株式会社サンリオ
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第59期、第60期、第62期及び第63期は、潜在株式が存在しないため記載しておりません。第61期は、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第62期の期首から適用しており、第62期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 2020年3月期の1株当たり配当額35円には、創立60周年記念配当5円を含んでおります。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第59期、第60期、第61期、第62期及び第63期は、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第62期の期首から適用しており、第62期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社サンリオ(当社)及び子会社25社により構成されており、主にキャラクターの使用許諾業務、ギフト商品の企画・販売、テーマパーク事業等を営んでおります。キャラクターの使用許諾業務の主な内容は、商品化権の許諾・管理です。ギフト商品の企画・販売の主な内容は、ギフト商品、グリーティングカード及び出版物の企画・販売や、ビデオソフトの製作・販売です。テーマパーク事業の主な内容は、テーマパークの運営、ミュージカル等の企画・公演です。その他事業の主な内容は、ロボットの販売・賃貸、自動車等の賃貸、損害保険代理業務等です。
事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置づけ並びにセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、次の区分は、セグメント情報の区分と同一であります。
(注)※連結子会社 ※※非連結子会社
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、嘱託、臨時雇用者は除き、執行役員は含めております。
2 臨時雇用者数(定年後の再雇用社員を含む。)は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない当社の社長室及び秘書室に所属しているものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、嘱託、臨時雇用者は除き、執行役員は含めております。
2 臨時雇用者数(定年後の再雇用社員を含む。)は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない社長室及び秘書室に所属しているものであります。
4 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)サンリオの経営の基本方針
当社はホームページにおいて、企業理念を下記のとおり公表しております。

(2)中期的な経営戦略
当社は、2024年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画『未来への創造と挑戦』を2021年5月25日に発表しました。詳細につきましては、「(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①中期経営計画の取り組み
<実施期間>
2022年3月期から2024年3月期までの3ヶ年
<不変の企業理念>
「みんななかよく」
<ビジョン>
「One World, Connecting Smiles.」
一人でも多くの人を笑顔にし、世界中に幸せの輪を広げていく。
<経営目標>
63期については、継続的に取り組んできた「経営の高度化」や既存事業中心に「利益の出る事業構造への転換」が奏功し、新型コロナウイルス感染拡大の経済停滞からの反動、いわゆる“コロナ戻り需要”をしっかりと捉えることができ、想定以上の営業利益で着地することができました。また、再成長に資する「大胆なかつ矢継ぎ早の投資」も同時並行で進め、新規事業中心に“次なる飛躍”の確かな手応えや市場からの期待も得ています。しかしながら、業容拡大に伴う人的リソースやケイパビリティの早期拡充、コンプライアンス意識のさらなる高度化余地、など人的資本経営を進める上での課題も顕在化しています。目先の財務目標だけに拘泥せず、末端まで浸透しきる組織風土改革の完遂、及び成長を見据えた積極投資を引き続き進めてまいります。

<戦略の三本柱>

ⅰ.組織風土改革
経営チームのガバナンスの課題、個別最適や組織のサイロ化、等の課題に対し積極的に対策を講じ、実行力ある組織への変革を進めてまいります。特に中計最終年度は育成・評価等の人事制度関連や、コンプライアンス、労働環境、仕事の充実度等の従業員エンゲージメントに係る新たな施策を導入し、組織風土改革を完遂してまいります。
