ヤマハ株式会社
(注) 1 第196期より国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2 希薄化後1株当たり当期利益については、希薄化効果を有する潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
3 2021年5月に公表されたIFRS解釈指針委員会によるアジェンダ決定「給付の勤務期間への帰属(IAS第19号「従業員給付」に関連)」に基づき、第199期より会計方針の変更を行いました。これに伴い、第198期に係る主要な経営指標等については、当該会計方針の変更を遡って適用した後の指標等としております。 なお、第197期以前に係る累積的影響額については、第198期の期首の資本に反映しております。
(注) 1 第196期の日本基準による主要な経営指標等につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
3 第196期より、海外子会社では、IFRSを適用しております。IFRSの適用は、2018年4月1日を移行日としており、第195期末における純資産への累積的影響額については、第196期の期首の純資産へ反映しております。また、各海外子会社のIFRS適用にあたり、IFRS第16号「リース」を第196期より適用しております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」 (企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を198期の期首から適用しており、第198期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
当社グループの歴史は1887年、創業者である山葉寅楠が1台の輸入オルガンを修理したことに始まります。
1887年の創業以来、音・音楽に関連する事業を中核としながら、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけることを目指してきました。
当社グループは、当社、子会社63社及び関連会社4社で構成され、楽器事業、音響機器事業及びその他の事業の3つのセグメントで、グローバルに事業を展開しております。音・音楽を中心にした事業を通じて磨いてきた感性と多彩な技術を融合し、それぞれの事業領域で、当社グループならではの価値を生み出しております。
楽器の製造・販売、音楽教室等の運営、音楽・映像ソフトの制作・販売など多彩な事業を展開しております。初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに評価されるこれらの製品・サービスは、アーティストとの対話により進める研究開発やグローバルに展開するきめ細かな営業・サービス活動に支えられております。
「音・音楽」をコアとして培ったデジタルとアコースティックの技術を生かし、業務用からコンシューマー向けまで多彩なソリューションを提供しております。業務用音響機器、音楽制作機器・ソフトウェア、ホームオーディオ機器、音声コミュニケーション機器、ネットワーク機器、防音室まで幅広い製品で構成されております。
電子デバイス、自動車用内装部品、FA(Factory Automation)機器からなる部品・装置事業と、ゴルフ用品事業及びリゾート事業でも、楽器の製造・販売を通じて蓄積した技術・ノウハウを生かして、お客様に満足いただける製品とサービスを提供しております。
各事業における主要製品及びサービスとその概要は、以下のとおりであります。
事業の系統図及び各事業に携わる主要な関係会社の名称は以下のとおりであります。

(注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2 議決権の所有割合欄の(内書)は間接所有であります。
3 特定子会社に該当しております。
4 Yamaha Corporation of America(連結)、Yamaha Music Europe GmbH及び雅馬哈楽器音響(中国)投資有限公司については、売上収益(連結会社相互間の内部取引売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。IFRSに基づいて作成された同社の財務諸表における主要な損益情報等は、次のとおりであります。
(2023年3月31日現在)
(注) 1 従業員数は就業人員数であります。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
(2023年3月31日現在)
(注) 1 従業員数は就業人員数であります。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注)1 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推
進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3 男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しており、賃金は基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除いております。パート・有期労働者については正社員の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。
