美津濃株式会社
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第109期の期首から適用しており、第109期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 平均臨時雇用人員に関して、招集通知においては期末時点の在席人数を記載しておりますので、上記の記載と異なっております。
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第109期の期首から適用しており、第109期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
当社グループは、美津濃株式会社(当社)を中心として、子会社24社及び関連会社14社で構成されており、スポーツ品の製造及び販売を主な事業内容としております。
なお、次の4地域は「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(1) 日本
ベースボール品、スポーツウエア、スポーツシューズ、ゴルフ品などスポーツ品全般の製造及び販売を主たる事業としております。そのほか、日本国内ではスポーツ施設の建設工事(当社)、スポーツ施設の運営及び運営受託(当社及びミズノスポーツサービス株式会社)、スクールビジネス(当社)並びにスポーツ機器の製造・販売(セノー株式会社ほか)、ライフスタイル品の製造及び販売(当社)、ワーキング品の製造及び販売(当社)などの事業を行っております。
(2) 欧州
スポーツシューズ、スポーツウエア及びゴルフ品等の販売
(3) 米州
スポーツシューズ、スポーツウエア、ベースボール品及びゴルフ品等の製造又は販売
(4) アジア・オセアニア
スポーツシューズ、スポーツウエア、ベースボール品及びゴルフ品等の製造又は販売
事業の系統図は、次のとおりであります。

(注) 1 上記子会社のうち有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2 ※1 特定子会社に該当いたします。
3 議決権の所有割合の括弧「( )」内は、間接所有割合を内数で示しております。
4 MIZUNO USA, INC.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 ① 売上高 29,171百万円
② 経常利益 2,583百万円
③ 当期純利益 1,937百万円
④ 純資産額 18,577百万円
⑤ 総資産額 25,399百万円
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除いている。)であり、臨時従業員数は〔 〕内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しております。
2 臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び期間契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
3 平均臨時従業員に関して、招集通知においては期末時点の在席人数を記載しておりますので、上記と異なっております。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時
従業員数は〔 〕内に当事業年度の平均人員を外数で記載しております。
2 臨時従業員には、パートタイマー及び期間契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含めております。
当社グループには、ユニオンショップ制の形態をとる労働組合ミズノユニオンが組織され活動を行っております。同ユニオンは、上部団体としてのUAゼンセンに属しております。加入者数はグループ内合計で1,567人であります。なお、労使関係について特段記載すべき事項はありません。
① 提出会社
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した
ものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第67号)の
規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(
平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
② 連結子会社
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した
ものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第67号)の
規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(
平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.連結子会社のうち、常時雇用する労働者が101名以上の国内子会社を記載しております。それ以外のものに
ついては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報(2)管理職に占める女性労働者の割合、
男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
当社グループは、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、中長期の経営方針を定め、それをさらに年度の全社方針に展開し事業推進しております。当社グループは、この経営理念により、スポーツの振興と発展のため積極的に使命と役割を果たし、社会への貢献と企業の発展を目指しております。
また、当社グループは、主たる経営指標としてROA(総資産事業利益率)及びROE(自己資本利益率)を採用しており、いずれも2025年度に連結ベースで9%以上を目標としております。収益力を高めつつバランスよく資産効率、資本効率を向上させることで企業価値を増大させていきたいと考えております。
