株式会社井筒屋
(注) 1. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第125期~第128期は潜在株式が存在しないため記載しておりません。第124期におきましては、1株当たり当期純損失が計上されており、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2. 従業員数は、就業人員数を表示しております。
3. 第124期における大幅な親会社株主に帰属する当期純損失の原因は、営業店舗の終了を決議したことに伴い、固定資産の「減損損失」および「事業構造改善引当金繰入額」を計上したこと等に伴う多額の特別損失が発生したことによるものです。
4. 第128期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、第128期に係る主要な経営指標については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。
(注) 1. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第125期~第128期は潜在株式が存在しないため記載しておりません。第124期におきましては、1株当たり当期純損失が計上されており、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2. 従業員数は、就業人員数を表示しております。
3. 第124期における大幅な当期純損失の原因は、営業店舗の終了を決議したことに伴い、固定資産の「減損損失」および「事業構造改善引当金繰入額」を計上したこと等に伴う多額の特別損失が発生したことによるものです。
4. 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年
4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
5. 第127期の資本金の減少は、減資によるものであります。
6. 第128期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、
第128期に係る主要な経営指標については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。
当社の企業集団は、当社、子会社4社、関連会社1社で構成され、百貨店事業を主な内容とし、百貨店事業に付随、関連する友の会事業等の事業活動を展開しております。
当グループの事業に関する位置づけおよびセグメントとの関連は次のとおりであります。なお、セグメントと同一の区分であります。
百貨店業 … 当社及び連結子会社㈱山口井筒屋が事業展開しており、当社は㈱山口井筒屋に対し商品の供給を行うほか、商品券の共通使用等営業上の提携を行っております。
なお、連結子会社㈱レストラン井筒屋が当社の店舗内のレストラン部門の経営を、連結子会社㈱井筒屋商事が当社および㈱山口井筒屋の慶弔ギフトの販売、国内及び輸入製品の卸売を、非連結子会社井筒屋サービス㈱が店舗内の清掃を行っております。
友の会事業… 百貨店各社に対し連結子会社㈱井筒屋友の会は前払式の商品販売の取次を行っております。
その他 … 関連会社㈱ニシコンが情報処理サービス業を行っております。

(注) 1. 事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。なお、( )内は具体的な事業内容
であります。
2. 議決権の所有割合の( )内は、間接所有で内数であります。
3. 特定子会社であります。
4. 重要な債務超過会社および債務超過の金額は次のとおりであります。
5. 売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)が連結売上高の10%を超える連結会社の「主要
な損益情報等」は次のとおりであります。
2023年2月28日現在
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2023年2月28日現在
(注) 1. 従業員数は就業人員であり、出向受入者23人を含み、他社への出向者60人を含めておりません。また臨時
従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2. 臨時従業員には、パートタイマーおよび契約社員の従業員を含み、派遣社員を除いております。
3. 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
当社グループには山口井筒屋労働組合(組合員数78人)およびコレット井筒屋労働組合(組合員数48人)があり、それぞれ全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟(略称UAゼンセン)に加盟しております。
なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
