などの製造コストの増加がありましたが、今後は、更なる収益の拡大を目指すとともに、製造部門の事業構造改革の継続実施などにより、セグメント損益の黒字化を目指してまいります。
(2) 事業構造改革
当社グループは、収益構造を安定的又は継続的に利益を生み出す体質に変えるため、また、キャッシュを確保し当面の資金繰りに目処をつけるため、平成31年度より事業構造改革を実施しております。前年度は主に、ASEAN地域における製造子会社2社を中心に、サプライチェーンの基盤強化を行いました。当年度も、引き続きASEAN地域の製造部門を中心に、サプライチェーンの基盤強化の推進を継続するとともに、採算性の向上を目指してまいりました。今後は、ウクライナ情勢や世界的な金融引締めなどによる不透明感は残りますが、更なる収益の拡大を見込んでおります。
財務面におきましては、当社グループの取引金融機関に対し、長期借入金元本の返済条項の緩和を要請し、要請している全ての取引金融機関から同意を頂いており、今後も継続的な支援を受けられる見込みであります。また、当社グループは、取引金融機関より借入金元本の一定期間の返済猶予を受けておりましたが、返済の目途が立ったことから、令和4年12月及び令和5年度1月において、借入金元本の一部返済を実行いたしました。
これにともない、当連結会計年度におきましては、事業構造改善費用31,492千円(前連結会計年度は67,324千円)を事業構造改革費用として特別損失に計上しております。内訳は、報酬等の支払いであります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性に係わる情報
当社グループは、主に長期及び短期借入により資金を調達しております。また、財務体質の改善を進めるため、キャッシュマネージメントシステムの導入などにより、グループ全体としての資金効率の向上と手元流動性の確保に努めております。
当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況 b.キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度における、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は5,301,505千円となり、前連結会計年度末と比べ64,598千円減少しました。このうち、流動資産は2,807,411千円となり、6,961千円増加しました。これは主に売上高の増加にともなう現金及び預金の増加、売掛金、原材料及び貯蔵品のそれぞれの減少などによるものであります。固定資産は2,494,094千円となり、68,613千円減少しました。これは主に、有形及び無形固定資産の減価償却による減少などによるものであります。
負債合計は4,039,793千円となり、148,297千円減少しました。流動負債は3,514,693千円となり、74,541千円増加しました。固定負債は525,099千円となり、222,839千円減少しました。これらは主に長期借入金から短期借入金への振替などによるものであります。
純資産は1,261,712千円となり、83,698千円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加及び為替換算調整勘定の減少などによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度と比較して、104,827千円増加し591,313千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は217,709千円(前連結会計年度は173,640千円の支出)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益225,995千円及び減価償却費195,619千円の計上などであります。一方、支出の主な内訳は、為替相場の変動による為替差益の計上240,285千円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は28,981千円(前連結会計年度は42,639千円)となりました。支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出16,881千円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は83,183千円(前連結会計年度は28,536千円の収入)となりました。支出の主な内訳は、短期借入金の返済などによる短期借入金の純減額80,755千円などであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1) 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3) 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としており
ます。
(注4) 利払いは、キャッシュ・フロー計算書に計上されている「利息の支払額」を使用しております。
(注5) 平成31年3月、令和3年3月及び令和4年3月は営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・
フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、連結決算日における資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
有形固定資産及び無形固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能性価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の減損の判定において、将来キャッシュ・フロー及び長期成長率等について一定の仮定を設定しておりますが、将来の不確実な経済状況及び会社の経営状況等の影響により、その見積り額を前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(6) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間取引はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引はありません。
2.時計関連及び釣具・応用品の受注残高が大幅に減少しておりますが、これは前連結会計年度の新型コロナウイルス感染症拡大にともなう約3ヶ月間に及ぶNISSEY VIETNAM CO.,LTD.の製造停止の影響による受注残高の積み上げが、増産対応により解消したことなどによるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引はありません。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
該当事項はありません。
(令和5年3月31日現在)
(令和5年3月31日現在)
(注) 1. 土地面積欄の[ ]内は、賃借中のものであり、外数で記載しております。
2. 従業員数は就業人員であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1.有償第三者割当増資 発行価格106円 資本組入額53円
割当先 株式会社ジエンコ
2.有償第三者割当増資 発行価格79.2円 資本組入額39.6円
割当先 株式会社キュロー
令和5年3月31日現在
(注) 1.自己株式209,792株は「個人その他」に2,097単元、「単元未満株式の状況」に92株含まれております。
2.上記「その他の法人」には、証券保管振替機構名義の株式が50単元含まれております。
令和5年3月31日現在
(注) 上記のほか当社保有の自己株式 209千株があります。
1. 報告セグメントの概要
(1) 報告セグメントの決定方法
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、本社に営業部門を置き(又はNISSEY VIETNAM CO.,LTD.に担当者を配置)、営業部門は取り扱う製品について国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
従って、当社は営業部門を基礎とした製品別セグメントから構成されており、「時計関連」、「メガネフレーム」及び「釣具・応用品」の3つを報告セグメントとしております。
(2) 報告セグメントに属する製品(及び商品)の種類
「時計関連」は、主にウレタン製の時計バンド、ステンレス、アルミニウム、チタニウム及びセラミック等金属製の時計バンド、ステンレス、アルミニウム及びチタニウム製のベゼルや樹脂製のケース等の時計外装部品などの製造(仕入)販売をしております。
「メガネフレーム」は、主にチタニウムフレーム、アルミニウムフレーム、チタニウムと異素材のコンポジットフレーム、サングラス及びセルフレームの仕入販売などをしております。
「釣具・応用品」は、主に釣具用部品、健康器具、静電気除去器、ウエアラブル関連、医療機器用部品、音響機器用部品などの製造販売をしております。
(3) 報告セグメントの変更等に関する事項
当連結会計年度において、明瞭性を高めるため、従来「その他」としていた報告セグメントの名称を「釣具・応用品」に変更しております。当該変更は、報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
なお、前連結会計年度については、変更後の名称及び区分により作成したものを記載しております。