アズワン株式会社
(注) 1 「株式給付信託(取締役向け)」及び「株式給付型ESOP信託」が保有する当社株式を、「1株当たり純資産額」の算定上、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めております。また、「1株当たり当期純利益」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第61期の期首から適用しており、第61期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3 当社は、2022年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第58期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産額」「1株当たり当期純利益」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」を算定しております。
(注) 1 「株式給付信託(取締役向け)」及び「株式給付型ESOP信託」が保有する当社株式を、「1株当たり純資産額」の算定上、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めております。また、「1株当たり当期純利益」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第61期の期首から適用しており、第61期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3 当社は、2022年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第58期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり純資産額」「1株当たり当期純利益」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」を算定しております。また、株主総利回りについては、第58期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出しております。
4 当社は、2022年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第61期の1株当たり配当額は、当該株式分割前の1株当たり中間配当額88円と、当該株式分割後の1株当たり期末配当額53円を合算した金額となっております。当該株式分割後の1株当たり配当額に換算すると、中間配当額は44円に相当しますので、期末配当額と合わせた年間配当額は1株当たり97円となります。
5 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。なお、当社は2022年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第61期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。
アズワン株式会社(以下当社という)は、1933年、井内盛一が大阪市北区において医業用のガラス製品の卸売業者として個人商店「井内盛栄堂商舗」を創業したのに始まり、科学機器に取扱商品が広がったことに伴い1962年6月に法人組織「株式会社井内盛栄堂」として設立されました。
会社設立以来の主な沿革は次のとおりであります。
(当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。)
当社グループは、当社及び連結子会社5社(亜速旺(上海)商貿有限公司、ニッコー・ハンセン株式会社、井内物流株式会社、AS ONE INTERNATIONAL, INC.及び株式会社トライアンフ・ニジュウイチ)等により構成されており、主に各種研究所、研究機関、生産施設、医療施設等において使用される科学機器、備品等を取扱う専門商社であります。
当社グループの事業内容及びグループ各社の位置づけを部門別に示しますと次のとおりであります。
(1) ラボ・インダストリー部門
科学機器販売店に対し、研究者や技術者の皆様が使用する機器・備品などの商品を卸売しております。当社は商品情報を紙カタログやWEBサイト等で提供し、販売店を経由してユーザーに販売するカタログ販売形態を主にとっております。連結子会社亜速旺(上海)商貿有限公司は、中国において研究用科学機器等の販売を行っております。連結子会社ニッコー・ハンセン株式会社は、プラスチック製容器及び理化学実験器具・機器の製造・販売を行っております。連結子会社AS ONE INTERNATIONAL, INC.は、主に北米製品についての日本等への輸出を行っております。
(2) メディカル部門
医療及び介護関係販売店に対し、看護・介護関係者の皆様が使用する機器・備品などの商品を卸売しております。販売形態としては、ラボ・インダストリー部門と同様のカタログ販売形態をとっております。
(3) その他
連結子会社株式会社トライアンフ・ニジュウイチは、WEBシステムによる購買業務代行サービス等を提供し、そのシステムに参加する最終ユーザー等より、システム利用料をいただく事業を行っております。
なお、当社はラボ・インダストリー部門及びメディカル部門での物流倉庫の運営を連結子会社である井内物流株式会社に委託しております。

(注) 特定子会社であります。
(当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。)
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者は( )に年間の平均人員数を外書しております。なお、臨時雇用者は、パートタイマー及び嘱託社員であります。
2 「上記2部門共通」として記載されている従業員数は、ラボ・インダストリー部門及びメディカル部門に共通して従事している従業員の数であります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者は( )に年間の平均人員数を外書しております。なお、臨時雇用者は、パートタイマー及び嘱託社員であります。
2 平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営戦略
当社グループは、「革新と創造」という経営理念のもとで、「顧客満足度の追求」を徹底することにより業容を拡大し、併せて業務の効率化を推進することによって収益力の強化・企業価値の増大を図ることを経営の基本方針としております。
「顧客満足度の追求」につきましては、より多様化するユーザーニーズにきめ細かく対応するために、魅力ある幅広い品揃え、カタログやインターネット等による様々な情報の提供に加え、商品のクイックデリバリーやサポートサービス等、お客様の利便性向上が重要であると考えております。
<目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略>
中期経営計画「PROJECT ONE」の推進
当社グループは、2020年度よりスタートした5年間の中期経営計画「PROJECT ONE」を2022年度より残り3年を「PROJECT ONE ver.2.0」としてバージョンアップさせています。この「PROJECT ONE ver.2.0」を基本方針とし、2024年度の達成すべき目標に向け活動していくとともに、その先の将来に向けても成長を継続することができるよう経営基盤の構築に邁進してまいります。
[中期経営計画 -Opportunity of Next Evolution-「PROJECT ONE ver.2.0」(2022年度~2024年度)]
① 経営ビジョン
「アズワンは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域とし、顧客が必要とする商品・サービス・情報を提供することで、社会に貢献する企業を目指します」
② 重点戦略