井筒屋グループは、お客様・お取引先・株主各位ならびに従業員に対し、適正な利益配分を行い、「秩序のうえに立つ創造的繁栄」を図ることを経営理念と定め、この理念に徹するとともに、「奉仕こそ繁栄の基」という奉仕の精神を日常の実践的心構えといたしております。

(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上高営業利益率ならびに売上高経常利益率を重要な経営指標としております。
当該指標を採用した理由は、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解するうえで重要な指標で
あり、経営方針・経営戦略等の進捗状況や企業価値の的確な把握が可能であると判断するためであります。
<井筒屋グループ中期3ヵ年経営計画 (2024年度)の数値目標>
(3)経営環境
①企業構造
当社グループは、主要事業である百貨店事業を中心とした各事業会社により構成されています。グループ共通の経営理念やビジョンの下、グループガバナンスを効かせております。各社の自立性や採算性を基本とし、事業を行っております。
②市場環境
グローバル化に加え、技術革新によるデジタル化が加速度的に進展しています。また、人口減少による労働力不足、働き方改革、非正規雇用の増加、女性の社会進出などの社会変化が起きております。これらの課題に対し、DXの推進をはじめ、労働環境の抜本的な改革が必要となっております。
SDGS意識の高まりにより、企業は地球環境に配慮しながら事業活動をするよう社会的責任(CSR)を強く求められるようになり、企業の戦略も、これまでの製品の一時的なヒットや薄利によるシェア獲得、規模に依る拡大戦略ではなくしっかりとした理念や価値観に基づく持続戦略に変えていく事が必要になります。
新型コロナウイルス感染症につきましては、本年5月に感染症法上第5類に引き下げられ、行動規制の緩和による経済活動の活性化が期待されます。消費は同感染拡大前の水準には至っておりませんが、コロナ禍により加速・顕在化した環境変化において、従来型の「規模や量を追求する事業モデル」から、「量から質を追求する新たな事業モデル」への転換を検討する契機となりました。新たな事業モデルへの道筋をつけるため、「井筒屋グループ中期3ヵ年経営計画」(2022年度~2024年度)により、中長期的な戦略実現に向けた検討・準備とグループ保有資産の更なる強化に努めてまいります。
③競合他社との比較
当社グループは、地域に根ざす百貨店として、これまで以上に地域のお客様にご満足いただける品揃え・ サービスを提供することで、他小売業との差別化を進め、将来にわたる安定的な収益基盤の確立と、財務体質の健全化を図ってまいります。
④顧客動向・顧客基盤
国内市場は、人口減少、少子高齢化等の加速が見込まれ、顧客数及び消費量の減少が続くことが予想されます。また、富裕層を中心とした高額商品や食品をはじめ生活必需品の販売は堅調に推移しており、商品カテゴリー別の好不調が鮮明になってきております。お客様が百貨店に期待される品揃えとサービスを着実に捉えるべく、引き続きお客様第一主義を基本とした営業戦略の企画・立案に努めてまいります。
⑤新型コロナウイルス感染症の影響および対応
当期におきましては、徐々に消費の回復がみられましたものの、新型コロナウイルス感染症拡大以前の水準には至りませんでした。本年5月に同感染症が感染症法上第5類へ引き下げられ、行動制限緩和による社会経済活動の正常化が期待されます。
コロナ禍におきましては、お客様の安心・安全を第一に同感染症拡大防止の諸施策を講じてまいりましたが、行動規制緩和に伴い、政府の方針をはじめ社会情勢を踏まえ、引き続きお客様の安心・安全を第一に考え、お客様に安心してご来店いただける環境を整えてまいります。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、「井筒屋グループ 中期3ヵ年経営計画(2022年度~2024年度)」を策定いたしております。本計画につきましては、コロナ禍により加速・顕在化した環境変化を踏まえ、従来型の規模や量を追求する事業モデルを見直す契機と捉え、量から質への「新たな事業モデルへの道筋をつける中計」と位置づけ、中長期の戦略実現に向けた検討・準備と、グループ保有資産の更なる強化に努めてまいります。
① 当社グループのビジョン
グループビジョン:「地域小売業のリーディングカンパニーとして発展していく」
事業戦略:サステナビリティを基盤とした“質”の追求
当社グループに関わる全てのステークホルダー(顧客、取引先、従業員、株主)ならびに地域社会とのつながりの“質”を深化させ、地域共創基盤として持続可能な地域社会の発展に寄与してまいります。
営業戦略:リアルとデジタルの両面からお客様へ上質な人生を提案する
顧客情報を統合し諸施策に活用することで、店舗やネットショッピング等複数のチャネルを通じて顧客ニーズへ対応してまいります。
② 戦略の方向性
[短中期]
・店舗における百貨店らしさの追求(競争優位性の確立・差別化)
自主編集運営ゾーンの刷新等による店舗価値の向上を図ってまいります。
・効率的な店舗運営と効果的な販売促進体制の維持(収益性の維持・向上)
SNS活用等効果的な宣伝経費運用により高収益構造の維持に努めてまいります。
[中長期]
