株式会社 丸井グループ
中野区中野4丁目3番2号
証券コード:82520
業界:小売業
有価証券報告書の提出日:2023年6月27日

(1) 連結経営指標等

 

回次

第83期

第84期

第85期

第86期

第87期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上収益

(百万円)

251,415

247,582

206,156

209,323

217,854

経常利益

(百万円)

39,786

40,415

14,520

35,547

36,364

親会社株主に帰属する
当期純利益

(百万円)

25,341

25,396

2,267

17,791

21,473

包括利益

(百万円)

26,776

23,645

10,430

13,423

22,308

純資産額

(百万円)

284,752

290,330

290,100

262,052

246,562

総資産額

(百万円)

890,196

885,969

901,231

920,026

961,950

1株当たり純資産額

(円)

1,309.53

1,351.57

1,350.58

1,307.04

1,299.97

1株当たり当期純利益

(円)

115.99

117.58

10.58

85.81

109.37

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

32.0

32.7

32.1

28.4

25.6

自己資本利益率

(%)

9.1

8.8

0.8

6.5

8.5

株価収益率

(倍)

19.3

15.4

196.6

26.2

18.5

営業活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

26,396

39,909

22,193

11,519

16,717

投資活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

9,232

20,315

16,241

13,760

22,382

財務活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

15,880

25,487

5,600

770

18,259

現金及び現金同等物の
期末残高

(百万円)

46,720

40,827

41,179

39,708

52,421

従業員数

(名)

5,326

5,130

4,855

4,654

4,435

[外、平均臨時雇用人員]

[1,520]

[1,453]

[1,487]

[1,530]

[1,447]

 

(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第86期の期首から適用しており、第85期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等を記載しています。

2  取締役等に対する業績連動型株式報酬制度および経営幹部社員に対するインセンティブプランに係る信託が保有する当社株式は、連結貸借対照表において自己株式に含めて計上しており、その株式数は、1株当たり純資産額の算定上、期末発行済株式数から控除する自己株式数に含めています。また、1株当たり当期純利益および潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式数に含めています。

3 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在していないため記載していません。

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第83期

第84期

第85期

第86期

第87期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

営業収益

(百万円)

17,345

23,507

21,202

18,314

19,796

経常利益

(百万円)

11,359

16,933

14,805

14,258

12,241

当期純利益

(百万円)

10,436

16,246

12,321

66,649

7,354

資本金

(百万円)

35,920

35,920

35,920

35,920

35,920

発行済株式総数

(株)

223,660,417

223,660,417

223,660,417

208,660,417

208,660,417

純資産額

(百万円)

201,998

197,399

208,147

229,052

201,745

総資産額

(百万円)

772,534

754,167

751,539

826,510

844,688

1株当たり純資産額

(円)

928.96

920.66

970.79

1,144.36

1,065.48

1株当たり配当額

(円)

49.00

50.00

51.00

52.00

59.00

(内1株当たり中間配当額)

(23.00)

(28.00)

(25.00)

(26.00)

(29.00)

1株当たり当期純利益

(円)

47.76

75.22

57.47

321.45

37.46

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

26.1

26.2

27.7

27.7

23.9

自己資本利益率

(%)

5.1

8.1

6.1

30.5

3.4

株価収益率

(倍)

46.8

24.1

36.2

7.0

54.0

配当性向

(%)

102.6

66.5

88.7

16.2

157.5

従業員数

(名)

322

367

373

241

254

[外、平均臨時雇用人員]

[21]

[22]

[23]

[23]

[27]

株主総利回り

(%)

105.4

88.3

102.8

113.1

105.4

(比較指標:配当込みTOPIX)

(95.0)

(85.9)

(122.1)

(124.6)

(131.8)

最高株価

(円)

2,861

2,795

2,317

2,413

2,581

最低株価

(円)

1,929

1,607

1,514

1,832

1,956

 

(注) 1  取締役等に対する業績連動型株式報酬制度および経営幹部社員に対するインセンティブプランに係る信託が保有する当社株式は、貸借対照表において自己株式に含めて計上しており、その株式数は1株当たり純資産額の算定上、期末発行済株式数から控除する自己株式数に含めています。また、1株当たり当期純利益および潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式数に含めています。

2 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在していないため記載していません。

3 株主総利回り(TSR)については、2018年3月末の株価 2,168円を基準として算出しています。

4 最高株価および最低株価は、東京証券取引所プライム市場におけるものです。

 

2 【沿革】

当社は、1931年2月17日に、青井忠治が「丸二商会」からのれん分けを受け東京都中野区において割賦販売業を創業、1937年3月30日に法人組織に改組(株式会社丸井、資本金5万円、社長青井忠治)しました。

当社設立後、現在までの当社および主要な関係会社の沿革は次のとおりです。

 

1941年7月

戦時体制下の商業活動規制により、全店舗を一時閉鎖して休業。

1946年8月

中野に仮店舗を開設し、家具の現金販売で営業を再開。

1950年12月

割賦販売を再開。

1959年8月

株式会社丸井広告事業社(現  株式会社エイムクリエイツ)を設立。

1960年1月

「月賦」の呼称を「クレジット」に変え、企業の体質改善と近代化を推進。

3月

日本最初のクレジットカードを発行。

10月

丸井運輸株式会社(現  株式会社ムービング)を設立。

1963年4月

東京証券取引所市場第二部に株式を上場。

1965年6月

東京証券取引所市場第一部銘柄に指定。

1966年8月

業界で初めてコンピューターを導入。

1974年4月

POSを導入、同時にオンライン信用照会システムを稼動させ、契約業務の簡素化を推進。

5月

ニュー新宿店(現 新宿マルイ本館)を開設。

1975年9月

クレジットカード「赤いカード」の店頭即時発行システムをスタート。

1981年2月

創業50周年を機に、カードキャッシングの取扱いを開始。

1984年9月

株式会社エムアンドシーシステムを設立。

1987年7月

株式会社シーエスシーサービス(現  株式会社マルイファシリティーズ)を設立。

1988年9月

カタログ通販誌「Voi」を発行。

1994年12月

本社を東京都中野区中野4丁目3番2号に移転。

2003年10月

関西初出店となる神戸マルイを開設。

2004年2月

マルイ最大店舗の北千住マルイを開設。

10月

株式会社マルイカード(現  株式会社エポスカード)を設立。

11月

株式会社エムアールアイ債権回収を設立。

 

2006年3月

「エポスカード」の発行を開始。

9月

大阪初出店となるなんばマルイを開設。

2007年10月

会社分割により当社は純粋持株会社へ移行し、商号を株式会社丸井グループに変更。
小売事業は新設分割設立会社の株式会社丸井へ、カード事業は株式会社エポスカードへ承継。

 

株式会社マルイホームサービスを設立。

 

有楽町マルイを開設。

2013年2月

エポス少額短期準備株式会社(現  株式会社エポス少額短期保険)を設立。

2015年11月

「丸井グループ コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定。

2016年4月

九州初出店となる博多マルイを開設。

 

2018年2月

つみたて証券準備株式会社(現 tsumiki証券株式会社)を設立。

2020年1月

D2C&Co.株式会社を設立。

2021年4月

丸井グループ新規事業創出株式会社(現 株式会社okos)を設立。

2022年4月

東京証券取引所の市場区分見直しにより、市場第一部からプライム市場へ移行。

 

株式会社Muture(株式会社グッドパッチとの合弁会社)を設立。

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、小売とフィンテックを一体運営する企業グループであり、持株会社である当社と子会社21社および関連会社7社により構成されています。

当社グループの、各事業における業務内容および主要なグループ会社は次のとおりです。なお、事業区分については、セグメントと同一の区分です。

 

(小売)

以下の連結子会社5社および持分法非適用非連結子会社・関連会社において、商業施設の賃貸および運営管理、衣料品・装飾雑貨等の仕入販売、空間プロデュース、広告宣伝、トータルファッション物流、総合ビルマネジメント等を行っています。