ⅰ.事業成長の加速化
ⅱ.経営基盤の構築
ⅲ.事業育成
ⅳ.資本の有効活用
ⅴ.企業価値の向上
③ 目標とする経営指標
2024年度において、連結売上高1,066億円、連結営業利益率11.7%、ROE(株主資本利益率)11.6%を実現することを目標としております。
(2) 経営環境
当社を取り巻く環境としては、以下のような変化が見られます。
ユーザーサイドの発注管理の効率化やコンプライアンスの観点から取引の電子化を求めるニーズが高まってきております。また、電子購買に移行するにあたっても、専門的でかつワンストップで購買ができる品揃えの豊富さやスピーディーに納品できる高度な物流機能が重視されております。さらに、研究開発或いは製造プロセスにおいて機器類の品質を担保するニーズが高まっており、点検・校正などのアフターメンテナンスサービスを求められるケースが増えてきております。一方、利用する様々な機器メーカー毎に、個々に点検や校正を依頼する煩雑さから、管理を一括化したいというニーズが生じております。
海外においては、日本の2~3倍の研究開発費を使う米国や中国、或いはそれに追随する欧州などの広大な研究開発市場があります。また、国内ユーザー企業のグローバル化は伸展し、工場進出先の中国から東南アジアへのシフトや、欧米企業とのアライアンスなど多方面への拡大が見られます。一方、経済安全保障等から保護主義的な経済のブロック化への動きや、新型コロナウイルスによるパンデミック発生によりグローバルなサプライチェーンの寸断を経験し、国内回帰の機運も高まっております。
医療業界においては、中長期的に医療費抑制という国を挙げての方向性があります。病院の経営環境は引き続き厳しく、病院数、病床数は減少傾向にある一方、クリニックや介護施設は増加傾向にあります。一方、コロナ禍においては病床・医療器材・医療者の不足から医療崩壊の瀬戸際までの経験を経て、サプライチェーンの信頼性が重要度を増しました。新型コロナウイルス感染症は、2023年5月より感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上の位置付けが5類感染症となり、これにより、政府の関与は緩和され、濃厚接触者やコロナ罹患者の隔離等厳密な感染対策が緩和できる一方、診療できる医療機関の拡大が見込まれます。政府や自治体の緊急の感染症対策に向けられた需要は減退すると思われますが、人員や病棟確保のために滞っていた一般診療や手術件数は回復していくものと思われます。
社会構造の変化として、人口の高齢化に伴い労働力人口は減少に転じております。また、労働の質という面からは働き方改革という言葉に象徴される効率的な働き方が推奨されております。こうした変化は、例えば物流業界で、人材確保難や労働環境の改善等から配送費等の上昇という形で表出しております。当社グループにおいても、運賃や倉庫作業料の上昇という形で少なからず影響を受けております。
また、シェアリングエコノミーという言葉に代表される、所有から利用へという流れも、研究プロセスにおいて実験機器の所有にこだわるより、機器の利用或いは委託によりアウトプットのみを求めるという形で当業界においても変化していくことが予想されます。
さらに、Society5.0時代のAI(人工知能)やIoT、ロボットなどの新しいデジタルテクノロジー、社会課題をバイオテクノロジーで解決していこうとするBX(バイオトランスフォーメーション)などが、社会に大きなパラダイムシフトをもたらすものと期待されており、気候変動や労働環境を含めたサステナビリティの観点からも、ますますこの変化を加速させております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域としており、研究の成果や医療の提供が持続可能な社会の創造につながると考えております。そのために、当社のプラットフォームを通じて人・モノ・情報・サービスを効率的に繋ぎ、研究者や医療者が様々な課題を乗り越え、目指す成果により早く到達できるようアシストすることで、社会に貢献してまいります。
ⅰ.事業成長の加速化
品揃えの強化
当社は、研究や医療などの専門的な領域において、品揃えの豊富さと物流力を強みにお客様の物品購入の効率化に貢献してまいりました。数年前まで7万点程度であった品揃えは、今では900万点を超えるまでに拡大しています。しかしながら、あらゆる領域に関係してくる研究開発領域では必要なモノの種類は無限であり、まだまだ品揃えを強化する必要があります。お客様が当社をハブにしてワンストップで必要なモノを調達できる環境をさらに強化し、当社の商品データベースを「業界のデータベース」としてご利用いただくべくさらなる品揃えの拡大を図ってまいります。
ECチャネルの強化
当社ではこの幅広い品揃えを、アナログ的に人を介した全国の販売店ネットワークと、デジタルの ECチャネルのハイブリッドで販売しております。特にECチャネルは、毎年2桁以上の成長を続けており、当社の成長を牽引しています。大企業を中心にご利用いただいている集中購買システム「ocean」はユーザー企業でアナログ的に分散購買されていた間接資材を社内ECで一括購買する仕組みです。研究用機器・消耗品において国内最大級の品揃えと在庫の確実性を強みに、期中に36社増加し、現在285社にご利用いただいております。
「Wave」は、当社が裏方として販売店様とユーザー様のお取引をEC化する購買WEBサイトです。当社が提供する900万点の商品や在庫の情報と販売店様独自商材の情報を併載でき、販売店様は膨大な品揃えを備え持つ自社ECサイトを簡単に手にすることができます。一方でユーザー様は、商品検索や発注を「Wave」で完結でき、利便性が高まります。登録ユーザー数は約1万4,000社と期中に約3,600社増加しております。
これらに加え自社WEBショップ「AXEL」を含めたECと品揃えの組み合わせを強化し、更にデータドリブンを掛け合わせた相乗効果を図ることで、さらなる売上拡大を追求してまいります。
ⅱ.経営基盤の構築
サプライチェーンの強化
当社は、卸売業としてグローバルに約4,100社のサプライヤー様とのお取引があり、当社の品揃えと各種ソリューションを提供する源泉でもあります。商品データベース「SHARE-DB」には現在900万点の仕様・画像・取扱説明書・荷姿情報等を収納しており、今後も効率的に拡充しつつ、情報の鮮度を維持していく必要があります。また、当社はサプライヤー様とデータ連携して自社在庫額の7倍にあたる在庫情報をバーチャル在庫として活用・開示しています。自社在庫は当日出荷、バーチャル在庫の8割は3日以内に出荷できるため、卸として販売店様やユーザー様に安心してご利用いただいています。その上で、強化すべき商品群の特定や、在庫量や配置の最適化にも取り組む必要があります。その為にも、RPAやAIの活用に加えデータドリブンを更に推進してサプライチェーンマネジメントを強化してまいります。
物流戦略
そして同時に業容の拡大に伴い物理的な物流能力の拡充も必要となってまいります。2023年度には既存の約7,000坪の大阪物流センターの近隣に約13,000坪の物流センター「阪神DC」を開設し、両センターの一体運用を開始します。既存の賃貸物流施設にサーキュラーエコノミーを体現する形で、従前設備を活用しながら入居するものであり、巨額の設備投資を回避し、低コストで物流能力の拡充を図れる見込みです。この開設により初年度は一時的なコストアップとはなりますが、一定の固定費のまま売上高は約1.4倍の1,300億円程度まで業容を拡大させることができます。
また、運送業界の2024年問題も間近にせまり、国内運送コストの上昇懸念がありますが、自社専用でエコ配送も可能な配達便の増便や、よりリーズナブルな配送手段の組み合わせを実施し、より確実で効率的な物流を目指してまいります。
ⅲ.事業育成
海外事業の強化
海外事業については、コロナ禍の制約から解放される見通しであり、営業活動を積極化いたします。中国においては、2022年度に中国語サイトである「ASONLINE」への商品掲載を1年で6万点から40万点まで増やしました。今後も掲載拡大や検索ヒット率の向上を図るとともに、現地オリジナル商品の開発を強化し、現地ECプレイヤーや企業集中購買への連携を強化してまいります。