ⅱ.構造改革の完遂
a.物販事業
聖域化していた国内物販について、利益重視/収益改善を最優先に複数の施策を推進しております。資材高騰等による原価率上昇のリスクは残りますが、それを上回る高水準な実店舗売上が継続してまいります。また、今期はEC事業加速に向け、リソースを強化してまいります。中計最終年度の64期末までに17億円※1の利益改善を掲げており、63期末時点で約40億円の改善額になっています。
※1:対61期比
※2:Direct to Consumer部門における割合
b.海外事業
大きなポテンシャルのある海外事業については、複数の施策を講じ抜本的な改革を進めております。特に米国物販事業の見直し、外部パートナーとの連携推進、中国におけるAlifish社とのマーケティングプラン検討等は順調に進捗しています。11億円の赤字解消を掲げている米国事業については、63期末の時点で約18億円改善しております。今後もOne Global、永続的な価値創造サイクルの早期実現を目指してまいります。
※1:貢献利益(実質的価値創造額)=営業損益+本社へのロイヤリティ支払い額
ⅲ.再成長の種まき
次期中計での大きな収益の柱づくりを見据え、新規IP仕組み作りや教育領域における新規事業等、IPビジネスへの還流/再活性化に資する取り組みを進めております。また、サステナビリティ経営として相応しいESG経営やSDGsの施策取り組みも全社横断・経営直下の重要プロジェクトとして推進してまいります。
※1:等級ベースで計算
※2:対61期比
②長期成長可能な事業の確立
当社グループは、「One World, Connecting Smiles.」というビジョンを掲げ、1人でも多くの人を笑顔にし、世界中に幸せの輪を広げていくことによって「みんななかよく」という企業理念の達成を目指しています。世界中の人に寄り添い、すべての人々を笑顔にできるグローバルエンターテイメント企業として、さらに変革を起こしていきます。
当社グループはこれまで、『ハローキティ』をはじめとしたキャラクターをブランドとして育て、他社にライセンスすること、また、ギフト商品の企画・製造・販売を行うことで利益を獲得し事業を拡大してまいりました。その主たる収益要因は商品化権ビジネス、いわゆるプロダクトライセンスでした。キャラクターは『ハローキティ』が中心でした。2015年3月期から前連結会計年度の2021年3月期まで7期連続で営業減益となったのは、欧州、米州での、プロダクトライセンス中心、『ハローキティ』中心のビジネスに偏ったことが大きな要因であったと考えています。一方で、中国を中心としたアジア地域については、収益の源泉として、商品化権ビジネス(プロダクトライセンス)以外に広告化権ビジネス(企業向けプロモーションライセンス、カフェ、カラオケ店舗や航空機などのスペースデザインライセンス)とフランチャイズ化権ビジネス(店舗ライセンス)、興行権ビジネス(遊園地、水族館、劇場、テーマパークなどのエンターテイメントライセンス)が並立しており、キャラクターも『ハローキティ』をはじめとする主要キャラクターや、毎年送り出される新キャラクターが、競合・補完し合っています。また、マーケットを熟知した優秀な現地マネジメントが常に市場の変化に合わせた経営を行っています。このようなことから、当社が今後長期成長を図る上では、グローバルな視点でのマネジメント体制の構築と、サンリオのキャラクターライセンスビジネスを理解し、市場の変化にチャレンジできる組織体制の確立が不可欠と考えています。中国を中心としたアジア地域のさらなる事業拡大と、『ハローキティ』の再活性化とともに、現地マネジメントを強化し、欧米市場の再成長、そして中東、東欧、インド、アセアン諸国、アフリカ、中南米などの新規市場の開拓を実行していくことが、当社の長期成長を確実にするものと確信しております。
③ダイバーシティ・マネジメントの活用
当社グループは130の国と地域にキャラクタービジネスを展開しており、今後もますます地域を広げていこうとしております。また、キャラクタービジネスはお子様からお年寄りまで年齢に関係なくマーケットが広がっております。このような状況では、ダイバーシティの考えに根差した商品開発と企業との密接な協業が必須となる一方で、各地域、文化、思想で分断された戦略ではグローバルな人材と商品の流れ、流行への迅速な対応が困難です。そこで、グローバルに一体化した情報管理システムとダイバーシティ・マネジメントによるグローバルなマーケティング体制と連結グループ経営の確立が必須と認識しております。
④キャラクターポートフォリオの構築
キャラクターの開発、育成は、当社の根幹の課題であると認識しております。長期成長には『ハローキティ』を中心とし、二番手キャラクターとしての『マイメロディ』『リトルツインスターズ』『シナモロール』『ポムポムプリン』『クロミ』などの強化、そして、それに続く誰からも愛されるような新キャラクターの不断の開発が重要である一方で、SNSやネット配信などを含むメディア、ゲームなどを通じて『アグレッシブ烈子』『ぐでたま』のようなキャラクター開発や、従来とは異なる市場に向けたキャラクターの開発、そして『ミスターメン リトルミス』などによるキャラクターミックスの適正な構築が必須であると確信しております。
