楽天銀行株式会社
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため、記載していません。
2.自己資本比率は、(期末純資産の部合計-期末非支配株主持分)を期末資産の部の合計で除して算出しています。
3.連結自己資本利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を(期首自己資本+期末自己資本)÷2で除して算出しています。
4.連結株価収益率は当行株式が非上場であったため記載していません。
5.従業員数は正社員、嘱託、契約社員及び出向者の人数を記載しており、当行から当行グループ外への出向者は除いています。臨時従業員数(パート社員及び派遣社員を含む。)の平均人数を〔 〕外数で記載しています。
6.第22期、第23期及び第24期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成していますが、資産及び負債の分類並びに収益及び費用の分類は、「銀行法施行規則」(昭和57年大蔵省令第10号)に準拠しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けています。
7.当行は、2022年8月22日開催の取締役会決議により、2022年9月27日付で普通株式1株につき70株の割合で株式分割を行っています。第22期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しています。
8.第24期の営業活動によるキャッシュ・フローの大幅な減少は、主に預金による収入が第23期に比して減少したことに加え、買入金銭債権の増加に伴う支出が第23期に比して増加したことによるものです。
9.第23期の投資活動によるキャッシュ・フローの大幅な減少は、主に有価証券の取得によるものです。
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため、記載していません。
2.自己資本比率は、期末純資産の部合計を期末資産の部合計で除して算出しています。
3.自己資本利益率は、当期純利益を(期首自己資本+期末自己資本)÷2で除して算出しています。
4.株価収益率は当行株式が非上場であったため記載していません。
5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載していません。
6.従業員数は正社員、嘱託、契約社員及び出向者の人数を記載しており、臨時従業員数(パート社員及び派遣社員を含む。)の平均人数を〔 〕外数で記載しています。
7.第22期、第23期及び第24期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成していますが、資産及び負債の分類並びに収益及び費用の分類は、「銀行法施行規則」(昭和57年大蔵省令第10号)に準拠しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けています。なお、第20期及び第21期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しています。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。
8.当行は、2022年8月22日開催の取締役会決議により、2022年9月27日付で普通株式1株につき70株の割合で株式分割を行っています。第22期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しています。
9.第20期、第21期、第22期、第23期及び第24期の株主総利回り及び比較指標、最高株価、最低株価については、2023年4月21日に東京証券取引所プライム市場に上場したため、記載していません。
当行は、楽天グループ株式会社が100%出資するインターネットを活用した銀行であり、日本においては、個人・法人(事業性個人を含む)に対して、台湾においては個人に対して、多様なお客さまニーズに応える銀行サービス及びこれに付随する金融サービスを提供しています。
当行グループは、当行、連結子会社23社及び非連結子会社4社で構成されており、それぞれの役割は以下となっています。連結子会社である楽天信託株式会社は、信託業法に基づく信託業務を行っており、顧客から金銭、金銭債権、不動産等を受託しています。また、当行がグループ内外の企業の金銭債権、不動産等を流動化して当行の運用資産を組成する際には、倒産隔離を実現するために、多くの案件において楽天信託株式会社の信託機能を利用しています。連結子会社である一般社団法人スーパートラストホールディングス及び「資産の流動化に関する法律」に基づく特定目的会社であるスーパートラスト1乃至20は、楽天カード株式会社マンスリークリア債権の信託受益権をバックアセットにして資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)を発行する目的で設立しています。特定子会社である楽天國際商業銀行股份有限公司は、台湾において、当行が日本においてこれまで培ってきたインターネットバンキング(パソコンやスマートフォンなどインターネットを介し、銀行の取引ができるサービスをいう。以下同じ。)のノウハウを活かし、インターネットを活用した銀行業を営んでいます。非連結子会社である楽天バンクドメインサービス株式会社は、当行の旧商号である「イーバンク銀行株式会社」が保有していたドメインの管理を行う目的で設立しています。同様に、トランスバリュードメインサービス株式会社は、当行の子会社である楽天信託株式会社の旧商号である「トランスバリュー信託株式会社」が保有していたドメインの管理を行う目的で設立しています。
当行及び当行の関係会社の事業に係る位置づけは以下のとおりであり、事業の区分は「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントと同一区分です。
なお、当行グループは、銀行業以外に、信託業等の事業を営んでいますが、信託業等の全セグメントに占める割合は僅少であり、銀行業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
親会社である楽天グループ株式会社並びに同社の子会社及び関連会社(以下、「楽天グループ」という。)のうち、一部の子会社及び関連会社との主な事業上の関係は以下のとおりです。
当行は、楽天カード株式会社、楽天証券株式会社、楽天生命保険株式会社、楽天損害保険株式会社に銀行代理業務(口座開設の媒介)を委託しています。
(事業系統図)

当行は、登録金融機関業務として、楽天証券株式会社から金融商品仲介業務を受託しています。
当行は、楽天生命保険株式会社及び楽天損害保険株式会社から保険代理業を受託しています。
当行は、インターネットを活用し、個人、法人のお客さまに利便性の高いサービス、お得なサービスを、スピード感をもって提供し、「安心・安全で最も便利な銀行」を実現することを目指して事業を展開しています。具体的には、個人ビジネスにおいては、① 「生活口座として利用される銀行」、② テクノロジーを活用した時間と場所を選ばない「安心・安全で便利な銀行」を目指します。なお、「生活口座」とは、「(a)給与・賞与の受け取り、(b)電気・ガス・水道等の公共料金、携帯電話料金、クレジットカード利用代金、借入の返済等の口座振替、(c)各種支払いを行うための振込、振替、海外送金、(d)資産の運用等、個人の生活の幅広いニーズを満たすために利用される銀行口座」と定義しています。法人ビジネスにおいては、テクノロジーを使って融資、預金、為替を含めた全ての銀行サービスをお客さまのニーズに合わせて提供し、① 「取引先企業の規模に関わらず全ての取引先に利便性を提供する銀行」、② 「企業経営者のパートナーになる銀行」を目指しています。また、楽天エコシステムを活用して新規顧客を効率的に獲得し、当行の事業の成長の実現を目指します。これらの楽天エコシステムを活用した事業展開を通じて、お客さまの楽天グループのサービスに対する信頼を高め、結果としてお客さまの当行サービスに対する粘着性の向上に繋げます。さらには、インターネットの有効利用や役職員の革新的なアイデアの活用により事業の低コスト運営を徹底し、低コスト運営により得られたコスト削減分の一部をお客さまにポイントやキャッシュバック等で還元することにより、お客さまにとってお得なサービスを実現します。
当行が上記の方針に基づき、継続的なサービスの利便性向上、価格競争力の向上を実現したことがお客さまに評価されたと考えられ、それに加え、社会のデジタルシフトを背景に「時間と場所を選ばずに銀行取引が可能なスマートフォンアプリ等を活用したインターネットバンキング需要」が高まったことにより、当行の口座数・預金量は着実に増加してきました。昨今では、新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う外出自粛・リモートワークの促進等により、インターネットバンキングの利便性に関する認知度がさらに向上し、当行のサービスの利便性、価格競争力に対する評価が一層高まった結果、当行の顧客基盤は大きく拡大したと考えています。その結果、当行は、口座数1,373万口座、預金量9.1兆円と、日本のインターネット銀行業界において最大の顧客基盤(2023年3月末現在、住信SBIネット銀行株式会社、PayPay銀行株式会社、auじぶん銀行株式会社、ソニー銀行株式会社、株式会社大和ネクスト銀行、オリックス銀行株式会社、GMOあおぞらネット銀行株式会社、株式会社みんなの銀行、株式会社UI銀行の開示情報に基づく当行調べ)を有しています。こうした顧客基盤の拡充を背景として、以下のとおり、当行の業績は向上しています。
(単位:百万円、千口座)
日本における社会のデジタルシフトはまだ緒に就いたばかりであり、今後、日本社会のデジタルシフトは加速し、インターネットバンキングに対する個人、法人のお客さまのニーズは拡大すると期待されるため、当行は、サービスの利便性と価格競争力で、これらのインターネットバンキングに対するお客さまニーズの増加を確実に捕捉し、更なる口座数・預金量の伸長による顧客基盤の拡充を実現し、持続的な事業の成長を図ります。
(事業の特徴)
当行は、物理的な支店を持たず、自前のATMも保有せずにインターネットで銀行サービスを提供するインターネット銀行であり、従来の銀行と比較して、比較的低コストでの事業運営が可能です。銀行業においては、費用に占める固定費の割合が高いため、インターネット銀行がビジネスモデル上コスト競争力があるとはいえ、一定の事業規模に到達するまでは、その競争力を発揮するには至りません。当行は、インターネット銀行のビジネスモデル上のコスト競争力を享受できる事業規模を既に超えていると考えており、今後の事業拡大により、当行のコスト競争力はさらに強化されるものと見込んでいます。
また、当行は、従来、楽天エコシステムとのシナジーを追求し、楽天グループのお客さま(以下、「楽天会員」という。)に対して当行サービスの利便性と価格競争力を訴求することにより顧客基盤を拡充してきました。楽天会員を中心としたユーザーに対し、様々なサービスを提供するビジネスモデルである楽天エコシステムは、楽天グループが保有するメンバーシップ、データ及びブランドを結集したビジネス展開により拡大し、国内外の会員がEC、フィンテック、デジタルコンテンツ、携帯キャリア事業等の複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果を創出し、グループ収益の最大化を目指すものです。当行は、楽天エコシステムとのシナジーを追求し、楽天グループの1億超ID(2023年3月現在)の強固な顧客基盤を活用した新規顧客獲得及び当行へのロイヤルティを高める施策を推進しており、楽天グループ株式会社とのポイントプログラムの提携等、楽天証券株式会社との口座連携(マネーブリッジ)、銀行代理業の委託、金融商品仲介業務等、楽天カード株式会社、楽天生命保険株式会社、楽天損害保険株式会社への銀行代理業の委託等、楽天グループ株式会社及びその他の楽天グループ各社との間で様々な提携を行っています。また、楽天グループのサービスと組み合わせた銀行サービスを提供することによる付加価値をお客さまに提供できていると考えており、この付加価値がお客さまの当行及び楽天グループへのロイヤルティをさらに高める効果をもたらしていると考えています。
このように、お客さまの当行へのロイヤルティを高めるインセンティブ施策の一つとして当行の自律的判断に基づき楽天ポイントを活用していることや、ブランドや知名度、楽天グループ各社との顧客相互送客等を通じた楽天エコシステムの活用により他のインターネット銀行とは異なる利便性や価格競争力をお客さまに提供していることが当行の効率的な新規顧客獲得、及びお客さまのリテンションに寄与していると考えており、今後は、引き続き楽天エコシステムとのシナジーを強化していきますが、他方、当行の知名度アップに伴い、楽天グループ外のチャネルで当行のサービスの利便性を訴求することによる新規顧客獲得がさらに増えると考えています。
当行が提供しているサービスの特徴は、主要行や地域金融機関が提供してきた銀行サービスをインターネットを活用して利便性を高め、低コストで提供することに加え、当該金融機関等が提供してこなかった周辺サービスも幅広く提供し、従来の銀行サービスを超えるフィンテックサービス全般を提供していることです。当行は、従来の銀行サービスを超えたフィンテックサービスを提供することにより、お客さまの多様な金融サービスニーズを漏れなく取り込むことを目指しています。
お客さまの多様な金融サービスを漏れなく取り込むためには、まず、お客さまの生活に密着する支払いを取り込むべく、お客さまに複数の利便性の高い支払方法の選択肢を提示することが重要であると考えています。具体的には、個人の生活において必要な電気・ガス・水道・携帯電話・クレジットカード・税金等の支払ニーズに対して、口座振替、「楽天銀行コンビニ支払サービス(コンビニ払込票に記載してあるバーコードを楽天銀行アプリで読み込むことにより、コンビニに行かずにいつでもどこでも楽天銀行口座から支払いができるアプリ決済サービス)」、「ペイジー(日本マルチペイメントネットワークが提供するインターネットを使った支払サービス)」といった多様な利便性の高い決済サービスをお客さまに提供しています。また、これらの支払サービスの提携先を順次拡大し、お客さまの利便性の向上に努めています。また、お客さまの資金受取ニーズに対しても、給与をはじめとして、国民年金・厚生年金、国税還付金等を受け取るためのサービスをお客さまに提供するのみならず、これらの資金の受け取りを行ったお客さまに各種優遇を提供することとしています。さらには、外貨預金、振込、宝くじ、海外送金等、利便性に優れた幅広いサービス提供することにより、個人のお客さまの生活口座としてご利用いただくことを推進しています。こうした取組が功を奏し、2023年3月期における決済件数は、約724百万件(前年比13.3%増)となっています。
