株式会社アイティフォー
(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第63期の期首から適用しており、第63期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2.1株当たり純資産額および1株当たり当期純利益金額の算定上の基礎となる普通株式については、「取締役向け株式交付信託」の信託財産として株式会社日本カストディ銀行(信託口)が保有している当社株式を控除対象の自己株式に含めて算定しております。
(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第63期の期首から適用しており、第63期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2.1株当たり純資産額および1株当たり当期純利益金額の算定上の基礎となる普通株式については、「取締役向け株式交付信託」の信託財産として株式会社日本カストディ銀行(信託口)が保有している当社株式を控除対象の自己株式に含めて算定しております。
3.第61期の1株当たり配当額には、上場20周年記念配当2円を含んでおります。
4.第63期の1株当たり配当額には、創業50周年記念配当5円を含んでおります。
5.最高株価および最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。
(注)2023年4月福岡営業所を九州事業所に改称。
当社グループは、株式会社アイティフォー(当社)、連結子会社4社および持分法適用会社1社で構成されております。なお、当連結会計年度において、株式会社シディを設立し、新たに連結子会社としております。
当社グループはソフトウェアの設計・開発・保守、システム機器販売、システムインフラ基盤などの設置まで一貫したサービスの提供、公共分野向けのBPO(業務受託)サービスを主な事業として展開しております。
当社グループの事業内容、および当社グループ各社の当該事業に係る位置づけならびにセグメントとの関連は以下のとおりです。以下に示す区分は、報告セグメントと同一の区分です。
(システム開発・販売)
当社は、ソフトウェアやシステムインフラ基盤の設計・開発およびシステム機器の仕入、販売を行っております。株式会社イーブは、ソフトウェアの開発を行っており、株式会社アイセルは、当社が開発したパッケージソフトのカスタマイズの一部を担当しております。
(リカーリング)
当社は、ソフトウェア保守、ハードウェアの保守・運用、クラウド、BPOサービスを提供しております。株式会社アイ・シー・アールおよび株式会社シー・ヴィ・シーは、BPOサービスを担当し、株式会社シディは、デジタルサービスの提供および決済代行を行っております。
[事業系統図]
当社と関係会社各社の当該事業の位置付けは、以下のとおりです。

関係会社は、以下のとおりです。
(注) 「議決権の所有割合」欄の[内書]は間接所有です。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、他社から当社グループへの出向者を含む就業人員数です。
2.従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は( )内に年間平均人員数を外数で記載しております。
なお、臨時従業員はパートタイマーの人数です。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定の事業分野に区分できない部門に所属しているものです。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、他社から当社への出向者を含む就業人員数です。
2.従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は( )内に年間平均人員数を外数で記載しております。
なお、臨時従業員はパートタイマーの人数です。
3.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
4.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定の事業分野に区分できない部門に所属しているものです。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異
提出会社
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
<男女の賃金差異についての補足説明>
①当社において、BPO業務に従事する女性パート社員が全労働者数の49%を占めていることが要因です。また、週に1日~4日勤務のパート社員が多く在籍していることも全労働者の賃金差異の大きさに影響しています(労働時間による人員換算は行っておりません)。
②正規雇用労働者における男女の平均継続勤務年数の差異(男性12.5年、女性8.8年)や、男性社員の残業時間が女性よりも多いことが正規雇用労働者の男女賃金差異の重要な要素となっております。残業時間は男女問わず減らしていくKPIを掲げており、また、育児休暇制度やカムバック制度の整備により、女性がより長く勤務できる体制を強化しています。
(1) 経営方針
当社グループは、2022年12月に創業50周年を迎えるにあたり、49年目の創業記念日である2021年12月2日より、新しい経営理念「『寄り添うチカラ』で人々の感動と笑顔を生み出す」とパーパス(存在意義)「地方創生による社会貢献を通してすべての人や企業にサプライズを提供し、持続可能な未来の発展に貢献します」の適用を開始し、これまで培ってきたシステム(IT)と業務(BPO)のノウハウを通じて広く社会に有益な存在であり続けることを目指して企業活動を推進しています。