⑤世界的な感染症拡大等の危機への対応策の構築
当社グループにおいては、社内外の感染被害抑止と従業員の健康と安全を確保するため、リモートワークの実施、店舗営業の自粛等の緊急の対策を講じてまいりました。今後、世界的な感染症の拡大、気候の変動、紛争の勃発等の予想を超えた事象の発生に備え、在宅勤務時の事業効率化を図るハードウェアやソフトウェアの拡充、それに伴うペーパーレス化の推進、また、商品の製造委託先の所在国の分散などサプライチェーンの見直しによる商品供給リスクの低減を行い、長期にわたり安定した事業運営を継続していくための環境の構築が重要であると認識しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)市場リスク
当社グループは、グローバルに事業展開していることから、当社商品を販売している各国、各地域の経済状況の影響を受けます。顧客にとって当社商品は、日常生活において必ずしも必要不可欠のものではないので、様々な市場の影響を受けて売上高につながらないことがあります。
(2)為替リスク
当社は、中国を中心として海外に8割程度の商品を発注しております。一方、海外売上高比率は約3割で、売上総利益の3割程度が海外地域で発生しております。そのほとんどは海外子会社におけるライセンス事業によるもので、その海外子会社の連結決算過程、またその他本社の外貨建て収支計上において為替変動の影響を受けております。このため外貨収支予測をして債権債務のポジション調整をしておりますが、これにより為替リスクを完全に回避できるとは限らず、また連結財務諸表の作成にあたって適用される為替換算レートにより、海外連結子会社の売上高、売上原価、販売費及び一般管理費等連結財務諸表の各項目について、換算上の影響が生じます。そのことにより、業績に影響を与える可能性があります。
(3)新キャラクター開発力及び人材の確保等事業リスク
当社グループの売上高の大半はキャラクターが関与しております。当社は、キャラクターの開発、育成にあたって、短期の爆発的な人気を追うことよりも、長期安定的な人気を得る方針で、経営を行っております。また、常に新キャラクターの開発の努力を重ねております。しかしながら、各キャラクターの人気には移り変わりがあり、そのことにより業績に影響を受ける可能性があります。
当社のキャラクター開発は、原則として社員が担当しております。そして、開発されたキャラクターは、当社各部門の協力を得て市場に出ることとなります。この場合、著作権は全て当社に帰属します。なお、キャラクター開発部門の重要な人材の安定的な雇用につきましては、各種の動機付けを行う等万全を期しておりますが、雇用を長期に亘って持続できるとは限りません。そのことにより、当社のキャラクター開発力が低下する可能性があります。また、さらに従業員の他社移籍により、他社との開発競争に不利な影響を及ぼす可能性があります。
(4)不良品発生リスク
競合他社との価格競争に対抗すべく商品調達コストの削減をめざして、当社グループは、国内のみならず、中国を中心とした海外メーカーに商品を発注しております。各メーカーに対しては、当社指定の品質基準に従って製造・検品を行い、且つ商品部を通しての安全性や品質向上に向けて最善の注意をいたしております。しかし、不測の品質上の問題が発生した場合には、リコール費用やブランド力低下の影響から売上高の減少により、当社グループの財務状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)災害、事故によるリスク
当社グループは、国内2箇所でテーマパークを営業しており、災害や事故による人身への被害が起こる可能性があります。施設における耐震性確保等安全管理には万全を期しておりますが、予測不能な事態に対しては対応できるとは限りません。その場合において当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)知的財産権についてのリスク
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように、また競業他社と差別化を図り優位性を保つため、知的財産権の確保及び保護のための体制を整備しております。しかしながら、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟が提起されたり、また、第三者から知的財産権の侵害を受けたりする可能性は排除できず、このような事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)感染症等偶発的リスクについて