4 各指標における計算の対象期間は2022年4月1日から2023年3月31日までであり、出向者は出向元の従業員として集計しております。
② 連結子会社
(注)1 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推
進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
4 男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しており、賃金は基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除いております。パート・有期労働者については正社員の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。
5 各指標における計算の対象期間は2022年4月1日から2023年3月31日までであり、出向者は出向元の従業員として集計しております。
中期経営計画「Make Waves 2.0」の概要
当社グループは、2022年4月からの3年間を対象とした中期経営計画「Make Waves 2.0」を策定しました。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営環境認識
COVID-19により、デジタル化、多様化、サステナビリティへの意識の高まりなど、前中期経営計画で前提としていた環境変化が一気に加速しました。人の移動や対面の活動が制約される一方で、オンラインを介したモノや情報のやりとりが拡大し、新しい生活様式に対応する製品、サービスが生まれてきています。サステナビリティ意識の一層の高まりは、人々の関心が経済的繫栄を超えた本質的な心の豊かさに向かっていることの証左であると考えられます。これらの環境変化によってもたらされる「新たな社会」は音・音楽を原点に“技術×感性”で新たな感動と豊かな文化を追求してきた当社グループにとって、さらなる大きな機会となると認識しています。

(2) 経営ビジョンと中期経営計画の基本方針
[経営ビジョン(中長期的に目指す姿)]
[基本方針]
当社グループは事業活動を通じて、「世界中の人々のこころ豊かなくらし」を実現することを目指しています。そのために、「感動を・ともに・創る:私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます」を企業理念に掲げ、我々の行動の原点としています。
中長期的に目指す姿「なくてはならない、個性輝く企業になる」を経営ビジョンとして、中期経営計画の各ステージで企業価値を高めてきました。
新たなステージである中期経営計画「Make Waves 2.0」では、ポストコロナで大きく様相が変化した新たな社会で持続的な成長力を高めることを基本方針とし、さらに企業価値を向上させていきます。

(3) マテリアリティ策定と3つの方針
「事業基盤」、「環境・社会」、「人材」の3領域10項目をマテリアリティとして策定しました。中期経営計画ではこれらのマテリアリティに基づき3つの方針を設定しました。

(4) 3つの方針の詳細
3つの方針の具体的な取り組みとして、各方針に3つの重点テーマを設定しました。これらの重点テーマに沿った施策を着実に遂行することで、当社は新たな社会で持続的な成長力を高めます。

1.事業基盤をより強くする
デジタルマーケティングとリアル拠点の活動を統合したブランド体験の提供に加え、メーカー直販の仕組みの拡大により、顧客との繋がりを強化し、一層のブランド価値向上を進めます。また、製品・サービスにおいてはヤマハの強みであるアコースティック技術とデジタル技術に加え、AIとネットワークをヤマハならではの感性により結びつけ、新たな体験を創造します。外的環境の変化に柔軟に対応できる事業組織としていくために調達・生産のレジリエンスを強化しつつ、DXにより新たな価値を創出します。
① 顧客ともっと繋がる :直接顧客と繋がる販売の進化、デジタル×リアルを統合した価値訴求、
顧客情報基盤を拡充
② 新たな価値を創出する :アコースティック技術とデジタル技術の融合、サービス・情報提供基盤
の構築、新たな感動体験を創造
③ 柔軟さと強靭さを備え持つ:レジリエンス強化、開発基盤の強化、DXによる新たな価値の創出
2.サステナビリティを価値の源泉に
2050年カーボンニュートラルを目指した事業活動におけるCO2排出量削減や持続的な木材の利用を通じ、地球環境の保全に努めます。製品・サービスを通じて新たな社会の様々な課題を解決し、快適で安全な暮らしに貢献することで社会価値を創造します。また多種・多彩な楽器の供給を通じた世界の音楽シーンへの貢献、新興国における器楽教育普及など、音楽文化全体の普及・発展に力を尽くします。
① 地球と社会の未来を支えるバリューチェーンを築く :カーボンニュートラル、持続可能な木材、
省資源・廃棄物削減
② 快適なくらしへの貢献でブランド・競争力を向上する:遠隔・非接触サービス、耳の保護、
音楽によるQoL向上
③ 音楽文化の普及・発展により市場を拡大する :新興国の器楽普及、ローカルコンテンツ、
技術者育成
3.ともに働く仲間の活力最大化