また、今後、キャッシュレス社会がさらに進展し、いずれはゼロキャッシュ社会が到来する可能性もあると考えています。当行は、いち早く当行口座を活用したキャッシュレスペイメントに対応し、利用金額の1%のポイントをお客さまに還元し、Visa・Master・JCBの3ブランドに対応している「デビットカード」、当行口座からオートチャージができ、バリューチャージ金額に応じてプレミアムバリューが付与され、JCBの加盟店で利用可能な「プリペイドカード」、及び全国のコンビニ・ドラッグストア等で利用可能な「楽天ペイ」の利用の際の「当行口座からのチャージ不要のダイレクト払い」をお客さまに提供しています。今後、「楽天ペイ」を運営する楽天ペイメント株式会社との協業を更に進めることを企図して、2022年7月に楽天ペイメント株式会社の株式を5%取得しています。当行は、銀行業界において、最も幅広い銀行口座からのキャッシュレスペイメント手段を提供している銀行の1つであると考えており、今後のゼロキャッシュ社会に向けた動きの中で、決済情報等の独自データを活用し、お客さま毎にカスタマイズしたサービスを提供することで、当行はこの優位性をさらに強化していきます。
また、アプリとFacebookを連携させることにより、Facebookの友達に銀行口座情報を入力することなく送金できる「Facebookで送金」、受取人のメールアドレスと名前だけで振込が可能な「かんたん振込(メルマネ)」といったユニークなフィンテックサービスも提供しています。
さらには、当行がオープンプラットフォーム戦略の一環として推進している地域金融機関及び事業会社(以下、「提携企業」という。)に対するBaaS(Banking as a Service)の提供においても、当行は、前述のとおり他行比システムコストの優位性があると認識しており、かつ自行において幅広いサービスを1つのアプリで提供することを実現していることから、BaaSにおいても優位性を発揮できると考えています。当行が推進しているBaaSは、当行において提携企業の専用支店を設置し、提携企業は、当行の銀行代理業者として当行の専用支店の口座開設の媒介を行い、提携企業の顧客が当行の専用支店に口座を開設して、当行のインターネットバンキングサービスを利用するスキームです。専用支店では、当行が一般顧客に提供するサービスから提携企業が選択したサービスのみを提供し、提携企業が地域金融機関の場合には、当行口座と当該地域金融機関のお客さま口座の連携を実現するためにオープンAPIの技術を活用しています。具体的には、2019年11月に株式会社大垣共立銀行、2021年12月に株式会社西日本シティ銀行、2023年1月に第一生命保険株式会社の顧客に対するインターネットバンキングサービスの提供を開始しました。加えて、2022年12月には東日本旅客鉄道株式会社と株式会社ビューカードが検討している新たなデジタル金融サービス「JRE BANK」の提供に向けて合意しました。当行はBaaSを通じて、自社のお客さまに銀行サービスを提供したい提携企業が有するアセットやノウハウと、当行が有する金融サービスに関するノウハウを、当行の柔軟なシステム開発能力を活用して融合し、お客さまに銀行単体では提供できないユーザー体験を創出することにより、ユニークかつ競争力のあるフィンテックサービスを実現することを目指しています。
法人ビジネスにおいても、当行がシステムを自行で開発、運用、保守する体制を採っていることが、大きな効果を発揮していると考えています。当行は、法人のお客さまに対して、競争力のある価格で一般的な銀行サービスを提供するとともに、多様かつユニークな国内外への支払サービス、資金受取サービス、資金集中サービス等を提供しています。さらにはシステムの柔軟な開発能力を活用して、法人のお客さま毎のニーズに合わせてサービスをカスタマイズすることも行っています。また、当行は、インターネット銀行ではあるものの、法人のお客さまへの営業においては、インターネットマーケティングと対面アプローチのハイブリッドの営業手法を採っており、お客さまの経営方針や金融サービスニーズの詳細なヒアリングに基づき、多様なサービスの中からお客さまに最適なものを提案し、必要があればカスタマイズ提案も行い、お客さまのニーズに沿った法人向けインターネットバンキングサービスを提供しています。
こうした取組が功を奏しており、2023年3月期において、手数料収益等で構成される非金利収益は、経常収益の40%超を占めています。なお、非金利収益は、損益計算書における役務取引等収益及びその他業務収益に計上しています。
当行の現在の主たる収益源は個人ビジネスですが、その中でも、幅広い個人向けローン商品を提供していることが、当行の競争力の源泉となっていると考えています。物理的な支店を持たず、インターネットを活用して全国のお客さまにサービスを提供しており、地域を限定せずに、住宅ローン、カードローン、教育ローン、トラベルローン、英会話ローン、不動産担保ローン、投資用マンションローン、リバースモーゲージ等、お客さまのライフステージやライフスタイルの変化に応じた多様なニーズに応え得る幅広いローン商品を備えています。この充実した商品ラインナップをベースに、楽天グループで培ってきたインターネットマーケティングのノウハウ等をフルに活用することにより、顧客ニーズに合わせたローンの提案を行い、ローンビジネスを拡大してきたと自負しています。その結果、2023年3月末現在において、個人向けローン残高は1兆7,110億円となっており、当行の運用資産の25%を占めています。
当行の資金運用面では、上記個人向けローンに加えて、各種資産の証券化ノウハウ、当行及び楽天グループが保有するデータ等を活用して、自ら運用資産を創出し、運用収益を拡大しています。具体的には、企業の保有する金銭債権や不動産等を当行独自で証券化のアレンジを行い、当行の子会社である楽天信託株式会社で信託受託して証券化による倒産隔離を実現し、証券化された資産を当行が投資家として購入することにより、お客さまにワンストップの証券化サービスを提供しています。当行グループ内で完結するワンストップの証券化サービスは、スピード、コスト面において競争力があると自負しており、楽天カード株式会社のクレジットカード債権や楽天モバイル株式会社の通信料債権及び端末割賦債権の金銭債権等を証券化するのみならず、楽天グループ外の企業が保有する各種資産の証券化も幅広く手掛けており、当行の運用資産の多様化に大きく寄与しているものと考えています。また、この証券化による運用資産の創出の一環として、太陽光発電プロジェクト等の事業リスクの証券化にも取り組んでおり、当行の運用の拡大に貢献しています。
今後も、当行の有する証券化ノウハウと、当行及び楽天グループが保有するデータを活用して、魅力的なリスク・リターンプロファイルを有する当行固有又は楽天グループ独自の資産を中心に運用資産を積極的に積み増し、当行の収益力をさらに向上させることを目指しています。
当行は、法人のお客さまの資金決済・運用・借入ニーズに対して適切なソリューションを提案することを通じたお客さまとの総合取引を推進しており、その中で法人のお客さまの運転資金及び設備資金の資金需要に対する融資も手掛けています。今後、法人のお客さまの銀行サービスのデジタル化が進展し、当行の知名度アップにより幅広い法人のお客さまに当行の法人サービスが認知されることにより、当行の法人融資が、中期的に当行の運用資産の柱の1つに成長することを期待し、その実現に向けて取り組んでいます。
当行は、行員がシステムの開発、運用、保守をコントロールする体制を構築しています。この自行によるシステムの開発、運用、保守体制により、当行は、システムコストにおいて、他行比高い競争力を有していると考えています。また、自行による開発、運用、保守体制により柔軟かつスピード感のあるシステム開発が可能となり、現在のインターネット銀行サービスの競争の主戦場であるスマートフォンアプリにおいて、1つのアプリでほぼ全てのサービスを、わかり易く、使い易いユーザーインターフェースで提供することを実現していると自負しています。また、技術革新の早いインターネット業界においては、常に最先端の技術に対する情報収集が必要であり、世界的にインターネット事業を展開する楽天グループに属する当行は、楽天グループのインターネットに関するテクノロジーを享受できる立場にあり、この点も当行の優位性に繋がっていると考えています。
当行が楽天グループに属していることは、楽天グループで蓄積されたAIの活用ノウハウを享受できるという面でも当行の競争力を高めていると考えています。当行及び楽天グループが保有するデータとAIを有効活用することにより、当行の各種サービスの潜在顧客を特定し、顧客毎にサービスを利用する可能性が最も高いタイミングでサービスの提案を行い、当行の収益向上を実現していると考えています。また、ローンの審査モデルの構築や審査精度向上にもAIを活用し、貸倒コストをコントロールしつつローン収益を拡大しています。併せて、AIを業務の効率化目的にも積極活用しており、当行の低コスト運営を継続的に強化しています。さらに、当行の顧客に対する広告ビジネスにおいても、AIの有効活用により、精度の高いターゲティングが可能であり、広告のクライアントのニーズに的確に応えることができると考えていることから、今後、広告ビジネスを強化していく方針です。
当行は、楽天エコシステムとのシナジーを追求し、楽天グループの1億超ID(2023年3月現在)の強固な顧客基盤を活用して、今後も継続的に新規顧客の獲得を目指していきます。楽天会員は、楽天のサービスに対するロイヤルティが高く、その信頼の上に当行の銀行サービスが位置付けられることにより、短期間で大量の新規顧客獲得を実現してきました。2022年度における新規口座開設の約65%が楽天グループ経由での申込となっており、顧客獲得コストの抑制に寄与していると認識しています。また、楽天グループのサービスと組み合わせた銀行サービスをお客さまに提供することにより、他の銀行にはない価値をお客さまに提供しており、この価値がお客さまの当行及び楽天グループへのロイヤルティをさらに高める効果をもたらしていると考えています。さらには、当行は、お客さまの当行サービスの利用や預金残高に基づきお客さまに楽天ポイントを付与する顧客優遇プログラム「ハッピープログラム」も提供しています。楽天ポイントは、当行の振込手数料に充当できるほか、楽天グループが提供する様々なサービスの利用代金の支払いや、コンビニ等のリアル店舗での支払いにも利用できるため、「ハッピープログラム」は、お客さまのリテンションに大きく寄与していると考えています。
2023年3月31日現在
(注) 1.有価証券報告書の提出会社です。
2.特定子会社です。
3.資本金は、百万円未満(外貨建てのものは表示単位未満)を切り捨て表示しています。
4.「当行との関係内容」の「役員の兼任等」欄は、当行の役職員が関係会社の役員を兼任している人数です。( )内は、当行の役員が関係会社の役員を兼任している人数です。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は正社員、嘱託、契約社員及び出向者の人数を記載しており、当行から当行グループ外への出向者は除いています。
2.臨時従業員数(パート社員及び派遣社員を含む。)は、年間の平均人数を( )外数で記載しています。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は正社員、嘱託、契約社員及び出向者の人数を記載しており、当行から他社への出向者は除いています。
2.臨時従業員数(パート社員及び派遣社員を含む。)は、年間の平均人数を( )外数で記載しています。
3.年間平均給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
4.当行は、銀行業の単一セグメントであるため、セグメント情報との関連については記載していません。
労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しています。
提出会社
2023年3月31日現在
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働者令第25号)第71条の4第1号の規定における開示義務がないため開示を省略しています。
以下の記載における将来に関する事項は、本書提出日現在において当行グループが判断したものです。
当行グループは以下の経営方針のもと、「安心・安全で最も便利な銀行」を目指しています。
■ 当行は銀行業務の公共性に鑑み、信用を維持し、預金者保護を徹底するために、健全経営と効率経営を確保します。加えて金融の円滑化を進めるとともに、社会的インフラとしての決済機能の充実に努めます。
■ 当行は、楽天グループの一員として、グループの経営資源を最大限活用し企業価値の増大を図ると同時に当局の主要行等監督指針に則り、経営の独立性確保に充分留意します。
■ 当行は、お客さま第一の考え方を徹底し、お客さまの多様なニーズに応え、満足いただけるようなサービスを提供します。
■ 当行は、人材の育成強化を図るとともに、役職員がいきいきと仕事の出来る職場環境を整備し、働き甲斐のある職場作りを進めていきます。
また、楽天グループの一員として、イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントすることを目指します。個人及び法人のお客さまに対して、満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていくことに寄与していきます。