当社グループでは、日本全国に店舗、東京都町田市に物流拠点、そして、東京都多摩市と大分県にテーマパーク、海外各地にも拠点となる子会社が存在しているほか、販売先、ライセンス契約先、そのお取引先についても、日本全国及び海外に広がっております。そのため、大地震や豪雨、竜巻などの自然災害や疫病が想定を超えて発生した場合、人的被害、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、交通や通信の停止、サプライチェーンの被害等により、取引先への商品・製品の出荷遅延や停止等、また取引先の一時的な営業停止等により、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、取引国間での紛争の発生や、天候不順や自然災害の発生、世界中に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症のような新種の疫病発生に伴い、政府による行動制限や社会的な混乱、心理的要因により、消費者の消費行動や購買内容に重大な変化が生じた場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、それらの影響による将来の収益見込の悪化等により固定資産の減損等が発生し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は1,007億円で、前期末比168億円増加しました。資産の部の主な増加項目は現金及び預金136億円、売掛金23億円、退職給付に係る資産30億円です。主な減少項目は投資有価証券20億円です。
負債の部は444億円で前期末比44億円増加しました。主な増加項目は契約負債10億円、流動負債のその他24億円、リース債務(流動負債及び固定負債合計)8億円です。純資産の部は562億円で前期末比124億円増加しました。主な増加項目は、利益剰余金62億円、為替換算調整勘定27億円、退職給付に係る調整累計額28億円です。その結果、自己資本比率は55.6%で前期末比3.5ポイント上昇しました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は,新型コロナウイルス感染症対策を取りつつ社会経済活動の正常化が徐々に進められてまいりました。行動制限等の緩和に伴い、個人消費は持ち直しの動きが見られ、10月以降は海外観光客による消費も活発化の兆しを見せました。一方で、欧州における紛争の長期化、物価上昇、金融資本市場の変動などの影響により、先行きが不透明な状況が継続しております。
このような状況のなか、当社グループは2024年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「未来への創造と挑戦」の2年目として、「組織風土改革」「国内外構造改革の着手・完遂」「再成長の戦略や成長市場への種まき」を3本柱とする各種施策を着実に推し進め、最終年度の目標としていた営業利益30億円を1年前倒しで大きく上回りました。
国内の店舗・テーマパークは、行動制限がなく全期間を通常営業できたことが奏功いたしました。特に秋以降は、政府の旅行支援策導入により国内人流が活性化するとともに入国規制の緩和により外国人観光客が大幅に増加し、店舗・テーマパークの売上高を押し上げました。また国内・海外のライセンス事業は、複数キャラクター展開が奏功し、新規ライセンシーの獲得に加え既存ライセンシーの商品展開が増え、売上高が伸長いたしました。
なお、サンリオファン会員向けアプリ「Sanrio+」の会員数は3月末現在で約136万人となりました。
連結営業損益に関しては、国内・海外ともに売上高が伸長したことに加え、構造改革の進展により売上原価率が低減し、販売収益性が向上した結果、大幅な増益となりました。
以上の結果、売上高は726億円(前期比37.6%増)、営業利益は132億円(同422.0%増)、経常利益は137億円(同313.6%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、東京国税局による更正処分に対する追徴税額13億円(加算税及び地方税等を含む)を受け、この内12億円を過年度法人税等として計上したことにより、81億円(同138.3%増)となりました。
なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当連結会計年度の対象期間は、2022年1月~12月であります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
ⅰ 日本:売上高523億円(前期比30.2%増)、営業利益105億円(同377.1%増)
a. 物販事業