<連結子会社>

㈱丸井、㈱エイムクリエイツ、㈱ムービング、㈱エムアンドシーシステム、㈱マルイファシリティーズ

 

<持分法非適用 非連結子会社・関連会社>

㈱マルイキットセンター、みぞのくち新都市㈱ 他

 

(フィンテック)

以下の連結子会社6社および持分法非適用非連結子会社・関連会社において、クレジットカード業務、カードキャッシングおよび家賃保証、情報システムサービス、不動産賃貸、投資信託の販売等を行っています。

<連結子会社>

㈱エポスカード、㈱エムアールアイ債権回収、㈱エムアンドシーシステム、㈱マルイホームサービス、㈱マルイホームサービス管理、tsumiki証券㈱

 

<持分法非適用 非連結子会社・関連会社>

㈱エポス少額短期保険、D2C&Co.㈱、㈱okos 他

 

なお、上記のほか当社の関係会社は、中野㈱他1社の関係会社以外の関連当事者から不動産物件を賃借しています。

当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。

 

[事業の系統図]

当社グループの事業を系統図によって示すと、次のとおりです。

 


 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

㈱丸井(注3,4)

東京都中野区

100

マルイ・モディ店舗の運営、通信販売事業

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱エポスカード(注3,5)

東京都中野区

500

クレジットカード業務、クレジット・ローン業務

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱エムアールアイ債権回収

東京都中野区

500

債権管理回収業務、信用調査業務

100.0

(100.0)

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱エイムクリエイツ

東京都中野区

100

商業施設の業態提案・設計・内装施工・運営管理、広告企画制作

60.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱ムービング

埼玉県戸田市

100

貨物自動車運送業、貨物運送取扱業

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱エムアンドシーシステム

東京都中野区

100

ソフトウェア開発、コンピューター運営

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱マルイファシリティーズ

東京都中野区

100

ビルメンテナンス業、警備サービス業

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱マルイホームサービス

東京都中野区

100

不動産賃貸事業

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

㈱マルイホームサービス管理

東京都中野区

10

不動産賃貸事業

100.0

(100.0)

経営指導等
役員の兼任等…無

tsumiki証券㈱

東京都中野区

100

つみたてNISA対象投資信託の販売

100.0

経営指導等
役員の兼任等…有

 

(注) 1  議決権の所有割合欄の(内書)は、間接所有割合です。

2  上記関係内容のほか、グループ内の資金を一元管理するキャッシュマネジメントシステムにより、当社との間で資金の貸付けおよび借入れを行っています。

3  特定子会社です。

4  ㈱丸井は、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く。)の連結売上収益に占める割合が100分の10を超えています。

主要な損益情報等 売上収益 59,235百万円 経常損失 897百万円 当期純損失 3,007百万円

純資産額 207,133百万円 総資産額 242,212百万円

5  ㈱エポスカードは、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く。)の連結売上収益に占める割合が100分の10を超えていますが、セグメント情報の「フィンテック」の売上収益に占める割合が100分の90を超えているため、主要な損益情報等の記載を省略しています。

 

 

5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況

2023年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

小売

2,409

[   694]

フィンテック

1,772

[   726]

全社(共通)

254

 [    27]

合計

4,435

[ 1,447]

 

(注) 1  従業員数は就業人員であり、従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の期中平均雇用者数(月間所定労働時間を基準に算出)です。

2  全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない純粋持株会社である提出会社の従業員数です。主に管理部門および投資部門などに所属しています。

 

(2) 提出会社の状況

2023年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

254

[    27]

39.6

15.7

6,385,900

 

(注) 1  従業員数は就業人員であり、従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の期中平均雇用者数(月間所定労働時間を基準に算出)です。

2  平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟に加盟するマルイグループユニオンがあります。労使関係は円滑に推移しており、特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性の割合(%)

(注1)

男性の

育児休業取得率(%)

(注2)

男女の賃金の差異(%)(注1,3)

全社員

正規雇用

社員

パート・

有期社員

提出会社

㈱丸井グループ(注4)

18.7

110.3

75.8

70.9

90.4

連結子会社

㈱エポスカード(注5)

109.4

97.4

109.4

㈱ムービング(注5)

86.0

98.4

90.8

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。なお、管理職に占める女性労働者の割合は2023年4月1日現在の数値となっています。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

3 社員の人員数については、労働時間を基に換算したものを加味して算出しています。

4 当社グループでは提出会社である㈱丸井グループにおいて臨時従業員等を除き、一括採用、一括配置および育成を実施しています。グループ各社への配置は出向となるため、提出会社の数値には子会社への出向者を含めて算出しています。なお、算出の基となる社員数については「(2)提出会社の状況」に記載している従業員数と異なります。

5 ㈱エポスカードおよび㈱ムービングは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき開示の対象となる連結子会社です。各社は直接採用の社員のみを集計しており、その社員に管理職および育児休業対象者はいません。

 

<各数値に関する補足説明>

・当社グループの人材に関する指標は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組  2.会社の考える人的資本経営」に記載しています。「人的資本経営」の詳細なパフォーマンスデータについては、「2023年3月期ESGデータブック」の「社会(Social)」のカテゴリーをご覧ください。

ESGデータブック

(https://www.0101maruigroup.co.jp/sustainability/lib/databook.html)

・提出会社における「男性の育児休業取得率」は、(注)2に記載のとおり当該法律・規則に基づき算出しており、当事業年度に育児休業等を取得した男性の数が、当事業年度に配偶者が出産した男性の数を上回ったため、100%を超えています。また「2.会社の考える人的資本経営 4)多様性の推進」と「◇人的資本経営に関する指標」に記載している男性の育児休業取得率は、「雇用均等基本調査」基準で算出しているため、上記数値と差異が生じています。なお、「雇用均等基本調査」基準の算出方法は、前事業年度に配偶者が出産した男性に対し、前事業年度と当事業年度の2年間に育児休業等を取得した男性の割合となっています。

・「男女の賃金の差異」において、賃金制度における性別による処遇の差はありません。

・提出会社における「男女の賃金の差異」において、管理職における男女賃金差異は92.8%です。

・提出会社における「男女の賃金の差異」において、短時間勤務者の時間補正は行っていません。なお、時間補正後の賃金差異は全社員79.8%、正規雇用社員74.8%です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

■ 会社の経営の基本方針

当社グループのミッションは、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会をステークホルダーの皆さまと共に創ることにあります。

当社グループがめざすのは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和と拡大です。そのために、すべてをステークホルダーの視点で考え、行動することにより共有できる価値づくりに取り組み、結果として企業価値の向上を図る「ステークホルダー経営」を進めていきます。

当社グループの「ステークホルダー経営」の詳細については、「共創経営レポート2021」「VISION BOOK 2050」をご覧ください。

共創経営レポート(https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html)

VISION BOOK 2050(https://www.0101maruigroup.co.jp/sustainability/lib/s-report.html)

 

 


 

 

■ 中期経営計画について

急速な事業環境の変化が予測される中、2026年3月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画を達成し、さらなる企業価値の向上をめざします。

ⅰ.事業環境の変化

2030年に向けた今後の10年においては、「現役世代から将来世代へ」、「デジタル技術は導入期から展開期へ」、「有形資産から無形資産へ」という3つの大きな転換が起き、社会の世代交代により、デジタル、サステナビリティ、Well-beingといった将来世代の常識に対応できない企業は急速に支持を失うリスクがあります。

 

 

ⅱ.今後の方向性

・将来世代との共創を通じて、社会課題解決と企業価値向上を両立
・店舗とフィンテックを通じて、「オンラインとオフラインを融合するプラットフォーマー」をめざす
・人材、ソフトウェアに加え、新規事業、共創投資への無形投資を拡大、知識創造型企業へと進化

・ステークホルダーをボードメンバーに迎え、「利益としあわせの調和」に向けたステークホルダー経営を推進

 