当行は、店舗を持たないインターネット銀行という主要行や地方銀行等とは一線を画した新しい銀行ビジネスを実践しており、営業基盤の拡大途上であることから、口座数及び預金量を営業基盤の規模を示す重要な経営指標として位置付けています。また、経常収益及び経常利益を成長性や収益性を評価する指標として位置付けています。2023年3月期末の口座数は13.7百万口座(前期比+1.4百万口座)、預金量は9.1兆円(前期比+1.3兆円)となり、また、2023年3月期の連結経常収益は120,445百万円(前期比+14,419百万円)、連結経常利益は38,746百万円(前期比+10,837百万円)となっています。今後も営業基盤の拡大及びこれに伴う事業の成長を推進してまいります。
新型コロナウイルス感染症の厳しい状況が緩和される中で世界経済は回復基調にありますが、一方で、長期化するロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格の上昇、原材料価格の高騰、インフレ率の高止まり、欧米を中心とする金融引締め等の影響により、景気減速の懸念も生じました。また、2023年3月には米国の複数の銀行が破綻したことに伴い米欧の金融システムへの警戒感が高まりましたが、米欧金融当局等の迅速な対応により金融不安の拡大が短期的には回避されました。日本経済においては、日本銀行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策が継続されることにより、円安の状況が続くなど、引き続き注意が必要な状況にありますが、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や各種政策等の効果により、個人消費や設備投資が一部回復する等、持ち直しの動きが見られています。このほか、人口減少・地域過疎化等の経済構造問題への対応も引き続き重要であることに加えて、世界的な気候変動問題への取組についての対応も求められています。
こうしたなか、昨今の銀行業界を取巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、個人の生活様式及び企業活動の変化が生じ、デジタルシフトが進展するなか、銀行取引においても、個人、企業ともにインターネットバンキングへ移行する動きが加速しており、メガバンクや有力地域金融機関は、自前のインターネットバンキングへの経営資源の投下や、フィンテック企業との提携も含めて、インターネットバンキングの強化を図る動きを加速しています。特に、為替業務等のインターネットとの親和性が高く、リアル店舗では採算性が低い業務は、インターネットバンキングへのシフトを推進しているほか、スマートフォンアプリの開発にも加速度的・積極的に経営資源を投下しています。また、インターネット銀行においては、グループ内にクレジットカード・証券・保険等の銀行以外の金融機能も取込む動きが見られ、金融機能を提供するグループ企業間のシナジーを追求する金融ホールディングス化の動きを加速させています。
さらには、デジタル技術の進展に伴う金融と非金融の垣根を越えた決済手段の多様化・キャッシュレス化の進展や異業種からの金融事業への参入が見られる等、金融・非金融の垣根を越えた競争が激化しています。
当行は、インターネットを活用し、個人、法人のお客さまに利便性の高いサービス、お得なサービスを、スピード感をもって提供し、「安心・安全で最も便利な銀行」を実現することを目指して事業を展開します。具体的には、個人ビジネスにおいては、①「生活口座として利用される銀行」、②テクノロジーを活用した時間と場所を選ばない「安心・安全で便利な銀行」を目指します。法人ビジネスにおいては、テクノロジーを使って融資、預金、為替を含めた全ての銀行サービスを顧客のニーズに合わせて提供し、①「取引先企業の規模に関わらず全ての取引先に利便性を提供する銀行」、②「企業経営者のパートナーになる銀行」を目指しています。また、楽天エコシステムを活用して新規顧客を効率的に獲得し、当行の事業の成長を実現することを目指します。これらの楽天エコシステムを活用した事業展開を通じてお客さまの楽天グループのサービスに対する信頼を高め、結果としてお客さまの当行サービスに対する粘着性の向上に繋げたいと考えています。さらには、インターネットの有効活用や役職員の革新的なアイデアの活用により事業の低コスト運営を徹底し、低コスト運営により得られたコスト削減分の一部をお客さまにポイントやキャッシュバック等で還元することにより、お客さまにとってお得なサービスを実現することを目指します。
一方、「安心・安全な銀行」としてお客さまに認知されるために、コンプライアンス、リスク管理を徹底し、最高レベルのセキュリティを実現することを目指します。但し、セキュリティの強化にあたっては、お客さまの利便性を犠牲にしないよう、セキュリティとお客さまの利便性の両立に努めます。
以上の取組を通じて、社会に対して銀行としての新たなスタンダードを提示できるような存在になることを目指し、銀行業界の更なる発展に貢献していきます。
(中長期ビジョン)
当行は、ゼロキャッシュ時代の到来を見据えたFinTechのリーディングカンパニーを目指し、更なる顧客基盤の拡充と収益基盤の強化、FinTech領域の成長取込みに向け、2022年4月28日に以下の内容の中長期ビジョンを策定し、公表しました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により急速に進展したデジタルシフトは、消費・経済活動の正常化が進む中でも進展が続いています。
当該環境下において、メガバンクや有力地域金融機関は、伝統的銀行業のDXを進めるデジタル・バンキング領域に経営資源の投下を図り、FinTech企業との提携も含めたサービス強化を図る動きが加速しています。また、インターネット銀行においては、グループ内にクレジットカード・証券・保険等の銀行以外の金融機能も取り込む動きが見られ、金融機能を提供する企業間のシナジーを追求する金融ホールディングス化の動きが加速しています。さらには、インターネット関連企業をはじめとする他業態からの金融業への参入の動きもあり、銀行取引においても今後到来することが想定されるゼロキャッシュ時代に向けて、リアルの店舗での取引からデジタル・バンキングでの取引に移行する動きが加速しています。
当行は、2000年の創業以来20年以上にわたり、インターネット上における利便性の高い金融サービスをより多くのお客さまに提供することに努めており、2022年9月には1,300万口座を突破するなど、多くの個人及び法人のお客さまに利用されています。また、楽天グループの金融機能の中心となるグループ会社のひとつとして、様々な楽天グループ内金融サービスとの連携を深耕してまいりました。このように、“第一の成長ステージ”において、当行はデジタル・バンクの先駆者として金融サービスのデジタル化を推進してきたと自負しています。
当行の基本方針としては、FinTechのリーディングカンパニーを目標として、楽天エコシステムとのシナジーを最大限に発揮することで顧客数と顧客当たりの取引機会を増やし、適切なリスクコントロールの下で業容拡大の更なる加速化を進めます。個人ビジネスにおいては、①「生活口座として利用される銀行」、②テクノロジーを活用した時間と場所を選ばない「安心・安全で便利な銀行」として従前のリアル店舗における取引をデジタル化することを目指します。法人ビジネスにおいては、データ及びテクノロジーを使って融資、預金、為替を含めた全ての銀行サービスを顧客のニーズに合わせて提供し、①「取引先企業の規模にかかわらず全ての取引先に利便性を提供する銀行」、②「企業経営者のパートナーになる銀行」を目指し、本邦金融市場におけるシェア拡大を進めます。
以下の事業環境と当行の強みを活かし、顧客獲得をさらに加速させることを目指しています。
・国内銀行業界におけるデジタルシフトの進展
・楽天エコシステムの活用(楽天ポイント、ブランドや知名度、楽天グループ各社との顧客相互送客等)によって既に実現している低い顧客獲得費用
・高度な自社システム開発・保守・運用体制に裏付けられた優れたUI/UXを持つサービスとアプリ
・効率的な低コストオペレーションを背景とした安価で顧客満足度の高いサービス
・個人・法人顧客数の拡大による貸出利息収益、手数料収益の増加
・当行の信託機能を活用した証券化資産の運用上積み
・住宅ローン、カードローン、リバースモーゲージ等に続く、プロダクトラインナップの拡充
・適切な管理に基づくミドルリスク運用資産の拡充
・楽天ペイメント株式会社との連携深化による個人口座のメイン化・生活口座化、法人口座獲得の推進による顧客基盤の更なるアクティブ化、高頻度なタッチポイントを活用したクロスセル、による成長機会の拡大
・当行と楽天グループが持つデータとAIを活用した審査・マーケティングの精度向上や銀行アプリのページビューを活用した広告ビジネス及び新規ビジネスの拡大
・BaaSプラットフォームのパートナーとの連携による新たな収益機会の創出
この目指す事業拡大の実現に向けて、「顧客基盤の拡充」、「収益力の強化(貸出利息収益と手数料収益の両輪の拡充)」、「FinTech領域の成長取込み」を三位一体とした取組を推進します。
当行グループの収益力を向上し、成長を加速するためには、口座数を増やすことは重要ですが、それにとどまらず、個人顧客が生活の中で生じる様々な金融サービスへのニーズを満たすために当行口座を利用するように誘導し、決済資金を当行口座に滞留させ、顧客あたりの取引件数、収益額を向上させることが重要です。そのため、当行グループは、楽天グループの顧客基盤等を活用して新規口座を獲得した後、顧客の給与振込及び口座振替を獲得して預金・為替の拡大を図り、続いて顧客の嗜好に合わせた他のサービスをクロスセルすることにより、顧客口座の生活口座化を推進しています。生活口座化の推進にあたっては、店舗を持たないインターネット銀行のコスト競争力に加え、当行グループのシステムの柔軟性・コスト競争力を活かし、顧客に便利でお得なサービスを提供することが肝要です。当行グループは、便利でお得なサービスの開発により一層注力して、顧客口座の生活口座化を加速し、顧客基盤の拡充を図ってまいります。なお、「生活口座化」とは、「口座保有者に対して当行口座を『生活口座』としての利用を促す取組」と定義し、「生活口座化」の進展度合いを測るために「メイン口座率」というKPIを設定しています。「メイン口座率」というKPIにおける「メイン口座」とは、「給与・賞与振込口座、又は口座振替を利用されている口座」と定義しています。2023年3月末時点のメイン口座率(単体総口座数(法人口座含む)のうちメイン口座数の割合)は31.1%となっています。また、生活口座化の進展により、2019年3月末時点では2.8兆円であった単体預金残高は、2023年3月末時点では9.1兆円となっています。
(単位:千口座、%)
現在、日本においては日本銀行によるマイナス金利政策が実施されているため、既存の運用資産を漸進的に拡大することだけでは利息収益の大きな増加は期待できません。当行は、現在、住宅ローン、カードローン、教育ローン、オートローン、不動産担保ローン、リバースモーゲージ等のローンを個人顧客向けに提供していますが、マイナス金利政策が継続することを前提にすると、ローン商品をさらに多様化し、顧客の生活シーンで必要になる様々な資金需要に漏れなく応えることにより、マイナス金利政策下においても利息収益の拡大を図ることができると考えています。また、法人顧客に対する営業体制の質的・量的強化による法人融資の増加、企業の保有する金銭債権、不動産等の証券化をアレンジすることによる証券化資産への投資の増加等も、マイナス金利政策下における利息収益の上積みに寄与するものと考えています。当行グループは、上記の施策をスピード感をもって実行し、運用資産を多様化・増加することにより、マイナス金利政策下においても利息収益の拡大を実現していきたいと考えています。
また、日本銀行がマイナス金利政策を直ちに転換する可能性は低いと考えていますが、米国、欧州等の各国中央銀行は利上げ政策に転換しており、日本にも原油、食料等に起因する物価上昇が波及していることを踏まえると、日本銀行がいずれかのタイミングでマイナス金利政策を転換する可能性があると考えています。マイナス金利政策が転換された場合、当行の運用資産の多くは短期の市場金利の上昇にスライドして利回りが上昇するため、預金金利の上昇を適切にコントロールすることにより、運用利鞘を拡大することが可能であると考えています。
なお、日本銀行は、2022年12月20日に長期金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用を見直し、10年の長期金利の変動許容幅を±0.25%から±0.5%に拡大しました。これにより、中長期の市場金利が上昇したほか、長期固定金利の住宅ローン金利が上昇する等が生じています。日本銀行の長期金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用見直しにより、当行が保有する運用資産のうち中長期金利に連動する資産の利回りの漸進的な上昇により当行の利益が増加する一方、当行の保有する固定金利の有価証券に含み損が生じる、又は含み損が拡大する可能性があります。
当行グループは、2023年3月末現在、インターネット銀行で最大の口座数、最大の預金量を有しており、現時点において、全ての顧客にサービスを提供するために十分なシステムのキャパシティを確保しています。また、犯罪、不正取引の手口分析等により将来の犯罪、不正取引の傾向を予測し、先手を打った対策により業界最高レベルのセキュリティを顧客に提供していると自負しています。しかし、顧客数は今後も増加することが見込まれるため、システムのキャパシティは、顧客の取引動向も踏まえて計画的に拡充していくことが必要です。また、セキュリティについても、犯罪、不正取引の手口が時間の経過とともに変化するため、当行グループが適時に適切にセキュリティを改善し続けなければ、顧客をリスクに晒す結果になることも否定できません。当行としては、システムのキャパシティの拡充、セキュリティの確保に十分な経営資源を継続的に投下し、全行的な推進体制を構築することにより、常に十分なシステムのキャパシティを確保し、業界最高レベルのセキュリティを提供し続けることを目指します。