中国以外の海外への輸出についても、238万点の多言語サイト「AXEL_GLOBAL」等の活用や海外市場向け商品の開発を促進するとともに、現地で当社商品を在庫する現地パートナーの育成、ECプレイヤーとの協業等を図ってまいります。
未来に向けた連続的進化
既に、レンタルや校正など物販以外のサービスに関わる事業を開始しておりますが、それら事業を拡大させていくとともに、メニューを広げていきます。これまでオープンイノベーション部署の設置、研究者向け情報サイト「Lab BRAINS」の開設などを実施済みであり、2023年度にも研究のITシフトを見越したシステムインテグレーション部署やCPC(細胞培養加工施設)を開設・維持するための再生医療施設コンサルテーション部署を立上げ、出資先との人事交流などフィールドを広げるタネ蒔きを開始しています。また、大阪市北区中之島に2024年春開業予定の未来医療国際拠点へも参画をいたします。その他、研究者・医療者の困りごとをワンストップで解決するため、出資を含めた各種提携、仲間づくりにも注力してまいります。
サステナビリティへの対応
2022年度にはサステナビリティ推進室を設け、当社の健康経営体系ASsisT(AS(ONE)_S(olution)_I(ntegrated)
S(upport)_T(echnology))を策定し、健康経営優良法人に認定されました。また、サステナブル調達基本方針を策定し、各サプライヤー様に周知し、啓蒙を目的としたアンケートを実施しました。今後も、持続可能な社会の実現のため、そして当社自身がサステナブルであるために取り組みを強化してまいります。
ⅳ.資本の有効活用
収益性の向上
データドリブンによる機動的で最適なプライシング、最適ロット調達、調達送料などを加味した原価の最適化にも取り組んでまいります。加えて、オリジナル商品の原価改善、付加価値の高い自社サービス事業の拡大等により粗利率の向上を目指してまいります。また、DX推進による社内オペレーションの自動化、運営効率の高いeコマースの拡大、物流オペレーションの効率化などにより、間接コストの低減にも努めてまいります。これらにより、高い収益水準を維持しつつ、中長期的な収益性の向上を目指してまいります。
保有資産の効率化
2021年度には遊休不動産の売却を行い、2022年度には発行済株式の約3%の自己株式の買付を行いましたように資産・資本の効率性に目を配った運営をしております。また既述の通り、阪神DCの高額投資回避、バーチャル在庫の活用など、キャッシュコントロールしながらお客様満足度の追求を推進しております。今後も継続して保有資産の効率化を進め、資産効率の向上を目指してまいります。
ⅴ.企業価値の向上
株式市場と向き合う経営
当社は高水準の収益力を維持した上で、特別損益を除いた税引後利益の50%を配当とする配当方針を採用しています。今後も、資本コスト・資本効率を意識して資金配分・株主還元を検討し、効率的かつ積極的な成長投資を行うことで、1株当たりの利益、ROE(株主資本利益率)を高め、株主価値の向上に努めてまいります。
また当社は、ESGの観点では当社に関わった方々がその大切な人に薦めたくなるような働き甲斐のある「良い会社」になることを目指して事業運営を行っております。こうした、ESGに関わる非財務情報もさらに開示を充実させ、ご評価いただけるよう努めてまいります。
「革新と創造」という経営理念のもと、変化をチャンスと捉えて新しいことにチャレンジし、新しい仕組みを作り出すことにより、社会に価値を提供し続ける会社として発展させてまいります。
以下では、有価証券報告書提出日現在において当社が判断した、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループでコントロールできない外部要因や必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、リスク回避の施策を実施し、また発生した場合には的確な対応を行うための努力を継続してまいる方針でありますが、当社株式に関する投資判断、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の事項及び本書中本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありません。
(事業リスク)
(1) 当社グループの事業内容に関するリスク
当社グループは、各種研究所、研究機関、生産施設、医療施設等において使用される科学機器、備品等の卸売を主たる事業としております。事業の形態といたしましては、国内約14,000拠点の科学機器や医療・介護関連機器の販売店様に対し商品カタログ等を提供し、販売店様がこのカタログをユーザー様に配布して営業を行い、販売店様が当社に注文を出し、当社から販売店様へ商品を届けるカタログ販売の形態をとっております。
商品の仕入は、当社グループ全体で約4,500社のサプライヤー様から仕入れ、一部商品については、当社ブランドの商品を生産委託しております。このように、当社グループの事業は販売店様、サプライヤー様等の多くの取引先の協力によって支えられております。従って、取引先の経営状況の変化等によって取引先から協力が得られない事態になった場合は、販売チャンスを逸したり商品の仕入に支障を来したりするなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、取引先の経営状況の把握に努め、特定取引先に依存することのないように多数の取引先に取引を分散しております。
(2) 競合に関するリスク
理化学機器や医療用品等を販売店に卸す当業界は、大小さまざまなメーカー、商社が激しい競争を行っております。当社グループといたしましても、カタログ及びWEBを通じた幅広い品揃え、「ビーカー1つ」でもすぐに納入できるクイックデリバリー体制の構築及び情報提供機能強化等を図り、競合他社との差別化に努め、売上の拡大を図っております。しかしながら、競合先も、価格、サービス等それぞれの得意分野を活かした業容拡大を図っており、当社グループが即応できないサービスを提供する競合先が現れる可能性があり、当社グループが対応できない速さでその支持が広がり、当社グループの提供する価値が極端に魅力を失った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、品揃えの拡充をはじめとして他社の追随を許さない利便性の向上に努めております。
(3) eコマースの推進に関するリスク
現在の当社グループの成長を最も牽引している施策はeコマースの推進です。しかしながら、通信やインターネット利用に関する何らかの技術革新やユーザー様の物品購買習慣の変容等により、価格競争に巻き込まれる、または利便性の高い流通の仕組みが開発される可能性があります。当社グループが対応できない速さでその支持が広がり、当社グループの提供する価値が極端に魅力を失った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、専門性の高い商品の業界随一の品揃えとIT力と物流力の融合で差別化を図り、ITや通信技術情報にアンテナを張り最新の技術動向を把握するとともに、サービスなどの人と人との関わりも兼ね備えた付加価値の高いeコマース事業としてのブランドを確立すべく努力しております。
(4) 海外展開に潜在するリスク
当社グループは、世界30ヶ国以上の国や地域から商品を調達し販売しております。また、中国や米国にて現地法人を設立し営業をしております。これらの海外への事業展開には以下に掲げるようなリスクが内在しております。
① 予期しない法律または規制の変更
② 予期しない不利な政治的または経済的要因の発生
③ 人材の採用と確保の難しさ
④ 未整備の技術インフラが、当社グループの商品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性
⑤ 為替相場の変動
⑥ 災害、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