ともに働く仲間の活力は、事業活動を行う上で最も重要な要素であり、社会価値、企業価値を創造するための原動力です。従業員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、一人ひとりの個性を活かす経営を行います。組織内、組織間の多面的な対話機会の創出により、心理的安全性が確保された働きやすい職場づくりを進め、多様な人材の知恵や発想から多くの挑戦や共創が生まれる組織風土を醸成します。
① 働きがいを高める :グローバルリーダーの育成、自律的なキャリア
開発支援、柔軟な働き方支援
② 人権尊重とDE&Iを推進する :人権デューディリジェンス、多様な人材構成、
女性活躍推進
③ 風通しがよく、皆が挑戦する組織風土を醸成する:対話機会の創出、組織風土・文化のさらなる変革
(5) 経営目標
① 非財務目標
1.事業基盤をより強くする
2.サステナビリティを価値の源泉に
3.ともに働く仲間の活力最大化
② 財務目標
(中期経営計画策定時の想定為替レート:USD 115円/ EUR 130円)
③ 投資と株主還元
創出したキャッシュを成長投資と株主還元にバランス良く配分します。
[投資]
・通常投資 : 400億円
・戦略投資 : 650億円(生産施設・設備、サステナビリティ、新規事業、M&A等)
[株主還元]
継続的かつ安定的な配当を基本としますが、将来の成長投資のための適正な内部留保とのバランスを考慮しながら、資本効率の向上を目的とした機動的な株主還元も適宜、実施します。3年累計で総還元性向50%を目標とします。
(6) ガバナンス
指名委員会等設置会社の特長を活かし、定期的な評価を行いながら、より実効性の高いコーポレートガバナンスを目指して継続的な向上を図ります。またグループガバナンスのしくみの整備を進め、リスク対応力の向上と健全で強固な経営基盤を実現します。
(7) 事業ポートフォリオと方向性
中長期的に企業価値を向上させるため、成長・中核・育成・再構築の4象限に各事業を位置づけ、経営資源を適切に配分するポートフォリオマネジメントを進めます。

① 楽器事業
新たな社会に合致した販売とマーケティングの強化により、高付加価値商品の拡売を進めます。電子楽器は成長事業として、需要創造により市場成長を牽引し事業規模を拡大します。ギターは育成事業として、中高級価格帯を中心にブランド力向上へ向けた施策を展開し、収益性を向上させながら規模を拡大します。ピアノ・管弦打楽器は中核事業として、プレミアムブランドの地位を確立し、一層の収益強化を進めます。
② 音響機器事業
再構築事業として位置づけ、コロナ禍により大きく変化した音響機器の新たな市場へ事業ドメインを拡大します。法人向け市場では、企業・公共施設・学校などに、専門知識がなくても快適な音環境が得られる音響システムを提供します。個人向け市場では、オンラインゲームや制作・配信のシーンに、高品質な音を簡便な設定で実現できるソリューションを提供します。これらの需要に対応するため、保有する多彩な技術資産やリソースを柔軟に組み換え、各市場に最適な製品やソリューションを効率的に提供できる開発プラットフォーム・体制を整備します。
③ その他の事業(部品・装置、その他)
育成事業として位置づけ、前中期経営計画より取り組んできた電子デバイス事業の車載オーディオを核に、CASE時代に対応した車内音空間へのソリューション提供を新たな事業の柱として確立します。FA事業においては、超音波技術やセンシング技術による超音波検査機器やEV電池用リークテスターなどの検査機で、新たな市場の開拓を目指します。
当社グループは、リスクへの対応力を向上させ、健全で透明性の高い経営を実践するため、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでおります。当社は、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しております。同委員会の下部組織として、全社横断的な重要テーマについて活動方針の策定やモニタリングを行う「BCP・災害対策部会」「財務管理部会」「コンプライアンス部会」「輸出審査部会」「情報セキュリティ部会」を設置しております。また、事業活動において全社的な影響が及ぶような重大なリスクが顕在化した場合には、代表執行役社長を総本部長とするリスク対策総本部を設置し、当該リスクに対応します。
リスクマネジメント委員会では、識別した事業に関連するさまざまなリスクを大きく「外部環境リスク」「経営戦略リスク」「事業活動に係る業務プロセスリスク」「経営基盤に係る業務プロセスリスク」の4つに分類し、リスクの重要性を想定損害規模と想定発生頻度に応じて評価しており、各リスクに対するコントロールレベルを評価し、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに担当部門を定め、リスク低減活動の推進によりコントロールレベルの引き上げを図っております。
経営者が連結会社の経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。


当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、退職後給付の勤務期間への帰属についての会計方針の変更を行っており、遡及処理の内容を反映させた数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、その性質上、実際の結果と異なる可能性があります。