当社グループは、持続的成長と企業価値向上のため、下記のとおり経営の重点課題に取り組んでまいります。
1)スポーツを通じた社会貢献
当社グループは、1906年の創業以来「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念を掲げています。これは今後も変わることのない軸であり、すべてのステークホルダーに向けたミズノのパーパス(存在意義)といえます。
過去3年間にわたり新型コロナウイルス感染症は人々の暮らしに多大な影響・制約をもたらしましたが、その中で、この3年間はスポーツの持つ力・素晴らしさを改めて認識することができた期間でもありました。記憶に新しいところでは、2022年11月から12月にかけて開催されたサッカーの世界大会や2023年3月に行われた野球の世界大会における日本代表の活躍は、人々に大いなる感動・興奮・希望を与えてくれました。そして当社グループの製品群がその活躍を陰で支えたことは、当社グループにとっても非常に嬉しい出来事でした。また、コロナ禍を経験したことにより人々の健康への意識も益々高まってきています。当社グループは、今後も野球・サッカーをはじめとした競技スポーツやランニング・ウォーキング・水泳などの健康スポーツの振興に貢献するとともに、これら事業の拡大に努めてまいります。
2)高付加価値創造
当社グループでは、近年はスポーツで培った知見を生かし、高齢化社会や気候変動適応の製品・サービス開発にも取り組んでいます。そして、スポーツの力で社会課題解決に貢献するイノベーションをさらに創出していくため、大阪本社ビルの隣に新しい「イノベーションセンター」を建設し、2022年秋から本格稼働を開始しました。この施設においては、スポーツの定義を競技シーンだけでなく、日常生活シーンにおける身体活動にまで広げて、最先端の機材や測定機器を導入し、科学的なデータを取りながら製品・サービス開発のサイクルをアジャイルに進め、高付加価値な製品・サービスを世に送り出してまいります。
3)サステナビリティ活動の推進
気候変動や人権などサステナビリティを取り巻く社会課題の重要性は年々高まってきています。当社グループは、1991年から30年以上にわたって事業活動に伴う環境や社会への影響を低減するため、企業の社会的責任としてCSR活動を積極的に進めてきました。環境配慮型製品の開発や、資源の有効活用、調達先企業に対するCSR調達など、今後も取り組みをさらに強化していきます。そのうえで、サステナビリティ活動をコストと捉えるのではなく、経営戦略と一体となって積極的に投資を進めることで、ブランド価値や企業価値を高めることにつなげてまいります。
※当社グループのサステナビリティ活動の詳細は、当社ウェブサイト(https://corp.mizuno.com/jp/sustainability)に掲載していますのでご参照ください。
4)経営効率の改善
当社グループの業績は、この2年間は過去最高利益を更新するなど拡大してまいりましたが、一方で、原材料価格の上昇、国際輸送運賃の高騰、輸入仕入に係る為替レートの悪化などの影響もあり、2023年3月期における売上総利益率は低下し、棚卸資産も高い水準で推移しています。この状況を改善するため、原価低減活動やグループ各社における在庫管理強化に引き続き取り組むとともに、成長が見込まれる海外市場におけるランニング・フットボール事業拡大やグローバルでのECチャネル強化へ経営資源の配分を行い、さらなる収益性改善に努めてまいります。そして、目標とする経営指標であるROAとROEにおいて2025年度までに9%台の達成を目指してまいります。
当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識するとともに、リスクの回避やリスクが発生した場合の対処・対応を事前に定めておりますが、業績等に影響を与える事項はこれらに限定されるものではありません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、世界各地域に販売拠点や生産拠点を置くなど積極的に海外進出を推進しております。販売拠点は、欧州、北米、アジア、オーストラリアなどにおいて現地法人及び支店として展開していることに加え、現地の販売代理店を経由して当社製品を販売しております。また、中国、タイ、インドネシア、ベトナム及びカンボジアなどには、スポーツシューズ、スポーツウエア及びゴルフクラブなど当社グループの主力商品を製造している自社工場やOEM委託工場が存在しております。
当社グループは、リスクマネジメントの責任体制を明確にするため、代表取締役社長が委員長を務める「リスクマネジメント委員会」を設置しております。リスクマネジメント委員会は、「リスクマネジメント規程」に基づき、事業活動にともなうあらゆる種類のリスクを洗い出し、評価、対策実施・情報開示に関して、ミズノグループ全体のリスクマネジメントを総括する役割を担っております。また、当社グループは、研修の実施やマニュアルの作成などを行って、各分野において予見可能な各種リスクに対応できる仕組みを確保しております。また、自然災害、社外からの妨害行為、不正などの予見や発生時の対応方法を「危機管理マニュアル」に定め備えております。
しかしながら、グローバルな事業展開には、進出先における予測不能な法令・規則の変更が行われたり、テロ・戦争・暴動・ストライキ、感染症その他の要因による政治的・社会的・経済的混乱などが発生した場合には、当社グループのその後の事業展開が継続できないおそれがあり、当社グループの売上高の減少等の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、世界各地域で製造・販売等の事業活動を行っておりますが、グループ各拠点の外貨建取引は為替レートの変動の影響を受けております。グループ各拠点は、為替変動の影響を最小限にとどめるためにリスクヘッジ手段として先物為替予約取引等を行っておりますが、予想を大きく上回るなど不測の変動が生じた場合には、当社グループの売上高の減少、売上原価の増加、為替差損の増加等の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当社が定めた厳格な品質管理や品質保証に係る規程のもと、製品の生産を行っておりますが、スポーツやアウトドアなどアクティブな状況で使用される製品は、当社基準の想定を上回り破損し、破損によりユーザーや第三者を負傷させたり、器物の損傷を招くなどの潜在的なリスクを有しております。