これらにより、商品の供給等に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、現地法人や専門部署における情報収集を図り対応をしております。為替リスクについては、必要に応じて為替予約により変動リスクを最小限にとどめる努力をしております。
また、当社グループにおける海外売上は連結売上高の5.3%程度です。当社単体売上高に占める海外直接仕入品の割合は19.7%程度です。国別では中国が5.7%、マレーシア4.1%、台湾2.4%、その他30ヶ国以上の国や地域に分散しリスクの低減に努めております。
(5) サービス事業推進に関するリスク
当社グループは、研究者に対する物販のみならずレンタルや校正などの研究にかかわる様々なサービスを提供する事業の強化を図っております。しかしながら、サービス分野における知名度の低さや既存のサービス提供者との競争により想定通りに事業拡大できない可能性があります。また、サービス事業の展開にはレンタル品や校正機器の購入などの先行投資が発生します。一部の投下資本の回収に想定以上の時間を要する可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、理化学機器の物販により培った顧客基盤をベースに、物販とともにワンストップでサービスを利用できるよう利便性を高めるほか、納期の短縮や価格競争力の強化などを図っております。また、レンタルについては、レンタル商品の拡充に際し価格と回転数を十分に考慮しながらレンタル品の拡大を図っております。
(財産リスク)
(6) 在庫リスク
当社グループは、2023年3月期連結貸借対照表において棚卸資産として110億7百万円を計上しており、総資産に対する比率は11.3%となっております。また、お客様の利便性を重視し高い受注即日出荷率を信条としており、受注後直ぐに出荷できるよう予め受注を予測して在庫を保持しております。しかしながら、販売状況が想定していたものと大きく異なる結果となった場合には、棚卸資産の評価減等を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、適正在庫水準の維持を図るべく、一定期間受注のない商品や過剰な量の商品について定期的に把握し不稼働在庫の圧縮に努めております。また、輸入商品やプライベートブランド商品など比較的まとまった量を仕入れる必要がある場合には慎重な検討を経て実施しております。
さらに、サプライヤー様と協働して、サプライヤー様の在庫量も一部開示しており、当社在庫が無くても安心してご注文いただける仕組みを取り入れ在庫リスクを抑えながら利便性の向上を図っております。
(7) 固定資産の減損リスク
当社グループは土地、建物及び投資不動産などの固定資産を保有しております。現時点で必要な減損等の処理は実施済みですが今後これら資産の時価の下落、収益性の低下が認められる場合には減損損失を認識する必要が生じます。
当社グループはこのような事態を回避するため、これらの取得に際し慎重な検討を行い、取得後は時価のあるものは時価を含めその収益性を継続的に確認しております。
(8) 有価証券等の価格の変動に関するリスク
当社グループは、他社との事業上の関係等を維持、促進する目的または資産運用の目的で、2023年3月期連結貸借対照表において有価証券及び投資有価証券を214億92百万円保有しており、総資産に対する比率は22.0%となっております。
しかし、かかる投資有価証券について、経済環境や金融市場環境の変化等により市場価格が大きく変動した場合または元本・利息の回収ができなくなった場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、事業上の関係等の維持・促進を目的とした有価証券は発行体とのコミュニケーションを密にして情報収集に努め、純投資における株式は長期的に減らしていく方針であり、運用目的の債券は一定の格付以上で業種や銘柄を分散して運用しております。
(9) 年金運用リスク
当社グループでは従業員の将来の退職給付に備え、毎月一定額を外部の運用機関に拠出し年金資産として運用を委託しております。運用成績については一定の期待収益率を見積もっておりますが金融市場の変動等によりその成績が急激に悪化する場合があります。
当社グループでは、このような事態を極力回避するため、運用委託先に対しボラティリティの低い商品群による運用を指示しております。
(外部要因リスク)
(10) 景気変動リスク
当社グループは日本国内での売上高がグループ売上高の95%程度を占めております。また、国内における研究費の70%前後が民間企業の拠出であり、当社グループの業績は、日本国内の景気変動の影響から切り離すことはできません。
特に、民間企業の生産現場向けの需要は、直接的に景気変動の影響を受けやすいフィールドとなります。但し、研究開発向け需要は大学や公的研究機関など産業界とは別の市場があることや、産業界においても一般的に景気に左右されず研究開発を続けることが競争力の維持につながることから生産現場ほど景気変動の影響を敏感に受けるわけではありません。しかしながら、民間の研究開発費が大幅に減退する事態になれば、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上高は概ね60%前後が大学の研究室や企業の研究開発部門向け、20%前後が民間企業の生産現場向けの理化学機器の売上であり、20%前後が医療機関や介護施設向けの医療・介護用品の売上で構成されております。景気変動と連動しない医療機関向けのフィールドを持つことで、景気変動の影響の軽減を図っております。
(11) 未知の感染症の拡大に関するリスク
新型コロナウイルス感染拡大当初の各国の対応に見られるように、ワクチンや特効薬がない感染症が拡大し、対応策として外出制限を含めた人と人との接触を断つことを最優先とせざるを得ない状況になった場合は、企業の生産活動や研究活動が制限される可能性があります。それらの活動が極端に抑制され長期間に及んだ場合は、ラボ・インダストリー部門の業績に影響を及ぼします。また、国内に限らず世界でも蔓延している場合は、一部の商品の世界的需要過多による供給不足の発生、サプライヤー様側の生産活動の抑制・停止や各国の輸出制限措置等により、商品の調達に支障を来たし、お客様に求められる商品の供給ができず、部門を問わず当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態においても、医療機関を下支えする卸売業としての社会的責任を負っており、物流センターの操業が許される限り、衛生管理の徹底を図りながらテレワーク体制によるBCPプランを実行し、医療機関への医療用品の供給を継続できる体制を敷いております。また、強固な財務体質を維持することで、有事においても企業体の存続を可能にできるよう努めております。
(12) 災害や停電に関するリスク
当社は、千葉市、大阪市、尼崎市、埼玉県北葛飾郡及び福岡県朝倉市に物流センターを設置しております。これらの施設において地震や津波等の災害、停電、その他の操業を中断する事象が生じた場合、商品の出荷能力が著しく低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、商品の調達に一部支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態が生じた際の影響を軽減するために、いずれかの施設の操業が不能になった際に他の施設でバックアップして出荷対応するBCPプランを作成しております。
(その他リスク)
(13) 商品に関するリスク
当社グループは、商社という特性から大半の取扱商品は他社ブランド品でありますが、当社グループが直接輸入する商品及びプライベートブランド商品も取扱っております。従って、予想外のリコールや製造物責任賠償につながるような問題が生じた場合は、賠償等の多額のコストの発生や、当社グループの社会的評価の低下を通じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、国内事業所においてISO9001の認証を取得し、品質マネジメント体制の構築に取り組んでおり、また、製造物責任賠償については、保険に加入しております。しかしながら、この保険が最終的に負担する賠償額を充分にカバーできない場合もございます。