重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除等社会活動が再開される中、世界経済は、徐々に持ち直してきてはいるものの、エネルギー・原材料価格の高騰による世界的な物価上昇とこれを抑制するための各国の金融引き締めによる景気の下押しなど、依然として先行きが不透明な状況が続いています。
このような環境の中で当社グループは、中期経営計画「Make Waves 2.0」を「世界中の人々のこころ豊かなくらし」の実現に向け、ポストコロナの新たな社会で持続的な成長力を高める3年間と位置づけ、3つの方針「事業基盤をより強くする」、「サステナビリティを価値の源泉に」、「ともに働く仲間の活力最大化」を掲げて各施策を進めてきました。
《事業基盤をより強くする》
“顧客ともっと繫がる”では、ヤマハが展開する様々なウェブサービスやソフトウェアサービスを一つのログインIDで利用可能にするYamaha Music IDの導入や、ブランドショップでのショールーム機能の拡充など、お客様との直接の接点が拡大しました。また、人気アニメとのコラボレーション企画等、新たな顧客層へ楽器演奏を始めるきっかけとなる様々なアプローチも展開しています。“新たな価値を創出する”では、憧れのピアニストとの連弾ができるAIピアノによる合奏技術や、リアルタイムで有名歌手の歌声になれるAI歌声変換技術などヤマハの先進的な技術と豊かな感性でお客様に新しい体験を多数提供することができました。また、ユーザーの音楽ライフをより愉しく、創造的なものにしていくためのサービス事業の構想として取り組んでいる「Yamaha Music Connect」については、ヤマハが持っている様々な技術、コンテンツ、アプリケーションを結集するとともに、社外のリソースやサービスも取り込んだエコシステムの構築に向け、取り組んでいます。“柔軟さと強靭さを備え持つ”では、製造拠点のエリア統括体制の整備、調達先・部品種類の戦略的な見直し、同一商品群の複数拠点生産など、調達・生産における柔軟性とリスク対応力を向上させています。中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標とその進捗は以下の通りです。

◎:計画を上回る 〇:ほぼ計画通り △:施策は進むも計画から遅れ
《サステナビリティを価値の源泉に》
“地球と社会の未来を支えるバリューチェーンを築く”では、気候変動への対応について、各拠点での省エネ活動の推進や太陽光発電パネルの増設、再生可能エネルギーへの切り替えなど、2050年カーボンニュートラルを目指して着実に取り組みが進んでいます。また、持続可能性に配慮した木材の利用については、認証木材の拡大や北海道・タンザニアなどでの「おとの森活動」を通じて楽器の材料となる希少樹種の育成・保全活動を継続推進しています。“快適なくらしへの貢献でブランド・競争力を向上する”では、「だれでもピアノ」の研究開発など、音のバリアフリーを目指して様々な商品でユニバーサルデザインへの取り組みを積極的に行っています。“音楽文化の普及・発展により市場を拡大する”では、インドでの「初等教育への日本型器楽教育導入事業」が、文部科学省による「令和4年度第2回EDU-Portニッポン応援プロジェクト」の一つに選ばれるなど、器楽教育の普及に貢献しています。中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標とその進捗は以下の通りです。

◎:計画を上回る 〇:ほぼ計画通り △:施策は進むも計画から遅れ
《ともに働く仲間の活力最大化》
“働きがいを高める”では、社員が自律的にキャリアを描くための支援や副業など柔軟な働き方を実現するための各種制度・仕組みを充実させました。“人権尊重とDE&Iを推進する”では、人権デューディリジェンスや人権教育を充実させるとともに、グローバル人材や女性などの活躍推進を図り、多様な人材がより活躍できるための環境を整備しています。“風通しがよく、皆が挑戦する組織風土を醸成する”では、心理的安全性を高めるために、各部門で様々な創意工夫を凝らした対話の機会を増やしています。また、誰もが生き生きと仕事ができる環境として、2024年春竣工に向け、2つの拠点を整備しています。一つは営業部門・スタッフ部門を集結し、隣接する3つの建物とともに各機能の人材交流の促進をコンセプトに、本社棟の建設を行っています。もう一つは、首都圏の営業拠点を統合することに加え、ブランド発信やR&D機能を有したオープンイノベーションを促進する新拠点となる「横浜シンフォステージ」です。今後もヤマハに集う多様な人材一人ひとりにとって働きやすさと働きがいを感じられる職場づくりに、引き続き取り組んでいきます。中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標とその進捗は以下の通りです。

◎:計画を上回る 〇:ほぼ計画通り △:施策は進むも計画から遅れ
中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標「売上成長率 20%」「事業利益率 14%」「ROE 10%以上」「ROIC 10%以上」は、当連結会計年度においてそれぞれ10.6%、10.2%、8.8%、7.8%となりました。