当社グループは、製造物責任保険に加入し、不意の訴訟や賠償要求に備えておりますが、保険で十分にカバーできるという保証はありません。また、万一、リコールが発生した場合には、製品回収・交換・設計変更などによる多大なコスト増大や、ブランドイメージや社会的評価の低下とそれにともなう売上高減少を招くことになり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、全ての企業活動が環境に影響を与えていることを自覚し、地球環境の保全に貢献することを目的に、1991年9月に地球環境保全活動「Crew21プロジェクト」を発足させて以来、環境保全活動・環境負荷低減に取り組んでまいりました。現在は「Crew21環境分科会」を中心に環境保全活動・環境負荷低減を推進する環境マネジメントシステムを運用し環境に関する諸課題の解決にあたっていますが、エネルギー・温室効果ガス排出量の削減、再生可能エネルギーへの転換などの気候変動への対応が充分と認められない場合や、プラスチックごみなどの廃棄物排出量や有害化学物質の削減、水資源の効率的な利用などが適切に行われなかった場合は、当社グループの社会的な信用度が低下しブランドを毀損する可能性があります。なお、当社グループは、長期的な目標として2050年でのカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。また、2022年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明し、TCFD提言に基づいた情報開示を行っています。
当社グループが製造・販売する商品に関しては、天然皮革、天然樹脂、木材、金属及び石油製品などを原材料として使用しており、これらの原材料は資源価格の変動リスクにさらされております。当社グループは、主要な原材料についてリスク管理の観点からも可能な限り複数の取引先から購入を行っておりますが、不測の資源価格の上昇が発生した場合には、原材料コストの増大によって当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、ミズノ倫理規範の中で、「1)社内で創出された知的財産の保護を徹底する。2)第三者の知的財産を尊重し、侵害しない。」と規定し、国内外で特許、実用新案、意匠、商標の知的財産権を積極的に取得し活用を進めております。
しかしながら、当社グループの申請中の特許が認められない可能性、当社グループの知的財産の不正使用ないし侵害を防ぐための対応が成功しない可能性、当社グループの技術等が他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性などが存在すると認識しており、当社グループの知的財産が干渉を受けた場合、これに対処するコスト増加などの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、商品の品質、取引関連、環境、労務、安全衛生、会計基準や税務など様々な法規制の適用を受けております。当社グループは、ミズノ倫理規範に基づき、サステナビリティ推進委員会およびリスクマネジメント委員会の下、グループ全体のコンプライアンスの徹底を行っております。また、ミズノ株式会社の取締役会の決議によって定めた「業務の適正を確保するための体制」(内部統制システムの整備に関する基本方針)により、子会社を含めた当社グループにおける内部統制システムの整備と運用を実行しております。子会社はミズノ株式会社と共通の方針管理のもとで事業活動を遂行するとともに、リスクマネジメントシステムの運用においても軌を一にすることを明確にしております。また、子会社の経営執行については、子会社の経営執行者の自主性や専門性を尊重しつつも、質的・金額的に重要性の高い案件の決裁は、基準によって当社の取締役会、業務執行取締役、または執行役員が行う規定となっているため、子会社においても業務の適正性が損なわれることはないと考えております。
しかしながら、これら法規制を遵守できなかった場合は、これに対処するコスト増加等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、現行の法規制の変更や新たな法規制などが追加された場合には、当社グループの事業活動が制限され、あるいはその他対応のための投資が必要になる等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはグローバルで事業活動を展開しております。当社グループ商品に対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、景気後退およびそれに伴う需要の減少によって、売上高の減少などの影響を及ぼす可能性があります。一方、このような状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用が増大する等の可能性もあります。また、当社グループは一般消費者向け商品を多く製造販売しておりますため、気象の変化に伴う個人消費の需要の変動、消費者の嗜好の変化等による売上高の減少等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは適切な手続を経て策定された事業計画に基づき固定資産の投資を行っております。
しかしながら、一部の固定資産について、資産の収益性の低下等により事業計画で想定した投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。これに伴い「固定資産の減損に係る会計基準」に規定される会計手続の結果として、減損損失を計上する等の当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが顧客に対して商品販売やサービス提供を行うに際しては、顧客の情報管理に最大限に注意を払い漏洩しないための情報システム防御を実行しております。