ⅲ.具体的な取り組み

<事業戦略>

(グループ事業の全体像)

・小売、フィンテックに「未来投資」を加えた三位一体のビジネスモデルを創出します。未来投資には、共創投資と新規事業投資が含まれます。
 


 

(小売)

・新型コロナウイルス感染症の影響による市況の悪化が懸念される中、これまで取り組んできた百貨店業態のトランスフォーメーションをさらに推進し、新たな成長を実現します。店舗を「オンラインとオフラインの融合」のプラットフォームと位置づけ、ECを中心に展開する新規事業がさまざまなイベントを開催し、このイベントが来店動機となる店づくりを進めます。また、これらのイベントをフィンテックと連携し、丸井の店舗だけでなく全国の商業施設で展開することを視野に、事業化をめざします。

 

(フィンテック)

・2021年4月からスタートした新カード、新アプリを通じて、UXを飛躍的に高め、LTVのさらなる向上をめざします。また、ゴールドカードに次ぐ第二の柱に成長してきた、アニメに代表されるコンテンツカードなど、一人ひとりの「好き」を応援するカードを拡大します。

・リアル店舗中心の会員募集を見直し、ネット入会の比率を高めるほか、拡大が見込まれるEC・ネット関連サービス、家賃などを中心に家計シェア最大化の取り組みを強化することで、2026年3月期の取扱高は2021年3月期の2倍以上の5.3兆円をめざします。

・また、再生可能エネルギーをエポスカード払いで50万人のお客さまにご利用いただき、CO2削減とLTV向上の両立に挑戦します。

 

 

(未来投資)

・未来投資は、サステナビリティ、Well-beingなどのインパクトと収益の両立をめざしてイノベーションを創出します。新規事業投資は社内からのイノベーション創出、共創投資は社外からのイノベーション導入をめざします。

・新規事業は、ECを中心にメディア、店舗、フィンテックを掛け合わせた独自のビジネスモデルを構築します。

・共創投資は、共創の理念に基づき、共に成長し価値をつくる取り組みを進め、小売・フィンテックへの貢献利益と、ファイナンシャルリターンの両方を追求します。

 

<資本政策>

・小売は、店舗の定借化による業態転換にともない収益改善および利益の安定化は進んだものの、自己資本比率は依然として高い水準にあるため、余剰資本を再配分し、連結自己資本比率25%前後を目標にバランスシートの見直しを進めます。

・5年間の基礎営業キャッシュ・フローを2,300億円と見込み、未来投資を含めた成長投資に800億円、資本最適化のための自社株取得に500億円、株主還元に1,000億円(うち配当800億円、自社株取得200億円)を配分する計画です。

 

□ 資本配分計画(22年3月期~26年3月期)


 

※資本最適化のための自社株取得は2023年3月期で完了しました。また、株主還元については2024年3月期より方針を変更しています。

 

<株主還元>

これまで当社グループでは、事業構造の転換に合わせ資本最適化を推進してきました。はじめにフィンテック中心の事業構造への転換にあわせ、フィンテックセグメントの自己資本比率を業界平均並みの10%程度まで引き下げる方針のもと約1,000億円の自己株式の取得を行い、2021年3月期までにこれを実現しました。次に2026年3月期を最終年度とする5ヵ年の現中期経営計画においては、小売セグメントの余剰資本を再分配するため、2023年3月期までに500億円の自己株式の取得を行いました。これにより、これまで高い水準にあった自己資本比率が、目標としていた25%程度となりました。めざすべきバランスシートの目標を達成したことから、配当については株主資本配当率(DOE)を新たな指標とし、今後も「高成長」と「高還元」の両立をはかります。また、自己株式の取得については、これまでの計画的な取得から、財務状況や株価水準等を総合的に勘案しながら機動的に実施する方法に変更しています。

 

(基本方針)

株主還元については、適正な利益配分を継続的に実施することを基本方針とします。

・配当については、EPSの長期的な成長に基づく継続的な配当水準の向上に努め、「高成長」と「高還元」の両立をはかります。株主資本配当率(DOE)8%程度を目安とし、長期安定的な増配の実現をめざします。

・自己株式の取得については、財務状況や株価水準等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて、機動的に実施します。なお、取得した自己株式は原則として消却します。

・配当の基準および自己株式取得の方針については、定期的に検証し適宜見直しを行います。

 

<インパクト>

2019年に策定した「丸井グループビジョン2050」に基づき、サステナビリティとWell-beingに関わる目標を「インパクト」として定義しました。2030年に向けた取り組みの一環として、「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの『しあわせ』を共に創る」「共創のエコシステムをつくる」の3つの目標の構成項目を一部変更し、主要な取り組み項目を中期経営計画の主要KPIとして設定しています。今後はKPI達成に向け、具体的な取り組みを進めます。

・また、ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎え、ガバナンス体制を進化させていきます。

 


 

 

ⅳ.主要KPI

2031年3月期のインパクトKPIを一部変更したことに伴い、2026年3月期のインパクト目標についても変更しました。これらのインパクトを実現することで、EPS200円以上、ROE13%以上、ROIC4%以上をめざします。

 


 

 

■ 今後のめざすべき企業価値

今後は、人的資本投資をさらに拡大することで、企業価値を高めていきます。企業価値に占める無形資産の割合は、米国の90%に対して、日本企業は32%と低い水準にとどまっています。当社グループの無形資産比率は、現状44%ですが、今後は人的資本投資を通じて、2030年を目処に米国並みの80%まで高めることで、企業価値の向上をめざします。

 


 

今後のめざすべき企業価値としては、ROEを25%程度まで高め、PBR5倍を将来的にめざします。

 


 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

1.主要なリスク

(1)事業戦略上のリスク

① 小売・フィンテック環境に関するリスク

・消費動向の変化

・競合の発生、競争の激化

・EC市場の拡大、決済手段の多様化

・関連税制、関連法律の改正

 

(影響)

当社グループは小売とフィンテックを一体運営しており、首都圏を中心とした営業店舗および全国各地の営業拠点で事業を展開しています。景気変動、経済状況の変化、人口減少等、個人消費の低迷をもたらす市場の変化をはじめ、競合の発生、EC市場の拡大、シェアリングエコノミーの台頭等により、店舗の入店客数や取扱高が減少することが予想されます。また、キャッシュレス化の推進にともなう決済手段の多様化などテクノロジーの進化や消費者行動の変化等によりクレジットカードの市場シェアが縮小することが予想されます。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

店舗運営においてはSC・定借化を進め安定的な収益構造を築いてきましたが、コロナ禍を契機とした不動産市況の悪化により、テナントの撤退による空室率の上昇や賃料収入の減少が発生する可能性があります。また、地価の変動による減損損失計上や関連税制の改正による税負担の増加等、売上収益や利益、財務状況が影響を受ける可能性があります。

また、当社グループの総資産のうち大きな構成を占めるカードの営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)については、遅延債権の発生状況や過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上していますが、経済状況の悪化や関連法律の変更等により支払遅延や未回収債権が増加する恐れがあり、貸倒損失や引当金の急激な増加等により、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。カードキャッシング利息の返還に対しては、これまでの返還実績をもとに将来の返還額を予測し利息返還損失引当金を計上していますが、引当額が将来の返還請求額に対して不十分である場合には追加費用が発生する可能性があります。

(対応策)

小売は新型コロナ発生前から取り組んできた百貨店業態の転換をさらに進めていきます。マルイ・モディ店舗では、SC・定借化や飲食・サービス関連の拡大に取り組むとともに、社会においてデジタル技術が展開期に移行していることを踏まえ、店舗をオンラインとオフラインの融合のプラットフォーム「売らない店」と位置づけ、オフラインに出店するオンライン発の企業をサポートしていきます。さらに、一人ひとりの好きを応援するさまざまなイベントを継続的に開催する「イベントフルな店」に取り組み、フィンテックと連動した成長をさらに推進し、収益の拡大を図っていきます。