(14) 情報システムに関するリスク
当社は、研究と医療のハブとして約4,100社のサプライヤー様と約14,000拠点の販売店、或いはAXEL会員やoceanユーザーである各研究者等との間での900万点超の商品の受発注や入出荷に瞬時に対応するためにITシステムを最大限活用しております。
しかしながら、情報システム関連の技術革新は著しく、基幹システムや通信ネットワークの障害及び情報の改ざん・破壊・漏洩等を完全に予防または回避することが困難な場合もあり、万が一かかる事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、情報セキュリティ規程を制定し取締役を委員長とする情報セキュリティ推進委員会のもと、情報セキュリティ対策を講じるとともに、情報システム関連の技術革新に適応すべく継続的に情報投資を実施しております。万一の事態に備え、耐震性等に優れたデータセンターを利用することに加え、サーバーの分散や通信ルートの冗長化、サイバー攻撃に対する二重三重の防御策を講じるほか、社員への啓発を重視しております。今後もゼロトラスト(どこにも安全な場所はない)を前提に、さらにセキュリティを強化してまいります。
(15) 法的規制等に関するリスク
当社グループは、事業運営において薬機法、建設業法、計量法、古物営業法、電気用品安全法、食品衛生法、毒物及び劇物取締法、貨物利用運送事業法、倉庫業法、外国為替及び外国貿易法、下請代金遅延等防止法、個人情報保護法、製造物責任法等関係諸法令により様々な法的規制等の適用を受けております。そのため、これらの法的規制等が変更または新設された場合や当社グループの活動がこれらの法的規制等に抵触した場合、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような事態を回避するため、各責任部門においてこれら法的規制等の情報収集を行い法令順守に努めるとともに、弁護士事務所と顧問契約を締結し、都度指導を仰いでおります。
<リスクの発生可能性・影響度>
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末の流動資産は、626億59百万円(前連結会計年度末比27億55百万円増)となりました。これは主として現金及び預金が11億5百万円減少した一方、棚卸資産が28億36百万円増加したこと、売上債権が5億4百万円増加したこと、有価証券が5億円増加したこと等によるものです。固定資産は、348億19百万円(同13億81百万円減)となりました。これは主として投資有価証券が時価評価等により13億18百万円減少し、物流機器の減価償却進行等により有形固定資産が3億96百万円減少した一方、差入保証金の増加等によりその他投資が3億24百万円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の流動負債は、273億5百万円(同15億83百万円増)となりました。これは主として短期借入金が11億50百万円増加したこと、未払法人税等が6億85百万円増加したこと等によるものであります。また、固定負債は、62億6百万円(同19億76百万円増)となりました。これは主として長期借入金が19億37百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は639億68百万円(同21億86百万円減)となりました。これは、主として純資産の減少要因となる自己株式の取得等により自己株式が38億83百万円増加した一方、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益等により22億12百万円増加したこと等によるものであります。
ロ.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ第6波の収束期から始まり、第7波及び第8波を経たものの、経済活動については正常化が進んでまいりました。一方で、欧米における物価上昇やロシア・ウクライナ情勢に伴う資源高に加えて、急速な為替変動などの影響を受け、製品や部品、原材料等の調達コストやエネルギーコストが上昇し、国内の消費者物価上昇にも波及しました。また、当業界においては、コスト増に伴う年度予算逼迫を受けた一時的な支出調整などの動きが期末にかけてあり、先行き不透明な状況が続きました。
このような事業環境のもと、当社グループの連結売上高は、914億21百万円(前期比5.1%増)となりました。売上高増加の要因として、当社の主要なマーケットである研究や生産の現場において、前年度に引き続き需要が活発であることが挙げられます。さらに、当社のウェブ上で取り扱っている商品は900万点を超え、前期末比で約270万点増加しており、企業購買のDX潮流に沿ったeコマースチャネルとの相乗効果でロングテール商品の売上が拡大していることが、もう一つの重要な要因です。また、サプライチェーンにおける調達物資の値上がりに対応して柔軟なプライシングを実施してきたことや、サプライヤーとの連携により、サプライヤーの在庫情報などの開示情報を充実させるなどの利便性の強化が、奏功したものと考えられます。
(中計売上施策-PROJECT ONE ver.2.0-における主要売上施策の進捗状況)
中期経営計画で掲げる主要売上施策は以下のとおり推移しました。
※海外事業の約7割は中国現地法人の売上ですが、現地法人事業年度が1~12月のため、現地における1~12月の売上高を連結しております。
eコマースについては、ネット通販事業者向けや「AXEL Shop」等のオープンサイト系ECチャネルで、特にネット通販事業者向けにおいて掲載商品の増加や各種連携により利便性を高めたことが奏功し、当連結会計年度の売上高は前期比21.3%の増収となりました。また、大手ユーザー向け集中購買システム「ocean」や販売店支援型ECシステム「Wave」といったクローズドサイト系ECチャネルにおいては、新規アカウントが増えていることや既存接続先の利用拠点拡大や掲載品の拡充が進んでいること等により、当連結会計年度の売上高は同15.7%の増収となりました。
海外事業のうち中国については、中国語で運営するサイト「ASONLINE」掲載品数を約6万点から約40万点に拡大し引き合いを増やしましたが、前期に大口受注を獲得した反動、4月~5月にかけての上海ロックダウン及び12月のゼロコロナ政策緩和に伴う感染急拡大の影響があり、現地通貨ベースで前期比7.0%の減収となりました。しかしながら、決算上は為替変動が寄与し円換算で同5.9%の増収となりました。一方、日本からの海外への輸出(中国を除く)は、多言語サイトの「AXEL_GLOBAL」や「Wave_GLOBAL」に海外仕様品の掲載の充実を図るなど掲載品数を240万点弱に拡大し、加えて渡航再開に伴い現地販売店とのコミュニケーション強化を図り、円換算ベースで同13.2%の増収となりました。
一方で収益性については、コロナ禍に伴う需給の混乱で採算性が悪化していた一部の感染対策品の在庫が適正化したこともあり、売上総利益率は前期を1.7ポイント上回り、概ねコロナ禍前の水準を回復しました。
販売費及び一般管理費については、170億53百万円(同5.3%増)となりました。増加要因は、人員増に加え、ベースアップ実施及びインフレ応援金支給等により人件費が前期比6.0%増と3億53百万円増加したほか、営業活動の再活性化にともなう広告宣伝費(含むカタログ費)や行動関連費(出張費等)の増加、物量に応じた運賃の増加、DX推進に絡めたシステム関連費用の増加等が挙げられます。一方で、経年で過年度のマテハン投資等の減価償却費が減少していることや、運用改善等により倉庫作業料も減少に転じていること等により、費用増加が抑制されました。