当社グループは、過去の慣習にとらわれず、次の、次の未来に向けてITのチカラでイノベーションを創出し続けることで、人や社会に新たな変革をもたらし、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。
(2) 中期経営計画「「NEXT STAGE 2023 - HENCA SINCA SOZO -」の遂行
「お客様に寄り添うチカラ」で持続的成長の実現を目指すことを長期的目標とし、2023年度の財務目標として、売上高210億円、営業利益34億円、ROEおよびROIC13%以上の達成を掲げ、経営基盤の強化、収益性の向上、ESG経営の進化を進め、環境変化に対応していきます。
<中期経営計画の基本方針>
① 経営基盤の強化
企業価値の持続的な向上を目指し、事業成長していくためには強い経営基盤を築くことが必須と考え、ガバナンスの強化、社内インフラの強化、開発体制および品質の強化を推進いたします。また、今後の成長を支える多様な人財の確保について、質と人数の両面から強化してまいります。
② 収益性の向上
財務目標として掲げるROIC13%を達成すべく、ROIC経営を全社に浸透させ収益性の向上を目指します。具体的には、低収益事業からの撤退、事業部間シナジーのさらなる追求、成長事業・新規事業育成のための積極的投資に努めてまいります。
③ ESG経営の進化
将来の成長に向け、利益と効率性の追求に加えESG経営の実践が求められています。当社グループでは社長自らがサステナビリティ推進担当となり、ESGの考え方を社内に浸透させるとともに、我々の強みを生かし、様々なソリューションの提供を通じて地方のデジタルトランスフォーメーション(DX)化に貢献し、地方経済の活性化に寄与していきたいと考えております。
(3) 経営環境
今後の経営環境につきましては、日本経済は新型コロナウイルス感染症の収束に伴い穏やかに持ち直しの動きが見られます。その一方で、世界的な資源価格や物価の高騰、円安、金融市場の混乱といった不安要因も多くみられ、依然として先行き不透明な状況が続くものと思われます。
(4) 対処すべき事業上および財務上の課題
当社グループは2021年度に、2023年度までの3カ年を対象とした、中期経営計画をスタートいたしました。不確実性の高い時代において、お客様のニーズの多様化や社会の変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現すべく、中期経営計画の3年目となる2023年度は、以下の項目への取り組みを加速化させてまいります。
① クロスセルの拡大による既存事業の成長をさらに追求
当社は、既存事業のさらなる成長に向け、クロスセルの拡大が重要課題と考えております。お客様のニーズが多様化する中、業界をまたがって様々なソリューションを提供することで、事業部間シナジーを追求してまいります。その中心となるのが、非対面ソリューション、コンタクトセンターソリューション、キャッシュレスソリューション、セキュリティソリューションの4領域と考えております。「非対面」を実現するデジタル化のニーズは引き続き堅調に推移すると予想されます。コンタクトセンターソリューションにおいて主力の延滞債権督促業務を無人化した「ロボティックコール」は、ノンバンクを中心に新規顧客を獲得するなど好調な販売を維持しております。また、業界問わずサイバー攻撃に対するセキュリティ対策のニーズが高まっており、全事業部でのクロスセルに取り組んでおります。既存事業の深掘りとクロスセルにより、さらなる成長を目指してまいります。
② 新規事業の拡充
当社は、デジタル・キャッシュレス・セキュリティという3つのプラットフォームで構成する「デジタル地域インフラ」を提供し、地方のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しております。2022年4月には、社長直轄の新規事業推進室を創設し、幅広い領域でソリューションを提供してきた実績を軸に、産学官の連携など新たなパートナーと組み、自社の技術に留まらない事業創生に向け、スピード感をあげて取り組んでまいります。全国規模の強固な顧客基盤をてこに、即効性のあるサービス、システムを展開することで、新規事業を立ち上げ、一挙に拡大したいと考えております。
③ サステナブルな社会の実現に向けた対応
当社は、『「寄り添うチカラ」で人々の感動と笑顔を生み出す』というサステナビリティ基本方針を掲げ、5項目のマテリアリティを特定し、課題解決に向け全社で取り組んでおります。地域社会と人々のライフステージすべてをイノベーションでサポートし、サプライズを提供することでサステナブルな未来を実現してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきまして、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
全社的な当社を取り巻く環境として、少子高齢化や人口減少に伴う労働者人口減少の時代を迎え、生産性の向上が喫緊の課題となっております。さらに、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響が依然として不透明な中、経済・社会環境の変化に対し柔軟な対応が必要となっております。また、クラウド活用の進展、ハードウェアからソフトウェアへの流れは今後も継続し、当社のビジネスモデルも変革を迫られております。各事業については、フィンテックの進化、キャッシュレス化の進展、働き方改革、法制度の変化、次世代移動通信システムへのサービス移行などが、当社の今後の業績に影響を与えるものと考えられます。