(イ)セグメントごとの売上収益の状況
当連結会計年度の売上収益は、半導体調達難、エントリーモデルの需要減、および中国での新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受けたものの、対USドルの為替レートが大幅な円安になったこともあり、前期に対し432億12百万円(10.6%)増加の4,514億10百万円となりました。
楽器事業は、エントリーモデルの需要減が続き、中国では新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受けたものの、為替の影響により、前期に対し264億99百万円(9.6%)増加の3,026億53百万円となりました。
商品別では、ピアノは、主力の中国市場で新型コロナウイルス感染症による影響で販売が低迷し減収となりました。電子楽器は、楽器演奏環境の正常化が進み、中高級モデルの需要が堅調に推移したものの、エントリーモデルの需要が減少し減収となりました。管楽器は、各地で学校での吹奏楽活動が再開し、北米では米国政府による小中学校向け財政支援も寄与して大幅な増収となりました。ギターは、エントリーモデルの需要減少でアコースティックギターが苦戦したものの、エレキギターやギターアンプなどが好調であり増収となりました。
地域別では、日本は、学校での吹奏楽活動が再開され需要が回復した管弦打楽器、アニメの効果により需要が高まったギターが増収となったものの、物価高による消費意欲の低下がみられるピアノや電子楽器により、全体では減収となりました。北米及び欧州は、インフレによる生活コストの上昇から消費者の生活防衛姿勢が強く、エントリーモデルの需要に弱さが見られるものの、中高級品の需要が堅調であり、為替の影響もあり増収となりました。中国は、新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受け、販売が低迷し減収となりました。その他の地域では、新型コロナウイルス感染症の影響から脱却し、各地で経済の正常化が進み、地域全体として増収となりました。
音響機器事業は、エントリーモデルの販売不振による影響を受けたものの、半導体調達難の一部改善により、前期に対し107億17百円(11.1%)増加の1,076億41百万円となりました。
商品別では、オーディオ機器は、半導体調達難の影響に加え、低価格サウンドバーの販売不振などもあり、減収となりました。業務用音響機器は、ライブ市場や設備市場が堅調で、下期には半導体調達難の改善もあり、増収となりました。ICT機器は、企業のDX推進やサイバーセキュリティ対策強化を背景に、ネットワーク投資が拡大し、増収となりました。
その他の事業の売上収益は前期に対し59億96百万円(17.1%)増加の411億15百万円となりました。
部品・装置事業では、電子デバイスは、中国自動車メーカー向けのヤマハブランドオーディオが販売を伸ばし、増収となりました。自動車用内装部品、FA機器は、半導体調達難による顧客企業の減産や、投資案件の延期や減少の影響を受け、減収となりました。ゴルフ事業では、韓国で大きく販売を伸ばし、増収となりました。
(ロ)売上原価と販売費及び一般管理費
売上原価は前期に対し268億9百万円(10.6%)増加の2,802億70百万円となりました。売上原価率は、前期と同様62.1%となりました。
売上総利益は前期に対し、164億3百万円(10.6%)増加の1,711億39百万円となりました。売上総利益率は、前期と同様37.9%となりました。
また、販売費及び一般管理費は、前期に比べ135億65百万円(12.1%)増加し、1,252億72百万円となりました。売上収益販売管理費比率は、前期から0.4ポイント上昇し27.8%となりました。
(ハ)事業利益
事業利益は、前期に対し28億37百万円(6.6%)増加の458億67百万円となりました。
報告セグメントごとの事業利益では、楽器事業は、為替のプラス影響70億円があったものの、前期に対し11億31百万円(3.0%)減少の362億円となりました。音響機器事業は、為替のマイナス影響19億円があったものの、前期に対し19億27百万円(125.3%)増加の34億66百万円となりました。その他の事業は、為替のプラス影響13億円を含め、前期に対し20億41百万円(49.1%)増加の62億円となりました。
要因別には、販売管理費の増加(50億円)や、エネルギー・調達コストの上昇(60億円)等の減益要因があったものの、増収・増産、モデルミックス及び価格適正化(87億円)や為替影響(65億円)等の増益要因により、前期に比べ増益となりました。
(注)事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものです。
(ニ)その他の収益及びその他の費用
その他の収益は、固定資産売却益47億円を計上した前期に対し55億52百万円(73.5%)減少の20億6百万円となりました。その他の費用は、前期に対し1億38百万円(11.1%)増加の13億89百万円となりました。
(ホ)金融収益及び金融費用
金融収益は、前期に対し12億82百万円(22.1%)減少の45億9百万円となりました。金融費用は、前期に対し16億60百万円(79%)減少の4億41百万円となりました。
(ヘ)税引前当期利益
税引前当期利益は、前期に対し24億75百万円(4.7%)減少し505億52百万円となりました。売上収益税引前当期利益率は、前期から1.8ポイント下落し11.2%となりました。