この結果、営業利益率は12.5%と株式公開以来の最高水準となり、営業利益は113億96百万円(同22.0%増)、経常利益は116億37百万円(同21.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は81億12百万円(同12.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、投資活動による資金支出及び財務活動による資金支出が営業活動による資金収入を上回り、前連結会計年度末に比べ6億5百万円減少し、138億22百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、69億69百万円の資金収入で、前連結会計年度に比べ収入が18億70百万円減少しました。これは、主として税金等調整前当期純利益が12億13百万円増加し、法人税等の支払額が5億83百万円減少する等により資金収入が増加した一方、棚卸資産の増減額による支出が36億81百万円増加したこと等により資金支出が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、3億67百万円の資金支出(前連結会計年度は5億91百万円の資金収入)となりました。この支出の増加は、主として有形固定資産の売却による収入が9億51百万円減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、72億83百万円の資金支出で、前連結会計年度に比べ、支出が21億20百万円増加しました。これは、主として長期借入れによる収入が50億円増加した一方、自己株式の取得による支出が65億68百万円増加したこと、配当金の支払額が2億38百万円増加したこと等により資金支出が増加したことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
a.各指標の算出方法は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
b.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
c.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(期末自己株式数控除後)により算出しております。
d.営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
e.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
f.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。売上高における生産実績、部門別販売実績、品目別販売実績は以下のとおりです。
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、無塵化洗浄加工商品及びプラスチック容器の生産実績であり、8億12百万円(前期比4.4%減)となりました。
ロ.受注実績
当社グループの事業内容は、当日出荷を基本とする事業の性格上、受注実績と販売実績に特筆すべき差が生じないため、当該記載を省略しております。
ハ.部門別販売実績
当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上等であります。
a.ラボ・インダストリー部門
大学、研究機関及び企業の研究部門等を対象とするラボラトリー分野では、期末にかけて一時的な需要鈍化があったものの、実験工具、分析特殊機器のほか、安全保護用品やウェアを始めとした汎用器具・消耗品等が伸び、前年度から引き続き国内の研究開発需要の底堅さを見せました。また、チャネルとしては集中購買システム及びネット通販事業者向けの売上高が前期比17.7%増と当分野の成長を牽引しました。これらにより当分野の売上高は540億94百万円(同5.6%増)と堅調に推移しました。
また、製造現場等を対象とするインダストリー分野は、堅調な生産活動に支えられ、無塵対策品等のクリーンルーム用品やコネクターやワイパー等の汎用器具・消耗品等の需要が伸びました。チャネルとしては、同じく集中購買システム及びネット通販事業者向けの売上高が同24.5%増と当分野の成長を牽引しました。これらにより当分野の売上高は181億65百万円(同8.1%増)となりました。
この結果、当部門の売上高合計は722億59百万円(同6.2%増)となりました。
b.メディカル部門
医療機関や介護施設などを対象とするメディカル部門では、前年度のコロナ第4、第5、第6波に対し、当連結会計年度における第7及び第8波の流行月の違いにより、月次や四半期別の売上高前年比においてアップダウン激しく推移しました。前年度にはバイタル計測機器やワクチン接種関連を含む設備品などの需要が牽引しましたが、当連結会計年度では一巡したため一部調整の影響が生じました。一方で、ウィズコロナ政策下で、コロナ罹患が身近になる中、医療機関における感染対策品は常態的に需要がありました。また、災害時BCP対策や介護ロボットへの関心が高まっていることへの当社ラインナップでの対応や、当社ECシステムの採用が医療機関でも少しずつ浸透し始めたことなど、当社サービスの優位性が奏功し、当部門の売上高は185億86百万円(同1.0%増)となりました。
c.その他
子会社の株式会社トライアンフ・ニジュウイチは「OffSide」システム等により理化学機器・消耗品等のWEB購買業務代行サービスやシステム提供を行っております。主力である製薬企業における購買需要が堅調であること、物品購買だけでなく間接費用を含めた最適購買代行を提供する「C3-OffSide」システムについてサービス範囲を徐々に広げていること、個社向けの専用システム売上が生じたこと等から、当部門の売上高は5億75百万円(同13.1%増)となりました。
ニ.品目別販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上等であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在にて判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。当連結会計年度においては、ラボ・インダストリー部門が前期比6.2%増、メディカル部門が同1.0%増で推移し、連結売上高は同5.1%増の914億21百万円と13期連続の増収を達成いたしました。また、営業利益率は12.5%と株式公開以来の最高水準となり、利益額としても営業利益113億96百万円(同22.0%増)、経常利益116億37百万円(同21.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益81億12百万円(同12.6%増)と、過去最高を更新しました。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
ロシア・ウクライナ情勢は、直接的な影響はないものの、政情不安や資源高などが供給制約や物価上昇などで景気の下押しに作用すると間接的に当社業績に影響が生じることは考えられます。
ラボ・インダストリー部門においては、大学や公的研究機関の予算執行状況、民間企業の研究開発動向・設備投資・生産動向等の影響を受けます。当連結会計年度においては、期末において年度予算に厳密な上限のある大学等において、光熱費等の上昇のしわ寄せで物品購入を控える動きがみられたものの、全体としては研究開発活動や生産活動は比較的堅調に行われ売上の増加につながりました。当社グループ全体の仕組み(膨大な品揃え、バラ売り、当日発送、システム連携、EC連携等)は、リモート化やDX推進を求める時代の趨勢の中で、求められる一つのソリューションとして利用価値が増してきております。特に、他に類を見ない研究機器の品揃えと物流機能とIT力を持ち合わせる当社は、研究機器の集中購買システムでの提供について大きな強みを有しており、eコマース型の集中購買システム「ocean」や販売店向けEC支援システム「Wave」の新規連携ユーザーは順調に増加いたしました。DX化の潮流は今後も続くものと思われ、これらの仕組みは当社の業容拡大に今後も寄与していくものと考えております。