フィンテックではキャッシュレス化の推進を大きな機会としてとらえ、エポスカードのゴールド・プラチナ会員の拡大や家賃保証事業をはじめとする家計シェア最大化戦略によるメインカード化を推進することで、決済手段の多様化に対応しています。また、収入や世代を問わず、すべての人が必要な時に必要なサービスを受けることができるファイナンシャル・インクルージョンの実現をめざし、創業から培ってきた与信ノウハウに基づいたビッグデータを活用し初期与信を行うとともに、「信用はお客さまと共につくるもの」という考えのもと途上与信を行っています。ご利用頻度・ご利用額、ご入金実績に基づきご利用限度額を拡大することにより低水準の貸倒率を実現しています。

 

② 共創投資に関するリスク

・投資効果の不確実性

・対未上場企業投資における減損のリスク

・投資有価証券の価格変動

 

 

(影響)

当社グループでは、無形資産への投資を加速している中で、社外からのイノベーション導入を目的に「共創投資」を推進しています。共創投資と新規事業投資を合わせて「未来投資」とし、「小売」「フィンテック」との三位一体のビジネスモデルにより、個々の事業の総和を超えた価値の創出をめざします。

共創投資の実行には、対象企業の財務内容や契約関係等の確認、経営陣との面談を通して詳細な事前審査を行い、十分なリスク検討をしていますが、対象企業における偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査によっても把握できなかった問題が生じた場合や、投資先の今後の事業成績や事業方針の変更、国際紛争や金融危機などによる株式市場の冷え込みなどによっては、期待する成果を得られないことや減損損失計上等の可能性があります。また、当社グループが保有する上場株式については、株式市場の動向により価格変動の影響を受ける可能性があります。

(対応策)

共創投資先の選定時は、投資先より入手した事業計画をもとに当社独自の計画を作成し、ファイナンシャルリターンだけではなく、当社グループとの協業によって発生する協業リターンも含めた収益性を確認したうえで投資判断を行っています。何より「共創投資」においては、当社グループのクレジットカード事業、小売事業、またそれに係る人材等のリソースを、投資先企業のノウハウやスキル等の無形資産と掛け合わせることによって「共創」を実現し、事業計画の達成や企業としての成長に大きく貢献することで投資リスクの低減とリターンの向上に貢献できるものと考えています。

企業価値向上に向けて、戦略上重要な協業および取引関係の維持発展が認められる場合を除き、原則として政策保有株式を保有しない方針です。2016年2月開催の取締役会において、当社が株式を保有する企業とは、すでに一定の取引関係が構築されていることを確認し、資産効率や株価変動リスクの観点から段階的に保有金額を削減することとしました。

 

(2)自然災害・感染症等に関するリスク

① 大規模災害に関するリスク

・経済活動の停滞、消費行動の減少

・保有資産の損壊、補修費用の発生

・事業所、システム、社員の被害による事業活動の停止

 

(影響)

当社グループは首都圏を中心とした営業店舗および全国各地の営業拠点で事業を展開しています。各営業拠点のある地域において大規模な地震・風水害などの自然災害、テロ行為等が発生した場合、社会インフラ等の寸断により事業活動の停止を余儀なくされ、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

(対応策)

当社グループでは、社員の安否確認システムの導入、災害対策マニュアルの策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む。)、火災・防災・水防訓練、必要物資の備蓄などの対策を講じ、各種災害・事故に備えています。震災等発生時には、グループ震災対策本部を設置し、当社グループ各社が連携して事業継続が可能な体制を整えています。

 

② 気候変動に関するリスク

・台風・豪雨等による店舗・施設の被害

・規制強化にともなう炭素税等の導入

 

(影響)

台風・豪雨等の水害発生による店舗の被害および炭素税の導入等による費用の増加等、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

(対応策)

当社グループは気候変動によるリスクへの適切な対応および成長機会の取り込みが重要であると考えています。気候変動への取り組みとTCFDへの対応の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 1.会社の考えるサステナビリティ Ⅱ.気候変動への取り組みとTCFDへの対応」において記載しています。

 

③ 感染症に関するリスク

・経済活動の停滞、消費行動の減少

・感染症拡大による店舗の営業活動の自粛・停止

・社員の感染による事業活動の停止

 

(影響)

当社グループは首都圏を中心とした営業店舗および全国各地の営業拠点で事業を展開しています。各営業拠点のある地域において感染症が流行した場合や、感染拡大防止策として外出自粛等の措置がとられた場合、店舗の営業休止等、営業活動の制約により、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。また、社員の感染者拡大により事業継続が困難になる可能性があります。

(対応策)

感染症の拡大リスクに対応するため、オフィスでの勤務を主としている社員については可能な限りテレワークを活用し、コールセンターや物流センターなど出社が不可欠な部門においては、交替制での運営や事務所の分散化、飛沫感染防止の徹底等の対応ができる体制を整えています。また、各営業拠点において、アルコール消毒液の設置やマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保等、状況に応じてお客さま・社員の感染予防対策を行っています。

 

(3)企業運営に関するリスク

① 資金調達に関するリスク

・資金調達の制約

・調達金利の上昇

 

(影響)

当社グループでは、ショッピングクレジットの取扱高の伸長や家賃保証をはじめとしたサービス事業の拡大など、フィンテックの成長が見込まれる中で、営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)の増加により、資金需要が拡大していくと予想しています。したがって、これまでに調達した資金の返済・償還への対応に加えて新たな資金が必要となるため、今後徐々に調達額が拡大し、資金調達に関するリスクが高まると考えています。

金融市場に混乱が発生した際には資金調達に制約を受ける可能性があります。また、当社グループの業績が著しく悪化したり信用力が急激に低下した場合には、金融機関からの借入が困難となり社債発行にも支障をきたすなどの状況が想定されます。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの資金繰りに重大な影響が生じる可能性があります。

また、調達金利は市場環境その他の要因により変動するため、その動向によっては調達コストが大きく上昇する可能性があり、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

(対応策)

当社グループは、負債増加によるリスクを抑制するため、有利子負債は営業債権の9割程度を維持することとしています。

営業活動に必要な資金の調達は、金融機関からの借入などの間接調達、社債やコマーシャル・ペーパーの発行などの直接調達のほか、営業債権の流動化にも取り組み、調達手段の多様化を進めるとともに各調達メニューのバランスを図っています。

毎年の返済・償還額は、その借換時のリスクに対応するため調達年限をコントロールすることにより平準化を図り、その金額に対しては金融機関とのコミットメントライン契約の締結や当座貸越枠の設定などにより流動性を確保し、資金調達の制約を受けた場合においても確実に調達ができる体制を整えています。

また、調達資金の金利については、固定金利の構成を一定割合に保つことにより、市場金利の変動による調達コストの急激な増加を抑制します。

 

② 情報セキュリティに関するリスク

・事故・欠陥等によるシステム障害

・外部からの不正侵入、不正アクセス、ウイルス感染

・顧客情報の漏洩

 

 

(影響)

i. システム関連

当社グループでは、コンピューターシステムおよび通信ネットワークを多岐にわたり使用しており、ハードウェアやソフトウェアの欠陥等によるシステムエラーやネットワーク障害、外部からの不正アクセス等によるシステム遅延・サービス停止やウェブサイトの改ざん等が引き起こされた場合、当社グループの財務状況および業績が影響を受ける可能性があります。

ⅱ. 個人情報関連

当社グループでは、エポスカードの会員情報をはじめとする多数のお客さまやステークホルダーの皆さまの個人情報を保有しており、万一、顧客情報の漏洩や不正利用等の事態が生じた場合においては、当社グループの社会的な信用の失墜や損害賠償責任が発生するリスクが考えられ、その際は当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