(ト)法人所得税費用
法人所得税費用は、主として繰延税金費用の減少により、前期に対し32億91百万円(21%)減少の123億75百万円となりました。
(チ)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に対し9億15百万円(2.5%)増加の381億83百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期の214円87銭から222円64銭となりました。
(リ)為替変動とリスクヘッジ
海外子会社の売上収益は、期中平均レートで換算しております。当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前期に対し約23円円安の135円となり、前期に対し約235億円の増収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前期に対し約10円円安の141円となり、前期に対し約62億円の増収影響となりました。また、人民元など、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前年同期に対し約144億円の増収影響となり、売上収益全体では、前期に対し約440億円の増収影響となりました。
また、事業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、海外子会社の事業利益の換算等により、約25億円の増益影響となりました。ユーロの決済レートは、前期に対し約5円円安の136円となり、約20億円の増益影響となりました。また、他の通貨を含めた全体では前期に対し約65億円の増益影響となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
当社グループは、製品の性質上、原則として見込生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は外部顧客に対する売上収益であります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の5,806億62百万円から135億84百万円(2.3%)増加し、5,942億46百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末から161億31百万円(4.4%)減少し、3,465億45百万円となり、非流動資産は、297億15百万円(13.6%)増加し、2,477億1百万円となりました。流動資産では、為替変動の影響に加え、半導体調達難等に起因する一部製品の生産遅れやエントリーモデルの需要減、中国での新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受け棚卸資産が増加しました。また、棚卸資産の増加、グループファイナンス拡大に伴う短期借入金の返済及び前連結会計年度の投資有価証券の売却に伴い増加した未払法人所得税の支払いにより現金及び現金同等物が減少しました。非流動資産では保有有価証券の時価上昇により金融資産が増加し、設備投資により有形固定資産が増加しました。また、Cordoba Music Group, LLCの持分取得により、のれんが増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の1,637億94百万円から274億91百万円(16.8%)減少し、1,363億2百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末から309億74百万円(24.6%)減少し、951億40百万円となり、非流動負債は、前連結会計年度末から34億82百万円(9.2%)増加し、411億62百万円となりました。流動負債では、グループファイナンス拡大に伴う短期借入金の返済により有利子負債が減少し、前連結会計年度の投資有価証券の売却に伴う法人所得税の支払いにより未払法人所得税が減少しました。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末の4,168億67百万円から410億76百万円(9.9%)増加し、4,579億44百万円となりました。自己株式の取得及び配当金の支払いによる株主還元を行ったものの、当期利益により利益剰余金が増加したことに加え、為替変動の影響及び保有有価証券の時価上昇によりその他の資本の構成要素が増加したことで、全体では増加となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ686億8百万円減少(前期は431億50百万円増加)し、期末残高は1,038億86百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税引前当期利益に対し、半導体調達難等に起因する一部製品の生産遅れやエントリーモデルの需要減、中国での新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受け棚卸資産が増加したことに加え、前連結会計年度の投資有価証券の売却による法人所得税の支払いもあり、148億41百万円の支出(前年同期は360億16百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得およびCordoba Music Group, LLCの持分取得により、215億63百万円の支出(前年同期は主として投資有価証券の売却により、437億7百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、主としてグループファイナンス拡大に伴う短期借入金の返済や配当金の支払い、自己株式の取得等により、352億87百万円の支出(前年同期は主として自己株式の取得により、444億26百万円の支出)となりました。