当社グループが強い事業領域と位置付ける地方銀行を中心とする金融機関においては、低金利の長期化や法改正の影響などを受け、地域ビジネスへの参入など事業の多角化による経営基盤の強化を目的としたアライアンスの拡大、また地方百貨店においても地方経済の低迷による厳しい状況が続いており、事業環境は楽観視できない状況が続いております。当社グループでは、業務効率化や事業拡大につながる様々なソリューションの提供により取引先の収益に貢献できるように取り組んでおりますが、厳しい事業環境が継続することで取引先の業績やIT投資計画に大きな影響を及ぼし続ける場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。戦略商品であるキャッシュレス決済事業の拡大に取り組んでおりますが、マルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」の導入先となる加盟店の経営状況、半導体市場の動向、競合の激化などの問題により事業拡大が進展しない場合においては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、事業戦略展開分野を金融業界向けシステムや、流通・小売業界向けシステムなどに関連する分野に集中することにより他社と比べ優位なシステムノウハウを蓄積し、その分野で独自のソリューションとネットワークインフラを含むハード・ソフトのトータルサービスを提供しております。しかしながら、既存の大手コンピューター・メーカーや専業システムインテグレーターとの競合が厳しくなっております。また、当社グループは質の高いソリューションを提案することにより売上の拡大を図っておりますが、情報通信機器類の価格の低下に伴い単価の引き下げ圧力が強まっております。このような企業間競争のさらなる激化と販売価格の下落傾向が続いた場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループの商品仕入の約4割が輸入であり、主に米国ドル建ての取引となっております。当社は、為替相場の変動によるリスクを軽減するため、先物為替予約取引を外貨建買掛金等および発注高の範囲内で行っております。先物為替予約取引の契約先は、いずれも信用度の高い国内の銀行であり、相手先の契約不履行による、いわゆる信用リスクはほとんどないと判断しております。
しかしながら、先物為替予約取引により為替相場の変動による影響を緩和することは可能であっても、間接的な影響を含め、すべてのリスクを排除することは不可能であり、大幅な円安が続くとコストアップ要因となることから、為替相場の変動により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループの取り扱う情報通信機器類のライフサイクルは、年々短くなる傾向にあります。当社グループは、国内外から最新の情報技術および機器類を仕入れ、お客様へ提供しておりますが、技術進歩に遅れをとった場合や商品戦略を誤った場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、当社が保有する2年以上経過した在庫品については、売却可能性がない場合は廃棄処分とし、在庫水準の適正化に努めております。
当社グループが独自開発し、高いシェアを確保しております特許権が成立していないシステムなどで、類似品や競合品の出現により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループはニーズに合ったパッケージシステムおよびお客様の要求事項に基づくソフトウェアの開発、製造ならびに保守(ハード、ソフト)サービス等を行っておりますが、それらの品質管理を徹底し、お客様に対して品質保証を行うとともに顧客満足度の向上に努めております。さらに当社では「ISO9001(2015年版)」の認証を取得し、品質マニュアルおよび品質目標を設定することにより、品質管理の徹底を図っております。また、情報セキュリティマネジメントシステム国内標準規格「ISO27001(2013年版)」の認証を取得し、お客様へのサービス向上に努めております。しかしながら、当社グループの提供するサービス等において品質上のトラブルが発生した場合には、トラブル対応による追加コストの発生や損害賠償により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、お客様の了解を得た上で、個人情報を含む重要情報に接する機会があります。当社では、プライバシーマークの取得に加え、自社開発の「入退室管理システム」やPCの操作ログを見える化する「CATサポーター」を全社に導入し、情報管理を徹底しております。管理体制としては、各事業部長が情報管理責任者となり担当部門内のセキュリティ管理の責任を負うとともに、各部署に情報管理担当者を配置しております。引き続き情報管理には万全の対応を図ってまいりますが、万一、当社から重要情報が流出するような事態が生じた場合には、事業の継続に重大な影響を及ぼす恐れがあります。
当社ではデータセンターを東京と大阪に設置しており、大規模地震等を想定した事業継続計画(BCP)の整備、安否確認システムの導入、耐震対策、防災訓練等の対策を講じておりますが、大地震等により防災管理体制の想定範囲を超えるような災害が発生した場合には、停電・通信回線の障害等の不測の事態により業務の遂行に影響を及ぼす恐れがあります。
(7)新型コロナウイルス感染症の感染拡大について