・デジタルデバイスを基軸とした顧客単価向上(顧客接点の創造)
井筒屋アプリの導入により顧客統合基盤を構築し、効率的な営業施策を推進してまいります。
・優良顧客基盤×デジタルデバイスの活用(新たな収益基盤の確立)
将来的には、統合された顧客情報を活用し、顧客の求めるソリューションを提供してまいります。
③ <井筒屋グループ中期3ヵ年経営計画 (2024年度)の数値目標>
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済環境につきましては、新型コロナウイルス感染症が感染症法上第5類へ引き下げられるなど、行動制限緩和による社会経済活動の正常化が期待されますものの、世界的な金融引締めによる海外経済の下振れリスクに加え、エネルギーや原材料価格の高騰、物価の上昇等、依然として先行き不透明な状況が続くものと思われます。
このような状況の下、当社グループでは、「井筒屋グループ 中期3ヵ年経営計画(2022年度~2024年度)」を推進いたしております。計画2年目にあたる本年につきまして、対処すべき課題として位置づけておりますのは、次のとおりであります。
井筒屋グループといたしましては、今後もお客様にお買い物を楽しんでいただけるよう、お客様と従業員の安心・安全に配慮しながら、地域に根ざした百貨店としての役割を果たしてまいります。
店舗におきましては、引き続き商品・サービスの両面で百貨店らしさを追求し、強みである編集力を活かした売場づくりを行うことで売場を活性化させながら、地域のお客様のニーズにお応えしてまいります。また、SNSを活用した販売促進や、社内システムを利用した業務効率化についても積極的に推進し、物価の高騰による経費増加に対応するべく、収益体質の強化を図ってまいります。
デジタル戦略につきましては、次年度の井筒屋アプリ導入に向け、お客様の利便性を向上し、効果的な営業施策を実施できる体制を構築してまいります。
併せて、当社グループの成長に向けた好循環を実現し、中長期的な企業価値向上に繋げるため、人材の確保、育成、労働環境の整備等を重要課題として捉え、人的資本投資に努めてまいります。
以上を当社グループの対処すべき課題とし、これまで取り組んでまいりました事業構造改革を定着・発展させ、将来にわたる安定的な収益基盤の確立と、財務体質の健全化に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(影響)
当社グループは北部九州、山口地域を中心として活動しており、その業績は地域の気候状況、景気動向、消費動向、および同業・異業種の小売業他社との競争状況(新規大型商業施設の参入等)、地域の再開発事業等の影響を受けます。したがって、これらの要因は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
旗艦店である本店と山口店につきましては、より一層魅力を高め、収益力を強化するための売場改装を行うとともに、地域のお客様のニーズに応えてまいります。また、百貨店の強みである編集力を活かした売場づくりを行い、商品力・販売力・サービス力を強化し、店舗価値の向上を図ってまいります。
(影響)
当社グループの業績の中で、当社が高い割合を占めるため、当社の業績動向が当社グループに大きな影響を与える可能性があります。
(対応策)
当社グループでは、地域に密着した営業施策や地域店舗ネットワークを活かした収益の向上に努めております。
(影響)
当社グループの取扱商品の中で、食品においては、消費者の食品に対する不安が高まり当社グループの売上に影響を及ぼす可能性があります。また、商品取引において契約不適合がある商品の販売等があった場合、公的規制や損害賠償責任等による費用の発生や消費者からの信用失墜による売上の減少等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
当社グループでは、食品の適正な品質表示のため、毎週「食品検品デー」を実施しており、賞味・消費期限をはじめアレルギー原料等の表示確認の徹底を行っております。また、万一の食中毒や異物混入等の発生に備え、社内情報共有体制を整備し、原因究明、再発防止策の実施と、必要に応じて所轄の保健所へ報告するとともに、危害発生要因の防止策としてHACCPに基づく「自主衛生管理マニュアル」を策定し、食品衛生管理の徹底に努めております。
(影響)
自然災害やデータセンターの事故および通信回線や電力供給に障害等が起きた場合、当社の業務に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
当社グループでは、各種システムが安定的に稼働できるように、システムに冗長性を持たせるとともに、セキュリティ対策を行っております。また、社内に情報システム部門を設置して、外部からの攻撃の防止および様々な障害に対して迅速に対応するための体制を構築し、リスク低減を図ってまいります。
(影響)
当社グループの顧客情報の管理については、社内規程および管理マニュアルに基づき厳重に管理・運用を行っておりますが、不測の事故または事件によって顧客情報が外部に流出した場合、当社グループの社会的信用の失墜を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