2022年4月に、コンビニエンスストア関連事業とグローバル物販事業の2つの事業を物販事業本部に移管いたしました。商品企画と製造機能の集約によりグローバルでブランド価値向上を図っております。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大が継続するも行動制限が緩和されたことにより、店舗の客数が増加いたしました。特に秋以降は、入国規制の緩和により外国人観光客が大幅に増加いたしました。人気投票イベント「2022年サンリオキャラクター大賞」で上位となったキャラクター『シナモロール』、『ポムポムプリン』、『クロミ』などの商品化が好調に推移し、大手チェーンストアやコンビニエンスストアなど各販売チャネルの売上高が増加いたしました。また、劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」、「ちいかわ」などの他社有力キャラクターとのコラボレーション商品や、アイドルグループなどの推し活をしている人を応援する「エンジョイアイドルシリーズ」のオリジナル商品、本格始動したベビー向けのブランド「Sanrio Baby」が、新たな客層の開拓に寄与いたしました。上記のとおり、行動制限の緩和や様々な施策による集客の結果、売上高が大幅に伸長いたしました。
営業損益については、売上高の大幅増に加え、販売費及び一般管理費のコスト・コントロールが奏功し、大幅増益となりました。
b. ライセンス事業
複数キャラクター戦略が奏功し、新規ライセンシーの獲得に加え既存ライセンシーの商品展開が増えるとともに、前期の行動制限の反動により、売上高が大幅に伸長いたしました。
商品化ライセンスビジネスは、複数キャラクター展開により選べる楽しさを演出できたことが奏功し、エンターテイメント性、コレクション性を取り入れた菓子類などが好調に推移いたしました。また、SNSの有効活用により商品情報が拡散され、エンドユーザーとのタッチポイントが大幅に増えたことで認知度が向上いたしました。広告化ライセンスビジネスは、外食チェーンの販促キャンペーンや展示会などのイベントが好調に推移いたしました。
営業損益については、増収に伴う売上総利益の伸長により大幅な増益となりました。
c. テーマパーク事業
東京都多摩市のサンリオピューロランドと大分県のハーモニーランドはともに3期ぶりにゴールデンウイークや夏休み、冬休みなどの繁忙期を通常営業できたことで客数が大幅に増加いたしました。また、オリジナル商品が好調に推移するなど売上高が大幅に伸長し、両施設とも3期ぶりに営業黒字となりました。
サンリオピューロランドでは、バーチャルイベント「Nakayoku Connect」の開催やアトラクション「キャラグリレジデンス」を7月に新設するなど、Z世代に響く施策が奏功し、オリジナル商品の売上が伸長いたしました。特に根強い人気のカチューシャやバースデー関連商品、クリスマスなどのシーズン限定商品・飲食メニューが人気を博すとともに、4月に導入した入園チケットの価格変動制による客単価増が寄与し、売上高が大幅に伸長いたしました。営業損益は、売上高の大幅増に加え原価率の低減などにより黒字化いたしました。
ハーモニーランドは、オリジナルショー「シナモロールの青空楽団」の上演、シーズン毎に特色ある演出を加えたパレード、アミューズメントエリアの新設やキャラクタ-グリ-ティングの強化、3期ぶりに営業再開したプール(夏季)、「世界クロミ化計画」のプロモーションなどの魅力的な施策が集客に寄与するとともに、政府の旅行支援策により行楽意欲が高まったことで入園者数が大幅に増加いたしました。また、入園チケットの値上げ(7月)や好調に推移したオリジナル商品が客単価を押し上げ、売上増に寄与いたしました。営業損益は売上増に加え、原価率の低減も進み営業黒字に転換いたしました。
ⅱ 欧州:売上高18億円(前期比7.6%増)、営業損失1億円(同65百万円損失増)
ライセンス事業では、ヘルス&ビューティーカテゴリーのボディソープや香水関連、食品カテゴリーの「ハローキティ キャンディ」の人気が継続いたしました。また、フットウェアカテゴリーではスペイン有名ブランドとのコラボレーションにてグローバル展開した『ハローキティ』のスニーカーが好調に推移し、ブランド価値向上にも寄与いたしました。前期に50周年の特需で売上が伸長した『ミスターメンリトルミス』は、前期には及ばないものの出版やアパレルカテゴリーが堅調に推移いたしました。出版カテゴリーでは、英国の主要ライセンシーの売上が伸長、家庭用品カテゴリーでは引き続き韓国のライセンシーが売上を牽引いたしました。
営業損益は、売上高が伸長したものの、営業強化に伴う販売費及び一般管理費増により営業損失が拡大いたしました。
ⅲ 北米:売上高64億円(前期比81.1%増)、営業利益7億円(前期は4億円の損失)
北米では、デジタル施策の有効活用により認知度を向上させるとともに、IP価値向上につながる戦略ライセンシーを通してブランディングを行う「価値創造サイクル」を構築しております。同サイクルの精度をさらに高め、持続的な成長を目指しております。