(対応策)

i. システム関連

当社グループでは、コンピューターシステムの冗長化や、システムの定期的なリプレイス、修正プログラムの適用、コンピューターウイルスや不正侵入の防御など、安定的に稼働できるよう対策を講じるとともに、外部コンサルティングによるリスクアセスメントや定期的な脆弱性検査の実施など、より一層の情報セキュリティ強化に向け取り組んでいます。また、クラウドサービスなど他社のサービス活用時には、事前のセキュリティチェックを実施するなど、安全性を確認しています。

ⅱ. 個人情報関連

当社グループが保有するお客さま情報をはじめとした情報資産を、不正アクセスやサイバー攻撃などのさまざまな脅威から保護し、グループ全体の情報セキュリティを強化していくことが、経営上の最重要課題と認識し、「グループ情報セキュリティ方針」を定めるとともに、「グループプライバシーポリシー」を設定し、お預かりしたすべての個人情報の適切な管理・保護に努めています。

具体的には、個人情報保護法をはじめとした法令や関連する指針・規範等に基づいて、個人情報に関する安全管理措置を講ずるとともに、特に多数の個人情報を取扱う当社グループ各社においては「プライバシーマーク」の取得を行い、適切な個人情報の取扱いを実践しています。

 

③ 人材に関するリスク

・経営人材の不足

・人材獲得競争の激化

 

(影響)

当社グループの成長は、社員一人ひとりの成長や活躍により実現できると考えています。今後、人材獲得競争の激化や既存社員の流出、それにともなう将来の経営人材の不足等が顕在化した場合、事業の進化や継続性に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、すべての社員が自ら手を挙げてチャレンジできる風土をベースとした、将来の企業価値の源泉となる無形資産としての人的資本投資を重視しています。公募型の教育・研修プログラムはもとより、対話を通じてグループ経営にとって重要なテーマを考える「グループ横断プロジェクト」や、経営に革新を起こせる人材を育成する「次世代経営者育成プログラム(共創経営塾:CMA)」の開設、さらにスタートアップ企業への出向など、計画的な人材投資により、さまざまな視点から、成長とやりがいを実感できる環境づくりを進めています

 

2.リスク管理体制

当社グループは経営上の高リスク分野を管理するために、広報IR委員会、内部統制委員会、ESG委員会、情報セキュリティ委員会、安全管理委員会、インサイダー取引防止委員会の6委員会を設置し、スピーディな業務の改善と事故の未然防止を図るとともに、各委員会の統括機能として代表取締役を議長とするコンプライアンス推進会議を設置しています。

これらの各委員会の設置・開催のほか、執行役員が参加する定期的なミーティングの開催などを通じて密に連携をとり、リスク情報を共有し、スピーディな意思決定と対応策を実施することで、リスク管理の実効性を高めています。

また、情報資産のセキュリティを確保するための体制・対応方針を含めた「丸井グループ情報セキュリティ方針」、税法の順守、税務リスクの最小化に向けた取り組みなどを明記した「丸井グループ税務方針」、および権力や立場を利用した不正や非倫理的な行為などのあらゆる腐敗行為のない誠実な企業活動を実行していくための「丸井グループ腐敗行為防止方針」を制定しています。規範・各種方針は実効性を年1回検証するとともに、研修等を通じてグループ社員へ周知を図っています。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

(連結業績)

EPSは109.4円(前年比+27%、前年差+23.6円)、利益増加と資本政策により前年を上回りました。ROEは8.5%(前年差+2.0%)と株主資本コスト(8.1%)を上回り、ROICは3.5%(前年差+0.2%)となり資本コスト(WACC 3.5%)と同程度となりました。

 


※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。

 

グループ総取扱高は3兆9,573億円(前年比+17%、前年差+5,838億円)、フィンテックのカードクレジット取扱高が全体をけん引したことにより、過去最高となりました

売上収益は2,179億円(前年比+4%)、営業利益は388億円(前年比+5%)、当期利益は215億円(前年比+21%)と2期連続の増収増益となりました。

 

※「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。

 


※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準)等適用後の数値を記載しています。

 

営業利益増減の主な特殊要因

前期は販管費のうち、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言の発令による店舗の休業期間等に係る固定費を特別損失へ振替えましたが、当期は休業期間等がなく、固定費の特別損失への振替えを実施していないため販管費が増加し、営業利益が11億円減少しました

債権流動化による債権譲渡益(64億円)が前年に比べ8億円増加し、償却額・費用等(60億円)が11億円増加したため、営業利益が3億円減少しました

上記の特殊要因を除いた実質的な営業利益は34億円の増益(小売+27億円、フィンテック+16億円)となります

 

□ 営業利益増減要因


 

(セグメント別の状況)

小売セグメントの営業利益は前年を16億円上回る36億円(前年比+84%)、ROICは1.4%(前年差+0.7%)となりました

フィンテックセグメントの営業利益は425億円(前年比+3%)、前年を13億円上回り、過去最高となりました。ROICは5.0%(前年差±0.0%)となりました

 

□ セグメント別の売上収益・営業利益


※ 企業会計基準第29号(収益認識に関する会計基準等)適用後の数値を記載しています。

 

<小売セグメント>

当期は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた店舗の休業等がなかったことや行動制限が緩和されたことなどにより、客数が前年を大幅に上回ったことから取扱高が増加し、営業利益は2期連続の増益となりました

店舗をオンラインとオフラインの融合のプラットフォームと位置づけ、リアルならではの価値創出をめざし、「売ること」を目的としないD2Cブランドやネットサービスなどの体験型テナントの導入を進め「売らない店」の拡大に取り組みました。各店舗でアニメ、ゲーム、食、コスメなどのイベントを展開し、イベントが来店動機となる「イベントフルな店」への転換を推進しました。その結果、非物販カテゴリーのテナント面積構成は56%(前年差+6%)となりました

 

□ 非物販テナント構成の推移


 

ECについては、店舗と連動したイベント型のECの拡大に加え、Web系の専門人材を拡充しECサイトのUI/UX改善に取り組みました。その結果、ECサイトの訪問数および取扱高が前期第4四半期から5四半期連続で前年を上回り、EC取扱高は206億円(前年比+11%)となりました

 


 

<フィンテックセグメント>

当期は新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限が緩和されたことなどにより、トラベル&エンターテイメントが高伸長したことに加え、戦略的に進めている「家計シェア最大化」の取り組みにより、家賃や公共料金などの定期払いも堅調に推移したことで、カードクレジットの取扱高は過去最高の3兆6,230億円(前年比+18%)となりました

 

 

□ カードクレジット取引扱高の内訳


 

分割・リボ取扱高は3,411億円(前年比+17%)と拡大し、流動化債権を含む分割・リボ払い残高は過去最高の3,991億円(前年比+8%)となりました。

 

分割・リボ払い残高推移(流動化債権を含む)


 

エポスカードの新規会員数は74万人(前年差+13万人)、期末会員数は過去最高の731万人(前年差+17万人)となりました。商業施設での入会、ネット入会がどちらも回復傾向にあることに加え、家賃保証をきっかけとする入会も順調に推移しました。

これまで事業の成長をけん引してきたゴールドカードに加えて、アニメカードに代表される一人ひとりの「好き」を応援するカードの取り組みを強化しています。「好き」を応援するカードは、一般カードに比べて若者の比率が高く、LTV(生涯利益)が高いカードとなっています。店舗でのイベントやファンクラブサイトの運営など、独自性の高い取り組みをグループで推進し、ロイヤルティの高い会員の拡大をめざしています。「好き」を応援するカードの新規会員は27万人(前年差+13万人)となり、新規会員数に占める構成は37%(前年差+14%)まで拡大しました

 

 

□ 新規入会の状況


 

□ カード会員数の推移


 

商業施設との提携を進め、全国にエポスカード会員を拡大する取り組みを推進しています。提携施設数は41施設(前年差+3施設)に拡大し、施設と一体となってカードを活用した施設価値向上に取り組んでいます。

 

(LTVの安定性を表す指標)

当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTVを重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。

 

当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は1,319億円(前年比+3%)となり、売上総利益に占める割合は67.0%(前年差△1.8%)となりました。