当社グループは、顧客情報の流出防止のため、店舗および事業所内にある顧客台帳や各種伝票類の施錠保管ルールを定め、その徹底と定期的な監査を実施しております。また、電子保存の顧客情報アクセスに関しては厳格な入室制限を行っており、ウイルスやサイバー攻撃に備えた最新のウイルスソフトを導入するとともに、メールに起因するウイルスリスクを低減するため、メールアカウントの発行を必要最低限に留める等のセキュリティ対策を実施しております。
(影響)
当社グループは、商品・サービスの提供は景品表示法等、商品の仕入れは独占禁止法や下請法等、出店や増床に関しては大規模小売店舗立地法をはじめとする各種法規制の適用を受けております。当社グループにおいては内部統制組織を構築し、法令遵守を徹底しておりますが、万一これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
当社グループは、当社を取り巻く各種法規制の適用に対し、コンプライアンス研修をはじめとする各種研修を通じ従業員に対する情報の提供や法令遵守に関する教育を実施しております。また、法令違反やその恐れに対して従業員から内部通報、内部告発を受ける内部通報窓口を設置し、法令違反の未然防止や早期発見に努めております。
(影響)
当社グループの主な事業である百貨店業は、店舗による事業展開を行っており、火災・地震・洪水・台風等の不測の災害または事故によって店舗等事業所に大きな損害を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
当社グループは、火災・地震・洪水・台風等の不測の災害または事故への対策として、施設、設備、防災備品の点検や、火災・防水・地震等の各種避難訓練を定期的に実施しております。また、万一の災害や不測の事態の発生により、店舗等事業所に大きな損害を受ける等事業の遂行に支障が生じた場合に備え、事業を継続または早期に再開できるよう事業継続計画(BCP)を策定しております。
(8) 減損損失によるリスク
(影響)
当社グループの資産価値が下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
当社グループは、投資を行う際は投資価値を的確に把握し、回収可能性を十分に検討した上で実施しております。また、投資後は定期的に運用評価を行い、計画と乖離が生じた場合は早期の改善に取り組むことにより、保有する資産価値の低下による影響の低減に努めております。
(9) 金利の変動に関するリスク
(影響)
当社グループは、有利子負債などについて金利の変動リスクを負っており、その変動により経営成績および財政状態等に影響を与える可能性があります。
(対応策)
当社グループは、設備資金及び運転資金を機動的かつ安定的に調達するため、取引銀行と良好な関係を維持し、必要な資金調達に支障をきたさないようにしております。
(10)繰延税金資産に関するリスク
(影響)
当社グループは、将来減算一時差異および税務上の繰越欠損金に対して将来の課税所得等を合理的に見積り繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得等が見積りと異なることで繰延税金資産の全部または一部の回収可能性が無いと判断される場合には、繰延税金資産を減額することになります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
当社グループは、慎重に繰延税金資産の回収可能性を検討し、合理的な範囲内での繰延税金資産の計上を行うように努めております。
(11) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
(影響)
新型コロナウイルス感染症は、本年5月に同感染症が感染症法上第5類へ引き下げられ、行動制限規制による社会経済活動の正常化が期待されますが、感染症が再び拡大した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
当社グループは、お客様に安心してお買物いただける環境を整えることを最優先に努めております。また、高品質な商品と販売・サービスをご提供し、百貨店らしさを追求しております。新型コロナウイルス感染症対策につきましては、今後も一定の対応を継続してまいります。
(業績等の概要)
当期におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で、行動制限が徐々に緩和されるなど、景気は緩やかに持ち直してまいりました。一方で、エネルギーや原材料価格の高騰、物価上昇等、景気を下押しする懸念材料も多く、先行き不透明なまま推移いたしました。
百貨店業界におきましては、新型コロナウイルス感染症や物価上昇などによる個人消費へのマイナス影響が懸念された一方、行動制限緩和などの外出機会の増加により商況は前年に比べて改善し、復調の兆しが見え始めておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大以前の水準には至っておりません。