いかなる企業においても、コーポレート・ガバナンスの強化は、最重要経営課題の1つであり、当行グループにおいても、常にコーポレート・ガバナンスの充実に取り組む必要があります。特に、当行グループは、銀行業を営んでいるため、高いコーポレート・ガバナンスが求められます。当行グループは、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる業務運営体制、経営執行の公正性及び透明性を確保する経営監視機能の強化に努め、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ってまいります。また、当行グループは、今後も業容を拡大する見込みであるため、業容に応じたリスク管理態勢、コンプライアンス態勢の構築が不可欠です。リスク管理態勢、コンプライアンス態勢の継続的な向上を当行の最優先経営課題として位置づけ、全役職員が自らのこととして取り組むことにより、役職員ひとりひとりが銀行としての公共的使命を自覚し、行動する企業風土の更なるレベルアップを図ってまいります。
当行は、中長期ビジョンを達成するための“第二の成長ステージ”としての成長戦略の1つとして、個人・法人顧客数の拡大による貸出利息収益の増加や運用資産の拡充を掲げています。今後とも顧客基盤を拡充して事業拡大を図り、当行の優位性をより確固たるものにするためには、運用資産の更なる多様化、運用資産の積み上げの加速が不可欠であり、そのためには自己資本の継続的な充実が必要であると考えています。当行の2023年3月末時点における「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)」に定められた算式に基づき算出された連結自己資本比率は11.21%となっており、短期的に自己資本の充実に取り組まなければならない状況にはなく、自己資本の充実は現時点で優先的に対処すべき課題ではありませんが、今後の中長期的な運用資産の積み上げを展望すると、今次の公募増資により自己資本を充実させるとともに、毎期、確実に利益を蓄積して自己資本の一層の充実を図ることが必要であると考えています。
経営に係る各種リスクを適切に認識・管理するための枠組みとして、当行グループは取締役会にて決議された「統合的リスク管理基本規程」のもと、全社的なリスク管理方針、各種リスク管理方針及びリスク管理組織・体制を定めています。また、リスクに関する経営会議の事前協議機関として「リスク管理委員会」を設置し、全社的なリスク管理統制部署としてリスク管理本部を設置するとともに、各種リスクの管理統制部署を設置することで、適切なリスク管理を実践しています。以下の「(1) 経営環境に関するリスク」、「(2) 楽天グループとの関係に係るリスク」及び「(3) 当行グループの事業に関するリスク」で記載されている各リスクのうち、当行グループにおいて、影響度や蓋然性の観点から、経営上特に重要なリスク事象について、リスク管理委員会及び経営会議等での議論を踏まえて、経営者が「トップリスク」を以下のとおり認識しています。この「トップリスク」に対して、予め必要な措置を講じて、可能な範囲でリスクをコントロールするための未然防止策を策定・実施し、当該リスクの適切なコントロール及びガバナンスの強化に活用しています。
主要なトップリスク
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、上記の「トップリスク」に関する分析を踏まえ、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。
以下に記載する事項のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当行グループが予想したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
当行グループは、日本と台湾において銀行業を営んでおり、当行グループの業績は国内の景気動向とともに、海外の経済動向、社会情勢及び地政学的リスク等の影響を受けます。各国の中央銀行の金融政策の変更により国内外の金利が低下した場合、資金運用に係る収益が低下する可能性があります。また、当行は、お客さまの給与振込、口座振替を獲得する等、生活に密着する資金の受取りや支払いを取り込むことにより当行口座をお客さまの生活口座としてご利用いただくことを推進し、併せて外貨預金、振込、海外送金等の利便性に優れた幅広いサービスをお客さまに提供することにより手数料収入の拡大を図っていますが、経済活動の低迷による企業活動の停滞及び個人消費の低迷等により、当行サービスの利用が減少した場合には、想定よりもお客さまの生活口座化が進まず、また、手数料収入が低下する等の理由により当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明であるものの、ワクチンの普及等により感染拡大リスクは後退しつつあり、世界経済全体も回復基調にありますが、新たな変異株の出現・流行の可能性が残存しています。今後も国内外の感染状況やこれに伴う経済動向に注視し、適切なリスク管理を実施する方針ですが、想定以上の感染拡大等により経済状況がさらに悪化した場合や景気の低迷が長期化した場合等には、資金需要の減退に伴う減収、与信関連費用の増加、保有有価証券等の評価損等により、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
また、当行グループでは、銀行サービスが社会インフラであるとの認識の下、感染拡大防止に取り組みつつ、銀行に求められる決済・預金・貸出業務の提供をいかなる状況においても継続するという社会的責任を果たすため各種感染防止対策を実施しており、今後も流行状況に応じて、既存の業務継続体制をベースに、オフィスにおけるパーティションの設置、同一部署の社員の勤務場所の分離、交代勤務の実施、テレワークの拡大等の感染防止の取組を行ってまいりますが、役職員に新型コロナウイルス感染症が流行するといった事態が生じた場合、事業継続に支障が生じる可能性があります。
当行グループは、インターネットを活用した銀行業を営んでいますが、国内には当行以外にもインターネットバンキングを中心として銀行業を営む金融機関が一定数存在するほか、資金・人員面でより優位な他の金融機関においても経営資源をインターネットバンキングに投下する動きが見られ、今後、インターネットバンキングにおける金融機関の競争がさらに激化する可能性があります。また、当行は、主にインターネットを通じてお客さまに銀行サービスを提供していますが、伝統的な対面での銀行サービスの提供を好むお客さまも存在することから、顧客獲得等の面において実店舗を有する金融機関との競争が激化する可能性があります。
加えて、他業種による銀行業への参入や他業種による金融サービスの提供の動きが見られるほか、楽天グループ内でもキャッシュレスペイメント分野で潜在的な競合の可能性がある等、他業種との競争が激化する可能性があります。当行グループは、競合となり得る金融機関や他業種の動向を注視しつつ、引き続き顧客ニーズに合致したサービスの提供を行う方針ですが、これらの取組が期待通りの成果を上げられず、当行サービスが競争力を失った場合には、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。また、当行は楽天ブランド、楽天ポイントの活用及び楽天グループ各社との顧客相互送客等を通じた楽天エコシステムの活用により他のインターネット銀行に比して優れた利便性や価格競争力のあるサービスをお客さまに提供していると考えており、引き続き楽天エコシステムとのシナジーを強化して新規顧客獲得及びお客さまのリテンションを推進しますが、楽天エコシステムや楽天ポイントが他社グループとの競合の中で競争力を失い、その影響として当行サービスも競争力を失った場合には、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループが営むインターネットを活用した銀行業は、技術の進歩や変化が著しく、頻繁に新しい技術を活用したサービスが導入されています。当行は常に最新の技術動向及び市場動向の調査、技術的優位性の高いサービスの導入、既存システムの改良等の検討を通して、競争力を維持するための施策を講じています。しかしながら、何らかの要因により、当該変化等への対応が遅延した場合には、サービスの陳腐化、競争力の低下等が生じる可能性があります。また、変化等への対応が可能な場合であっても、お客さまのキャッシュレスペイメントの普及が想定どおり進まない可能性や、既存システムの改良、新システムの開発等による費用の増加等が発生する可能性があり、これらの動向及びその対応の巧拙により、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。また、当行グループの事業運営の障害となり得る技術が開発される可能性もあり、このような技術が広く一般に普及した場合には、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行は、楽天グループ株式会社(東証プライム上場企業)の連結子会社であり、当行の新規上場に伴う新株発行及び株式売出しの後においても、同社は当行議決権の過半数を保有しています。当行は、意思決定の透明性・公正性を確保するため、取締役の過半数を独立社外取締役としているほか、独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役及び社外監査役をいいます。)から構成される特別監視委員会を設置し、楽天グループ株式会社からのグループ事業戦略上の要請に基づく経営方針の決定や当行グループと楽天グループの相互に関連する人事案件及び楽天グループ株式会社との経営基本契約の締結や非独占的ブランドライセンス契約の締結をはじめとする楽天グループとの取引及び行為の実行に際して、少数株主保護の観点等から取引の必要性及び取引条件の妥当性等を検証し、同委員会に事前に諮問又は事後に報告をしなければならないこととしています。また、当行は、楽天グループ株式会社と経営基本契約を締結し、同契約において楽天グループ株式会社と当行の株主との間に利益相反リスクがあることを踏まえ、上場子会社として求められる独立性を尊重する旨を定めています。しかし、株主総会決議が必要となる取締役及び監査役の選任・解任、定款の変更、当行の重要な方針の決定等においては、同社が当行グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、経営基本契約において、楽天グループ株式会社は、当行が楽天グループ以外からの取締役の登用を積極的に行う等、ガバナンスに対する適切なチェックが働く体制とすることを尊重するとともに、従業員に対する当行の人事権を尊重する旨を定めています。また、同契約において楽天グループ株式会社に対する事前承認、事前協議事項は規定しておらず、当行から楽天グループ株式会社に対する報告については、同契約に基づき必要かつ法令等に抵触しない範囲で行っています。また、同契約において、楽天グループ株式会社は、当行の業況が悪化した場合には当行の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な措置を講じ、楽天グループ株式会社の業況が悪化した場合には、同社が当行に対して資本出資、融資等の支援を要請しない旨を規定しています。
なお、当行と楽天グループ株式会社及びその他の関係会社との主な関係等の詳細については、以下「②役員の兼任について」から「⑦楽天グループとの取引関係について」のとおりです。
当行の取締役のうち、三木谷浩史氏は、楽天グループ株式会社及びその主要な子会社の役員を兼任しています。当行の上場後の更なる成長を企図すると、楽天グループとのシナジーを追求することに加えて、楽天グループ外の顧客とのビジネスの更なる拡大を実現することが重要であると考えています。三木谷氏は株式会社日本興業銀行出身であると共に当行取締役の経験があり銀行ビジネスに対する知見が深く、さらに楽天グループ株式会社代表取締役会長、楽天カード株式会社の取締役会長及び楽天モバイル株式会社代表取締役会長を兼任する等、楽天グループ全体のビジネスを横断的に把握していることに加え、楽天グループ外の顧客とのビジネスの強化にあたっては、同氏は一般社団法人新経済連盟の代表理事を務める等、日本に留まらず海外にも幅広い人脈があることから、これらの豊富な実績、経験及び幅広い人脈が、楽天グループと当行の更なるシナジーの追求及び楽天グループ外における当行の事業基盤拡充に資すると考え、招聘したものです。なお、三木谷氏の就任は当行グループと楽天グループの相互に関連する人事案件に該当するため、予め特別監視委員会に諮問し、出席委員全員より異議がない旨の意見表明を受けています。
楽天グループ株式会社では、業務の効率性、事業上の必要性、人材育成及び各職員の将来像を踏まえたキャリアパス形成の観点から、積極的なグループ内での人材交流が行われており、当行においても楽天グループ株式会社を含めた楽天グループ内他社から出向社員を受け入れています。2023年3月31日時点で楽天グループ内の他社から当行へ出向している社員は92名となっています。当行全体に占める受入出向者の割合は1割程度となっており、受入出向者に依存した状況ではないと考えています。
なお、業務分掌を受けた組織体の責任者であるライン長(各組織体における組織長)以上の人事については、親会社からの独立性及び経営の安定性の観点から、出向関係を解消し転籍した者としており、今後も、継続的に出向関係のモニタリングを行い、出向期間は当行主導で決定できるようにする方針です。当行から楽天グループ内の他社への出向については、当行の事業上必要と判断するもののみ実施しており、その範囲において、今後も継続する方針です。
当行は、楽天グループ株式会社と経営基本契約を締結し、これに基づき、非独占的ブランドライセンス契約を締結して、「楽天」のブランド利用等を行っています。これに伴い、楽天グループ株式会社に対して、ブランドライセンス料を支払っています。
当行が、楽天グループ株式会社の子会社・関連会社等でなくなる等の理由により非独占的ブランドライセンス契約の終了、解除又は変更がなされた場合には、「楽天」等のブランド利用等ができない、又は利用が制限される可能性等があり、この場合には、楽天エコシステムからの顧客獲得の減少や、当行が提供するサービスの知名度の低下、サービス利用の低迷による収益の低下等により、当行グループの業務、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