・成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は契約残年数、分割・リボ手数料やカードキャッシング手数料は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は保証期間をもとに行っています。

当期末の成約済み繰延収益は3,575億円(前年比+6%)となり、当期の売上総利益の約1.8倍の将来収益が見込まれています。

 

 

□ LTV経営の指標


(注)売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。

 

(財政状態)

営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、カードクレジット取扱高の拡大により前期末から858億円増加しましたが、債権流動化の実施により、5,818億円(前期末差+102億円)となりました。総資産は9,620億円(前期末差+419億円)となりました。

・有利子負債(リース債務を除く)は5,831億円(前期末差+559億円)となりました。

・自己株式の取得は、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画期間中に700億円(資本最適化に向けて500億円、株主還元として200億円)を予定していますが、2年目の当期は資本最適化に向けて200億円、株主還元として40億円の取得を実施しました。その結果、自己資本は2,461億円(前期末差△155億円)、自己資本比率は25.6%(前期末差△2.8%)となり、めざすべきバランスシートの目標を達成しました。

 

□ バランスシートの状況

 


 

 

(キャッシュ・フローの状況)

営業キャッシュ・フローは、167億円の収入(前期は115億円の収入)となりました。営業キャッシュ・フローから営業債権等の増減を除いた基礎営業キャッシュ・フローは、税引前利益の増加などにより、前期より7億円増加し、392億円の収入となりました。

投資キャッシュ・フローは、有形および無形固定資産の取得97億円、投資有価証券の取得83億円などにより224億円の支出(前期は138億円の支出)となりました

財務キャッシュ・フローは、有利子負債の増加による556億円の収入や自己株式の取得による支出260億円、配当金の支払110億円などにより183億円の収入(前期は8億円の収入)となりました。

 

□ キャッシュ・フローの状況


 

 

(注) 当社グループでは営業キャッシュ・フローから営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)等の増減を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」を収益性・健全性の指標としています。

 

(生産、受注及び販売の状況)
① 生産の状況

連結財務諸表提出会社および関係会社において、該当事項はありません。

 

② 受注の状況

小売およびフィンテックの一部において受注による営業を行っており、当連結会計年度の受注額は8,116百万円(前年同期比85.1%)、当連結会計年度末の受注残高は2,239百万円(同89.0%)です。

 

③ 販売の状況

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年比(%)

小売

 

 

定期借家テナント収入等

36,572

100.3

商品売上高

2,359

43.5

受託販売手数料

6,207

113.8

消化仕入売上高(純額)

4,811

94.7

関連事業収入

19,309

94.2

小売計

69,260

95.0

フィンテック

148,593

109.0

合計

217,854

104.1

 

(注) 1 上記の金額は、外部顧客に対する売上収益を示しています。

2 小売の販売実績は、2016年3月期より「消化仕入売上高」、2021年3月期より「受託販売売上高」の利益相当額を売上収益に計上する方法に変更しています。従来基準(2015年3月期以前)での売上収益に付随する販売実績(取扱高)は、272,772百万円(前年比111.2%)です。

 

④ 仕入の状況

当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年比(%)

小売

1,433

66.8

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析

「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。

資本の財源および資金の流動性については「2 事業等のリスク」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」に記載しています。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

2 【主要な設備の状況】

主要な設備は、次のとおりです。

(1) 提出会社

2023年3月31日現在

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(名)

建物及び構築物

土地
(面積㎡)

リース
資産

その他

合計

本社
(東京都中野区)

事務所

14

(-)

205

220

254

[27]

 

(注) 1  帳簿価額の内「その他」には、有形固定資産のほか、無形固定資産を含んでいます。

2  従業員数は就業人員であり、従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の期中平均雇用者数(月間所定労働時間を基準に算出)です。

 

(2) 国内子会社

2023年3月31日現在

主な
子会社

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(名)

建物及び構築物

土地
(面積㎡)

リース
資産

その他

合計

㈱丸井

丸井グループ本社
(東京都中野区)

小売

事務所

3,170

6,199

(4,278)

951

10,321

460

[52]

中野マルイ
(東京都中野区)

小売

店舗等

(オフィ
ス含む)

3,661

219

(3,207)

67

3,948

21

[7]

新宿マルイ
(東京都新宿区)

小売

店舗等

4,395

5,735

(1,861)

4,092

14,223

72

[21]

渋谷店
(東京都渋谷区)

小売

店舗等

2,189

3,774

(1,229)

95

6,058

23

[6]

吉祥寺マルイ
(東京都武蔵野市)

小売

店舗等

1,038

(-)

375

1,413

12

[6]

柏店
(千葉県柏市)

小売

店舗等

1,222

4,500

(1,567)

751

6,473

15

[7]

町田店
(東京都町田市)

小売

店舗等

2,915

4.513

(2,182)

266

7,695

30

[6]

大宮マルイ
(埼玉県さいたま市)

小売

店舗等

969

(-)

1,149

2,119

17

[6]

錦糸町マルイ
(東京都墨田区)

小売

店舗等

1,363

6,780

(6.059)

51

8,196

28

[7]

 

 

主な
子会社

事業所名
(所在地)

セグメント
の名称

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数
(名)

建物及び構築物

土地
(面積㎡)

リース
資産

その他

合計

㈱丸井

上野マルイ
(東京都台東区)

小売

店舗等

1,639

(-)

526

2,166

36

[7]

国分寺マルイ
(東京都国分寺市)

小売

店舗等

514

(-)

2,282

2,796

25

[19]

草加マルイ
(埼玉県草加市)

小売

店舗等

780

2,480

(4,010)

19

3,279

11

[6]

マルイシティ横浜
(神奈川県横浜市)

小売

店舗等

754

(-)

6,669

7,424

34

[7]

マルイファミリー溝口
(神奈川県川崎市)

小売

店舗等

3,448

10,856

(4,053)

1,676

15,980

40

[11]

マルイファミリー志木
(埼玉県志木市)

小売

店舗等

1,855

1,747

(3,603)

609

4,213

19

[11]

マルイファミリー
海老名
(神奈川県海老名市)

小売

店舗等

839

(-)

717

1,557

32

[10]

神戸マルイ
(兵庫県神戸市)

小売

店舗等

370

(-)

757

755

1,883

20

[3]

北千住マルイ
(東京都足立区)

小売

店舗等

4,317

8,653

(4,892)

1,185

14,157

44

[14]

なんばマルイ
(大阪府大阪市)

小売

店舗等

916

(-)

1,071

1,988

27

[6]

有楽町マルイ
(東京都千代田区)

小売

店舗等

3,747

22,328

(2,912)

640

26,716

66

[5]

博多マルイ
(福岡県福岡市)

小売

店舗等

2,136

(-)

912

3,048

19

[2]

戸塚モディ
(神奈川県横浜市)

小売

店舗等

1,315

1,916

(1,283)

284

3,516

7

[6]

静岡モディ
(静岡県静岡市)

小売

店舗等

885

2,485

(1,504)

3

3,374

4

[2]

戸田商品センター
(埼玉県戸田市)

小売

配送センター

1,066

1,407

(22,415)

13

2,487

1

[-]

㈱エポス
カード

本社等
(東京都中野区他)

フィンテック

店舗、
事務所等

865

550

(586)

3

5,282

6,702

1,560

[680]

㈱エイム
クリエイ

本社等
(東京都中野区他)

小売

事務所等

87

49

(208)

71

208

270

[38]

㈱ムービ
ング

商品センター等
(埼玉県戸田市他)

小売

事務所、
営業所等

1,105

1,436

(8,006)

1,444

3,986

311

[307]

㈱エムア
ンドシー
システム

システムセンター等
(埼玉県戸田市他)

小売/フィンテック

事務所等

1,164

1,100

(3,145)

516

2,026

4,807

202

[14]

㈱マルイ
ホーム
サービス

賃貸マンション等
(東京都武蔵野市他)

フィンテック

事務所、
賃貸用
住宅等

2,607

2,362

(3,973)