こうした状況の中、当社グループにおきましては、従来型の規模や量を追求する事業モデルを見直す契機と捉え、量から質への新たな事業モデルへの道筋をつける「井筒屋グループ中期3ヵ年経営計画(2022年度~2024年度)」を策定し、推進いたしております。計画1年目となる当期は、店舗における百貨店らしさを追求するべく、好調カテゴリーの強化を図るとともに、百貨店の強みを活かした編集売場を構築することにより、店舗価値の向上および売場の活性化に努めてまいりました。併せて、効率的な店舗運営と効果的な販売促進体制を維持することにより、収益力の維持・向上も図ってまいりました。
当社グループの業績につきましては、売上高は225億73百万円(前年同期は売上高531億44百万円)、営業利益は11億77百万円(前年同期は営業利益10億7百万円)、経常利益は10億75百万円(前年同期は経常利益10億47百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億19百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益11億71百万円)となりました。
なお、収益認識会計基準等を適用した影響により、当連結会計年度の売上高は324億20百万円、売上原価は312億95百万円、販売費及び一般管理費は9億64百万円それぞれ減少し、営業利益は1億60百万円、経常利益及び税金等調整前当期純利益は2億36百万円それぞれ減少しております。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益認識の会計処理が異なるため、損益状況に関する説明において前期比(%)を記載せずに説明しております。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
当社グループの主要事業であります百貨店業におきましては、「百貨店らしさの追求」を基本方針とし、品揃えの強化と更なる販売サービスの向上に努めることで、コロナ禍におけるお客様の生活様式や商環境の変化への対応力強化に取り組んでまいりました。
本店におきましては、3月6日に福岡県のまん延防止等重点措置が解除されて以降、徐々に消費の回復傾向が見られ、引き続き高額品などの好調カテゴリーが牽引する中、百貨店らしさの追求、他商業施設との差別化を図るため、百貨店の強みである自主編集ゾーンの拡充や地域活性化などの取り組みを推し進めてまいりました。
自主編集ゾーンの拡充として、本館4階婦人服売場センターゾーンに、美と健康とファッションの融合にこだわったトータルビューティーセレクトショップ「B. more(ビー・モア)」を3月にオープンいたしました。また、4月には、本館5階紳士服売場センターゾーンに、素材やデザイン、製法など、流行に左右されない作り手の想いが込められた服や雑貨などを国内外のブランド問わずセレクトした「Stand up(スタンドアップ)」をオープンいたしました。
地階食品フロアでは、名古屋コーチンを始めとした諸国名産鶏を中心に、鶏肉惣菜を提供する「鶏三和」を9月にオープンいたしました。
本館8階レストラン街では、4月に地元食材にこだわったイタリアンレストラン「トラットリア ジラソーレ」や9月には創作和食料理の店「銀茶寮」をオープンし、多くのお客様からご好評をいただいております。
また、催事・イベントに関しても徐々に開催制限が緩和され、賑わいを取り戻しつつあります。10月には「井筒屋アート2022」と題し、アートをテーマに全館フェアを初開催。有名作家の現代アート作品など多くの作品が全館を彩りました。11月には恒例の「北海道物産展」、1月には4年振りに「大江戸展」、2月には新規で「新潟・長野物産展」を開催、連日多くのお客様で賑わいました。今後もお客様に喜んでいただける百貨店ならではの取り組みを積極的に進めてまいります。
地元消費喚起への取り組みとして、プレミアム付き地域商品券事業への参画をはじめ、約3年ぶりに本新館間クロスロードにて「クロスロードマルシェ」をゴールデンウィークに合わせ開催。地元のグルメや雑貨など約30店舗が出店し、多くのお客様で賑わいました。今後も地元の繋がりを活かした店内催事の開催や地域イベントへの参画など、地域の活性化に積極的に取り組んでまいります。
サテライトショップにおきましては、8月8日にイオン戸畑内「戸畑ショップ」を閉店いたしました。長年のご愛顧に心より感謝申し上げます。
山口店におきましては、3月に1階の「KASHIYAMA」のオーダーメイド取り扱いアイテムを、レディースシューズに加え、新たにメンズ・ウィメンズのスーツ・セットアップまで拡充し、多様なニーズに対応できる売場を構築いたしました。
また、催事・イベントに関しては、山口市との包括提携契約の一環として、11月に山口市中心市街地活性化推進室とYCAM(山口情報芸術センター)が協働して進める<アートでつなぐまちの活性化事業>の実証実験として「コロガルあそびのひゃっかてんin山口井筒屋」を2階フロアに誘致いたしました。子どもたちが遊びを通じて自ら考え、創造できるようにデザインされた遊び場を提供させていただいたことで多くのファミリーが来場し、フロアの活性化に繋がっております。今後も地域連携を図りながら地元の魅力発信に努めてまいります。