また、楽天グループ株式会社、その他の楽天グループ各社、又は当行グループにおいて、行政処分等に伴うマイナスイメージが生じた場合、商品やサービス等に対する不信感や不祥事等が生じた場合、必ずしも正確な情報に基づかない、又は憶測に基づいた報道や情報の流布がなされた場合等には、楽天グループ全体のブランドに影響が生じ、利用者の離反による収益の低下等により、当行グループの業務、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行は、楽天エコシステムとのシナジーを追求し、楽天グループの1億超ID(2023年3月現在)の強固な顧客基盤を活用した新規顧客獲得及び当行へのロイヤルティを高める施策を推進しており、楽天グループ株式会社とのポイントプログラムの提携等、楽天証券株式会社との口座連携(マネーブリッジ)、銀行代理業の委託、金融商品仲介業務等、楽天カード株式会社、楽天生命保険株式会社、楽天損害保険株式会社への銀行代理業の委託等、楽天グループ株式会社及びその他の楽天グループ各社との間で様々な提携を行っています。主な提携内容は以下「イ.楽天グループ経由の口座開設申込み」から「ハ.楽天ポイント」のとおりです。
2023年3月期における当行新規口座開設の約65%が、楽天グループ各社のホームページ・アプリ上に掲載している当行口座開設バナー広告経由での申込となっています。当行としては、楽天エコシステムを回遊する楽天会員は楽天グループが提供するサービスを利用していることから、口座開設後に稼働する可能性が高く、従って稼働顧客当たりの獲得費用を抑制可能であることから、楽天エコシステムを回遊する楽天会員からの口座開設申込獲得に戦略的に注力してまいりました。今後は、引き続き楽天グループ経由の口座開設申込の獲得に注力することに加え、当行の知名度向上による楽天グループ外チャネルからの口座開設申込の獲得、当行法人顧客の従業員の口座獲得等を拡大していくことを目指しており、結果として、楽天グループ外チャネルからの口座開設申込獲得の割合が漸進的に増加していくと考えています。
しかし、当行が、楽天グループ株式会社の子会社・関連会社等でなくなった場合には、楽天グループ内での広告活動の条件が変更され、又はこれまでと同様の広告活動ができなくなる可能性があり、その結果稼働顧客当たりの獲得費用を抑制し続けることが困難になる等、当行グループの業務、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
2023年3月期末における当行個人預金残高の約80%が、楽天証券株式会社との口座連携プログラムであるマネーブリッジ連携口座の預金残高となっています。マネーブリッジ連携口座については、入出金の利便性の高さから多くのお客さまにご利用いただいており、マネーブリッジの普通預金の優遇金利についても、お客さまの支持をいただいていると認識しています。今後は、お客さまの多様なニーズに応えるために普通預金のマネーブリッジ以外の金利優遇施策を順次拡充していくことを検討しており、当行の業容拡大に伴い、マネーブリッジの優遇金利のみを目的とする預金の割合は、漸進的に低下していくものと考えています。なお、マネーブリッジ連携口座の預金残高のうち楽天証券株式会社の証券投資に利用されない資金は、お客さまの日常生活のニーズ等のために利用されており、マネーブリッジ連携口座の預金残高の多くはお客さまの日常生活のニーズ等に充当されています。
当行が、楽天グループ株式会社の子会社・関連会社等でなくなった場合には、当該連携の条件が変更され、又は継続できなくなる等、これまでと同様のメリットを享受できなくなる可能性があります。このような場合には、当行グループの業務、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行は、お客さまの当行サービスの利用や預金残高に応じてお客さまに楽天ポイントを付与する顧客優遇プログラム「ハッピープログラム」、デビットカードの利用額の一定割合をポイントでお客さまに還元するプログラム、当行の定める期間中に一定の条件を達成されたお客さまに対してポイントを進呈するキャンペーン・プログラム等、各種キャンペーンやプログラムを通じてお客さまに楽天ポイントを付与しています。また、楽天グループ株式会社のポイントプログラムであるスーパーポイントアッププログラム(以下、「SPU」という。)に参画しており、①当行口座を給与受取口座とする、②楽天市場での購買時に当行口座を口座振替口座として設定している楽天カードで決済する、という条件を満たすと楽天市場で獲得できる楽天ポイントが増加する特典をお客さまに提供しています。これらの顧客に付与する楽天ポイントに係る費用は、当行が全額負担しています。また、顧客に付与する楽天ポイントの経理処理について、顧客との取引金額や件数に直接連動して顧客に付与する楽天ポイントは、同取引の収益認識時点で楽天ポイント費用を収益より減額しています。それ以外のポイント費用については、費用発生時点において販売促進費として計上しています。なお、顧客が当行サービス利用時にサービス手数料等の全部又は一部に充当する楽天ポイントについては、当行は、利用ポイント相当額を楽天グループ株式会社に対して請求するため、当行に費用負担は生じません。また、当行は楽天ポイントに係るシステム等を利用するために楽天グループ株式会社との間で「グループコアアセットの利用等に関する契約」を締結しており、同契約に基づき、①当行の顧客に対する楽天ポイントの付与、②顧客の当行サービス利用時におけるサービス手数料等への楽天ポイントの充当に際して、ポイントシステム利用料(「⑦ 楽天グループとの取引関係について」内に記載のポイントシステム利用料)を楽天グループ株式会社に対して支払っています。
当行が、楽天グループ株式会社の子会社・関連会社等でなくなった場合には、当該プログラムの条件が変更され、又は継続できなくなる可能性があります。かかる場合には、当該ポイント特典と同等の経済価値相当のキャッシュバック等で代替することも考えられますが、当該代替策の効果が楽天ポイント特典の効果を下回った場合、当行グループの業務、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。また、楽天ポイント特典により得られる効果については、一定の条件のもと、楽天ポイントの活用から得られた利益と、当該活用に係る費用とを比較することにより定期的に検証し、その結果を特別監視委員会に報告することとしているため、その可能性は限定的ではあるものの、楽天ポイント特典により得られる効果が楽天ポイント特典の提供に要する費用を下回った場合、当行グループの業務、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行は、楽天カード株式会社のクレジットカード債権、楽天モバイル株式会社の通信料債権等の楽天グループ内の金銭債権を裏付資産とする信託受益権を購入しています。2023年3月期末における当該信託受益権残高合計は1兆9,115億19百万円となっています。当行は、個人向けのローンを拡充し、法人融資を拡大し、投資先の信用力とスプレッドを勘案して国債・政府保証債、事業債、外国債券等への投資を増加させる等、運用手段の多様化を進めていますが、当行が楽天グループ株式会社の子会社・関連会社等でなくなった場合、当行がグループ各社の金銭債権を証券化する機会が減少する、又は当該金銭債権を裏付けとする信託受益権の購入に係る取引条件が悪化する等の可能性があり、当行グループの業務、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループでは、楽天グループ内の各社と取引を行っています。当行グループの独立性の観点を踏まえ、楽天グループ株式会社との経営基本契約の締結や非独占的ブランドライセンス契約の締結をはじめとする楽天グループとの取引及び行為の実行に際しては、当該取引の事業上の必要性と取引条件の妥当性等の取引内容について特別監視委員会に事前に諮問又は事後に報告し、社内規程に定められた決裁権限に則った手続きを経ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を築いています。
2022年3月期及び2023年3月期における当行と楽天グループとの主な取引内容は以下のとおりです。
(当行と楽天グループ株式会社との取引)
(注) 2023年3月期において経営指導料の支払いが発生していますが、これは、2022年3月分の経営指導料の概算計上額と確定額の差額を2022年4月に支払っているものです。
(当行と楽天カード株式会社との取引)
(当行と楽天証券株式会社との取引)
(当行と楽天生命保険株式会社との取引)
(当行と競馬モール株式会社との取引)
当行は、顧客基盤の拡充により業容を拡大し、その顧客基盤を活用して手数料収益及び利息収益の増加を図っています。しかしながら、以下の要因により、当行グループの業務、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
イ.当行は、口座数及び預金量を重要な経営指標と位置づけており、今後も当行サービスの利便性と価格競争力を訴求することにより顧客基盤の拡充に努めてまいりますが、他のインターネット銀行との競争の結果として当行サービスが競争力を失ったことによりこの経営指標の伸びが減速・低迷した場合、当行グループの業務、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。また、インターネットバンキングをスマートフォンアプリにて取引する顧客が増加しており、当行は今後も顧客ニーズに応えるためにスマートフォンアプリの利便性・機能向上に努めてまいりますが、この顧客ニーズに適切に対応できない場合には、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
ロ.当行は、独自の店舗・ATM網を有しておらず、そのためATMの利用に係る契約を他の金融機関等と締結することにより当行の顧客に対して現金の入出金サービスを提供していますが、この契約を締結している金融機関等との関係が悪化した場合、他の金融機関等と接続するシステムに不具合が発生した場合又は何らかの理由により他の金融機関等による当行のニーズに合致したサービスの提供が困難となった場合には、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
ハ.当行グループは、新たな収益機会を得るために、銀行法の範囲内において積極的に新規事業への進出を検討しています。しかしながら、当行グループが未進出の業務分野に進出した場合や競争の激しい分野に進出した場合等において、業容の拡大につながらない又は当初想定した成果を得ることができない可能性があり、その結果、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行は、台湾において銀行業を営む連結子会社を有しています。同社は現地における法令、自主規制等を遵守する必要があり、現地監督当局による検査、調査等の対象となっているほか、現地における政治、経済環境等の影響を受けます。当行は同社への役員派遣を含め、当行グループとしての同社に対するガバナンス態勢、コンプライアンス態勢、リスク管理態勢を構築していますが、今後、同社が法令・自主規制等に抵触し、現地監督当局による罰金、課徴金、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消等が行われた場合、同社を取り巻く政治・経済環境の変化、自然災害等の不測の事態が発生した場合には、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。また、為替レートの変動により、当行グループの利益が減少する可能性があります。また、上記事由により同社の自己資本が大幅に毀損する事態となった場合には、当行が親会社として増資を含む支援を要請される可能性があります。
当行は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境・経営戦略 2.経営戦略」に記載のとおり、2022年4月28日付で中長期ビジョンを策定し、公表しています。しかしながら、当該中長期ビジョンにおける成長戦略の実施や目標の達成は、本「事業等のリスク」に記載された事項を含む様々なリスク要因や不確実性による影響を受けます。また、当該中長期ビジョンは、策定時点における経済・事業環境の認識等様々な前提に基づくものであり、前提が想定どおりとならない場合等には、当該中長期ビジョンにおける成長戦略の実施や目標の達成が困難となり、当行グループの経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。
地震、台風、津波、豪雨等の自然災害、火災、停電、電力不足や異常気象、戦争やテロリズムその他の犯罪行為及びパンデミック等が発生した場合、当行グループの経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。
これらの災害及びパンデミック等が発生した場合には、経済活動が停滞し、当行グループが提供するサービスに対する需要が減少する可能性があります。また当行グループの本店、出張所、データセンター等の拠点が、これらの災害及びパンデミック等により直接的又は間接的に被害を受けた場合には、物理的・人的な被害に加えて、通信ネットワークや情報システム等が正常に稼働せず、当行グループの事業継続が困難になる可能性があります。加えて、役職員の安全確保のため、状況に応じて役職員の出勤を制限又は停止する等、事業の運営体制を変更せざるを得ないことにより、サービスの低下が発生する可能性があります。
当行グループにおいては、これらの災害及びパンデミック等が発生した場合に備えて、事業継続計画(BCP)を策定し、定期的な訓練を通じて事業継続の確実性を高め、かかるリスクを最小限とするように努めていますが、災害及びパンデミック等の規模が想定を上回る場合には、準備している事業継続計画では対応できず当該リスクが顕在化し、事業継続自体が困難又は不可能となり、当行グループの経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。