メディカル部門においては、コロナ禍3巡目となった当連結会計年度は、月によっては前年の反動減も見込まれましたが、コロナ禍の第7波8波で罹患者数が増加したことや品揃えや顧客基盤が広がっていることもあり前年の売上実績を僅かながら上回ることができました。
期末にかけては、第8波の収束に合わせ、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月より感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上の位置付けが5類感染症となることが発表され、これにより、政府の関与は緩和され、濃厚接触者やコロナ罹患者の隔離等厳密な感染対策が緩和できる一方、診療できる医療機関の拡大が見込まれます。政府や自治体の緊急の感染症対策に向けられた需要は減退すると思われますが、人員や病棟確保のために滞っていた一般診療や手術件数は回復していくものと思われます。
なお、上記の他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等
当社グループは中期経営計画のバージョンアップ版PROJECT ONE-ver.2.0-を公表しており、売上高、営業利益率、ROEの3項目を指標目標としております。同計画(2020年4月~2025年3月)の3年目である当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。
期間(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
売上高は計画に届きませんでしたが、資産効率を上げ、営業利益が計画を上回ったことで、営業利益率、ROEとも計画を上回り、過去最高を更新しました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度においては、建物付属設備、情報機器、レンタル品及びソフトウエア等の設備投資に12億円支出し、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載の配当方針の下、前連結会計年度の期末配当金及び当連結会計年度の中間配当金の支払として37億円及び自己株式の取得に65億円支出し長期借入金19億円を返済しました。
これらの資金は、営業キャッシュ・フロー69億円及び長期借入金50億円より賄い、現金及び現金同等物の期末残高は138億円で、前連結会計年度末比6億円減少しました。
b.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、情報機器や物流機器等の設備投資、システム投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することが重要と考えております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等に関しては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は63億円、現金及び預金の残高は176億円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、以下の事象については、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと認識しております。
・繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積もっております。将来において、課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月より感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上の位置付けが5類感染症となることが発表され、企業活動の抑制、雇用情勢の悪化等の懸念は払拭される見込みですが、逆に、政府や自治体による関連需要の減退が見込まれます。しかしながら、医療機関をはじめとする感染予防・保護用品の需要は当面続くものと思われます。これらにより、繰延税金資産の回収可能性等の重要な会計上の見積りを行うにあたり新型コロナウイルス感染症による影響は限定的であると仮定しております。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数の( )は、臨時雇用者の年間平均人員数を外書しております。
2 土地及び建物の一部を賃借しており、当事業年度の賃借料は1,277,464千円、土地の賃借面積は[ ]で外書しております。
3 帳簿価額の「その他」にはソフトウエアを含めております。
4 連結会社以外に賃貸している設備が含まれております。
5 大阪物流センター、東京物流センター、Smart DC、九州物流センター及び和歌山CICについては、連結子会社 井内物流株式会社に業務委託しており、それに従事している人員数は20(30)であります。なお、( )は臨時雇用者の年間平均人員数を外書しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 建物を提出会社より賃借しており、当事業年度の賃借料は6,695千円であります。
2 従業員数の( )は、臨時雇用者の年間平均人員数を外書しております。
2023年3月31日現在
(注) 亜速旺(上海)商貿有限公司は建物を賃借しており、当事業年度の賃借料は61,060千円であります。
(注)2023年1月17日開催の取締役会決議により、2023年1月31日付で自己株式を消却し、発行済株式総数が1,100,000株減少しております。
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末(2023年5月31日)現在において、これらの事項に変更はありません。
(注)1 新株予約権1個当たりの目的となる株式数(以下「付与株式数」という)は100株とする。
但し、新株予約権を割り当てる日(以下「割当日」という)以降、当社が当社普通株式の株式分割(当社普通株式の株式無償割当てを含む。以下株式分割の記載につき同じ)又は株式併合を行う場合には、次の算式により付与株式数の調整を行い、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
調整後付与株式数 = 調整前付与株式数 × 株式分割又は株式併合の比率
調整後付与株式数は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日の翌日(基準日を定めないときはその効力発生日)以降、株式併合の場合は、その効力発生日以降、これを適用する。但し、剰余金の額を減少して資本金又は準備金を増加する議案が株主総会において承認されることを条件として株式分割が行われる場合で、当該株主総会の終結の日以前の日を株式分割のための基準日とする場合は、調整後付与株式数は、当該株主総会の終結の日の翌日以降、当該基準日の翌日に遡及してこれを適用する。
また、割当日以降、当社が合併又は会社分割を行う場合その他これらの場合に準じて付与株式数の調整を必要とする場合には、当社は、合理的な範囲で付与株式数を適切に調整することができる。
付与株式数の調整を行うときは、当社は調整後付与株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各新株予約権を保有する者(以下「新株予約権者」という)に通知又は公告する。但し、当該適用の日の前日までに通知又は公告を行うことができない場合には、以後速やかに通知又は公告する。
2 ①新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第 17 条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げる。
②新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記①記載の資本金等増加限度額から上記①に定める増加する資本金の額を減じた額とする。