151

5,122

76

[9]

 

(注) 1  帳簿価額の内「その他」には、有形固定資産のほか、無形固定資産および差入保証金を含んでいます。

2  従業員数は就業人員であり、従業員数欄の[外書]は、臨時従業員の期中平均雇用者数(月間所定労働時間を基準に算出)です。

3  上記の店舗等のうち、連結会社以外からの建物の賃借面積は378,176㎡です。

① 【株式の総数】

 

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

1,400,000,000

1,400,000,000

 

 

② 【発行済株式】

 

種類

事業年度末現在
発行数(株)
(2023年3月31日)

提出日現在
発行数(株)
(2023年6月27日)

上場金融商品取引所名又は

登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

208,660,417

208,660,417

東京証券取引所
プライム市場

単元株式数100株

208,660,417

208,660,417

 

 

① 【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

 

② 【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

 

(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】

 

年月日

発行済株式
総数増減数
(千株)

発行済株式
総数残高
(千株)

資本金増減額
(百万円)

資本金残高
(百万円)

資本準備金
増減額
(百万円)

資本準備金
残高
(百万円)

 2018年5月31日

(注)1

△10,000

223,660

35,920

91,307

 2021年11月30日

(注)2

△15,000

208,660

35,920

91,307

 

(注)1 2018年5月31日に自己株式10,000千株を消却したため、発行済株式総数残高は減少しています。

2 2021年11月30日に自己株式15,000千株を消却したため、発行済株式総数残高は減少しています。

 

(5) 【所有者別状況】

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満
株式の状況
(株)

政府及び
地方公共
団体

金融機関

金融商品
取引業者

その他の
法人

外国法人等

個人
その他

個人以外

個人

株主数
(人)

57

45

242

344

91

30,224

31,003

所有株式数(単元)

925,452

42,903

309,812

426,933

186

378,069

2,083,355

324,917

所有株式数
の割合(%)

44.42

2.06

14.87

20.49

0.01

18.15

100.00

 

(注) 1 自己株式18,547,394株は、「個人その他」に185,473単元、「単元未満株式の状況」に94株含まれています。

2 上記「金融機関」には、役員報酬BIP信託および株式付与ESOP信託が保有する株式が、7,665単元含まれています。

 

(6) 【大株主の状況】

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数
(千株)

発行済株式
(自己株式を
除く。)の
総数に対する
所有株式数
の割合(%)

日本マスタートラスト信託銀行
(株)(信託口)

東京都港区浜松町2-11-3

45,423

23.89

(株)日本カストディ銀行(信託口)

東京都中央区晴海1-8-12

22,866

12.03

MISAKI ENGAGEMENT MASTER FUND
(常任代理人 香港上海銀行)

190 ELGIN AVENUE, GEORGE TOWN, GRAND CAYMAN, KY 1-9005, CAYMAN ISLANDS
(東京都中央区日本橋3-11-1)

6,490

3.41

青井不動産(株)

東京都渋谷区神南1-21-3

6,019

3.17

(株)三菱UFJ銀行

東京都千代田区丸の内2-7-1

4,356

2.29

東宝(株)

東京都千代田区有楽町1-2-2

3,779

1.99

公益財団法人青井奨学会

東京都中野区中野4-3-2

3,249

1.71

THE BANK OF NEW YORK MELLON 140042
(常任代理人 (株)みずほ銀行)

240 GREENWICH STREET, NEW YORK, NY 10286, U.S.A.
(東京都港区港南2-15-1)

2,794

1.47

青井 忠雄

東京都渋谷区

2,784

1.47

(株)烏山

東京都千代田区内幸町2-2-3

2,454

1.29

100,219

52.72

 

(注) 1 当社は自己株式18,547千株を保有していますが、上記大株主からは除外しています。なお、当該自己株式には、役員報酬BIP信託および株式付与ESOP信託が保有する当社株式は含めていません。

2 野村證券(株)およびその共同保有者から2021年5月11日付けで公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)により、2021年4月30日現在で以下のとおり、株式を保有している旨の報告を受けましたが、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができていないため、上記大株主の状況は株主名簿によっています。

氏名又は名称

住所

所有株式数
(千株)

発行済株式
総数に対する
所有株式数
の割合(%)

ノムラ インターナショナル ピーエルシー(NOMURA INTERNATIONAL PLC)

1 Angel Lane,London EC4R 3AB,United Kingdom

286

0.13

野村アセットマネジメント(株)

東京都江東区豊洲2-2-1

16,282

7.28

 

3 みずほ証券(株)およびその共同保有者から2021年10月22日付けで公衆の縦覧に供されている大量保有報告書により、2021年10月15日現在で以下のとおり、株式を保有している旨の報告を受けましたが、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができていないため、上記大株主の状況は株主名簿によっています。

氏名又は名称

住所

所有株式数
(千株)

発行済株式
総数に対する
所有株式数
の割合(%)

みずほ証券(株)

東京都千代田区大手町1-5-1

360

0.16

アセットマネジメントOne(株)

東京都千代田区丸の内1-8-2

10,665

4.77

アセットマネジメントOneインターナショナル
(Asset Management One International Ltd.)

30 Old Bailey, London, EC4M 7AU, UK

438

0.20

 

4 三井住友トラスト・アセットマネジメント(株)およびその共同保有者から2022年3月22日付けで公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)により、2022年3月15日現在で以下のとおり、株式を保有している旨の報告を受けましたが、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができていないため、上記大株主の状況は株主名簿によっています。

氏名又は名称

住所

所有株式数
(千株)

発行済株式
総数に対する
所有株式数
の割合(%)

三井住友トラスト・アセットマネジメント(株)

東京都港区芝公園1-1-1

6,222

2.98

日興アセットマネジメント(株)

東京都港区赤坂9-7-1

7,995

3.83

 

5 (株)三菱UFJ銀行およびその共同保有者から2023年3月6日付けで公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)により、2023年2月27日現在で以下のとおり、株式を保有している旨の報告を受けましたが、当社として当事業年度末時点における実質所有株式数の確認ができていないため、上記大株主の状況は株主名簿によっています。

氏名又は名称

住所

所有株式数
(千株)

発行済株式
総数に対する
所有株式数
の割合(%)

(株)三菱UFJ銀行

東京都千代田区丸の内2-7-1

4,356

2.09

 

三菱UFJ信託銀行(株)

東京都千代田区丸の内1-4-5

8,357

4.01

三菱UFJ国際投信(株)

東京都千代田区有楽町1-12-1

4,062

1.95

 

 

 

①【連結貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

現金及び預金

39,719

52,432

 

 

受取手形及び売掛金

※1 4,746

※1 4,827

 

 

割賦売掛金

※2 457,624

※2 481,442

 

 

営業貸付金

※2,※3 114,049

※2,※3 100,395

 

 

商品

1,070

640

 

 

その他

45,677

52,617

 

 

貸倒引当金

14,860

16,445

 

 

流動資産合計

648,029

675,909

 

固定資産

 

 

 

 

有形固定資産

 

 

 

 

 

建物及び構築物

※4 243,698

※4 241,034

 

 

 

 

減価償却累計額

186,391

185,180

 

 

 

 

建物及び構築物(純額)

57,306

55,854

 

 

 

土地

103,276

103,395

 

 

 

建設仮勘定

1,272

1,911

 

 

 

その他

※4 33,354

※4 32,720

 

 

 

 

減価償却累計額

25,937

26,171

 

 

 

 

その他(純額)

7,417

6,549

 

 

 

有形固定資産合計

169,273

167,711

 

 

無形固定資産

8,911

9,661

 

 

投資その他の資産

 

 

 

 

 

投資有価証券

※5 36,031

※5 38,516

 

 

 

差入保証金

27,011

26,441

 

 

 

繰延税金資産

20,038

20,087

 

 

 

その他

※6 10,731

※6 23,622

 

 

 

投資その他の資産合計

93,813

108,668

 

 