世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、当社においてもテレワークなどの勤務体制の変更、出社時における検温・マスク着用・アルコール消毒などの励行、事業の分散運営などにより社員の安全の確保に努めてまいりました。今後、感染の再拡大やその影響が世界的に長期化した場合、受注活動における制約、ソフトウェア開発の遅延、サプライチェーンの混乱により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループの属する情報サービス事業においては、お客様への出荷や納期が9月および3月に集中する傾向があり、連結会計年度における各四半期の売上高・利益に変動がございました。しかしながら、システム開発における大型案件では、従来の一括受注ではなく開発見積りおよびスケジュールの精度を高める目的から工程ごとの分割受注が増加しております。また、前連結会計年度におきましては、収益認識会計基準等の適用に伴う影響により、過去の連結会計年度に比べ季節変動の傾向が弱まっておりました。当連結会計年度におきましては、第3四半期の売上が第4四半期にずれ込んだ影響により、第4四半期に集中しております。今後の傾向につきましては注視してまいります。
前連結会計年度および当連結会計年度の業績変動の状況は以下のとおりです。
(注)アイティフォー単体売上高 2021年9月 1,334,798千円 2022年3月 1,460,166千円
(注)アイティフォー単体売上高 2022年9月 1,825,366千円 2023年3月 2,784,899千円
(9)業務提携等について
当社グループは、今後も当社グループ事業の拡大と安定を図るための業務提携などを積極的に進めていく方針ですが、当社グループが当初想定したシナジー効果が生じない場合や提携・出資先企業の業績によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社は、過去に会社法第236条、第238条および第239条の規定に基づく新株予約権を発行しておりますが、権利行使がなされた場合、株式価値の希釈化が起こり、当社株価に影響が出る可能性があります。なお、2006年6月23日開催の第47回定時株主総会におきまして、「当社株式の大規模買付行為への対応策(「買収防衛策」)」を導入し、必要に応じ内容の改定を行い継続してまいりましたが、2022年5月12日開催の当社取締役会決議により、当社第63回定時株主総会終結の時をもって、買収防衛策を継続せず、廃止いたしました。
なお、当社は買収防衛策廃止後も、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見などを開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるなど、金融商品取引法、会社法およびその他関連法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という)の状況の概要は以下のとおりです。
当社グループは2021年度から2023年度を対象とした中期経営計画を策定し、経営基盤の強化、収益性の向上、ESG経営の進化の3つを柱に、「お客様に寄り添うチカラ」で持続的成長の実現を目指し、計画の達成に向け事業活動を推進しております。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波と第8波の影響を受けましたが、行動制限の緩和傾向に伴い穏やかに持ち直しの動きが見られました。一方、世界的な資源価格や物価の高騰、円安の影響など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く国内ITサービス業界では、「非接触」や「非対面」を実現するデジタル化のニーズが引き続き高く、AIやブロックチェーンなど、デジタル技術を活用したビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)を中心に企業の投資意欲は引き続き高い状態にあります。その一方で、一部の業種や企業では、先行き不透明な景況感の中でIT投資の抑制や先送りの動きが続いており、企業の投資計画の見直しについて注視しております。
営業活動においては、金融機関を中心に、当社の主力である延滞債権管理システムの継続的な更改に加え、個人ローン業務支援システム「SCOPE」と業務の非対面化を実現するローンWeb受付システム「WELCOME」を組み合わせた新規販売および機能追加が引き続き安定的に推移しました。これらの当社システムは、申込用紙の削減や契約書類も電子化することで環境への配慮を実現しつつ、審査に費やす時間の短縮に貢献しております。また、延滞債権督促業務を無人化した「ロボティックコール」の販売が好調で、大手金融機関にも新規導入されるなど、利用が広がっています。受注高は18,567百万円(前年同期比105.8%)、受注残は15,300百万円(前年同期比101.6%)といずれも前年同期を上回り、過去最高となりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は18,322百万円(前年同期比107.6%)、営業利益は3,217百万円(前年同期比106.1%)、経常利益は3,278百万円(前年同期比105.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,291百万円(前年同期比108.5%)と増収増益となりました。売上・利益共に過去最高を更新したほか、営業利益は、中期経営計画の目標を1年前倒しで達成しました。
なお、報告セグメント別の経営成績は次のとおりです。
(システム開発・販売)
基幹事業である金融機関向けのソフト開発、インフラ設備の更改、延滞債権督促業務を無人化した「ロボティックコール」の導入などにより販売は安定的に推移しております。また、マルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」は端末の部品調達の遅れが徐々に緩和しました。その結果、受注高は11,168百万円(前年同期比101.9%)、売上高は10,611百万円(前年同期比107.7%)、セグメント利益は1,778百万円(前年同期比118.4%)となりました。
(リカーリング)