3 ①新株予約権者は、割当日後3年間は新株予約権を行使することができない。但し、当社の取締役の地位を喪失した場合は、当該地位喪失の日の翌日から10年間に限り新株予約権を行使することができる。
②上記①にかかわらず、新株予約権者は、上記「新株予約権の行使期間」内において、当社が消滅会社となる合併契約承認の議案又は当社が完全子会社となる株式交換契約若しくは株式移転計画承認の議案につき株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要な場合は、当社の取締役会決議がなされた場合)には、当該承認日(株主総会決議が不要な場合は、当社の取締役会決議日)の翌日から15日間に限り新株予約権を行使できる。但し、下記(注)4に従って新株予約権者に再編対象会社の新株予約権が交付される旨が合併契約、株式交換契約若しくは株式移転計画において定められている場合を除く。
③上記①は、新株予約権を相続により承継した者については適用しない。
④新株予約権者が新株予約権を放棄した場合、当該新株予約権を行使することができない。
4 当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る)、吸収分割若しくは新設分割(それぞれ当社が分割会社となる場合に限る)又は株式交換若しくは株式移転(それぞれ当社が完全子会社となる場合に限る)(以上を総称して以下「組織再編行為」という)をする場合には、組織再編行為の効力発生日(吸収合併につき吸収合併がその効力を生じる日、新設合併につき新設合併設立株式会社の成立の日、吸収分割につき吸収分割がその効力を生じる日、新設分割につき新設分割設立株式会社の成立の日、株式交換につき株式交換がその効力を生じる日及び株式移転につき株式移転設立完全親会社の成立の日をいう。以下同じ)の直前において残存する新株予約権(以下「残存新株予約権」という)を保有する新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下「再編対象会社」という)の新株予約権をそれぞれ交付することとする。但し、以下の各号に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めることを条件とする。
①交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する残存新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付する。
②新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
③新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、上記(注)1に準じて決定する。
④新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、以下に定められる再編後行使価額に上記③に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とする。再編後行使価額は、交付される各新株予約権を行使することにより交付を受けることができる再編対象会社の株式1株当たり1円とする。
⑤新株予約権を行使することができる期間
上記「新株予約権の行使期間」に定める開始日と組織再編行為の効力発生日のうち何れか遅い日から、上記「新株予約権の行使期間」に定める満了日までとする。
⑥新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
上記(注)2に準じて決定する。
⑦譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要する。
⑧新株予約権の取得条項
下記(注)5に準じて決定する。
⑨その他の新株予約権の行使の条件
上記(注)3に準じて決定する。
5 以下の①、②、③、④又は⑤の議案につき当社株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要の場合は、当社の取締役会決議がなされた場合)は、当社取締役会が別途定める日に、当社は無償で新株予約権を取得することができる。
①当社が消滅会社となる合併契約承認の議案
②当社が分割会社となる分割契約若しくは分割計画承認の議案
③当社が完全子会社となる株式交換契約若しくは株式移転計画承認の議案
④当社の発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当社の承認を要することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
⑤新株予約権の目的である種類の株式の内容として譲渡による当該種類の株式の取得について当社の承認を要すること若しくは当該種類の株式について当社が株主総会の決議によってその全部を取得することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
6 2022年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の数」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
該当事項はありません。
(注)1 株式分割(無償1:2)
2 2023年1月17日開催の取締役会決議により、2023年1月31日付で自己株式を消却し、発行済株式総数が1,100,000株減少しております。
2023年3月31日現在
(注) 1 自己株式3,987,837株は「個人その他」に39,877単元、「単元未満株式の状況」に137株含まれております。
なお、自己株式3,987,837株は株主名簿記載上の株式数であり、2023年3月31日現在の実質所有株式数は
3,986,385株であります。「株式給付信託(取締役向け)」及び「株式給付型ESOP信託」が保有する当社株式101,952株は実質所有株式には含めておりません。
2 証券保管振替機構名義の3,086株は、「その他の法人」に30単元、「単元未満株式の状況」に86株含まれております。
3 「金融機関」の欄には、「株式給付信託(取締役向け)」及び「株式給付型ESOP信託」が保有する自己株式1,019単元が含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 信託銀行等の信託業務に係る株式数については、当社として網羅的に把握することができないため、株主名簿上の名義での所有株式数を記載しております。
2 上記株式会社日本カストディ銀行(信託口)の所有株式のうち、信託業務に係る株式数は1,611,452株であり、「株式給付信託(取締役向け)」及び「株式給付型ESOP信託」が保有する当社株式101,952株が含まれております。
3 上記のほか自己株式が3,986,385株(「株式給付信託(取締役向け)」及び「株式給付型ESOP信託」が保有する当社株式101,952株を除く)あります。
4 2022年11月18日付で公衆の縦覧に供された大量保有報告書の変更報告書において、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社及び共同保有者であるJPモルガン・アセット・マネジメント(アジア・パシフィック)リミテッド(JPMorgan Asset Management(Asia Pacific)Limited)、ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・ピーエルシー(J.P. Morgan Securities plc)が2022年11月15日現在でそれぞれ以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。
5 2023年4月7日付で公衆の縦覧に供された大量保有報告書の変更報告書において、みずほ証券株式会社及びその共同保有者であるアセットマネジメントOne株式会社が2023年3月31日現在でそれぞれ以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。