一方、持続可能な社会の実現に向けた取り組みといたしましては、サステナビリティ基本方針のもと様々な活動を進めております。
脱炭素社会への取り組みといたしましては、食品ロス削減月間には、食べきれなかったお料理をお持ち帰りいただく環境省の「mottECO(モッテコ)」検証事業に参加。また、北九州市と『ゼロカーボンシティを目指す連携協定』を締結し、全国初の取り組みとなる、自治体と企業間でのEVシェアリングを開始いたしました。
店舗におきましては、持続可能な社会の実現に向けた情報発信の拠点として、常設売場「サステナベース」を本年3月のオープンに向け準備いたしておりますが、今後も関連商品の販売や体験型ワークショップの開催などにより、サステナブルライフを提案してまいります。
また、地域共創・社会貢献の観点から、昨年大規模火災に見舞われた小倉北区旦過市場一帯の復興を支援するため、チャリティエコバッグを製作し、旦過市場と当社の双方で販売いたしました。収益は全額旦過市場の復興支援に寄付いたしました。
CSR・ESGに関する取り組みにつきましては、当社ホームページ「サステナビリティレポート」に掲載しております。
当社グループの業績につきましては、売上高は225億35百万円(前年同期は売上高531億44百万円)、営業利益は12億1百万円(前年同期は営業利益12億円)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は324億58百万円、営業利益は1億98百万円それぞれ減少しております。
② 友の会事業
友の会事業におきましては、売上高は37百万円(前年同期は株式会社井筒屋友の会が当社グループの百貨店に対して前払式の商品販売の取次を行っており、外部顧客に対する売上高はありません。)、営業利益は59百万円(前年同期は営業損失8百万円)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高及び営業利益は37百万円それぞれ増加しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費等の計上により20億11百万円の資金収入(前連結会計年度は19億78百万円の資金収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得等がありましたものの、差入保証金の回収により13百万円の資金収入(前連結会計年度は8億33百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済等により19億68百万円の資金支出(前連結会計年度は14億68百万円の資金支出)となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
また、当社および当社の連結子会社は、百貨店及び友の会事業を行っており、生産及び受注については該当事項はありません。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の仕入実績
は、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
友の会事業におきましては、株式会社井筒屋友の会が当社グループの百貨店業に対して前払式の商品販売の取次を行っており、販売実績はありません。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の販売実績
は、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度に比べ9億57百万円減少し、463億43百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が増加したものの、有形固定資産の建物及び構築物や差入保証金等が減少したことによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ20億39百万円減少し、362億31百万円となりました。これは主に、長期借入金等が減少したことによるものであります。
純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により前連結会計年度末に比べ10億81百万円増加し、101億11百万円となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の当期首残高は1億33百万円増加しております。
②経営成績の分析
a) 概況
コロナ禍において極めて厳しい商況の中、地域のお客様に支えられながら、百貨店業を中心とした諸施策を講じてまいりました結果、売上高は225億73百万円(前年同期は売上高531億44百万円)、営業利益は11億77百万円(前年同期は営業利益10億7百万円)、経常利益は10億75百万円(前年同期は経常利益10億47百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億19百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益11億71百万円)となりました。