安定収益源である保守サービスに加え、公共分野向けBPO(業務受託)サービスにおいて政令市・中核市を中心に、既存契約先からの追加受注および、新規受託先の売上が計上されるなど引き続き堅調に推移しております。その結果、受注高は7,399百万円(前年同期比112.3%)、売上高は7,710百万円(前年同期比107.6%)、セグメント利益は1,439百万円(前年同期比94.1%)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は10,796百万円となり、前連結会計年度末と比べ211百万円増加いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から得られた資金は1,714百万円(前年同期比61.0%)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益3,283百万円、仕入債務の増加額414百万円、減価償却費362百万円、主な減少要因は法人税等の支払額1,208百万円、売上債権の増加額1,037百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は758百万円(前年同期比214.7%)となりました。主な減少要因は有形固定資産の取得による支出358百万円、無形固定資産の取得による支出184百万円、投資有価証券の取得による支出101百万円、有価証券の純増加額100百万円、定期預金の預入による支出100百万円、主な増加要因は投資有価証券の売却による収入103百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は744百万円(前年同期比136.6%)となりました。減少要因は配当金の支払額830百万円です。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) セグメント間取引はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、財政状態および経営成績の分析は、連結会計年度末現在で行っており、見積りについては見積りを必要とする事象および見積りに与える要因を把握した上で適切な仮定を設定して評価を行っております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、重要な会計上の見積りを要する項目は該当がないものと判断しております。
a) 売上高
当連結会計年度における売上高は、全事業領域でおおむね計画通り売上高が伸長した結果、18,322百万円(前年同期は17,021百万円)となりました。2023年3月期を含む直近3年間の年平均成長率は、6%となっております。
報告セグメント別では、システム開発・販売セグメントにおいて、金融機関向けのソフト開発、インフラ設備の更改、延滞債権督促業務を無人化した「ロボティックコール」の導入などにより販売が安定的に推移しました。また、マルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」は端末の部品調達の遅れが解消したことなどにより、売上高は10,611百万円(前年同期は9,855百万円)となりました。リカーリングセグメントにおいては、システム販売の増加に伴い保守サービスが安定的に増加したことに加え、公共分野向けBPO(業務受託)サービスが政令指定都市・中核市を中心に引き続き堅調に推移した結果、売上高は7,710百万円(前年同期は7,166百万円)となりました。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、システム開発・販売が57.9%、リカーリングが42.1%となりました。
b) 売上総利益
当連結会計年度における売上総利益は、6,734百万円(前年同期は6,156百万円)となりました。売上総利益率は36.8%となり、前年同期に対し0.6ポイント増加しました。これは、半導体不足による資材価格の高騰や円安による輸入仕入コストの上昇があったものの、外注費のコントロールなどにより原価率が改善したことによるものです。
c) 営業利益
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、研究開発および新規事業向け投資、既存事業向け投資、社内DX推進および人財育成投資などにより、3,517百万円(前年同期は3,125百万円)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は3,217百万円(前年同期は3,031百万円)となりました。
d) 経常利益
当連結会計年度における営業外収益は、受取配当金の増加などにより112百万円(前年同期106百万円)となりました。営業外費用は、投資有価証券売却損、固定資産除却損、会員権評価損の計上などにより51百万円(前年同期は31百万円)となりました。以上の結果、経常利益は、3,278百万円(前年同期は3,106百万円)となりました。
e) 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における特別利益は、新株予約権戻入益として5百万円を計上しました。特別損失は、計上しておりません。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,291百万円(前年同期は2,112百万円)となりました。
a) 資産
当連結会計年度末の総資産は21,667百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,656百万円増加しました。流動資産は17,676百万円となり、1,412百万円増加しました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が1,070百万円、有価証券が399百万円増加したことなどです。固定資産は3,990百万円となり、244百万円増加しました。この主な原因は、建設仮勘定が157百万円増加したことなどです。