固定資産合計

271,997

286,040

 

資産合計

920,026

961,950

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

買掛金

7,978

7,160

 

 

短期借入金

111,156

103,919

 

 

1年内償還予定の社債

20,000

20,240

 

 

コマーシャル・ペーパー

33,000

25,000

 

 

未払法人税等

846

6,167

 

 

賞与引当金

3,200

3,093

 

 

ポイント引当金

27,908

32,477

 

 

商品券等引換損失引当金

153

139

 

 

その他

※7 61,826

※7 60,228

 

 

流動負債合計

266,068

258,426

 

固定負債

 

 

 

 

社債

61,300

81,300

 

 

長期借入金

301,700

352,600

 

 

繰延税金負債

135

135

 

 

利息返還損失引当金

17,330

12,500

 

 

債務保証損失引当金

95

71

 

 

株式給付引当金

417

817

 

 

資産除去債務

1,649

1,694

 

 

その他

9,277

7,841

 

 

固定負債合計

391,905

456,961

 

負債合計

657,974

715,388

純資産の部

 

 

 

株主資本

 

 

 

 

資本金

35,920

35,920

 

 

資本剰余金

91,752

91,952

 

 

利益剰余金

147,069

155,130

 

 

自己株式

18,269

42,774

 

 

株主資本合計

256,473

240,229

 

その他の包括利益累計額

 

 

 

 

その他有価証券評価差額金

5,140

5,915

 

 

その他の包括利益累計額合計

5,140

5,915

 

非支配株主持分

438

417

 

純資産合計

262,052

246,562

負債純資産合計

920,026

961,950

 

 

【連結損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上収益

※1 209,323

※1 217,854

売上原価

※2 28,249

※2 26,111

売上総利益

181,073

191,742

販売費及び一般管理費

 

 

 

広告宣伝販促費

2,999

1,586

 

ポイント引当金繰入額

27,369

31,869

 

貸倒引当金繰入額

12,403

14,708

 

給料及び手当

27,568

26,836

 

賞与引当金繰入額

2,876

2,829

 

支払手数料

16,636

19,404

 

地代家賃

13,455

13,223

 

減価償却費

9,683

10,016

 

その他

31,294

32,496

 

販売費及び一般管理費合計

144,288

152,971

営業利益

36,784

38,771

営業外収益

 

 

 

受取配当金

216

272

 

投資事業組合運用益

183

 

預り金精算益

71

109

 

連結納税未払金債務免除益

334

 

その他

303

303

 

営業外収益合計

926

869

営業外費用

 

 

 

支払利息

1,274

1,454

 

貸倒引当金繰入額

689

 

その他

889

1,132

 

営業外費用合計

2,163

3,275

経常利益

35,547

36,364

特別利益

 

 

 

投資有価証券売却益

108

10

 

賃貸借契約解約益

446

 

休業等協力金

149

 

雇用調整助成金

110

 

その他

57

 

特別利益合計

872

10

特別損失

 

 

 

固定資産除却損

※3 1,131

※3 923

 

減損損失

※4 2,586

※4 432

 

投資有価証券評価損

2,734

2,471

 

感染症関連費用

※5 2,407

 

その他

1,234

65

 

特別損失合計

10,093

3,893

税金等調整前当期純利益

26,326

32,482

法人税、住民税及び事業税

8,337

11,293

法人税等調整額

288

344

法人税等合計

8,625

10,949

当期純利益

17,701

21,532

非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失(△)

90

59

親会社株主に帰属する当期純利益

17,791

21,473

 

1.報告セグメントの概要

 

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。

当社グループは、提供する商品、サービス等により「小売」「フィンテック」の2つを報告セグメントとしています。

「小売」は、商業施設の賃貸・運営管理、衣料品・装飾雑貨等の仕入販売、空間プロデュース、広告宣伝、トータルファッション物流、総合ビルマネジメント等を行っています。「フィンテック」は、クレジットカード業務、カードキャッシング、家賃保証、情報システムサービス、不動産賃貸、投資信託の販売等を行っています。

 

①【貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

現金及び預金

28,604

37,468

 

 

関係会社短期貸付金

※1 509,463

※1 525,436

 

 

その他

※1 12,907

※1 3,209

 

 

貸倒引当金

32

721

 

 

流動資産合計

550,942

565,392

 

固定資産

 

 

 

 

有形固定資産

 

 

 

 

 

建物

13

13

 

 

 

構築物

1

1

 

 

 

車両運搬具

6

0

 

 

 

工具、器具及び備品

1,308

1,296

 

 

 

建設仮勘定

17

 

 

 

有形固定資産合計

1,347

1,310

 

 

無形固定資産

69

61

 

 

投資その他の資産

 

 

 

 

 

投資有価証券

29,731

33,131

 

 

 

関係会社株式

244,053

242,206

 

 

 

その他の関係会社有価証券

650

 

 

 

関係会社出資金

65

65

 

 

 

その他

299

※1 1,869

 

 

 

投資その他の資産合計

274,149

277,923

 

 

固定資産合計

275,567

279,295

 

資産合計

826,510

844,688

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

短期借入金

110,700

103,800

 

 

1年内償還予定の社債

20,000

20,240

 

 

関係会社短期借入金

※1 60,715

※1 56,495

 

 

コマーシャル・ペーパー

33,000

25,000

 

 

未払金

※1 7,562

※1 252

 

 

未払費用

※1 626

※1 591

 

 

未払法人税等

5

140

 

 

預り金

159

174

 

 

賞与引当金

204

211

 

 

その他

32

201

 

 

流動負債合計

233,006

207,107

 

固定負債

 

 

 

 

社債

61,300

81,300

 

 

長期借入金

301,700

352,600

 

 

繰延税金負債

1,126

1,366

 

 

株式給付引当金

257

501

 

 

その他

67

67

 

 

固定負債合計

364,450

435,834

 

負債合計

597,457

642,942

純資産の部

 

 

 

株主資本

 

 

 

 

資本金

35,920

35,920

 

 

資本剰余金

 

 

 

 

 

資本準備金

91,307

91,307

 

 

 

その他資本剰余金

119

 

 

 

資本剰余金合計

91,307

91,427

 

 

利益剰余金

 

 

 

 

 

利益準備金

8,980

8,980

 

 

 

その他利益剰余金

 

 

 

 

 

 

オープンイノベーション促進積立金

641

728

 

 

 

 

繰越利益剰余金

105,264

101,526

 

 

 

利益剰余金合計

114,886

111,235

 

 

自己株式

18,269

42,774

 

 

株主資本合計

223,846

195,809

 

評価・換算差額等

 

 

 

 

その他有価証券評価差額金

5,206

5,936

 

 

評価・換算差額等合計

5,206

5,936

 

純資産合計

229,052

201,745

負債純資産合計

826,510

844,688

 

 

②【損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

営業収益

※1 18,314

※1 19,796

営業費用

※1,※2 6,772

※1,※2 7,652

営業利益

11,541

12,144

営業外収益

 

 

 

受取利息

※1 2,016

※1 2,356

 

投資事業組合運用益

183

 

連結納税未払金債務免除益

※1 2,096

 

その他

265

349

 

営業外収益合計

4,378

2,889

営業外費用

 

 

 

支払利息

※1 1,204

※1 1,384

 

貸倒引当金繰入額

※1 689

 

その他

456

718

 

営業外費用合計

1,661

2,792

経常利益

14,258

12,241

特別利益

 

 

 

投資有価証券売却益

108

10

 

関係会社株式売却益

61,472

 

その他

29

0

 

特別利益合計

61,609

11

特別損失

 

 

 

投資有価証券評価損

2,734

2,371

 

関係会社株式評価損

499

2,407

 

その他

16

0

 

特別損失合計

3,251

4,778

税引前当期純利益

72,617

7,473

法人税、住民税及び事業税

35

199

法人税等調整額

6,003

80

法人税等合計

5,968

119

当期純利益

66,649

7,354