物販事業は、ぬいぐるみなどの玩具商品や家庭用品の人気が継続した自社ECが、前年実績を大幅に上回りました。ライセンス事業は、アパレルや玩具、ヘルス&ビューティーカテゴリーが好調に推移いたしました。アパレルカテゴリーは、既存ライセンシーとの取り組みを引き続き強化するとともに、新規ファストファッションライセンシーの獲得により販路が拡大し、売上高が増加いたしました。玩具カテゴリーは、複数キャラクター展開によりぬいぐるみを中心に売上高が伸長いたしました。ヘルス&ビューティーカテゴリーは、新規ライセンシーによりキャラクター露出を高めるとともに、既存ライセンシーの取扱商品数が増加し、売上高が伸長いたしました。また、デジタルカテゴリーは、ゲームアプリケーションなどが好調に推移いたしました。
営業損益については、売上高の大幅伸長により黒字に転換いたしました。
ⅳ 南米:売上高5億円(前期比40.0%増)、営業利益25百万円(同24.9%減)
南米全体では、アパレル、ヘルス&ビューティーカテゴリーのライセンス事業が好調に推移いたしました。メキシコにおけるライセンス事業では、アパレルカテゴリーの幼児から10代をターゲットとしたブランドや大手小売チェーン、ヘルス&ビューティーカテゴリーの衛生商品の売上高が引き続き好調に推移いたしました。また、メキシコシティに2号店をオープンしたハローキティカフェが引き続き好調に推移いたしました。
ペルーではアクセサリーとバッグのライセンス事業が好調に推移いたしました。カフェやイベントなど顧客とのタッチポイントを常に設け、ブランド価値を順調に上げております。
営業損益については、売上高が大幅伸長したものの、宣伝費の増加により減益となりました。
Ⅴ アジア:売上高115億円(前期比65.7%増)、営業利益40億円(同93.2%増)
アジアでは各拠点で売上高が伸長いたしました。
香港・マカオ地区は、ライセンス事業において、銀行や大手コンビニエンスストアとの継続的なプロモーションにより、企業特販カテゴリーが売上高を伸長いたしました。また、複数キャラクター展開が奏功し複数のライセンシーとの取り組みが進んだバッグカテゴリーが売上を牽引いたしました。
台湾は、上海のロックダウンの影響で商品開発が遅れたものの、ライセンス事業において、インテリアカテゴリーが好調に推移するとともに、グローバル展開しているゲームアプリとのコラボレーションにより、デジタルカテゴリーが売上を牽引いたしました。
韓国は、ライセンス事業において、複数キャラクターでの展開を拡大したことが奏功いたしました。特に、流通を強化しているライセンシーの衛生商品や韓国大手芸能事務所所属のアイドルグループとのコラボレーションにより、売上高の大幅な伸長に加え、ブランドの価値向上にも繋がりました。
中国は、ロックダウンの影響を受けたものの、ヘルス&ビューティーカテゴリーやアクセサリーカテゴリーを中心に各カテゴリーが好調に推移し、売上高が大幅に伸長いたしました。また、オンラインイベント期間の売上高の大幅増、旧物販事業会社の統合による経営のスリム化に加え、マスターライセンシーから未払いであった契約期間内における最低保証金不足分の入金が寄与いたしました。
なお、当社とAvex Asia Pte. Ltd.との合弁会社でSANRIO SOUTHEAST ASIA PTE.LTD.(以下、SSEA)が当期より連結子会社となりました。SSEA(本社:シンガポール、地区:東南アジア)は、タイにおいてはアパレルや同国最大手コンビニエンスストアとのコラボレーション、インドネシアにおいてはアクセサリー 、シンガポールにおいてはIC交通カードとのコラボレーションの売上が伸長いたしました。
営業損益については、アジア各国における全体的な売上高の伸びが寄与し、増益となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より82億円増の321億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、115億円の収入(前期比64億円の収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が132億円(前期比83億円増)、減価償却費が18億円(前期比2億円増)、その他の負債の増加額が19億円(前期比17億円増)であった一方、売上債権の増加額が18億円(前期比12億円の収入減)、法人税等の支払額が38億円(前期比29億円の支出増)であったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、20億円の支出(前期は23億円の収入)となりました。これは、投資有価証券の取得売却の差額17億円の収入(前期は15億円の支出)に対し、定期預金預入払戻の差である29億円の支出(前期比20億円増)、有形固定資産の取得売却の差額5億円の支出(前期は55億円の収入)などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは27億円の支出(前期比63億円の支出減)となりました。