(イ)資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。
当連結会計年度の設備投資額は、前期の148億35百万円から57億5百万円(38.5%)増加し、205億41百万円となりました。新オフィスの建設、設備の更新改修を中心として減価償却費(130億94百万円)を超える設備投資を行いました。
研究開発費は、前期の240億32百万円から10億25百万円(4.3%)増加し、250億57百万円となりました。売上収益研究開発費比率は前期の5.9%から0.3ポイント減少し、5.6%となりました。
(ロ)資金調達
運転資金及び設備投資資金について、当社及び国内子会社、一部の海外子会社においてグループ内資金を有効活用するためグループファイナンスを運用しています。また、一部の子会社においては、借入金額・期間・金利等の条件を総合的に勘案し、金融機関から借入を行っております。
特記すべき事項はありません。
当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。
(2023年3月31日現在)
(2023年3月31日現在)
(2023年3月31日現在)
(注) 1 帳簿価額は、建設仮勘定を除いた残高であります。
2 有形固定資産のその他は、構築物、車両運搬具、工具、器具及び備品であります。
3 Yamaha Artist Services,Inc.の設備を含んでおります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1 発行済株式総数の減少は、自己株式の消却によるものであります。
2 資本準備金の額の減少は、会社法第448条第1項の規定に基づき、その他資本剰余金へ振り替えたものであります。
(2023年3月31日現在)
(注) 自己株式16,858,633株は、「個人その他」に168,586単元、「単元未満株式の状況」に33株含まれております。
(2023年3月31日現在)
(注) 1 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は次のとおりであります。
2 上記のほか当社所有の自己株式16,858千株があります。
3 2015年7月6日付で公衆の縦覧に供された大量保有報告書において、ブラックロック・ジャパン株式会社及びその共同保有者8社が2015年6月30日現在で以下の株式を所有している旨が記載されていたものの、当社として2023年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。
4 2018年10月1日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、株式会社三菱UFJ銀行及びその共同保有者3社が2018年9月24日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。
5 2021年1月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、野村證券株式会社及びその共同保有者2社が2021年1月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。
6 2021年9月24日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、株式会社みずほ銀行及びその共同保有者2社が2021年9月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができない部分については、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。
7 2021年11月19日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、三井住友信託銀行株式会社及びその共同保有者2社が2021年11月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、当該報告書の内容は以下のとおりであります。
(注)連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (18)会計方針の変更 参照
(注)連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (18)会計方針の変更 参照
(注)連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (18)会計方針の変更 参照

