2015年に採択された「パリ協定」を受けて、気候変動の原因とされる温室効果ガス削減の取組が世界的に加速しています。気候変動リスクは、主に気候変動に伴う物理的リスクと低炭素社会への移行に伴う各種規制拡大等の移行リスクに大別されます。物理的リスクとしては、台風・豪雨等の異常気象による経済活動の低迷や担保価値の毀損による与信関連費用の増加が考えられます。また、CO2の排出を抑え、低炭素社会へ移行することに伴い、当行グループが事業を営む日本及び台湾において、炭素税等の各種法規制が課せられる可能性があります。当行は、行内横断的な会議体としてサステナビリティ推進会議を設置し、低炭素社会への移行をはじめとするサステナビリティへの取組に関する体制強化に努めていますが、これらの取組が奏功しない、もしくは不十分である場合又は各種規制への対応コストが増加した場合、当行グループの経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。
当行グループは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを通じて銀行業を営んでいますが、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウェアもしくはソフトウェアの不具合・欠陥等により当行グループ、楽天グループ各社又は外部のサービスプロバイダもしくはビジネスパートナー企業等の第三者の情報システムに脆弱性又は不備が生じる可能性があります。加えて、役職員の過誤により正常なサービス提供に支障が生じる可能性があるほか、重要なデータの消失、機密情報の漏えい等が発生する可能性があります。
これらのリスク発生の回避及び軽減のため、監視体制を強化するとともに、通信ネットワークの複線化・システムの冗長化・データセンターの複数拠点の設置等の技術的・物理的にも各種対応策を講じていますが、かかるリスクが発現した場合には、当行グループのシステムが一時的に停止する等の事態が発生し、システム停止により顧客に生じた損害の賠償等をせざるを得なくなる可能性があります。また、監督官庁から行政処分等を受ける可能性もあり、かかる場合には、当行グループに対する社会的信用が毀損し、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを通じてサービスを提供しています。そのため、ネットワークもしくはコンピュータシステム上のハードウェア又はソフトウェアの不具合、欠陥、コンピュータウイルス、フィッシングメール等による顧客に対する攻撃、外部からの不正な手段による当行グループのコンピュータシステム内への侵入等により情報システムの可用性、機密性、完全性を確保できない可能性があります。その場合、当行グループのサービスの不正な利用、重要なデータの消失、盗取等が発生する可能性もあります。
これらのリスク発生の回避又は低減のため、監視体制を強化するとともに、技術的、物理的にも各種対策を講じていますが、かかるリスクが発現した場合、当行グループに対する社会的信用の毀損、顧客の離反、損害賠償請求等が発生する可能性があるほか、監督官庁から行政処分等を受ける可能性があり、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、インターネットを活用した非対面取引を基本とした銀行としての特徴を有しており、口座開設時の取引時確認を厳格に実施しています。また、口座開設後の口座利用状況についても、モニタリングを実施しており、当行口座に係る金融犯罪の未然防止に努めるとともに、預金者保護に注力しています。しかしながら、急速な犯罪手法の高度化・巧妙化に対して当行が講じる対策が功を奏さない場合等において、当行グループの風評の悪化等により社会的信用が毀損される可能性があります。また、高度化した犯罪手法等に対応する追加施策の実行に伴う費用の発生等により、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、銀行業を営んでおり、個人情報を含む顧客情報を保有しています。当行は、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者として同法に基づき、個人情報の利用目的の公表又は通知、個人データの安全管理に十分に留意し、本人からの保有個人データの開示請求等に適切に対応する態勢を整備しています。また、その旨を「個人情報保護細則」に規定し、役職員に対する周知を徹底しています。さらに、外部委託先が当行の個人データを取扱う場合は、全国銀行個人情報保護協議会「個人データの安全管理措置等に関する指針」にて「委託契約において盛り込むべき安全管理に関する内容」として列挙された事項を含む内容の契約を締結することとし、個人情報を含む顧客情報を厳格に管理しています。しかし、情報漏えい等が発生し、顧客に甚大な被害を及ぼす結果となった場合には、当行グループに対する社会的信用の毀損、顧客の離反、損害賠償請求等が発生する可能性があるほか、監督官庁からの行政処分を受ける可能性があり、当行グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、日本及び台湾において銀行業を営んでおり、付加価値の高いサービスを幅広く提供しています。こうした業務を行うにあたり、システム障害等によって損害を与えた場合や、第三者の知的財産権を侵害した場合等においては損害賠償請求訴訟等が提起され、損害に対する補償が必要となる可能性があります。当行グループでは、適宜、弁護士等をはじめとする外部専門家からの助言及び監督当局への事前相談すること等により、適切かつ適法なサービスの提供に努めていますが、全ての訴訟等の可能性を排除することは困難であり、かかるリスクが顕在化した場合には、その訴訟等の内容、請求額によっては大きな損失が発生し、また、当行グループの社会的信用が毀損される結果となり、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループの事業は、預金者を含む顧客等からの信用・信頼の上に成り立っているため、これを維持・向上することが重要であると考えていることから、当行では、当行の業務に関連して現実に生じた各種のリスク事象や、事実と異なる事象により生じた報道や風説により、当行の業務が阻害されて被るリスクをレピュテーショナル・リスクと定義し、当該リスクの管理体制を構築しています。しかしながら、当行グループの風評がマスコミに報道されたり、インターネット上の掲示板への書き込み等により拡散された場合には、仮にその風評が事実と異なるものであったとしても、顧客等が風評を信じて当行グループについて事実と異なる認識を持つ可能性があり、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行は、銀行法第4条第1項の規定に基づき、銀行業を営むことについての免許の交付を受け、預金、為替、貸付業務をはじめとする種々の業務を営んでいます。また、銀行業については、有効期間その他の期限は法令等で定められていませんが、銀行法第26条において業務の停止等及び同第27条において免許の取消し等の要件が定められており、当該要件に該当した場合、業務の停止、又は免許の取消しを命じられる可能性があります。
現時点で、当行はこれらの事由に該当する事実はないと認識していますが、将来、何らかの事由により業務の停止、免許の取消し等の処分を命じられた場合には、当行グループの主要な事業活動に支障をきたすとともに、事業、経営成績及び財政状態に重大な影響が生じる可能性があります。
上記に加えて、当行グループは、大口信用供与規制、業務範囲規制及びアームズレングス規制等の銀行法上の様々な規制、金融商品取引法及び信託業法等その他の金融関連法令、これらに関連する監督官庁の監督指針及び業界団体の自主規制等の適用を受けています。これに関連して、当行は監督官庁や自主規制機関等による監督を受けており、かかる監督による措置には行政処分、指導、立入検査、ヒアリング、オンサイト・オフサイトでの資料の徴求等が含まれます。当行に、法令等の違反、法解釈等の相違及びその他の何らかの事由により監督官庁による行政処分、指導、立入検査等における指摘等又は自主規制機関による処分等がある場合、また、当行サービスに影響のある金融関連法令、監督指針、自主規制等の改定及び新たな規制の導入が行われる場合には、当行グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその他保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)」に基づき自己資本比率を算出しており、国内基準行である当行は、4%以上の自己資本比率を維持することが求められています。
当行は、本「事業等のリスク」の状況を踏まえ、適切かつ十分な水準の自己資本比率を維持することに努めていますが、記載している各種リスクが顕在化した場合、又は将来的に当該規制等が変更となった場合には、自己資本比率が低下する可能性があります。また、自己資本比率が4%を下回った場合には、金融庁より、営業の全部又は一部の停止を含む行政上の措置が課される可能性があり、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行は格付機関による格付を取得していますが、当行の業績や風評の動向、親会社である楽天グループ株式会社の動向等により、格付機関が当行の格付を引き下げた場合、資金調達における取引条件の悪化、市場関連取引における追加担保の差入、既存取引の解消等が発生する可能性があり、当行の資本・資金調達等に影響が生じ、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。また、楽天グループ株式会社又はその他の楽天グループ各社の格付が引き下げられた場合にも、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、高度な専門性を有するインターネットバンキングを中心とした銀行業務を行っています。このため、有能な人材の確保及び育成に努めていますが、人材の採用にあたっては、他の金融機関のみならず、インターネットサービス関連企業やシステム関連企業との競合を余儀なくされることから、必要な人材の確保ができない場合には、当行の競争力が低下し、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、銀行法、金融商品取引法、信託業法、会社法等の各種法令、監督当局や自主規制機関の定める諸規則等に基づいて業務を行っており、法令等遵守を経営上重要な責務と位置づけ、コンプライアンス態勢を強化し、法令等遵守の徹底を図っています。しかしながら、役職員が法令、諸規則等を遵守しない、又は不正行為等を行った場合等には、監督当局による行政処分、罰則の適用、顧客からの信頼の低下等により、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。特に、日本においては、第4次FATF対日審査結果が公表され、監督官庁による「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」が発出され、金融機関に対するマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下、「マネロン対策」という。)の強化が求められています。監督官庁は各金融機関に対して、2024年3月までに当該ガイドラインで求めている態勢を整備することを求めており、当行としても2024年3月までの整備完了に向けたロードマップを作成し、対応を進めています。当行は、現時点においては十分なマネロン対策を講じていると認識しており、今後も適切な態勢の整備に努める所存でありますが、これらのマネロン対策が有効に機能せずに、法令等の違反が発生した場合、又は当行のマネロン対策について監督官庁が要請する水準に達していないと判断された場合には、監督当局による行政処分、罰則の適用、顧客からの信頼の低下等により、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループでは、個人顧客及び法人顧客に対する貸付債権、国債・社債等の有価証券並びに楽天グループ内外の金銭債権等を裏付資産とする信託受益権等を保有しています。このため経済状況が悪化した場合、債務者・債券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合等には、当行グループが保有する貸付債権、債券及び信託受益権の原資産の信用力が低下し、元利金等の支払いが不履行となる可能性があります。この結果、当該貸付債権及び信託受益権への引当金の増額や保有する有価証券の市場価格の下落に伴う損失を計上する可能性があります。個人顧客に対する貸付債権に関しては外部信用情報機関を利用した途上与信を含む与信管理を行い、法人顧客に対する貸付債権に関しては継続的な顧客の業況確認等による与信管理を行い、保有する信託受益権に関しては継続的な原資産のパフォーマンスの確認等によるモニタリングを行い、保有する有価証券に関しては定期的に発行体の業況及び有価証券の市場価格の確認等によるモニタリングを実施し、かかるリスクの低減に努めていますが、想定以上の経済状況の悪化、債務者の業況悪化等が発生した場合には、貸倒関連費用の増加等、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
また、市場リスク及び為替リスクをヘッジするために実施しているデリバティブ取引については、カウンターパーティーリスクがあり、カウンターパーティーの義務の不履行が生じた場合には、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、国債、政府保証債、事業債等の市場性のある有価証券及びデリバティブ等が組み込まれた金融商品を保有しています。これらは、金利変動により価格の変化が生じるため、当行では、運用調達業務全般にわたり、資産・負債構成の最適化及び適切な水準の自己資本充実度の確保を目的とし、金利感応度、資金流動性、市場流動性等に留意したALM(資産負債総合管理)運営を行っています。しかしながら、国内外の金融政策の変更、債券等の格付の低下、国内外の市場の混乱、金融経済環境の悪化等により金利が変動した場合、評価損、売却損等が発生することにより、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、外貨建資産及び負債を保有しており、必要に応じて、為替リスクを回避することを目的としたヘッジ取引を行っていますが、為替レートが急激に変動した場合には、多額の為替差損等の発生により、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
⑳ 決済リスク