なお、収益認識会計基準等を適用した影響により、当連結会計年度の売上高は324億20百万円、売上原価は312億95百万円、販売費及び一般管理費は9億64百万円それぞれ減少し、営業利益は1億60百万円、経常利益及び税金等調整前当期純利益は2億36百万円それぞれ減少しております。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益認識の会計処理が異なるため、損益状況に関する説明において前期比(%)を記載せずに説明しております。
b) 売上高
当連結会計年度の百貨店業の売上高は225億35百万円(前年同期は売上高531億44百万円)となりました。
友の会事業におきましては、売上高は37百万円(前年同期は株式会社井筒屋友の会が当社グループの百貨店に対して前払式の商品販売の取次を行っており、外部顧客に対する売上高はありません。)となりました。
販売費及び一般管理費は、101億46百万円(前年同期は111億24百万円)となり、前連結会計年度に比べ9億77百万円の減少となりました。
営業外損益は、1億1百万円の損失(前連結会計年度は40百万円の収益)となり、前連結会計年度に比べ1億41百万円損失が増加いたしました。
特別損益は該当事項はなく、前連結会計年度に比べ5百万円損失が減少いたしました。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度の現金及び現金同等物は前連結会計年度に比べ56百万円増加し、36億60百万円となりました(前連結会計年度は36億4百万円)。これらの要因は以下のとおりであります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費等の計上により20億11百万円の資金収入(前連結会計年度は19億78百万円の資金収入)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得等がありましたものの、差入保証金の回収により13百万円の資金収入(前連結会計年度は8億33百万円の資金支出)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済等により、19億68百万円の資金支出(前連結会計年度は14億68百万円の資金支出)となりました。
当社グループの運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要の主なものは、店舗のリニューアル・設備の修繕等の設備投資であります。
当社グループの資金調達におきましては、自己資金の他金融機関からの借入等による資金調達を行っております。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による不測の事態に備え、取引金融機関との当座貸越契約に基づき、借入枠50億円を設定しております。当該契約に基づく当期末における借入実行残高はございません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
(注) 1. 帳簿価額の「その他」の主な内容は、工具、器具及び備品であります。
2. 従業員数の[ ]は、臨時従業員数を外書しております。
(注) 1. 帳簿価額の「その他」の主な内容は、工具、器具及び備品であります。
2. 従業員数の[ ]は、臨時従業員数を外書しております。
3. 上記の他、連結会社以外からの主要な賃借設備の内容は、下記のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 資本金の減少額△10,432百万円および資本準備金の減少額△10,980百万円は、減資及び準備金の減少手続による
ものであります。
なお、資本金の減資割合は、99.05%で、資本準備金の減資割合は92.24%であります。
2023年2月28日現在
(注) 1 自己株式24,089株は、「個人その他」に240単元および「単元未満株式の状況」に89株を含めて記載しております。
2 上記「その他の法人」には、証券保管振替機構名義の株式が6単元含まれております。
2023年2月28日現在
(注) 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)の所有株式数532,000株は信託業務に係る株式であります。
1 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行なう対象となっているものであります。
当社グループは事業別の会社を置き、各事業会社は取り扱う商品・サービスについて包括的な戦略に基づき、事業活動を展開しております。
したがって、当社グループは百貨店業及び当該事業会社を基礎とした事業別のセグメントから構成されており、商品・サービスの内容、販売市場の類似性に基づき、複数のセグメントを集約した上で、百貨店業と友の会事業を報告セグメントとしております。
百貨店業は、衣料品、身回品、雑貨、家庭用品及び食料品の販売並びに食堂・喫茶の経営等を行っております。
友の会事業は、前払式の商品販売の取次を行っております。