これは、配当金の支払額18億円(前期比12億円増)、財務活動その他の収支による7億円の支出(前期比1億円増)などによるものです。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ198億円増加し、726億円(前期比37.6%増)となりました。売上高に占める報告セグメント別の割合は、日本が72.0%(前期末比4.1ポイント減)、欧州が2.5%(同0.7ポイント減)、北米が8.9%(同2.1ポイント増)、南米が0.7%(同微増)、アジアは15.9%(同2.7ポイント増)となりました。なお、報告セグメント別の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載しております。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、132億円(前期比422.0%増)となりました。主な増加要因としましては、全てのセグメントにおける売上高の増加によるものと、原価率の低減等によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、受取利息5億円、受取配当金2億円等を計上したことにより、12億円(同16.6%増)となりました。営業外費用は、投資事業組合運用損3億円等を計上したことにより、7億円(同156.2%増)となりました。
以上の結果、経常利益は、137億円(同313.6%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益4億円等を計上したことにより、4億円(同88.3%減)となりました。特別損失は、投資有価証券売却損5億円等を計上したことにより、9億円(同64.4%減)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、81億円(同138.3%増)となりました。
なお、当社グループが中期経営計画「未来への創造と挑戦」において掲げた目標に対する進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①中期経営計画の取り組み」をご参照ください。
財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財務状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金、金融機関からの借入及び社債を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は199億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は321億円となっております。
契約会社名:㈱サンリオ(当社)
契約会社名:㈱サンリオファーイースト(国内連結子会社)
契約会社名:㈱サンリオ(当社)
契約会社名:Sanrio,Inc. (在外連結子会社)
契約会社名:Sanrio Do Brasil Comercio e Representacoes Ltda. (在外連結子会社)
契約会社名:Sanrio Wave Hong Kong Co.,Ltd. (在外連結子会社)
契約会社名:三麗鴎股イ分有限公司(在外連結子会社)
契約会社名:Sanrio GmbH (在外連結子会社)
契約会社名:三麗鴎(上海)国際貿易有限公司 (在外連結子会社)
契約会社名:SANRIO SOUTHEAST ASIA PTE.LTD. (在外連結子会社)
当社グループにおける主要な設備は、以下のとおりであります。
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
該当事項はありません。
該当事項はありません。
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
(注) 上記のほか、当社所有の自己株式8,422千株があります。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、主にキャラクターの使用許諾業務、ギフト商品の企画・販売、テーマパーク事業等を営んでおります。国内においては当社及び国内連結子会社が、海外においては欧州(主にイタリア・フランス・スペイン・ドイツ・英国)、北米(主に米国)、南米(主にブラジル・チリ・ペルー・メキシコ)、アジア(主に香港・台湾・韓国・中国・シンガポール)の各地域を現地連結子会社がそれぞれ担当しております。当社及び各連結子会社はそれぞれ独立した経営単位であり、取扱う商品等について各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社グループは、販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」「欧州」「北米」「南米」「アジア」の5つを報告セグメントとしております。