しかしながら、第三者等による情報システムへの意図的な侵入が行われたり、様々な原因や理由によって情報システムが停止するなどの問題が予想され、それによって個人を含む顧客情報の漏洩や流出が発生するリスクが存在いたします。万一、このような事態が発生した場合には顧客からの損害賠償請求や信用の失墜により、これに対処するコスト増加等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、災害・事故等に備えたリスク管理を実施しております。
しかしながら、地震等の自然災害の発生や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、感染症の流行などにより、当社グループの販売や生産の拠点が損害を受け、操業の中断や物流の遅延、多額の復旧費用が発生するリスクが存在し、たとえ自社の施設や商品等への直接的な損害が限定的であったとしても、取引先や仕入先・製造委託先が被災した場合や消費活動の低迷などにより、売上高の減少や対処するコスト増加等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 人材の確保、育成
当社グループの競争力の維持や成長の実現には、優秀な人材の採用と育成、維持が課題となります。当社グループでは公正で透明性のある人事制度、教育研修制度や福利厚生制度の充実、ダイバーシティの推進などを通して多様性のある優秀な人材がそれぞれの能力を発揮できる職場環境の実現に努めていますが、人材の確保、育成が想定通りに進まない場合は当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策での行動制限が緩和され、野球やサッカーの世界大会が大きな盛り上がりを見せるなど、企業や個人の消費マインドに改善の動きが見られました。一方、世界的に進んだ金融引き締めの影響による金融資本市場の変動、物価やエネルギー価格の上昇など、景気の下振れリスクも見られました。海外経済も緩やかな回復の動きが継続したものの、金融引き締めの進行や、長期化するウクライナ情勢に起因する物価やエネルギー価格の上昇など、景気減速への警戒感が高まっています。
このような状況の中、当社グループは、国内においては野球品や競技スポーツ品を中心に販売が改善、海外においても米州や韓国を中心にゴルフ事業の好調が続きました。材料費の高騰や為替変動による仕入れ価格の上昇等の影響については、売上高の増加と経費コントロールにより最小化しました。
これらの結果、当社グループの経営成績は、売上高は392億9千9百万円増収(前年同期比22.8%増)の2,120億4千4百万円、営業利益は30億7千万円増益(前年同期比31.1%増)の129億4千5百万円、経常利益は30億6千2百万円増益(前年同期比27.9%増)の140億3千9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は21億9千3百万円増益(前年同期比28.4%増)の99億1千万円となり、いずれも連結決算の開示が制度化されて以降最高となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
a 日本
日本は、新型コロナウイルス感染症対策での行動制限が敷かれた前年同期と比較し、事業環境が改善しました。世界大会が大きな盛り上がりをみせた野球やサッカーに加え、バレーボールやラケットスポーツなどのインドアスポーツの商品も好調に推移しました。加えて、非スポーツ事業であるワークビジネス事業も好調に推移しました。この結果、売上高は172億4千7百万円増収(前年同期比15.1%増)の1,315億7百万円、営業利益は17億5百万円増益(前年同期比39.7%増)の59億9千5百万円となり、売上高は連結決算の開示が制度化されて以降最高となりました。
b 欧州
欧州は、第1四半期に大きな影響を受けたサプライチェーンの状況が改善したものの、物流費の高騰や為替変動によるコスト高の影響を受けました。そのような環境においても、主要事業であるランニングシューズの販売が回復しました。また、ゴルフクラブの販売も引き続き堅調に推移しました。
この結果、売上高は71億9千7百万円増収(前年同期比40.1%増)の251億3千9百万円、営業利益は2億8千万円増益(前年同期比20.2%増)の16億6千9百万円と、それぞれ過去最高の結果となりました。
なお、当連結会計年度における欧州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
英ポンド:163.60円(前年同期 153.94円)、ユーロ(欧州支店):141.26円(前年同期 131.05円)、
ユーロ(子会社):137.93円(前年同期 130.11円)、ノルウェークローネ:13.66円(前年同期 12.80円)
c 米州
米州では、輸送コストや物価の上昇、金融引き締めに伴う景気の減速といったマイナス要因が見られたものの、引き続きゴルフクラブの販売が好調を維持しており業績を牽引しました。また、野球やバレーボールなどの競技スポーツ品の販売も堅調に推移しました。
この結果、売上高は74億4千万円増収(前年同期比31.5%増)の310億6千7百万円、営業利益は1億8千6百万円増益(前年同期比7.1%増)で、過去最高の28億2千6百万円となりました。
なお、当連結会計年度における米州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
米ドル:130.78円(前年同期 109.86円)、カナダドル:100.18円(前年同期 87.46円)
d アジア・オセアニア
アジア・オセアニアは、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されるなど、事業環境が改善しました。全域で業績は好調に推移し、ゴルフクラブやランニングシューズ、サッカースパイクなど幅広い商品群で業績が拡大しました。
この結果、売上高は74億1千3百万円増収(前年同期比43.8%増)の243億2千9百万円、営業利益は8億8千7百万円増益(前年同期比63.8%増)の22億7千6百万円と、それぞれ過去最高の結果となりました。
なお、当連結会計年度におけるアジア・オセアニア各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