b) 負債
当連結会計年度末の負債合計は4,499百万円となり、前連結会計年度末に比べて96百万円増加しました。流動負債は4,243百万円となり、68百万円増加しました。これは主に、その他が202百万円減少しましたが、買掛金が414百万円増加したことなどです。固定負債は256百万円となり、27百万円増加しました。
c) 純資産
当連結会計年度末の純資産は17,167百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,560百万円増加しました。この主な原因は、剰余金の配当の支払いにより831百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により2,291百万円増加したことなどです。この結果、自己資本比率は、79.1%となり、前連結会計年度末の77.9%から1.2ポイント増加しました。
セグメントごとの財政状況および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、 経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」 に記載のとおりです。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、運転資金および設備投資資金は基本的に自己資金でまかなうこととしておりますが、不足時の一時的な運転資金を効率的に調達するため、主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
なお、自己資本比率79.1%、流動比率416.6%などの指標が示すように、健全な財務体質や営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力によって、当社グループの事業展開に必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
該当事項はありません。
2023年3月31日現在
(注) 1.帳簿価額のうち、「その他」の主なものは工具器具備品およびソフトウェアであり、建設仮勘定およびソフトウェア仮勘定を含んでおります。
2.従業員数の()は、臨時従業員数を外書きしております。
3.本社の建物の年間賃借料は、316,630千円です。
2023年3月31日現在
(注) 1.帳簿価額のうち、「その他」の主なものは工具器具備品およびソフトウェアです。
2.従業員数の()は、臨時従業員数を外書きしております。
3.本社の建物の年間賃借料は、20,058千円です。
在外子会社はありません。
(注) 「提出日現在発行数」欄には、2023年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。
会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき発行した新株予約権は、以下のとおりです。
《第8回発行分》 2017年6月21日定時株主総会決議
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注)「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」の発行価格は、公正な評価単価と行使時の払込金額の合計額を記載しております。
なお、当社が当社普通株式につき株式分割または株式併合を行う場合、上記の行使価額は、株式分割または株式併合の比率に応じ、次の算式により調整されるものとし、調整により生じる1円未満の端数は切り上げる。
また、時価を下回る価額で新株式の発行(新株予約権の行使により新株式を発行する場合を除く)または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により行使価額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
該当事項はありません。
(注) 1.2002年6月27日定時株主総会決議に基づくストック・オプションとしての
2.2004年6月25日定時株主総会決議に基づくストック・オプションとしての
2023年3月31日現在
(注) 自己株式 1,586,213 株( 15,862 単元)は、「個人その他」に含めて記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.株式会社日本カストディ銀行(三井住友信託銀行再信託分・ブラザー工業株式会社退職給付信託口)の所有株式は、ブラザー工業株式会社が所有していた当社株式を三井住友信託銀行株式会社に信託したものが、株式会社日本カストディ銀行に再信託されたもので、議決権はブラザー工業株式会社に留保されております。
2.当社は、自己株式1,586,213株を保有しておりますが、上記の大株主から除いております。なお、自己株式には、株式報酬制度の信託財産として株式会社日本カストディ銀行が保有する当社株式123,796株は含めておりません。
1.報告セグメントの概要
(1) 報告セグメントの決定方法
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、製品・サービスのビジネス特性を基礎としたセグメントから構成されており、「システム開発・販売」、「リカーリング」の2つを報告セグメントとしております。
(2) 各報告セグメントに属する製品およびサービスの種類
「システム開発・販売」は、主にシステム機器販売、ソフトウエアやシステムインフラ基盤に関する設計・開発から導入・設置までの一貫したサービスを提供しております。
「リカーリング」は、主にソフトウエア保守、ハードウエアの保守・運用、クラウド、BPOサービスを提供しております。