当行グループは、国内外の多くの金融機関と多様な取引を行っています。大規模なシステム障害や災害が発生した場合又は政治的な混乱等により金融システム不安が発生した場合には、取引相手である金融機関との間で決済が行われない又は決済が遅延する等、決済が困難になる可能性があります。また、非金融機関の取引先との一定の決済業務においても取引先の財政状態の悪化等により決済が困難になるリスクがあります。加えて、当行が購入する信託受益権の証券化スキームにおいて、信託受益権の組成及び購入に関する一連の決済が想定通り実行されず、支払った購入代金の回収が必要になる可能性があります。
当行グループでは、勘定系システム等の重要なシステムについては、バックアップサーバーを分散して設置するとともに、定期的な訓練を実施する等、システム障害や災害発生時に迅速に対応できる体制の構築に努めているほか、日中の流動性について定期的なモニタリングやストレステストの実施等、当行グループの決済が滞らないよう管理する体制や、非金融機関の取引先と一定の決済業務を行うにあたり、必要に応じて取引先の財政状態を適宜把握する体制を構築しています。また、買入金銭債権の購入代金の回収に係る社内規程・マニュアルを整備し、当行の自己資本額に比して過大な回収リスクを負うことを避けるオペレーション上の対応も実行していますが、これらの対策が不十分な場合又は当行グループの想定を逸脱する事態が生じたことによりこれらの対策が有効ではなくなった場合等には、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行は、インターネットを活用した銀行サービスを提供しており、ATMでの普通預金の引き出し、定期預金の解約及び他の金融機関への送金又は振込サービスを24時間365日(システムメンテナンス時間帯を除く)提供しています。当行は、このような当行の預金の特性を踏まえて手元流動性を含めた資金流動性リスク管理体制を構築し、流動性に十分配慮した運用を行っていますが、経済環境の悪化や当行の風評に悪影響を与える不測の事態が発生した場合には、予想を超えた著しい資金流出が予想を上回る速度で進行する可能性があり、当行グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、事務に関する社内規程の整備、事務のシステム化、事務処理における再鑑の徹底、自主点検による部署内の事後チェック、業務改善への取組等により、堅確な事務処理体制の構築・運用に努めていますが、人的な対応が必要な業務においては、役職員等が事務に関する社内規程等に定められた事務手続を怠る等により、事務面での事故、不正等が発生する可能性があります。
また当行グループは、当行グループの急速な顧客基盤の拡大による取引件数の増加、新サービスの導入等による事務量の増加により、業務遂行に必要な体制整備が追い付かずに、事務手続きのミスの発生、事務の滞留等の可能性があります。この結果、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
当行グループは、リスク管理方針を策定し、同方針に基づき管理態勢を整備し、運用していますが、金融市場においては急激かつ大規模な変動や混乱が発生する可能性があり、これを正確に予測することは困難であることから、リスク管理が有効に機能しない可能性があります。また、急速な事業展開や業容拡大に伴い、リスク管理が有効に機能しない可能性があります。この結果、当行グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。これらのリスク発生の回避又は軽減のため、原則、半期に1度、当行の事業展開や業容拡大に伴う当行のリスクプロファイルの変化を把握し、管理すべきリスクの網羅性及びリスク管理手法の妥当性について検証を行っています。
当行は、2023年4月21日付で東京証券取引所プライム市場へ上場しており、上場に際しては、公募増資及び楽天グループ株式会社による当行株式の売出しによって当行株式の流動性の確保に努めました。今後は、当行の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達や当行親会社である楽天グループ株式会社への一部売出しの要請による流通株式数の増加等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、市場環境や何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当行株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当行株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
1.経営成績等の状況の概要
当行グループ(当行、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
(連結経営成績)
当連結会計年度の経常収益については、資金運用収益は、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ個人消費がゆるやかな回復に留まったため、カードローン残高、カードローン収益が減少した一方で、楽天カード株式会社のクレジットカード債権等を裏付資産とする信託受益権の残高が増加したことに加え、住宅ローン、投資用マンションローン及び提携ローン等の貸出金残高が増加したことにより、前連結会計年度比92億0百万円増の690億10百万円となりました。役務取引等収益は、新規口座数の増加や生活口座化の進展等が寄与し、デビットカード等のカード関連手数料や口座振替手数料の増加により、前連結会計年度比7億83百万円増の411億51百万円となりました。その他業務収益は、日本銀行によるイールドカーブコントロールの金利誘導幅修正により円長期金利が上昇したことや、ドル円を中心とする為替レートのボラティリティが高まったため、当行の新型定期預金(仕組預金)等に係る収益及び外国為替売買益が増加した結果、前連結会計年度比42億50百万円増の84億30百万円となりました。また、台湾で2021年1月に営業開始した樂天國際商業銀行股份有限公司において、前連結会計年度比10億94百万円増の13億4百万円の経常収益を計上しました。これらの結果、経常収益は前連結会計年度比144億19百万円増収の1,204億45百万円となりました。
一方、経常費用については、資金調達費用は、預金残高の伸長に伴い、前連結会計年度比15億64百万円増の66億32百万円となりました。役務取引等費用は、カードローンの支払保証料の減少により、前連結会計年度比15億51百万円減の332億78百万円となりました。また、営業経費は、経費削減に努めたものの、業務委託費及びマーケティング関連費等の増加により、前連結会計年度比15億81百万円増の392億1百万円となりました。樂天國際商業銀行股份有限公司においては、前連結会計年度比17億70百万円増の43億66百万円の経常費用を計上しました。これらを受けて、経常費用は前連結会計年度比35億82百万円増加の816億99百万円となりました。
上記の経常収益及び経常費用の結果、経常利益は前連結会計年度比108億37百万円増益の387億46百万円、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比108億38百万円増益の387億46百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比76億52百万円増益の276億92百万円となりました。
なお、当行グループは、銀行業の単一セグメントであるため、セグメント毎の経営成績等については記載を省略しています。
(連結財政状態)
当連結会計年度末における資産の部については、有価証券が国債等の購入により前連結会計年度末比2,023億68百万円増の7,803億73百万円、買入金銭債権が楽天カード株式会社のクレジットカード債権等を裏付資産とする信託受益権等の購入により、前連結会計年度末比4,225億24百万円増の2兆1,030億59百万円となりました。貸出金は、住宅ローン、投資用マンションローン及び提携ローン等の堅調な増加により、前連結会計年度末比8,366億95百万円増の3兆7,805億87百万円、現金預け金は、前連結会計年度末比4,010億91百万円増の4兆502億27百万円となりました。この結果、資産の部の合計額は前連結会計年度末比2兆988億18百万円増加し、11兆5,895億8百万円となりました。
負債の部については、普通預金が、口座数の順調な伸長や個人顧客の生活口座化の進展に加え、楽天証券株式会社との口座連携(マネーブリッジ)を利用する顧客数の増加により前連結会計年度末比1兆511億48百万円増の8兆1,266億48百万円、定期預金が前連結会計年度末比3,506億28百万円増の7,648億54百万円、外貨預金が前連結会計年度末比10億48百万円増の718億3百万円となりました。また借用金は、日本銀行の貸出増加を支援するための資金供給の活用により、前連結会計年度末比6,654億円増の2兆2,774億円となりました。この結果、負債の部の合計額は前連結会計年度末比2兆736億29百万円増加し、11兆3,578億24百万円となりました。
また、純資産の状況については、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い前連結会計年度末比276億92百万円増の1,867億14百万円となりました。この結果、純資産の部の合計額は前連結会計年度末比251億89百万円増加し、2,316億84百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローについて、営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加による8,368億33百万円の支出や債券貸借取引支払保証金の増加による1,817億65百万円の支出及び買入金銭債権の増加による4,490億37百万円の支出等があった一方、預金の増加による1兆4,010億26百万円の収入等があったことから、5,946億95百万円の収入(前連結会計年度比8,672億49百万円の収入減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による1,903億67百万円の収入や有価証券の償還による2,161億90百万円の収入等があった一方、有価証券の取得による5,922億25百万円の支出等があったことから、1,935億78百万円の支出(前連結会計年度比3,024億2百万円の支出減少)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末比4,010億91百万円増加し、4兆502億24百万円となりました。
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載していません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい行動規制が緩和される中で、回復基調にありましたが、一方で、長期化するロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格の上昇や原材料価格の高騰、インフレ率の高止まり、欧米を中心とする金融引締め等の影響により、景気減速の懸念も生じました。また、2023年3月には、米国の複数の銀行が破綻したことに伴い米欧の金融システムへの警戒感が高まりましたが、米欧金融当局等の迅速な対応により金融不安の拡大が短期的には回避されました。
日本経済においては、一部に弱さがみられるものの、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種や各種政策等の効果により、個人消費や設備投資が回復するなど、持ち直しの動きが見られました。新型コロナウイルス感染症への対応の中で、個人の生活や法人の企業活動のデジタルシフトが進展し始めており、オンラインで完結する銀行サービスを提供する当行グループに期待される社会的役割は一層増していると考えています。
こうした金融経済環境下で当行グループは、銀行サービスが重要な社会インフラであるという認識のもと、高性能かつ安定的な決済インフラの運営、システムの効率化、内部管理体制の整備を推進し、新サービスの導入や資産運用の強化等を通じて、今まで以上に収益性と成長性を重視した経営に取り組んでまいりました。
具体的には、個人顧客の生活口座化を推進し、非金利収益の増加を図るとともに、個人顧客当たりの収益性を引き上げる戦略のもと、当行の決済サービスが利用できる提携先の拡大に努めました。まず、口座振替とペイジーによるお支払いサービスにおいて、愛知県、調布市、三鷹市、立川市、国分寺市の公金の取扱いを開始したことに加え、浜松市公金の口座振替サービスやウェルネット株式会社のペイジーによるお支払いに対応しました。また、「楽天銀行コンビニ支払サービス(アプリで払込票支払)」において、三菱UFJファクター株式会社、北海道電力株式会社、東京都、株式会社NTTデータの「公金決済プラットフォーム」との提携を開始したことにより、払込票の対応先をさらに拡大しました。
これらの結果、当連結会計年度の経常収益は前連結会計年度比144億19百万円増加し1,204億45百万円、経常利益は前連結会計年度比108億37百万円増加し387億46百万円となりました。また、口座数が順調に増加し、2022年9月には1,300万口座を突破すると、2023年3月末には1,373万口座(前連結会計年度比+142万口座)に達しました。単体預金残高も2022年6月末に8兆円を突破し、2023年3月末には9兆1,298億円(前連結会計年度比+1兆3,645億円)に達しました。
当行グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、国内の金利動向が挙げられます。金利動向に伴う資産・負債の公正価値の変動及び発生する損益の変動については、ALM委員会にてモニタリングすることでそのリスクを評価するとともに、必要に応じてヘッジ取引等により対応を図るものとしています。
当行グループの資金調達は、金利動向等を踏まえて、主として預金により確保しており、今後も安定的に増加させていく方針です。
当連結会計年度末における現金預け金は4兆502億円であり、十分な水準にて確保しており、資金流動性確保に懸念はないものと考えています。
なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、上記「1.経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものは貸倒引当金及び金融商品の時価の計上です。
貸倒引当金に関して、当行では、全ての債権について、資産の自己査定基準に基づき資産の自己査定を実施しています。資産の自己査定にあたっては、債務者を「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の5段階に区分し、当該区分に応じて、予め定めている償却・引当基準に則り、貸倒引当金を計上しています。「正常先」「要注意先」については、主として今後1年間の予想損失額又は今後3年間の予想損失額を見込んで計上しており、予想損失額は、1年間又は3年間の貸倒実績又は倒産実績を基礎とした貸倒実績率又は倒産確率の過去の一定期間における平均値に基づき損失率を求め、これに将来見込み等必要な修正を加えて算定しています。「破綻懸念先」については、債権額から、担保の処分可能見込額及び保証による回収可能見込額を控除し、その残額のうち、債務者の支払能力を総合的に判断し必要と認める額を計上しています。「実質破綻先」「破綻先」については、債権額から回収可能見込額を控除し、その残額を貸倒引当金に計上しています。連結される子会社及び子法人等の貸倒引当金は、一般債権については過去の貸倒実績率等を勘案して必要と認めた額を、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額をそれぞれ計上しています。当行グループにおける当該見積り及び当該仮定については、連結財務諸表作成時における入手可能な最善の情報に基づいていますが、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価に関する見積りが変化する場合があり、この場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する貸倒引当金及び貸倒引当金繰入額等の金額に重要な影響を与える可能性があります。
金融商品の時価に関して、当行では、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、時価を3つのレベルに分類しています。特に、算定した時価等について市場で観察できないインプットが重要な構成要素であることからレベル3に分類されるものについては、時価評価に用いる見積り及び仮定の複雑性、不確実性が高いものとなります。インプットに関する情報の詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(金融商品関係) 3 金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項 (注2) 時価で連結貸借対照表に計上している金融商品のうちレベル3の時価に関する情報 (1) 重要な観察できないインプットに関する定量的情報」に記載しています。これらの時価の算定に使用された主要な仮定には不確実性があり、特にレベル3に分類されるものについては、時価評価に用いる見積り及び仮定の複雑性、不確実性が高いものであり、評価に用いるインプットが市場環境の変化等を受けて変化することにより時価が増減する可能性があります。インプットを変化させた場合の時価に対する影響の詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(金融商品関係) 3 金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項 (注2) 時価で連結貸借対照表に計上している金融商品のうちレベル3の時価に関する情報 (4) 重要な観察できないインプットを変化させた場合の時価に対する影響に関する説明」に記載しています。
(参考)
当連結会計年度における資金運用収支は、前連結会計年度比76億35百万円増加し623億78百万円、役務取引等収支は前連結会計年度比23億34百万円増加し78億72百万円、その他業務収支は、前連結会計年度比43億81百万円増加し84億27百万円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当行及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)に関する数値です。
2.「海外」とは、海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)に関する数値です。
3.「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しています。
当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は、前連結会計年度比1兆4,188億36百万円増加し7兆1,362億3百万円となりました。資金運用利息は、前連結会計年度比92億円増加し690億10百万円となりました。この結果、資金運用利回りは、前連結会計年度比0.07ポイント低下して0.96%となりました。
また、資金調達勘定平均残高は、前連結会計年度比2兆7,931億46百万円増加し10兆1,761億37百万円となりました。資金調達利息は、前連結会計年度比15億64百万円増加し66億32百万円となりました。この結果、資金調達利回りは、前連結会計年度比0.00ポイント低下して0.06%となりました。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出していますが、国内連結子会社については、前連結会計年度末と当連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しています。
2.「国内」とは、当行及び国内連結子会社に関する数値です。
3.「資金運用勘定」は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度1兆8,149億20百万円、当連結会計年度3兆2,131億68百万円)を控除しています。
(注) 1.海外連結子会社の平均残高は、前連結会計年度末と当連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しています。
2.「海外」とは、当行の海外連結子会社に関する数値です。
(注) 1.「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しています。
当連結会計年度の役務取引等収益は前連結会計年度比7億83百万円増加し411億51百万円となりました。また、役務取引等費用は前連結会計年度比15億51百万円減少し332億78百万円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当行及び国内連結子会社に関する数値です。
2.「海外」とは、当行の海外連結子会社に関する数値です。
3.「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しています。
(注) 1.「国内」とは、当行及び国内連結子会社に関する数値です。
2.「海外」とは、当行の海外連結子会社に関する数値です。
3.流動性預金=普通預金
4.定期性預金=定期預金
5.「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しています。
(注) 1.「国内」とは、当行及び国内連結子会社に関する数値です。
2.「海外」とは、当行の海外連結子会社に関する数値です。
該当事項はありません。
(注) 1.「国内」とは、当行及び国内連結子会社に関する数値です。
2.「海外」とは、当行の海外連結子会社に関する数値です。
3.「その他の証券」には、外国債券を含んでいます。
4.「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しています。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しています。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出については粗利益配分手法を採用しています。
連結自己資本比率(国内基準)
単体自己資本比率(国内基準)
(資産の査定)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として以下のとおり区分するものです。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。
当行は、親会社である楽天グループ株式会社との間で、両社の基本的な関係を定めることを目的とする経営基本契約を締結し、当該契約において、当行が銀行として公益の観点から求められる経営の独立性及び上場子会社として求められる独立性を楽天グループ株式会社が尊重する旨を規定しています。また、楽天グループ株式会社は、当行が楽天グループ以外からの取締役の登用を積極的に行う等、ガバナンスに対する適切なチェックが働く体制とすることを尊重するとともに、従業員に対する当行の人事権を尊重する旨を規定しています。なお、当該契約において楽天グループ株式会社に対する事前承認、事前協議事項は規定しておらず、当行から楽天グループ株式会社に対する報告については、当該契約に基づき必要かつ法令等に抵触しない範囲で行っています。また、当該契約において、楽天グループ株式会社は、当行の業況が悪化した場合には当行の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な措置を講じ、楽天グループ株式会社の業況が悪化した場合には、同社が当行に対して資本出資、融資等の支援を要請しない旨を規定しています。
なお、当該契約の締結に際しては、予め特別監視委員会に諮問し、出席委員全員より異議がない旨の意見表明を受けています。
当行の顧客基盤の拡大等は楽天エコシステムを最大限に活用することにより図っているところ、楽天エコシステムの活用にあたっては、「楽天」のブランドを表章するロゴやドメイン等の使用が必要不可欠であることから、当該ロゴやドメイン等を使用するために、当行は、親会社である楽天グループ株式会社との間で非独占的ブランドライセンス契約を締結しています。当該契約に基づき当行が楽天グループ株式会社に支払うブランドライセンス料は、当行グループの売上総利益の一定割合によっており、その料率は楽天グループ株式会社と協議の上、合理的に決定しています。
なお、当該契約の締結に際しては、予め特別監視委員会に諮問し、出席委員全員より異議がない旨の意見表明を受けています。
当行は、インターネット銀行として、データセンターを設置しています。データセンターは通常データ処理を行うプライマリーセンターの他、災害・障害に備えバックアップセンターを設置し、高い安全性を確保しています。
なお、事業所は本社及び出張所を設置しています。
また、当行グループは、銀行業の単一セグメントであるため、セグメントの名称の記載を省略しています。
2023年3月31日現在
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.上記の金額には消費税等は含まれていません。
3.臨時従業員数は、( )内に年間の平均人員を外書きで記載しています。
4.建物の一部を賃借しています。年間賃借料は、1,869百万円です。
連結財務諸表における子会社の設備の割合が僅少であるため、記載を省略しています。
2023年3月31日現在
2.上記の金額には消費税等は含まれていません。
3.帳簿価額のうち「その他」は、建設仮勘定48百万円、使用権資産106百万円です。
4.臨時従業員数は、( )内に年間の平均人員を外書きで記載しています。
5.建物の一部を賃借しています。年間賃借料は、50百万円です。
(注) 2022年8月22日開催の取締役会決議により、2022年9月27日付で株式分割に伴う定款変更が行われ、発行可能株式総数は621,000,000株増加し、630,000,000株となっています。
(注) 1.2022年8月22日開催の取締役会決議により、2022年9月27日付で普通株式1株につき70株の割合で株式分割を行っています。これにより発行済株式総数は162,114,396株増加し、164,463,880株となっています。
2.当行株式は、2023年4月21日付で東京証券取引所プライム市場に上場しています。
3.2023年3月22日及び2023年4月5日開催の取締役会決議により、2023年4月20日付で公募増資に伴う新株式5,555,500株を発行しています。また、同日開催の取締役会決議により、2023年5月24日付で第三者割当増資(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)に伴う新株式4,463,000株を発行し、本書提出日現在の発行済株式総数は174,482,380株となっています。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1.株式分割(1:70)によるものです。
2.決算日後、2023年4月20日を払込期日とする有償一般募集による新株式5,555,500株(発行価格1,400円、引受価額1,330円、払込金総額7,388百万円)発行により、資本金及び資本準備金はそれぞれ3,694百万円増加しています。
3.決算日後、2023年5月24日を払込期日とする有償第三者割当増資(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)に伴う新株式4,463,000株(割当価格1,330円、割当価格の総額5,935百万円、割当先 大和証券㈱)発行により、資本金及び資本準備金はそれぞれ2,967百万円増加しています。
(注) 2022年9月27日付で普通株式1株につき70株の割合で株式分割を行っています。
2023年3月31日現在
(注) 当行は、2023年4月20日を払込期日とする公募増資による新株式及び2023年5月24日を払込期日とする第三者割当増資による新株式の発行をしています。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載しています。