台湾ドル:4.40円(前年同期 3.94円)、香港ドル:16.70円(前年同期 14.14円)、
中国元:19.39円(前年同期 17.04円)、豪ドル:90.58円(前年同期 82.37円)、
韓国ウォン(100ウォン当たり):10.17円(前年同期 9.61円)、
米ドル(シンガポール):130.78円(前年同期 109.86円)
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ311億6千7百万円増加し、1,975億2千3百万円となりました。商品及び製品が154億1千1百万円、売掛金が105億6千3百万円それぞれ増加したことが主な要因です。
負債は、前連結会計年度末に比べ193億5千4百万円増加し、732億4千7百万円となりました。長短借入金が132億8百万円、支払手形及び買掛金が42億4千5百万円それぞれ増加したことが主な要因です。
純資産は、前連結会計年度末に比べ118億1千2百万円増加し、1,242億7千5百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の67.3%から62.6%へと4.7ポイント減少しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は238億4千5百万円となりました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下の通りとなります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは80億4千7百万円の支出となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益135億8千4百万円、減価償却費の計上26億7千8百万円、仕入債務の増加額46億7百万円、支出の主な内訳は棚卸資産の増加額149億9千8百万円、売上債権の増加額98億8千5百万円、法人税等の支払額45億4百万円となります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動によるキャッシュ・フローは44億4千5百万円の支出となりました。収入の主な内訳は投資有価証券の売却による収入1億9千7百万円、支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出43億8千6百万円、無形固定資産の取得による支出8億9千4百万円となります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動によるキャッシュ・フローは110億1千2百万円の収入となりました。収入の主な内訳は短期借入による収入77億5千4百万円、長期借入による収入79億8百万円、支出の主な内訳は長期借入金の返済による支出26億8千4百万円、配当金の支払額16億5千7百万円となります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当社グループは見込生産を行っており、その他の事業のうち、スポーツ施設関連の一部のみ受注生産を行っておりますが、全体に占める割合が僅少であるため記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、その前提となる様々な要因については、過去の実績、現在の状況及び将来の想定を総合的に勘案し、合理的と考えられる見積りと判断に基づいて適用しております。実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、当社グループでは、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。新型コロナウイルス感染症による当社グループ事業への影響は回復しつつあり、2024年3月期以降にさらに正常化が進むとの仮定に基づき、会計上の見積りを行っております。
a 繰延税金資産
繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。当社グループでは、将来の課税所得や加減算などのスケジューリングに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得の予測・仮定に変更が生じ、繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断した場合、当社グループの繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。
b 退職給付債務
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される計算基礎を用いて算出されております。その見積数値と実績が異なる場合、または見積数値が変更された場合、その影響額は将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には、将来において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
割引率の見積りにあたっては、安全性の高い長期の債券利回りを基礎に決定しております。また、期待運用収益率については、保有する年金資産のポートフォリオ、過去の実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して決定しております。
c 減損会計
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産について、その帳簿価額の回収が懸念される企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損の要否を検討しております。その資産の市場価格及びその資産を使用した営業活動から生じる損益等から減損の兆候があると判定された固定資産については、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、回収可能価額まで減損処理を行っております。
回収可能価額は見積り将来キャッシュ・フロー及びその他の見積り及び仮定から合理的に決定しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、これらの見積り及び仮定が将来変更された場合、減損金額の増加及び新たな減損認識の可能性があります。
d 有価証券及び投資有価証券の評価
当社グループは、純投資目的及び長期的な協力関係や取引関係の観点から株式等を所有しており、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に株式等の減損処理を実施することとしております。即ち、時価のある「その他有価証券」については、期末時価が帳簿価額を30%以上下回った場合かつ下落が一時的でないと判断した場合に、また、時価のない「その他有価証券」については評価対象となる純資産額が帳簿価額を50%以上下回った場合に減損処理を実施するものであります。従って、将来の株式市場や投資先の業績動向により、これらの有価証券及び投資有価証券の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、ROA(総資産事業利益率)とROE(自己資本利益率)を目標とする経営指標と位置付けておりますが、収益的成長と財務状態が適正にバランスすることにより向上するROAを特に重要な経営指標として目標値を設定しております。現時点で中期的な目標とするROAを連結ベースで9%以上といたしております。当連結会計年度におけるROAは7.3%(前年同期比1.0ポイント改善)であり、目標を達成するために、引き続き資産の効果的・効率的な投下による収益の最大化を図り、企業価値を増大させていきたいと考えております。
a 売上高及び売上総利益
売上高は392億9千9百万円増収(前年同期比22.8%増)の2,120億4千4百万円となりました。国内においては野球品や競技スポーツ品を中心に販売が改善、海外においても米州や韓国を中心にゴルフ事業の好調が続きました。売上高の改善に伴い、売上総利益は94億4千8百万円増益(前年同期比13.2%増)の810億2千万円となりました。
b 販売費及び一般管理費、営業利益及び経常利益
販売費及び一般管理費63億7千7百万円増加(前年同期比10.3%増)し、680億7千5百万円となりましたが、コロナ下でのコスト削減策が定着したことが貢献し売上高販管費率は改善されました。売上高の増加も加わり、営業利益は30億7千万円増益(前年同期比31.1%増)の129億4千5百万円となりました。
経常利益は営業利益に加え為替差益などを計上し、30億6千2百万円増益(前年同期比27.9%増)の140億3千9百万円となりました。
c 特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、主に投資有価証券売却益を計上したこと等により6千6百万円となりました。特別損失は、事業構造改善費用を計上したこと等により5億2千1百万円となりました。法人税等は、前年同期比で4億8千5百万円増加し35億6千5百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は21億9千3百万円増益(前年同期比28.4%増)の99億1千万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、商品、原材料等の購入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用及び維持更新等を目的とした設備投資等であります。これらの資金需要に対しては、営業活動から獲得する自己資金並びに金融機関からの借入による調達を基本としております。また、安定的な運転資金確保を目的に取引銀行と当座借越契約を締結しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債は238億3千6百万円となっております。
(1)ライセンス付与契約
(注)売上高に対する一定比率のロイヤリティを受け取っております。
2023年3月31日現在
(注) 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具備品及びソフトウエアであり、建設仮勘定の金額は含んでおりません。
2023年3月31日現在
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具備品及びソフトウエアであり、建設仮勘定の金額は含めておりません。
2 上記中〔外書〕は、提出会社からの賃借設備であります。
2023年3月31日現在
(注) 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具備品及びソフトウエアであり、建設仮勘定の金額は含めておりません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 発行済株式総数の減少は2017年10月1日付で株式併合(5株を1株に併合)を行ったことによるものであります。
(5) 【所有者別状況】
2023年3月31日現在
(注) 自己株式1,014,726株は「個人その他」の欄に10,147単元、「単元未満株式の状況」の欄に26株含まれて
おります。
2023年3月31日現在
(注) 1 上記の他、当社保有の自己株式 1,014千株があります。
2 所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、主にスポーツ用品を製造・販売しており、国内においては当社及び子会社が、国外においては当社の各支店及び各地域の現地法人がそれぞれ担当しております。当社支店及び現地法人は、それぞれ独立した経営単位であり、取り扱う種目や商品カテゴリー並びに販売形態については各地域の包括的な戦略、方針及び目標を立案し、事業活動を展開しております。一方で、同一域内の市場は相似しており、各拠点を統合した地域ベースによって報告セグメントとしております。
従って、当社グループは、生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「欧州」、「米州」及び「アジア・オセアニア」の4つを報告セグメントとしております。